有価証券報告書-第116期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国では、良好な雇用・所得環境に支えられて個人消費は堅調に推移していますが、中国との貿易摩擦をはじめとした通商政策がもたらす景気の減速がリスクとなっております。欧州では、労働市場の改善を背景に個人消費が底堅く推移している一方で、海外景気の減速や英国のEU離脱問題等の政治をめぐる不確実性の高まりに伴い、景気の先行きは不透明な状況にあります。新興国・資源国では、米中貿易摩擦の影響で中国景気の減速傾向が明確化しており、中国依存の諸国においては輸出の鈍化による景気後退が懸念されております。国内経済は、堅調な雇用・所得環境を背景とした個人消費の回復、企業業績の改善を受けた設備投資の増加基調、インバウンド需要の持ち直しなどにより緩やかな景気の回復基調が続いていますが、米中及び欧州を軸とする世界経済の減速が懸念されております。
このような状況下、当社グループは、17中計(2017年4月から2020年3月までの経営計画)の中間年にあたり、当社グループが目指す将来像や方向性、2016年度からの10年間にわたる会社のあり方を示す長期ビジョン「MES Group 2025 Vision」の達成に向けて、「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域に注力し、「経営基盤の深化」と「グループ経営の深化」を進めてきました。その経営改革の一環として、2018年4月1日より持株会社体制へ移行するとともに、商号を「株式会社三井E&Sホールディングス」に改めております。
一方、エンジニアリング事業の海外EPC(設計・調達・建設)プロジェクトにおいて、大規模な損失が連続して発生したため、当社グループの財務基盤は著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっております。そのため、新たに「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、財務・収益体質の強化、及び事業構造の変革を推し進め、財務基盤の健全化を図ります。
グループ事業の再編成により、グループの総合力発揮を加速することでこの難局を乗り切り、引き続きグループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて301億22百万円減少の9,991億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて464億75百万円増加の7,188億61百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて765億97百万円減少の2,802億39百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は7,101億27百万円(前年同期比△38.8%)、売上高は6,565億4百万円(同△6.6%)、営業損失は597億3百万円(前年同期は52億24百万円の営業損失)、経常損失は505億2百万円(前年同期は30億61百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は695億99百万円(前年同期は101億37百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(船舶)
受注高は1,132億7百万円(前年同期比+5.9%)、売上高は968億79百万円(同△13.9%)、営業損失は81億12百万円(前年同期は152億28百万円の損失)となりました。
(海洋開発)
受注高は2,542億円(同△63.7%)、売上高は2,224億58百万円(同+16.4%)、営業利益は148億94百万円(同+31.6%)となりました。
(機械)
受注高は1,853億32百万円(同△0.8%)、売上高は1,869億35百万円(同+2.9%)、営業利益は102億11百万円(同△9.9%)となりました。
(エンジニアリング)
受注高は589億27百万円(同△21.9%)、売上高は689億73百万円(同△46.0%)、営業損失は796億70百万円(前年同期は157億75百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは661億76百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1億30百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは533億40百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度に比べて110億96百万円増加(+12.9%)して974億8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、661億76百万円(前連結会計年度は35億55百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失452億34百万円、固定資産処分益113億6百万円、たな卸資産の増加による支出105億55百万円などがあった一方、減価償却費144億95百万円、売上債権の減少による収入524億36百万円、仕入債務の増加による収入217億78百万円、その他負債の増加による収入485億2百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて89億16百万円減少して1億30百万円となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の売却による収入198億86百万円、貸付金の回収による収入869億96百万円などがあった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出182億88百万円、貸付けによる支出888億57百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて385億27百万円増加して533億40百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入201億94百万円などがあった一方、短期借入金の純減少による支出78億36百万円、長期借入金の返済による支出619億34百万円があったことなどによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって、期末時点において連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える判断、見積りを行っております。貸倒引当金、受注工事損失引当金などの各種引当金、繰延税金資産の回収可能性及び工事進行基準による売上など、見積りにあたっては、それぞれ合理的な方法によっております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ301億22百万円減少の9,991億円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が180億2百万円、有形固定資産が100億26百万円それぞれ減少したことなどによります。
