有価証券報告書-第90期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 14:26
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159項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
(1)経営成績等の状況の概要
① 業績の概要
当期における世界経済は、約3年にわたる新型コロナウイルス感染拡大の終息により、経済活動が正常化する一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ紛争等の地政学リスクの高まりが継続している状況です。また、先進国ではインフレが落ち着きつつあるものの、米欧での政策金利は依然高止まりし、さらには中国経済の減速等もあり、引き続き世界情勢は先行き不透明な状況が続いています。
当社グループが注力する自動車関連市場では、半導体不足も緩和されたことから自動車生産や販売は回復基調が続きました。そのような中、市場では電気自動車(EV)へのシフトが継続し、自動運転技術についても進化を続けていること等から、今後も需要は継続し、底堅く推移することが見込まれます。
こうした中、当社グループは車載関連ビジネスの受注活動において、ビジネスの核となるパートナー戦略にてターゲット顧客への提案活動を一層強化しており、中期事業計画完了時(2025年3月期)の受注を確保いたしました。モバイルオーディオ事業においては、当社の高い品質を武器に事業展開を行っており、アクチュエータについて受注を確保し、イヤホンドライバや車載用ヘッドホンと併せて、通期で利益を確保しました。また、他社との共同開発を含めた協業や研究開発型ビジネスは、将来性を見極めながら推進しております。
生産体制面では、米中対立の先鋭化も視野に入れ、ベトナム・ビンズオン工場にてスピーカ生産を開始する準備を行っていますが、新機種への対応も勘案し、2025年度上期からスピーカの量産を開始予定です。加えて地産地消推進の観点から、欧州・ハンガリーの生産子会社において、2024年度下期からスピーカ生産を開始予定です。本施策は物流面でのCO2削減にも寄与します。また、機械化・省人化・自動化による製造効率改善や、競争力向上に向けた部材調達の外部購入・内製化比率の最適化にも取り組んでおります。高騰した原材料費・部材費や物流費への対応に関しては、継続的な原価改善と固定費圧縮に加え、グローバルロジスティクス体制を強化し、需要動向を的確に捉え、適切な水準での在庫管理に取り組んでおります。また、昨今の中東情勢悪化の影響から一部の海上運賃が高騰し、当初の想定よりもコストアップしている案件も発生しておりますが、多くのお客様からコストの価格転嫁のご理解をいただいていることから、十分コントロール可能な体制となっており、市況に左右されにくい収益体質が構築できております。
以上の結果、当期連結業績における売上高は122,447百万円(前期比0.9%増)、営業利益は4,412百万円(前期比80.4%増)、経常利益は4,305百万円(前期比84.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,304百万円(前期比171.7%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
[スピーカ事業]
自動車関連市場は、販売回復基調が続く中、第1四半期において一部顧客においてサプライチェーン混乱時に積み増した在庫調整に伴う出荷数量の減少があったものの、パートナー戦略にてターゲット顧客への販売活動を推進した結果、売上高は99,175百万円(前期比0.1%増)となりました。損益面では、一過性の空輸費用の減少ならびに継続的な原価改善策等の結果、営業利益は4,218百万円(前期比110.5%増)となりました。
[モバイルオーディオ事業]
民生用アクチュエータが、一部出荷数量の調整があったものの通期で受注を確保し、イヤホンドライバや車載用ヘッドホンの販売に注力した結果、売上高は14,197百万円(前期比3.4%減)となりました。損益面では、営業利益は607百万円(前期比49.6%減)となりました。
[その他事業]
小型音響部品事業や「フォステクス」ブランドの製品を含むその他事業は、接近通報音用スピーカ等の販売が堅調だったこともあり、売上高は9,074百万円(前期比20.1%増)となりました。一方、損益面では、製造体制の最適化を図るため、当社が小型音響部品事業について製造委託している南華天星電子(深圳)有限公司から当社中国工場への生産移管計画に関わる費用が発生したことから、412百万円(前期は営業損失762百万円)の営業損失となりました。
(注)当期より、上記セグメント別の売上高は、セグメント間取引消去後の数値で記載しています。
② 販売の状況
当連結会計年度における販売の状況は下記のとおりです。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
スピーカ事業99,1750.1%
モバイルオーディオ事業14,197△3.4%
その他事業9,07420.1%
合計122,4470.9%

