有価証券報告書-第105期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
有報資料
当社グループに関する財政状態および経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいておりま
す。
この報告書には、当社独自の予測や評価に基づいた将来に関する記述を含んでおります。当社グループが営業活動を行っている電動工具市場は、経済情勢の急激な変化、住宅需要、為替レート、競合他社との競業状況の変化およびその他の要因に影響を受けます。このようなリスクや状況の変化により、記載内容と実際の結果が著しく異なることがあります。従って、文中の将来に関する記述は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現の可能性を述べているものではありません。
概況および業績
当社グループは世界のプロユーザー向けの電動工具の製造・販売を主な事業としております。当連結会計年度の
連結売上高の約82%が海外売上です。電動工具の需要は、住宅建築や修繕、商業施設・プラント建設、その他の公
共投資・個人投資の影響を受けます。
主要製品は、ドリル、ハンマドリル、震動ドリル、ハンマ、グラインダ、充電式インパクトドライバ等の電動工具であり、連結売上高の65%以上を占めております。
また、エンジン式ブラシカッタおよびコードレスクリーナ等の園芸用機器および家庭用機器の販売は当社の連結売上高の約19%を占めます。
DIY市場が確立されている北米および欧州などの先進国では、電動工具需要は消費動向によって大きく影響を受けます。一方、発展途上国では、電動工具需要は経済成長が増加すれば拡大すると予測されます。
技術的な革新は電動工具市場を活性化させ、特に近年では小型軽量化され高性能化されたリチウムイオンバッテ
リ充電式電動工具は、これまでのニカドやニッケル水素バッテリに代わり新たな需要を喚起しております。
当社グループは、電動工具メーカーとして世界で確固たる地位を築いておりますが、世界レベルでの競争は更に
激しくなっております。
当社グループの連結業績は、先進国を中心とした国内外市場において売上が堅調に推移したものの、前期に比べ為替レートが円高基調となったことから、売上高は前期を2.0%下回る414,999百万円となりました。西欧では英国のEU離脱決定を巡る先行きの不透明な状況が続いたものの、堅調な内需を背景に、景気は底堅さを維持しました。米国では良好な雇用・所得環境が景気の回復をけん引しました。アジアでは中国経済の減速は続いたものの、東南アジアやインドなどにおいては景気は底堅く推移しました。また、マイナス成長が続くブラジル経済では対内投資や個人消費に回復が見られず厳しさが増しました。ロシア経済は原油価格やルーブルに回復基調がありましたが、景気の停滞が続いています。オーストラリア経済は、住宅着工認可件数の伸びに陰りが見られたものの、引き続き高い水準で好調を維持しております。日本では、個人消費など一部に力強さを欠くものの、景気は緩やかな回復基調となりました。
このような情勢の中で当社は、全社を挙げてコスト削減活動に取り組むとともに経営基盤の整備を着実に進めま
した。
開発面では、高容量バッテリを活用したハイパワーなモデルや、10.8Vのスライド式バッテリを活用した小型軽量なモデルなど、リチウムイオンバッテリシリーズを中心に製品群の拡充を進めました。生産面では、海外工場において現地調達比率を高めながらコストダウン強化を推し進めるとともに、各工場において品質の安定性と生産性向上を図るため、省人化設備の導入に取り組みました。
営業面では、幅広い製品群を活かした販路の拡大に努めたほか、海外に新たな営業・サービス拠点を開設するなど、お客様に密着した販売・アフターサービス体制の維持・向上に努めました。
当社グループの目標は、グループ全体の持続的成長により、高い利益体質を確立し、連結ベースで売上高に対す
る営業利益率10%を維持することです。さらに、中長期的な戦略として、当社グループは、高いブランド力を構築
し、世界各地域におけるプロ用電動工具をはじめ、エア工具、園芸用機器など工具の国際的総合サプライヤーとし
てトップシェアの維持・獲得を目指しております。
当社グループは、プロユーザー満足度の高い新製品開発、高品質とコスト競争力を両立させたグローバルな生産
体制、国内および海外各地域における販売・アフターサービス体制を常に強化していくことにより、これらの目標
を達成できると確信しております。この経営戦略を実行するために、当社グループは、為替相場変動リスク、地理
的リスク、経営上の主要な機能や生産拠点の集中から生じるリスクなど、予期せぬ経済環境の変動に耐えうる確固
たる財務体質を維持することに努めております。
当事業年度の株主還元施策としては、中間配当として2016年11月に1株当たり18円を支払い、そして、2017年
6月28日開催の株主総会において1株当たり82円の配当が決議されております。なお、「1株当たり配当金」は
株式分割前の株式数を基準として算定しております。
通貨変動
当社グループは外国為替相場の変動に影響を受けます。当社グループは特に円/ユーロ、円/米ドル為替相場の
影響を受け、同様に、当社グループが事業展開しているそれぞれの国の為替変動の影響も受けます。当社グループ
の連結財務諸表は日本円で表示されるため、換算リスクと取引リスクを通じて為替変動に影響を受けます。
換算リスクは、それぞれの国に展開する連結子会社が作成する財務諸表を日本円に換算するときの通貨価値の変
動リスクを意味します。日本円に対する通貨価値の変動は大きく影響しますが、あくまで財務諸表への影響であり
営業の実績とは一致しません。
取引リスクは当社グループの費用と負債の通貨構成が、収益と資産の通貨構成と異なるというリスクを意味しま
す。当社グループは取引リスクの一部をヘッジするために先物為替予約等を行っております。そのため、日本円に
対するリスクは軽減されておりますが解消されるものではないため、為替レートの変動は、将来重大な影響を与え
る可能性があります。
一般に、円安(特にユーロに対する円安)は、当社グループの営業利益と当期利益に好影響を及ぼし、円高(特にユーロに対する円高)は、悪影響を及ぼします。当連結会計年度は、ユーロに対しては円高、また、米ドルに対しても円高に推移しました。
売上高
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比2.0%(8,624百万円)減少して414,999百万円となりました。
当連結会計年度の円ドル為替相場の平均レートは、前連結会計年度に比べ9.8%の円高、1ドル=108.34円でした。
円ユーロ為替相場の平均レートは、10.5%の円高、1ユーロ=118.74円でした。全通貨の加重平均では11.4%の円高、為替による売上高の減少額は43,650百万円となります。このドル安およびユーロ安といった為替の影響を除いた場合、当社グループの連結売上高は8.3%(35,026百万円)増加となります。また当連結会計年度の販売台数は前連結会計年度比5.5%増加となりました。
製品等グループ別にみると、電動工具等の売上高が2.5%(6,965百万円)減少、園芸用機器・家庭用機器・その他製品の売上が2.4%(1,912百万円)減少、部品、修理およびアクセサリー売上が0.4%(253百万円)増加しております。全製品の販売金額に対する充電式製品比率は前年の45.5%から48.9%に増加しております。
地域別売上高
当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度比で、日本市場は8.7%(5,936百万円)増加し74,381百万円となりました。欧州市場は2.9%(4,995百万円)減少し168,992百万円、北米市場は2.4%(1,611百万円)減少し66,148百万
円、アジア市場(日本を除く)は3.3%(1,364百万円)減少し40,079百万円、中南米、オセアニア、中近東・アフリカ
を含むその他地域市場は9.2%(6,590百万円)減少し65,399百万円となりました。
国内は新製品を中心に販売が堅調に推移し、前期比8.7%増の74,381百万円となりました。
欧州は、各国での販売は概ね堅調に推移しましたが、前期に比べ為替レートが円高ユーロ安となったことから、前期比2.9%減の168,992百万円となりました。現地通貨ベースでは、西欧が10.0%増、東欧・ロシアが13.9%増と、欧州全体としては現地での販売は好調であり、対円でユーロが前年比10.5%下落したため、円換算後の売上金額は目減りする結果となりました。為替変動の影響をのぞくと、欧州の売上は11.3%(19,714百万円)増加となります。円ベースでは、東欧・ロシアの売上は前年比1.3%増加、イギリスは11.6%減少、ドイツでは3.5%減少、フランスは2.8%減少となりました。
北米は、拡大する米国経済を背景に現地での販売は増加したものの、前期に比べ為替レートが9.8%の円高ドル安となったことから、前期比2.4%減の66,148百万円となりました。為替変動の影響を除くと、北米の売上は8.3%(5,636百万円)増加となります。
アジアは、ベトナムや台湾、インドなどで販売が増加しましたが、前期に比べ為替レートが円高現地通貨安となったことから、前期比3.3%減の40,079百万円となりました。為替変動の影響を除くとアジアの売上は6.9%(2,861百万円)増加となりました。
その他地域では、オセアニアでは、リチウムイオンバッテリ製品を中心に販売が好調に推移し、前期比1.8%増の25,093百万円となりました。ブラジル経済の停滞が続いた中南米及び産油国での景気低迷が続いた中近東・アフリカでは、円高現地通貨安の影響もあり、それぞれ前期比11.6%減の23,110百万円、同18.8%減の17,196百万円となりました。為替変動の影響を除くと、その他の地域の売上は1.2%(879百万円)増加となります。
製品グループ別業績
電動工具等
