四半期報告書-第98期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績等の概要
ソニーは、2014年4月1日付の組織変更にともない、当年度第1四半期連結会計期間より、主にゲーム分野及びモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(以下「MP&C」)分野を従来構成していた事業を再編し、業績報告におけるビジネスセグメント区分の変更を行いました。この再編に関連して、従来のその他分野に含まれていたネットワーク事業をゲーム分野に統合し、ゲーム&ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野に名称変更しました。また、従来のMP&C分野に含まれていたモバイル・コミュニケーションカテゴリーをMC分野とし、それ以外をその他分野に移管しました。これにより、PC事業はその他分野に含まれています。
また、2014年6月1日付の組織変更にともない、当年度第1四半期連結会計期間より、電源事業がデバイス分野からその他分野へ移管されました。
以上のセグメント変更にともない、各分野の過年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)ならびに営業損益を当年度の表示に合わせて組替再表示しています。
なお、金融分野においては、過年度の財務数値の一部を見直しました。詳細については、後述の注記をご参照ください。
以下の業績等の概要は、2014年度第3四半期連結会計期間(以下「2014年度第3四半期」又は「当四半期」)についての分析です。
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高及び営業収入24,10725,667+6.5
営業利益8891,821+104.9
税引前利益8831,678+90.1
当社株主に帰属する四半期純利益264900+241.0
普通株式1株当たり当社株主に帰属する四半期純利益
-基本的25.4378.12+207.2
-希薄化後22.5876.96+240.8

すべての金額は米国会計原則に則って算出されています。
当四半期及び2013年度第3四半期連結会計期間(以下「前年同期」)の平均為替レートは以下のとおりです。
2013年度第3四半期2014年度第3四半期変化率
平均為替レート%
1米ドル100.5114.512.3(円安)
1ユーロ136.7143.04.4(円安)

連結業績概況
売上高は、前年同期比6.5%増加の2兆5,667億円となりました。この増収は、主に、為替の好影響、スマートフォンの販売台数が増加したMC分野の大幅な増収、イメージセンサーが好調なデバイス分野の大幅な増収、ならびに、「プレイステーション 4」(以下「PS4TM」)が好調なG&NS分野の大幅な増収によるものです。一方、PC事業が収束したその他分野、映画製作及びテレビ番組制作が減収となった映画分野の売上高は、減少しました。前年同期の為替レートを適用した場合、売上高は0.3%の減少となります(前年同期の為替レートを適用した場合の売上高の状況については後述の注記をご参照ください)。
営業利益は、前年同期比932億円増加し、1,821億円となりました。この大幅な増益は、主に、デバイス分野、ホームエンタテインメント&サウンド(以下「HE&S」)分野、G&NS分野、ならびにイメージング・プロダクツ&ソリューション(以下「IP&S」)分野の大幅な損益改善によるものです。一方、映画分野の利益は、大幅に減少しました。
当四半期の営業利益には、G&NS分野におけるPlayStation®Vita(以下「PS Vita」)やPlayStation®TV(以下「PS TV」)用の部品に対する評価減112億円が含まれています。なお、前年同期には、デバイス分野に電池事業の長期性資産の減損321億円、及び、G&NS分野に一部のPC向けソフトウエアタイトルの評価減62億円が計上されていました。
なお、当四半期の構造改革費用(純額)は、前年同期に比べ46億円減少し、90億円となりました。また、PC事業収束にともなう費用は、前年同期に比べ61億円減少し、49億円(うち、構造改革費用は14億円)になりました(PC事業収束にともなう費用の詳細については、後述の注記をご参照ください)。
営業利益に含まれる持分法による投資損益は、前年同期の17億円の利益に対し、当四半期は1億円の損失となりました。これは主に、EMI Music Publishingの持分法投資損益の悪化によるものです。
その他の収益(費用)(純額)は、前年同期に比べ137億円悪化し、143億円の費用となりました。これは主に、投資有価証券売却益の減少によるものです。前年同期の投資有価証券売却益には、㈱スカパーJSATホールディングス株式の売却益74億円が含まれていました。
税引前利益は、前年同期に比べ795億円増加し、1,678億円となりました。
法人税等は、当四半期において562億円を計上し、実効税率は33.5%となりました。
当社株主に帰属する四半期純利益(非支配持分に帰属する四半期純利益を除く)は、前年同期に比べ636億円増加し、900億円となりました。
分野別営業概況
各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業損益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。
モバイル・コミュニケーション(MC)分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高3,3324,290+28.7
営業利益6393+46.2

MC分野の売上高は、スマートフォンの販売台数が増加したことや製品ミックスの改善、為替の好影響などにより、前年同期比28.7%増加し、4,290億円となりました(前年同期の為替レートを適用した場合、23%の増収)。
営業利益は、前年同期に比べ29億円増加し、93億円となりました。コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響などがありましたが、前述の製品ミックスの改善やスマートフォンの販売台数の増加などにより、分野全体で増益となりました。
ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高4,5495,315+16.8
営業利益124276+122.8

