四半期報告書-第82期第3四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)
(1)財政状況及び経営成績の状況
当社グループの当第3四半期連結累計期間における業績は、半導体システム機器部門を中心に販売が減少し、売上高は137,030百万円と前年同期比6.2%の減収、営業利益は12,005百万円、経常利益は11,557百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は8,426百万円と、それぞれ前年同期比32.8%、34.0%、37.5%の減益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(自動車計測システム機器部門)
アジアや欧州において、エンジン排ガス測定装置の販売が増加しました。この結果、売上高は52,086百万円と前年同期比7.7%の増収となりました。利益面では、前年同期に計上した米州における一時的な費用が無くなったことなどにより収益性が改善し、営業利益は2,799百万円と同60.5%の増益となりました。
(環境・プロセスシステム機器部門)
日本と欧州において販売が増加したことから、売上高は13,871百万円と前年同期比2.8%の増収となりました。利益面では、研究開発費の増加などにより、営業利益は975百万円と同17.5%の減益となりました。
(医用システム機器部門)
ユーロ安により売上高が円換算で目減りしたことなどから、売上高は18,703百万円と前年同期比2.8%の減収となりました。利益面では、研究開発費の増加などにより、営業利益は1,049百万円と同20.0%の減益となりました。
(半導体システム機器部門)
半導体メーカーにおける設備投資の調整を背景に、半導体製造装置メーカー向けの販売が減少しました。この結果、売上高は33,543百万円と前年同期比26.1%の減収、営業利益は7,437百万円と同47.1%の減益となりました。
(科学システム機器部門)
アジアを中心に、販売が減少したことから、売上高は18,824百万円と前年同期比3.7%の減収、営業損失は257百万円となりました(前年同期は414百万円の営業損失)。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5,100百万円減少し、272,268百万円となりました。売上債権回収により、受取手形及び売掛金が減少したことなどによります。
負債総額は前連結会計年度末に比べ4,416百万円減少し、110,933百万円となりました。仕入債務の支払いや借入金の返済を行ったことなどによります。
純資産は前連結会計年度末に比べ684百万円減少し、161,334百万円となりました。利益剰余金が増加したものの、円高により、為替換算調整勘定が減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.8ポイント増加し、59.0%となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当社グループはこれまで、社是「おもしろおかしく」の精神と“HORIBA Group is One Company.”の経営方針を浸透させてきました。また、5つの事業部門(自動車計測、環境・プロセス、医用、半導体、科学)と、3つの地域(アジア、欧州、米州)によるマトリックス組織を通じてグループ一体となった経営を行い、事業成長を実現してきました。
一方で、当社グループを取り巻く事業環境は劇的に変化しています。自動車産業においては技術の潮目が変わり、電動化や自動運転といった次世代技術に大きな進展を見ることができます。また、AIやIoTといった先進技術の普及促進により、半導体、バイオ、ヘルスケアといった市場においても地殻変動が起きています。さらに、中国やインドを中心としたアジア諸国は先進国に肩を並べる勢いで成長を遂げ、世界の市場構造そのものが大きく変わり始めています。
このような状況下で、当社グループは2015年のホリバMIRA社(イギリス)や、2018年のホリバ・フューエルコン社(ドイツ)の買収による自動車計測事業の強化、医用事業のアライアンス拡大、半導体事業における供給力増強など、ビジネスモデルの変化を伴う決断を行ってきました。2018年度には、売上高2,105億円、営業利益288億円となり、2020年度に売上高2,500億円、営業利益300億円をめざす現行の中長期経営計画「MLMAP※12020」に対して、早い段階で達成水準に近づくことができました。
今後、さらに加速度を増して変化する外部環境にスピーディに対応し、さらなる事業成長と企業価値向上を実現するため、当社グループは2019年8月に「ONE STAGE AHEAD」をスローガンに据えた中長期経営計画「MLMAP2023」を策定し、2023年度を最終年度として新たなスタートを切る決断をしました。3つの重点施策の実現を通じて、2023年度に売上高3,000億円、営業利益400億円の達成をめざします。
MLMAP2023を達成するための重点施策として、以下の3点を設定しています。
●重点施策1:「Market Oriented Business」
メガトレンドをリードする3フィールドに、コア技術を活用した分析・計測ソリューションを展開