電動工具等には、ドリル、グラインダ、サンダ、ハンマドリル、充電式インパクトドライバ、カッタ、丸ノコ等があります。このグループは当社グループの連結売上高のうち最も大きな割合を占めております。当連結会計年度におけるこの分野の売上高は前連結会計年度比2.5%減の269,787百万円で、連結売上高の65.0%となりました。このうち国内は前連結会計年度比8.7%増の38,875百万円で、国内売上高の52.3%となりました。海外は前連結会計年度比4.2%減の230,912百万円で、海外売上高の67.8%となりました。
当連結会計年度に発売した製品としては、ハイパワー・ブラシレスモータの搭載により、AC機並みの切断スピードを実現した充電式マルノコや、10.8Vのスライド式を採用し、小型・軽量化による使いやすさを追求した充電式ハンマドリル、低反動機構を搭載することで、打込み時の反動を低減し、使用感を向上させた充電式ピンタッカなどがあります。
園芸用機器・家庭用機器・その他製品
園芸用機器・家庭用機器・その他製品には、チェンソーやエンジン式草刈機、掃除機、充電式クリーナ等があ
ります。当連結会計年度におけるこの分野の売上高は前連結会計年度比2.4%減の77,501百万円で、連結売上高の18.7%となりました。このうち国内は前連結会計年度比8.5%増の19,537百万円で、国内売上高の26.3%となりました。海外は前連結会計年度比5.6%減の57,964百万円で、海外売上高の17.0%となりました。
当連結会計年度に発売した製品としては、充電式でありながら30mLエンジン式と同等の使用感を有する充電式チェンソーや、18Vリチウムイオンバッテリで駆動し、運搬作業の負担を軽減できる充電式運搬車、10.8Vのスライド式バッテリを採用し、強力な吸引力で軽快に取り回せる充電式クリーナなどがあります。
当社グループはエンジン式園芸用機器およびリチウムイオンバッテリを主体とする充電式園芸用機器の生産を
行っており、騒音や排気ガスといった点で環境にやさしい製品の拡販に努めております。
部品・修理・アクセサリー
当社グループはアフターサービスとして部品・アクセサリーの販売や修理を行っております。当連結会計年度におけるこの分野の売上高は前連結会計年度比0.4%増の67,711百万円で、連結売上高の16.3%となりました。このうち国内は前連結会計年度比8.9%増の15,962百万円で、国内売上高の21.5%となりました。海外は前連結会計年度比2.0%減の51,749百万円で、海外売上高の15.2%となりました。
売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度から3.9%(6,009百万円)減少し147,493百万円になりました。為替等の影響により、売上原価率が前期の63.8%から当期64.5%へと0.7ポイント増加しました。この結果、売上総利益率は、前連結会計年度の36.2%から35.5%になりました。
販売費及び一般管理費等
当連結会計年度の販売費及び一般管理費等は、人件費ならびに研究開発費等の増加がありましたが、為替換算の影響で減少する効果があったことにより、前連結会計年度と比較して4.4%(3,897百万円)減少し84,929百万円となりました。為替変動の影響を除くと販売費及び一般管理費等は3.4%(3,004百万円)の増加となります。販売費及び一般管理費等の対売上高比率は前連結会計年度に比べ0.5ポイント改善し、20.9%から20.4%になりました。
営業利益
上記の結果、営業利益は前連結会計年度比3.3%減の62,564百万円となりました。営業利益率は0.2ポイント悪化し、前連結会計年度の15.3%から15.1%になりました。
営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度が営業外損失3,184百万円であったのに対し、当連結会計年度は営業外収益2,174百万円となりました。これは、前連結会計年度は株価の低迷により、有価証券評価損が5,403百万円が発生したのに対して、当連結会計年度は、有価証券評価損が27百万円に減少したためです。
当社は主に自己資金で経営しており、当社グループの各子会社に対してグループ内で融資を行っているため、支払利息の変動は軽微となっております。
税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度から5.3%(3,246百万円)増加し64,738百万円にな
りました。税金等調整前当期純利益率は1.1ポイント改善し、前連結会計年度の14.5%から15.6%になりました。
法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度から0.5%(91百万円)増加し19,610百万円になりました。当連
結会計年度の実効税率は、前連結会計年度の31.7%から1.4ポイント低下して30.3%となりました。
当社株主に帰属する当期純利益
上記の結果、当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から7.6%(3,167百万円)増加し44,782百万円になりました。当社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度の9.8%から1.0ポイント改善して10.8%となりました。
1株当たり利益
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の153.3円から165.0円に増加しました。
地域別セグメント
セグメント情報は当社および連結子会社の所在地に基づき決定されます。セグメント売上は出荷元基準であり、それぞれの市場における売上高を示す地域別売上とは異なります。
当社は全てのオペレーティング・セグメントの業績を米国で一般に公正妥当と認められた会計基準により評価しております。各セグメントの営業利益の算出方法は、連結損益計算書における営業利益の算出方法と一致しており、受取利息及び配当金、支払利息、為替差損益、および有価証券実現損益などを含みません。
日本セグメント
当連結会計年度の日本セグメントの売上高は、前期比43.3%増加し242,588百万円となりました。この内、外部顧客に対する売上高は、前年同期比5.9%増の97,797百万円(連結売上高の23.6%)となりました。この増加は、グループ間取引の商流変更及び国内では、新製品を中心に販売が堅調に推移したことが影響しております。また、営業利益は、商流変更の影響などにより原価率が悪化し、営業利益率は11.1%から9.7%と1.4ポイント悪化しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は25.5%増加し23,615百万円となりました。
欧州セグメント
当連結会計年度の欧州セグメントの売上高は前期比3.0%減少し173,442百万円となりました。外部顧客に対する売上高は2.8%減少して169,204百万円(連結売上高の40.8%)となりました。これは、前期と比べて為替レートが円高ユーロ安となったことが要因となります。一方、経費抑制による販売費及び一般管理費の減少および、売上の堅調な推移から営業利益率は6.3%から7.9%と1.6ポイント改善しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は21.2%増加し13,638百万円となりました。
北米セグメント
当連結会計年度の北米セグメントの売上高は、前期比2.9%減少し71,622百万円となりました。この内、外部顧客に対する売上高は、前年同期比2.5%減の68,069百万円(連結売上高の16.4%)となりました。これは、為替レートが円高ドル安に推移したことによるものです。北米では、厳しい競争環境の中、ホームセンター向けを中心に売上が堅調であったことから固定費が薄まり、営業利益率は1.4%から2.2%と0.8ポイント改善しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は54.2%増加し1,587百万円となりました。
アジアセグメント
当連結会計年度のアジアセグメントの売上高は前期比9.0%減少し194,693百万円となりました。外部顧客に対する売上は4.2%減少して22,336百万円(連結売上高の5.4%)となりました。これは前期に比べ為替レートが円高現地通貨安に推移したことによるものです。アジアでは、中国工場での人件費の上昇などにより、営業利益率は12.5%から10.8%と1.7ポイント悪化しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は21.4%減少し21,056百万円となりました。
その他の地域セグメント
当連結会計年度のその他の地域セグメントの売上高は前期比9.5%減少し58,118百万円となりました。外部顧客に対する売上高は10.0%減少し57,593百万円(連結売上高の13.8%)となりました。これは、オセアニアでの販促活動が奏功したものの、中近東およびブラジル市場が停滞したこと等によります。この地域では、オーストラリアでの個人消費が堅調に推移しており、仕入通貨である米ドルに対して豪ドルが高くなっていることにより利益率が改善しております。営業利益率は3.6%から4.1%と0.5ポイント改善しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は2.0%増加し2,386百万円となりました。
重要な会計方針
以下において、当社グループは連結財務諸表および注記の前提に用いる判断基準や見積り方法を挙げております。
収益の認識
当社グループは取引を裏付ける確固たる証拠が存在すること、物品の引渡しまたは役務の提供が終了すること、売価が確定しているまたは確定しうるものであること、確実な回収可能性が見込まれることのすべての条件を満たした時点で、収益を認識しております。
収益の認識に関しては、当社グループは販売報奨を各種の販売推進プログラムの要件を満たした顧客に行っております。収益はこれらの販売奨励額との純額で計上しております。販売報奨は主として販売数量リベート、広告宣伝協力金および現金割引があります。
