有価証券報告書-第198期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 16:03
【資料】
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【項目】
159項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
[経営の基本方針]
当社グループは、カワサキグループ・ミッションステートメントにおいて、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションとして掲げ、最先端の技術で新たな価値を創造し、顧客や社会の可能性を切り開く企業グループを目指しています。
また、「選択と集中」「質主量従」「リスクマネジメント」を指針とし、資本コストを上回る利益を安定的に創出するとともに、社会課題に対するソリューションの提供を通じてSDGs達成に貢献すべく、経済的価値・社会的価値の二つの軸で企業価値を高める経営を推進していきます。
[中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題]
当社グループは、2020年11月に、2030年に向けて目指す姿、グループビジョン2030「つぎの社会へ、信頼のこたえを~Trustworthy Solutions for the Future~」を定め、その実現に向けた事業方針を以下のとおり掲げています。
《注力するフィールド》
当社グループは、新型コロナウイルス等のパンデミックの抑制や、地球環境保護のための脱炭素社会の実現、先進国を中心とした人口減少や少子高齢化、労働力不足への対応、自然災害の抑止や早期復旧といった大きな社会課題を見据え、今後注力する以下の3つのフィールドを設定し迅速に取り組んでいくことで、社会からの期待に応えていきます。
「安全安心リモート社会」-新しい働き方・くらし方の提案
医療・ヘルスケア、ものづくり、産業インフラなど様々な分野で、遠隔操作・ロボット技術等を用いて、安全で安心な新しい働き方・くらし方を提案します。
「近未来モビリティ」-人・モノの移動を変革
無人で物資を運ぶヘリコプターや配送ロボットなど、航空機やオフロード四輪車、ロボット技術等を組み合わせ、新しい輸送や移動手段を用いたスマートな社会を提案します。
「エネルギー・環境ソリューション」-脱炭素社会の実現
世界に先駆けて水素サプライチェーン(「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」)を構築するほか、輸送システムの電動化など、地球環境に配慮したカーボンニュートラルな社会の実現に貢献します。
《新事業体制への移行》
2021年4月に船舶海洋事業とエネルギー・環境プラント事業を統合し、社内の将来的な水素関連製品を集約するとともに、コア・コンポーネントを中心としたエンジニアリング事業の推進体制を強化しました。
また、2021年10月にはマーケットの要請に機敏に応える体制を加速するため、車両事業及びモーターサイクル&エンジン事業を分社し自律的事業運営を強化するとともに、当社グループの事業を陸・空輸送システム、モーションコントロール&モータービークル、エネルギーソリューション&マリンの3つのグループに再編成します。新会社を含むグループ一体運営により、技術・ノウハウ・経営資源の共有などのシナジー効果を追求し、当社グループの更なる競争力強化を図っていきます。
《成長シナリオ》
当面は早期に業績回復しているモーションコントロール&モータービークルとエネルギーが収益を支えつつ、遅くとも数年後には新型コロナウイルスの影響が収束し、航空宇宙システム事業が回復し安定的に拡大することで、当社グループの成長を牽引します。更に、将来的には水素をはじめとする新規事業も収益の柱となり、安定した成長軌道を描くことを目指します。成長シナリオの実現のため、モノ売りからコト売りへのシフトなど、ビジネスモデルの見直しや新規事業開発などに取り組み、高収益体質を実現していきます。
こうした成長シナリオの実現に向け、当社は様々な施策を講じています。今後の成長を支える仕組みとして、2020年度には、業務改善や効率化、経営判断に高度なデジタル技術の導入を促進すべくDX推進部、巧妙化するサイバーテロの脅威から事業を防衛するためサイバーセキュリティ総括部を設立しました。2021年度からは、人事制度を刷新し、能力・役割や成果により一層軸足を置いた制度を導入することで、社員の成長や挑戦を促しています。また、社長直轄プロジェクト本部や水素戦略本部を設立し、全社一体となって、自動PCR検査事業や近未来モビリティ事業、水素事業などの早期立上げと事業拡大を目指しています。更にソニーグループ㈱と合弁会社を設立するなど、社外との積極的なオープンイノベーションにも取り組んでいます。なお、以上の取組みの進捗状況につきましては、2021年6月1日に「グループビジョン2030進捗状況説明会」を開催し、公表いたしました。