当社グループが5つの事業部門でグローバルに保有する技術、営業チャネル、生産拠点、顧客ネットワークを有機的に組み合わせ、お客様のニーズに応える独自の分析・計測ソリューションを提供します。当社グループの強みである「はかる」技術を通じて、メガトレンドをリードする3フィールドにおいて、イノベーションを加速させる企業体への変革をめざします。
⦅3フィールドにおける主な施策⦆
Energy/Environment
■ ホリバMIRA社、ホリバ・フューエルコン社とのシナジーを最大化させた自動車計測事業に加え、科学事業のリソースも活用し、エネルギー効率向上への寄与が期待される、電動化や自動運転などの次世代自動車技術におけるビジネスを拡大します。また、自動車開発全般におけるフロントローディング(開発プロセス短縮による工数低減)を実現する最適アプリケーションの提供を通じて、お客様の課題を解決し、自動車開発に欠かせないパートナーとしての地位確立をめざします。
■ 環境・プロセス事業においては、ガス、水、大気、石油化学領域における多様な製品ラインアップを生かし、新興国における規制対応から、先進国における生産性向上に至るまで、グローバルレベルでの環境保全/改善に貢献します。
Materials/Semiconductor
■ 自動車の電動化加速により拡大する二次電池開発需要や、半導体材料や有機材料の解析などの分野では、当社グループがグローバルに展開するアカデミアや自動車/半導体産業といった幅広い顧客層に、科学事業が保有する最先端の分析・計測装置を提供することで、事業拡大を実現します。
■ 半導体事業においては、グローバルに展開する強固な開発/供給体制を基盤に、主力製品であるマスフローコントローラーと薬液濃度モニターのさらなるシェア拡大をめざします。また、半導体製造装置周辺に搭載された、当社グループの計測/制御機器が生み出す様々なデータを活用できる環境を提供し、半導体生産プロセスの改善に貢献します。
Bio/Healthcare
■ 医用事業においては、当社グループの強みである検体検査市場でのさらなるビジネス拡大をめざします。ローム株式会社からの事業承継により取得した、微量血液検査システムの技術を生かして製品ラインアップを拡充するとともに、シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社(アメリカ)との長期的パートナー契約により対象市場を拡大します。得意分野の開業医/中小型病院市場に加えて、中大型病院市場にも切り込み、グローバルな事業成長を加速させます。
■ 創薬/製薬分野においては、主に科学事業が保有するノウハウを活用し、粒子計測や分光分析技術の応用により、独創的なソリューションを提供します。
そして、当社グループの創業技術を有する科学事業においては、3フィールドにおいて各事業のリソースと連携しながらシナジーを最大化させ、「技術のHORIBA」をリードする役割を果たします。
●重点施策2:「Solution Provider Beyond Life Cycle Management」
製品導入からリプレイスまで、全方位でお客様のコアビジネスをサポート
当社グループでは、1,000を超える製品群の中からお客様に最適なソリューションパッケージを提供し、保守点検からリプレイスまでトータルにサポートするビジネスモデルを築いてきました。今後は、今まで見えなかった情報の定量化により、新たなアプローチからお客様の課題解決に貢献する、データマネジメントの領域にもビジネスを拡大します。製品の稼動データによる正確な機器管理により、顧客設備の効率運用をサポートすることに加え、計測データの解析により新しい価値の提供を実現し、機器販売と高付加価値なサポートの融合を実現します。「Always with You」をキーワードに、常にお客様に寄り添ったソリューションを提供していきます。
●重点施策3:「HORIBA Core Values」“The Next Stage of Super Dream Team”
すべての事業活動推進の原動力となる「強い人財※2」を作る組織体制の強化
重点施策1、2で挙げた事業活動を推進していく原動力は人財にあります。これまで当社グループは、人財育成の面においても様々な施策に取り組んできました。ブラックジャックプロジェクト※3は、フロントライン、すなわち現場の最前線の情報を経営陣と共有するシステムとして機能し、当社グループの新しい企業文化として根付いてきました。今後は、成長著しいアジア地域でのアクティビティを強化し、全グループへのさらなる浸透を進め、経営目標を現場に繋げる活動を推進していきます。ダイバーシティ推進プロジェクトであるステンドグラスプロジェクト※4についても、グループ会社間での人財交流活性化を通じて、活動をさらに発展させています。ホリバリアン※5がより働きやすく、働き甲斐を感じられる職場環境を整備することで、多様な人財によるSuper Dream Teamを実現し、既存ビジネスの変革や新ビジネスの創出を加速します。
これらの企業文化を含めた資産価値の最大化を実現するために導入した経営指標、HORIBA Premium Valueを用いて、事業部門やグループ各社、そして当社グループ全体の資産効率の最適化に向けた活動を加速します。迅速な経営判断により機動的な資源投入を実現するだけでなく、利益拡大と継続投資双方のバランス成長を実現します。
「MLMAP2023」における事業部門別の数値計画は以下のように設定しています。
⦅用語説明⦆
※1 MLMAP(Mid-Long Term Management Plan):当社グループでは中長期経営計画を「MLMAP」として社内浸透させています。
