有価証券報告書-第56期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 14:01
【資料】
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【項目】
121項目

対処すべき課題

(1)事業上の対処すべき課題
当社を取り巻く環境といたしましては、住宅市場におきまして消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動及び引き上げ後の消費者マインドの低下等の影響により、新設住宅着工戸数やリニューアル物件の減少等が懸念されます。一方、ケア市場におきましては新築病院の大幅な増加は期待できないものの、地域医療再生計画に伴う病院の統合や移転による建て替えや、高齢者を対象とした施設や住宅等での需要拡大が期待されます。
当社といたしましてはこのような状況を踏まえ、専門メーカーとして、市場ニーズを捉えた新商品を各市場に対して積極的に投入してまいります。また、これまで取り組んでまいりました既設マンション物件に対する営業活動につきましては、各管理会社との連携を深めるとともにアフターサービス情報の活用により、リニューアル物件の受注拡大を図ってまいります。ケア市場におきましては、病院におけるニーズを具現化した次世代ナースコール「Vi-nurse(ビーナース)」を本年9月に発売するとともに、高齢者住宅向け商品の拡販を行ってまいります。さらに、新たな市場創造のためネットワーク対応事業の拡大を目的とし、業務市場につきましてはIPネットワーク対応インターホンを積極的に提案するとともに、住宅市場におきましてはマンション内での情報の見える化に向けたシステム提案を行うことにより、ネットワーク対応商品の販売の拡大を図ってまいります。
また、さらなるグローバル化を目指して積極的に取り組んでまいりました海外市場につきましては、販売面におきまして集合住宅や業務市場等へのシステム商品の販売強化を目的として、新たな営業拠点の拡充や販路の開拓、また物件受注体制の構築等の取り組みを強力に進めてまいります。さらに、新商品の市場投入や販売を引き続き積極的に行っていくことにより、売上の拡大を図り、海外売上比率30%を目指してまいります。
なお、生産におきましても国内外の生産体制の見直しを行うとともに、生産技術改革を推し進めることにより、競争力のあるものづくりに努めてまいります。
年度方針である「一人ひとりが新たな競争に勝つ」の下、個々の能力を高め、そして組織力を高めることで、さらなる飛躍を目指し、中期経営方針で掲げる利益体質の強化を図ってまいります。
(2)株式会社の支配に関する基本方針
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定(以下、「方針決定」といいます。)を支配する者の在り方については、原則として、株主の皆様が当社株式を自由な判断に基づいて取引された結果として決定されるものであると考えております。そして、当社は、上場企業として、多様な投資家の皆様に株主となっていただくことにより、様々なご意見が方針決定に反映されることが望ましいと考えております。
もっとも、昨今のわが国の資本市場においては、取締役会等会社経営陣の事前の承認を得ることなく大量に株式を買付けようとする事例が存在することも否定できません。その中には、ステークホルダーの利益を著しく損なう蓋然性の高いものや、関係者に十分な判断の時間や判断の材料を与えないものなど、企業価値及び株主共同の利益にとって望ましくない買付けが行われることも予想される状況にあります。
当社は、このような当社企業価値及び株主共同の利益に照らして望ましくない買付けを行おうとする者に対して、方針決定を支配する者となる機会を与えることは、株主の皆様の様々なご意見を方針決定に反映させようとするにあたって望ましくないものと考えております。
以上をもって、基本方針といたします。
② 基本方針に関する取り組み
(イ) 財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、以下のような取り組みが、ひいては当社企業価値及び株主共同の利益を向上させ、多様な投資家の皆様からの当社への投資につながり、結果的に、基本方針の実現に資すると考えており、かかる考えの下でこれら取り組みを実施しております。
・当社は、平成25年4月から3カ年に及ぶ第5次中期経営計画を策定するにあたり、“輝け アイホン ~真の輝きを求めて~”を掲げ、その目指すべき方向として「近年低下している収益性を改善するとともに、高いシェアを誇れる企業集団にし、株主の皆様や社員など全てのステークホルダーにとって、魅力あるブランドカンパニーとする」ことを念頭に中期経営計画の達成に向けた取り組みを推進しております。
・当社は、日本国内においては、電材商社、家電商社、通信工事業者等を直接の販売先としておりますが、さらに直接の販売先ではないハウスメーカー、デベロッパー、設計事務所などに対しても、全国に営業担当者を配置してきめ細かい提案活動を行い、これにより、インターホンの普及及びその市場の拡大に努めております。