販売数量リベートは、月毎、四半期毎、半年毎または1年毎に、現金または売掛金の相殺として顧客に与えられるものであります。売上取引累計額があらかじめ顧客と取り決めた基準を達成した場合に、合意された計算に従い当該売上に対して取り決めた一定割合の販売奨励金が特定の顧客に与えられます。特定顧客に適用される合意された割合および合意された期間内に達成すると見込まれる売上取引累計額に基づき、販売数量リベートの債務は、対象となる売上が認識された時点で、販売報奨金額が売上から控除され、認識されます。
売上額が報奨額を見積った際の設定額を超過するかしないかにより、当社グループの連結財務諸表は重要な影響を受ける可能性があります。
広告宣伝協力金は、特定の顧客に対して広告のための負担または援助として協力金を供与するものです。この広告宣伝協力金の制度は、顧客との契約によって異なります。当社グループの広告宣伝協力金制度により特定の顧客は、当社グループから広告宣伝の証拠書類の提出を要求されず、単に契約に基づき売上高に特定の率を乗じて算出される広告宣伝協力金を受け取る場合があります。この場合の広告宣伝協力金としての負担額は、対象となる売上が認識された時点で、広告宣伝協力金が売上から控除され、認識されます。また広告宣伝協力金は、それぞれの顧客の過去売上実績を反映した売上高の見積りに基づいて計算されます。
現金割引とは、顧客と予め取り決めた契約、または同意した金額に基づく売上請求書金額に対する特定の割合を控除するものであります。現金割引は、将来現金割引が適用されることが確実に見積ることができる対象となる売上が認識された時点で、売上の控除として認識します。現金割引は、定期的に実際の売上取引と過去の実績に基づき見積ります。
棚卸資産の評価
当社グループは、保有期間、販売トレンドおよび近年の取引における収益性など様々な指標を基に棚卸資産の状況を管理しております。棚卸資産は主に平均法に基づく低価法により評価しております。この棚卸資産の評価にあたって、当社グループは販売不可能な不良品だけでなく、陳腐化または過剰在庫も評価することを要求されております。この陳腐化または過剰在庫を決定するためには、当社グループがマクロおよびミクロの経済情勢、競合他社の状況、技術の陳腐化、顧客ニーズの変化等の要因を考慮し、将来の需要予測をする必要があります。この棚卸資産評価に用いる将来の需要予測は収益予測の基礎になり、短期的な生産計画にも一致しております。例えば、当社グループの需要見込みに反し、実際の需要が少なく、当社がそれに対応して減産をしなければ、増加した手元在庫の評価減が必要となります。この棚卸資産評価損は売上総利益を減少させ、その結果、当期純利益にも重要な影響を与えることがあります。
有価証券の減損
当社グループの投資は、償却原価法によって会計処理されている負債証券および持分証券を含んでおります。持分証券の公正価値が帳簿価額より低くなり、その下落が一時的で無いと判断された場合、公正価値まで評価減を行い、その評価減した金額を損益に計上しております。負債証券について、公正価値の下落が一時的でないと判断し、かつ売却する意図がなく、また、償却原価までに回復する前に売却しなければならない可能性が50%超ではないとして認識した減損のうち、信用損失に係るものは損益として認識し、その他の要因に係るものはその他の包括利益(損失)累計額に含めております。また、公正価値の下落が一時的でないと判断し、かつ売却する意思があるか、或いは、償却原価まで公正価値が回復する前に当該負債証券を売却しなければならない可能性が50%超であるとして認識した減損については、全て損益として認識しております。当社グループは、個々の有価証券の一時的ではない減損を判定するため、定期的に投資ポートフォリオを評価しております。公正価値の下落が一時的であるかどうかの判定に際し、公正価値が取得原価を下回っている期間およびその度合い、発行企業の財政状態、業績、事業計画および公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスク、公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間当社グループが当該証券を保有し続けることができるかどうかなどを考慮しております。
公正価値が容易に算定できる売却可能有価証券の減損の判定に際し、公正価値が長期間、取得価額に比べ下落した場合、公正価値の下落が一時的ではないものと推定されます。投資の公正価値の下落が一時的であるかどうかの判定は、多くの場合主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画など特定の前提および見積りが必要となります。そのため、投資価値の下落が一時的であるものと判定している有価証券について継続的な業績の低迷、今後の世界的な株式市況の低迷あるいは市場金利変動の影響などの事後の情報の評価に基づき、今後、公正価値の下落が一時的ではないものと判定され、未実現損失が認識され、将来の利益を減少させる可能性があります。
貸倒引当金
当社グループは、顧客の信用調査を行い過去の支払い状況および顧客の現在の信用力に基づき売掛金限度額を検討し、限度額の調整を行っております。当社グループは、顧客からの回収および支払い状況を継続的に監視しており、妥当とされる貸倒引当金額を計上しております。その貸倒引当金は当社グループの過去の実績に基づく予想や当社グループが定めた基準に基づいております。貸倒見積り額は、一般債権については過去の貸倒実績率、回収懸念債権など特定の債権については顧客毎の信用状況および期日未回収債権の状況調査に基づいて決定しております。なお、破産申請や業績悪化等により顧客の支払能力に疑義が生じた場合においては、個別に追加的な引当金を計上しております。これまでの貸倒損失の実績は、すべて引当金の範囲内です。しかしながら、当社グループは過去に発生した貸倒比率が将来も続くということを保証しておりません。顧客の財政状態の根本的な変化は、当社グループの連結業績と財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは地理的に分散した多数の顧客を有しております。従って、重大な信用リスクが存在しているとは考えておりません。
長期性資産の減損
当社グループは、長期性資産の減損は連結財務諸表にとって重要であると考えております。なぜなら、設備装置等、多額の資産を保有しており、これら長期性資産の回収可能性は経営成績および財政状態に重大な影響を与えるためです。
当社グループは、定期的に、もしくは何らかの事象や状況の変化が、帳簿価額相当が回収できないことを示唆する場合に、長期性資産に対して減損に関するテストを行います。この減損テストは、当社グループの割引前将来キャッシュ・フローに基づき行われております。将来キャッシュ・フローの見積りは、過去の傾向に基づき現在考えられる最も合理的な将来の経営環境を想定しております。当社グループは、将来のキャッシュ・フローの見積りに合理性があると確信しておりますが、キャッシュ・フローの前提条件が異なる場合、当社グループの評価に重要な影響を与える可能性があります。所有資産または資産グループ(以下、資産グループ)の価値の回収可能性は、資産グループの帳簿価額とその資産の使用によりもたらされる割引前キャッシュ・フローとの比較で判断されます。当社グループは、資産グループの市場価値の大幅な低下や継続的なキャッシュ・フロー損失または資産の使用方法の大幅な変更があった場合等、資産グループに減損の兆候が見られ、割引前キャッシュ・フローとの比較により、回収可能性がないと判断される場合、帳簿価額が公正価値を超える部分について資産グループの減損を認識します。売却予定の要件を満たした長期性資産は、帳簿価額または売却に要する費用を控除した公正価値のうちどちらか低い価額で評価されることになります。
公正価値は、類似した資産の最近の取引額や、将来キャッシュ・フローの割引後の見積額、または各種の計算方法により算定された価額を基に決められます。資産を使用している実際の市場および経営状態が経営者の予測より悪化したことにより、もたらされるキャッシュ・フローの金額が少なくなり、また、そのキャッシュ・フローを生む期間が短くなるのであれば、さらに減損損失を認識することになります。加えて、営業活動の前提条件の予測不可能な変化により、公正価値が低く見積られる場合、長期性資産の評価にマイナス影響を与え、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼします。
のれんの減損
当社グループは、年1回のれんの減損の判定を実施しております。また、のれんの減損の可能性を示す事象または状況の変化が生じた時点で減損の判定を行っております。のれんの減損に関する年次の判定は、12月31日に行われます。当社グループは2段階の手続きによる報告単位の減損テストを実施する前に、報告単位の公正価値がのれんを含むその帳簿価額を下回っている可能性が50%超か否かについての定性的評価を行っております。事象や状況を総合的に評価した結果、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超ではないと判断した場合は、その報告単位について2段階の手続きによる減損テストを行いません。一方、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超であると判断した場合は、のれんは2段階の手続によりテストされます。当社は、上記の定性的評価を行った結果、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超であると判断した場合にのみ下記の2段階の手続きによる減損テストを行っております。第1段階は、のれんを含む報告単位の公正価値とその帳簿価額とを比較することにより減損の可能性を判定します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位ののれんは減損していないとみなされ、第2段階には進みません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、減損金額を測定するため、のれんの減損判定のため第2段階に進みます。のれんの減損判定のための第2段階では、報告単位ののれんの暗示された公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその暗示された公正価値を超過する場合には、その超過分を減損として認識します。のれんの公正価値は企業結合によりのれんを認識する方法と同一の方法により決定されます。