※2 人財:当社グループでは、従業員を大切な財産と考えて「人財」と表現しています。
※3 ブラックジャックプロジェクト:「従業員の意識と行動の変革」を目的として1997年に開始した当社グループ独自の業務改善活動で、当初から専任組織を設置して活動の促進を図ってきました。経営者が最前線の現場(フロントライン)からの直接の情報を得る機会であるとともに、グローバルでの経験/知識を共有する大切な役割も担っており、Super Dream Team実現のための重要な活動のひとつです。
※4 ステンドグラスプロジェクト:「性別、年齢、国籍、障害などを乗り越えて多様な個性と才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現する」をミッションに掲げたプロジェクトです。2014年開始。
※5 ホリバリアン:当社グループで働くすべての人を同じファミリーであると考え、ホリバリアンと呼んでいます。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
当社は2015年12月22日開催の取締役会において、以下のとおり「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」を決議しました。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針>当社は、株主、投資家、お客様、取引先、従業員等の様々なステークホルダー(利害関係者)との相互関係に基づき成り立っています。当社は、世界で事業展開する分析機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、さまざまな産業分野の市場に対して、付加価値の高い製品やサービス、分析技術を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」などに貢献することを使命とし、それによって、全てのステークホルダーに対する企業としての社会的責任(社会貢献)を果たすことができると考えています。
また、当社は、将来の収益を生み出す源泉であり企業の永続を担保する人財・技術力やそれを支える企業文化といった「見えない資産」を大切に育成し、これらを包括する「HORIBAブランド」の価値を高める活動を展開しています。これにより、企業価値向上と様々なステークホルダーとの強い信頼関係の構築をめざします。
当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社に対して投資していただいている株主の皆様には、当社の企業理念及び経営方針にご賛同いただいたうえで、そのご判断により当社の経営を当社経営陣に対して委ねていただいているものと考えます。言い換えれば、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方について、株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと当社は考えており、当社株式の大量取得行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かについても、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えています。
一方、わが国の資本市場において、企業価値の源泉となるステークホルダーの存在を無視して、自己の短期的な利益のみを追求していると思われる株式の大量取得行為があり得ると認識しています。当社としては、上述の社会的責任を果たし、企業価値を向上させることが、このような濫用的な株式の大量取得行為への最善の対応であり、いわゆる買収防衛策の導入は不要と判断しています。
ただ、仮に、このような濫用的な株式の大量取得行為の提案がなされた場合には、株主、投資家の皆様に適切にご判断いただくために、当社経営陣はそのような濫用的な提案の内容や条件について十分検討し、その検討結果及び見解を株主、投資家の皆様に提供することが、重要な責務であると考えています。
また、当社では、株主の皆様に対して善管注意義務を負う経営者の当然の責務として、株式の買付けや買収提案に際しては、当社の企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に判断し、適切な措置を講じます。
そのため、社外の専門家も起用して株式の買付けや買収提案の評価及び買付者や買収提案者との交渉を行うほか、当社の企業価値、株主共同の利益を損なうと判断される株式の買付けや買収提案に対しては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切と考え、関連する法令に従い、適切に対応します。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、12,284百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更は
ありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの資金調達の基本方針について重要な変更はありません。
