訂正有価証券報告書-第40期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/30 13:07
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における世界経済は、米国で明らかな景気回復基調が示されたことに加え、一時はギリシャのユーロ離脱等による欧州債務危機の再来が懸念された欧州も、好調なドイツ経済や「欧州中央銀行による国債買入」等により総じて堅調に推移いたしました。アジアにおいては、中国が高成長時代に別れを告げ、中低速での経済の安定を目指す「新常態」に入ったことを宣言するなど、これまでより緩やかな成長スピードで推移いたしました。日本経済におきましては、日銀による量的・質的金融緩和の拡大などデフレ脱却に向けた経済政策が推し進められ、円安株高基調が進行したものの、昨年4月の消費税増税による景気後退からの回復には相応の時間を要することが予想されます。
このような状況の中、当社グループは“M500基礎固め”をスローガンに掲げ、連結売上高の中期目標を500億円とする“M500プロジェクト”の2年目となる当連結会計年度において、この中期目標の達成を見据えた収益基盤の強化に取り組むとともに、お客様のオンデマンド・ビジネスをサポートするための施策を積極的に展開いたしました。
具体的施策としまして、SG(サイングラフィックス)市場向けでは、プリント速度と連続運転機能を大きく高め、次期主力製品として平成26年6月に発売したJV300シリーズの全世界的なプロモーションを展開したほか、JV300シリーズのプリント速度を抑えることで低価格を実現したJV150シリーズを平成26年10月に発売し、SG市場向けのインクジェットプリンタの需要がより旺盛ながらも、価格が重視される新興国地域を主なターゲットに積極販売に取り組みました。さらに、JV300シリーズとJV150シリーズにカッティング機能を追加し、新開発の高輝度シルバーインクに対応したCJV300シリーズ及びCJV150シリーズを平成26年10月に発売し、プリント&カット機市場でのシェア拡大に努めました。IP(インダストリアルプロダクツ)市場及びTA(テキスタイル・アパレル)市場向けでは、世界的に拡大しているデジタル・オンデマンド生産の需要に対し、機能・価格・プリントサイズ等、お客様の多様なニーズに応える豊富な製品ラインナップで独自の付加価値を提案し、IP、TA市場向けの売上高をSG市場に並ぶ第2、第3の柱とするべく、積極販売に取り組みました。
その結果、当連結会計年度における売上高は466億37百万円(前連結会計年度比15.5%増)、営業利益は44億91百万円(同51.9%増)、経常利益は37億53百万円(同124.9%増)、当期純利益は25億22百万円(同185.2%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメントの利益につきましては、セグメント間取引消去の影響により連結損益計算書の営業利益から乖離してしまうため、記載を省略しております。
(日本)
日本セグメントは、日本国内及びアジア地域の一部に向けた販売を展開しております。日本国内におきましては、消費税率引き上げによる需要減退の影響を受けましたが、SG市場向けの新製品JV300、CJV300、CJV150シリーズが販売台数を伸ばしたほか、IP市場向けの大型UV硬化プリンタのエントリーモデルJFX200-2513が好調に推移したこと等により、前連結会計年度の売上を上回りました。また、平成26年10月に14番目の国内営業拠点となる横浜営業所を開設し、地域密着の販売・保守サービス網を強化いたしました。アジア地域向けでは、前連結会計年度の第1四半期まで日本セグメントの販売エリアであったASEAN諸国向けの販売をMIMAKI SINGAPORE PTE. LTD.へ、同じくオセアニア諸国向けの販売をMIMAKI AUSTRALIA PTY LTDへ営業移管いたしました。このため、TA市場向けの昇華転写プリンタのエントリーモデルTS34-1800Aが販売台数を大きく伸ばしたものの、同地域向けの総売上は減少いたしました。その結果、外部顧客に対する売上高は125億64百万円(前連結会計年度比0.7%減)となりました。
(北米)
北米セグメントは、販売子会社MIMAKI USA,INC.による北米及び中南米地域(ブラジルを除く)に向けた販売を展開しております。北米地域におきましては、JV300シリーズ等による新製品効果はあったものの、SG市場向けの販売が伸び悩みました。一方、IP市場向けではJFX200-2513が販売台数を大きく伸ばし、TA市場向けの昇華転写プリンタも堅調に推移したこと等により、同地域向けの総売上は前連結会計年度を上回りました。中南米地域におきましては、SG市場向けの新製品JV300、JV150シリーズ及びIP市場向けのJFX200-2513が好調な売れ行きで推移したこと等により、前連結会計年度の売上を上回りました。その結果、外部顧客に対する売上高は79億10百万円(同19.3%増)となりました。なお、当社グループではアメリカ国内での販売強化を課題として認識しており、ミニ展(※)の開催頻度をより活発化させてお客様との距離感を縮め、シェアアップに繋げていく考えであります。
(※)お客様を招いて開催する小規模なプライベート展示会のこと。
(欧州)
欧州セグメントは、欧州各国への販売を行う子会社MIMAKI EUROPE B.V.とドイツにおける販売子会社Mimaki Deutschland GmbHによる欧州地域に向けた販売のほか、MIMAKI EUROPE B.V.が中東・アフリカ地域に向けても販売を展開しております。欧州地域におきましては、SG市場向けの新製品JV300、JV150、CJV300、CJV150シリーズがいずれも好調に推移したこと、IP市場向けの小型モデルのUJF-3042FX/HG及びUJF-6042、大型モデルのJFX200-2513ともに販売台数を大きく伸ばしたこと、TA市場向けの昇華転写プリンタTS500-1800も販売台数を大きく伸ばし、これに伴い昇華染料インクの売上も大きく伸びたこと等により、前連結会計年度の売上を大きく上回りました。中東・アフリカ地域におきましては、IP、TA市場向けが好調だった一方でSG市場向けが伸び悩んだことにより、前連結会計年度の売上を下回りました。その結果、外部顧客に対する売上高は161億48百万円(同16.9%増)となりました。
