有価証券報告書-第69期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「会社存立の原点は社会の役に立つことである」「経営は創造である」「社員の幸福は会社の発展と共にある」との経営理念を掲げております。また、当社グループ社員の行動指針は、「未来に向かう」「最良に挑む」「独創を貫く」「率直を好む」を謳っております。当社は今後も、これらを普遍的な価値観として尊重しつつ、2018年12月に迎えた創立70周年を機に、2030年までに目指す姿を示す新たな経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」を策定しました。
当社グループは、2030年までの目指す姿を「事業ビジョン」と「人財・企業風土ビジョン」で構成する新たな経営ビジョンとして明示し、その実現に向けた諸活動を展開することを通じて、顧客提供価値と企業価値の両面を持続的かつ発展的に高める方針です。
「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」の概要は、次のとおりです。
① 事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」
この事業ビジョンは、「当社のすべての事業は、海でも陸でも、安全安心かつ快適であることを前提に、人と環境に優しい社会や航海の実現を目指す」という、“わたしたちが最も優先する価値”を表現しています。これまで当社が事業活動で重視してきた「安全安心」「環境」という提供価値を、「安全安心」と「快適」、「環境」と「人」の視点へ拡大することで、既存事業での顧客提供価値の拡充や周辺領域での新規事業育成を推進するための新たな道しるべとします。
当社グループは、世界初の魚群探知機実用化を成し遂げた1948年の創立当時から現在に至るまで、「事業を通じた社会的課題の解決」を果たすべき使命としてまいりました。一方で、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の考え方が国際社会の共通認識として醸成されつつあるなかで、企業が事業活動を通じてその実現に貢献することが求められております。当社グループは今後も、創立当初からの価値観を大切に受け継ぎながら、企業運営並びに事業活動の基本方針の中にSDGsを積極的に取り入れることにします。
② 人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」
企業運営における重要な経営資源である人財と企業風土については、経営理念並びに行動指針を普遍的な価値観として尊重した上で、事業ビジョンの実現に向けて重点的に強化・評価する基軸として「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を謳い、3つのポイントを定めました。
(VALUE)さらなる価値共創への挑戦
わたしたちはビジョンを深く理解し、高い自律性を持って行動していくことで、社会へのさらなる価値を、当社に関わるすべてのステークホルダーと「共に」創り上げていきます。
(GLOBALIZATION)グローバリゼーションの浸透
わたしたちはグローバルマインドセットを醸成し、ビジョン実現に向けて、社内外の資源を所属、地域、国などの属性に依らず最適かつ最大限に活用いたします。
※グローバルマインドセット:異なる文化・習慣・価値観を持つ人たちやグループに対して影響を与えることを可能とする思考を意味しています。
(SPEED)迅速かつ柔軟な判断と行動
わたしたちは変化することに躊躇せず、新しい時代を創り続けることを目指します。
当社グループは、創立から間もない1955年に「世界のフルノ」を宣言し、海外展開を加速してまいりました。現在では連結売上高のうち海外売上比率が6割を超え、世界80カ国以上に開発・生産・販売・サービス拠点を有するようになりました。今後は、顧客提供価値と企業価値の最大化を目標に、事業と市場の特性に応じて当社の人財と組織機能をグローバリゼーションの観点からより有機的に活用するとともに、顧客や取引先との連携を積極的に推進することで「名実ともに世界のフルノ」となることを目指します。
「FURUNO GLOBAL VISION “NAVI NEXT 2030”」の実現は、次の3つのフェーズに分けて段階的かつ速やかに挑む方針です。
フェーズ1・・・変える
事業の体質改善による資源の捻出・体力強化のフェーズ(2021年2月期~2023年2月期)
フェーズ2・・・つなぐ
技術と事業の柱・収益構造の構築に向けた行動のフェーズ(2024年2月期~2026年2月期)
フェーズ3・・・変わる
あるべき企業規模・収益性・事業構造を実現するフェーズ(2027年2月期~2031年2月期)
これらすべてのフェーズが完結する2030年度の成長目標は、連結売上高1,200億円、営業利益率10%、新規事業構成比率30%です。
(2)中期経営計画及び目標とする経営指標