当社グループの当第3四半期連結累計期間における業績は、半導体システム機器部門を中心に販売が減少し、売上高は137,030百万円と前年同期比6.2%の減収、営業利益は12,005百万円、経常利益は11,557百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は8,426百万円と、それぞれ前年同期比32.8%、34.0%、37.5%の減益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(自動車計測システム機器部門)
アジアや欧州において、エンジン排ガス測定装置の販売が増加しました。この結果、売上高は52,086百万円と前年同期比7.7%の増収となりました。利益面では、前年同期に計上した米州における一時的な費用が無くなったことなどにより収益性が改善し、営業利益は2,799百万円と同60.5%の増益となりました。
(環境・プロセスシステム機器部門)
日本と欧州において販売が増加したことから、売上高は13,871百万円と前年同期比2.8%の増収となりました。利益面では、研究開発費の増加などにより、営業利益は975百万円と同17.5%の減益となりました。
(医用システム機器部門)
ユーロ安により売上高が円換算で目減りしたことなどから、売上高は18,703百万円と前年同期比2.8%の減収となりました。利益面では、研究開発費の増加などにより、営業利益は1,049百万円と同20.0%の減益となりました。
(半導体システム機器部門)
半導体メーカーにおける設備投資の調整を背景に、半導体製造装置メーカー向けの販売が減少しました。この結果、売上高は33,543百万円と前年同期比26.1%の減収、営業利益は7,437百万円と同47.1%の減益となりました。
(科学システム機器部門)
アジアを中心に、販売が減少したことから、売上高は18,824百万円と前年同期比3.7%の減収、営業損失は257百万円となりました(前年同期は414百万円の営業損失)。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5,100百万円減少し、272,268百万円となりました。売上債権回収により、受取手形及び売掛金が減少したことなどによります。
負債総額は前連結会計年度末に比べ4,416百万円減少し、110,933百万円となりました。仕入債務の支払いや借入金の返済を行ったことなどによります。
純資産は前連結会計年度末に比べ684百万円減少し、161,334百万円となりました。利益剰余金が増加したものの、円高により、為替換算調整勘定が減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.8ポイント増加し、59.0%となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当社グループはこれまで、社是「おもしろおかしく」の精神と“HORIBA Group is One Company.”の経営方針を浸透させてきました。また、5つの事業部門(自動車計測、環境・プロセス、医用、半導体、科学)と、3つの地域(アジア、欧州、米州)によるマトリックス組織を通じてグループ一体となった経営を行い、事業成長を実現してきました。
一方で、当社グループを取り巻く事業環境は劇的に変化しています。自動車産業においては技術の潮目が変わり、電動化や自動運転といった次世代技術に大きな進展を見ることができます。また、AIやIoTといった先進技術の普及促進により、半導体、バイオ、ヘルスケアといった市場においても地殻変動が起きています。さらに、中国やインドを中心としたアジア諸国は先進国に肩を並べる勢いで成長を遂げ、世界の市場構造そのものが大きく変わり始めています。
このような状況下で、当社グループは2015年のホリバMIRA社(イギリス)や、2018年のホリバ・フューエルコン社(ドイツ)の買収による自動車計測事業の強化、医用事業のアライアンス拡大、半導体事業における供給力増強など、ビジネスモデルの変化を伴う決断を行ってきました。2018年度には、売上高2,105億円、営業利益288億円となり、2020年度に売上高2,500億円、営業利益300億円をめざす現行の中長期経営計画「MLMAP※12020」に対して、早い段階で達成水準に近づくことができました。
今後、さらに加速度を増して変化する外部環境にスピーディに対応し、さらなる事業成長と企業価値向上を実現するため、当社グループは2019年8月に「ONE STAGE AHEAD」をスローガンに据えた中長期経営計画「MLMAP2023」を策定し、2023年度を最終年度として新たなスタートを切る決断をしました。3つの重点施策の実現を通じて、2023年度に売上高3,000億円、営業利益400億円の達成をめざします。
MLMAP2023を達成するための重点施策として、以下の3点を設定しています。
●重点施策1:「Market Oriented Business」
メガトレンドをリードする3フィールドに、コア技術を活用した分析・計測ソリューションを展開
当社グループが5つの事業部門でグローバルに保有する技術、営業チャネル、生産拠点、顧客ネットワークを有機的に組み合わせ、お客様のニーズに応える独自の分析・計測ソリューションを提供します。当社グループの強みである「はかる」技術を通じて、メガトレンドをリードする3フィールドにおいて、イノベーションを加速させる企業体への変革をめざします。
⦅3フィールドにおける主な施策⦆
Energy/Environment