[経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題]
新型コロナウイルスの拡大収束の見通しは依然として不透明であり、世界経済への影響の長期化が懸念されます。当社グループの事業活動においても、販売機会の減少や商談の延期、物流の混乱等の様々な影響を受け、2020年度の最終損益は大幅な赤字となりました。特に航空宇宙システム事業における航空旅客需要の急減の影響は大きく、今後も航空旅客需要の回復には相当な時間を要するものと想定されます。一方で、精密機械・ロボット事業やモーターサイクル&エンジン事業では中国・欧米市場の回復に伴い、業績は比較的早期に回復しつつあります。
このような状況の下、2021年度は最終損益黒字化の実現が必達の目標であり、その達成に向けて全社的なコスト削減の推進等、収益性の向上に取り組んでいきます。また、経営資源の投入については、案件の厳選に努めつつも、注力する3つのフィールドについては、スピード感をもって積極的な投資を実行するなど、メリハリのある意思決定を行っていきます。資金面に関しても、過剰在庫の回避、資産圧縮などの対応策を進めるとともに、金融市場の混乱等の不測の事態に備え、十分な資金調達を早めに行うなど手元流動性の確保に努めていきます。
[経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等]
経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標を、利益(営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)及び資本効率を測る指標である投下資本利益率(ROIC = EBIT(税引前利益 + 支払利息) ÷ 投下資本(有利子負債 + 自己資本))としています。そして、世界GDP成長率を上回る売上高の成長を目指し成長分野・新規事業への開発投資を継続しつつ、営業利益率は5~8%、ROICは資本コスト+3%以上を確保すべく努めていきます。
これらの経営指標の改善の結果として自己資本利益率(ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 自己資本)の向上も図っていきます。
[セグメントごとの戦略及び課題]
① 航空宇宙システム事業
P-1固定翼哨戒機・C-2輸送機の修理・部品供給を含めた量産の着実な推進及び派生型機への展開、ボーイング既存機及び民間航空エンジンの収益確保のためのコストダウン推進、市況変化を踏まえた技術戦略の見直し
② エネルギー・環境プラント事業
コアハード強化とその組み合わせによる最適システム構築、分散型エネルギー供給システムの提案、CO2フリー社会に貢献するシステムの構築、海外パートナーシップ強化による新興国・資源国を中心とした海外事業の拡大、水素関連プロジェクトの事業化推進
③ 精密機械・ロボット事業
油圧事業は、製造コストの大幅改善・品質向上・将来差別化技術の開発推進、販売面ではアフターサービス分野の拡大、ショベル分野における高シェアの維持とショベル以外の建設機械/農業機械分野向け拡販。ロボット事業においては既存分野のシェアアップと価格競争力の強化、技能伝承システム「Successor」、医療向けロボットなど新マーケットの開拓・拡大に向けた継続的な取り組み
④ 船舶海洋事業
液化水素運搬船建造に向けた基盤整備、ガス関連船建造におけるコスト競争力の強化、中国合弁会社との共同購買など一体運営の更なる深化、次期新型潜水艦の受注に向けた研究開発体制の強化、新製品の事業化
⑤ 車両事業
品質管理の再構築、顧客ニーズに適合した技術・製品による差別化、コスト競争力の強化、海外プロジェクトのリスク管理強化、IoTを活用したメンテナンス事業及び軌道モニタリング事業参入等のストック型ビジネスの拡大、海外生産・海外調達及びパートナーシップの活用などグローバルな最適事業遂行体制の構築
⑥ モーターサイクル&エンジン事業
“Kawasaki”らしい魅力ある強いモデルの継続投入、顧客に訴求する高いブランド価値の実現、先進国市場での更なるプレゼンスの向上、新興国市場におけるコスト競争力の一層の強化、連結ベースのマネジメントの徹底と効率化

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