負債は、1年内返済予定の長期借入金が238億62百万円、長期借入金が186億29百万円それぞれ減少した一方、前受金が356億60百万円、受注工事損失引当金が506億44百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末と比べ464億75百万円増加の7,188億61百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べ765億97百万円減少の2,802億39百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、子会社の三井海洋開発株式会社が前期に大型プロジェクトを受注していたことなどから、前期と比べて4,505億35百万円減少(△38.8%)の7,101億27百万円となりました。
売上高は、海洋開発部門で増収になった一方、船舶部門及びエンジニアリング部門の進行基準工事売上高が減少したことなどにより、前期と比べて467億12百万円減少(△6.6%)の6,565億4百万円となりました。
営業損失は、エンジニアリング事業のインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事で大幅な損失を計上した影響により、前期と比べて544億78百万円増加の597億3百万円となりました。
経常損失は505億2百万円(前期は30億61百万円の経常利益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失は、税金等調整前当期純損失になったことに加えて繰延税金資産の取崩しを行ったことなどにより、前期と比べて594億62百万円増加の695億99百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(船舶)
米中貿易摩擦の深刻化や、ブラジル資源大手の鉱山ダム決壊事故による出荷量の大幅減、目睫に迫っている環境規制の厳格化など先行き不透明な状況が影響し、海運・造船市況は低迷が続いています。中長期的には、新興国の持続的経済成長と世界の景気回復基調による海上荷動き量の増加に伴って新造船需要も増加するというこれまでの見方に変わりはありませんが、短期的には新規需要の大幅増加は期待し難く、受注環境の本格的回復までには、しばらく時間がかかるものと思われます。
ガス船分野では、LNG輸出プロジェクトへの投資が堅調に推移しており、大型LNG船の新造商談に加え、中小型LNG船やLNGバンカリング船の発注計画も動きはじめております。他方、アジア方面への輸送量の増大が期待される米シェールガスにおいては、貿易摩擦等によりプロジェクト減速の懸念もあります。
資源開発船分野では、主要産油国の協調減産・地政学的リスクの高まりから原油価格は上昇基調にあり、またエネルギー資源の安定供給の観点からも海洋石油開発は世界各地で継続的に実施されており、これらに投入されるFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)等の整備も活発で、短期的にも中長期的にも事業環境は堅調に推移するものと見ております。
このような状況下、当社グループは、すでに市場投入している環境対応型ばら積み貨物運搬船の受注活動の取り組みを高め、引き続き省エネ船の先行ヤードとしての強みを活かして、採算改善を図りながら選別的な受注を進めていきます。また、船主のニーズを喚起する新しいガス燃料船などの新船型の開発も進める一方で、海外の協業先への委託建造などのスキームも活用して今後の新造船事業の展開を図ります。
資源開発船分野については、中古タンカーの改造が主流のFPSOに対して耐久性に優れた新造船体を短納期で供給するFPSO船体「noah」のライセンス供与とエンジニアリングサービスのビジネス展開により海洋ブランドの確立を図ります。
国防保安分野については、各省庁より防衛力の強化、戦略的海上保安体制並びに漁業取締体制の強化推進が発表され、艦船、大型巡視船、漁業取締船、練習船などが予算化されております。この増勢・代替需要は底堅く、今後も継続すると見込んでおります。
受注高は省エネ型ばら積み貨物運搬船の受注を11隻積み上げたほか、防衛省向け艦船を含む官公庁船等により、前期と比べて62億59百万円増加(+5.9%)の1,132億7百万円となりました。売上高はこれまでの造船市況低迷期に受注を抑制した影響で年間計画操業量を抑えたこと等により、前期と比べて155億93百万円減少(△13.9%)の968億79百万円となり、営業損益は従来から進めているコスト改善施策が奏功し、既受注工事の採算改善に取り組んだ結果、前期より71億16百万円改善の81億12百万円の営業損失となりました。
(海洋開発)
原油価格は、米国の対イラン制裁による供給減少等から需給ひっ迫が懸念されてWTIは一時1バレル70米ドル台まで上昇しましたが、需給見通しの軟化に伴って落ち着きを取り戻し、2018年12月末には50米ドル前後の水準で取引されました。その後、再び上昇基調を背景に2019年3月末には60米ドル前後にまで上昇しております。こうしたなか、数多くの海洋石油開発プロジェクトが計画されており、FPSOに関する事業環境は良好で、今後の成長を期待しております。
このような状況にあって、当社グループは17中計に掲げた「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」の方針のもと、FPSO事業の拡大に向け、グループ全体でのリソース融通やEPC(設計・調達・建設)などの協業を強化してまいります。
