有価証券報告書-第198期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 14:53
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【項目】
143項目

対処すべき課題

今後の日本経済は,緩やかな回復基調を続けていくとみられます。雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで,個人消費は引き続き底堅く推移し,また,設備投資は,企業収益が改善傾向をたどる中で,緩やかな増加基調を続けると予想されます。
また,世界経済は,米国経済の堅調さに支えられ,全体として緩やかな回復が続くものと予想されます。ただし,米国の政策金利引上げに向けた動きの影響,欧州,中国やその他新興国経済の先行き,原油価格下落の影響,地政学的リスク等,日本経済及び世界経済を下押しするリスクに留意する必要があります。
このように,事業のグローバル化に伴い,当社グループを取り巻く経営環境はますます複雑化しており,多様化するリスクに対し,管理を徹底しスピーディーに対応することを経営の基本として取り組んでいます。
「グループ経営方針2013」のもと,成長を期待するSBUを中心に成長戦略を展開してきた結果,連結受注高は着実に拡大しており,同方針で掲げている長期経営目標達成の実現性は高まっております。一方で,シンガポール向け海洋構造物工事の採算悪化,ブラジルの出資先企業の経営不安,大型橋梁建設工事現場での事故といった事業リスクが顕在化しました。「グループ経営方針2013」の最終年度である平成27年度は,これらの影響の極小化に最大限努めるとともに,経営目標を達成し,成長を確実に実現するため,全社一丸となって次の諸施策を展開してまいります。
(1)グループ共通機能と事業部門の協働による成果の創出
グローバル市場での競争に勝ち抜くために,グループ共通機能を担う3統括本部と4つの事業領域との連携をさらに強化することで,お客さまにとって魅力ある新しい価値を創出する提案を行ない,確実に成果につなげていきます。特に,製品・サービスの組み合わせ(システム化)によってお客さまのニーズにお応えしていく事業において,3統括本部との協働を加速してまいります。
(2)お客さまの価値向上につながる受注の安定的確保
成長を加速するためには,当社グループの全員が「お客さま志向」の精神をもって,お客さまの価値向上につながる活動を展開し,安定した受注を確保する必要があります。また,最終利益を実現させるため,見積精度の向上にも取り組むとともに,大型案件については,早期に具体的な受注方針を立てて,確実な受注に結び付けてまいります。特に,グローバル市場での受注活動においては,地域に根差した市場情報が不可欠であるため,マーケティング機能を一層強化し,お客さま・パートナー・その他の関係先とのネットワークを構築し,それぞれの市場ニーズに合った製品・サービスを提供して事業拡大を図ります。
(3)ビジネスモデルの変革による高収益構造への改革の実現
「グループ経営方針2013」に掲げた「成長」とは,事業規模の拡大による利益の拡大を目指すことであり,その実現のためには,市場における競争優位性の確保が不可欠です。継続的なコストダウン活動による競争力強化,大型プロジェクトの収益管理の徹底に加えて,バリューチェーン分析に基づいた高収益構造への変革を加速してまいります。また,現行の事業の枠組みに捉われることなく,グループ共通機能を活用した製品・サービスの差別化を図ります。さらに,M&Aや他社との提携などに積極的に取り組み,オープンイノベーションを推進して,ビジネスモデルの変革に取り組みます。
なお,大型プロジェクトの受注及び遂行にあたっては,下振れ事象のフィードバック等による再発防止,カントリーリスクの事前確認の綿密な実施,案件ごとのPDCAサイクルで得た知見の水平展開等により,管理体制の高度化に向けて取り組んでいます。
(4)経営資源配分の実行による成長の実現
事業の集中と選択等により創出した経営資源を,成長・注力事業及び主力事業に対して重点的に配分することで,成長を加速してまいります。また,「グループ本社業務改革」を進め,本社業務の戦略機能の更なる強化と拡充を行なっていきます。そして,成長に向けた投資を継続するために,ROICを用いた業績管理,CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を指標としたキャッシュ・フロー改善活動の実施,D/Eレシオの改善といった,資本効率向上に向けた取組みの定着を図ります。
(5)価値を生み出す業務プロセスの改革
上述の施策と一体で業務改善活動(I-Project)に取り組みます。I-Projectは,業務プロセスの改善のために設定した課題に対し,PDCAサイクルを着実に回すことで,業務の品質,生産性の向上を実現させる活動です。この活動に基づく諸施策を展開していくことで,「グループ経営方針2013」に掲げる「成長」を実現します。
また,本年6月1日に導入されたコーポレートガバナンス・コードに積極的に対応していくこととし,現在,鋭意準備を進めております。
当社グループは,コーポレート・ガバナンスの不断の改善を進め,上記の諸施策を通じて,企業価値の向上を目指すとともに,コーポレート・メッセージである「Realize your dreams」のとおり,お客さまや世界中の人びとの夢を実現する企業グループへと進化を続け,ステークホルダーの皆さまのご期待に応えてまいります。