有価証券報告書-第121期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、物価上昇に鈍化の兆しが見られるものの、長期金利の上昇に伴う消費や設備投資の低迷、中国景気の失速などにより減速しました。また、各国の金融政策の動向や地政学的リスク、中国経済の一段の減速など、先行きは不透明な状況にあります。一方、国内経済は堅調な個人消費や企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかな回復基調にあり、今後は、継続的な物価上昇によるデフレからの脱却、物価上昇を上回る賃上げの定着、金利のある世界という新たな局面に移りつつあります。
当社と関連性の高い造船業界では、期近船台がほぼ完売しており、一部造船所では2028年はじめの線表確定にめどを付けるなど、国内造船所は十分な手持ち工事量を確保するに至っております。また、港湾物流業界においては、東南アジアをはじめとした海外での需要は堅調に推移しており、国内においても新設、増設に加え、既設の老朽化更新などの需要が堅調です。引き続き為替や金融市場の変動、及び材料調達における価格変動リスクはあるものの、受注環境としては確実に好転しつつあると認識しております。
このような状況下、当社は2023年4月1日より事業持株会社へと移行するとともに、社名を「株式会社三井E&S」とし、さらに2023年6月28日に監査等委員会設置会社へと移行して新たに生まれ変わりました。不採算事業の整理・撤退や、財務体質の強化などの諸施策を定めた「三井E&Sグループ 事業再生計画」も完遂し、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消いたしました。安定的な配当の実現に向けた体制が整いつつあると判断し、6期ぶりに復配をするとともに、新しい価値を創造できる人材と組織風土の実現に向けて人事制度を刷新し、2024年春季交渉においても成長戦略の実現に向けて、従業員のモチベーションを高めるべく2023年に続き賃金改善を実施することといたしました。
また、「第1回行使価額修正条項付新株予約権」については、当初計画より大幅な前倒しで2023年11月29日をもって全ての新株予約権が行使され、約85億円を調達し、財務健全性を向上することができました。
一方で、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しており、中核事業である舶用推進事業・港湾物流事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させることを戦略の柱とする「2023年度中期経営計画」は、1年前倒しで2022年度にスタートしております。
舶用推進事業では、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン及びその付随製品等に関する事業を取得し、2023年4月1日より二元燃料機関とデジタル遠隔保守システムに強みをもつ「株式会社三井E&S DU」として営業を開始しております。当社及び株式会社三井E&S DUは、2023年7月に海事産業強化法に基づく事業基盤強化計画認定制度において、舶用2ストロークエンジンの生産性向上に向けた事業基盤強化計画を策定し、国土交通大臣の認定を受けました。本計画に基づき環境対応型エンジンを開発・拡充し、新たなグリーン製品として生産の強化を進めております。
アンモニア燃料については、当社を含む日本5社連合とMAN-Energy Solutions の6社間で、アンモニア燃料船の商用化に向けた共同開発を進めることに合意し、覚書を締結しました。
世界初号機となるMAN B&Wアンモニア焚機関およびアンモニア燃料供給装置等周辺システムを供給し、舶用推進システムサプライヤーとして海上物流分野で脱炭素化社会の実現に持続的に貢献してまいります。
また、水素燃料については、2023年10月に当社玉野工場内に水素供給設備を完工し、2024年2月には同供給設備と当社テストエンジンによるカップリング運転にて、100%負荷運転(4シリンダの内、1シリンダを水素燃焼)に成功しております。
当社グループは、MAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Diesel のダブルライセンス体制の構築により製品ラインアップを拡充し、グループ内リソースの効率的な活用や生産性の向上、アフターサービスの強化を通じて競争力の向上に繋げてまいります。
港湾物流事業では、当社と当社の子会社パセコ社(本社:米国 カリフォルニア)が、ブルックフィールド社(本社:カナダ トロント)と、米国カリフォルニアにおいて港湾クレーンの最終組立を行う為の検討を進めています。米国で港湾クレーンについてこのような最終組立を行うのは、1989年以来のことであり、米国の港湾インフラの安全確保に貢献することが期待されます。
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で、世界初となる燃料電池(FC)を動力源としたタイヤ式門型クレーンを開発し、水素を燃料とした荷役作業を実施するための協定を東京都港湾局他3社と締結するなど、製品の脱炭素化を進めております。その他、港湾クレーンの自動化やドローンによる遠隔保守、港湾ターミナルの運営効率化などデジタル技術の活用による人口縮小社会の課題解決に取り組んでまいります。
さらに、中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業(成長事業推進セグメント)と位置づけ、国内初となる廃食用油を原料とした国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の大規模生産実証設備向け圧縮機を受注するなど、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ271億81百万円増加の4,671億40百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ86億43百万円減少の3,206億30百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ358億24百万円増加の1,465億10百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は3,369億87百万円(前期比+4.5%)、売上高は3,018億75百万円(前期比+15.1%)、営業利益は196億30百万円(前期比+109.4%)、経常利益は207億11百万円(前期比+65.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は250億51百万円(前期比+61.1%)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(成長事業推進)
受注高は468億29百万円(+11.0%)、売上高は408億10百万円(+17.1%)、営業利益は58億83百万円(+38.2%)となりました。