G&NS分野の売上高は、前年同期比16.8%増加し、5,315億円となりました(前年同期の為替レートを適用した場合、8%の増収)。当四半期において、「プレイステーション 3」(以下「PS3®」)のハードウエア及びソフトウエアは減収となりましたが、主に、PS4TMのハードウエアの販売台数の増加、為替の好影響、ならびにネットワークサービス収入の大幅な増収により、分野全体で増収となりました。なお、外部顧客に対する売上高は、前年同期比19.7%増加しました。
営業利益は、前年同期比152億円増加し、276億円となりました。PS3®のソフトウエアの減収による影響、コストの米ドル建て比率が高く、米ドル高が損益に悪影響を与えたこと、ならびにPS VitaやPS TV用の部品に対する評価減112億円の計上がありましたが、主に前述の増収の影響により、分野全体で大幅な増益となりました。この評価減は、当四半期においてPS TVの販売台数が想定を下回り、当初の想定台数に達しないことが見込まれたためです。なお、前年同期には、一部のPC向けソフトウエアタイトルの評価減62億円が計上されていました。
イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高1,9812,010+1.5
営業利益121230+90.4

IP&S分野には、デジタルイメージング・プロダクツカテゴリー及びプロフェッショナル・ソリューションカテゴリーが含まれます。このうち、デジタルイメージング・プロダクツカテゴリーにはコンパクトデジタルカメラ、レンズ交換式一眼カメラ、ビデオカメラ、プロフェッショナル・ソリューションカテゴリーには放送用・業務用機器などが主要製品として含まれています。一部の組織変更にともない、過年度のIP&S分野の売上高及び営業損益を当年度の表示に合わせて組替再表示しています。
IP&S分野の売上高は、デジタルカメラ*の販売台数が大幅に減少しましたが、主に為替の好影響により、前年同期比1.5%増加し、2,010億円となりました(前年同期の為替レートを適用した場合、5%の減収)。
営業利益は、前年同期比109億円増加し、230億円となりました。デジタルカメラの減収の影響がありましたが、販売費及び一般管理費の削減や為替の好影響などにより、前年同期に比べ、分野全体で大幅な増益となりました。
* デジタルカメラには、コンパクトデジタルカメラ、レンズ交換式一眼カメラなどが含まれています。
ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高4,0404,133+2.3
営業利益64253+294.6

HE&S分野には、テレビカテゴリー及びオーディオ・ビデオカテゴリーが含まれます。このうち、テレビカテゴリーには液晶テレビ、オーディオ・ビデオカテゴリーにはブルーレイディスクプレーヤー/レコーダー、家庭用オーディオ、ヘッドホン、メモリ内蔵型携帯オーディオなどが主要製品として含まれています。
HE&S分野の売上高は、前年同期比2.3%増加し、4,133億円となりました(前年同期の為替レートを適用した場合、5%の減収)。オーディオ・ビデオは減収となりましたが、主に、為替の好影響及びテレビの大幅な増収により、分野全体で増収となりました。液晶テレビの販売台数は、中南米において大幅に減少しましたが、北米及び欧州において大幅に増加し、全体で増加しました。
営業利益は、前年同期比189億円増加し、253億円となりました。コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響がありましたが、主に、コスト削減により、分野全体で増益となりました。
なお、テレビについては、売上高は前年同期比10.1%増加の2,806億円となりました。この大幅な増収は、主に、前述の販売台数の増加及び為替の好影響によるものです。営業損益*については、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響がありましたが、コスト削減などにより、前年同期の50億円の損失に対し、当四半期は93億円の利益となりました。
* 分野全体に含まれる構造改革費用は製品カテゴリーには配賦されておらず、テレビの営業損益には含まれていません。
デバイス分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高2,1132,929+38.6
営業利益(損失)△235545-

デバイス分野には、半導体カテゴリー及びコンポーネントカテゴリーが含まれます。半導体カテゴリーにはイメージセンサー、コンポーネントカテゴリーには電池、記録メディア、データ記録システムなどが主要製品として含まれています。一部の組織変更にともない、過年度のデバイス分野の売上高及び営業損益を当年度の表示に合わせて組替再表示しています。
デバイス分野の売上高は、前年同期比38.6%増加し、2,929億円となりました(前年同期の為替レートを適用した場合、26%の増収)。この大幅な増収は、主に、モバイル機器向けの需要増加によるイメージセンサーの大幅な増収、為替の好影響、ならびにカメラモジュールの大幅な増収によるものです。なお、外部顧客に対する売上高は、前年同期比47.2%増加しました。
営業損益は、前年同期の235億円の損失に対し、当四半期は545億円の利益となりました。この大幅な損益改善は、主に、前年同期に電池事業において321億円の長期性資産の減損を計上したこと、前述のイメージセンサーの増収の影響、ならびに為替の好影響によるものです。
* * * * *
前述のエレクトロニクス*5分野の2014年12月末の棚卸資産合計は、前年同期末比346億円(4.9%)減少の6,699億円となりました。2014年9月末比では1,531億円(18.6%)の減少となりました。
* エレクトロニクスは、MC分野、G&NS分野、IP&S分野、HE&S分野及びデバイス分野の合計を指します。2014年4月1日付の組織変更にともない、2013年12月末のエレクトロニクス5分野の棚卸資産合計を組替再表示しています。詳細については、業績等の概要の冒頭をご参照ください。
* * * * *
映画分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高2,2372,066△7.7
営業利益24362△74.4

