有価証券報告書-第80期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、売上債権増加22億3千7百万円などにより、248億6千8百万円(前期末比24億2千4百万円の増加)となりました。
固定資産につきましては、有形固定資産増加11億9千4百万円、時価上昇に伴う投資有価証券増加3億6千5百万円などにより、124億2千2百万円(前期末比15億4千6百万円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、372億9千万円(前期末比39億7千1百万円の増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、仕入債務増加10億7千5百万円、1年内返済予定の長期借入金増加16億円などにより、130億3千4百万円(前期末比29億5千2百万円の増加)となりました。
固定負債につきましては、長期借入金の減少16億円などにより、9億7千2百万円(前期末比14億2千9百万円の減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、140億6百万円(前期末比15億2千3百万円の増加)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益23億3千7百万円、その他有価証券評価差額金増加2億5千3百万円、為替換算調整勘定増加1億5千8百万円、剰余金の配当4億2百万円などにより、232億8千4百万円(前期末比24億4千8百万円の増加)となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
<車載通信機器>業量増に伴う売掛債権及び棚卸資産の増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加16億3千1百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、187億2千3百万円(前期末比23億9千9百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額14億3千2百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司、ベトナム生産子会社であるYOKOWO VIETNAM CO., LTD.における量産設備等の導入であります。
<回路検査用コネクタ>業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加8億6千7百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、53億5千万円(前期末比11億8千1百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額7億9千3百万円)のうち主なものは、半導体検査用治具の受注拡大及び短納期化に対応するための日本国内生産拠点及びマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.における各種設備の新規投資であります。
<無線通信機器>業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加5億7千7百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、43億2千1百万円(前期末比9億5千6百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額5億4千7百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司やマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.におけるファインコネクタ事業の量産設備等の更新及び増設、メディカル・デバイス事業の販売拡大に対応した日本国内生産拠点における量産設備等の増設であります。
(2) 経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
当連結会計年度における世界経済は、法人税減税による企業収益改善や好調が続く消費・雇用情勢を受けた米国経済の順調な推移、欧州経済の底堅さや、海外需要の回復を背景とした輸出拡大による中国経済の安定的な拡大などから、緩やかな成長を続けました。一方で、保護主義的な通商政策の広がりや地政学的リスクの高まりなどが世界経済の重石となる懸念も強く、景気の先行きは予断を許さない状況です。
わが国におきましては、海外需要の拡大により輸出が増加基調となったことから、輸出企業を中心に業績改善・設備投資拡大が広がりました。求人倍率の上昇は雇用条件の改善を通じて個人消費の持ち直しへと波及する一方で、多くの業種で人手不足が深刻な状況に陥りつつあり、生産性の飛躍的向上の実現が急務となっております。
当社グループの主要市場である自動車市場、半導体検査市場、携帯端末市場におきましては、IoTに続いてADAS/自動運転、5G(第5世代移動通信システム)の実用化に向けた製品/技術開発競争が、新たな競合関係や合従連衡の動きとともに大きな潮流となっております。
