有価証券報告書-第90期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。
今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考えております。当社グループが大切な価値観として掲げる「CS(Customer Satisfaction=お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とES(Employee Satisfaction=仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること)」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。
なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
「当社グループの価値創造プロセス」

(2) 中長期的な会社の経営戦略
Ⅰ Vision2030(長期構想)
当社グループは2021年度に、長期構想「Vision2030」を策定いたしました。
Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。
「Vision2030ありたい姿」

成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化
大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、5つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。
「3層ポートフォリオ」

「5つの事業機会」

成長戦略② 4つの経営変革の実行
・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」
当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。
・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」
会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。

・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」
激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。
・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」
当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。
Ⅱ 中期方針2027
① 位置づけ
「中期方針2027」は、Vision2030で描いた「ありたい姿」の実現に向けた「解像度を上げる3年」と位置付けています。AIの登場により、当社グループが2030年の世界観として想定する「デジタルツイン」の実現がより加速していくと考えております。2030年の世界観に至る2027年までの3年間がエレクトロニクス産業の大きな変革期となる中で、当社グループが「お客様や社会にとって最善の選択となる」ための取り組みを3つの基本方針として掲げ、解像度を上げて実行してまいります。

② 全社経営目標
中期方針2027における全社経営目標は、以下のとおりです。
※1 ROIC(税引後)=営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・
使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)
※2 Greenhouse Gas 温室効果ガス
※3 カーボンニュートラル
※4 主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合
※5 当社グループの排出物(廃棄物 + 有価物)が循環資源化された重量割合
※6 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の
累積数
※7 村田製作所単体
③ 3つの「基本方針」
・基本方針1「AIがドライブするエレクトロニクスにおける飛躍的な成長」
AI技術の発展に伴い、サイバー(仮想)空間とフィジカル(物理)空間が途切れなくつながる「デジタルツイン」の世界観が実現していくことで、当社グループの事業機会はより一層拡大すると想定しております。
「エッジデバイス」、「モビリティ」、「ITインフラ」を当社グループの基盤領域として捉え、コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立、機能デバイス、高周波・通信、エナジー・パワーにおける高い売上成長の実現を目指してまいります。
また、「環境」、「ウェルネス」、「3層目事業」を挑戦領域として捉え、事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに、2030年以降の超長期を見据えた技術の探索を進めてまいります。
・基本方針2「持続可能な事業プロセスの追求」
当社グループでは、軽薄短小・高効率な製品の追求による電子機器の小型化への貢献、持続可能な事業プロセスを通じた環境負荷低減の取り組みに率先して取り組むことで、これまで事業成長を遂げてまいりました。今後は、「気候変動対策」と「資源循環」の2つを主要テーマとして掲げ、ステークホルダーとの共創を通じて取り組みを加速させてまいります。
また、ハザードリスクの脅威や地政学リスクの複雑化が見られる経営環境において、安定的な製品の供給を実現するために、グローバルでの拠点間ネットワークの強化や、適正な在庫政策、サプライチェーンの強靭化・複線化に向けた取り組みを一層強化してまいります。
・基本方針3「経営資本の中核である人・組織力の強化」
当社グループでは、「組織・人的資本」がすべての経営資本をつなぐ中核であると考え、イノベーションにあふれる個と組織への変容を促進することによって、Vision2030の実現を目指しております。自律分散型の組織運営において、個と組織が取るべき行動を明らかにした「個と組織の好循環」モデルを新たに描き、「ダイナミックな適所適材」、「未来変革リーダーの育成」、「個と組織の好循環モデルの実現」を3つの重点テーマとして掲げ、取り組みを推進してまいります。
また、DXの推進によって、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、デマンドチェーンの可視化・効率化を通じた事業プロセスのハイサイクル化の実現を目指します。これにより、業務本来の目的やお客様に向き合う時間を増やし、CSとESの最大化につなげてまいります。
④ 経済価値目標及びキャピタル・アロケーションに対する進捗状況
「経済価値目標」
(注)ROIC(税引後)= 営業利益 ×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・
のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)