映画分野には、「映画製作」「テレビ番組制作」「メディアネットワーク」の3つのカテゴリーが含まれます。映画製作には映画作品の製作・買付・配給・販売、テレビ番組制作にはテレビ番組の制作・買付・販売、メディアネットワークには、テレビ、デジタルのネットワークオペレーションなどが含まれています。
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Pictures Entertainment(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
映画分野の売上高は、前年同期比7.7%減少し、2,066億円となりました(米ドルベースでは20%の減収)。米ドルベースでの大幅な減収は、主に、映画製作及びテレビ番組制作の減収によるものです。映画製作は、映像ソフト収入及び劇場興行収入の大幅な減少により減収となりました。映像ソフト収入の減少は、前年同期に比べ、発売された主要映像ソフト作品数が少ないことによるものです。劇場興行収入の減少は、前年同期の全世界における劇場公開作品の興行成績がより好調だったことによるものです。テレビ番組制作の減収は、前年同期に米国のテレビ番組「ブレイキング・バッド」の映像ソフト収入及び会員制ビデオ・オン・デマンドの大きな貢献があったことによるものです。
営業利益は、前年同期比180億円減少し、62億円となりました。この大幅な減益は、主に、前述の映画製作及びテレビ番組制作の減収によるものです。
なお、当四半期において、2014年11月に認識したSPEのネットワーク及びITインフラに対するサイバー攻撃に関連する調査及び復旧のための費用約1,500万米ドル(18億円)を計上しました。
音楽分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高1,4471,636+13.1
営業利益217254+17.0

音楽分野には、「音楽制作」「音楽出版」「映像メディア・プラットフォーム」の3つのカテゴリーが含まれます。音楽制作にはパッケージ及びデジタルの音楽制作物の販売やアーティストのライブパフォーマンスからの収入、音楽出版には、楽曲の詞、曲の管理及びライセンス、映像メディア・プラットフォームには、音楽・映像関連商品の様々なサービス提供、アニメーション作品の制作・販売などが含まれています。
音楽分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Music Entertainment(以下「SME」)の円換算後の業績、円ベースで決算を行っている日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの業績、及びソニーが株式の50%を保有する音楽出版事業の合弁会社であり、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony/ATV Music Publishing LLC(以下「Sony/ATV」)の円換算後の業績を連結したものです。
音楽分野の売上高は、主に米ドルに対する円安の好影響及び音楽制作の増収により、前年同期比13.1%増加し、1,636億円となりました(前年同期の為替レートを適用した場合、3%の増収)。前年同期の為替レートを適用した場合の音楽制作の増収は、リリース作品が好調であったこと及びデジタルストリーミング配信売上の増加によるものです。当四半期にヒットした作品には、ワン・ダイレクションの「フォー」、AC/DCの「ロック・オア・バスト」、ピンク・フロイドの「永遠(TOWA)」、フー・ファイターズの「ソニック・ハイウェイズ」、ガース・ブルックスの「マン・アゲインスト・マシーン」などがあります。
営業利益は、前年同期比37億円増加し、254億円となりました。これは、為替の好影響及び前述の音楽制作の増収などによるものです。
金融分野
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
金融ビジネス収入2,8213,049+8.1
営業利益464509+9.7

金融分野には、ソニーフィナンシャルホールディングス㈱(以下「SFH」)及びSFHの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険㈱、ソニー銀行㈱等の業績が含まれています。金融分野に記載されているソニー生命の業績は、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。
過年度の財務数値の一部を見直しました。詳細については、後述の注記をご参照ください。
金融ビジネス収入は、主にソニー生命の増収により、分野全体では前年同期比8.1%増加し、3,049億円となりました。ソニー生命の収入は、保有契約高の拡大にともない保険料収入が増加したことに加え、運用損益が改善したことにより、前年同期比8.2%増加し、2,791億円となりました。
営業利益は、主にソニー生命の増益により、分野全体では前年同期に比べ45億円増加し、509億円となりました。ソニー生命の営業利益は、一般勘定における運用損益が改善したことなどから、前年同期に比べ29億円増加し、512億円となりました。
その他
2013年度第3四半期2014年度第3四半期増減率
億円億円%
売上高2,7061,443△46.7
営業損失△148△143-

