有価証券報告書-第204期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 15:07
【資料】
PDFをみる
【項目】
148項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は,「グループ経営方針2019」に基づくグループ技術戦略を定め,社会とお客さまの課題解決に関わる技術に重点をおき研究開発に取り組んできました。資源・エネルギー・環境,社会基盤・海洋,産業システム・汎用機械,航空・宇宙・防衛の各セグメントにおける製品の競争力強化,及び今後の事業拡大・創造につながる基礎研究から実用化研究までを,事業領域,本社部門並びに技術開発本部が密接に連携・協力し,推進しています。加えて,国内外の大学や研究機関との産学官連携による共同研究にも積極的に取り組んでいます。
また,2020年11月に公表しました「プロジェクトChange」において,成長事業を「カーボンソリューション」,「保全・防災・減災」,「航空輸送システム」の3つに再定義し,2021年4月には,グループ全体の戦略技術を統括し,これらの成長事業の創出に中心的な役割を担う社長直轄組織「戦略技術統括本部」を設立しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は268億円です。
各セグメント別の主な研究開発の成果及び研究開発費は次のとおりです。
(1)資源・エネルギー・環境
資源・エネルギー・環境事業領域と技術開発本部では,エネルギー関係,カーボンソリューションに係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,健全な地球環境の維持を実現する「脱CO₂・循環型社会」に向け,各種の技術開発を進めています。当連結会計年度の主な成果は,世界初,2,000kW級ガスタービンでの液体アンモニアの70%混焼の成功,北九州響灘における複数の再エネを同時制御する水電解活用型エネルギーマネジメントシステムの開発,カーボンリサイクル技術による脱CO₂・炭素循環型社会の実現への取り組みが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は37億円です。
(2)社会基盤・海洋
社会基盤・海洋事業領域と技術開発本部では,橋梁・水門等に係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,社会インフラの保全や維持管理を最適かつ効率的に実現する技術開発を進めています。また,保全・防災・減災についての取り組みを開始しています。
当セグメントに係る研究開発費は7億円です。
(3)産業システム・汎用機械
産業システム・汎用機械事業領域と技術開発本部では,車両過給機,運搬機械,物流・産業機械システム,パーキング,オゾン関連等に係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,環境にやさしく,経済的な産業機械による豊かな生活の実現のため,また,私たちの生活や企業活動を安心安全なものにするために研究開発を進めています。当連結会計年度の主な成果として,高効率ターボチャージャーの開発,物流向けピッキングシステムの開発,機械式駐車装置のタッチレス入出庫,AI・3D センサによる快適な駐車の実現などが挙げられます。また,新型コロナウイルス対策ニーズに合わせて,陰圧隔離室(簡易陰圧テント)の開発,ファインバブル技術によるオゾンガス処理除菌水を開発しました。
当セグメントに係る研究開発費は74億円です。
(4)航空・宇宙・防衛
航空・宇宙・防衛事業領域と技術開発本部では,航空エンジン,ロケットシステム・宇宙利用等に係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,航空安全の実現と環境負荷の低減を最も大きな解決すべき課題と据え,その上で,新たなフロンティアである宇宙活用を実現する研究開発を進めています。当連結会計年度の主な成果として,ジェットエンジンの高効率化・低コスト化のための高性能材料の研究開発,トピックスとして,世界初,航空機用100kW級高出力パワーエレクトロニクスの空冷化の成功が挙げられます。また,火星衛星探査計画(MMX)探査機用推進装置開発の取り組みを進めています。
当セグメントに係る研究開発費は71億円です。
(5)その他
本社部門と技術開発本部等では,各セグメントの将来を担う新技術・新事業分野及び中長期的な研究開発を担当し,同時に,共通基盤技術に係る研究開発を行なっています。また,当連結会計年度には,福島県相馬市に再生可能エネルギー利用の水素研究棟「そうまラボ」を開所し,CO₂フリー水素を活用した研究を推進しています。また,お客さまとの新たな事業アイデアの共創によるイノベーション活動を推進しています。
当セグメントに係る研究開発費は77億円です。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。