当社グループは、2020年2月に、フェーズ1の3年間を対象期間とする中期経営計画を策定いたしました。体質改善・体力強化のための各種取り組み及び個別事業戦略を着実に実行することで収益性を改善し、企業価値を向上させて参ります。経営指標としては利益の確保に加え、資本効率の観点から、自己資本営業利益率*向上による企業価値の増大に努めて参ります。また、連結配当性向について、将来成長に向けた投資や経営環境の変化等を総合勘案のうえ、継続的かつ安定的な配当に努めて参ります。最終年度にあたる2023年2月期には、自己資本営業利益率10%以上を計上し、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築いたします。
* 2010年2月期から2018年2月期の平均自己資本営業利益率は5%
主な体質改善・体力強化の取り組み
① 抜本的な在庫削減
販売予測精度向上による生産計画の精緻化、物流拠点の適正化等の物流体制の見直し、調達・生産リードタイムの短縮等、グループ一丸となってバリューチェーンのあらゆる領域で在庫削減のための改革を進めます。
② 品質水準の更なる向上
「品質はすべてに優先する」との考えに基づき、各事業部門での基本に戻った品質プロセスの見直しとその着実な実行、品質教育体系の高度化による品質経営人財の育成及び風土の醸成を図ることで、更なる品質ロスコストの削減を目指します。
③ 商品開発機能の最適化
設計変更による源流機のコストダウン、新たな開発管理システムの導入及び検査工程の自動化推進による開発効率向上により、製品コスト・開発コストの低減、開発期間の短縮化を両立、定着させます。
④ 総合モノづくり機能の最適化
2012年より継続的に取り組んできたFPS* 活動をさらに進化させ、グローバル生産体制の最適化、生産工程の自動化、コンフィグ生産の拡大等に取り組み、徹底したムダの排除、1/2モノづくりを推進して参ります。
* 「Furuno Production System」の略称。当社の特徴である、3多(多機種、多部品、多工数)のモノづくりに適した生産システムの構築を目指しています。
⑤ 戦略投資枠の新設
新規事業育成や先端技術領域を含む研究開発、インフラ整備等、フェーズ2以降の将来成長に向けた投資を実施します。
個別事業戦略
(舶用事業)
① 商船向け事業:ライフサイクルサポートの展開+1(プラスワン)
新造船市場におけるシェアの拡大、アフターサービス及び機器更新需要の確実な取り込みを図る「ライフサイクルサポート」をグローバルに推進するとともに、船内のデジタル化を含む自律航行・遠隔操船の実現に向けたアクションを加速します。
② 漁業向け事業:ハード・ソフト両面から漁業者を支える「勘と経験の見える化」
フルノグループの祖業としての強みを持つ各種機器の提供に留まらず、漁業を取り巻く様々な課題解決に向けたソリューションをグローバルに提供することで、収益性の更なる向上を目指します。
③ プレジャーボート向け事業:事業体制の抜本的見直しによるシェア奪還への挑戦
グローバル市場におけるシェアを取り戻すため、事業体制の再構築を進め、顧客視点に立った商品のスピーディな市場投入を図ります。
(産業用事業)
① PNT事業*:自社商品及びソリューションの進化と、グローバル展開への挑戦
「Positioning・Navigation・Timing」(位置測位・運行支援・時刻同期)の3つの領域で、顧客視点に立った商品及びソリューションの開発を加速させるとともに、時刻同期事業を皮切りに本格的グローバル展開に向けた取り組みを開始します。
* 事業領域を見直し、通信・GNSSソリューション事業から名称変更
② ヘルスケア事業:重点地域への経営資源の集中投資による事業拡大
市場の成長が期待される中国・東南アジアを重点地域に定め、各地域の特性に適した商品を提供することでビジネスの拡大を図ります。
③ 防衛装備品事業*:民生技術の転用による将来成長に向けた先行投資
民生分野で培った技術の防衛用途への応用を推進することにより、長期的視点に立った成長を目指します。
* 産業用その他事業から名称変更
(無線LAN・ハンディターミナル事業)
無線LAN事業:強みをもつ文教向け事業での経営資源の捻出と、将来成長に向けた先行投資
近年拡大傾向にある文教向け市場においてトップシェアの地位を堅持しつつ、新規市場開拓・新規事業開発を推進します。
(3)経営環境及び対処すべき課題
商船向け事業における「ライフサイクルサポート」戦略の奏功、積極的なIT投資による生産・開発効率の改善、品質水準向上によるロスコスト削減、需要予測精度向上による在庫削減等により、当社グループの収益性は中長期的に向上傾向にありますが、依然改善の余地は大きいと認識しております。また、主力の舶用市場は総じて成熟傾向にありますが、自律航行船実現に向けた動きや、漁業先進国を中心に資源管理型漁業推進の流れが加速しており、当社グループは舶用電子機器のグローバルトップメーカーとして関連技術の研究開発をリードしていく必要があります。産業用分野においても、高齢化や人手不足など、当社グループが解決すべき社会的課題はより多様化し、ますます顕在化しており、対応する商品やソリューションを産み出し続けることが求められています。
