有価証券報告書-第22期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/28 12:47
【資料】
PDFをみる
【項目】
134項目
7.企業結合
前連結会計年度および当連結会計年度に行った企業結合は以下のとおりであります。
なお、個別にも全体としても重要性が乏しい企業結合については記載を省略しております。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(Dialog Semiconductor Plc)
前々連結会計年度末においては、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、前々連結会計年度末時点において入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。前連結会計年度において、確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。
取得日(2021年8月31日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
修正科目のれん修正金額
のれん(修正前)(注)1519,618
棚卸資産316
有形固定資産△2,531
無形資産 (注)2△146,963
その他(非流動資産)△125
その他(流動負債)△1,458
その他の金融負債345
繰延税金負債29,731
その他(非流動負債)△763
修正金額合計△121,448
のれん(修正後)(注)1398,170

(注)1 Dialog Semiconductor Plc(以下「Dialog社」)の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
2 無形資産への配分額のうち主なものは技術資産であり、当該無形資産の公正価値は超過収益法を用いて、将来事業計画、割引率などの仮定に基づいて測定しております。
なお、Dialog社は、2021年9月14日付でDialog Semiconductor PlcからDialog Semiconductor Limitedに商号変更しました。
(Celeno Communications Inc.)
前々連結会計年度末においては、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、前々連結会計年度末時点において入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。前連結会計年度において、確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。なお、前連結会計年度において取得対価の調整をしております。
取得日(2021年12月20日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
修正科目のれん修正金額
のれん(修正前)(注)34,193
棚卸資産166
無形資産△18,644
繰延税金負債409
取得対価の調整(現金)26
修正金額合計△18,043
のれん(修正後)(注)16,150

(注) Celeno Communications Inc.(以下「Celeno社」)の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
なお、Celeno社は、2023年9月29日付でCeleno Communications Inc.からRenesas Semiconductor Design US Inc.に商号変更しました。

(Steradian Semiconductors Private Limited)
① 企業結合の概要
当社は、2022年10月17日にインド・ベンガルールに本社を置く半導体会社であるSteradian Semiconductors Private Limited(以下「Steradian社」)の株式すべての取得(以下「本件Steradian買収」)を完了し、Steradian社を完全子会社化しました。
(a) 被取得企業の名称および説明
被取得企業の名称 Steradian Semiconductors Private Limited
事業の内容 4Dイメージングレーダ製品の開発および販売
(b) 取得日
2022年10月17日
(c) 企業結合の主な理由
インド・ベンガルールに本社を置くSteradian社は、2016年創業のスタートアップ企業であり、高性能と小型化・電力の高効率化を実現するレーダ技術を保有しております。レーダは、様々なセンサを複合的に利用するADAS(先進運転支援システム)の実現に向けて不可欠な技術であります。車載レーダ市場の成長性を鑑みて、Steradian社を買収することにより、当社は、車載レーダ製品をポートフォリオに加え、レーダ事業に本格参入します。
また、当社は、同車載レーダ製品と、レーダ信号を処理するためのADAS用SoC(System-on-Chip)やパワーマネジメントIC(PMIC)、タイミング製品、認識用ソフトウェアを組み合わせた車載レーダソリューションを開発します。これにより、レーダシステムの設計の容易化を図り、早期開発に貢献します。
本件Steradian買収完了に伴い、当社は、Steradian社の優れた技術とエンジニアを獲得し、自動車向けだけでなく、産業向けなど幅広い用途のセンシングソリューションを拡充します。増大するセンシングへのニーズに対し、最適なデバイスやソフトウェアを組み合わせ、お客様の設計を楽(ラク)にするソリューション提案を幅広い用途向けに進めていきます。
(d) 被取得企業の支配を獲得した方法
現金を対価とする株式取得
② 取得対価およびその内訳
(単位:百万円)
対価金額
現金4,971
取得日直前に保有していた資本持分の公正価値843
条件付対価1,207
合計A7,021

当該企業結合に係る取得関連費用は345百万円であり、前連結会計年度において全額を「販売費及び一般管理費」に計上しております。
③ 取得資産および引受負債の公正価値ならびにのれん
(単位:百万円)
支配獲得日
(2022年10月17日)
流動資産
現金及び現金同等物101
営業債権及びその他の債権 (注)22
未収法人所得税19
その他51
流動資産合計173
非流動資産
有形固定資産19
無形資産5
繰延税金資産2
非流動資産合計26
資産合計199
流動負債
営業債務及びその他の債務16
未払法人所得税13
その他739
流動負債合計768