その他分野には、PC事業が含まれます。一部の組織変更にともない、過年度のその他分野の売上高及び営業損益を当年度の表示に合わせて組替再表示しています。
その他分野の売上高は、前年同期比46.7%減少し、1,443億円となりました。この大幅な減収は、主にPC事業収束にともなう大幅な減収によるものです。
営業損失は、前年同期に比べ5億円縮小し、143億円となりました。当四半期において、ディスク製造事業の損益は悪化しましたが、主に、PC事業の営業損失の縮小により、分野全体ではほぼ前年並みの損失となりました。PC事業収束にともなう費用及びPC事業の営業損失合計は以下のとおりです。なお、前年同期のPC事業収束にともなう費用には、長期性資産の減損110億円が含まれていました。
2014年度第3四半期その他全社(共通)及び
セグメント間取引消去
連結前年同期比
増減額
億円億円億円億円
(ア) 構造改革費用31114△96
(イ) アフターサービス費用など35-35+35
PC事業収束にともなう費用(ア、イの合計)381149△61
PC事業収束にともなう費用を除く営業損失△85-△85+3
PC事業の営業損失合計△123△11△134+64

* * * * *
2014年12月31日に終了した9ヵ月間(当年度9ヵ月間)の連結業績概況
当年度9ヵ月間の売上高は、前年同期に比べ6.5%増加し、6兆2,782億円となりました。この増収は主にG&NS分野、MC分野、デバイス分野における大幅な増収、及び、為替の好影響によるものです。なお、主にPC事業収束にともない、その他分野の売上高は大幅に減少しました。
当年度9ヵ月間の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ106.9円、140.3円となり、前年同期の平均レートに比べ、米ドルに対して7.0%の円安、ユーロに対して5.7%の円安となりました。なお、前年同期の為替レートを適用した場合、連結売上高は2%の増加となります。
MC分野は、主に製品ミックスの改善及び為替の好影響により、大幅な増収となりました。G&NS分野は、主にPS4TMのハードウエアの販売台数の増加、及びネットワークサービス収入の増加により、分野全体で大幅な増収となりました。IP&S分野は、主にデジタルカメラの減収により、分野全体で減収となりました。HE&S分野は、主にテレビの大幅な増収及び為替の好影響により、分野全体で増収となりました。デバイス分野は、主にモバイル機器向けイメージセンサーの増収及び為替の好影響により、分野全体で大幅な増収となりました。映画分野は、米国のテレビ番組「ブレイキング・バッド」の映像ソフト収入及び会員制ビデオ・オン・デマンドの大きな貢献があった前年同期に比べ、テレビ番組制作が減収となりましたが、米ドルに対する円安の好影響により、分野全体で増収となりました。音楽分野は、主に米ドルに対する円安の好影響及び映像メディア・プラットフォームの増収により、分野全体で増収となりました。金融分野は、ソニー生命の保険料収入の増加や一般勘定の運用損益の改善などにより、分野全体で増収となりました。
営業利益は、前年同期に比べ280億円増加し、1,663億円となりました。この大幅な増益は、主に、デバイス分野、G&NS分野、HE&S分野、ならびにIP&S分野の大幅な損益改善によるものです。一方、MC分野では、営業権の減損1,760億円を計上したことにより、大幅に損益が悪化しました。
当年度9ヵ月間の営業利益には、2011年度に発生したタイの洪水による損害や損失に対する保険収益(純額)62億円が含まれています。なお、前年同期には、電池事業の長期性資産の減損321億円、エムスリー㈱株式の一部売却にともなう売却益128億円、タイの洪水による損害や損失に対する保険収益(純額)88億円、ならびに過去に引当を行った特許費用の戻し入れ益70億円が計上されていました。
MC分野は、前述の減損の計上に加え、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響などにより、前年同期に比べ大幅な損益悪化となりました。G&NS分野は、主にPS4TMのハードウエア及びソフトウエアの増収の影響により、前年同期に比べ大幅な損益改善となりました。IP&S分野は、主にコスト削減及び高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善により、前年同期に比べ大幅な増益となりました。HE&S分野は、コスト削減及び高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などにより、前年同期の損失に対し、当年度9ヵ月間では利益を計上しました。デバイス分野は、主に、前年同期に電池事業の長期性資産の減損321億円を計上したこと、及びイメージセンサーの増収の影響により、分野全体で大幅な損益改善となりました。映画分野は、「ホワイトハウス・ダウン」及び「アフター・アース」の劇場興行収入が想定を下回った前年同期に比べ、当年度9ヵ月間の劇場公開作品が好調だったことなどにより、分野全体で増益となりました。一方、前年同期にSPEが保有していた音楽出版カタログの売却益の計上があったこと、インドにおけるテレビネットワークの番組制作費が前年同期に比べ増加したこと、ならびに前述のテレビ番組制作が減収となったなどの減益要因もありました。音楽分野は、為替の好影響及び音楽制作におけるデジタルストリーミング配信売上へのシフトなどにより、分野全体で増益となりました。金融分野は、ソニー生命の一般勘定の運用損益の改善などにより、分野全体で増益となりました。
当年度9ヵ月間では、337億円(前年同期は261億円)の構造改革費用を営業費用として計上しました。
営業利益に含まれる持分法による投資損益は、前年同期の8億円の損失に対し、当年度9ヵ月間において37億円の利益となりました。この損益改善は、主に、インタートラスト・テクノロジー社の持分法投資損益の改善によるものです。
その他の収益(費用)(純額)は、前年同期の5億円の収益に対し、当年度9ヵ月間において201億円の費用を計上しました。これは主に、為替差損(純額)の増加及び投資有価証券売却益の減少によるものです。なお、前年同期の投資有価証券売却益には、㈱スカパーJSATホールディングス株式の売却益74億円が含まれていました。
税引前利益は、前年同期に比べ74億円増加し、1,463億円となりました。
法人税等は、当年度9ヵ月間において1,123億円を計上し、ソニーの実効税率は日本の法定税率を上回りました。これは、主に、当年度9ヵ月間に計上された税務上損金に算入されない営業権の減損によるものです。
当社株主に帰属する純損益は、前年同期の99億円の利益に対し、192億円の損失となりました。
* * * * *
為替変動とリスクヘッジ
下記の記載以外に、2014年6月26日に提出した前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。為替相場は変動していますが、リスクヘッジの方針についても前述の報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
当四半期の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ114.5円、143.0円と前年同期の平均レートに比べ米ドルは12.3%、ユーロは4.4%の円安となりました。
当四半期の連結売上高は、前年同期に比べ6.5%増加し、2兆5,667億円となりました。前年同期の為替レートを適用した場合は約0.3%の減少となりました。前年同期の為替レートを適用した場合の情報については、後述の注記をご参照ください。
連結営業利益は、前年同期の889億円の利益に対し、932億円増加し、1,821億円の利益となりました。前年同期の為替レートを適用した場合は、前年同期に比べ約899億円の増加となります。連結営業利益における為替の影響は、主にMC分野、G&NS分野、IP&S分野、HE&S分野及びデバイス分野において生じたものです。
前述の5分野毎の為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「業績等の概要」の分野別営業概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。
2013年度
第3四半期
2014年度
第3四半期
増減前年同期の
為替レート
を適用した
場合の増減
為替変動に
よる影響額
億円億円億円
MC分野売上高3,3324,290+28.7%+23%+183
営業利益6393+29億円+28億円+1
G&NS分野売上高4,5495,315+16.8%+8%+419
営業利益124276+152億円+282億円△130
IP&S分野売上高1,9812,010+1.5%△5%+134
営業利益121230+109億円+61億円+49
HE&S分野売上高4,0404,133+2.3%△5%+295
営業利益64253+189億円+280億円△91
デバイス分野売上高2,1132,929+38.6%+26%+262
営業利益(損失)△235545+781億円+600億円+181