世界経済の状況は、諸外国の通商問題及び地政学リスク、英国EU離脱による欧州経済への影響、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大など、先行き不透明感が増しており、当期以上に不安定で不確実性の高い状況ではありますが、フェーズ1の初年度にあたる次期は、全社一丸となって体質改善・体力強化の取り組みを実行し、産み出した経営資源を将来成長に向けた投資に充てることで、当社グループの持続的成長に向けた第一歩を踏み出します。また、以下の施策に取り組むことによりグループ全体の企業価値を高めて参ります。
① 情報セキュリティの強化
近年の情報管理体制の重要性に鑑み、情報漏洩の未然防止やEUの「一般データ保護規則(GDPR)」対応、自社製品のセキュリティリスク低減に向けた管理体制の構築等、国内外の様々なサイバーリスクの対策が不可欠です。この一環としてコンピュータウイルスや不正アクセスなど、外部からのサイバー攻撃による機能不全や混乱を防ぐため、専門知識を有する人財の確保、育成や社内教育の徹底、定期的なチェック等により、情報セキュリティ体制の強化に取り組んで参ります。
② 事業継続性の確保
近年は、台風や地震等、大規模な自然災害が全国各地で発生しておりますが、各種の緊急事態が起きた場合において、迅速かつ適切な対応を図ることにより被害、損失や重要業務への影響を最小限に抑えるとともに、早期復旧により事業活動が継続できるよう、危機管理体制の強化を推し進めて参ります。
③ 働き方改革の推進
2019年4月から働き方改革関連法が順次施行される等、時間外労働の削減等の対応が急務となっております。当社は、ここ数年ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進する一環として長時間労働の削減、有給休暇取得の奨励、その他関連諸制度の整備を実施しております。その結果、当社は、2019年より経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されております。
④ 人財の育成、確保
当社は、従業員は、まさに「人財」であり重要な経営資源と認識しております。持続的な成長に向けて、優秀な人財の育成、確保が不可欠であります。特に体質改善・体力強化のためには一人一人の生産性向上が極めて重要であると考えており、階層別研修の充実、従業員のチャレンジを奨励する人事評価制度の新設及び適材適所の配置等に取り組んで参ります。また、多様な人財を活用するため、ダイバーシティ(多様性)を推進するとともに、性別、国籍、年齢等に関係なく採用、評価等を行っており、先進的かつ独創性のある人材発掘等に努めております。
⑤ 配当政策
当社は、配当政策を経営における最重要政策のひとつと位置付けております。利益配分につきましては継続的かつ安定的な配当を念頭に置きながら、財政状態及び利益水準等を総合的に勘案して決定することを基本方針としております。なお、中期経営計画(2021年2月期~2023年2月期)では、最終年度にあたる2023年2月期には、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築することを目標に掲げております。また、内部留保につきましては、将来を見据えた投資や企業体質の一層の強化のために活用して参りたいと考えております。
⑥ 政策保有株式の基本方針
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、事業提携、取引の維持・強化等、経営戦略の一環として必要と判断した場合に限り、有価証券を保有しております。また、政策保有株式については、取締役会で毎年定期的に個別銘柄毎に保有に伴う便益やリスク等の観点から保有の是非の検証を行っております。議決権行使については、当社への影響や当該株式の保有目的と整合しているか等を総合勘案の上、個別に判断しております。
⑦ 株主、機関投資家等との建設的な対話
当社は、経営方針や成長戦略等について理解促進を図るため、毎年、株主や機関投資家等と100件を超える対話を行うとともに、株主、機関投資家、顧客などステークホルダーの皆様のご期待に添うよう努めております。また、当社のホームページ等を通じて株主総会や決算内容等の情報を提供していることに加え、ご要望ご質問等に対して迅速かつ、適切に対応するよう心掛けています。
⑧ コーポレート・ガバナンスの取り組み
