有価証券報告書-第118期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いているものの、持ち直しの傾向にあります。米国では、個人消費や設備投資の増加等により景気回復が続いております。欧州では、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により経済活動が抑制され、景気の回復は弱い動きとなっております。中国では、経済活動正常化に向けた経済対策や世界的な情報通信機器需要の拡大に伴う輸出及び設備投資等が増加し、景気は回復傾向にあります。国内経済においては、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、2020年5月の緊急事態宣言の解除後は、経済活動レベルの段階的な引き上げにより、徐々に持ち直しの動きが見られたものの、感染再拡大が深刻化しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況下、当社グループは、エンジニアリング事業の海外EPCプロジェクトにおいて、大規模な損失が連続して発生したため、財務基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となりましたが、2019年5月に「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、2019年11月に計画の一部見直しを行い、「資産及び事業の売却案件の追加と実行の加速」、「事業構造の改革及び、協働事業に関する他社との協業の促進」等の各施策を進めた結果、資金の確保に関しては、一定の目途が付けられる状況に至りました。
事業再生計画の各施策は順次実施しており、2020年10月1日付で「株式会社三井E&S鉄構エンジニアリング(同日付で三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社に商号変更)の一部株式譲渡」及び2021年4月1日付で「三井E&S環境エンジニアリング株式会社(同日付でJFE環境テクノロジー株式会社に商号変更)の株式譲渡」を完了しております。
また、2021年3月29日付で「三井E&S造船株式会社の艦艇事業等の譲渡」の最終契約及び、2021年4月23日付で「三井E&S造船株式会社の商船事業の一部株式譲渡」の最終契約の締結を完了しており、事業再生計画は着実に進展していると認識しております。
さらに、当社グループは、2020年8月に2020年度中期経営計画を策定し、「財務体質の改善」、「事業領域の集中と協業」、「経営基盤の強化」を基本方針とした戦略に着手しております。事業の集中と協業を明確にし、アライアンスによる市場創出を進め、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指してまいります。
事業再生計画における各施策の完遂と、2020年度中期経営計画に示す戦略を実行・加速することで、この難局を乗り切り、グループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて739億30百万円減少の7,664億49百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて644億76百万円減少の6,705億48百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて94億54百万円減少の959億1百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は5,766億68百万円(前期比△42.2%)、売上高は6,638億34百万円(前期比△15.6%)、営業損失は122億43百万円(前期は620億79百万円の営業損失)、経常損失は82億23百万円(前期は604億57百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億34百万円(前期は862億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(船舶)
受注高は574億96百万円(前期比△16.3%)、売上高は923億94百万円(前期比△19.7%)、営業損失は20億21百万円(前期は28億59百万円の損失)となりました。
(海洋開発)
受注高は3,208億10百万円(前期比△49.6%)、売上高は3,099億49百万円(前期比△6.9%)、営業損失は217億83百万円(前期は49億19百万円の損失)となりました。
(機械)
受注高は1,253億19百万円(前期比△28.1%)、売上高は1,590億48百万円(前期比△7.7%)、営業利益は98億19百万円(前期比△17.6%)となりました。
(エンジニアリング)
受注高は227億3百万円(前期比△52.9%)、売上高は384億26百万円(前期比△44.8%)、営業利益は2億87百万円(前期は714億23百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは74億78百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは211億15百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは68億13百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度末に比べて187億91百万円増加(+16.1%)して1,354億82百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、74億78百万円(前連結会計年度は372億13百万円の支出)となりました。これは主として、受注工事損失引当金の減少、たな卸資産の増加、及び仕入債務の減少などによる支出があった一方、売上債権の減少並びに利息及び配当金の受取りなどによる収入があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べて630億10百万円減少して211億15百万円となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得及び貸付けによる支出などがあった一方、「三井E&Sグループ 事業再生計画」に基づく資産及び事業の売却を実施したことによる収入、貸付金の回収による収入などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて200億11百万円減少して68億13百万円となりました。