第1段階において、報告単位の将来見積キャッシュ・フローの現在価値および残存価値を算出するためインカムアプローチを用いております。これは、報告単位を取り巻く経済状況など有益な情報を提供するものであり、広く認められた評価手法であります。当社グループは将来見積キャッシュ・フローの算出にあたり、幾つかの基礎となる前提を用いておりますが、これらは今後の(ⅰ)収益成長率、(ⅱ)収益性、(ⅲ)加重平均資本コストおよび(ⅳ)永続成長率を含んでおります。当社グループはまた、比較可能な市場価額を参照するマーケットアプローチを用いて公正価値を見積っております。当社グループが見積りに用いている前提条件を修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績が悪影響を受ける可能性があります。
退職給付引当金
予測給付債務と年金費用の見積りに使用する前提条件は当社グループの財政状態と経営成績に対し、重大な影響を与えるため、当社グループは、連結財務諸表作成の上で、退職給付会計を重要視しております。退職給付引当金は年度末の退職給付債務と制度資産に基づいて決定されます。予測給付債務と年金費用の水準は、様々な年金保険数理計算に基づいて計算されます。主要な前提条件には、割引率、制度資産の長期期待収益率、予定昇給率および死亡率とその他の予測率があります。割引率は、測定日における信用度の高い固定利付債券の利率に基づき、毎年算定されます。
制度資産の長期期待収益率は、制度資産ポートフォリオの構成と、これらポートフォリオから期待できる長期収益率を基に毎年算定されます。長期期待収益率は、従業員の勤続に対して、年金債務を保証する制度資産の実際利回りに基づいて算定されます。この長期期待収益率の合理性を判断するために、制度資産ポートフォリオの実際利回りや予想収益率等数多くの要素を使用しております。
従って、これらの前提条件は毎年評価され、退職給付債務は、最新の前提条件に基づいて各連結会計年度末に再計算されます。米国における一般に公正妥当と認められる会計基準に従い、見積りと実績の差は累積され、期首時点における予測給付債務か制度資産の公正価値のいずれか大きい方の額の10%を超える部分は、従業員の平均残存勤続年数にわたって償却され、当社グループの将来にわたる経営成績に影響を与えます。
当社グループは日本において全従業員を対象とする確定給付年金制度を有しております。
制度資産の価値は世界の証券市場によって影響を受けます。市場が大幅に下降もしくは上昇した場合は将来の費用は大きな影響を受けます。
法人税
当社グループは、各国税法に基づいて法人税を見積っております。この過程では、会計上と税務上の差異による一時差異とともに当期税額の見積りが含まれております。この一時差異は連結貸借対照表上の繰延税金資産と繰延税金負債になります。また、繰延税金資産が将来の課税所得によって回収される可能性を考慮する必要があり、50%超の可能性で回収不能と見込まれる場合、評価性引当金を計上しなければなりません。
当期税額、繰延税金資産、繰延税金負債および評価性引当金を決定する際には重要な経営者による判断が要求されます。当社グループが将来関連する税務管轄地域において十分な課税所得を稼得できなかった場合、評価性引当金が積み増され、法人税費用が増加してしまう可能性があります。繰延税金資産の回収の可能性には不確実性が伴いますが、経営者は、承認された経営計画から判断し、繰延税金資産のすべてから評価性引当金を控除したものが実現されると考えております。しかしながら、実現可能であると考えられる繰延税金資産純額に対する見積りは近い将来において変更される可能性があります。また、繰越期間における将来の課税所得の見積りが変更される場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループの実効税率には、海外子会社で発生した未配分利益で日本の法人税の対象とはならない部分の未配分利益の影響が反映されています。もし将来の何らかの事象、例えば現金、運転資本および長期投資の要件に重要な変更が発生したことにより、これらの未配分利益に関連する一定の資産が親会社へ配当される場合には、日本の法人税率で計算される追加的な税金費用および関連する繰延税金負債が必要となり、当社グループの将来の実効税率に重要な影響を与える可能性があります。
日本の税法上、海外子会社からの配当の95%は課税されません。当社グループは、2017年3月31日現在、海外連結子会社の未配分利益のうち、無期限に再投資する予定のため繰延税金負債を認識していない未配分利益がありますが、実務上困難であることからその未認識の繰延税金負債の算定は行っておりません。
キャッシュ・フロー
営業活動から得たキャッシュ・フローは、前連結会計年度の34,188百万円から29,163百万円増加し、当連結会計年度は63,351百万円となりました。前連結会計年度と比べた主な増減理由は以下のとおりです。
(キャッシュ・フロー増加要因)
・仕入の減少や棚卸資産の適正化を進め、支出が28,219百万円減少
・税金支払額が2,012百万円減少
(キャッシュ・フロー減少要因)
・売上の減少などによる顧客からの回収が8,352百万円減少
投資活動に使用したキャッシュ・フローは、前連結会計年度の6,573百万円から1,558百万円減少し、当連結会計
年度は5,015百万円となりました。前連結会計年度と比べた主な増減理由は以下のとおりです。
(キャッシュ・フロー増加要因)
・売却可能有価証券の購入が8,780百万円減少
・売却可能有価証券の売却が15,395百万円増加
・満期保有有価証券の償還が5,200百万円増加
(キャッシュ・フロー減少要因)
・満期保有有価証券の購入が8,601百万円増加
・定期預金の預入が20,268百万円増加
財務活動に使用したキャッシュ・フローは、前連結会計年度の18,719百万円から9,224百万円減少し、当連結会計年度は9,495百万円となりました。前連結会計年度と比べた主な増減理由は以下のとおりです。
(キャッシュ・フロー増加要因)
・返済期限3ヶ月以内の借入金が3,824百万円増加
・返済期限3ヶ月超の借入金返済が3,227百万円減少
・配当金の支払額が2,307百万円減少
(キャッシュ・フロー減少要因)
・自己株式の取得(売却との純額)が10百万円増加
上記活動の結果および為替レートの変動による影響により、当社グループの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度の99,915百万円から42,266百万円増加し、当連結会計年度は142,181百万円となりました。
当社グループは、グローバルな生産体制の強化を図ってきております。世界の電動工具需要が、新興国で力強く
成長しており、多くの先進国で世界不況以前の水準に戻りつつあり、各販売子会社の在庫の適正化が進んだため、前連結会計年度末と比較して、当連結会計年度末は低い在庫水準となりました。
翌連結会計年度の設備投資計画は、当社の各工場での金型投資や機械設備投資などがあり、当連結会計年度と比
較して設備投資は増加する予定です。
財政状態
当社グループの流動性の主な源泉は、手元現預金、営業活動から得た現預金および与信限度枠内の借入金で構成
されます。当社グループは当連結会計年度末現在142,181百万円の現金及び現金同等物を保有しております。このほ
かに当社の海外子会社は、14,354百万円の与信限度枠を持っており、与信限度枠のうち6,564百万円を使用しており
ますが、7,790百万円は未使用でありました。当連結会計年度末現在の連結貸借対照表において6,579百万円の短期
借入金が計上されており、その内訳は、銀行からの借入金およびキャピタル・リース債務で構成されます。短期借
入金は主に海外子会社の日々の営業活動に使用されております。長期債務からの振り替え額を除く短期借入金は
6,564百万円で、251.0%(4,694百万円)増加しております。平均レート等短期借入金に関する情報は連結財務諸表
の注記10を参照下さい。
現在、当社グループは資金調達について、グループ内金融を主体に行っており、子会社の余剰資産は他の資金不
足の子会社へ融資することにしております。当社は自己資金で経営しており、当社グループの各子会社についても
グループ内融資主体のため支払利息に重要性はありません。
当連結会計年度末現在の短期借入金および長期債務の合計(借入債務)は前連結会計年度末の2,225百万円から
4,372百万円増加し6,597百万円になりました。長期債務は主に長期のキャピタル・リース債務の減少により30百万円から18百万円になりました。自己資本借入債務比率は1.3%でした。
当社グループは運転資本の需要に応じて随時資金調達が可能です。しかし、当社グループには翌連結会計年度において、重要な資金調達の潜在的需要はありません。
当社グループは、従前より高い流動比率を維持してきており、当連結会計年度末は142,181百万円の現金及び現金同等物があります。当社の経営者はこれらの現金および今後当社グループの営業活動によって生み出される現金で、将来にわたる運転資本の需要、設備投資および研究開発等を十分行えると見込んでおります。当社の経営者は、運転資本は、当社グループの現在の必要性に十分であると考えております。
なお、株主還元の施策として2016年11月に1株当たり18円の中間配当金が支払われ、2017年6月28日開催の株主総会において1株当たり82円の配当が決議されており、配当金総支払額は13,573百万円です。「1株当たり配当金」は株式分割前の株式数を基準として算定しております。