(舶用推進システム)
受注高は1,476億71百万円(+5.8%)、売上高は1,340億33百万円(+37.2%)、営業利益は64億31百万円(+143.7%)となりました。
(物流システム)
受注高は705億72百万円(+42.7%)、売上高は476億37百万円(+14.4%)、営業利益は30億55百万円(+125.5%)となりました。
(周辺サービス)
受注高は716億18百万円(△3.6%)、売上高は741億41百万円(+29.3%)、営業利益は23億54百万円(+226.3%)となりました。
(海洋開発)
持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、ブラジルで操業するFPSO及びFSOに対するアセット・インテグリティ改善費用による利益の押し下げ要因があったものの、FPSO等の建造工事の進捗による収益認識などにより、前期と比べて40億54百万円増加(+175.4%)の63億66百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて99億51百万円減少して335億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、344億35百万円(前連結会計年度は150億43百万円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上などによる収入があった一方、受注工事損失引当金の減少、持分法による投資利益の計上、売上債権及び契約資産の増加及び仕入債務の減少などによる支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、3億54百万円(前連結会計年度は29億99百万円の支出)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入、関係会社株式の売却による収入及び関係会社出資金の売却による収入などがあった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、241億10百万円(前連結会計年度は95億15百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び社債の償還による支出などがあった一方、短期借入金の純増加及び新株予約権の行使による株式の発行による収入などがあったことによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
4.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されているため、生産実績は記載しておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
3.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されているため、受注実績は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
4.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されているため、販売実績は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ271億81百万円増加の4,671億40百万円となりました。これは、現金及び預金が102億33百万円減少した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が144億32百万円、商品及び製品が35億86百万円、投資有価証券が73億34百万円、退職給付に係る資産が71億52百万円それぞれ増加したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ86億43百万円減少の3,206億30百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が97億94百万円、短期借入金が345億40百万円それぞれ増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が79億64百万円、受注工事損失引当金が96億99百万円、流動負債その他が378億85百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産は、第1回行使価額修正条項付新株予約権の行使、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、退職給付に係る調整累計額の増加などにより、前連結会計年度末と比べ358億24百万円増加の1,465億10百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて146億35百万円増加(+4.5%)の3,369億87百万円となりました。
売上高は、舶用推進システム事業において舶用エンジンの引渡しが好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことにより、前連結会計年度と比べて395億73百万円増加(+15.1%)の3,018億75百万円となりました。
営業利益は、舶用推進システム事業の損益が改善したことなどにより、前連結会計年度と比べて102億53百万円増加(+109.4%)の196億30百万円となりました。
経常利益は、持分法による投資利益の計上及び支払利息や支払手数料の計上などにより前連結会計年度と比べて81億79百万円増加(+65.3%)の207億11百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、負ののれん発生益や関係会社株式売却益の計上及び繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額の計上などにより、前連結会計年度と比べて94億97百万円増加(+61.1%)の250億51百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(成長事業推進)
「脱炭素」を念頭に中核事業の周辺領域で新しい製品やサービスを推進しており、SAF製造用プラントに使用される往復動圧縮機を海外で受注しました。また、国内製鉄所向けに、高炉水素還元の実証設備用の軸流圧縮機を受注、海外製鉄所向けでは、高炉から排出される排ガスを利用して発電する高効率炉頂圧回収タービンを2件受注し、製鉄所内の脱炭素化、省エネに貢献しています。
水素製造プラント用往復動圧縮機の引き合いも増加しており、世界的な脱炭素化の流れに当社の技術を活用し、水素関連市場への取り組みを強化していきます。
受注高は、脱炭素化対応の案件が増加傾向にあることや、高炉送風機や建設機械用エンジン、化学プラントなどの設備更新に伴う産業機械の需要も堅調に推移したことにより、前期と比べて46億36百万円増加(+11.0%)の468億29百万円となりました。売上高は、建設機械用エンジンの受注増加などにより59億45百万円増加(+17.1%)の408億10百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて16億24百万円増加(+38.2%)の58億83百万円となりました。