これは主として、短期借入金の純増加による収入などがあった一方、長期借入金の返済及び社債の償還による支出などがあったことによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ739億30百万円減少の7,664億49百万円となりました。これは、現金及び預金が192億42百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が484億12百万円、短期貸付金が78億48百万円、有形固定資産が284億12百万円それぞれ減少したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ644億76百万円減少の6,705億48百万円となりました。これは、短期借入金が361億82百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が230億33百万円、1年内返済予定の長期借入金が195億31百万円、受注工事損失引当金が214億62百万円、修繕引当金が68億41百万円、長期借入金が210億54百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産は、非支配株主持分が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べ94億54百万円減少の959億1百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、連結子会社の三井海洋開発株式会社が大型FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)プロジェクトを受注しましたが、前期と比べて4,201億79百万円減少(△42.2%)の5,766億68百万円となりました。
売上高は、海洋開発部門において新型コロナウイルス感染症の影響に伴うFPSO建造工事の進捗遅れ等により前期と比べて1,226億43百万円減少(△15.6%)の6,638億34百万円となりました。
営業損失は、エンジニアリング部門でインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事における大幅な損失を前期に引き当てたことによる改善がみられた一方で、海洋開発部門において新型コロナウイルス感染症の影響による建造費用増加により、122億43百万円(前期は620億79百万円の営業損失)となりました。
経常損失は、営業損失の計上及び持分法投資利益が増加したことなどにより、82億23百万円(前期は604億57百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に帰属する当期純損失の計上により、1億34百万円(前期は862億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(船舶)
一般商船分野においては、新型コロナウイルス感染症の拡大によって海上荷動きが滞り、一時市況が急落しましたが、コンテナやバルクマーケットについて荷動きが回復し、8月以降堅調に推移しております。また、ガス運搬船やタンカー等エネルギー輸送関連も、世界経済の停滞にも関わらず堅調に推移がみられ、コスト競争力のある造船所には大型コンテナ船、大型タンカー、ばら積み貨物運搬船の発注が相次いでおります。
石油・ガス開発市場は新型コロナウイルス感染症の拡大及びそれに伴う原油価格下落により、プロジェクトの計画遅延、中断が相次いだものの、経済活動の再開、産油国の協調減産合意等により石油・ガス需要は回復に向かっております。LNG船、FPSOの需要も底堅く推移するものと考えられます。カーボンニュートラル実現へ向けアンモニアや水素等次世代エネルギーを活用した船舶技術開発も期待されております。
一方、艦船・官公庁船分野においては、艦船、巡視船、漁業取締船、練習船などの特殊船が継続的に発注されており、今後も各省庁における新規船舶の増勢、代替船需要は底堅く続くものと思われます。加えて、深刻な乗組員の不足を背景に各省庁とも省人化、無人化技術の導入が喫緊の課題となっており、当社グループは、課題解決のキーとなる自律化船、無人機、維持整備管理技術を有していることから、今後、ビジネスチャンスの拡大が期待されます。
このような状況下、当社グループは一般商船分野においては、これまで培ってきたエンジニアリング能力を活用し、国内外のパートナー企業と連携を取りながら当社設計のライセンス供与、環境対応船の開発、設計受託業務などの営業活動を中心に進めており、国内外を問わずエネルギーエンジニアリング分野において収益向上及び社会貢献につながるよう取り組みを進めております。
艦船・官公庁船分野においては、多種多様な船種を開発、設計し、継続的な受注・建造を果たしており、特に設計、現場、品質における若手の練成が進み、前期の引渡し実績船においても客先から高い評価と信頼を獲得しております。当社グループに与えられた一定の評価をもとに、さらに新たな商機となるであろう自律化船、無人機、維持整備管理技術とも併せ、積極的な受注活動を図ってまいります。
受注高は、練習船やばら積み貨物運搬船などを受注しましたが、前期と比べて112億2百万円減少(△16.3%)の574億96百万円となりました。売上高は、建造船工事の減少などにより、前期と比べて227億16百万円減少(△19.7%)の923億94百万円となり、営業損失は、不採算工事の減少などにより、前期と比べて8億38百万円改善の20億21百万円となりました。
(海洋開発)
原油価格は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う原油需要の低下等により、WTIが一時マイナスになったものの、足元では、新型コロナウイルス感染症ワクチンの実用化による経済活動の正常化に対する期待から1バレル60米ドル前後まで回復しています。