なお、映画分野の売上高は前年同期比7.7%減少の2,066億円となりましたが、米ドルベースでは、約20%の減収でした。音楽分野の売上高は前年同期比13.1%増加の1,636億円となりましたが、前年同期の為替レートを適用した場合、約3%の増収でした。ソニーの金融分野は、その事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。
注:この章において、前年同期の為替レートを適用した場合の売上高は、当四半期の現地通貨建て月別売上高に対し、前年同期の月次平均レートを適用して計算した円建ての売上高を指しています。為替変動による営業利益(損失)への影響は、前年同期の為替レートを適用した売上高から、前年同期の為替レートを適用した売上原価ならびに販売費及び一般管理費を差し引いた形で算出されています。前年同期の為替レートを適用した場合の、売上原価、販売費及び一般管理費は、当四半期の現地通貨建て月別原価ならびに販売費及び一般管理費に対し、前年同期の月次平均レートを適用して計算した原価ならびに販売費及び一般管理費を指しています。映画分野ならびに音楽分野のSME及びSony/ATVにおいては、前年同期の為替レートを適用した金額が、米ドルベースとなっている場合もあります。前年同期の為替レートを適用した場合の売上高及び営業利益(損失)は、ソニーの連結財務諸表には反映されておらず、また米国会計原則にも則っていません。また、前年同期の為替レートを適用した場合の売上高及び営業利益(損失)は、米国会計原則に則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、前年同期の為替レートを適用した場合の売上高及び営業利益(損失)は、投資家の皆様にソニーの営業概況を理解いただくための有益な分析情報と考えています。
所在地別の業績
所在地別の業績は、企業のセグメント及び関連情報に関する開示にもとづく地域(顧客の所在国)別情報について、前述の「分野別営業概況」に含め関連付けて分析的に記載しています(「第4 経理の状況」四半期連結財務諸表注記『11 セグメント情報』参照)。
* * * * *
キャッシュ・フローの状況(当年度9ヵ月間)
営業活動によるキャッシュ・フロー:当年度9ヵ月間における営業活動による現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年同期比1,394億円(57.3%)増加し、3,829億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、前年同期の108億円の支払超過に対し、1,125億円の受取超過となりました。これは主に、前年同期に比べ、非資金調整項目(有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費、その他の営業損、繰延税額、ならびに持分法による投資損失)を加味した後の当期純利益が改善したことによるものです。加えて、棚卸資産が増加から減少へ転じたこと、その他の流動資産に含まれる部品組立業者との取引に関する未収入金の増加額が縮小したことなどのキャッシュ・フローを改善させる要因があった一方で、前年同期に比べ、支払手形及び買掛金の増加額が減少するなどのキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。
金融分野では2,782億円の受取超過となり、前年同期比172億円(6.6%)の増加となりました。この増加は、主にソニー生命における保有契約高の拡大にともなう保険料収入の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー:投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年同期比730億円(16.7%)減少し、3,638億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、467億円の支払超過となり、前年同期比5億円(1.2%)の支払の増加となりました。これは、主に固定資産や投資有価証券の売却にともなう収入が前年同期に比べ減少したことなどによるものです。当年度9ヵ月間の固定資産や投資有価証券の売却には、ソニー生命へのソニー㈱本社の土地の売却(この取引はセグメント間取引)、御殿山テクノロジーセンターの土地及び建物の一部売却ならびに㈱スクウェア・エニックス・ホールディングスの株式の売却が含まれます。
金融分野では3,171億円の支払超過となり、前年同期比736億円(18.8%)の支払の減少となりました。この減少は、主にソニー生命における投資及び貸付が前年同期に比べて減少したことに加え、投資有価証券の売却にともなう収入が前年同期に比べて増加したことによるものです。一方で、ソニー生命によるソニー㈱本社の土地の購入(この取引はセグメント間取引)といったキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。この取引は連結財務諸表では相殺消去されます。
金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの当年度9ヵ月間における合計*1は、前年同期の支払超過から1,228億円改善し、659億円の受取超過となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー:財務活動による現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年同期の、1,510億円の受取超過に対し、1,846億円の支払超過となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、2,815億円の支払超過となり、前年同期比2,568億円(1,041%)の支払の増加となりました。これは、主に前年同期に個人向け普通社債の発行を行ったことに加え、当年度9ヵ月間において、前年同期に比べ長期借入の返済額(純額)が増加したことによるものです。
金融分野では891億円の受取超過となり、前年同期比799億円(47.3%)の受取の減少となりました。これは、主にソニー生命における顧客預り金の増加幅が前年同期に比べて縮小したことによるものです。
現金・預金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2014年12月末の現金・預金及び現金同等物期末残高は9,335億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2014年12月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2013年12月末に比べ346億円(5.7%)増加し、6,429億円となりました。2014年3月末比では1,632億円(20.2%)の減少となりました。なお、ソニーではこの他に円換算で総額7,750億円の未使用の金融機関とのコミットメントラインを保持しており、十分な流動性を継続的に確保していると考えています。金融分野の2014年12月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2013年12月末に比べ496億円(20.6%)増加し、2,906億円となりました。2014年3月末比では502億円(20.9%)の増加となりました。
*1 ソニーは、その経営指標として用いる「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」を開示情報に含めています。この情報は、金融分野を除く事業が流動性の保持、借入金の返済、及び配当金の支払いに必要な資金を確保できるかを評価するために重要な情報と考えています。この情報は後述の要約キャッシュ・フロー計算書をもとに作成しています。これらのキャッシュ・フロー情報はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則によって要求されているものではなく、また米国会計原則に則って作成されているものではありません。金融分野の大部分を構成する、日本で上場している金融持株会社のSFHと傘下の子会社は独自に流動性を確保しているため、金融分野のキャッシュ・フローはこの情報に含まれていません。この情報は他の企業の開示情報と比較できない可能性があります。また、この指標は負債返済に必要な元本返済支出の控除は行っておらず、裁量支出に使用可能な残余キャッシュ・フローを表しているものではないという限界があります。したがって、ソニーはこの情報を連結キャッシュ・フロー計算書に対する補足情報として、投資や利用可能な融資枠、及び流動性に関する情報とあわせて開示しており、連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。
連結キャッシュ・フロー計算書と「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」の差異の照合調整表は以下のとおりです。
12月31日に終了した
9ヵ月間
2013年度2014年度
億円億円
連結キャッシュ・フロー計算書上の営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)2,4353,829
連結キャッシュ・フロー計算書上の投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)△4,368△3,638
△1,933191
控除:金融分野における営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)2,6102,782
控除:金融分野における投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)△3,907△3,171
消去*26679
金融分野を除く営業活動及び投資活動から得た(に使用した)連結キャッシュ・フローの合計△570659