(舶用推進システム)
受注量が過去10年で最高となった2023年の世界の新造船マーケットに呼応して国内でも前年比+25%となり、当社への舶用エンジンの引き合いが増加しております。特に、メタノール焚きを始めとする二元燃料エンジンの受注が増加し、これらに対応するための設備増強を行っております。また、エンジン周辺機器についても注力しており、自社開発の高圧LNGポンプは着実に受注を積み重ねております。さらに、他社に先駆けたアンモニア焚きエンジンのライセンサーとの共同開発や、アンモニア燃料供給装置の自社開発も進めており、エンジン及び周辺機器の製品ラインアップを拡充し、これらをセットで提供できるサプライヤーとして他社との差別化を図ってまいります。
また、2023年4月に株式会社三井E&S DUが当社グループに加わり、玉野・相生両工場の特性を活かした生産性の最大化を図っております。今後、MAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Dieselのダブルライセンス体制を活かしたさらなるシナジーを生み出してまいります。
アフターサービスは、就航船に対する環境規制対応の需要などにより受注・売上ともに好調です。2024年度以降も、電子制御エンジンのドック工事の増加により、高水準が続くものと見込んでいます。
受注高は、二元燃料エンジンの引き合いが増加したことなどにより、前期と比べて80億95百万円増加(+5.8%)の1,476億71百万円となりました。売上高は、舶用エンジンの引渡し及びアフターサービス事業が好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことなどにより、前期と比べて363億40百万円増加(+37.2%)の1,340億33百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて37億92百万円増加(+143.7%)の64億31百万円となりました。
(物流システム)
東南アジアにおける大型案件の連続受注など、海外での受注はトランステーナを中心に好調を維持しております。国内においても新設、増設に加え、既設の老朽化更新などの需要が堅調であり、国内外合わせ過去最大の受注となりました。
新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で実証を行っている世界初のゼロ・エミッショントランステーナ(水素燃料電池パワーパック駆動のトランステーナ)については、米国ロサンゼルス港に実機を納入し、まもなく実証事業が開始されます。さらに、米国の港湾インフラの安全確保に貢献すべく、米国においてポーテーナ、トランステーナの最終組立を行う為の検討を進めております。国内においては、東京港及び横浜港にて既設トランステーナを水素燃料電池パワーパックに換装、神戸港では水素エンジン発電機に換装し、それぞれ稼働実証を行う予定となっております。引き続き、脱炭素化社会へ向け製品の商業化を進めてまいります。
アフターサービス関連では、国内において、老朽化更新に伴う既設機の撤去及び改修工事が好調なことに加え、国内外のパーツサプライが受注・売上ともに過去最高を記録しました。クレーンリモートモニタリングシステムは、国内の神戸港、志布志港、横浜港など順調に受注しており、さらなる拡販を進めてまいります。また、新サービスのドローン点検は、自動飛行ルート作成アプリケーションの実証試験を含む試用の受注を開始しております。
受注高は、東南アジアでの大型案件の受注が続いたことなどにより、前期と比べて211億31百万円増加(+42.7%)の705億72百万円となりました。売上高は、工事の引渡しが順調に進んでいることから、前期と比べて59億84百万円増加(+14.4%)の476億37百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて17億円増加(+125.5%)の30億55百万円となりました。
(周辺サービス)
周辺サービス事業においては各子会社ともに順調に推移しました。特に、堅調な舶用エンジン制御機器事業に加えて、製造業向けのデータ活用システム案件を獲得したシステム開発事業が業績を牽引しました。鋼構造物・船舶ブロック製造事業においては、鉄鋼業向けなどの案件を獲得し、また前期に受注したケーソン・船舶ブロック等の大型案件も売上に寄与しました。ガス関連エンジニアリング事業においては、東アジア向けFGS(燃料供給システム)の大型案件を獲得したことなどにより、前期に比べて大きく受注を伸ばしました。
受注高は、前期と比べて26億85百万円減少(△3.6%)の716億18百万円となりました。売上高は、国内外子会社が売上を順調に伸ばし、前期と比べて167億85百万円増加(+29.3%)の741億41百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて16億32百万円増加(+226.3%)の23億54百万円となりました。
(海洋開発)
原油価格は、サウジアラビアによる自主的な追加減産が延長されたことなどを受け、一時1バレル90米ドル超の高値をつけたものの、中国経済の減速などにより石油需要が減少するとの見方が強まったことから、2023年末の終値は1バレル70米ドル台となりました。こうしたことから、脱炭素の流れと併存しながらも、安定したエネルギー供給の維持は依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発プロジェクトは継続すると考えられ、当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトは、今後も安定した成長が期待されます。
持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、ブラジルで操業するFPSO及びFSOに対するアセット・インテグリティ改善費用による利益の押し下げ要因があったものの、FPSO等の建造工事の進捗による収益認識などにより、前期と比べて40億54百万円増加(+175.4%)の63億66百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a. 資金需要
当社グループは個々の契約金額が大きな製品を受注生産しており、運転資金は工事にかかる材料費、請負工事費、及び人件費が占めておりますが、個々の工事の契約による支払い条件、工事の進捗により、一時的に多額の運転資金需要が発生しやすい傾向があります。
投資資金の主なものは、中核事業のグリーン戦略・デジタル戦略を推進するために必要な成長投資資金、及び製造工場を維持・増強するための設備資金となっており、成長投資資金については、優先株の発行により得た資金、及び新株予約権の行使により得た資金を中心に充当しております。