■ ホリバMIRA社、ホリバ・フューエルコン社とのシナジーを最大化させた自動車計測事業に加え、科学事業のリソースも活用し、エネルギー効率向上への寄与が期待される、電動化や自動運転などの次世代自動車技術におけるビジネスを拡大します。また、自動車開発全般におけるフロントローディング(開発プロセス短縮による工数低減)を実現する最適アプリケーションの提供を通じて、お客様の課題を解決し、自動車開発に欠かせないパートナーとしての地位確立をめざします。
■ 環境・プロセス事業においては、ガス、水、大気、石油化学領域における多様な製品ラインアップを生かし、新興国における規制対応から、先進国における生産性向上に至るまで、グローバルレベルでの環境保全/改善に貢献します。
Materials/Semiconductor
■ 自動車の電動化加速により拡大する二次電池開発需要や、半導体材料や有機材料の解析などの分野では、当社グループがグローバルに展開するアカデミアや自動車/半導体産業といった幅広い顧客層に、科学事業が保有する最先端の分析・計測装置を提供することで、事業拡大を実現します。
■ 半導体事業においては、グローバルに展開する強固な開発/供給体制を基盤に、主力製品であるマスフローコントローラーと薬液濃度モニターのさらなるシェア拡大をめざします。また、半導体製造装置周辺に搭載された、当社グループの計測/制御機器が生み出す様々なデータを活用できる環境を提供し、半導体生産プロセスの改善に貢献します。
Bio/Healthcare
■ 医用事業においては、当社グループの強みである検体検査市場でのさらなるビジネス拡大をめざします。ローム株式会社からの事業承継により取得した、微量血液検査システムの技術を生かして製品ラインアップを拡充するとともに、シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社(アメリカ)との長期的パートナー契約により対象市場を拡大します。得意分野の開業医/中小型病院市場に加えて、中大型病院市場にも切り込み、グローバルな事業成長を加速させます。
■ 創薬/製薬分野においては、主に科学事業が保有するノウハウを活用し、粒子計測や分光分析技術の応用により、独創的なソリューションを提供します。
そして、当社グループの創業技術を有する科学事業においては、3フィールドにおいて各事業のリソースと連携しながらシナジーを最大化させ、「技術のHORIBA」をリードする役割を果たします。
●重点施策2:「Solution Provider Beyond Life Cycle Management」
製品導入からリプレイスまで、全方位でお客様のコアビジネスをサポート
当社グループでは、1,000を超える製品群の中からお客様に最適なソリューションパッケージを提供し、保守点検からリプレイスまでトータルにサポートするビジネスモデルを築いてきました。今後は、今まで見えなかった情報の定量化により、新たなアプローチからお客様の課題解決に貢献する、データマネジメントの領域にもビジネスを拡大します。製品の稼動データによる正確な機器管理により、顧客設備の効率運用をサポートすることに加え、計測データの解析により新しい価値の提供を実現し、機器販売と高付加価値なサポートの融合を実現します。「Always with You」をキーワードに、常にお客様に寄り添ったソリューションを提供していきます。
●重点施策3:「HORIBA Core Values」“The Next Stage of Super Dream Team”
すべての事業活動推進の原動力となる「強い人財※2」を作る組織体制の強化
重点施策1、2で挙げた事業活動を推進していく原動力は人財にあります。これまで当社グループは、人財育成の面においても様々な施策に取り組んできました。ブラックジャックプロジェクト※3は、フロントライン、すなわち現場の最前線の情報を経営陣と共有するシステムとして機能し、当社グループの新しい企業文化として根付いてきました。今後は、成長著しいアジア地域でのアクティビティを強化し、全グループへのさらなる浸透を進め、経営目標を現場に繋げる活動を推進していきます。ダイバーシティ推進プロジェクトであるステンドグラスプロジェクト※4についても、グループ会社間での人財交流活性化を通じて、活動をさらに発展させています。ホリバリアン※5がより働きやすく、働き甲斐を感じられる職場環境を整備することで、多様な人財によるSuper Dream Teamを実現し、既存ビジネスの変革や新ビジネスの創出を加速します。
これらの企業文化を含めた資産価値の最大化を実現するために導入した経営指標、HORIBA Premium Valueを用いて、事業部門やグループ各社、そして当社グループ全体の資産効率の最適化に向けた活動を加速します。迅速な経営判断により機動的な資源投入を実現するだけでなく、利益拡大と継続投資双方のバランス成長を実現します。
「MLMAP2023」における事業部門別の数値計画は以下のように設定しています。
(単位:億円) | ||||
2018年度(実績) | 2023年度(計画) | |||
(事業部門) | 売上高 | 営業利益 | 売上高 | 営業利益 |
自動車計測 | 796 | 77 | 1,200 | 120 |
環境・プロセス | 193 | 20 | 280 | 28 |
医用 | 260 | 18 | 400 | 40 |
半導体 | 577 | 170 | 770 | 177 |
科学 | 277 | 2 | 350 | 35 |
合 計 | 2,105 | 288 | 3,000 | 400 |