スピーカ事業 車載用スピーカ・スピーカシステム、薄型テレビ用スピーカ・スピーカシステムや、オーディオ用等のスピーカ製品の製造・販売
モバイルオーディオ事業 携帯電話用ヘッドセット、ヘッドホン、小型スピーカ、振動アクチュエータ等のモバイルオーディオ製品の製造・販売
その他事業 警報音用等のブザー・サウンダ等の小型音響部品、「フォステクス」ブランドの製品の製造・販売並びに物流サービス等の提供
(注)1 受注高、受注残高及び生産高につきましては、主として見込生産方式を採用しているため、記載を省略しています。
2 セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループ(以下「当社」)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における今後又は将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社が判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発債務の開示、ならびに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測が必要とされます。当社経営陣は、継続的に、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づきその見積り・予測を評価します。その様な評価の結果は、他の方法からは即時に判定しえない資産・負債の簿価あるいは収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、以下の重要な会計方針が、当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
a 棚卸資産
収益性の低下による簿価切り下げの方法により棚卸資産を評価しており、一定の期間を超えて受払いがなかった棚卸資産について、その滞留期間に応じて規則的に帳簿価額を切り下げる処理を行っております。顧客と連携して製品の需要予測を行うことで在庫数量の管理を行っておりますが、製品需要はその販売市場における景気や消費者動向等の外部環境の影響を強く受けることから、滞留在庫の評価には多くの不確実性を伴い、受注減や過剰在庫など、棚卸資産の評価に影響を与える事象が発生する可能性があります。
b 投資有価証券
長期的な取引関係の維持等のために、特定の金融機関及び取引先等に対する非支配持分を所有しています。これらの株式は、価格変動性が高い公開会社の株式です。公開会社への投資の場合、決算日における株価が取得価額を50%以上下回った場合及び2期連続して取得価額を30%以上下回り、かつ、回復する見込みがあると認められない場合に評価損を計上しています。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
c 貸倒引当金
顧客等の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しています。顧客等の財務状況が悪化しその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
d 固定資産の減損
固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、この前提条件に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
e 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得を検討することによって回収可能性のある金額を検証しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現困難と判断した場合は、相応の評価性引当額を計上しています。これは財務諸表上、法人税等調整額として表示され、当期純利益を減額させることとなります。
② 財政状態の分析
総資産は、主に現預金の増加により前連結会計年度末に比べ9,876百万円増加して102,747百万円となりました。
主な増減の内訳ですが、流動資産は、現預金の増加等により、5,032百万円増加の78,925百万円となりました。また、固定資産は4,844百万円増加の23,822百万円となりました。
負債は、主に調達構造の見直しに向けた長期借入金の増加により前連結会計年度末に比べ2,072百万円増加して38,428百万円となりました。純資産は、主に利益剰余金、為替換算調整勘定の増加により前連結会計年度末に比べ 7,804百万円増加して64,319百万円となり、また自己資本比率は前連結会計年度末比1.4ポイント増加の56.5%となりました。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析
(1)経営成績等の状況の概要① 業績の概要 をご参照下さい。
④ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,387百万円増加し、当連結会計年度末には17,034百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は、棚卸資産の減少等により15,428百万円(前年同期は、354百万円の資金の増加)となりました。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の減少は、設備投資等により8,539百万円(前年同期1,321百万円の資金の減少)となりました。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の減少は、短期借入金の減少等により4,440百万円(前年同期は、1,776百万円の資金の増加)となりました。
当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりです。
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
2024年
3月期
自己資本比率66.5%65.6%54.7%55.0%56.5%
時価ベースの自己資本比率31.2%37.6%18.6%27.5%27.4%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.67.0△1.049.21.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ86.310.9△163.60.723.9

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務指標により計算しています。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しています。
※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
a 資本政策の基本方針
当社は、持続的な成長による企業価値及び株主価値の向上を図るため、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを考慮し、資本政策を実施します。
また、適時適切な情報開示や投資家との積極的な対話等のIR活動を通じて資本コストの低減に努めると同時に、資本と負債の最適な構成に鑑み資本効率を高めていきます。
b 利益配分に関する基本方針
当社は、利益配分について、企業価値の向上を経営課題としつつ、業績に対応した利益配分と長期的な視野に立った内部留保の充実との調和を図りながら、総合的に株主利益の向上を図ることを基本的方針とし、連結ベースでの配当性向30%以上を目標としています。
C 資金の流動性
2025年3月期の設備投資は約50億円、研究開発費は約38億円を予定しており、所要資金については自己資金及び借入金を充当する予定です。また、(連結貸借対照表関係)及び(貸借対照表関係)に記載のとおり、コミットメントライン契約を締結しております(当連結会計年度末融資枠設定金額14,000百万円、提出日現在融資枠設定金額14,000百万円、当連結会計年度末借入実行残高1,503百万円)。
事業展開に伴う所要資金に対する機動的な対応のため、また不確実性が高まる環境下での不測の事態に備えて、十分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めていません。
⑥ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当連結会計年度の連結業績目標の達成状況は以下のとおりです。
当社は、中期財務目標として売上高1,200億円、営業利益50億円、営業利益率4.2%を目標としています。当期は、自動車業界における半導体不足の緩和、EVの生産・販売拡大等により回復基調で推移し、車載ビジネスにおける最重要施策として位置付けているパートナー戦略をはじめ、適切な在庫管理・原価改善等の推進により増収・増益を確保し収益改善が進みました。しかしながら営業利益率は3.6%と目標に届いていないことから、中期財務目標達成を確実にするため、今後も「攻め」の施策を講じていきます。また、様々な危機に直面する中で、対処すべき課題を明確にし、構造改革を含め高まる不確実性に対しての即応体制を引き続き強化し、中期事業計画を着実に実行することで拡大するビジネスチャンスを確実に捉え、企業価値・株主価値の向上に努めていきます。
2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
売上高(百万円)107,29885,22091,106121,338122,447
営業利益(百万円)2,0640.7△7,7572,4454,412
営業利益率(%)1.90.0-2.03.6

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