非流動負債
退職給付に係る負債5
その他14
非流動負債合計19
負債合計787
純資産B△588
のれん (注)3A-B7,609

(注)1 前連結会計年度末において、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していないため、前連結会計年度末時点で入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っております。そのため、前連結会計年度末時点においては、有形固定資産等の再評価や無形資産等の追加認識は行っておらず、取得対価と取得日に受け入れた資産および引き受けた負債の純額との差額を暫定的に全額のれんに計上しております。なお、無形資産については暫定的にSteradian社の簿価で計上しております。
2 契約金額の総額は公正価値と同額であり、回収不能と見込まれるものはありません。
3 Steradian社の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
④ 子会社株式の取得による支出
(単位:百万円)
科目金額
現金による取得対価4,971
支配獲得時に被取得企業が保有していた現金及び現金同等物△101
子会社の取得による現金支払額(純額)4,870

なお、取得対価は、運転資本の変動などに応じた価格調整により変動する可能性があります。
⑤ 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の連結損益計算書に与える影響額(非監査情報)
仮にSteradian社の取得日が前連結会計年度の期首に実施された場合にそれが前連結会計年度の売上収益と当期利益に与える影響額は重要性が乏しいため、プロフォーマ情報を記載しておりません。
⑥ 被取得企業の収益および純損益
前連結会計年度において、取得日から前連結会計年度末までのSteradian社の売上収益および当期損益が連結財務諸表に与える影響額は重要ではありません。
⑦ 段階取得に係る差益
当社グループが取得日に保有していた10.64%を取得日の公正価値で再測定した結果、当該企業結合から447百万円の段階取得に係る差益を認識しております。この利益は、連結包括利益計算書上、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産」に含めております。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(Celeno Communications Inc.)
条件付対価は、Celeno社の今後の製品開発、量産の進捗に応じて合意されたいくつかの条件(マイルストン)を特定の期限までに充足した場合にそれぞれに対して支払われるものであり、契約上、最大で45百万米ドルを支払う可能性があります。
条件付対価の公正価値は、Celeno社に支払う可能性がある金額について、その発生確率を加味した現在価値で算定しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルは、レベル3になります。レベル3に分類した条件付対価の期首残高から期末残高への調整表は次のとおりであります。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
期首残高4,6811,265
期中決済額△2,205△40
公正価値の変動△2,201△1,235
為替換算差額99010
期末残高1,265

また、条件付対価に係る公正価値変動額のうち、貨幣の時間的価値の変動に基づく部分を「金融費用」に計上するとともに、貨幣の時間的価値以外の変動に基づく部分を「その他の収益」または「その他の費用」に計上しております。前連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が2,464百万円、「金融費用」が263百万円発生しており、当連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が1,242百万円、「金融費用」が7百万円発生しております。
(Steradian Semiconductors Private Limited)
前連結会計年度末においては、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、前連結会計年度末時点において入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。第1四半期連結会計期間において、確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。なお、第1四半期連結累計期間において取得対価の調整をしております。
取得日(2022年10月17日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
修正科目のれん修正金額
のれん(修正前)(注)7,609
無形資産△1,593
繰延税金負債264
取得対価の調整88
修正金額合計△1,241
のれん(修正後)(注)6,368

(注) Steradian社の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
比較情報として開示している前連結会計年度の連結財政状態計算書を遡及的に修正しており、この影響により主にのれんが1,182百万円減少し、無形資産が1,401百万円増加しております。
また、前連結会計年度の連結損益計算書および連結包括利益計算書に与える影響は軽微であります。
条件付対価は、Steradian社の今後の製品開発、量産の進捗に応じて合意されたいくつかの条件(マイルストン)を特定の期限までに充足した場合にそれぞれに対して支払われるものであり、契約上、最大で11百万米ドルを支払う可能性があります。
条件付対価の公正価値は、Steradian社に支払う可能性がある金額について、その発生確率を加味した現在価値で算定しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルは、レベル3になります。レベル3に分類した条件付対価の期首残高から期末残高への調整表は次のとおりであります。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
期首残高1,078
企業結合による増加1,207
公正価値の変動△558
為替換算差額△12966
期末残高1,078586