受注高は大型チャータープロジェクトの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更及びオペレーションサービス等がありましたが、前期と比べて4,467億24百万円減少(△63.7%)の2,542億円となりました。売上高はFPSO建造工事の進捗等により、前期と比べて312億76百万円増加(+16.4%)の2,224億58百万円となり、営業利益は前期と比べて35億73百万円増加(+31.6%)の148億94百万円となりました。
(機械)
舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップは依然解消されておらず、また資機材費の上昇により厳しい受注環境が続いていますが、生産量は164基/389万馬力と前期から増え、2018年6月に累計生産1億馬力を達成しました。翌期については208基/398万馬力と更なる増産を予定しています。また、NOx三次規制対応機関の引合いが急増しており、加えてSOx規制や温室効果ガス削減対応としてガス燃料を主とした燃料多様化への関心が高まっていますが、これらの需要に対応するため設備投資を行い、生産設備の拡充を進めています。
産業機械については、粗鋼生産量の伸びが著しいインドの製鉄所向け高炉送風機2基と炉頂圧回収タービン1基を受注しました。また、従来機から総合効率を高めた1000kWクラス新型小型ガスタービンを開発し販売を開始しました。初号機を2019年3月に受注しており今後拡販を図ります。石油精製関連設備である往復動圧縮機の引合いは増加傾向にありますが、競合他社との競争で厳しい受注環境が続いています。
運搬機については、引き続き東南アジアやアフリカなどの新興国で堅調なコンテナクレーンの需要があります。当期はインドネシア向けや南米のエクアドル向けの大型案件を受注しましたが、他の大型海外案件の実施遅れなどにより受注高は前期から減少しました。海外生産拠点としてインドネシアのバタム島に設立したPT. MES Machinery Indonesiaでは2018年3月に生産を開始しクレーン部品の生産を行なっておりますが、今後コンテナ用ヤードクレーンの一体製作を行なう予定であり、機械加工設備などの生産設備の拡充を進めています。
社会インフラについては、高速道路会社向けの新設橋梁や橋梁耐震補強案件を中心に受注は好調に推移しました。また、保全案件も増加していることから、橋梁の床版取替案件等に注力すると共に、トンネル・道路・橋梁などの劣化、損傷診断ツールである自社開発レーダ探査技術を活用し事業拡大を図ります。
アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、ディーゼル部品の受注が好調に推移したこと、製鉄所や石油精製プラント向けの産業機械において定期点検作業や補修工事の引合いが増えていること、また、コンテナクレーン新設に伴う既設機の移設・解体工事やクレーン安定稼動に向けた改修工事などにより、受注高・売上高ともに前期から増加しました。
受注高は、舶用ディーゼル機関、コンテナクレーン、橋梁、港湾関連構造物、各種産業用機械及びアフターサービス事業等により、前期並みの1,853億32百万円となりました。売上高はこれらの製品・事業により前期と比べて52億1百万円増加(+2.9%)の1,869億35百万円となり、営業利益は前期と比べて11億18百万円減少(△9.9%)の102億11百万円となりました。
(エンジニアリング)
環境・エネルギー分野については、当社グループのバイオマス発電事業として、2017年9月に市原バイオマス発電所(千葉県市原市)の建設工事を受注し、建設工事を遂行中です。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)による買取価格は下落傾向にありますが、当社では今後もバイオマス発電事業を、グループ会社であるBurmeister & Wain Scandinavian Contractor A/Sとの協業で拡大していきます。また、風力発電事業では主力の陸上風力発電に加え、新たに着床式洋上風力発電を市場投入し、受注拡大に取り組んでいきます。
海外インフラ分野については、東南アジアで恒常的な電力不足が喫緊の課題ではあるものの、新たな投資計画は遅延する傾向が見られます。そのような中、すでに受注しているインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事において大幅な損失が発生しました。この損失の最小化に努めるとともに、インドネシア及びベトナムで遂行中の他の火力発電所土木建築工事と併せ、確実な工事遂行に注力する為、同種の新規受注を停止しました。
石油化学分野については、原油価格の回復基調により海外、国内共に市況は回復傾向にありますが、当社グループにおいては受注戦略の見直しにより、海外化学プラント分野での現地工事を含む案件の受注を控えました。
受注高は、バイオマス及び風力発電案件の期ズレや海外化学プラント案件の新規受注を控えた影響等から前期と比べて165億13百万円減少(△21.9%)の589億27百万円となりました。売上高は前期に石油化学プラント大型工事が完成していること等から、前期と比べて586億72百万円減少(△46.0%)の689億73百万円となり、営業損失はインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事での大幅な損失計上等により、前期と比べて638億95百万円悪化の796億70百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については銀行借入又はCPによる短期資金調達、あるいはコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。