一方、中長期的には石油会社による深海域を中心とした開発は、エネルギー資源の持続的な供給の観点から継続的に行われると考えられ、FPSO事業は安定した成長が見込まれております。また、FPSOに次ぐ将来の収益源育成に向けては、FPSO事業で培った技術と能力を応用し、浮体式洋上風力発電設備の事業化や水素の原料にもなるメタンハイドレートの回収技術開発を進めてまいります。
受注高は、FPSO建造プロジェクトなどを受注しましたが、前期と比べて3,152億92百万円減少(△49.6%)の3,208億10百万円となりました。売上高は、FPSO建造工事が進捗したものの、前期と比べて229億49百万円減少(△6.9%)の3,099億49百万円となり、営業損失は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響を織り込んだことなどにより、前期と比べて168億63百万円悪化の217億83百万円となりました。
(機械)
舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップが解消されない中での新型コロナウイルス感染症の影響、新たな船舶に対する環境規制の決定時期による新造船需要の低迷もあり船価回復に至っておらず、厳しい事業環境が続いています。期初計画は、165基/375万馬力の生産量を予定していましたが、148基/331万馬力に留まる結果となりました。来期は125基/300万馬力を予想していますが、底打ち感があり、回復の兆しが見られます。現在、引合いのあるコンテナ船などの主機の他、ガス燃料船用の主機を成長分野と位置付けて営業活動を行っています。
運搬機については、海外市場における新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、先行き不安による入札の延期などがあり、受注は厳しい状況が続いています。一方、国内市場においては、東京、横浜等の主要港で大型コンテナクレーンの新規投入が計画されており、地方港においても、7港で新規投入が計画されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響は少なく、また、販売を開始したコンテナヤードクレーンの脱炭素化を目指したニアゼロエミッショントランステーナの需要が堅調となっています。
産業機械については、往復動圧縮機において原油価格の低迷、軸流圧縮機・炉頂圧回収タービンにおいて鋼材需要の減衰による投資抑制があり、受注は非常に厳しいものとなりました。
プロセス機器については、国内顧客から当社グループの特殊技術を評価して頂いており、堅調に受注しています。産業界の急速な脱炭素化の流れに対応し、水素関連市場への取組みを強化しており、顧客からの評価が高いプロセス機器において顧客製品の製造プロセスへの提案活動を通じてシステムとして提供する事業展開を進め、成長に繋げていきます。
ソリューション事業については、レーダ事業、ロボティクス事業に加え、水理実験施設や大型可動構造物、素粒子物理学実験設備などを対象とする設備機械事業にも注力し、事業拡大を図ります。
アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、電子制御機関を中心に環境規制や新燃料対応への部品サービス、レトロフィットビジネスが好調に推移しています。今後は遠隔による状態監視や自動診断などAI・ICTを活用した予防保全ビジネスを積極的に展開していきます。
受注高は、新造船市況の低迷に伴う舶用ディーゼル機関の受注減少及び新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う投資先送りによるコンテナクレーン、産業機械などの減少により、前期と比べて490億38百万円減少(△28.1%)の1,253億19百万円となりました。売上高は、造船所での生産調整の影響を受けて舶用ディーゼル機関の引渡しが先送りになっていることなどにより、前期と比べて132億44百万円減少(△7.7%)の1,590億48百万円となり、営業利益は、売上高の減少などにより前期と比べて20億94百万円減少(△17.6%)の98億19百万円となりました。
(エンジニアリング)
環境分野については、連結子会社である三井E&S環境エンジニアリング株式会社に環境事業を集約しておりましたが、当該子会社を2021年4月1日にJFEエンジニアリング株式会社へ譲渡し、撤退いたしました。
バイオマス事業分野については、国内新設事業からの撤退を決定しており、連結子会社である市原グリーン電力株式会社の株式持分を株式会社タケエイに譲渡いたしました。また、建設中でありました市原バイオマス発電株式会社向け発電所建設工事については完成・引渡しを行いました。
海外インフラ分野については、ベトナムにおいて建設中でありました火力発電所土木建築工事について完成・引渡しを行いました。現在、インドネシアで建設中の火力発電所土木建築工事について確実な工事遂行に注力しております。本工事完了後は、同事業から撤退し、そのリソースを当社グループの成長の見込める事業に再配置いたします。
受注高は、前期に化学プラント事業の子会社を譲渡した影響などにより、前期と比べて255億25百万円減少(△52.9%)の227億3百万円となりました。売上高は、新規受注を控えた影響に加え連結子会社の減少により前期と比べて311億95百万円減少(△44.8%)の384億26百万円となり、営業利益は、前期に多額の受注工事損失引当金を計上したことにより717億11百万円改善の2億87百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a. 資金需要
当社グループは個々の契約金額が大きな製品、建造物を受注生産しており、運転資金は工事にかかる材料費、請負工事費、及び人件費が占めておりますが、個々の工事の契約による支払い条件、工事の進捗により、一時的な運転資金が大きくなりやすい傾向があります。
投資資金の主なものは、製造工場を維持・増強するための設備資金となっており、足元では非中核事業や不稼働資産の売却を行って、運転資金、投資資金へ充当しております。
なお、現在当社グループは事業再生計画実行の途上にあることから、設備投資、投融資などの長期的な資金は、主力事業とする海洋事業分野、機械事業分野に集中させ、またリース取引を活用することで、当面の間は抑制していく方針としています。