なお、有利子負債の増加を抑制する観点から、当社グループでは設備投資、投融資などの長期的な資金は、主力事業への成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の支出を抑制していく方針としております。
b. 資金調達
当社グループの運転資金、投資資金は主に営業活動による収入を財源とすることを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入で調達しております。この借入金を適時調達できる状態を維持する為、主要取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持しており、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要にも備えています。また、上場子会社を除いた国内連結子会社との間でCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入して、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。
さらに、成長機会の取り込みに必要な資金の調達と、財務健全性の向上を図るための資本対策として、2022年度に「A種優先株式」90億円を発行し、また、同年度に発行した「第1回行使価額修正条項付新株予約権」は2023年11月末までに累計約85億円の行使が完了しております。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
※当社では、リース債務を別管理しております
④ 経営計画の達成・進捗状況
当社グループは、海外大型EPCプロジェクトにおける過年度の損失により、財務基盤が毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっておりました。
この状況の解消に向け、当社グループは2019年5月に策定した「三井E&Sグループ 事業再生計画」(同年11月に一部見直し、以下「事業再生計画」)に沿って、不採算事業の整理・撤退等を進め、祖業である船舶の建造事業からも事実上撤退する等、2022年度までに、子会社・不動産等、約20件、総額1,200億円超の事業・資産売却を断行し、事業再生計画は完遂いたしました。
また、財務体質の健全化及び成長投資のための資本対策として、2022年3月31日に公表した「第三者割当によるA種優先株式の発行、第三者割当による第1回行使価額修正条項付新株予約権の発行」により、合計約175億円の資金調達も行っております。
懸案であった海外大型EPCプロジェクトの不確実性は解消し、中核事業である、舶用推進事業、港湾物流事業に注力することで、当社グループは安定的に利益を稼得できる体制となり、前連結会計年度より継続して営業利益を計上しております。
当社グループは持続可能社会への急速な移行等、取り巻く事業環境が大きく変化する中、「2023中計」を2022年5月に公表しております。2023中計では、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、売上至上主義から脱却する等、健全な財務体質と堅実な利益を追求していく観点から、経営指標として連結営業利益率、自己資本比率及びNET有利子負債EBITDA倍率を選定しております。数値目標は最終年度である2025年度において、連結営業利益率:6.0%、自己資本比率:26.0%及びNET有利子負債EBITDA倍率:5.0倍として設定し、当連結会計年度において、全ての項目を前倒しで達成いたしました。
また、当社は2024年6月に、長年にわたり保有していた三井海洋開発株式の一部を売出しの方法で売却完了いたしました。売出しによって得た資金は、事業戦略、財務戦略、及びステークホルダーへの利益還元の3点から、今後、以下の用途に段階的に充てていくことを計画しております。これにより、今後も成長機会を着実に捉えると共に、当社グループの進化と持続に向けた企業価値向上に繋げてまいります。
① 港湾物流事業の米国含めた世界市場展開に必要な投資、舶用推進事業に関連する重要部品の技術開発や製造に必要な投資、およびサプライチェーンの強化に必要な投資
② 有利子負債の大幅な圧縮およびA種優先株式の24年度上期中の償還による財務の健全化、ならびにこれに伴う24年度下期以降の金融費用の大幅な低減
③ 一般株主への利益還元および人材育成や住宅支援等の制度改革を軸とした人的資本への投資
2023中計の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。
<2023中計の進捗>
※ NET有利子負債EBITDA倍率=(有利子負債残高-現金及び預金)÷(営業利益+減価償却費)
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、物価上昇に鈍化の兆しが見られるものの、長期金利の上昇に伴う消費や設備投資の低迷、中国景気の失速などにより減速しました。また、各国の金融政策の動向や地政学的リスク、中国経済の一段の減速など、先行きは不透明な状況にあります。一方、国内経済は堅調な個人消費や企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかな回復基調にあり、今後は、継続的な物価上昇によるデフレからの脱却、物価上昇を上回る賃上げの定着、金利のある世界という新たな局面に移りつつあります。
当社と関連性の高い造船業界では、期近船台がほぼ完売しており、一部造船所では2028年はじめの線表確定にめどを付けるなど、国内造船所は十分な手持ち工事量を確保するに至っております。また、港湾物流業界においては、東南アジアをはじめとした海外での需要は堅調に推移しており、国内においても新設、増設に加え、既設の老朽化更新などの需要が堅調です。引き続き為替や金融市場の変動、及び材料調達における価格変動リスクはあるものの、受注環境としては確実に好転しつつあると認識しております。
このような状況下、当社は2023年4月1日より事業持株会社へと移行するとともに、社名を「株式会社三井E&S」とし、さらに2023年6月28日に監査等委員会設置会社へと移行して新たに生まれ変わりました。不採算事業の整理・撤退や、財務体質の強化などの諸施策を定めた「三井E&Sグループ 事業再生計画」も完遂し、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消いたしました。安定的な配当の実現に向けた体制が整いつつあると判断し、6期ぶりに復配をするとともに、新しい価値を創造できる人材と組織風土の実現に向けて人事制度を刷新し、2024年春季交渉においても成長戦略の実現に向けて、従業員のモチベーションを高めるべく2023年に続き賃金改善を実施することといたしました。
また、「第1回行使価額修正条項付新株予約権」については、当初計画より大幅な前倒しで2023年11月29日をもって全ての新株予約権が行使され、約85億円を調達し、財務健全性を向上することができました。
