有価証券報告書-第86期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 12:47
【資料】
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【項目】
145項目

研究開発活動

当社グループは「常に社会に価値ある製品の創造につとめる」を経営理念として、創エネ、蓄エネ、省エネに貢献できるパワー半導体技術と電力変換・制御技術とを融合させ、グローバル・ソリューション・パートナーとして社会に価値あるパワーエレクトロニクス製品の創造に根ざした技術並びに新製品開発を手がけております。また、これら研究開発活動を基に、各種半導体デバイスと、それらを応用する各種電力制御機器を生産販売しております。
なお、研究開発体制は半導体製品と電源機器製品それぞれの研究・開発グループで構成しております。
半導体製品の研究・開発は、サイリスタ、トライアック、ダイオード及びSiCの製品並びに応用技術の開発を行うグループと、前工程である半導体チップのプロセス技術開発並びに製品技術開発を行うグループで構成しております。
また、電源機器製品の研究・開発は、半導体デバイスの応用技術、デジタル制御技術などの各種電源機器共通の先行技術開発を行うグループと、小型から大型までの各種電源機器標準製品、個別受注製品の設計・開発を行うグループで構成しております。
当社グループは、電源機器製品と半導体製品の研究・開発グループが常に密接な情報交流を図ることで、半導体技術と電力変換・制御技術の総合力を発揮し、再生可能エネルギー発電用パワーコンディショナを始めとするお客様のニーズに根ざした各種新製品を生み出しております。
当連結会計年度の研究開発費は1,204百万円であり、セグメント別の主な成果は次のとおりです。
(1)半導体事業
(a) 大電力パワー半導体素子(パワーモジュール)
各種インバータ機器の小型化並びに省エネへの貢献が期待されるSiCモジュールをパナソニック株式会社と共同開発し、グローバル市場へのサンプル投入によって、低損失性能の確認を完了いたしました。
また、当社独自のパッケージ技術を採用することにより、長期信頼性性能を向上することが可能となり、量産化に向けた生産体制を確立するのと同時に、SiCの特性を遺憾なく発揮できる駆動回路技術を開発しSiCモジュールとセットで評価いただける体制を整えました。
今後さらなる高電圧用デバイスやディスクリート・デバイスなどの開発を含め、SiC製品のバリエーション強化を図ってまいります。
また、インフラ用並びに各種生産設備用インバータの高信頼性ニーズに応えるべく、ダイオード・モジュール並びに、各種サイリスタ・ダイオード・モジュールの品揃えを強化しております。
(b) 環境負荷軽減対応技術開発
環境負荷軽減への取り組みの一環として、半導体製品の完全鉛フリー化を推進しており、従来RoHS2の適用除外項目であった高温鉛はんだを含まない製造プロセスの研究を継続的に推進しております。
半導体事業に係る研究開発費は398百万円であります。
(2)電源機器事業
電力自由化や電力システムの改革が進むなか、当社は、社会全体として効率的なエネルギー利用に資するエネルギーインフラの基盤構築に向けて、従来にない新たなエネルギーマネジメントの実現を目指す実証事業に参画しております。
現在、滋賀工場の蓄エネシステム、本社の蓄エネシステム共に稼働しており、電力変化が大きい太陽光発電電力の最適利用以外に、工場内消費を含めたエネルギーをリアルタイムに計測し、エネルギーマネジメントの最適化に向けた実証を継続して行っております。
SDGs(持続可能な開発目標)にも「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」との目標が掲げられており、クリーンな電力の利用を拡大できるエネルギーマネジメント技術の確立を進めてまいります。
一方、めっきなどの各種表面処理用電源では、日本のお客様のニーズに合った当社独自の環境対策設計による電源を開発し、安定した性能を長期間にわたって維持するなどの信頼性を築いてまいりました。今後はグローバルな展開を加速するなか、各国の使用環境に適した電源の開発を推進してまいります。
電源機器事業に係る研究開発費は806百万円であります。