このような状況の中、当社グループは、質の高い本格成長を期し、経営基本方針に掲げる3つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル)の推進に引き続き取り組みました。特に、当期は引き続きプロセスイノベーションによる収益性の向上を最重要テーマと定め、車載通信機器セグメントにおける中国工場からベトナム工場へのさらなる生産移管拡大やEMS(製造受託会社)の積極活用によるファブライト化、回路検査用コネクタセグメントにおけるマレーシア工場での新生産ライン構築による生産性向上を推進いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、すべてのセグメントが前期比で増収となったことにより、519億1千9百万円(前期比+17.8%)と、4期連続で過去最高の連結売上高を更新いたしました。営業損益につきましては、車載通信機器セグメントが前期比で減益となりましたが、回路検査用コネクタ及び無線通信機器の両セグメントが前期比で大幅な増益となったことから、31億3千5百万円の利益(前期比+24.6%)となりました。経常損益につきましては、前期における為替差益計上に対し、当期は円高による為替差損3億5百万円を計上したものの、営業増益により、29億1千1百万円の利益(前期比+11.6%)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、製品保証引当金戻入額及び未払金取崩益など特別利益1億7千5百万円を計上した一方、税金費用負担率の正常化に伴う税金費用の増加などにより、23億3千7百万円の利益(前期比△1.9%)となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の測定方法にて組み替えた数値にて比較しております。
<車載通信機器>当セグメントの主要市場である自動車市場は、アセアン市場においては安定した需要がみられたものの、米国市場においては需要が頭打ちとなったことから新車販売台数が前年を下回り、中国市場においては成長の鈍化傾向がみられました。国内におきましては、軽自動車の反動増により、新車販売台数は前年を上回りました。
このような状況の中、主力製品であるシャークフィンアンテナやGPSアンテナをはじめとする自動車メーカー向けアンテナは、国内・海外ともに販売が伸長し、前期を上回りました。また、国内向けを主とする製品については、ETC車載アンテナはETC2.0対応特需の反動減となったものの、フィルムアンテナは前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は362億5千6百万円(前期比+13.2%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、中国において製造要員確保・定着率向上のための賃金引上げなどで労務費が膨らんだほか、新規採用要員比率上昇に伴う生産性低下や部品調達遅れなどから航空便を多用し、製品輸送費用が大幅増となったことなどにより、8千6百万円の利益(前期比△92.8%)となりました。
今後は、自動運転/5Gなど新規分野における、より先進的かつ付加価値の高い戦略製品の開発・投入を加速しつつ、中国/アセアン/欧州市場でのビジネス拡大や新規顧客獲得活動など、さらなる事業拡大と“重層化”を引き続き推進いたします。また、当セグメント最大の課題である生産拠点のオペレーション正常化を急ピッチで進めるとともに、中国工場からベトナム工場への生産移管拡大、EMS(製造受託会社)やアライアンスの積極活用により、収益構造再建を進めてまいります。
<回路検査用コネクタ>当セグメントの主要市場である半導体検査市場は、パソコン向けの低迷、タブレット向けの減少や、スマートフォン向けの成長鈍化の一方で、NAND/DRAMなどメモリー需要の増加により、全体としては成長が継続するものとみられております。
このような状況の中、当社グループの主力製品であるBGAソケット等半導体後工程検査用治具の販売は、旺盛な受注増と円安効果により、前期を大幅に上回りました。また、高周波電子部品検査用MEMSプローブカードを戦略製品とする前工程検査用治具の販売も、積極的な拡販活動により、前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は95億3百万円(前期比+38.1%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、増収による増益に加え、比較的利益率の高い製品の比率上昇やマレーシア工場生産比率引上げによると原価低減活動、円安メリットなどにより、17億9千1百万円の利益(前期比+159.8%)となりました。
今後は、クラウドコンピューティング/車載/IoTといった分野での半導体需要増に的確に対応した戦略製品の開発・投入、投資効率の高い新生産ラインの導入を含めた国内/マレーシア工場での設備投資拡大および原価低減活動の継続強化、高周波電子部品検査用MEMSプローブカードを中核に据えた前工程検査領域での事業拡大を強力に推進いたします。また、積極的な提案活動による新規顧客の獲得と併せて、顧客ニーズに的確に応えるソリューション提供体制拡充による信頼関係強化により、さらに高収益な事業構造・安定的な事業運営への進化に努めてまいります。
<無線通信機器>当セグメントの主要市場は携帯端末市場及びPOS端末市場であり、携帯端末市場は、スマートフォン/タブレット端末が世界的な飽和傾向により伸びが鈍化しております。一方、POS端末市場は、物流/製造を始め幅広い業界での利用拡大が続いており、端末機器の多様化・高機能化とともに着実な成長が見込まれております。