一方で、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しており、中核事業である舶用推進事業・港湾物流事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させることを戦略の柱とする「2023年度中期経営計画」は、1年前倒しで2022年度にスタートしております。
舶用推進事業では、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン及びその付随製品等に関する事業を取得し、2023年4月1日より二元燃料機関とデジタル遠隔保守システムに強みをもつ「株式会社三井E&S DU」として営業を開始しております。当社及び株式会社三井E&S DUは、2023年7月に海事産業強化法に基づく事業基盤強化計画認定制度において、舶用2ストロークエンジンの生産性向上に向けた事業基盤強化計画を策定し、国土交通大臣の認定を受けました。本計画に基づき環境対応型エンジンを開発・拡充し、新たなグリーン製品として生産の強化を進めております。
アンモニア燃料については、当社を含む日本5社連合とMAN-Energy Solutions の6社間で、アンモニア燃料船の商用化に向けた共同開発を進めることに合意し、覚書を締結しました。
世界初号機となるMAN B&Wアンモニア焚機関およびアンモニア燃料供給装置等周辺システムを供給し、舶用推進システムサプライヤーとして海上物流分野で脱炭素化社会の実現に持続的に貢献してまいります。
また、水素燃料については、2023年10月に当社玉野工場内に水素供給設備を完工し、2024年2月には同供給設備と当社テストエンジンによるカップリング運転にて、100%負荷運転(4シリンダの内、1シリンダを水素燃焼)に成功しております。
当社グループは、MAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Diesel のダブルライセンス体制の構築により製品ラインアップを拡充し、グループ内リソースの効率的な活用や生産性の向上、アフターサービスの強化を通じて競争力の向上に繋げてまいります。
港湾物流事業では、当社と当社の子会社パセコ社(本社:米国 カリフォルニア)が、ブルックフィールド社(本社:カナダ トロント)と、米国カリフォルニアにおいて港湾クレーンの最終組立を行う為の検討を進めています。米国で港湾クレーンについてこのような最終組立を行うのは、1989年以来のことであり、米国の港湾インフラの安全確保に貢献することが期待されます。
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で、世界初となる燃料電池(FC)を動力源としたタイヤ式門型クレーンを開発し、水素を燃料とした荷役作業を実施するための協定を東京都港湾局他3社と締結するなど、製品の脱炭素化を進めております。その他、港湾クレーンの自動化やドローンによる遠隔保守、港湾ターミナルの運営効率化などデジタル技術の活用による人口縮小社会の課題解決に取り組んでまいります。
さらに、中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業(成長事業推進セグメント)と位置づけ、国内初となる廃食用油を原料とした国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の大規模生産実証設備向け圧縮機を受注するなど、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ271億81百万円増加の4,671億40百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ86億43百万円減少の3,206億30百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ358億24百万円増加の1,465億10百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は3,369億87百万円(前期比+4.5%)、売上高は3,018億75百万円(前期比+15.1%)、営業利益は196億30百万円(前期比+109.4%)、経常利益は207億11百万円(前期比+65.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は250億51百万円(前期比+61.1%)となりました。
| [経営成績の推移:連結ベース] | ||||||
| 受注高 (百万円) | 売上高 (百万円) | 営業利益又は 営業損失(△) (百万円) | 経常利益又は 経常損失(△) (百万円) | 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) (百万円) | 1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失 (△) (円) | |
| 2024年3月期 | 336,987 | 301,875 | 19,630 | 20,711 | 25,051 | 255.73 |
| 2023年3月期 | 322,351 | 262,301 | 9,376 | 12,532 | 15,554 | 177.47 |
| 2022年3月期 | 511,089 | 579,363 | △10,029 | △25,742 | △21,825 | △269.94 |
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(成長事業推進)
受注高は468億29百万円(+11.0%)、売上高は408億10百万円(+17.1%)、営業利益は58億83百万円(+38.2%)となりました。
(舶用推進システム)
受注高は1,476億71百万円(+5.8%)、売上高は1,340億33百万円(+37.2%)、営業利益は64億31百万円(+143.7%)となりました。
(物流システム)
受注高は705億72百万円(+42.7%)、売上高は476億37百万円(+14.4%)、営業利益は30億55百万円(+125.5%)となりました。
(周辺サービス)
受注高は716億18百万円(△3.6%)、売上高は741億41百万円(+29.3%)、営業利益は23億54百万円(+226.3%)となりました。
(海洋開発)