また、当社と連結子会社間は「CMS預貸制度(キャッシュ・マネージメント・システム)」により資金融通を行うことで資金効率を高めております。一方、設備資金、投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、社債及び長期借入金によって流動性を維持しております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べて110億96百万円増加して974億8百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、連結子会社において売上債権が減少したこと及びFPSO等の建造工事において工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれによる債権債務の変動などにより661億76百万円の収入(前連結会計年度は35億55百万円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入の増加などにより支出が減少し1億30百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の減少及び長期借入金の返済による支出の増加などにより支出が増加し533億40百万円の支出となりました。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
④ 中期経営計画の進捗
当社グループは、2017年度中期経営計画(17中計)において、「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」を目指す姿とし、最終年度となる2019年度の目標値として下記数値を掲げております。
当連結会計年度における売上高は6,565億円となり、2018年度の計画値に近い水準となりました。一方、経常利益及びROICはインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事で発生した多額の損失等により、それぞれ△505億円、△12.0%となり、2019年度目標を大きく下回る結果となりました。有利子負債については目標とした水準以下の2,132億円となりました。
エンジニアリング事業における受注戦略の見直し等により、2019年度は売上高8,400億円、経常利益170億円を見込んでおり、中期経営計画の最終目標には届かない予想となっております。このような状況を踏まえ、2019年度からの4年間は、事業基盤の回復及び収益体質の強化を目指し、「事業再生計画」の各施策に総力を挙げて取り組んでまいります。
<中期経営計画の進捗>
<2018年度計画との比較(ご参考)>
なお、「事業再生計画」では、2022年度において、有利子負債EBITDA倍率:5倍以下、売上高経常利益率:4%以上、及び総資産回転率:0.8倍以上を経営数値目標としています。事業再生計画の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおりです。
⑤ 重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度において、インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事における大幅な損失計上により、前連結会計年度に引き続き2期連続の営業損失となりました。また、今後マイナスの営業キャッシュ・フローが見込まれることなどから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような状況に対して、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおり、事業再生計画に従って各施策を確実に実行していくことにより、事業構造の変革を進め、財務体質及び収益体質の強化を図ってまいります。
資金調達面では、取引金融機関の支援のもと、財務制限条項に抵触するおそれのあったシンジケートローン契約について2019年3月に変更契約を締結しており、これにより同条項の抵触事由は解消し、資金調達の安定性は改善しております。
これらの状況を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国では、良好な雇用・所得環境に支えられて個人消費は堅調に推移していますが、中国との貿易摩擦をはじめとした通商政策がもたらす景気の減速がリスクとなっております。欧州では、労働市場の改善を背景に個人消費が底堅く推移している一方で、海外景気の減速や英国のEU離脱問題等の政治をめぐる不確実性の高まりに伴い、景気の先行きは不透明な状況にあります。新興国・資源国では、米中貿易摩擦の影響で中国景気の減速傾向が明確化しており、中国依存の諸国においては輸出の鈍化による景気後退が懸念されております。国内経済は、堅調な雇用・所得環境を背景とした個人消費の回復、企業業績の改善を受けた設備投資の増加基調、インバウンド需要の持ち直しなどにより緩やかな景気の回復基調が続いていますが、米中及び欧州を軸とする世界経済の減速が懸念されております。
このような状況下、当社グループは、17中計(2017年4月から2020年3月までの経営計画)の中間年にあたり、当社グループが目指す将来像や方向性、2016年度からの10年間にわたる会社のあり方を示す長期ビジョン「MES Group 2025 Vision」の達成に向けて、「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域に注力し、「経営基盤の深化」と「グループ経営の深化」を進めてきました。その経営改革の一環として、2018年4月1日より持株会社体制へ移行するとともに、商号を「株式会社三井E&Sホールディングス」に改めております。
一方、エンジニアリング事業の海外EPC(設計・調達・建設)プロジェクトにおいて、大規模な損失が連続して発生したため、当社グループの財務基盤は著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっております。そのため、新たに「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、財務・収益体質の強化、及び事業構造の変革を推し進め、財務基盤の健全化を図ります。
グループ事業の再編成により、グループの総合力発揮を加速することでこの難局を乗り切り、引き続きグループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて301億22百万円減少の9,991億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて464億75百万円増加の7,188億61百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて765億97百万円減少の2,802億39百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は7,101億27百万円(前年同期比△38.8%)、売上高は6,565億4百万円(同△6.6%)、営業損失は597億3百万円(前年同期は52億24百万円の営業損失)、経常損失は505億2百万円(前年同期は30億61百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は695億99百万円(前年同期は101億37百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
