有価証券報告書-第103期(2025/04/01-2026/03/31)
ⅱ) 指標及び目標
<人的資本強化の取り組み概要>人的資本強化のための具体的な活動として、人と組織のビジョン&アクション“PROGRESS”のもと、人事施策・制度の積極的な改革に取り組んできました。この改革は、人の観点では、デンソーで働いて良かったと実感する社員がより多くなること=「社員エンゲージメント向上」、組織の観点では、事業・経営戦略実現に必要な人財の質・量が充足すること=「人財ポートフォリオ変革」を目指したものです。直近1年間の主な実績として、社員のキャリア実現支援や風通し良い職場づくり等を行った結果、2025年度の社員エンゲージメントは年度の目標を達成しました。人的資本への投資に関しても、未来に向けた人と組織の力を高める重要な投資として、報酬課題等に積極的に取り組んでいます。また、人財ポートフォリオも同様に、事業戦略と連動した人財の質・量の充足を図るべく、重要な事業領域ごとに重点課題を明確化し、現状とのギャップを埋める採用や育成施策の推進を図っています。
これら人的資本強化のためのあらゆる取り組みの成果として、当社では、すべての人と組織が、「社会課題の解決」と「人の幸せ・成長」につながる価値を持続的に提供できているかを確認するために、「人的投資生産性(注)」を指標としてモニタリングしています。
(注)人的投資生産性: 付加価値額(売上から原材料費等を差し引いた額)÷人的投資で算出
a) 社員エンゲージメント向上
「社会課題の解決」と「人の幸せ・成長」を実現するためには、仕事や組織に対する高い社員エンゲージメントが重要な原動力であり、海外を含めグローバルな経営課題としてその向上に取り組んでいます。
当社のエンゲージメント調査における総合的な肯定回答率は、2021年度の70%から、2025年度は78%まで向上しており、2030年度には80%まで到達することを目標に取り組みを進めています。2022年度以降は、エンゲージメントが全社平均を下回っている、若手社員・技能系社員・女性社員への働きかけに注力してきました。いずれも、その向上の要因として「成長実感」や「キャリア実現」が重要であることをデータ分析から特定した上で、若手社員への入社後3年間の育成プログラムの展開、技能系社員1万人へのキャリア研修等、エンゲージメント向上につながる取り組みを実施しました。
また、エンゲージメント向上への取り組みは、日本地域だけでなくグローバルでも強化しています。グローバルの全地域でエンゲージメント向上を重要な経営テーマとして捉え、それぞれで目標値を設定し、その向上のためのアクションとモニタリングを行っています。
2025年度には、海外メンバーが参加するワーキンググループ活動を通じて、各地域の重点施策やキャリア開発に関する好事例を共有し、エンゲージメント向上に向けたグローバル全体での取り組みの強化を図っています。
エンゲージメント向上率(肯定回答率) 対前年度比
b) 人財ポートフォリオ変革
持続的な企業成長を支える事業ポートフォリオ変革を実現するためには、事業戦略と連動した人財の質と量の充足が必要です。そのため、人財の戦略的な採用・育成・配置を行い人財のポートフォリオを変革しています。
当社では、特に、電動化、ソフトウェア、半導体等の領域を中心に、人財の質と量の強化に取り組んでいます。2022年度には、事業戦略において重要とされる40の事業領域(例:ソフトウェア、半導体等)を定義し、その領域ごとの人財育成に関する責任者約80名を配置しました。その際、各領域で必要とされる専門性を535分類に定義し、約15,000人の事務・技術系社員が専門性に基づく能力伸長やキャリアデザインに取り組み始めました。2023年度からは、各領域の責任者を中心とするコミッティを立ち上げ、収集された専門性の情報をもとに、各領域で必要な人財の質・量の目標を明確化し、目標と現状のギャップを埋める採用や育成施策を領域ごとに進めています。例えば、ソフトウェアの領域では、ソフトウェアリカレントプログラムを通じ、2021年度から2024年度までに約220人の技術者がハードからソフトウェア技術者への転身に挑戦しました。2030年に向けては、メカ・エレクトロニクス・ソフトウェア人財の最適なポートフォリオを実現していきます。
また、今後の成長領域における技術・製品の実現に向け、材料、半導体、AI等の高度専門人財及び、エネルギー・熱マネジメントを含むシステム人財の獲得・育成も強化していきます。特に、モビリティ全体を統合・最適化できる統合システムエンジニアの育成を重視し、実践を通じた中長期的な人財育成により開発現場力の向上を図っています。