持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、ブラジルで操業するFPSO及びFSOに対するアセット・インテグリティ改善費用による利益の押し下げ要因があったものの、FPSO等の建造工事の進捗による収益認識などにより、前期と比べて40億54百万円増加(+175.4%)の63億66百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて99億51百万円減少して335億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、344億35百万円(前連結会計年度は150億43百万円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上などによる収入があった一方、受注工事損失引当金の減少、持分法による投資利益の計上、売上債権及び契約資産の増加及び仕入債務の減少などによる支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、3億54百万円(前連結会計年度は29億99百万円の支出)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入、関係会社株式の売却による収入及び関係会社出資金の売却による収入などがあった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、241億10百万円(前連結会計年度は95億15百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び社債の償還による支出などがあった一方、短期借入金の純増加及び新株予約権の行使による株式の発行による収入などがあったことによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
| 総資産 (百万円) | 純資産 (百万円) | 自己資本比率 (%) | 営業活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 投資活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 財務活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 有利子 負債残高 (百万円) | |
| 2024年3月期 | 467,140 | 146,510 | 30.4 | △34,435 | △354 | 24,110 | 162,012 |
| 2023年3月期 | 439,959 | 110,686 | 24.2 | △15,043 | △2,999 | 9,515 | 141,547 |
| 2022年3月期 | 409,150 | 62,949 | 14.0 | △20,265 | △70,923 | 806 | 142,374 |
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 成長事業推進 | 40,704 | 24.6 |
| 舶用推進システム | 143,847 | 29.0 |
| 物流システム | 44,914 | 1.8 |
| 周辺サービス | 78,203 | 37.4 |
| 海洋開発 | - | - |
| その他 | 5,030 | △83.0 |
| 合計 | 312,700 | 13.8 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
4.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されているため、生産実績は記載しておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比(%) | 受注残高 (百万円) | 前期比(%) |
| 成長事業推進 | 46,829 | 11.0 | 34,971 | 21.1 |
| 舶用推進システム | 147,671 | 5.8 | 84,392 | 37.0 |
| 物流システム | 70,572 | 42.7 | 81,381 | 38.6 |
| 周辺サービス | 71,618 | △3.6 | 180,121 | 15.3 |
| 海洋開発 | - | - | - | - |
| その他 | 295 | △98.2 | 1,569 | △75.5 |
| 合計 | 336,987 | 4.5 | 382,435 | 22.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
3.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されているため、受注実績は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 成長事業推進 | 40,810 | 17.1 |
| 舶用推進システム | 134,033 | 37.2 |
| 物流システム | 47,637 | 14.4 |
| 周辺サービス | 74,141 | 29.3 |
| 海洋開発 | - | - |
| その他 | 5,251 | △82.9 |
| 合計 | 301,875 | 15.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
4.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されているため、販売実績は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ271億81百万円増加の4,671億40百万円となりました。これは、現金及び預金が102億33百万円減少した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が144億32百万円、商品及び製品が35億86百万円、投資有価証券が73億34百万円、退職給付に係る資産が71億52百万円それぞれ増加したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ86億43百万円減少の3,206億30百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が97億94百万円、短期借入金が345億40百万円それぞれ増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が79億64百万円、受注工事損失引当金が96億99百万円、流動負債その他が378億85百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産は、第1回行使価額修正条項付新株予約権の行使、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、退職給付に係る調整累計額の増加などにより、前連結会計年度末と比べ358億24百万円増加の1,465億10百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて146億35百万円増加(+4.5%)の3,369億87百万円となりました。
売上高は、舶用推進システム事業において舶用エンジンの引渡しが好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことにより、前連結会計年度と比べて395億73百万円増加(+15.1%)の3,018億75百万円となりました。
営業利益は、舶用推進システム事業の損益が改善したことなどにより、前連結会計年度と比べて102億53百万円増加(+109.4%)の196億30百万円となりました。