| [経営成績の推移:連結ベース] | ||||||
| 受注高 (百万円) | 売上高 (百万円) | 営業利益又は 営業損失(△) (百万円) | 経常利益又は 経常損失(△) (百万円) | 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) (百万円) | 1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) (円) | |
| 2019年3月期 | 710,127 | 656,504 | △59,703 | △50,502 | △69,599 | △861.09 |
| 2018年3月期 | 1,160,662 | 703,216 | △5,224 | 3,061 | △10,137 | △125.42 |
| 2017年3月期 | 516,577 | 731,464 | 8,304 | 14,859 | 12,194 | 150.87 |
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(船舶)
受注高は1,132億7百万円(前年同期比+5.9%)、売上高は968億79百万円(同△13.9%)、営業損失は81億12百万円(前年同期は152億28百万円の損失)となりました。
(海洋開発)
受注高は2,542億円(同△63.7%)、売上高は2,224億58百万円(同+16.4%)、営業利益は148億94百万円(同+31.6%)となりました。
(機械)
受注高は1,853億32百万円(同△0.8%)、売上高は1,869億35百万円(同+2.9%)、営業利益は102億11百万円(同△9.9%)となりました。
(エンジニアリング)
受注高は589億27百万円(同△21.9%)、売上高は689億73百万円(同△46.0%)、営業損失は796億70百万円(前年同期は157億75百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは661億76百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1億30百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは533億40百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度に比べて110億96百万円増加(+12.9%)して974億8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、661億76百万円(前連結会計年度は35億55百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失452億34百万円、固定資産処分益113億6百万円、たな卸資産の増加による支出105億55百万円などがあった一方、減価償却費144億95百万円、売上債権の減少による収入524億36百万円、仕入債務の増加による収入217億78百万円、その他負債の増加による収入485億2百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて89億16百万円減少して1億30百万円となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の売却による収入198億86百万円、貸付金の回収による収入869億96百万円などがあった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出182億88百万円、貸付けによる支出888億57百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて385億27百万円増加して533億40百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入201億94百万円などがあった一方、短期借入金の純減少による支出78億36百万円、長期借入金の返済による支出619億34百万円があったことなどによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
| 総資産 (百万円) | 純資産 (百万円) | 自己資本比率 (%) | 営業活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 投資活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 財務活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 有利子 負債残高 (百万円) | |
| 2019年3月期 | 999,100 | 280,239 | 16.0 | 66,176 | △130 | △53,340 | 213,293 |
| 2018年3月期 | 1,029,222 | 356,837 | 23.2 | △3,555 | △9,046 | △14,813 | 264,882 |
| 2017年3月期 | 1,096,735 | 367,608 | 22.8 | △7,843 | △28,753 | 19,401 | 275,557 |
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 船舶 | 97,156 | △12.5 |
| 海洋開発 | 225,349 | 18.4 |
| 機械 | 194,228 | 5.4 |
| エンジニアリング | 70,144 | △44.3 |
| その他 | 83,416 | △7.0 |
| 合計 | 670,295 | △4.4 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比(%) |