このような状況の中、微細スプリングコネクタを中核製品とするファインコネクタ事業におきましては、POS端末メーカー向け販売の堅調な推移に加え、携帯端末メーカー向けの販売が前期を上回った結果、売上高は前期を上回りました。
当セグメントに含めておりますメディカル・デバイス事業につきましても、好調な部品販売に加え、海外顧客向けガイドワイヤユニット販売の本格化などにより、売上高は前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、61億5千8百万円(前期比+19.3%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、増収による増益に加え、比較的利益率の高い製品の比率上昇などにより、12億4千万円の利益(前期比+108.5%)となりました。
今後は、ファインコネクタ事業につきましては、防水・二体成形など要素技術の拡大・進化を推進するとともに、POS端末市場におけるさらなるシェア拡大、光学機器/車載分野におけるビジネス拡大、台湾など成長市場での営業/技術サポート体制強化により、事業の拡大と製品・市場・顧客の“重層化”に引き続き取り組んでまいります。
メディカル・デバイス事業につきましては、最先端の生産設備導入による微細精密部品の生産能力増強と、ガイドワイヤ/カテーテルユニット製品の拡販推進によるさらなる事業成長を目指すとともに、生産拠点の海外展開や外注活用の拡大など、事業拡大を見据えたサプライチェーンの“重層化”も推進してまいります。
(事業セグメント別連結売上高 前期比較) (単位:百万円、%)
c. 目標とする経営指標の達成状況等
前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社グループは、「ミニマム8(エイト)」として、「売上高成長率・売上高営業利益率・自己資本利益率を8%以上確保」の達成を目指しております。
当連結会計年度においては、売上高成長率は3期連続、自己資本利益率(ROE)は2期連続でそれぞれ10%以上を達成し、「8%以上確保」の安定的実現が軌道に乗りつつある一方、売上高営業利益率については、前期(平成29年3月期)は5.7%、当連結会計年度は6.0%と、8%に近づきつつありますが、依然として未達成の状況にあります。
当社グループは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)中期的な会社の経営戦略」に記載の新中期経営計画の重点施策及び同「(4)会社の対処すべき課題」に記載の重点取組み項目を着実に遂行することにより、新中期経営計画期間中における「ミニマム8」の達成を目指してまいります。
② 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
① 現金及び現金同等物
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、45億9千6百万円(前期比12億2千1百万円の減少)となりました。
② 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加23億5千9百万円、たな卸資産の増加14億8千万円などの減少要因の一方で、税金等調整前当期純利益30億1千2百万円、減価償却費18億8千万円、仕入債務の増加11億3千万円などの増加要因により、19億8千万円の収入(前期比13億4百万円の収入減少)となりました。
③ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出22億8千5百万円、無形固定資産の取得による支出2億7千7百万円などの減少要因により、25億1千8百万円の支出(前期比6億1千6百万円の支出増加)となりました。
④ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出2億8百万円、配当金の支払額4億2百万円などの減少要因により、5億4千9百万円の支出(前期は3億9千3百万円の収入)となりました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、中国・ベトナムでの二大主力生産拠点体制の確立やマレーシア生産子会社の量産設備増強等の設備投資を継続的に実施しており、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は45億9千6百万円と、前期末比12億2千1百万円減少いたしました。
(1) 財政状態の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、売上債権増加22億3千7百万円などにより、248億6千8百万円(前期末比24億2千4百万円の増加)となりました。
固定資産につきましては、有形固定資産増加11億9千4百万円、時価上昇に伴う投資有価証券増加3億6千5百万円などにより、124億2千2百万円(前期末比15億4千6百万円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、372億9千万円(前期末比39億7千1百万円の増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、仕入債務増加10億7千5百万円、1年内返済予定の長期借入金増加16億円などにより、130億3千4百万円(前期末比29億5千2百万円の増加)となりました。