これらの取り組みは、日本地域のみならず、グローバルで推進していく体制も整えています。まずは技術領域の専門性に関する設計・開発人財について、グローバルでの人財の質・量の可視化に着手し、2030年に向けて人財ポートフォリオの変革を着実に進めていきます。
全社員のITデジタル活用力強化も経営課題として推進しています。当社では、2024年度より「DX基礎コース」を立ち上げ、2025年度からはグループ会社にも取り組みを拡大し、グループ会社を含め毎年約6,000人が自発的にDXを学び、職場のDXを進めています。また2025年度より、デジタル活用スキルを客観的に評価する「デジタル人財認定制度」を開始し、2030年度までに全社員がデジタル活用人財の認定を取得することを目標に取り組んでいます。加えて、2023年度より職場のDX事例を共有する場として、DENSOデジタルEXPOを開催、2025年度は、国内・海外グループ会社を含む67部門が約90展示を展開しました。2日間で延べ1万人超が来場し、部門を越えた事例共有と職場実践の促進につなげています。
c) ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み
当社のイノベーションの源泉は、異なる意見・アイデアを自由闊達に交わせる共創環境であると考えています。その環境を生み出すには、様々な個性を持つ人々が、互いに違いを認め、尊重し合うことが重要です。デンソーではこれまでも、ヒトづくりの柱の一つとして「多様性」を掲げ、異なる知恵やアイデアを融合させることで、実現力を向上させ、会社の成長を促進してきました。デンソーの中で少数派である女性の活躍推進においては、あらゆる階層や場面において、女性が男性と同じように意思決定プロセスに参画することで、男性多数の議論では出にくい発想や発言が加わり、より社会に喜ばれる価値が提供できるものと考え、グローバルで目標値を定めて各地域CEOリードのもとで取り組みを進めています。
d) 今後の重点課題 ~企業カルチャーの継承と進化~
ここまで、社員エンゲージメント向上及び人財ポートフォリオ変革の観点から、人の価値と人が生み出す付加価値=実現力を高める具体的な取り組みを説明しました。今後に目を向けると、社会の労働力人口はさらに減少する見込みの中、「働きがいや生きがいを感じられるか」、「目指すキャリアを実現して成長できるか」といった視点で企業が選ばれる時代、つまり、会社が人を選ぶのではなく人が会社を選ぶ時代を迎えます。人の力こそが企業の競争力の源泉であり、働く人が輝くことができる企業にならなければならないと考えています。
時代に応じた競争力を備えた企業であり続けるためには、これまでの活動を通じて築かれた企業カルチャーの継承と進化が必要です。そうした課題認識から、2025年度は前年度から継続して、世界のデンソーグループから次世代のリーダー層やワーキングメンバーが本社に集い、過去から未来へ継承すべきデンソーらしさを共有し、今後の変革を見据えた議論を行う「DENSO Culture Day 2025」を開催しました。このようにグローバルで、今日に至るまで変わらない「デンソーらしさ」は継承しつつ、企業カルチャーそのものを進化させることで、人の幸せ・成長につなげていくことに今後は注力していきます。


結果(アウトプット)の目標KPIと実績
女性管理職比率
今後も当社らしい人的資本経営に向けて人的資本への戦略的な投資を強化し、社員とチームの挑戦をさらに後押しすることで、人と組織の実現力を高め、企業価値を向上させるという新たな経営のステージを目指します。これからも、当社らしさを大切に、現場で人が育ち、社会課題解決に向けた新しい価値を生み出す人的資本経営を推進していきます。
<人的資本強化の取り組み概要>人的資本強化のための具体的な活動として、人と組織のビジョン&アクション“PROGRESS”のもと、人事施策・制度の積極的な改革に取り組んできました。この改革は、人の観点では、デンソーで働いて良かったと実感する社員がより多くなること=「社員エンゲージメント向上」、組織の観点では、事業・経営戦略実現に必要な人財の質・量が充足すること=「人財ポートフォリオ変革」を目指したものです。直近1年間の主な実績として、社員のキャリア実現支援や風通し良い職場づくり等を行った結果、2025年度の社員エンゲージメントは年度の目標を達成しました。人的資本への投資に関しても、未来に向けた人と組織の力を高める重要な投資として、報酬課題等に積極的に取り組んでいます。また、人財ポートフォリオも同様に、事業戦略と連動した人財の質・量の充足を図るべく、重要な事業領域ごとに重点課題を明確化し、現状とのギャップを埋める採用や育成施策の推進を図っています。