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。また、経営の健全性や透明性を高めるため、任意の指名・報酬委員会及びコンプライアンス委員会を設置する等、ガバナンスが機能する組織体制を構築することによりリスク回避や不祥事防止に努めております。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「会社存立の原点は社会の役に立つことである」「経営は創造である」「社員の幸福は会社の発展と共にある」との経営理念を掲げております。また、当社グループ社員の行動指針は、「未来に向かう」「最良に挑む」「独創を貫く」「率直を好む」を謳っております。当社は今後も、これらを普遍的な価値観として尊重しつつ、2018年12月に迎えた創立70周年を機に、2030年までに目指す姿を示す新たな経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」を策定しました。
当社グループは、2030年までの目指す姿を「事業ビジョン」と「人財・企業風土ビジョン」で構成する新たな経営ビジョンとして明示し、その実現に向けた諸活動を展開することを通じて、顧客提供価値と企業価値の両面を持続的かつ発展的に高める方針です。
「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」の概要は、次のとおりです。
① 事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」
この事業ビジョンは、「当社のすべての事業は、海でも陸でも、安全安心かつ快適であることを前提に、人と環境に優しい社会や航海の実現を目指す」という、“わたしたちが最も優先する価値”を表現しています。これまで当社が事業活動で重視してきた「安全安心」「環境」という提供価値を、「安全安心」と「快適」、「環境」と「人」の視点へ拡大することで、既存事業での顧客提供価値の拡充や周辺領域での新規事業育成を推進するための新たな道しるべとします。
当社グループは、世界初の魚群探知機実用化を成し遂げた1948年の創立当時から現在に至るまで、「事業を通じた社会的課題の解決」を果たすべき使命としてまいりました。一方で、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の考え方が国際社会の共通認識として醸成されつつあるなかで、企業が事業活動を通じてその実現に貢献することが求められております。当社グループは今後も、創立当初からの価値観を大切に受け継ぎながら、企業運営並びに事業活動の基本方針の中にSDGsを積極的に取り入れることにします。
② 人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」
企業運営における重要な経営資源である人財と企業風土については、経営理念並びに行動指針を普遍的な価値観として尊重した上で、事業ビジョンの実現に向けて重点的に強化・評価する基軸として「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を謳い、3つのポイントを定めました。
(VALUE)さらなる価値共創への挑戦
わたしたちはビジョンを深く理解し、高い自律性を持って行動していくことで、社会へのさらなる価値を、当社に関わるすべてのステークホルダーと「共に」創り上げていきます。
(GLOBALIZATION)グローバリゼーションの浸透
わたしたちはグローバルマインドセットを醸成し、ビジョン実現に向けて、社内外の資源を所属、地域、国などの属性に依らず最適かつ最大限に活用いたします。
※グローバルマインドセット:異なる文化・習慣・価値観を持つ人たちやグループに対して影響を与えることを可能とする思考を意味しています。
(SPEED)迅速かつ柔軟な判断と行動
わたしたちは変化することに躊躇せず、新しい時代を創り続けることを目指します。
当社グループは、創立から間もない1955年に「世界のフルノ」を宣言し、海外展開を加速してまいりました。現在では連結売上高のうち海外売上比率が6割を超え、世界80カ国以上に開発・生産・販売・サービス拠点を有するようになりました。今後は、顧客提供価値と企業価値の最大化を目標に、事業と市場の特性に応じて当社の人財と組織機能をグローバリゼーションの観点からより有機的に活用するとともに、顧客や取引先との連携を積極的に推進することで「名実ともに世界のフルノ」となることを目指します。
「FURUNO GLOBAL VISION “NAVI NEXT 2030”」の実現は、次の3つのフェーズに分けて段階的かつ速やかに挑む方針です。
フェーズ1・・・変える
事業の体質改善による資源の捻出・体力強化のフェーズ(2021年2月期~2023年2月期)
フェーズ2・・・つなぐ
技術と事業の柱・収益構造の構築に向けた行動のフェーズ(2024年2月期~2026年2月期)
フェーズ3・・・変わる
あるべき企業規模・収益性・事業構造を実現するフェーズ(2027年2月期~2031年2月期)
これらすべてのフェーズが完結する2030年度の成長目標は、連結売上高1,200億円、営業利益率10%、新規事業構成比率30%です。
(2)中期経営計画及び目標とする経営指標