b. 資金調達
当社グループの運転資金、投資資金は主に営業活動による収入を財源とすることを基本としていますが、受注金額が大きく、また工期も長い工事が多いことから、金融機関からの長期借入金や社債発行による資金調達も実施しております。近年は資産売却による収入が多かったこともあり、短期借入金も多用しております。これらの借入金を適時調達できる状態を維持する為、主要取引金融機関とは長年にわたり良好な取引関係を維持しており、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要にも備えています。また、上場子会社を除いた連結子会社との間でCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入して、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
④ 経営計画の達成・進捗状況
当社グループは、エンジニアリング事業における過年度の大規模な損失により、財政基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっており、2019年度から2022年度までを事業再生計画期間とする「三井E&Sグループ 事業再生計画」を2019年5月に策定して、財務体質及び収益体質の強化、並びに事業構造の変革を推し進めております。また、当該期間中に発生した追加損失を受けて、2019年11月に計画の一部見直しを行い、「資産及び事業の売却案件の追加と実行の加速」、「事業構造の改革及び協働事業に関する他社との協業の促進」を対策に加えて推進しております。
さらに、当社グループは、2020年8月に「20中計」を策定し、各戦略に着手しており、事業の集中と協業を明確にし、アライアンスによる市場創出を進め、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指して施策を推進しております。
「20中計」では、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、また売上至上主義から脱却し、利益追求を重視する観点から、経営指標としてNET有利子負債EBITDA倍率、売上高経常利益率及び総資産回転率を選定しており、2022年度において、NET有利子負債EBITDA倍率:5倍未満、売上高経常利益率4.0%以上、及び総資産回転率:0.8倍以上の達成を目指します。
なお、当連結会計年度においては、三井海洋開発株式会社で新型コロナウイルス感染症の影響による建造費用増加があったこと等から経常損失となりましたが、千葉工場の土地の一部譲渡や子会社を含めた株式等の資産売却、社会インフラ事業(橋梁、橋梁保全、沿岸事業)の一部株式譲渡等、「資産売却と協業の推進」を加速させた結果、総資産及び有利子負債は減少しております。機械・システム及び海洋開発の事業領域へ集中することを通じた事業構造の改革に加え、艦艇事業譲渡のための株式譲渡契約の締結、商船事業の資本提携に向けた株式譲渡契約の締結、環境関連事業の譲渡等他社との協業を推し進め、数値目標の達成に向けて取り組んでおります。
「20中計」の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。
<20中計の進捗>
※ NET有利子負債EBITDA倍率=(有利子負債残高-現金及び預金)÷(営業利益+減価償却費+持分法による投資損益)
<2020年度計画との比較(ご参考)>
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いているものの、持ち直しの傾向にあります。米国では、個人消費や設備投資の増加等により景気回復が続いております。欧州では、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により経済活動が抑制され、景気の回復は弱い動きとなっております。中国では、経済活動正常化に向けた経済対策や世界的な情報通信機器需要の拡大に伴う輸出及び設備投資等が増加し、景気は回復傾向にあります。国内経済においては、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、2020年5月の緊急事態宣言の解除後は、経済活動レベルの段階的な引き上げにより、徐々に持ち直しの動きが見られたものの、感染再拡大が深刻化しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況下、当社グループは、エンジニアリング事業の海外EPCプロジェクトにおいて、大規模な損失が連続して発生したため、財務基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となりましたが、2019年5月に「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、2019年11月に計画の一部見直しを行い、「資産及び事業の売却案件の追加と実行の加速」、「事業構造の改革及び、協働事業に関する他社との協業の促進」等の各施策を進めた結果、資金の確保に関しては、一定の目途が付けられる状況に至りました。
事業再生計画の各施策は順次実施しており、2020年10月1日付で「株式会社三井E&S鉄構エンジニアリング(同日付で三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社に商号変更)の一部株式譲渡」及び2021年4月1日付で「三井E&S環境エンジニアリング株式会社(同日付でJFE環境テクノロジー株式会社に商号変更)の株式譲渡」を完了しております。
また、2021年3月29日付で「三井E&S造船株式会社の艦艇事業等の譲渡」の最終契約及び、2021年4月23日付で「三井E&S造船株式会社の商船事業の一部株式譲渡」の最終契約の締結を完了しており、事業再生計画は着実に進展していると認識しております。
さらに、当社グループは、2020年8月に2020年度中期経営計画を策定し、「財務体質の改善」、「事業領域の集中と協業」、「経営基盤の強化」を基本方針とした戦略に着手しております。事業の集中と協業を明確にし、アライアンスによる市場創出を進め、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指してまいります。
