訂正有価証券報告書-第199期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/11/04 14:18
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

事業規模の拡大による利益の成長を目指す「グループ経営方針2013」の最終年度である平成27年度は,当初の利益目標に対して,ボイラ工事における溶接不適合に対応するための費用の増加や,F-LNG・海洋構造物事業での採算悪化及びトルコ イズミット湾横断橋建設工事における工程キャッチアップ費用の増加等の影響によって,大幅な未達となりました。
ボイラの溶接不適合に対しては,「全社重要品質不適合対策会議」を設置し,全社的な特別点検を行なうとともに,品質管理体制の強化などの再発防止策を検討,実施しております。F-LNG・海洋構造物事業及びトルコ イズミット湾横断橋建設工事については,安全かつ早期の工事完成を目指すとともに,プロジェクト遂行体制の強化に向けて,全社的な取り組みを最優先で推し進めています。加えて,集中と選択の加速による事業運営リソースの確保やリスク マネジメント システムの再構築などに取り組んでいきます。
ブラジル経済の減速等により,経営状態が悪化していたEASへの出資については,当社の連結子会社であるJEIが保有するEAS出資持分の全てを,EASの株主であるCamargo Corrêa グループ及びQueiroz Galvão グループへ譲渡することで合意し,平成28年4月に譲渡を実行しました。
平成28年5月19日に,当社の連結子会社である㈱IHIインフラシステムが施工しております「新名神高速道路 余野川橋工事他1橋(鋼上部工)工事」において,架設作業中の仮受設備(ベント)が,転倒する事故が発生しました。現在,関係者と協議を行ないながら,事故の原因究明及び再発防止への取り組みを進めています。
平成27年度に顕在化した課題に対する反省を踏まえ,「収益基盤の強化」を掲げた「グループ経営方針2016」の初年度である平成28年度については,ステークホルダーからの「信頼回復」をテーマに,次の諸施策を実施していきます。
①ものづくり力強化を目指した品質システム,業務システムの改革
本年4月に設置した「ものづくりシステム戦略本部」を核に,品質保証システムの再構築に取り組むとともに,設計・生産システムを含むエンジニアリング プロセスの改革,職場における業務プロセス改善による業務の効率化に取り組み,品質を含むものづくり力の強化と品質不適合の再発防止策の徹底を図ります。
②プロジェクト遂行体制の運用徹底による工事利益の確保
工事利益の確保に向けて,新分野の工事のみならず初号機要素の洗い出しを徹底し,審査を確実に実施していきます。また,見積精度の向上やモニタリング体制を継続的に強化していくとともに,プロジェクト進行状況の見える化と各ステージにおいて有識者によるレビューを実施していくことにより,工事採算の下振れ防止を徹底していきます。
③事業戦略の確実な実行による収益の確保
「グループ経営方針2016」に基づき,新たなポートフォリオマネジメントを導入し,事業戦略の方向性と定量目標を組み合わせたSBU別の「ミッション」の達成に向け,各種施策を確実に実行して収益を確保していきます。また,ROIC経営を徹底し,キャッシュ・フロー創出力を高めるとともにM&Aや他社との提携など外部リソースも活用し,構造改革を確実に推進していきます。
④お客さま価値創造に向けた取り組みによるビジネスモデル変革
お客さま価値の創造に向けた取り組みを徹底することにより,受注を確保していきます。また,グループ共通機能(「ソリューション」,「高度情報マネジメント」,「グローバルビジネス」)を積極的に活用し,競争優位性のあるビジネスモデルの創造と横展開を早期に実現していきます。
当社は,具体的な数値目標として,「グループ経営方針2016」の最終年度である平成30年度に,連結営業利益率7%,投下資本利益率(ROIC)10%,D/Eレシオ0.7倍以下の達成を掲げています。
製品・サービスの高度化による社会の発展への貢献を通じて収益性を高め,資本市場から求められる資本効率や株主還元を実現し,持続的な企業価値の創造を図ることにより,信頼される企業グループを目指していく所存です。