| 船舶 | 113,207 | 5.9 | 157,673 | 12.2 |
| 海洋開発 | 254,200 | △63.7 | 1,087,655 | △5.0 |
| 機械 | 185,332 | △0.8 | 159,424 | △0.9 |
| エンジニアリング | 58,927 | △21.9 | 121,569 | 0.0 |
| その他 | 98,459 | 8.8 | 137,770 | 7.2 |
| 合計 | 710,127 | △38.8 | 1,664,093 | △1.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 船舶 | 96,879 | △13.9 |
| 海洋開発 | 222,458 | 16.4 |
| 機械 | 186,935 | 2.9 |
| エンジニアリング | 68,973 | △46.0 |
| その他 | 81,257 | △9.9 |
| 合計 | 656,504 | △6.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって、期末時点において連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える判断、見積りを行っております。貸倒引当金、受注工事損失引当金などの各種引当金、繰延税金資産の回収可能性及び工事進行基準による売上など、見積りにあたっては、それぞれ合理的な方法によっております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ301億22百万円減少の9,991億円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が180億2百万円、有形固定資産が100億26百万円それぞれ減少したことなどによります。
負債は、1年内返済予定の長期借入金が238億62百万円、長期借入金が186億29百万円それぞれ減少した一方、前受金が356億60百万円、受注工事損失引当金が506億44百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末と比べ464億75百万円増加の7,188億61百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べ765億97百万円減少の2,802億39百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、子会社の三井海洋開発株式会社が前期に大型プロジェクトを受注していたことなどから、前期と比べて4,505億35百万円減少(△38.8%)の7,101億27百万円となりました。
売上高は、海洋開発部門で増収になった一方、船舶部門及びエンジニアリング部門の進行基準工事売上高が減少したことなどにより、前期と比べて467億12百万円減少(△6.6%)の6,565億4百万円となりました。
営業損失は、エンジニアリング事業のインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事で大幅な損失を計上した影響により、前期と比べて544億78百万円増加の597億3百万円となりました。
経常損失は505億2百万円(前期は30億61百万円の経常利益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失は、税金等調整前当期純損失になったことに加えて繰延税金資産の取崩しを行ったことなどにより、前期と比べて594億62百万円増加の695億99百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(船舶)
米中貿易摩擦の深刻化や、ブラジル資源大手の鉱山ダム決壊事故による出荷量の大幅減、目睫に迫っている環境規制の厳格化など先行き不透明な状況が影響し、海運・造船市況は低迷が続いています。中長期的には、新興国の持続的経済成長と世界の景気回復基調による海上荷動き量の増加に伴って新造船需要も増加するというこれまでの見方に変わりはありませんが、短期的には新規需要の大幅増加は期待し難く、受注環境の本格的回復までには、しばらく時間がかかるものと思われます。
ガス船分野では、LNG輸出プロジェクトへの投資が堅調に推移しており、大型LNG船の新造商談に加え、中小型LNG船やLNGバンカリング船の発注計画も動きはじめております。他方、アジア方面への輸送量の増大が期待される米シェールガスにおいては、貿易摩擦等によりプロジェクト減速の懸念もあります。
資源開発船分野では、主要産油国の協調減産・地政学的リスクの高まりから原油価格は上昇基調にあり、またエネルギー資源の安定供給の観点からも海洋石油開発は世界各地で継続的に実施されており、これらに投入されるFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)等の整備も活発で、短期的にも中長期的にも事業環境は堅調に推移するものと見ております。
このような状況下、当社グループは、すでに市場投入している環境対応型ばら積み貨物運搬船の受注活動の取り組みを高め、引き続き省エネ船の先行ヤードとしての強みを活かして、採算改善を図りながら選別的な受注を進めていきます。また、船主のニーズを喚起する新しいガス燃料船などの新船型の開発も進める一方で、海外の協業先への委託建造などのスキームも活用して今後の新造船事業の展開を図ります。
資源開発船分野については、中古タンカーの改造が主流のFPSOに対して耐久性に優れた新造船体を短納期で供給するFPSO船体「noah」のライセンス供与とエンジニアリングサービスのビジネス展開により海洋ブランドの確立を図ります。
国防保安分野については、各省庁より防衛力の強化、戦略的海上保安体制並びに漁業取締体制の強化推進が発表され、艦船、大型巡視船、漁業取締船、練習船などが予算化されております。この増勢・代替需要は底堅く、今後も継続すると見込んでおります。
受注高は省エネ型ばら積み貨物運搬船の受注を11隻積み上げたほか、防衛省向け艦船を含む官公庁船等により、前期と比べて62億59百万円増加(+5.9%)の1,132億7百万円となりました。売上高はこれまでの造船市況低迷期に受注を抑制した影響で年間計画操業量を抑えたこと等により、前期と比べて155億93百万円減少(△13.9%)の968億79百万円となり、営業損益は従来から進めているコスト改善施策が奏功し、既受注工事の採算改善に取り組んだ結果、前期より71億16百万円改善の81億12百万円の営業損失となりました。