事業再生計画における各施策の完遂と、2020年度中期経営計画に示す戦略を実行・加速することで、この難局を乗り切り、グループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて739億30百万円減少の7,664億49百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて644億76百万円減少の6,705億48百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて94億54百万円減少の959億1百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は5,766億68百万円(前期比△42.2%)、売上高は6,638億34百万円(前期比△15.6%)、営業損失は122億43百万円(前期は620億79百万円の営業損失)、経常損失は82億23百万円(前期は604億57百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億34百万円(前期は862億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
| [経営成績の推移:連結ベース] | ||||||
| 受注高 (百万円) | 売上高 (百万円) | 営業損失(△) (百万円) | 経常損失(△) (百万円) | 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) (百万円) | 1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失 (△) (円) | |
| 2021年3月期 | 576,668 | 663,834 | △12,243 | △8,223 | 134 | 1.67 |
| 2020年3月期 | 996,848 | 786,477 | △62,079 | △60,457 | △86,210 | △1,066.47 |
| 2019年3月期 | 710,127 | 656,504 | △59,703 | △50,502 | △69,599 | △861.09 |
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(船舶)
受注高は574億96百万円(前期比△16.3%)、売上高は923億94百万円(前期比△19.7%)、営業損失は20億21百万円(前期は28億59百万円の損失)となりました。
(海洋開発)
受注高は3,208億10百万円(前期比△49.6%)、売上高は3,099億49百万円(前期比△6.9%)、営業損失は217億83百万円(前期は49億19百万円の損失)となりました。
(機械)
受注高は1,253億19百万円(前期比△28.1%)、売上高は1,590億48百万円(前期比△7.7%)、営業利益は98億19百万円(前期比△17.6%)となりました。
(エンジニアリング)
受注高は227億3百万円(前期比△52.9%)、売上高は384億26百万円(前期比△44.8%)、営業利益は2億87百万円(前期は714億23百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは74億78百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは211億15百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは68億13百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度末に比べて187億91百万円増加(+16.1%)して1,354億82百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、74億78百万円(前連結会計年度は372億13百万円の支出)となりました。これは主として、受注工事損失引当金の減少、たな卸資産の増加、及び仕入債務の減少などによる支出があった一方、売上債権の減少並びに利息及び配当金の受取りなどによる収入があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べて630億10百万円減少して211億15百万円となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得及び貸付けによる支出などがあった一方、「三井E&Sグループ 事業再生計画」に基づく資産及び事業の売却を実施したことによる収入、貸付金の回収による収入などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて200億11百万円減少して68億13百万円となりました。これは主として、短期借入金の純増加による収入などがあった一方、長期借入金の返済及び社債の償還による支出などがあったことによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
| 総資産 (百万円) | 純資産 (百万円) | 自己資本比率 (%) | 営業活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 投資活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 財務活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 有利子 負債残高 (百万円) | |
| 2021年3月期 | 766,449 | 95,901 | 8.8 | 7,478 | 21,115 | △6,813 | 174,936 |
| 2020年3月期 | 840,380 | 105,355 | 7.7 | △37,213 | 84,125 | △26,825 | 187,117 |
| 2019年3月期 | 999,100 | 280,239 | 16.0 | 66,176 | △130 | △53,340 | 213,293 |