当連結会計年度の実績としては、後掲「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で記載のとおり、売上収益は前連結会計年度の実績を上回りましたが、営業利益率及びROIC(税引後)は前連結会計年度の実績を下回る結果となりました。足元では、各国での通商政策の動向や不安定な中東情勢などの地政学リスクの高まりにより事業環境が不透明ですが、当社グループが属するエレクトロニクス市場における中長期的な電子部品の需要は拡大傾向であり、中期方針2027で掲げた「基本方針」に基づく取り組みを継続して進めながら、経済価値目標の達成に向けて収益性及び生産性の向上を強化してまいります。
「キャピタル・アロケーション」
⑤ 社会価値目標に対する進捗状況
「社会価値1:環境」
「GHG排出量(2019年度比)」、「再生可能エネルギー導入比率」、「持続可能な資源利用率」及び「循環資源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「脱炭素社会の実現」及び「循環型社会の実現」をご参照ください。
「社会価値2:多様性」
「グローバル経験者数」及び「女性管理職比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。
「社会価値3:ES」
「従業員エンゲージメント肯定回答比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。
(3) 当社グループのマテリアリティ
当社グループでは、重要な環境・社会課題(マテリアリティ)を特定し、製品・サービス及び事業プロセスの両面から取り組みを推進しています。マテリアリティは三か年の中期方針策定にあわせて見直しを行っています。中期方針2027でも引き続き経営変革の一環として社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営を掲げ、マテリアリティを「エレクトロニクス社会の発展」「持続可能な地球環境の実現」「社会との共栄」に分け取り組みを推進してまいります。
<特定プロセス>
STEP1:環境・社会課題抽出
ESRS、SASB、SDGs、グローバルリスクから環境・社会課題を抽出しました。
STEP2:環境・社会へのインパクト / 自社財務への機会・リスクの特定・評価
CSRD、ESRSが提唱する「ダブルマテリアリティ」の考え方に則り、外部ステークホルダーからの意見を踏まえて、当社グループのバリューチェーン全体での「環境・社会へのインパクト」と「自社財務への機会・リスク」を特定し、評価しました。
STEP3:マテリアリティの特定
代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会及び経営会議で議論を重ね、マテリアリティを特定し、取締役会で決定しました。
「エレクトロニクス社会の発展」
「持続可能な地球環境の実現」
「社会との共栄」
※1 GHG:Greenhouse gas。温室効果ガスの総称。
※2 2026年6月時点の暫定値。
※3 持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合。
※4 循環資源化率:当社グループの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合。
※5 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の累積数。
※6 提出会社。
※7 健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標。評価対象を国内従業員とし、肯定回答率で把握。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。
今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考えております。当社グループが大切な価値観として掲げる「CS(Customer Satisfaction=お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とES(Employee Satisfaction=仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること)」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。
なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
「当社グループの価値創造プロセス」

(2) 中長期的な会社の経営戦略
Ⅰ Vision2030(長期構想)
当社グループは2021年度に、長期構想「Vision2030」を策定いたしました。
Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。
「Vision2030ありたい姿」

成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化
大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、5つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。
「3層ポートフォリオ」

「5つの事業機会」

成長戦略② 4つの経営変革の実行
・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」
当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。
・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」
会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。

・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」
激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。
・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」
当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。
Ⅱ 中期方針2027
① 位置づけ
「中期方針2027」は、Vision2030で描いた「ありたい姿」の実現に向けた「解像度を上げる3年」と位置付けています。AIの登場により、当社グループが2030年の世界観として想定する「デジタルツイン」の実現がより加速していくと考えております。2030年の世界観に至る2027年までの3年間がエレクトロニクス産業の大きな変革期となる中で、当社グループが「お客様や社会にとって最善の選択となる」ための取り組みを3つの基本方針として掲げ、解像度を上げて実行してまいります。