当社グループは、営業活動に必要な資金を資本市場から通常の取引条件で十分に調達できる能力を有しております。
す。
この報告書には、当社独自の予測や評価に基づいた将来に関する記述を含んでおります。当社グループが営業活動を行っている電動工具市場は、経済情勢の急激な変化、住宅需要、為替レート、競合他社との競業状況の変化およびその他の要因に影響を受けます。このようなリスクや状況の変化により、記載内容と実際の結果が著しく異なることがあります。従って、文中の将来に関する記述は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現の可能性を述べているものではありません。
概況および業績
当社グループは世界のプロユーザー向けの電動工具の製造・販売を主な事業としております。当連結会計年度の
連結売上高の約82%が海外売上です。電動工具の需要は、住宅建築や修繕、商業施設・プラント建設、その他の公
共投資・個人投資の影響を受けます。
主要製品は、ドリル、ハンマドリル、震動ドリル、ハンマ、グラインダ、充電式インパクトドライバ等の電動工具であり、連結売上高の65%以上を占めております。
また、エンジン式ブラシカッタおよびコードレスクリーナ等の園芸用機器および家庭用機器の販売は当社の連結売上高の約19%を占めます。
DIY市場が確立されている北米および欧州などの先進国では、電動工具需要は消費動向によって大きく影響を受けます。一方、発展途上国では、電動工具需要は経済成長が増加すれば拡大すると予測されます。
技術的な革新は電動工具市場を活性化させ、特に近年では小型軽量化され高性能化されたリチウムイオンバッテ
リ充電式電動工具は、これまでのニカドやニッケル水素バッテリに代わり新たな需要を喚起しております。
当社グループは、電動工具メーカーとして世界で確固たる地位を築いておりますが、世界レベルでの競争は更に
激しくなっております。
当社グループの連結業績は、先進国を中心とした国内外市場において売上が堅調に推移したものの、前期に比べ為替レートが円高基調となったことから、売上高は前期を2.0%下回る414,999百万円となりました。西欧では英国のEU離脱決定を巡る先行きの不透明な状況が続いたものの、堅調な内需を背景に、景気は底堅さを維持しました。米国では良好な雇用・所得環境が景気の回復をけん引しました。アジアでは中国経済の減速は続いたものの、東南アジアやインドなどにおいては景気は底堅く推移しました。また、マイナス成長が続くブラジル経済では対内投資や個人消費に回復が見られず厳しさが増しました。ロシア経済は原油価格やルーブルに回復基調がありましたが、景気の停滞が続いています。オーストラリア経済は、住宅着工認可件数の伸びに陰りが見られたものの、引き続き高い水準で好調を維持しております。日本では、個人消費など一部に力強さを欠くものの、景気は緩やかな回復基調となりました。
このような情勢の中で当社は、全社を挙げてコスト削減活動に取り組むとともに経営基盤の整備を着実に進めま
した。
開発面では、高容量バッテリを活用したハイパワーなモデルや、10.8Vのスライド式バッテリを活用した小型軽量なモデルなど、リチウムイオンバッテリシリーズを中心に製品群の拡充を進めました。生産面では、海外工場において現地調達比率を高めながらコストダウン強化を推し進めるとともに、各工場において品質の安定性と生産性向上を図るため、省人化設備の導入に取り組みました。
営業面では、幅広い製品群を活かした販路の拡大に努めたほか、海外に新たな営業・サービス拠点を開設するなど、お客様に密着した販売・アフターサービス体制の維持・向上に努めました。
当社グループの目標は、グループ全体の持続的成長により、高い利益体質を確立し、連結ベースで売上高に対す
る営業利益率10%を維持することです。さらに、中長期的な戦略として、当社グループは、高いブランド力を構築
し、世界各地域におけるプロ用電動工具をはじめ、エア工具、園芸用機器など工具の国際的総合サプライヤーとし
てトップシェアの維持・獲得を目指しております。
当社グループは、プロユーザー満足度の高い新製品開発、高品質とコスト競争力を両立させたグローバルな生産
体制、国内および海外各地域における販売・アフターサービス体制を常に強化していくことにより、これらの目標
を達成できると確信しております。この経営戦略を実行するために、当社グループは、為替相場変動リスク、地理
的リスク、経営上の主要な機能や生産拠点の集中から生じるリスクなど、予期せぬ経済環境の変動に耐えうる確固
たる財務体質を維持することに努めております。
当事業年度の株主還元施策としては、中間配当として2016年11月に1株当たり18円を支払い、そして、2017年
6月28日開催の株主総会において1株当たり82円の配当が決議されております。なお、「1株当たり配当金」は
株式分割前の株式数を基準として算定しております。
通貨変動
当社グループは外国為替相場の変動に影響を受けます。当社グループは特に円/ユーロ、円/米ドル為替相場の
影響を受け、同様に、当社グループが事業展開しているそれぞれの国の為替変動の影響も受けます。当社グループ
の連結財務諸表は日本円で表示されるため、換算リスクと取引リスクを通じて為替変動に影響を受けます。
換算リスクは、それぞれの国に展開する連結子会社が作成する財務諸表を日本円に換算するときの通貨価値の変
動リスクを意味します。日本円に対する通貨価値の変動は大きく影響しますが、あくまで財務諸表への影響であり
営業の実績とは一致しません。
取引リスクは当社グループの費用と負債の通貨構成が、収益と資産の通貨構成と異なるというリスクを意味しま
す。当社グループは取引リスクの一部をヘッジするために先物為替予約等を行っております。そのため、日本円に
対するリスクは軽減されておりますが解消されるものではないため、為替レートの変動は、将来重大な影響を与え
る可能性があります。
一般に、円安(特にユーロに対する円安)は、当社グループの営業利益と当期利益に好影響を及ぼし、円高(特にユーロに対する円高)は、悪影響を及ぼします。当連結会計年度は、ユーロに対しては円高、また、米ドルに対しても円高に推移しました。
売上高
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比2.0%(8,624百万円)減少して414,999百万円となりました。
当連結会計年度の円ドル為替相場の平均レートは、前連結会計年度に比べ9.8%の円高、1ドル=108.34円でした。
円ユーロ為替相場の平均レートは、10.5%の円高、1ユーロ=118.74円でした。全通貨の加重平均では11.4%の円高、為替による売上高の減少額は43,650百万円となります。このドル安およびユーロ安といった為替の影響を除いた場合、当社グループの連結売上高は8.3%(35,026百万円)増加となります。また当連結会計年度の販売台数は前連結会計年度比5.5%増加となりました。
製品等グループ別にみると、電動工具等の売上高が2.5%(6,965百万円)減少、園芸用機器・家庭用機器・その他製品の売上が2.4%(1,912百万円)減少、部品、修理およびアクセサリー売上が0.4%(253百万円)増加しております。全製品の販売金額に対する充電式製品比率は前年の45.5%から48.9%に増加しております。
地域別売上高
当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度比で、日本市場は8.7%(5,936百万円)増加し74,381百万円となりました。欧州市場は2.9%(4,995百万円)減少し168,992百万円、北米市場は2.4%(1,611百万円)減少し66,148百万
円、アジア市場(日本を除く)は3.3%(1,364百万円)減少し40,079百万円、中南米、オセアニア、中近東・アフリカ
を含むその他地域市場は9.2%(6,590百万円)減少し65,399百万円となりました。
国内は新製品を中心に販売が堅調に推移し、前期比8.7%増の74,381百万円となりました。
欧州は、各国での販売は概ね堅調に推移しましたが、前期に比べ為替レートが円高ユーロ安となったことから、前期比2.9%減の168,992百万円となりました。現地通貨ベースでは、西欧が10.0%増、東欧・ロシアが13.9%増と、欧州全体としては現地での販売は好調であり、対円でユーロが前年比10.5%下落したため、円換算後の売上金額は目減りする結果となりました。為替変動の影響をのぞくと、欧州の売上は11.3%(19,714百万円)増加となります。円ベースでは、東欧・ロシアの売上は前年比1.3%増加、イギリスは11.6%減少、ドイツでは3.5%減少、フランスは2.8%減少となりました。
北米は、拡大する米国経済を背景に現地での販売は増加したものの、前期に比べ為替レートが9.8%の円高ドル安となったことから、前期比2.4%減の66,148百万円となりました。為替変動の影響を除くと、北米の売上は8.3%(5,636百万円)増加となります。
アジアは、ベトナムや台湾、インドなどで販売が増加しましたが、前期に比べ為替レートが円高現地通貨安となったことから、前期比3.3%減の40,079百万円となりました。為替変動の影響を除くとアジアの売上は6.9%(2,861百万円)増加となりました。
その他地域では、オセアニアでは、リチウムイオンバッテリ製品を中心に販売が好調に推移し、前期比1.8%増の25,093百万円となりました。ブラジル経済の停滞が続いた中南米及び産油国での景気低迷が続いた中近東・アフリカでは、円高現地通貨安の影響もあり、それぞれ前期比11.6%減の23,110百万円、同18.8%減の17,196百万円となりました。為替変動の影響を除くと、その他の地域の売上は1.2%(879百万円)増加となります。
製品グループ別業績
電動工具等