(アジア・オセアニア)
アジア・オセアニアセグメントは、中国の製造子会社である御牧噴墨打印科技(浙江)有限公司と販売子会社の上海御牧貿易有限公司、台湾で部品調達、インク組立、製品販売及びプリントサービスを行う子会社の台湾御牧股份有限公司、インドネシアの販売子会社PT. MIMAKI INDONESIA、シンガポールの販売子会社MIMAKI SINGAPORE PTE. LTD.及びオーストラリアの販売子会社MIMAKI AUSTRALIA PTY LTDによって展開しております。中国におきましては、SG市場向けの主力既存モデルJV33シリーズが好調な売れ行きを維持し、新製品もJV300、JV150シリーズを中心に販売台数を伸ばしました。また、IP市場向けのUV硬化プリンタ及びTA市場向けの昇華転写プリンタもエントリーモデルを中心に堅調に推移いたしました。その他各国におきましては、前連結会計年度に設立したシンガポール及びオーストラリアの販売子会社による販路整備が奏功し、ASEAN諸国やオーストラリアでの売上が伸び始め、好調に推移いたしました。その結果、外部顧客に対する売上高は72億31百万円(同40.3%増)となりました。
(中南米)
中南米セグメントは、販売子会社MIMAKI BRASIL COMERCIO E IMPORTACAO LTDAによるブラジル市場に向けた販売を展開しております。SG市場向けの主力既存モデル及び新製品JV300、JV150シリーズが順調だったことに加え、TA市場向けでは堅調な昇華転写プリンタの売れ行きを背景に、昇華染料インクの売上が前連結会計年度を大きく上回ったこと等により、外部顧客に対する売上高は27億82百万円(同32.3%増)となりました。
当連結会計年度における機種群別の売上は次のとおりであります。
[機種群別売上高]
売上高(百万円)構成比率(%)前年同期比(%)
S G 市 場 向 け23,79851.0107.5
I P 市 場 向 け12,50426.8123.9
T A 市 場 向 け5,74212.3129.3
保 守 部 品3,2717.0123.4
そ の 他1,3192.9127.2
合 計46,637100.0115.5

(SG市場向け)
平成26年6月に発売したJV300シリーズが、画質やプリント速度、連続運転機能といった商品力で高い市場評価を得て、既存のお客様の入れ替え需要を取り込むとともに新規のお客様も獲得し、非常に好調な売れ行きで販売台数を伸ばし、JV300シリーズの前身機種JV33シリーズも、中国や新興国地域を中心に底堅く推移いたしました。さらに、平成26年10月発売のプリント速度を抑えた低価格モデルのJV150シリーズ、同じく平成26年10月発売のJV300とJV150にカッティング機能をプラスしたCJV300シリーズ及びCJV150シリーズも販売台数を伸ばし、売上増加に貢献いたしました。その結果、売上高は237億98百万円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。
(IP市場向け)
環境対応に優れ、様々な素材にプリント可能なUV硬化インクの特性を活かせるIP市場向け製品のなかで、主力の小型モデルUJF-3042HG、UJF-3042FX及びUJF-6042が堅調な売れ行きで推移いたしました。大型モデルについても、上位機種JFX500-2131の機能を絞ることで半値程度に価格を抑えたエントリーモデルJFX200-2513が小型モデルに並ぶ主力製品に成長し、販売台数を大きく伸ばしました。その結果、売上高は125億4百万円(同23.9%増)となりました。
(TA市場向け)
当社が他社に先駆けて提案してきた昇華転写方式は、プリントできる素材がポリエステル等の化学繊維に限定されるため、スポーツアパレルやのぼり旗用途が従来の主力でしたが、プリント後の洗い工程が不要である分、省スペースでクリーンな作業環境を手軽に低コストで導入できることから、ファストファッションブランドを中心にファッションアパレルでの活用が進み、テキスタイル捺染における独自市場へと成長しつつあります。エントリーモデルのTS34-1800A、上位機種のTS500-1800ともに販売好調で、昇華染料インクは本体以上も大きく売上を伸ばしました。その結果、売上高は57億42百万円(同29.3%増)となりました。
(保守部品)
製品本体の販売台数を伸ばしたこと等に伴い、売上高は32億71百万円(同23.4%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という)は、たな卸資産の増加や有形固定資産の取得等があったものの、株式の発行による収入、長期借入金の借入等により前連結会計年度末に比べ21億19百万円増加し、当連結会計年度末には69億89百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は21億45百万円(前連結会計年度は18億2百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益37億66百万円、減価償却費14億82百万円、仕入債務の増加14億4百万円等の資金の獲得があったものの、たな卸資産の増加63億49百万円、法人税等の支払額15億24百万円等に使用されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は27億38百万円(前連結会計年度比15億2百万円の増加)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出27億60百万円等に使用されたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は66億42百万円(同59億3百万円の増加)となりました。これは、長期借入金の返済による支出17億79百万円等に使用されたものの、株式の発行による収入46億84百万円、長期借入金の借入れによる収入38億10百万円等の獲得によるものであります。