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 船舶 | 91,224 | △21.0 |
| 海洋開発 | 326,342 | △0.9 |
| 機械 | 155,104 | △13.1 |
| エンジニアリング | 49,569 | △29.6 |
| その他 | 63,735 | △32.0 |
| 合計 | 685,976 | △12.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比(%) | 受注残高 (百万円) | 前期比(%) |
| 船舶 | 57,496 | △16.3 | 62,734 | △35.6 |
| 海洋開発 | 320,810 | △49.6 | 1,237,132 | △10.4 |
| 機械 | 125,319 | △28.1 | 93,482 | △26.0 |
| エンジニアリング | 22,703 | △52.9 | 57,089 | △22.9 |
| その他 | 50,339 | △27.5 | 108,762 | △23.2 |
| 合計 | 576,668 | △42.2 | 1,559,202 | △14.3 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 船舶 | 92,394 | △19.7 |
| 海洋開発 | 309,949 | △6.9 |
| 機械 | 159,048 | △7.7 |
| エンジニアリング | 38,426 | △44.8 |
| その他 | 64,015 | △33.7 |
| 合計 | 663,834 | △15.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ739億30百万円減少の7,664億49百万円となりました。これは、現金及び預金が192億42百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が484億12百万円、短期貸付金が78億48百万円、有形固定資産が284億12百万円それぞれ減少したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ644億76百万円減少の6,705億48百万円となりました。これは、短期借入金が361億82百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が230億33百万円、1年内返済予定の長期借入金が195億31百万円、受注工事損失引当金が214億62百万円、修繕引当金が68億41百万円、長期借入金が210億54百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産は、非支配株主持分が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べ94億54百万円減少の959億1百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、連結子会社の三井海洋開発株式会社が大型FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)プロジェクトを受注しましたが、前期と比べて4,201億79百万円減少(△42.2%)の5,766億68百万円となりました。
売上高は、海洋開発部門において新型コロナウイルス感染症の影響に伴うFPSO建造工事の進捗遅れ等により前期と比べて1,226億43百万円減少(△15.6%)の6,638億34百万円となりました。
営業損失は、エンジニアリング部門でインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事における大幅な損失を前期に引き当てたことによる改善がみられた一方で、海洋開発部門において新型コロナウイルス感染症の影響による建造費用増加により、122億43百万円(前期は620億79百万円の営業損失)となりました。
経常損失は、営業損失の計上及び持分法投資利益が増加したことなどにより、82億23百万円(前期は604億57百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に帰属する当期純損失の計上により、1億34百万円(前期は862億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(船舶)
一般商船分野においては、新型コロナウイルス感染症の拡大によって海上荷動きが滞り、一時市況が急落しましたが、コンテナやバルクマーケットについて荷動きが回復し、8月以降堅調に推移しております。また、ガス運搬船やタンカー等エネルギー輸送関連も、世界経済の停滞にも関わらず堅調に推移がみられ、コスト競争力のある造船所には大型コンテナ船、大型タンカー、ばら積み貨物運搬船の発注が相次いでおります。
石油・ガス開発市場は新型コロナウイルス感染症の拡大及びそれに伴う原油価格下落により、プロジェクトの計画遅延、中断が相次いだものの、経済活動の再開、産油国の協調減産合意等により石油・ガス需要は回復に向かっております。LNG船、FPSOの需要も底堅く推移するものと考えられます。カーボンニュートラル実現へ向けアンモニアや水素等次世代エネルギーを活用した船舶技術開発も期待されております。
一方、艦船・官公庁船分野においては、艦船、巡視船、漁業取締船、練習船などの特殊船が継続的に発注されており、今後も各省庁における新規船舶の増勢、代替船需要は底堅く続くものと思われます。加えて、深刻な乗組員の不足を背景に各省庁とも省人化、無人化技術の導入が喫緊の課題となっており、当社グループは、課題解決のキーとなる自律化船、無人機、維持整備管理技術を有していることから、今後、ビジネスチャンスの拡大が期待されます。
このような状況下、当社グループは一般商船分野においては、これまで培ってきたエンジニアリング能力を活用し、国内外のパートナー企業と連携を取りながら当社設計のライセンス供与、環境対応船の開発、設計受託業務などの営業活動を中心に進めており、国内外を問わずエネルギーエンジニアリング分野において収益向上及び社会貢献につながるよう取り組みを進めております。