② 全社経営目標
中期方針2027における全社経営目標は、以下のとおりです。
※1 ROIC(税引後)=営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)
※2 Greenhouse Gas 温室効果ガス
※3 カーボンニュートラル
※4 主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合
※5 当社グループの排出物(廃棄物 + 有価物)が循環資源化された重量割合
※6 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の
累積数
※7 村田製作所単体
③ 3つの「基本方針」
・基本方針1「AIがドライブするエレクトロニクスにおける飛躍的な成長」
AI技術の発展に伴い、サイバー(仮想)空間とフィジカル(物理)空間が途切れなくつながる「デジタルツイン」の世界観が実現していくことで、当社グループの事業機会はより一層拡大すると想定しております。
「エッジデバイス」、「モビリティ」、「ITインフラ」を当社グループの基盤領域として捉え、コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立、機能デバイス、高周波・通信、エナジー・パワーにおける高い売上成長の実現を目指してまいります。
また、「環境」、「ウェルネス」、「3層目事業」を挑戦領域として捉え、事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに、2030年以降の超長期を見据えた技術の探索を進めてまいります。
・基本方針2「持続可能な事業プロセスの追求」
当社グループでは、軽薄短小・高効率な製品の追求による電子機器の小型化への貢献、持続可能な事業プロセスを通じた環境負荷低減の取り組みに率先して取り組むことで、これまで事業成長を遂げてまいりました。今後は、「気候変動対策」と「資源循環」の2つを主要テーマとして掲げ、ステークホルダーとの共創を通じて取り組みを加速させてまいります。
また、ハザードリスクの脅威や地政学リスクの複雑化が見られる経営環境において、安定的な製品の供給を実現するために、グローバルでの拠点間ネットワークの強化や、適正な在庫政策、サプライチェーンの強靭化・複線化に向けた取り組みを一層強化してまいります。
・基本方針3「経営資本の中核である人・組織力の強化」
当社グループでは、「組織・人的資本」がすべての経営資本をつなぐ中核であると考え、イノベーションにあふれる個と組織への変容を促進することによって、Vision2030の実現を目指しております。自律分散型の組織運営において、個と組織が取るべき行動を明らかにした「個と組織の好循環」モデルを新たに描き、「ダイナミックな適所適材」、「未来変革リーダーの育成」、「個と組織の好循環モデルの実現」を3つの重点テーマとして掲げ、取り組みを推進してまいります。
また、DXの推進によって、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、デマンドチェーンの可視化・効率化を通じた事業プロセスのハイサイクル化の実現を目指します。これにより、業務本来の目的やお客様に向き合う時間を増やし、CSとESの最大化につなげてまいります。
④ 経済価値目標及びキャピタル・アロケーションに対する進捗状況
「経済価値目標」
| 中期方針2027 目標 | 2025年3月期 実績 | 2026年3月期 実績 | |
| 売上収益 | 2,000,000百万円 | 1,743,352百万円 | 1,830,856百万円 |
| 営業利益率 | 18%以上 | 16.0% | 15.4% |
| ROIC(税引後)(注) | 12%以上 | 10.0% | 9.7% |
(注)ROIC(税引後)= 営業利益 ×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・
のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)
当連結会計年度の実績としては、後掲「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で記載のとおり、売上収益は前連結会計年度の実績を上回りましたが、営業利益率及びROIC(税引後)は前連結会計年度の実績を下回る結果となりました。足元では、各国での通商政策の動向や不安定な中東情勢などの地政学リスクの高まりにより事業環境が不透明ですが、当社グループが属するエレクトロニクス市場における中長期的な電子部品の需要は拡大傾向であり、中期方針2027で掲げた「基本方針」に基づく取り組みを継続して進めながら、経済価値目標の達成に向けて収益性及び生産性の向上を強化してまいります。
「キャピタル・アロケーション」
| 中期方針2027では、事業拡大及び企業価値最大化を目指したキャピタル・アロケーション計画を右図のとおり定めています。 当連結会計年度において、設備投資の累計は2,478億円となりました。戦略投資は、実行済及び実行決裁済案件の累計が283億円となりました。また株主還元は、配当金の支払い累計が1,107億円、自己株式取得が1,000億円となりました。 現在の市場環境下において、AIサーバー及び周辺機器における電子部品の搭載数の増加により、データセンター関連の需要が大きく拡大しております。今後も主力事業であるコンポーネント、デバイス・モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指していくとともに、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実 施することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。 | ![]() |
⑤ 社会価値目標に対する進捗状況
「社会価値1:環境」
「GHG排出量(2019年度比)」、「再生可能エネルギー導入比率」、「持続可能な資源利用率」及び「循環資源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「脱炭素社会の実現」及び「循環型社会の実現」をご参照ください。
「社会価値2:多様性」
「グローバル経験者数」及び「女性管理職比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。
「社会価値3:ES」
「従業員エンゲージメント肯定回答比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。
(3) 当社グループのマテリアリティ
当社グループでは、重要な環境・社会課題(マテリアリティ)を特定し、製品・サービス及び事業プロセスの両面から取り組みを推進しています。マテリアリティは三か年の中期方針策定にあわせて見直しを行っています。中期方針2027でも引き続き経営変革の一環として社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営を掲げ、マテリアリティを「エレクトロニクス社会の発展」「持続可能な地球環境の実現」「社会との共栄」に分け取り組みを推進してまいります。
<特定プロセス>