(海洋開発)
原油価格は、米国の対イラン制裁による供給減少等から需給ひっ迫が懸念されてWTIは一時1バレル70米ドル台まで上昇しましたが、需給見通しの軟化に伴って落ち着きを取り戻し、2018年12月末には50米ドル前後の水準で取引されました。その後、再び上昇基調を背景に2019年3月末には60米ドル前後にまで上昇しております。こうしたなか、数多くの海洋石油開発プロジェクトが計画されており、FPSOに関する事業環境は良好で、今後の成長を期待しております。
このような状況にあって、当社グループは17中計に掲げた「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」の方針のもと、FPSO事業の拡大に向け、グループ全体でのリソース融通やEPC(設計・調達・建設)などの協業を強化してまいります。
受注高は大型チャータープロジェクトの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更及びオペレーションサービス等がありましたが、前期と比べて4,467億24百万円減少(△63.7%)の2,542億円となりました。売上高はFPSO建造工事の進捗等により、前期と比べて312億76百万円増加(+16.4%)の2,224億58百万円となり、営業利益は前期と比べて35億73百万円増加(+31.6%)の148億94百万円となりました。
(機械)
舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップは依然解消されておらず、また資機材費の上昇により厳しい受注環境が続いていますが、生産量は164基/389万馬力と前期から増え、2018年6月に累計生産1億馬力を達成しました。翌期については208基/398万馬力と更なる増産を予定しています。また、NOx三次規制対応機関の引合いが急増しており、加えてSOx規制や温室効果ガス削減対応としてガス燃料を主とした燃料多様化への関心が高まっていますが、これらの需要に対応するため設備投資を行い、生産設備の拡充を進めています。
産業機械については、粗鋼生産量の伸びが著しいインドの製鉄所向け高炉送風機2基と炉頂圧回収タービン1基を受注しました。また、従来機から総合効率を高めた1000kWクラス新型小型ガスタービンを開発し販売を開始しました。初号機を2019年3月に受注しており今後拡販を図ります。石油精製関連設備である往復動圧縮機の引合いは増加傾向にありますが、競合他社との競争で厳しい受注環境が続いています。
運搬機については、引き続き東南アジアやアフリカなどの新興国で堅調なコンテナクレーンの需要があります。当期はインドネシア向けや南米のエクアドル向けの大型案件を受注しましたが、他の大型海外案件の実施遅れなどにより受注高は前期から減少しました。海外生産拠点としてインドネシアのバタム島に設立したPT. MES Machinery Indonesiaでは2018年3月に生産を開始しクレーン部品の生産を行なっておりますが、今後コンテナ用ヤードクレーンの一体製作を行なう予定であり、機械加工設備などの生産設備の拡充を進めています。
社会インフラについては、高速道路会社向けの新設橋梁や橋梁耐震補強案件を中心に受注は好調に推移しました。また、保全案件も増加していることから、橋梁の床版取替案件等に注力すると共に、トンネル・道路・橋梁などの劣化、損傷診断ツールである自社開発レーダ探査技術を活用し事業拡大を図ります。
アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、ディーゼル部品の受注が好調に推移したこと、製鉄所や石油精製プラント向けの産業機械において定期点検作業や補修工事の引合いが増えていること、また、コンテナクレーン新設に伴う既設機の移設・解体工事やクレーン安定稼動に向けた改修工事などにより、受注高・売上高ともに前期から増加しました。
受注高は、舶用ディーゼル機関、コンテナクレーン、橋梁、港湾関連構造物、各種産業用機械及びアフターサービス事業等により、前期並みの1,853億32百万円となりました。売上高はこれらの製品・事業により前期と比べて52億1百万円増加(+2.9%)の1,869億35百万円となり、営業利益は前期と比べて11億18百万円減少(△9.9%)の102億11百万円となりました。
(エンジニアリング)
環境・エネルギー分野については、当社グループのバイオマス発電事業として、2017年9月に市原バイオマス発電所(千葉県市原市)の建設工事を受注し、建設工事を遂行中です。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)による買取価格は下落傾向にありますが、当社では今後もバイオマス発電事業を、グループ会社であるBurmeister & Wain Scandinavian Contractor A/Sとの協業で拡大していきます。また、風力発電事業では主力の陸上風力発電に加え、新たに着床式洋上風力発電を市場投入し、受注拡大に取り組んでいきます。
海外インフラ分野については、東南アジアで恒常的な電力不足が喫緊の課題ではあるものの、新たな投資計画は遅延する傾向が見られます。そのような中、すでに受注しているインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事において大幅な損失が発生しました。この損失の最小化に努めるとともに、インドネシア及びベトナムで遂行中の他の火力発電所土木建築工事と併せ、確実な工事遂行に注力する為、同種の新規受注を停止しました。
石油化学分野については、原油価格の回復基調により海外、国内共に市況は回復傾向にありますが、当社グループにおいては受注戦略の見直しにより、海外化学プラント分野での現地工事を含む案件の受注を控えました。
受注高は、バイオマス及び風力発電案件の期ズレや海外化学プラント案件の新規受注を控えた影響等から前期と比べて165億13百万円減少(△21.9%)の589億27百万円となりました。売上高は前期に石油化学プラント大型工事が完成していること等から、前期と比べて586億72百万円減少(△46.0%)の689億73百万円となり、営業損失はインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事での大幅な損失計上等により、前期と比べて638億95百万円悪化の796億70百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については銀行借入又はCPによる短期資金調達、あるいはコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。