固定負債につきましては、長期借入金の減少16億円などにより、9億7千2百万円(前期末比14億2千9百万円の減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、140億6百万円(前期末比15億2千3百万円の増加)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益23億3千7百万円、その他有価証券評価差額金増加2億5千3百万円、為替換算調整勘定増加1億5千8百万円、剰余金の配当4億2百万円などにより、232億8千4百万円(前期末比24億4千8百万円の増加)となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
<車載通信機器>業量増に伴う売掛債権及び棚卸資産の増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加16億3千1百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、187億2千3百万円(前期末比23億9千9百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額14億3千2百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司、ベトナム生産子会社であるYOKOWO VIETNAM CO., LTD.における量産設備等の導入であります。
<回路検査用コネクタ>業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加8億6千7百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、53億5千万円(前期末比11億8千1百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額7億9千3百万円)のうち主なものは、半導体検査用治具の受注拡大及び短納期化に対応するための日本国内生産拠点及びマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.における各種設備の新規投資であります。
<無線通信機器>業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加5億7千7百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、43億2千1百万円(前期末比9億5千6百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額5億4千7百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司やマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.におけるファインコネクタ事業の量産設備等の更新及び増設、メディカル・デバイス事業の販売拡大に対応した日本国内生産拠点における量産設備等の増設であります。
(2) 経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
当連結会計年度における世界経済は、法人税減税による企業収益改善や好調が続く消費・雇用情勢を受けた米国経済の順調な推移、欧州経済の底堅さや、海外需要の回復を背景とした輸出拡大による中国経済の安定的な拡大などから、緩やかな成長を続けました。一方で、保護主義的な通商政策の広がりや地政学的リスクの高まりなどが世界経済の重石となる懸念も強く、景気の先行きは予断を許さない状況です。
わが国におきましては、海外需要の拡大により輸出が増加基調となったことから、輸出企業を中心に業績改善・設備投資拡大が広がりました。求人倍率の上昇は雇用条件の改善を通じて個人消費の持ち直しへと波及する一方で、多くの業種で人手不足が深刻な状況に陥りつつあり、生産性の飛躍的向上の実現が急務となっております。
当社グループの主要市場である自動車市場、半導体検査市場、携帯端末市場におきましては、IoTに続いてADAS/自動運転、5G(第5世代移動通信システム)の実用化に向けた製品/技術開発競争が、新たな競合関係や合従連衡の動きとともに大きな潮流となっております。
このような状況の中、当社グループは、質の高い本格成長を期し、経営基本方針に掲げる3つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル)の推進に引き続き取り組みました。特に、当期は引き続きプロセスイノベーションによる収益性の向上を最重要テーマと定め、車載通信機器セグメントにおける中国工場からベトナム工場へのさらなる生産移管拡大やEMS(製造受託会社)の積極活用によるファブライト化、回路検査用コネクタセグメントにおけるマレーシア工場での新生産ライン構築による生産性向上を推進いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、すべてのセグメントが前期比で増収となったことにより、519億1千9百万円(前期比+17.8%)と、4期連続で過去最高の連結売上高を更新いたしました。営業損益につきましては、車載通信機器セグメントが前期比で減益となりましたが、回路検査用コネクタ及び無線通信機器の両セグメントが前期比で大幅な増益となったことから、31億3千5百万円の利益(前期比+24.6%)となりました。経常損益につきましては、前期における為替差益計上に対し、当期は円高による為替差損3億5百万円を計上したものの、営業増益により、29億1千1百万円の利益(前期比+11.6%)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、製品保証引当金戻入額及び未払金取崩益など特別利益1億7千5百万円を計上した一方、税金費用負担率の正常化に伴う税金費用の増加などにより、23億3千7百万円の利益(前期比△1.9%)となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の測定方法にて組み替えた数値にて比較しております。