R O E | 14.3% | 10%以上 |
⦅用語説明⦆
※1 MLMAP(Mid-Long Term Management Plan):当社グループでは中長期経営計画を「MLMAP」として社内浸透させています。
※2 人財:当社グループでは、従業員を大切な財産と考えて「人財」と表現しています。
※3 ブラックジャックプロジェクト:「従業員の意識と行動の変革」を目的として1997年に開始した当社グループ独自の業務改善活動で、当初から専任組織を設置して活動の促進を図ってきました。経営者が最前線の現場(フロントライン)からの直接の情報を得る機会であるとともに、グローバルでの経験/知識を共有する大切な役割も担っており、Super Dream Team実現のための重要な活動のひとつです。
※4 ステンドグラスプロジェクト:「性別、年齢、国籍、障害などを乗り越えて多様な個性と才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現する」をミッションに掲げたプロジェクトです。2014年開始。
※5 ホリバリアン:当社グループで働くすべての人を同じファミリーであると考え、ホリバリアンと呼んでいます。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
当社は2015年12月22日開催の取締役会において、以下のとおり「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」を決議しました。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針>当社は、株主、投資家、お客様、取引先、従業員等の様々なステークホルダー(利害関係者)との相互関係に基づき成り立っています。当社は、世界で事業展開する分析機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、さまざまな産業分野の市場に対して、付加価値の高い製品やサービス、分析技術を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」などに貢献することを使命とし、それによって、全てのステークホルダーに対する企業としての社会的責任(社会貢献)を果たすことができると考えています。
また、当社は、将来の収益を生み出す源泉であり企業の永続を担保する人財・技術力やそれを支える企業文化といった「見えない資産」を大切に育成し、これらを包括する「HORIBAブランド」の価値を高める活動を展開しています。これにより、企業価値向上と様々なステークホルダーとの強い信頼関係の構築をめざします。
当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社に対して投資していただいている株主の皆様には、当社の企業理念及び経営方針にご賛同いただいたうえで、そのご判断により当社の経営を当社経営陣に対して委ねていただいているものと考えます。言い換えれば、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方について、株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと当社は考えており、当社株式の大量取得行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かについても、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えています。
一方、わが国の資本市場において、企業価値の源泉となるステークホルダーの存在を無視して、自己の短期的な利益のみを追求していると思われる株式の大量取得行為があり得ると認識しています。当社としては、上述の社会的責任を果たし、企業価値を向上させることが、このような濫用的な株式の大量取得行為への最善の対応であり、いわゆる買収防衛策の導入は不要と判断しています。
ただ、仮に、このような濫用的な株式の大量取得行為の提案がなされた場合には、株主、投資家の皆様に適切にご判断いただくために、当社経営陣はそのような濫用的な提案の内容や条件について十分検討し、その検討結果及び見解を株主、投資家の皆様に提供することが、重要な責務であると考えています。
また、当社では、株主の皆様に対して善管注意義務を負う経営者の当然の責務として、株式の買付けや買収提案に際しては、当社の企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に判断し、適切な措置を講じます。
そのため、社外の専門家も起用して株式の買付けや買収提案の評価及び買付者や買収提案者との交渉を行うほか、当社の企業価値、株主共同の利益を損なうと判断される株式の買付けや買収提案に対しては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切と考え、関連する法令に従い、適切に対応します。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、12,284百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更は
ありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの資金調達の基本方針について重要な変更はありません。