艦船・官公庁船分野においては、多種多様な船種を開発、設計し、継続的な受注・建造を果たしており、特に設計、現場、品質における若手の練成が進み、前期の引渡し実績船においても客先から高い評価と信頼を獲得しております。当社グループに与えられた一定の評価をもとに、さらに新たな商機となるであろう自律化船、無人機、維持整備管理技術とも併せ、積極的な受注活動を図ってまいります。
受注高は、練習船やばら積み貨物運搬船などを受注しましたが、前期と比べて112億2百万円減少(△16.3%)の574億96百万円となりました。売上高は、建造船工事の減少などにより、前期と比べて227億16百万円減少(△19.7%)の923億94百万円となり、営業損失は、不採算工事の減少などにより、前期と比べて8億38百万円改善の20億21百万円となりました。
(海洋開発)
原油価格は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う原油需要の低下等により、WTIが一時マイナスになったものの、足元では、新型コロナウイルス感染症ワクチンの実用化による経済活動の正常化に対する期待から1バレル60米ドル前後まで回復しています。
一方、中長期的には石油会社による深海域を中心とした開発は、エネルギー資源の持続的な供給の観点から継続的に行われると考えられ、FPSO事業は安定した成長が見込まれております。また、FPSOに次ぐ将来の収益源育成に向けては、FPSO事業で培った技術と能力を応用し、浮体式洋上風力発電設備の事業化や水素の原料にもなるメタンハイドレートの回収技術開発を進めてまいります。
受注高は、FPSO建造プロジェクトなどを受注しましたが、前期と比べて3,152億92百万円減少(△49.6%)の3,208億10百万円となりました。売上高は、FPSO建造工事が進捗したものの、前期と比べて229億49百万円減少(△6.9%)の3,099億49百万円となり、営業損失は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響を織り込んだことなどにより、前期と比べて168億63百万円悪化の217億83百万円となりました。
(機械)
舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップが解消されない中での新型コロナウイルス感染症の影響、新たな船舶に対する環境規制の決定時期による新造船需要の低迷もあり船価回復に至っておらず、厳しい事業環境が続いています。期初計画は、165基/375万馬力の生産量を予定していましたが、148基/331万馬力に留まる結果となりました。来期は125基/300万馬力を予想していますが、底打ち感があり、回復の兆しが見られます。現在、引合いのあるコンテナ船などの主機の他、ガス燃料船用の主機を成長分野と位置付けて営業活動を行っています。
運搬機については、海外市場における新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、先行き不安による入札の延期などがあり、受注は厳しい状況が続いています。一方、国内市場においては、東京、横浜等の主要港で大型コンテナクレーンの新規投入が計画されており、地方港においても、7港で新規投入が計画されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響は少なく、また、販売を開始したコンテナヤードクレーンの脱炭素化を目指したニアゼロエミッショントランステーナの需要が堅調となっています。
産業機械については、往復動圧縮機において原油価格の低迷、軸流圧縮機・炉頂圧回収タービンにおいて鋼材需要の減衰による投資抑制があり、受注は非常に厳しいものとなりました。
プロセス機器については、国内顧客から当社グループの特殊技術を評価して頂いており、堅調に受注しています。産業界の急速な脱炭素化の流れに対応し、水素関連市場への取組みを強化しており、顧客からの評価が高いプロセス機器において顧客製品の製造プロセスへの提案活動を通じてシステムとして提供する事業展開を進め、成長に繋げていきます。
ソリューション事業については、レーダ事業、ロボティクス事業に加え、水理実験施設や大型可動構造物、素粒子物理学実験設備などを対象とする設備機械事業にも注力し、事業拡大を図ります。
アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、電子制御機関を中心に環境規制や新燃料対応への部品サービス、レトロフィットビジネスが好調に推移しています。今後は遠隔による状態監視や自動診断などAI・ICTを活用した予防保全ビジネスを積極的に展開していきます。
受注高は、新造船市況の低迷に伴う舶用ディーゼル機関の受注減少及び新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う投資先送りによるコンテナクレーン、産業機械などの減少により、前期と比べて490億38百万円減少(△28.1%)の1,253億19百万円となりました。売上高は、造船所での生産調整の影響を受けて舶用ディーゼル機関の引渡しが先送りになっていることなどにより、前期と比べて132億44百万円減少(△7.7%)の1,590億48百万円となり、営業利益は、売上高の減少などにより前期と比べて20億94百万円減少(△17.6%)の98億19百万円となりました。
(エンジニアリング)
環境分野については、連結子会社である三井E&S環境エンジニアリング株式会社に環境事業を集約しておりましたが、当該子会社を2021年4月1日にJFEエンジニアリング株式会社へ譲渡し、撤退いたしました。
バイオマス事業分野については、国内新設事業からの撤退を決定しており、連結子会社である市原グリーン電力株式会社の株式持分を株式会社タケエイに譲渡いたしました。また、建設中でありました市原バイオマス発電株式会社向け発電所建設工事については完成・引渡しを行いました。
海外インフラ分野については、ベトナムにおいて建設中でありました火力発電所土木建築工事について完成・引渡しを行いました。現在、インドネシアで建設中の火力発電所土木建築工事について確実な工事遂行に注力しております。本工事完了後は、同事業から撤退し、そのリソースを当社グループの成長の見込める事業に再配置いたします。