*2 消去は主にセグメント間の配当金の支払いです。
* * * * *
要約キャッシュ・フロー計算書
金融分野
(単位:百万円)

項 目2013年度第3四半期
連結累計期間
(自 2013年4月1日
至 2013年12月31日)
2014年度第3四半期
連結累計期間
(自 2014年4月1日
至 2014年12月31日)
営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)261,020278,246
投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)△390,683△317,125
財務活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)169,04889,111
現金・預金及び現金同等物純増加額39,38550,232
現金・預金及び現金同等物期首残高201,550240,332
現金・預金及び現金同等物四半期末残高240,935290,564

金融分野を除くソニー連結
(単位:百万円)

項 目2013年度第3四半期
連結累計期間
(自 2013年4月1日
至 2013年12月31日)
2014年度第3四半期
連結累計期間
(自 2014年4月1日
至 2014年12月31日)
営業活動から得た(営業活動に使用した)現金・預金及び現金同等物(純額)△10,849112,516
投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)△46,125△46,665
財務活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)△24,673△281,516
為替相場変動の現金・預金及び現金同等物に対する影響額65,14952,465
現金・預金及び現金同等物純減少額△16,498△163,200
現金・預金及び現金同等物期首残高624,811806,134
現金・預金及び現金同等物四半期末残高608,313642,934

ソニー連結
(単位:百万円)

項 目2013年度第3四半期
連結累計期間
(自 2013年4月1日
至 2013年12月31日)
2014年度第3四半期
連結累計期間
(自 2014年4月1日
至 2014年12月31日)
営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)243,508382,932
投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)△436,808△363,790
財務活動から得た(財務活動に使用した)現金・預金及び現金同等物(純額)151,038△184,575
為替相場変動の現金・預金及び現金同等物に対する影響額65,14952,465
現金・預金及び現金同等物純増加・減少(△)額22,887△112,968
現金・預金及び現金同等物期首残高826,3611,046,466
現金・預金及び現金同等物四半期末残高849,248933,498