また、当社と連結子会社間は「CMS預貸制度(キャッシュ・マネージメント・システム)」により資金融通を行うことで資金効率を高めております。一方、設備資金、投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、社債及び長期借入金によって流動性を維持しております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べて110億96百万円増加して974億8百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、連結子会社において売上債権が減少したこと及びFPSO等の建造工事において工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれによる債権債務の変動などにより661億76百万円の収入(前連結会計年度は35億55百万円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入の増加などにより支出が減少し1億30百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の減少及び長期借入金の返済による支出の増加などにより支出が増加し533億40百万円の支出となりました。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 合計 | 返済・償還 1年以内 | 返済・償還 1年超 | |
| 短期借入金 | 3,535 | 3,535 | - |
| 長期借入金 | 151,082 | 39,062 | 112,020 |
| 社債 | 50,000 | 10,000 | 40,000 |
| リース債務 | 8,265 | 1,745 | 6,520 |
| その他有利子負債 | 409 | 89 | 320 |
| 合計 | 213,293 | 54,431 | 158,861 |
④ 中期経営計画の進捗
当社グループは、2017年度中期経営計画(17中計)において、「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」を目指す姿とし、最終年度となる2019年度の目標値として下記数値を掲げております。
当連結会計年度における売上高は6,565億円となり、2018年度の計画値に近い水準となりました。一方、経常利益及びROICはインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事で発生した多額の損失等により、それぞれ△505億円、△12.0%となり、2019年度目標を大きく下回る結果となりました。有利子負債については目標とした水準以下の2,132億円となりました。
エンジニアリング事業における受注戦略の見直し等により、2019年度は売上高8,400億円、経常利益170億円を見込んでおり、中期経営計画の最終目標には届かない予想となっております。このような状況を踏まえ、2019年度からの4年間は、事業基盤の回復及び収益体質の強化を目指し、「事業再生計画」の各施策に総力を挙げて取り組んでまいります。
<中期経営計画の進捗>
| 指標 | 2019年度目標 | 2018年度実績 | 目標との差異 | 2017年度実績 |
| 売上高 | 9,200億円 | 6,565億円 | △2,635億円 | 7,032億円 |
| 経常利益又は 経常損失(△) | 370億円 | △505億円 | △875億円 | 31億円 |
| 経常利益率 | 4.0% | △7.7% | △11.7% | 0.5% |
| ROIC | 6.5% | △12.0% | △18.5% | 0.4% |
| 有利子負債 | 2,700億円以下 | 2,132億円 | △650億円 | 2,648億円 |
<2018年度計画との比較(ご参考)>
| 指標 | 2018年度計画 | 2018年度実績 | 2018年度(計画比) |
| 売上高 | 6,700億円 | 6,565億円 | △135億円 |
| 営業利益又は営業損失(△) | 100億円 | △597億円 | △697億円 |
| 経常利益又は経常損失(△) | 180億円 | △505億円 | △685億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) | 40億円 | △696億円 | △736億円 |
なお、「事業再生計画」では、2022年度において、有利子負債EBITDA倍率:5倍以下、売上高経常利益率:4%以上、及び総資産回転率:0.8倍以上を経営数値目標としています。事業再生計画の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおりです。
⑤ 重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度において、インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事における大幅な損失計上により、前連結会計年度に引き続き2期連続の営業損失となりました。また、今後マイナスの営業キャッシュ・フローが見込まれることなどから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような状況に対して、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおり、事業再生計画に従って各施策を確実に実行していくことにより、事業構造の変革を進め、財務体質及び収益体質の強化を図ってまいります。
資金調達面では、取引金融機関の支援のもと、財務制限条項に抵触するおそれのあったシンジケートローン契約について2019年3月に変更契約を締結しており、これにより同条項の抵触事由は解消し、資金調達の安定性は改善しております。
これらの状況を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。