これら人的資本強化のためのあらゆる取り組みの成果として、当社では、すべての人と組織が、「社会課題の解決」と「人の幸せ・成長」につながる価値を持続的に提供できているかを確認するために、「人的投資生産性(注)」を指標としてモニタリングしています。
(注)人的投資生産性: 付加価値額(売上から原材料費等を差し引いた額)÷人的投資で算出
a) 社員エンゲージメント向上
「社会課題の解決」と「人の幸せ・成長」を実現するためには、仕事や組織に対する高い社員エンゲージメントが重要な原動力であり、海外を含めグローバルな経営課題としてその向上に取り組んでいます。
当社のエンゲージメント調査における総合的な肯定回答率は、2021年度の70%から、2025年度は78%まで向上しており、2030年度には80%まで到達することを目標に取り組みを進めています。2022年度以降は、エンゲージメントが全社平均を下回っている、若手社員・技能系社員・女性社員への働きかけに注力してきました。いずれも、その向上の要因として「成長実感」や「キャリア実現」が重要であることをデータ分析から特定した上で、若手社員への入社後3年間の育成プログラムの展開、技能系社員1万人へのキャリア研修等、エンゲージメント向上につながる取り組みを実施しました。
また、エンゲージメント向上への取り組みは、日本地域だけでなくグローバルでも強化しています。グローバルの全地域でエンゲージメント向上を重要な経営テーマとして捉え、それぞれで目標値を設定し、その向上のためのアクションとモニタリングを行っています。
2025年度には、海外メンバーが参加するワーキンググループ活動を通じて、各地域の重点施策やキャリア開発に関する好事例を共有し、エンゲージメント向上に向けたグローバル全体での取り組みの強化を図っています。
エンゲージメント向上率(肯定回答率) 対前年度比
| 当社 | 日本 当社を除く | 北米 | 欧州 | アジア | 中国 | インド | |
| 目標 | +2% | +2% | +3% | +2% | +1% | +1% | 90%以上 |
| 実績 | +2% (78%) | +1% | +3% | +2% | ±0% | +5% | +2% |
b) 人財ポートフォリオ変革
持続的な企業成長を支える事業ポートフォリオ変革を実現するためには、事業戦略と連動した人財の質と量の充足が必要です。そのため、人財の戦略的な採用・育成・配置を行い人財のポートフォリオを変革しています。
当社では、特に、電動化、ソフトウェア、半導体等の領域を中心に、人財の質と量の強化に取り組んでいます。2022年度には、事業戦略において重要とされる40の事業領域(例:ソフトウェア、半導体等)を定義し、その領域ごとの人財育成に関する責任者約80名を配置しました。その際、各領域で必要とされる専門性を535分類に定義し、約15,000人の事務・技術系社員が専門性に基づく能力伸長やキャリアデザインに取り組み始めました。2023年度からは、各領域の責任者を中心とするコミッティを立ち上げ、収集された専門性の情報をもとに、各領域で必要な人財の質・量の目標を明確化し、目標と現状のギャップを埋める採用や育成施策を領域ごとに進めています。例えば、ソフトウェアの領域では、ソフトウェアリカレントプログラムを通じ、2021年度から2024年度までに約220人の技術者がハードからソフトウェア技術者への転身に挑戦しました。2030年に向けては、メカ・エレクトロニクス・ソフトウェア人財の最適なポートフォリオを実現していきます。
また、今後の成長領域における技術・製品の実現に向け、材料、半導体、AI等の高度専門人財及び、エネルギー・熱マネジメントを含むシステム人財の獲得・育成も強化していきます。特に、モビリティ全体を統合・最適化できる統合システムエンジニアの育成を重視し、実践を通じた中長期的な人財育成により開発現場力の向上を図っています。
これらの取り組みは、日本地域のみならず、グローバルで推進していく体制も整えています。まずは技術領域の専門性に関する設計・開発人財について、グローバルでの人財の質・量の可視化に着手し、2030年に向けて人財ポートフォリオの変革を着実に進めていきます。