(2)対処すべき課題
下記の変更以外に、2014年6月26日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「対処すべき課題」に記載した内容から重要な変更はありません。変更点は下線部で示してあります。なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において判断したものです。
ソニーのマネジメントが認識している経営課題とそれに対処するための取り組みは以下のとおりです。
米国では原油価格の下落による力強い成長が、日本では金融緩和や消費税率再引き上げの延期による緩やかな景気拡大がそれぞれみられるものの、他方で、原油価格の下落と地政学的緊張によるロシア経済の急減速や、中国における成長の鈍化とそれにともなうアジア新興国の外需の弱まりといった不安要因があり、全体として景気の先行きは不透明な状況です。
ソニーをとりまく経済環境は、主にエレクトロニクス事業における、競合他社からの価格低下の圧力、一部の主要製品における市場の縮小及び商品サイクルの短期化といった要因によって不透明性が増しています。このような厳しい環境において、ソニーのエレクトロニクス5分野合計の営業損益は2011年度から3年連続で損失を計上しました。
これらの状況の下、ソニーは2015年2月18日に中期経営方針を発表し、株主資本利益率(以下「ROE」)を最も重視する経営指標に据え、中期経営計画の最終年度となる2017年度に、ソニーグループ連結で、ROE10%以上、営業利益5,000億円以上を達成することを目標とし、以下の基本方針のもと、高収益企業への変革を進めていきます。
事業運営の基本方針
・ 一律には規模を追わない収益性重視の経営
・ 各事業ユニットの自立と株主視点を重視した経営
・ 事業ポートフォリオの観点から各事業の位置づけを明確化
事業の特性、市場環境などを踏まえ、各事業を、事業ポートフォリオの観点から「成長牽引領域」、「安定収益領域」、「事業変動リスクコントロール領域」と位置付けた上で、ソニーグループ全体のROE目標に紐づいた、事業ごとの投下資本利益率(以下「ROIC」)の目標値を設定し、収益性を重視した事業運営を行います。
(1)成長牽引領域:
デバイス分野、ゲーム&ネットワークサービス分野、映画分野、音楽分野を、2015年度から3年間のソニーの利益成長を牽引していく領域と位置付け、成長に向けた施策の実行と積極的な資本投下を行い、それによって売上成長と利益拡大をめざしていきます。
デバイス分野においては、CMOSイメージセンサー増産のための設備投資や技術開発投資により、競争力のさらなる強化を図ります。ゲーム&ネットワークサービス分野ではプレイステーション®プラットフォームと「プレイステーション®ネットワーク」の顧客数の拡大に注力します。映画分野では、メディアネットワーク事業において、視聴率の向上、放送チャネルの拡充により視聴者の拡大を図るとともに、テレビ番組制作事業の強化、映画事業の収益性の改善を行っていきます。音楽分野においては、成長するストリーミング市場への注力などを進めていきます。
(2)安定収益領域:
イメージング・プロダクツ&ソリューション分野、ビデオ&サウンド事業は安定収益領域として、着実な利益計上とキャッシュ・フロー創出を重視した経営を行います。
この領域では、市場全体の成長は見込めないものの、コモディティ化しない一定規模の市場において、ソニーは高性能ミラーレス一眼カメラやハイレゾリューション・オーディオなどに代表される新しい付加価値の提案を引き続き行っていきます。既存の技術アセットを活用し大規模な投資は行わず、固定費の最適化や在庫コントロールの強化により、利益と投下資本効率の最大化を図ります。
(3)事業変動リスクコントロール領域:
テレビ事業、モバイル・コミュニケーション分野においては、事業の変動性や競争環境を踏まえ、リスクの低減と利益の確保を最優先とした事業運営を行います。
価格競争が激しく、コモディティ化が進んでいる市場ではあるものの、ソニーの技術やデバイスにより、商品のさらなる付加価値向上を図ります。また、地域や商品を厳選することにより、投下資本を抑え、安定した利益を確保できる事業構造を構築します。加えて、事業環境の変化に応じ、他社との提携などの選択肢を継続して検討していきます。
なお、金融分野については、生命保険、損害保険、銀行、介護の各事業において、今後も高品質なサービスを提供していくことで、高い顧客満足度を実現し、持続的かつ安定的な業容拡大と利益成長をめざします。
また、2018年度以降も安定的に高収益を生み出すため、既にゲーム事業や金融分野で成功している安定した顧客基盤やプラットフォームをベースとした「リカーリング型事業モデル」を、ネットワークサービス事業、映画分野におけるメディアネットワーク事業、及びデジタルイメージング事業における交換レンズ、アクセサリーなどにおいてさらに強化していきます。