電動工具等には、ドリル、グラインダ、サンダ、ハンマドリル、充電式インパクトドライバ、カッタ、丸ノコ等があります。このグループは当社グループの連結売上高のうち最も大きな割合を占めております。当連結会計年度におけるこの分野の売上高は前連結会計年度比2.5%減の269,787百万円で、連結売上高の65.0%となりました。このうち国内は前連結会計年度比8.7%増の38,875百万円で、国内売上高の52.3%となりました。海外は前連結会計年度比4.2%減の230,912百万円で、海外売上高の67.8%となりました。
当連結会計年度に発売した製品としては、ハイパワー・ブラシレスモータの搭載により、AC機並みの切断スピードを実現した充電式マルノコや、10.8Vのスライド式を採用し、小型・軽量化による使いやすさを追求した充電式ハンマドリル、低反動機構を搭載することで、打込み時の反動を低減し、使用感を向上させた充電式ピンタッカなどがあります。
園芸用機器・家庭用機器・その他製品
園芸用機器・家庭用機器・その他製品には、チェンソーやエンジン式草刈機、掃除機、充電式クリーナ等があ
ります。当連結会計年度におけるこの分野の売上高は前連結会計年度比2.4%減の77,501百万円で、連結売上高の18.7%となりました。このうち国内は前連結会計年度比8.5%増の19,537百万円で、国内売上高の26.3%となりました。海外は前連結会計年度比5.6%減の57,964百万円で、海外売上高の17.0%となりました。
当連結会計年度に発売した製品としては、充電式でありながら30mLエンジン式と同等の使用感を有する充電式チェンソーや、18Vリチウムイオンバッテリで駆動し、運搬作業の負担を軽減できる充電式運搬車、10.8Vのスライド式バッテリを採用し、強力な吸引力で軽快に取り回せる充電式クリーナなどがあります。
当社グループはエンジン式園芸用機器およびリチウムイオンバッテリを主体とする充電式園芸用機器の生産を
行っており、騒音や排気ガスといった点で環境にやさしい製品の拡販に努めております。
部品・修理・アクセサリー
当社グループはアフターサービスとして部品・アクセサリーの販売や修理を行っております。当連結会計年度におけるこの分野の売上高は前連結会計年度比0.4%増の67,711百万円で、連結売上高の16.3%となりました。このうち国内は前連結会計年度比8.9%増の15,962百万円で、国内売上高の21.5%となりました。海外は前連結会計年度比2.0%減の51,749百万円で、海外売上高の15.2%となりました。
売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度から3.9%(6,009百万円)減少し147,493百万円になりました。為替等の影響により、売上原価率が前期の63.8%から当期64.5%へと0.7ポイント増加しました。この結果、売上総利益率は、前連結会計年度の36.2%から35.5%になりました。
販売費及び一般管理費等
当連結会計年度の販売費及び一般管理費等は、人件費ならびに研究開発費等の増加がありましたが、為替換算の影響で減少する効果があったことにより、前連結会計年度と比較して4.4%(3,897百万円)減少し84,929百万円となりました。為替変動の影響を除くと販売費及び一般管理費等は3.4%(3,004百万円)の増加となります。販売費及び一般管理費等の対売上高比率は前連結会計年度に比べ0.5ポイント改善し、20.9%から20.4%になりました。
営業利益
上記の結果、営業利益は前連結会計年度比3.3%減の62,564百万円となりました。営業利益率は0.2ポイント悪化し、前連結会計年度の15.3%から15.1%になりました。
営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度が営業外損失3,184百万円であったのに対し、当連結会計年度は営業外収益2,174百万円となりました。これは、前連結会計年度は株価の低迷により、有価証券評価損が5,403百万円が発生したのに対して、当連結会計年度は、有価証券評価損が27百万円に減少したためです。
当社は主に自己資金で経営しており、当社グループの各子会社に対してグループ内で融資を行っているため、支払利息の変動は軽微となっております。
税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度から5.3%(3,246百万円)増加し64,738百万円にな
りました。税金等調整前当期純利益率は1.1ポイント改善し、前連結会計年度の14.5%から15.6%になりました。
法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度から0.5%(91百万円)増加し19,610百万円になりました。当連
結会計年度の実効税率は、前連結会計年度の31.7%から1.4ポイント低下して30.3%となりました。
当社株主に帰属する当期純利益
上記の結果、当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から7.6%(3,167百万円)増加し44,782百万円になりました。当社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度の9.8%から1.0ポイント改善して10.8%となりました。
1株当たり利益
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の153.3円から165.0円に増加しました。
地域別セグメント
セグメント情報は当社および連結子会社の所在地に基づき決定されます。セグメント売上は出荷元基準であり、それぞれの市場における売上高を示す地域別売上とは異なります。
当社は全てのオペレーティング・セグメントの業績を米国で一般に公正妥当と認められた会計基準により評価しております。各セグメントの営業利益の算出方法は、連結損益計算書における営業利益の算出方法と一致しており、受取利息及び配当金、支払利息、為替差損益、および有価証券実現損益などを含みません。
日本セグメント
当連結会計年度の日本セグメントの売上高は、前期比43.3%増加し242,588百万円となりました。この内、外部顧客に対する売上高は、前年同期比5.9%増の97,797百万円(連結売上高の23.6%)となりました。この増加は、グループ間取引の商流変更及び国内では、新製品を中心に販売が堅調に推移したことが影響しております。また、営業利益は、商流変更の影響などにより原価率が悪化し、営業利益率は11.1%から9.7%と1.4ポイント悪化しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は25.5%増加し23,615百万円となりました。
欧州セグメント
当連結会計年度の欧州セグメントの売上高は前期比3.0%減少し173,442百万円となりました。外部顧客に対する売上高は2.8%減少して169,204百万円(連結売上高の40.8%)となりました。これは、前期と比べて為替レートが円高ユーロ安となったことが要因となります。一方、経費抑制による販売費及び一般管理費の減少および、売上の堅調な推移から営業利益率は6.3%から7.9%と1.6ポイント改善しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は21.2%増加し13,638百万円となりました。
北米セグメント
当連結会計年度の北米セグメントの売上高は、前期比2.9%減少し71,622百万円となりました。この内、外部顧客に対する売上高は、前年同期比2.5%減の68,069百万円(連結売上高の16.4%)となりました。これは、為替レートが円高ドル安に推移したことによるものです。北米では、厳しい競争環境の中、ホームセンター向けを中心に売上が堅調であったことから固定費が薄まり、営業利益率は1.4%から2.2%と0.8ポイント改善しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は54.2%増加し1,587百万円となりました。
アジアセグメント
当連結会計年度のアジアセグメントの売上高は前期比9.0%減少し194,693百万円となりました。外部顧客に対する売上は4.2%減少して22,336百万円(連結売上高の5.4%)となりました。これは前期に比べ為替レートが円高現地通貨安に推移したことによるものです。アジアでは、中国工場での人件費の上昇などにより、営業利益率は12.5%から10.8%と1.7ポイント悪化しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は21.4%減少し21,056百万円となりました。
その他の地域セグメント
当連結会計年度のその他の地域セグメントの売上高は前期比9.5%減少し58,118百万円となりました。外部顧客に対する売上高は10.0%減少し57,593百万円(連結売上高の13.8%)となりました。これは、オセアニアでの販促活動が奏功したものの、中近東およびブラジル市場が停滞したこと等によります。この地域では、オーストラリアでの個人消費が堅調に推移しており、仕入通貨である米ドルに対して豪ドルが高くなっていることにより利益率が改善しております。営業利益率は3.6%から4.1%と0.5ポイント改善しました。この結果、当連結会計年度のこのセグメントの営業利益は2.0%増加し2,386百万円となりました。
重要な会計方針
以下において、当社グループは連結財務諸表および注記の前提に用いる判断基準や見積り方法を挙げております。
収益の認識
当社グループは取引を裏付ける確固たる証拠が存在すること、物品の引渡しまたは役務の提供が終了すること、売価が確定しているまたは確定しうるものであること、確実な回収可能性が見込まれることのすべての条件を満たした時点で、収益を認識しております。
収益の認識に関しては、当社グループは販売報奨を各種の販売推進プログラムの要件を満たした顧客に行っております。収益はこれらの販売奨励額との純額で計上しております。販売報奨は主として販売数量リベート、広告宣伝協力金および現金割引があります。