経常利益は、持分法による投資利益の計上及び支払利息や支払手数料の計上などにより前連結会計年度と比べて81億79百万円増加(+65.3%)の207億11百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、負ののれん発生益や関係会社株式売却益の計上及び繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額の計上などにより、前連結会計年度と比べて94億97百万円増加(+61.1%)の250億51百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(成長事業推進)
「脱炭素」を念頭に中核事業の周辺領域で新しい製品やサービスを推進しており、SAF製造用プラントに使用される往復動圧縮機を海外で受注しました。また、国内製鉄所向けに、高炉水素還元の実証設備用の軸流圧縮機を受注、海外製鉄所向けでは、高炉から排出される排ガスを利用して発電する高効率炉頂圧回収タービンを2件受注し、製鉄所内の脱炭素化、省エネに貢献しています。
水素製造プラント用往復動圧縮機の引き合いも増加しており、世界的な脱炭素化の流れに当社の技術を活用し、水素関連市場への取り組みを強化していきます。
受注高は、脱炭素化対応の案件が増加傾向にあることや、高炉送風機や建設機械用エンジン、化学プラントなどの設備更新に伴う産業機械の需要も堅調に推移したことにより、前期と比べて46億36百万円増加(+11.0%)の468億29百万円となりました。売上高は、建設機械用エンジンの受注増加などにより59億45百万円増加(+17.1%)の408億10百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて16億24百万円増加(+38.2%)の58億83百万円となりました。
(舶用推進システム)
受注量が過去10年で最高となった2023年の世界の新造船マーケットに呼応して国内でも前年比+25%となり、当社への舶用エンジンの引き合いが増加しております。特に、メタノール焚きを始めとする二元燃料エンジンの受注が増加し、これらに対応するための設備増強を行っております。また、エンジン周辺機器についても注力しており、自社開発の高圧LNGポンプは着実に受注を積み重ねております。さらに、他社に先駆けたアンモニア焚きエンジンのライセンサーとの共同開発や、アンモニア燃料供給装置の自社開発も進めており、エンジン及び周辺機器の製品ラインアップを拡充し、これらをセットで提供できるサプライヤーとして他社との差別化を図ってまいります。
また、2023年4月に株式会社三井E&S DUが当社グループに加わり、玉野・相生両工場の特性を活かした生産性の最大化を図っております。今後、MAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Dieselのダブルライセンス体制を活かしたさらなるシナジーを生み出してまいります。
アフターサービスは、就航船に対する環境規制対応の需要などにより受注・売上ともに好調です。2024年度以降も、電子制御エンジンのドック工事の増加により、高水準が続くものと見込んでいます。
受注高は、二元燃料エンジンの引き合いが増加したことなどにより、前期と比べて80億95百万円増加(+5.8%)の1,476億71百万円となりました。売上高は、舶用エンジンの引渡し及びアフターサービス事業が好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことなどにより、前期と比べて363億40百万円増加(+37.2%)の1,340億33百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて37億92百万円増加(+143.7%)の64億31百万円となりました。
(物流システム)
東南アジアにおける大型案件の連続受注など、海外での受注はトランステーナを中心に好調を維持しております。国内においても新設、増設に加え、既設の老朽化更新などの需要が堅調であり、国内外合わせ過去最大の受注となりました。
新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で実証を行っている世界初のゼロ・エミッショントランステーナ(水素燃料電池パワーパック駆動のトランステーナ)については、米国ロサンゼルス港に実機を納入し、まもなく実証事業が開始されます。さらに、米国の港湾インフラの安全確保に貢献すべく、米国においてポーテーナ、トランステーナの最終組立を行う為の検討を進めております。国内においては、東京港及び横浜港にて既設トランステーナを水素燃料電池パワーパックに換装、神戸港では水素エンジン発電機に換装し、それぞれ稼働実証を行う予定となっております。引き続き、脱炭素化社会へ向け製品の商業化を進めてまいります。
アフターサービス関連では、国内において、老朽化更新に伴う既設機の撤去及び改修工事が好調なことに加え、国内外のパーツサプライが受注・売上ともに過去最高を記録しました。クレーンリモートモニタリングシステムは、国内の神戸港、志布志港、横浜港など順調に受注しており、さらなる拡販を進めてまいります。また、新サービスのドローン点検は、自動飛行ルート作成アプリケーションの実証試験を含む試用の受注を開始しております。
受注高は、東南アジアでの大型案件の受注が続いたことなどにより、前期と比べて211億31百万円増加(+42.7%)の705億72百万円となりました。売上高は、工事の引渡しが順調に進んでいることから、前期と比べて59億84百万円増加(+14.4%)の476億37百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて17億円増加(+125.5%)の30億55百万円となりました。
(周辺サービス)
周辺サービス事業においては各子会社ともに順調に推移しました。特に、堅調な舶用エンジン制御機器事業に加えて、製造業向けのデータ活用システム案件を獲得したシステム開発事業が業績を牽引しました。鋼構造物・船舶ブロック製造事業においては、鉄鋼業向けなどの案件を獲得し、また前期に受注したケーソン・船舶ブロック等の大型案件も売上に寄与しました。ガス関連エンジニアリング事業においては、東アジア向けFGS(燃料供給システム)の大型案件を獲得したことなどにより、前期に比べて大きく受注を伸ばしました。
受注高は、前期と比べて26億85百万円減少(△3.6%)の716億18百万円となりました。売上高は、国内外子会社が売上を順調に伸ばし、前期と比べて167億85百万円増加(+29.3%)の741億41百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前期と比べて16億32百万円増加(+226.3%)の23億54百万円となりました。
(海洋開発)
原油価格は、サウジアラビアによる自主的な追加減産が延長されたことなどを受け、一時1バレル90米ドル超の高値をつけたものの、中国経済の減速などにより石油需要が減少するとの見方が強まったことから、2023年末の終値は1バレル70米ドル台となりました。こうしたことから、脱炭素の流れと併存しながらも、安定したエネルギー供給の維持は依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発プロジェクトは継続すると考えられ、当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトは、今後も安定した成長が期待されます。