STEP1:環境・社会課題抽出
ESRS、SASB、SDGs、グローバルリスクから環境・社会課題を抽出しました。
STEP2:環境・社会へのインパクト / 自社財務への機会・リスクの特定・評価
CSRD、ESRSが提唱する「ダブルマテリアリティ」の考え方に則り、外部ステークホルダーからの意見を踏まえて、当社グループのバリューチェーン全体での「環境・社会へのインパクト」と「自社財務への機会・リスク」を特定し、評価しました。
STEP3:マテリアリティの特定
代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会及び経営会議で議論を重ね、マテリアリティを特定し、取締役会で決定しました。
「エレクトロニクス社会の発展」
| マテリアリティ | 2030年 目指す姿 | ムラタの思い |
| エッジデバイスによるデジタル革新の実現 | 最先端技術による多様なニーズへの価値提供と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促し、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決に貢献できている状態 | 当社グループは、軽薄短小・無線通信技術を追求した最先端部品や高シェア部品の安定供給を果たすことで、スマートフォンをはじめとするエッジデバイスの小型化・多機能化や通信の高速・大容量化、エレクトロニクスの人々の暮らしへの浸透に貢献してきました。 デジタル社会の進展に伴い、エッジデバイスは人々の生活にますます欠かせない存在となり、グローバルでの人口増加に伴い裾野の広がりも期待されます。 当社グループは、高効率・低消費電力・センシングソリューションなどの新たな価値創出の追求と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促すことで、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決への貢献を目指します。 |
| マテリアリティ | 2030年 目指す姿 | ムラタの思い |
| 次世代モビリティ社会の実現 | 拡張していくモビリティ社会のニーズに応じた製品・サービスを提供することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立に貢献できている状態 | 当社グループは、高信頼性、高性能な製品を生み出す技術力、あるいは同一品質の製品を大量生産できる供給力という強みを活かしながら、電気自動車の普及や自動車の安全性向上へと貢献してきました。 脱炭素社会への移行や交通事故防止、都市・過疎地での交通問題の解消、移動手段・消費者ニーズの多様化など、当市場は今後さらに大きく変革することが予想されます。 このような環境変化の中、“モビリティ”として市場を広く捉え、高機能・高信頼な製品の安定供給を通じたxEVのさらなる普及、自動運転技術とこれを支える都市インフラの進化に貢献することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立を目指します。 |
| 持続可能なITインフラの実現 | 高速・大容量・高効率を軸とした信頼性の高い製品を提供することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現に貢献できている状態 | 当社グループは、集積化に寄与する小型部品や、エネルギー効率の改善に寄与する各種電源装置などの製品を提供することで、社会とともに発展してきたITインフラの構築に貢献してきました。 クラウド化の進行やAIの登場にともなって、通信のトラフィック量やITインフラ側での演算量も飛躍的に増加しています。これに伴い、データセンターのエネルギー消費量の急増など新しい課題も浮上しています。 当社グループは、高速・大容量、高効率を軸とした信頼性の高い製品を安定供給することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現を目指します。 |
| 心身ともに健康で豊かな社会の実現 | ウェルネス市場における新たな価値を創出し、人々の身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な生活に貢献できている状態 | 当社グループは、最先端の技術や部品を創出するなどエレクトロニクスを通じてその時代に応じた社会課題解決に貢献してきました。 健康志向が高まる今、身体的な健康だけでなく、精神的・社会的にバランスのとれた健康や生活者自身の幸せの追求など健康概念は変化しています。 当社グループは、小型化・センシング・通信・流体制御技術といった要素技術や培ってきたエレクトロニクス領域の知見を製品・サービスに展開することで、医療の発展や病気の予防、さらに心の健康や人と人との良好な関係といった新しい豊かさを実現していくためのイノベーションを生み出し、すべての人が健康で豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指します。 |