新規領域としての医療事業では、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社における外科用硬性内視鏡システムなどの開発を順調に進めています。
新しい組織及び人事の体制
高収益企業への変革を着実に実施するため、組織体制と経営チームの再編を行います。
各事業において、①結果責任・説明責任の明確化、②持続的な利益創出を念頭に置いた経営、③意思決定の迅速化と事業競争力の強化を徹底するため、現在ソニー株式会社内の事業部門となっている事業について、順次分社化を実施していく方針です。
グローバル環境計画「Road to Zero」
ソニーは、2010年4月に環境計画「Road to Zero」を発表しました。ソニーは、持続可能な社会の実現をめざし、2050年までに自らの事業活動及び製品のライフサイクルを通して、「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げています。ソニーは、継続的なイノベーションとオフセット・メカニズムの活用を通じて、この長期ビジョン達成をめざします。環境計画「Road to Zero」においては、以下の4つの目標を柱とした総合的なロードマップを設定しています。
・ 気候変動について、エネルギーの使用を削減し、温室効果ガスの排出ゼロをめざす。
・ 資源について、重点資源の新材利用ゼロをめざし、廃棄物を最小化し、水を適正利用する。また回収リサイクルを継続推進する。
・ 化学物質について、予防的措置を通じた化学物質の環境に対するリスクの最小化と特定の物質の削減・代替推進を行う。
・ 生物多様性について、事業活動と地域社会貢献活動を通じて、生物多様性の維持・回復を推進する。
上記目標のうち、気候変動については具体的には下記を含む中期目標を設定しています。
・ ソニーグループ全体の事業所から排出されるCO2換算温室効果ガスの絶対量を、2015年度までに2000年度比で30%削減をめざす。
・ 製品の消費電力を2015年度までに2008年度比で一台あたり30%削減をめざす。
グローバル環境計画「Road to Zero」及び環境への取り組みの詳細は、ソニーのCSRレポート(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/)をご参照ください。
(3)研究開発活動
2014年6月26日に提出した前事業年度の有価証券報告書に記載した内容からの変更点は以下のとおりです。これ以外に重要な変更はありません。
2014年4月、システム開発とデバイス開発のさらなる連携強化を通して顧客価値創造を加速させることを目的に、R&Dプラットフォームとソフトウェア設計本部を統合してRDSプラットフォームとし、システム研究開発本部とデバイス&マテリアル研究開発本部に再編しました。
2014年度第3四半期連結累計期間の連結研究開発費は、3,403億円でした。
(4)従業員数
当第3四半期連結累計期間末の提出会社の従業員数は、前連結会計年度末の14,642名に比べて2,197名減少し、12,445名となりました。
この主な理由は、テレビ事業の分社化、PC事業の売却及び構造改革によるものです。なお、連結会社全体における著しい人員の増減はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
下記の金融機関とのコミットメントラインにかかる記載以外に、2014年6月26日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「流動性と資金の源泉」に記載した内容から重要な変更はありません。変更点は下線部で示してあります。なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において判断したものです。
ソニーは通常は普通社債、CPに加え、シンジケートローンを含めた銀行借入などの手段を通じて調達を行っています。市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2014年12月末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で7,750億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる4,750億円の円貨コミットメントライン(2016年11月満期)、日本の銀行団と結んでいる1,500百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2018年12月満期)、外国の銀行団と結んでいる1,010百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2015年4月満期)であり、全て当社及び当社の連結子会社であるSony Global Treasury Services Plcが借入主体となっています。これらの目的は、金融・資本市場の混乱期においても機動的・安定的な資金調達を可能とし十分な流動性を確保することです。