<車載通信機器>当セグメントの主要市場である自動車市場は、アセアン市場においては安定した需要がみられたものの、米国市場においては需要が頭打ちとなったことから新車販売台数が前年を下回り、中国市場においては成長の鈍化傾向がみられました。国内におきましては、軽自動車の反動増により、新車販売台数は前年を上回りました。
このような状況の中、主力製品であるシャークフィンアンテナやGPSアンテナをはじめとする自動車メーカー向けアンテナは、国内・海外ともに販売が伸長し、前期を上回りました。また、国内向けを主とする製品については、ETC車載アンテナはETC2.0対応特需の反動減となったものの、フィルムアンテナは前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は362億5千6百万円(前期比+13.2%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、中国において製造要員確保・定着率向上のための賃金引上げなどで労務費が膨らんだほか、新規採用要員比率上昇に伴う生産性低下や部品調達遅れなどから航空便を多用し、製品輸送費用が大幅増となったことなどにより、8千6百万円の利益(前期比△92.8%)となりました。
今後は、自動運転/5Gなど新規分野における、より先進的かつ付加価値の高い戦略製品の開発・投入を加速しつつ、中国/アセアン/欧州市場でのビジネス拡大や新規顧客獲得活動など、さらなる事業拡大と“重層化”を引き続き推進いたします。また、当セグメント最大の課題である生産拠点のオペレーション正常化を急ピッチで進めるとともに、中国工場からベトナム工場への生産移管拡大、EMS(製造受託会社)やアライアンスの積極活用により、収益構造再建を進めてまいります。
<回路検査用コネクタ>当セグメントの主要市場である半導体検査市場は、パソコン向けの低迷、タブレット向けの減少や、スマートフォン向けの成長鈍化の一方で、NAND/DRAMなどメモリー需要の増加により、全体としては成長が継続するものとみられております。
このような状況の中、当社グループの主力製品であるBGAソケット等半導体後工程検査用治具の販売は、旺盛な受注増と円安効果により、前期を大幅に上回りました。また、高周波電子部品検査用MEMSプローブカードを戦略製品とする前工程検査用治具の販売も、積極的な拡販活動により、前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は95億3百万円(前期比+38.1%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、増収による増益に加え、比較的利益率の高い製品の比率上昇やマレーシア工場生産比率引上げによると原価低減活動、円安メリットなどにより、17億9千1百万円の利益(前期比+159.8%)となりました。
今後は、クラウドコンピューティング/車載/IoTといった分野での半導体需要増に的確に対応した戦略製品の開発・投入、投資効率の高い新生産ラインの導入を含めた国内/マレーシア工場での設備投資拡大および原価低減活動の継続強化、高周波電子部品検査用MEMSプローブカードを中核に据えた前工程検査領域での事業拡大を強力に推進いたします。また、積極的な提案活動による新規顧客の獲得と併せて、顧客ニーズに的確に応えるソリューション提供体制拡充による信頼関係強化により、さらに高収益な事業構造・安定的な事業運営への進化に努めてまいります。
<無線通信機器>当セグメントの主要市場は携帯端末市場及びPOS端末市場であり、携帯端末市場は、スマートフォン/タブレット端末が世界的な飽和傾向により伸びが鈍化しております。一方、POS端末市場は、物流/製造を始め幅広い業界での利用拡大が続いており、端末機器の多様化・高機能化とともに着実な成長が見込まれております。
このような状況の中、微細スプリングコネクタを中核製品とするファインコネクタ事業におきましては、POS端末メーカー向け販売の堅調な推移に加え、携帯端末メーカー向けの販売が前期を上回った結果、売上高は前期を上回りました。
当セグメントに含めておりますメディカル・デバイス事業につきましても、好調な部品販売に加え、海外顧客向けガイドワイヤユニット販売の本格化などにより、売上高は前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、61億5千8百万円(前期比+19.3%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、増収による増益に加え、比較的利益率の高い製品の比率上昇などにより、12億4千万円の利益(前期比+108.5%)となりました。