販売数量リベートは、月毎、四半期毎、半年毎または1年毎に、現金または売掛金の相殺として顧客に与えられるものであります。売上取引累計額があらかじめ顧客と取り決めた基準を達成した場合に、合意された計算に従い当該売上に対して取り決めた一定割合の販売奨励金が特定の顧客に与えられます。特定顧客に適用される合意された割合および合意された期間内に達成すると見込まれる売上取引累計額に基づき、販売数量リベートの債務は、対象となる売上が認識された時点で、販売報奨金額が売上から控除され、認識されます。
売上額が報奨額を見積った際の設定額を超過するかしないかにより、当社グループの連結財務諸表は重要な影響を受ける可能性があります。
広告宣伝協力金は、特定の顧客に対して広告のための負担または援助として協力金を供与するものです。この広告宣伝協力金の制度は、顧客との契約によって異なります。当社グループの広告宣伝協力金制度により特定の顧客は、当社グループから広告宣伝の証拠書類の提出を要求されず、単に契約に基づき売上高に特定の率を乗じて算出される広告宣伝協力金を受け取る場合があります。この場合の広告宣伝協力金としての負担額は、対象となる売上が認識された時点で、広告宣伝協力金が売上から控除され、認識されます。また広告宣伝協力金は、それぞれの顧客の過去売上実績を反映した売上高の見積りに基づいて計算されます。
現金割引とは、顧客と予め取り決めた契約、または同意した金額に基づく売上請求書金額に対する特定の割合を控除するものであります。現金割引は、将来現金割引が適用されることが確実に見積ることができる対象となる売上が認識された時点で、売上の控除として認識します。現金割引は、定期的に実際の売上取引と過去の実績に基づき見積ります。
棚卸資産の評価
当社グループは、保有期間、販売トレンドおよび近年の取引における収益性など様々な指標を基に棚卸資産の状況を管理しております。棚卸資産は主に平均法に基づく低価法により評価しております。この棚卸資産の評価にあたって、当社グループは販売不可能な不良品だけでなく、陳腐化または過剰在庫も評価することを要求されております。この陳腐化または過剰在庫を決定するためには、当社グループがマクロおよびミクロの経済情勢、競合他社の状況、技術の陳腐化、顧客ニーズの変化等の要因を考慮し、将来の需要予測をする必要があります。この棚卸資産評価に用いる将来の需要予測は収益予測の基礎になり、短期的な生産計画にも一致しております。例えば、当社グループの需要見込みに反し、実際の需要が少なく、当社がそれに対応して減産をしなければ、増加した手元在庫の評価減が必要となります。この棚卸資産評価損は売上総利益を減少させ、その結果、当期純利益にも重要な影響を与えることがあります。
有価証券の減損
当社グループの投資は、償却原価法によって会計処理されている負債証券および持分証券を含んでおります。持分証券の公正価値が帳簿価額より低くなり、その下落が一時的で無いと判断された場合、公正価値まで評価減を行い、その評価減した金額を損益に計上しております。負債証券について、公正価値の下落が一時的でないと判断し、かつ売却する意図がなく、また、償却原価までに回復する前に売却しなければならない可能性が50%超ではないとして認識した減損のうち、信用損失に係るものは損益として認識し、その他の要因に係るものはその他の包括利益(損失)累計額に含めております。また、公正価値の下落が一時的でないと判断し、かつ売却する意思があるか、或いは、償却原価まで公正価値が回復する前に当該負債証券を売却しなければならない可能性が50%超であるとして認識した減損については、全て損益として認識しております。当社グループは、個々の有価証券の一時的ではない減損を判定するため、定期的に投資ポートフォリオを評価しております。公正価値の下落が一時的であるかどうかの判定に際し、公正価値が取得原価を下回っている期間およびその度合い、発行企業の財政状態、業績、事業計画および公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスク、公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間当社グループが当該証券を保有し続けることができるかどうかなどを考慮しております。
公正価値が容易に算定できる売却可能有価証券の減損の判定に際し、公正価値が長期間、取得価額に比べ下落した場合、公正価値の下落が一時的ではないものと推定されます。投資の公正価値の下落が一時的であるかどうかの判定は、多くの場合主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画など特定の前提および見積りが必要となります。そのため、投資価値の下落が一時的であるものと判定している有価証券について継続的な業績の低迷、今後の世界的な株式市況の低迷あるいは市場金利変動の影響などの事後の情報の評価に基づき、今後、公正価値の下落が一時的ではないものと判定され、未実現損失が認識され、将来の利益を減少させる可能性があります。
貸倒引当金
当社グループは、顧客の信用調査を行い過去の支払い状況および顧客の現在の信用力に基づき売掛金限度額を検討し、限度額の調整を行っております。当社グループは、顧客からの回収および支払い状況を継続的に監視しており、妥当とされる貸倒引当金額を計上しております。その貸倒引当金は当社グループの過去の実績に基づく予想や当社グループが定めた基準に基づいております。貸倒見積り額は、一般債権については過去の貸倒実績率、回収懸念債権など特定の債権については顧客毎の信用状況および期日未回収債権の状況調査に基づいて決定しております。なお、破産申請や業績悪化等により顧客の支払能力に疑義が生じた場合においては、個別に追加的な引当金を計上しております。これまでの貸倒損失の実績は、すべて引当金の範囲内です。しかしながら、当社グループは過去に発生した貸倒比率が将来も続くということを保証しておりません。顧客の財政状態の根本的な変化は、当社グループの連結業績と財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは地理的に分散した多数の顧客を有しております。従って、重大な信用リスクが存在しているとは考えておりません。
長期性資産の減損
当社グループは、長期性資産の減損は連結財務諸表にとって重要であると考えております。なぜなら、設備装置等、多額の資産を保有しており、これら長期性資産の回収可能性は経営成績および財政状態に重大な影響を与えるためです。
当社グループは、定期的に、もしくは何らかの事象や状況の変化が、帳簿価額相当が回収できないことを示唆する場合に、長期性資産に対して減損に関するテストを行います。この減損テストは、当社グループの割引前将来キャッシュ・フローに基づき行われております。将来キャッシュ・フローの見積りは、過去の傾向に基づき現在考えられる最も合理的な将来の経営環境を想定しております。当社グループは、将来のキャッシュ・フローの見積りに合理性があると確信しておりますが、キャッシュ・フローの前提条件が異なる場合、当社グループの評価に重要な影響を与える可能性があります。所有資産または資産グループ(以下、資産グループ)の価値の回収可能性は、資産グループの帳簿価額とその資産の使用によりもたらされる割引前キャッシュ・フローとの比較で判断されます。当社グループは、資産グループの市場価値の大幅な低下や継続的なキャッシュ・フロー損失または資産の使用方法の大幅な変更があった場合等、資産グループに減損の兆候が見られ、割引前キャッシュ・フローとの比較により、回収可能性がないと判断される場合、帳簿価額が公正価値を超える部分について資産グループの減損を認識します。売却予定の要件を満たした長期性資産は、帳簿価額または売却に要する費用を控除した公正価値のうちどちらか低い価額で評価されることになります。
公正価値は、類似した資産の最近の取引額や、将来キャッシュ・フローの割引後の見積額、または各種の計算方法により算定された価額を基に決められます。資産を使用している実際の市場および経営状態が経営者の予測より悪化したことにより、もたらされるキャッシュ・フローの金額が少なくなり、また、そのキャッシュ・フローを生む期間が短くなるのであれば、さらに減損損失を認識することになります。加えて、営業活動の前提条件の予測不可能な変化により、公正価値が低く見積られる場合、長期性資産の評価にマイナス影響を与え、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼします。
のれんの減損
当社グループは、年1回のれんの減損の判定を実施しております。また、のれんの減損の可能性を示す事象または状況の変化が生じた時点で減損の判定を行っております。のれんの減損に関する年次の判定は、12月31日に行われます。当社グループは2段階の手続きによる報告単位の減損テストを実施する前に、報告単位の公正価値がのれんを含むその帳簿価額を下回っている可能性が50%超か否かについての定性的評価を行っております。事象や状況を総合的に評価した結果、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超ではないと判断した場合は、その報告単位について2段階の手続きによる減損テストを行いません。一方、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超であると判断した場合は、のれんは2段階の手続によりテストされます。当社は、上記の定性的評価を行った結果、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超であると判断した場合にのみ下記の2段階の手続きによる減損テストを行っております。第1段階は、のれんを含む報告単位の公正価値とその帳簿価額とを比較することにより減損の可能性を判定します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位ののれんは減損していないとみなされ、第2段階には進みません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、減損金額を測定するため、のれんの減損判定のため第2段階に進みます。のれんの減損判定のための第2段階では、報告単位ののれんの暗示された公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその暗示された公正価値を超過する場合には、その超過分を減損として認識します。のれんの公正価値は企業結合によりのれんを認識する方法と同一の方法により決定されます。