当社グループは、2020年2月に、フェーズ1の3年間を対象期間とする中期経営計画を策定いたしました。体質改善・体力強化のための各種取り組み及び個別事業戦略を着実に実行することで収益性を改善し、企業価値を向上させて参ります。経営指標としては利益の確保に加え、資本効率の観点から、自己資本営業利益率*向上による企業価値の増大に努めて参ります。また、連結配当性向について、将来成長に向けた投資や経営環境の変化等を総合勘案のうえ、継続的かつ安定的な配当に努めて参ります。最終年度にあたる2023年2月期には、自己資本営業利益率10%以上を計上し、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築いたします。
* 2010年2月期から2018年2月期の平均自己資本営業利益率は5%
主な体質改善・体力強化の取り組み
① 抜本的な在庫削減
販売予測精度向上による生産計画の精緻化、物流拠点の適正化等の物流体制の見直し、調達・生産リードタイムの短縮等、グループ一丸となってバリューチェーンのあらゆる領域で在庫削減のための改革を進めます。
② 品質水準の更なる向上
「品質はすべてに優先する」との考えに基づき、各事業部門での基本に戻った品質プロセスの見直しとその着実な実行、品質教育体系の高度化による品質経営人財の育成及び風土の醸成を図ることで、更なる品質ロスコストの削減を目指します。
③ 商品開発機能の最適化
設計変更による源流機のコストダウン、新たな開発管理システムの導入及び検査工程の自動化推進による開発効率向上により、製品コスト・開発コストの低減、開発期間の短縮化を両立、定着させます。
④ 総合モノづくり機能の最適化
2012年より継続的に取り組んできたFPS* 活動をさらに進化させ、グローバル生産体制の最適化、生産工程の自動化、コンフィグ生産の拡大等に取り組み、徹底したムダの排除、1/2モノづくりを推進して参ります。
* 「Furuno Production System」の略称。当社の特徴である、3多(多機種、多部品、多工数)のモノづくりに適した生産システムの構築を目指しています。
⑤ 戦略投資枠の新設
新規事業育成や先端技術領域を含む研究開発、インフラ整備等、フェーズ2以降の将来成長に向けた投資を実施します。
個別事業戦略
(舶用事業)
① 商船向け事業:ライフサイクルサポートの展開+1(プラスワン)
新造船市場におけるシェアの拡大、アフターサービス及び機器更新需要の確実な取り込みを図る「ライフサイクルサポート」をグローバルに推進するとともに、船内のデジタル化を含む自律航行・遠隔操船の実現に向けたアクションを加速します。
② 漁業向け事業:ハード・ソフト両面から漁業者を支える「勘と経験の見える化」
フルノグループの祖業としての強みを持つ各種機器の提供に留まらず、漁業を取り巻く様々な課題解決に向けたソリューションをグローバルに提供することで、収益性の更なる向上を目指します。
③ プレジャーボート向け事業:事業体制の抜本的見直しによるシェア奪還への挑戦
グローバル市場におけるシェアを取り戻すため、事業体制の再構築を進め、顧客視点に立った商品のスピーディな市場投入を図ります。
(産業用事業)
① PNT事業*:自社商品及びソリューションの進化と、グローバル展開への挑戦
「Positioning・Navigation・Timing」(位置測位・運行支援・時刻同期)の3つの領域で、顧客視点に立った商品及びソリューションの開発を加速させるとともに、時刻同期事業を皮切りに本格的グローバル展開に向けた取り組みを開始します。
* 事業領域を見直し、通信・GNSSソリューション事業から名称変更
② ヘルスケア事業:重点地域への経営資源の集中投資による事業拡大
市場の成長が期待される中国・東南アジアを重点地域に定め、各地域の特性に適した商品を提供することでビジネスの拡大を図ります。
③ 防衛装備品事業*:民生技術の転用による将来成長に向けた先行投資
民生分野で培った技術の防衛用途への応用を推進することにより、長期的視点に立った成長を目指します。
* 産業用その他事業から名称変更
(無線LAN・ハンディターミナル事業)
無線LAN事業:強みをもつ文教向け事業での経営資源の捻出と、将来成長に向けた先行投資
近年拡大傾向にある文教向け市場においてトップシェアの地位を堅持しつつ、新規市場開拓・新規事業開発を推進します。
(3)経営環境及び対処すべき課題
商船向け事業における「ライフサイクルサポート」戦略の奏功、積極的なIT投資による生産・開発効率の改善、品質水準向上によるロスコスト削減、需要予測精度向上による在庫削減等により、当社グループの収益性は中長期的に向上傾向にありますが、依然改善の余地は大きいと認識しております。また、主力の舶用市場は総じて成熟傾向にありますが、自律航行船実現に向けた動きや、漁業先進国を中心に資源管理型漁業推進の流れが加速しており、当社グループは舶用電子機器のグローバルトップメーカーとして関連技術の研究開発をリードしていく必要があります。産業用分野においても、高齢化や人手不足など、当社グループが解決すべき社会的課題はより多様化し、ますます顕在化しており、対応する商品やソリューションを産み出し続けることが求められています。