「持続可能な地球環境の実現」
| マテリアリティ | 長期目標 | 中期目標 (2025年度~2027年度) | 2025年度実績 |
| 脱炭素社会の実現 | 2050年度目標 GHG※1排出量(Scope 1,2,3):カーボンニュートラル 2040年度目標 GHG排出量(Scope 1,2):カーボンニュートラル 2035年度目標 再生可能エネルギー導入比率:100% 2030年度目標 GHG排出量(Scope 1,2):87.3万t-CO2e(2019年度比46%減) GHG排出量(Scope 3):324.6万t-CO2(2019年度比27.5%減) 再生可能エネルギー導入比率:75% | GHG排出量(Scope 1,2):97.6万t-CO2e (2019年度比39%減) GHG排出量(Scope 3):データの精緻化 再生可能エネルギー導入比率:55% | GHG排出量(Scope 1,2):93.8万t-CO2e※2 (2019年度比42%減) GHG排出量(Scope 3):386.0万t-CO2※2 (2019年度比14%減) 再生可能エネルギー導入比率:45.9%※2 |
| 循環型社会の実現 | 2050年度目標 持続可能な資源利用率※3:100% 循環資源化率※4:100% 2030年度目標 持続可能な資源利用率:25% 循環資源化率:50% | 持続可能な資源利用率:16% 循環資源化率:41% | 持続可能な資源利用率:約15% 循環資源化率:39.0% |
「社会との共栄」
| マテリアリティ | 長期目標 | 中期目標 (2025年度~2027年度) | 2025年度取り組み実績 |
| ダイバーシティと働きがいの実現 | 2030年度目標 従業員エンゲージメント肯定回答比率:76%以上 グローバル経験者数※5:3,000人(6年累計) 女性管理職比率※6:10% 主観的健康観※7:80% 労働災害千人率(休業4日以上):0.39未満 | 従業員エンゲージメント肯定回答比率:71%以上 グローバル経験者数:1,500人(3年累計) 女性管理職比率:7% 主観的健康観:79% 労働災害千人率(休業4日以上):0.44未満 | 従業員エンゲージメント肯定回答比率:68% グローバル経験者数:528人 女性管理職比率:4.4% 主観的健康観:77% 労働災害千人率(休業4日以上):0.38 |
| 人権の尊重 | 2030年度目標 特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100% | 特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100% | 特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100% |
| マテリアリティ | 長期目標 | 中期目標 (2025年度~2027年度) | 2025年度取り組み実績 |
| 社会・地域の発展 | 2030年度目標 地域における会社の印象度調査肯定回答率:75%以上 STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):34,000人/年 | 地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%以上 STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,000人/年 | 地域における会社の印象度調査肯定回答率:70% STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,621人/年 |
※1 GHG:Greenhouse gas。温室効果ガスの総称。
※2 2026年6月時点の暫定値。
※3 持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合。
※4 循環資源化率:当社グループの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合。
※5 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の累積数。
※6 提出会社。
※7 健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標。評価対象を国内従業員とし、肯定回答率で把握。