全社員のITデジタル活用力強化も経営課題として推進しています。当社では、2024年度より「DX基礎コース」を立ち上げ、2025年度からはグループ会社にも取り組みを拡大し、グループ会社を含め毎年約6,000人が自発的にDXを学び、職場のDXを進めています。また2025年度より、デジタル活用スキルを客観的に評価する「デジタル人財認定制度」を開始し、2030年度までに全社員がデジタル活用人財の認定を取得することを目標に取り組んでいます。加えて、2023年度より職場のDX事例を共有する場として、DENSOデジタルEXPOを開催、2025年度は、国内・海外グループ会社を含む67部門が約90展示を展開しました。2日間で延べ1万人超が来場し、部門を越えた事例共有と職場実践の促進につなげています。
c) ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み
当社のイノベーションの源泉は、異なる意見・アイデアを自由闊達に交わせる共創環境であると考えています。その環境を生み出すには、様々な個性を持つ人々が、互いに違いを認め、尊重し合うことが重要です。デンソーではこれまでも、ヒトづくりの柱の一つとして「多様性」を掲げ、異なる知恵やアイデアを融合させることで、実現力を向上させ、会社の成長を促進してきました。デンソーの中で少数派である女性の活躍推進においては、あらゆる階層や場面において、女性が男性と同じように意思決定プロセスに参画することで、男性多数の議論では出にくい発想や発言が加わり、より社会に喜ばれる価値が提供できるものと考え、グローバルで目標値を定めて各地域CEOリードのもとで取り組みを進めています。
d) 今後の重点課題 ~企業カルチャーの継承と進化~
ここまで、社員エンゲージメント向上及び人財ポートフォリオ変革の観点から、人の価値と人が生み出す付加価値=実現力を高める具体的な取り組みを説明しました。今後に目を向けると、社会の労働力人口はさらに減少する見込みの中、「働きがいや生きがいを感じられるか」、「目指すキャリアを実現して成長できるか」といった視点で企業が選ばれる時代、つまり、会社が人を選ぶのではなく人が会社を選ぶ時代を迎えます。人の力こそが企業の競争力の源泉であり、働く人が輝くことができる企業にならなければならないと考えています。
時代に応じた競争力を備えた企業であり続けるためには、これまでの活動を通じて築かれた企業カルチャーの継承と進化が必要です。そうした課題認識から、2025年度は前年度から継続して、世界のデンソーグループから次世代のリーダー層やワーキングメンバーが本社に集い、過去から未来へ継承すべきデンソーらしさを共有し、今後の変革を見据えた議論を行う「DENSO Culture Day 2025」を開催しました。このようにグローバルで、今日に至るまで変わらない「デンソーらしさ」は継承しつつ、企業カルチャーそのものを進化させることで、人の幸せ・成長につなげていくことに今後は注力していきます。


結果(アウトプット)の目標KPIと実績
| 目指す結果の状態定義 | 項目 | 2025年度実績 | 目標 | |
| エンゲージメント向上 当社で働いてよかった、夢がかなったという社員が増えている | 社員エンゲージメント指標(肯定回答率)(連結) | 「エンゲージメント向上率(肯定回答率)」 参照 | ||
| 人財ポートフォリオ変革 理念・戦略に必要な人財の質・量が充足されている | 経営のプロ グローバルな経営リーダーが計画的に育成・配置されている | 経営リーダー候補者人数 (連結) | 400人 | 2025年度:400人 (人財の多様性と登用確度の向上) |
| 海外拠点長の非日本人登用率(連結) | 33% | 2030年度:50% | ||
| 社員全体の専門性 レベル平均値(5段階で評価)(単体) | 2.8(5段階で評価) | 2025年度:3.0 | ||
| DX人財育成 デジタル活用人材の認定取得者比率(単体) | 25% | 2030年度:100% | ||
| 多彩なプロ 多様な個性・価値観・経験を持つ人財が輝き活躍できている | 女性管理職比率 | 「女性管理職比率」参照 | ||
女性管理職比率
| 日本 | 欧州 | アジア | 中国 | |
| 目標 | 2.3% | 12.0% | 30.0% | 30%以上 |
| 実績 | 2.3% | 10.5% | 29.5% | 33.6% |
今後も当社らしい人的資本経営に向けて人的資本への戦略的な投資を強化し、社員とチームの挑戦をさらに後押しすることで、人と組織の実現力を高め、企業価値を向上させるという新たな経営のステージを目指します。これからも、当社らしさを大切に、現場で人が育ち、社会課題解決に向けた新しい価値を生み出す人的資本経営を推進していきます。