受注高は、前期に化学プラント事業の子会社を譲渡した影響などにより、前期と比べて255億25百万円減少(△52.9%)の227億3百万円となりました。売上高は、新規受注を控えた影響に加え連結子会社の減少により前期と比べて311億95百万円減少(△44.8%)の384億26百万円となり、営業利益は、前期に多額の受注工事損失引当金を計上したことにより717億11百万円改善の2億87百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a. 資金需要
当社グループは個々の契約金額が大きな製品、建造物を受注生産しており、運転資金は工事にかかる材料費、請負工事費、及び人件費が占めておりますが、個々の工事の契約による支払い条件、工事の進捗により、一時的な運転資金が大きくなりやすい傾向があります。
投資資金の主なものは、製造工場を維持・増強するための設備資金となっており、足元では非中核事業や不稼働資産の売却を行って、運転資金、投資資金へ充当しております。
なお、現在当社グループは事業再生計画実行の途上にあることから、設備投資、投融資などの長期的な資金は、主力事業とする海洋事業分野、機械事業分野に集中させ、またリース取引を活用することで、当面の間は抑制していく方針としています。
b. 資金調達
当社グループの運転資金、投資資金は主に営業活動による収入を財源とすることを基本としていますが、受注金額が大きく、また工期も長い工事が多いことから、金融機関からの長期借入金や社債発行による資金調達も実施しております。近年は資産売却による収入が多かったこともあり、短期借入金も多用しております。これらの借入金を適時調達できる状態を維持する為、主要取引金融機関とは長年にわたり良好な取引関係を維持しており、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要にも備えています。また、上場子会社を除いた連結子会社との間でCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入して、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 合計 | 返済・償還 1年以内 | 返済・償還 1年超 | |
| 短期借入金 | 70,852 | 70,852 | - |
| 長期借入金 | 58,678 | 20,713 | 37,964 |
| 社債 | 35,000 | 15,000 | 20,000 |
| リース債務 | 10,405 | 3,000 | 7,405 |
| 合計 | 174,936 | 109,567 | 65,369 |
④ 経営計画の達成・進捗状況
当社グループは、エンジニアリング事業における過年度の大規模な損失により、財政基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっており、2019年度から2022年度までを事業再生計画期間とする「三井E&Sグループ 事業再生計画」を2019年5月に策定して、財務体質及び収益体質の強化、並びに事業構造の変革を推し進めております。また、当該期間中に発生した追加損失を受けて、2019年11月に計画の一部見直しを行い、「資産及び事業の売却案件の追加と実行の加速」、「事業構造の改革及び協働事業に関する他社との協業の促進」を対策に加えて推進しております。
さらに、当社グループは、2020年8月に「20中計」を策定し、各戦略に着手しており、事業の集中と協業を明確にし、アライアンスによる市場創出を進め、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指して施策を推進しております。
「20中計」では、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、また売上至上主義から脱却し、利益追求を重視する観点から、経営指標としてNET有利子負債EBITDA倍率、売上高経常利益率及び総資産回転率を選定しており、2022年度において、NET有利子負債EBITDA倍率:5倍未満、売上高経常利益率4.0%以上、及び総資産回転率:0.8倍以上の達成を目指します。
なお、当連結会計年度においては、三井海洋開発株式会社で新型コロナウイルス感染症の影響による建造費用増加があったこと等から経常損失となりましたが、千葉工場の土地の一部譲渡や子会社を含めた株式等の資産売却、社会インフラ事業(橋梁、橋梁保全、沿岸事業)の一部株式譲渡等、「資産売却と協業の推進」を加速させた結果、総資産及び有利子負債は減少しております。機械・システム及び海洋開発の事業領域へ集中することを通じた事業構造の改革に加え、艦艇事業譲渡のための株式譲渡契約の締結、商船事業の資本提携に向けた株式譲渡契約の締結、環境関連事業の譲渡等他社との協業を推し進め、数値目標の達成に向けて取り組んでおります。
「20中計」の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。
<20中計の進捗>
| 指標 | 2022年度目標 | 2020年度実績 | 目標との差異 |
| 売上高 | 7,700億円 | 6,638億円 | △1,062億円 |
| 売上高経常利益率 | 4.0%以上 | △1.2% | △5.2% |
| 総資産回転率 | 0.80倍以上 | 0.87倍 | +0.07倍 |
| NET有利子負債EBITDA倍率(※) | 5倍未満 | 7.04倍 | △2.04倍 |
※ NET有利子負債EBITDA倍率=(有利子負債残高-現金及び預金)÷(営業利益+減価償却費+持分法による投資損益)
<2020年度計画との比較(ご参考)>
| 指標 | 2020年度計画 | 2020年度実績 | 目標との差異 |
| 売上高 | 6,300億円 | 6,638億円 | +338億円 |
| 営業利益又は営業損失(△) | △100億円 | △122億円 | △22億円 |
| 経常利益又は経常損失(△) | △70億円 | △82億円 | △12億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 0億円 | 1億円 | +1億円 |