有価証券報告書-第203期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 15:19
【資料】
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【項目】
190項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は,「グループ経営方針2019」に基づくグループ技術戦略を定め,社会とお客さまの課題解決に関わる技術に重点をおき研究開発に取り組んでいます。資源・エネルギー・環境,社会基盤・海洋,産業システム・汎用機械,航空・宇宙・防衛の各セグメントにおける製品の競争力強化,及び今後の事業拡大・創造につながる基礎研究から実用化研究までを,事業領域,本社部門並びに技術開発本部が密接に連携・協力し,推進しています。また,国内外の大学や研究機関との産学官連携による共同研究にも積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は381億円です。
各セグメント別の主な研究開発の成果及び研究開発費は次のとおりです。
(1)資源・エネルギー・環境
資源・エネルギー・環境事業領域と技術開発本部では,ボイラ,原動機等に係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,健全な地球環境の維持を実現する「脱CO2・循環型社会」に向け,再生可能エネルギーを創り・活用する技術の開発を進めてきました。当連結会計年度の主な成果は,国内初の木質バイオマス専焼微粉炭焚ボイラの製品化,高効率でCO2を分離・回収しメタン化する技術の実現が挙げられます。また,ICTを活用しライフサイクルビジネスの拡大に向けた取り組みを進めました。
当セグメントに係る研究開発費は55億円です。
(2)社会基盤・海洋
社会基盤・海洋事業領域と技術開発本部では,橋梁・水門等に係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,社会インフラの保全や維持管理を最適かつ効率的に実現する技術開発を進めています。当連結会計年度の主な成果として,安全性向上・工期短縮を可能とする技術・製品の実用化が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は10億円です。
(3)産業システム・汎用機械
産業システム・汎用機械事業領域と技術開発本部では,車両過給機,運搬機械,パーキング等に係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,私たちの生活や企業活動を安全安心なものにするために,人の手を介さずに製品・サービスがその機能を果たしていく「機械装置の知能化」を中心に据えた研究開発を進めています。当連結会計年度の主な成果として,深層学習を活用したピッキングロボット,3D計測技術を活用した連続アンローダ自動運転の実現,GPSが届かない閉鎖空間における自動運転の安全性向上技術の確立が挙げられます。また,長年開発を進めているオゾン機器では,新型コロナウイルス感染症に対しても効果のある小型自動洗浄消毒機を開発しました。
当セグメントに係る研究開発費は86億円です。
(4)航空・宇宙・防衛
航空・宇宙・防衛事業領域と技術開発本部では,航空エンジン,ロケットシステム・宇宙利用等に係る研究開発を行なっています。
当セグメントでは,航空安全の実現と環境負荷の低減を最も大きな解決すべき課題と据え,その上で,新たなフロンティアである宇宙活用を実現する研究開発を進めています。当連結会計年度の主な成果として,CO2排出量削減に向けて航空機全体のエネルギーマネジメント最適化を目指す航空機・エンジン電動化システムの研究推進,世界初となるジェットエンジン内蔵型電動機の開発が挙げられます。さらに,製造プライムメーカーとして開発・製造に携わるイプシロンロケットの国際競争力を強化しH3ロケットへ展開する取り組みを進めています。
当セグメントに係る研究開発費は101億円です。
(5)その他
本社部門と技術開発本部等では,各セグメントの将来を担う新技術・新事業分野及び中長期的な研究開発を担当し,同時に,共通基盤技術に係る研究開発を行なっています。また,当連結会計年度には,横浜事業所内に「IHIグループ横浜ラボ」を開所し,研究開発リソースを集中させ,お客さまとの交流やオープンイノベーションの環境を整え,お客さまの課題解決や新事業創出のための迅速かつ効率的な技術の実用化にも取り組んでいます。
当連結会計年度におけるその他の主な成果として,AI技術適用と人材育成を目的とした横浜国立大学との「AI技術に関する共同研究講座」の開設,当社のIoTプラットフォームであるILIPSの高度化,アンモニア・天然ガス混焼ガスタービン実証が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は127億円です。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。