・当社が取り扱う通信機器は、お客様の様々なニーズに対応するため、専門性を活かし、標準品だけでも約1,500種類を取り揃え、標準品では対応できないお客様に対してはオーダーメイドによる受注生産品をお届けしております。
・当社は世界約70カ国に製品を輸出しており、特に、重点市場であるアメリカ及びヨーロッパ並びにシンガポールや中国においては、現地の販売子会社を通じて積極的な販売活動を行っております。
・生産現場においては、タイ、ベトナムを含めグループ一体となって、生産性の向上とコストダウンに努めております。
・製品のアフターサービスについても、アフターサービスはメーカーが果たすべき責任であるという考えの下、アイホンテクノショップと称するサービス代行店を国内に約120店配置し、お客様のご不便を最小限にとどめるよう努めております。
・当社は、電機メーカー、住宅設備メーカー、情報サービス会社などとの共同開発にも積極的に取り組んでおります。こうした共同開発において、当社が様々な企業からアライアンスの打診を頂けるのも、当社が特定の資本系列に属していないことが、その一因であると考えております。インターホン機器は、かかるアライアンスを通じて情報通信機器としての機能をも備え、このことが製品サービスと地位の向上につながっております。
(ロ) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
取締役会は、基本方針に照らし不適切な者によって方針決定が支配されることを防止するための取り組みの一つとして、当社株式の大規模な買付けを行う際の一定のルールを設ける必要があると考えました。
そこで、当社は平成19年6月28日開催の第49回定時株主総会において当社株券等の大規模買付行為に関する対応方針(以下、「本対応方針」といいます。)を導入することを承認いただきました。
③ 当社の取り組みが、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
(イ) ②(イ)の取り組みについて
②(イ)で記載した取り組みは、いずれも、究極的にはステークホルダー全体の利益を実現することを目的とした施策であり、当社企業価値の向上及び株主共同の利益の確保を図るためのものであります。したがって、多様な投資家の皆様に株主となっていただき、そのご意見を方針決定に反映させるという当社の基本方針に沿うものであります。
また、これらの取り組みは、当社の会社役員の地位の維持につながるものではありません。
(ロ) ②(ロ)の取り組みについて
本対応方針は、定時株主総会にお諮りし、株主の皆様の承認を条件として効力を発生するものですが、本対応方針の内容については、以下のような点から、基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
・当社が導入いたしました本対応方針の内容は、大規模買付者に対して事前に大規模買付情報の提供及び大規模買付行為の是非を判断する時間を確保することを求めることによって、大規模買付者の提案に応じるか否かについて株主の皆様の適切な判断を可能とするものであります。したがって、株主共同の利益を害するものではなく、基本方針に沿う内容となっております。
・本対応方針の内容は、対抗措置が発動される場合を、大規模買付者が予め定められた大規模買付ルールを遵守しない場合や、当社企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合に限定するものです。このように、対抗措置の発動は当社企業価値及び株主共同の利益に適うか否かという観点から決定することとしておりますので、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的としないものとしております。
・本対応方針の内容として、独立性の高い社外者を構成員とした独立委員会を設置し、対抗措置の発動を取締役会が判断するにあたっては、独立委員会の勧告を最大限尊重することとしております。また、取締役会において、必要に応じて外部専門家等の助言を得ることができるものとしております。このように、対抗措置を発動できる場合か否かの判断について、取締役会の恣意的判断を排除するための仕組みを備える内容としており、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもないといえます。
なお、本対応方針は株主意思の尊重の考えに基づき、3年ごとにその期間更新または廃止について定時株主総会の承認議案を上程することを予定しており、平成25年6月27日開催の第55回定時株主総会においては本対応方針を一部変更の上で、継続することを承認いただきました。このように本対応方針の継続について株主の皆様の意思が反映されるよう努めており、株主共同の利益を害することのないよう、また、当社の会社役員の地位維持につながることのないよう努めております。