また、条件付対価に係る公正価値変動額のうち、貨幣の時間的価値の変動に基づく部分を「金融費用」に計上するとともに、貨幣の時間的価値以外の変動に基づく部分を「その他の収益」または「その他の費用」に計上しております。当連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が558百万円発生しております。
(Panthronics AG)
① 企業結合の概要
当社は、完全子会社を通じて2023年6月1日にオーストリアに本社を置く半導体会社であるPanthronics AG(以下「Panthronics社」)の株式すべての取得を完了し、Panthronics社を完全子会社化しました。なお、Panthronics社は、2023年10月12日付でPanthronics AGからRenesas Design Austria GmbHに商号変更しました。
(a) 被取得企業の名称および説明
被取得企業の名称 Panthronics AG
事業の内容 NFC(Near-Field Communication:近距離無線通信)等半導体の開発および販売
(b) 取得日
2023年6月1日(中央ヨーロッパ夏時間)
(c) 企業結合の主な理由
オーストリアに本社を置くPanthronics社は、高性能なNFCチップセットやソフトウェアを提供しております。NFCは、デジタル化する経済の中で欠かせない存在となっており、日常生活においても随所で活用されております。例えば、モバイル決済端末(mPoS)や非接触型決済に代表されるフィンテック、IoT、アセットトラッキング、そしてワイヤレス給電に用いられる事例が近年増加しております。優秀なNFCチップセットやソフトウェア開発部隊を擁するPanthronics社を買収することで、当社はNFC技術を内製化できるようになり、成長著しいNFCの市場機会や顧客ニーズを機敏に捉えられます。
また、当社の広範な製品ポートフォリオや、MCU(マイクロコントローラ) / MPU(マイクロプロセッサ)のセキュリティ機能とPanthronics社のNFC技術を組み合わせることで、当社の幅広いお客様に対し、迅速に市場投入できる、革新的なNFCシステムソリューションを数多く提供できるようになります。
(d) 被取得企業の支配を獲得した方法
当社の完全子会社を通じた現金を対価とする株式取得
② 取得対価およびその内訳
(単位:百万円)
対価金額
現金9,801
条件付対価2,794
合計A12,595

当該企業結合に係る取得関連費用は245百万円であり、当連結会計年度において全額を「販売費及び一般管理費」に計上しております。
③ 取得資産および引受負債の公正価値ならびにのれん
(単位:百万円)
支配獲得日
(2023年6月1日)
流動資産
現金及び現金同等物63
営業債権及びその他の債権 (注)2662
棚卸資産152
その他44
流動資産合計921
非流動資産
有形固定資産35
無形資産4,872
その他の金融資産9
繰延税金資産1,123
非流動資産合計6,039
資産合計6,960
流動負債
営業債務及びその他の債務360
社債及び借入金1,893
その他1,210
流動負債合計3,463

非流動負債
繰延税金負債1,123
非流動負債合計1,123
負債合計4,586
純資産B2,374
のれん (注)3A-B10,221

(注)1 第3四半期連結会計期間末において、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、第3四半期連結会計期間末時点における入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。当連結会計年度末において確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。
取得日(2023年6月1日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
修正科目のれん修正金額
のれん(修正前)(注)315,073
無形資産△4,852
繰延税金資産△1,123
繰延税金負債1,123
修正金額合計△4,852
のれん(修正後)(注)310,221

2 契約金額の総額は公正価値と同額であり、回収不能と見込まれるものはありません。
3 Panthronics社の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
④ 子会社株式の取得による支出
(単位:百万円)
科目金額
現金による取得対価9,801
支配獲得時に被取得企業が保有していた現金及び現金同等物△63
子会社の取得による現金支払額(純額)9,738

⑤ 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の連結損益計算書に与える影響額(非監査情報)
仮にPanthronics社の取得日が当連結会計年度の期首に実施された場合にそれが当連結会計年度の売上収益と当期利益に与える影響額は重要性が乏しいため、プロフォーマ情報を記載しておりません。
⑥ 被取得企業の収益および純損益
当連結会計年度において、取得日から当連結会計年度末までのPanthronics社の売上収益および当期損益が連結財務諸表に与える影響額は重要ではありません。
⑦ 条件付対価
条件付対価は、Panthronics社の今後の製品開発、量産の進捗に応じて合意されたいくつかの条件を特定の期限までに充足した場合にそれぞれに対して支払われるものであり、契約上、最大で61百万米ドルを支払う可能性があります。
条件付対価の公正価値は、Panthronics社に支払う可能性がある金額について、その発生確率を加味した現在価値で算定しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルは、レベル3になります。レベル3に分類した条件付対価の期首残高から期末残高への調整表は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
期首残高
企業結合による増加2,794
公正価値の変動△223
為替換算差額140
期末残高2,711

また、条件付対価に係る公正価値変動額のうち、貨幣の時間的価値の変動に基づく部分を「金融費用」に計上するとともに、貨幣の時間的価値以外の変動に基づく部分を「その他の収益」または「その他の費用」に計上しております。当連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が223百万円発生しております。