世界経済の状況は、諸外国の通商問題及び地政学リスク、英国EU離脱による欧州経済への影響、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大など、先行き不透明感が増しており、当期以上に不安定で不確実性の高い状況ではありますが、フェーズ1の初年度にあたる次期は、全社一丸となって体質改善・体力強化の取り組みを実行し、産み出した経営資源を将来成長に向けた投資に充てることで、当社グループの持続的成長に向けた第一歩を踏み出します。また、以下の施策に取り組むことによりグループ全体の企業価値を高めて参ります。
① 情報セキュリティの強化
近年の情報管理体制の重要性に鑑み、情報漏洩の未然防止やEUの「一般データ保護規則(GDPR)」対応、自社製品のセキュリティリスク低減に向けた管理体制の構築等、国内外の様々なサイバーリスクの対策が不可欠です。この一環としてコンピュータウイルスや不正アクセスなど、外部からのサイバー攻撃による機能不全や混乱を防ぐため、専門知識を有する人財の確保、育成や社内教育の徹底、定期的なチェック等により、情報セキュリティ体制の強化に取り組んで参ります。
② 事業継続性の確保
近年は、台風や地震等、大規模な自然災害が全国各地で発生しておりますが、各種の緊急事態が起きた場合において、迅速かつ適切な対応を図ることにより被害、損失や重要業務への影響を最小限に抑えるとともに、早期復旧により事業活動が継続できるよう、危機管理体制の強化を推し進めて参ります。
③ 働き方改革の推進
2019年4月から働き方改革関連法が順次施行される等、時間外労働の削減等の対応が急務となっております。当社は、ここ数年ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進する一環として長時間労働の削減、有給休暇取得の奨励、その他関連諸制度の整備を実施しております。その結果、当社は、2019年より経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されております。
④ 人財の育成、確保
当社は、従業員は、まさに「人財」であり重要な経営資源と認識しております。持続的な成長に向けて、優秀な人財の育成、確保が不可欠であります。特に体質改善・体力強化のためには一人一人の生産性向上が極めて重要であると考えており、階層別研修の充実、従業員のチャレンジを奨励する人事評価制度の新設及び適材適所の配置等に取り組んで参ります。また、多様な人財を活用するため、ダイバーシティ(多様性)を推進するとともに、性別、国籍、年齢等に関係なく採用、評価等を行っており、先進的かつ独創性のある人材発掘等に努めております。
⑤ 配当政策
当社は、配当政策を経営における最重要政策のひとつと位置付けております。利益配分につきましては継続的かつ安定的な配当を念頭に置きながら、財政状態及び利益水準等を総合的に勘案して決定することを基本方針としております。なお、中期経営計画(2021年2月期~2023年2月期)では、最終年度にあたる2023年2月期には、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築することを目標に掲げております。また、内部留保につきましては、将来を見据えた投資や企業体質の一層の強化のために活用して参りたいと考えております。
⑥ 政策保有株式の基本方針
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、事業提携、取引の維持・強化等、経営戦略の一環として必要と判断した場合に限り、有価証券を保有しております。また、政策保有株式については、取締役会で毎年定期的に個別銘柄毎に保有に伴う便益やリスク等の観点から保有の是非の検証を行っております。議決権行使については、当社への影響や当該株式の保有目的と整合しているか等を総合勘案の上、個別に判断しております。
⑦ 株主、機関投資家等との建設的な対話
当社は、経営方針や成長戦略等について理解促進を図るため、毎年、株主や機関投資家等と100件を超える対話を行うとともに、株主、機関投資家、顧客などステークホルダーの皆様のご期待に添うよう努めております。また、当社のホームページ等を通じて株主総会や決算内容等の情報を提供していることに加え、ご要望ご質問等に対して迅速かつ、適切に対応するよう心掛けています。
⑧ コーポレート・ガバナンスの取り組み
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。また、経営の健全性や透明性を高めるため、任意の指名・報酬委員会及びコンプライアンス委員会を設置する等、ガバナンスが機能する組織体制を構築することによりリスク回避や不祥事防止に努めております。