第1段階において、報告単位の将来見積キャッシュ・フローの現在価値および残存価値を算出するためインカムアプローチを用いております。これは、報告単位を取り巻く経済状況など有益な情報を提供するものであり、広く認められた評価手法であります。当社グループは将来見積キャッシュ・フローの算出にあたり、幾つかの基礎となる前提を用いておりますが、これらは今後の(ⅰ)収益成長率、(ⅱ)収益性、(ⅲ)加重平均資本コストおよび(ⅳ)永続成長率を含んでおります。当社グループはまた、比較可能な市場価額を参照するマーケットアプローチを用いて公正価値を見積っております。当社グループが見積りに用いている前提条件を修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績が悪影響を受ける可能性があります。
退職給付引当金
予測給付債務と年金費用の見積りに使用する前提条件は当社グループの財政状態と経営成績に対し、重大な影響を与えるため、当社グループは、連結財務諸表作成の上で、退職給付会計を重要視しております。退職給付引当金は年度末の退職給付債務と制度資産に基づいて決定されます。予測給付債務と年金費用の水準は、様々な年金保険数理計算に基づいて計算されます。主要な前提条件には、割引率、制度資産の長期期待収益率、予定昇給率および死亡率とその他の予測率があります。割引率は、測定日における信用度の高い固定利付債券の利率に基づき、毎年算定されます。
制度資産の長期期待収益率は、制度資産ポートフォリオの構成と、これらポートフォリオから期待できる長期収益率を基に毎年算定されます。長期期待収益率は、従業員の勤続に対して、年金債務を保証する制度資産の実際利回りに基づいて算定されます。この長期期待収益率の合理性を判断するために、制度資産ポートフォリオの実際利回りや予想収益率等数多くの要素を使用しております。
従って、これらの前提条件は毎年評価され、退職給付債務は、最新の前提条件に基づいて各連結会計年度末に再計算されます。米国における一般に公正妥当と認められる会計基準に従い、見積りと実績の差は累積され、期首時点における予測給付債務か制度資産の公正価値のいずれか大きい方の額の10%を超える部分は、従業員の平均残存勤続年数にわたって償却され、当社グループの将来にわたる経営成績に影響を与えます。
当社グループは日本において全従業員を対象とする確定給付年金制度を有しております。
制度資産の価値は世界の証券市場によって影響を受けます。市場が大幅に下降もしくは上昇した場合は将来の費用は大きな影響を受けます。
法人税
当社グループは、各国税法に基づいて法人税を見積っております。この過程では、会計上と税務上の差異による一時差異とともに当期税額の見積りが含まれております。この一時差異は連結貸借対照表上の繰延税金資産と繰延税金負債になります。また、繰延税金資産が将来の課税所得によって回収される可能性を考慮する必要があり、50%超の可能性で回収不能と見込まれる場合、評価性引当金を計上しなければなりません。
当期税額、繰延税金資産、繰延税金負債および評価性引当金を決定する際には重要な経営者による判断が要求されます。当社グループが将来関連する税務管轄地域において十分な課税所得を稼得できなかった場合、評価性引当金が積み増され、法人税費用が増加してしまう可能性があります。繰延税金資産の回収の可能性には不確実性が伴いますが、経営者は、承認された経営計画から判断し、繰延税金資産のすべてから評価性引当金を控除したものが実現されると考えております。しかしながら、実現可能であると考えられる繰延税金資産純額に対する見積りは近い将来において変更される可能性があります。また、繰越期間における将来の課税所得の見積りが変更される場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループの実効税率には、海外子会社で発生した未配分利益で日本の法人税の対象とはならない部分の未配分利益の影響が反映されています。もし将来の何らかの事象、例えば現金、運転資本および長期投資の要件に重要な変更が発生したことにより、これらの未配分利益に関連する一定の資産が親会社へ配当される場合には、日本の法人税率で計算される追加的な税金費用および関連する繰延税金負債が必要となり、当社グループの将来の実効税率に重要な影響を与える可能性があります。
日本の税法上、海外子会社からの配当の95%は課税されません。当社グループは、2017年3月31日現在、海外連結子会社の未配分利益のうち、無期限に再投資する予定のため繰延税金負債を認識していない未配分利益がありますが、実務上困難であることからその未認識の繰延税金負債の算定は行っておりません。
キャッシュ・フロー
営業活動から得たキャッシュ・フローは、前連結会計年度の34,188百万円から29,163百万円増加し、当連結会計年度は63,351百万円となりました。前連結会計年度と比べた主な増減理由は以下のとおりです。
(キャッシュ・フロー増加要因)
・仕入の減少や棚卸資産の適正化を進め、支出が28,219百万円減少
・税金支払額が2,012百万円減少
(キャッシュ・フロー減少要因)
・売上の減少などによる顧客からの回収が8,352百万円減少
投資活動に使用したキャッシュ・フローは、前連結会計年度の6,573百万円から1,558百万円減少し、当連結会計
年度は5,015百万円となりました。前連結会計年度と比べた主な増減理由は以下のとおりです。
(キャッシュ・フロー増加要因)
・売却可能有価証券の購入が8,780百万円減少
・売却可能有価証券の売却が15,395百万円増加
・満期保有有価証券の償還が5,200百万円増加
(キャッシュ・フロー減少要因)
・満期保有有価証券の購入が8,601百万円増加
・定期預金の預入が20,268百万円増加
財務活動に使用したキャッシュ・フローは、前連結会計年度の18,719百万円から9,224百万円減少し、当連結会計年度は9,495百万円となりました。前連結会計年度と比べた主な増減理由は以下のとおりです。
(キャッシュ・フロー増加要因)
・返済期限3ヶ月以内の借入金が3,824百万円増加
・返済期限3ヶ月超の借入金返済が3,227百万円減少
・配当金の支払額が2,307百万円減少
(キャッシュ・フロー減少要因)
・自己株式の取得(売却との純額)が10百万円増加
上記活動の結果および為替レートの変動による影響により、当社グループの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度の99,915百万円から42,266百万円増加し、当連結会計年度は142,181百万円となりました。
当社グループは、グローバルな生産体制の強化を図ってきております。世界の電動工具需要が、新興国で力強く
成長しており、多くの先進国で世界不況以前の水準に戻りつつあり、各販売子会社の在庫の適正化が進んだため、前連結会計年度末と比較して、当連結会計年度末は低い在庫水準となりました。
翌連結会計年度の設備投資計画は、当社の各工場での金型投資や機械設備投資などがあり、当連結会計年度と比
較して設備投資は増加する予定です。
財政状態
当社グループの流動性の主な源泉は、手元現預金、営業活動から得た現預金および与信限度枠内の借入金で構成
されます。当社グループは当連結会計年度末現在142,181百万円の現金及び現金同等物を保有しております。このほ
かに当社の海外子会社は、14,354百万円の与信限度枠を持っており、与信限度枠のうち6,564百万円を使用しており
ますが、7,790百万円は未使用でありました。当連結会計年度末現在の連結貸借対照表において6,579百万円の短期
借入金が計上されており、その内訳は、銀行からの借入金およびキャピタル・リース債務で構成されます。短期借
入金は主に海外子会社の日々の営業活動に使用されております。長期債務からの振り替え額を除く短期借入金は
6,564百万円で、251.0%(4,694百万円)増加しております。平均レート等短期借入金に関する情報は連結財務諸表
の注記10を参照下さい。
現在、当社グループは資金調達について、グループ内金融を主体に行っており、子会社の余剰資産は他の資金不
足の子会社へ融資することにしております。当社は自己資金で経営しており、当社グループの各子会社についても
グループ内融資主体のため支払利息に重要性はありません。
当連結会計年度末現在の短期借入金および長期債務の合計(借入債務)は前連結会計年度末の2,225百万円から
4,372百万円増加し6,597百万円になりました。長期債務は主に長期のキャピタル・リース債務の減少により30百万円から18百万円になりました。自己資本借入債務比率は1.3%でした。
当社グループは運転資本の需要に応じて随時資金調達が可能です。しかし、当社グループには翌連結会計年度において、重要な資金調達の潜在的需要はありません。
当社グループは、従前より高い流動比率を維持してきており、当連結会計年度末は142,181百万円の現金及び現金同等物があります。当社の経営者はこれらの現金および今後当社グループの営業活動によって生み出される現金で、将来にわたる運転資本の需要、設備投資および研究開発等を十分行えると見込んでおります。当社の経営者は、運転資本は、当社グループの現在の必要性に十分であると考えております。
なお、株主還元の施策として2016年11月に1株当たり18円の中間配当金が支払われ、2017年6月28日開催の株主総会において1株当たり82円の配当が決議されており、配当金総支払額は13,573百万円です。「1株当たり配当金」は株式分割前の株式数を基準として算定しております。
当社グループは、営業活動に必要な資金を資本市場から通常の取引条件で十分に調達できる能力を有しております。