今後は、ファインコネクタ事業につきましては、防水・二体成形など要素技術の拡大・進化を推進するとともに、POS端末市場におけるさらなるシェア拡大、光学機器/車載分野におけるビジネス拡大、台湾など成長市場での営業/技術サポート体制強化により、事業の拡大と製品・市場・顧客の“重層化”に引き続き取り組んでまいります。
メディカル・デバイス事業につきましては、最先端の生産設備導入による微細精密部品の生産能力増強と、ガイドワイヤ/カテーテルユニット製品の拡販推進によるさらなる事業成長を目指すとともに、生産拠点の海外展開や外注活用の拡大など、事業拡大を見据えたサプライチェーンの“重層化”も推進してまいります。
(事業セグメント別連結売上高 前期比較) (単位:百万円、%)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前 期 比 |
| 車載通信機器 | 32,029 | 36,256 | +13.2 |
| 回路検査用コネクタ | 6,883 | 9,503 | +38.1 |
| 無線通信機器 | 5,164 | 6,158 | +19.3 |
| 合計 | 44,077 | 51,919 | +17.8 |
c. 目標とする経営指標の達成状況等
前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社グループは、「ミニマム8(エイト)」として、「売上高成長率・売上高営業利益率・自己資本利益率を8%以上確保」の達成を目指しております。
当連結会計年度においては、売上高成長率は3期連続、自己資本利益率(ROE)は2期連続でそれぞれ10%以上を達成し、「8%以上確保」の安定的実現が軌道に乗りつつある一方、売上高営業利益率については、前期(平成29年3月期)は5.7%、当連結会計年度は6.0%と、8%に近づきつつありますが、依然として未達成の状況にあります。
当社グループは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)中期的な会社の経営戦略」に記載の新中期経営計画の重点施策及び同「(4)会社の対処すべき課題」に記載の重点取組み項目を着実に遂行することにより、新中期経営計画期間中における「ミニマム8」の達成を目指してまいります。
② 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前期比(%) |
| 車載通信機器 | 37,569,502 | +13.8 |
| 回路検査用コネクタ | 9,538,984 | +41.3 |
| 無線通信機器 | 6,176,445 | +21.3 |
| 合計 | 53,284,931 | +18.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| 車載通信機器 | 36,679,248 | +14.1 | 3,109,139 | +15.7 |
| 回路検査用コネクタ | 9,604,918 | +37.7 | 793,185 | +14.6 |
| 無線通信機器 | 6,213,404 | +18.6 | 422,093 | +14.9 |
| 合計 | 52,497,570 | +18.3 | 4,324,419 | +15.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 車載通信機器 | 36,256,693 | +13.2 |
| 回路検査用コネクタ | 9,503,964 | +38.1 |
| 無線通信機器 | 6,158,536 | +19.3 |
| 合計 | 51,919,194 | +17.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
① 現金及び現金同等物
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、45億9千6百万円(前期比12億2千1百万円の減少)となりました。
② 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加23億5千9百万円、たな卸資産の増加14億8千万円などの減少要因の一方で、税金等調整前当期純利益30億1千2百万円、減価償却費18億8千万円、仕入債務の増加11億3千万円などの増加要因により、19億8千万円の収入(前期比13億4百万円の収入減少)となりました。
③ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出22億8千5百万円、無形固定資産の取得による支出2億7千7百万円などの減少要因により、25億1千8百万円の支出(前期比6億1千6百万円の支出増加)となりました。
④ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出2億8百万円、配当金の支払額4億2百万円などの減少要因により、5億4千9百万円の支出(前期は3億9千3百万円の収入)となりました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、中国・ベトナムでの二大主力生産拠点体制の確立やマレーシア生産子会社の量産設備増強等の設備投資を継続的に実施しており、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は45億9千6百万円と、前期末比12億2千1百万円減少いたしました。