持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、ブラジルで操業するFPSO及びFSOに対するアセット・インテグリティ改善費用による利益の押し下げ要因があったものの、FPSO等の建造工事の進捗による収益認識などにより、前期と比べて40億54百万円増加(+175.4%)の63億66百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a. 資金需要
当社グループは個々の契約金額が大きな製品を受注生産しており、運転資金は工事にかかる材料費、請負工事費、及び人件費が占めておりますが、個々の工事の契約による支払い条件、工事の進捗により、一時的に多額の運転資金需要が発生しやすい傾向があります。
投資資金の主なものは、中核事業のグリーン戦略・デジタル戦略を推進するために必要な成長投資資金、及び製造工場を維持・増強するための設備資金となっており、成長投資資金については、優先株の発行により得た資金、及び新株予約権の行使により得た資金を中心に充当しております。
なお、有利子負債の増加を抑制する観点から、当社グループでは設備投資、投融資などの長期的な資金は、主力事業への成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の支出を抑制していく方針としております。
b. 資金調達
当社グループの運転資金、投資資金は主に営業活動による収入を財源とすることを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入で調達しております。この借入金を適時調達できる状態を維持する為、主要取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持しており、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要にも備えています。また、上場子会社を除いた国内連結子会社との間でCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入して、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。
さらに、成長機会の取り込みに必要な資金の調達と、財務健全性の向上を図るための資本対策として、2022年度に「A種優先株式」90億円を発行し、また、同年度に発行した「第1回行使価額修正条項付新株予約権」は2023年11月末までに累計約85億円の行使が完了しております。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 合計 | 返済・償還 1年以内 | 返済・償還 1年超 | |
| 短期借入金 | 149,785 | 149,785 | - |
| 長期借入金 | 12,227 | 1,410 | 10,817 |
| 有利子負債 計※ | 162,012 | 151,195 | 10,817 |
| リース債務 | 8,647 | 2,076 | 6,571 |
| 総計 | 170,660 | 153,271 | 17,388 |
※当社では、リース債務を別管理しております
④ 経営計画の達成・進捗状況
当社グループは、海外大型EPCプロジェクトにおける過年度の損失により、財務基盤が毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっておりました。
この状況の解消に向け、当社グループは2019年5月に策定した「三井E&Sグループ 事業再生計画」(同年11月に一部見直し、以下「事業再生計画」)に沿って、不採算事業の整理・撤退等を進め、祖業である船舶の建造事業からも事実上撤退する等、2022年度までに、子会社・不動産等、約20件、総額1,200億円超の事業・資産売却を断行し、事業再生計画は完遂いたしました。
また、財務体質の健全化及び成長投資のための資本対策として、2022年3月31日に公表した「第三者割当によるA種優先株式の発行、第三者割当による第1回行使価額修正条項付新株予約権の発行」により、合計約175億円の資金調達も行っております。
懸案であった海外大型EPCプロジェクトの不確実性は解消し、中核事業である、舶用推進事業、港湾物流事業に注力することで、当社グループは安定的に利益を稼得できる体制となり、前連結会計年度より継続して営業利益を計上しております。
当社グループは持続可能社会への急速な移行等、取り巻く事業環境が大きく変化する中、「2023中計」を2022年5月に公表しております。2023中計では、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、売上至上主義から脱却する等、健全な財務体質と堅実な利益を追求していく観点から、経営指標として連結営業利益率、自己資本比率及びNET有利子負債EBITDA倍率を選定しております。数値目標は最終年度である2025年度において、連結営業利益率:6.0%、自己資本比率:26.0%及びNET有利子負債EBITDA倍率:5.0倍として設定し、当連結会計年度において、全ての項目を前倒しで達成いたしました。
また、当社は2024年6月に、長年にわたり保有していた三井海洋開発株式の一部を売出しの方法で売却完了いたしました。売出しによって得た資金は、事業戦略、財務戦略、及びステークホルダーへの利益還元の3点から、今後、以下の用途に段階的に充てていくことを計画しております。これにより、今後も成長機会を着実に捉えると共に、当社グループの進化と持続に向けた企業価値向上に繋げてまいります。
① 港湾物流事業の米国含めた世界市場展開に必要な投資、舶用推進事業に関連する重要部品の技術開発や製造に必要な投資、およびサプライチェーンの強化に必要な投資
② 有利子負債の大幅な圧縮およびA種優先株式の24年度上期中の償還による財務の健全化、ならびにこれに伴う24年度下期以降の金融費用の大幅な低減
③ 一般株主への利益還元および人材育成や住宅支援等の制度改革を軸とした人的資本への投資
2023中計の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。
<2023中計の進捗>
| 指標 | 2025年度目標 | 2023年度実績 | 目標との差異 |
| 連結売上高 | 2,800億円 | 3,019億円 | +219億円 |
| 連結営業利益率 | 6.0% | 6.5% | +0.5% |
| 自己資本比率 | 26.0% | 30.4% | +4.4% |
| NET有利子負債EBITDA倍率(※) | 5.0倍 | 4.7倍 | △0.3倍 |
※ NET有利子負債EBITDA倍率=(有利子負債残高-現金及び預金)÷(営業利益+減価償却費)