有価証券報告書

【提出】
2024/06/27 13:25
【資料】
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【項目】
154項目
③戦略
当社グループは、環境への影響を最小限とするため、2100年時点における世界の平均気温の上昇を、産業革命以前と比較して1.5℃以下に抑制しながら経済成長を目指す「気候変動政策厳格化により脱炭素を推進するシナリオ(脱炭素シナリオ)」と、現状ベースで化石燃料をエネルギー主体として経済成長を目指した結果、2100年時点における世界の平均気温が産業革命以前と比較して4.0℃上昇することが想定されるシナリオである「気候変動政策が厳格化されず引き続き化石燃料に依存するシナリオ(化石燃料依存シナリオ)」の2つの気候変動シナリオを設定し、2030年における各事業への影響を分析している。なお、シナリオの設定にあたっては、国際機関や日本政府の開示情報を参照している。
このうち、「脱炭素シナリオ」では、当社グループ共通の移行リスクとして、例えば炭素税等の規制が強化され、炭素排出に対するコストが大きく上昇することを想定している。しかしながら、脱炭素化に対応した当社製品・技術の強みを生かすことで、事業機会も十分に存在するものと考えている。
一方、「化石燃料依存シナリオ」では、主なリスクとして、気候変動による物理的リスクがある。当シナリオにおいても、既に各種環境規制を推進している先進諸国において今後、規制が緩和されることは想定しがたいことから、当社の脱炭素技術の優位性を提供することで事業機会が生じると考えている。
なお、当該分析におけるリスク及び機会の影響度の判定に当たっては、事業規模及び脱炭素化の影響を踏まえて分析対象事業を選定した上で、2023年度の事業利益の計画値と2030年における事業利益の予測の差から事業利益への影響を分析している。その結果、脱炭素シナリオを適用した場合に、各事業に対して2030年断面に発生するリスク及び機会のうち、重要なものは以下のとおりである。
各事業部門においては、移行リスクと物理的リスクを事業計画策定の勘案要素として検討しており、またサステナビリティ委員会では、当該リスクと機会のうち代表的なものに関する検討結果を確認している。
ア.リスク
・世界的な電化への移行に従い、内燃機関に関連する製品・サービスである自動車用ターボチャージャ、エンジン式フォークリフトの需要減少や、カーボンニュートラル燃料への移行に伴いディーゼル燃料エンジンの需要減少が想定される。
・技術関連のリスクとして、水素ガスタービン等の新製品の開発遅れや、CO2回収装置における代替技術の出現が想定される。
・政策等の変更に関するリスクとして、冷媒規制等の環境規制が過度に強化され、規制に対応しない既存の冷熱製品の販売機会が失われる可能性がある。
・外部環境の影響として、化石燃料代替エネルギーとしての水素・アンモニアのサプライチェーン形成の遅れ、それに伴う新市場の立ち上がりの遅れが想定される。
イ.機会
・新興国を含む全世界で脱炭素の流れが進行する中、トランジション期間として、石炭からの燃料転換が見込まれる。国内市場では「長期脱炭素電源オークション」などの政策が追い風となり、石炭火力発電設備においてアンモニアへ燃料を転換する改造工事や、高効率ガスタービンコンバインドサイクルプラント(GTCC)、水素ガスタービンなどに対する需要増が見込まれる。また、エンジンにおいては、ディーゼル燃料から天然ガスへの燃料転換に伴うガスエンジンの需要増や、水素・バイオディーゼルなどのカーボンニュートラル燃料対応機種の需要増が見込まれる。
・カーボンニュートラル実現とエネルギー安定供給の両立に向け、日本国内においても「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、原子力については、「再稼働推進」「次世代革新炉の開発・建設」「既設炉活用(運転期間の延長)」「燃料サイクル推進」を進め、原子力を最大限活用する方針が示された。これを受け、既設PWR・BWRプラントの再稼働支援や特定重大事故等対処施設の設置、再稼働済プラントの保全に関する事業機会の拡大が想定される。また、世界最高水準の安全性を実現する革新軽水炉(SRZ-1200)の新設・建替えプロジェクトなどによる事業機会の拡大が期待される。
・CO2回収事業は法・税制度やCO2貯留地の整備が進む北米や欧州を中心に市場が拡大し、その他の地域でも制度設計や貯留地の整備に従って成長が見込まれる。当社は大型から中小型までの幅広いCO2回収製品のラインアップを有するほか、CO2回収技術とGTCCの両方を有する世界でも数少ないメーカーのひとつであり、多くの顧客ニーズに応えるソリューションを提供することができる。多様な産業分野へのCO2回収技術の適用拡大やサービスメニューの拡充に加え、CO2輸送・CO2貯留・カーボンリサイクルといったCCUSバリューチェーン全体での事業機会の拡大が期待される。
・製鉄機械では、高炉からの切り替えで、電気炉(EAF)や直接還元製鉄設備の需要拡大が見込まれる。
・物流機器では、世界的な電化への移行に伴いバッテリーフォークリフトの需要拡大が見込まれる。また、環境対応型港湾荷役装置(RTG)の需要が見込まれる。
・冷熱製品では、冷媒規制等の環境規制の強化により、低温暖化冷媒を使用した空調機やヒートポンプ式暖房機の販売拡大が期待される。
・水素関連の事業に関しては、水素ガスタービン、水素エンジン、水素還元製鉄設備、燃料電池用電動コンプレッサなど水素利用に関する製品の需要拡大に加えて、水素製造・輸送・貯蔵といった水素バリューチェーン全体での事業機会の拡大が期待される。
加えて、「脱炭素シナリオ」と「化石燃料依存シナリオ」の両シナリオにおいて、自然災害の増加に伴う当社グループ施設の被災による財物損害の増加やパートナー施設の被災によるサプライチェーン寸断等を物理的リスクとして認識している。当社グループでは過去7年間において被災した自然災害のうち約9割が、日本における主に台風・高潮、集中豪雨等の水災によるものである。その対応準備としては、災害により機能不全に陥った場合の代替手段、バックアップ体制を規定した対応要領の定期的な見直し、社員・関係者の訓練等を徹底している。また、甚大災害頻発による保険料高騰や高リスクエリアの保険引受停止等を想定し、2021年度までに国内全工場を対象として実施した「リスクサーベイ」に基づき、被災時の物損リスクを最小化すべく対応を進めている。

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