四半期報告書-第118期第3四半期(平成28年10月1日-平成28年12月31日)
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当企業集団が判断したところによるものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、中国を始めとするアジア新興国や資源国の景気減速に加えて、英国のEU離脱決定、米国大統領交代による影響等の不安要素が多く、先行き不透明感が増しております。
日本造船工業会によりますと、平成28年1月から9月までの世界新造船竣工量は5,308万総トン(前年同期比2.8%減)、新造船受注量は1,512万総トン(前年同期比74.8%減)となりました。日本船舶輸出組合が発表した2016年(暦年)のわが国輸出船契約(受注)実績は372万総トン(前年比83%減)と、過去20年間で最低水準に落ち込んでおります。新造船市場はあらゆる船型で記録的な低迷が続いており、日本の一部大手総合重工では船舶・海洋事業の抜本的な見直しを検討中と報道されておりますが、韓国においても、中手造船所で手持工事量が枯渇し、大手造船所も大規模な人員整理や事業売却などに着手しており、中国の造船所でも手持工事量の激減による業界再編・淘汰の波が一段と強まっていると報じられています。
当第3四半期連結累計期間の業績は、為替相場の急激な変動や船主要望による納期調整等契約条件の変更もあって、売上高は103,841百万円(前年同期比7.3%減)となりました。損益面では、中核である新造船事業において、低船価船の売上が中心であったことや納期調整による売上高の減少に加えて、厳しい受注環境の中で中長期的な戦略をもとに積極的に受注した新規開発船などを対象に工事損失引当金を前連結会計年度末から更に2,014百万円を積み増したこともあって、営業損失は2,489百万円(前年同期は6,502百万円の営業利益)、経常損失は2,401百万円(前年同期は6,918百万円の経常利益)となりました。当第3四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純損失は1,162百万円(前年同期は10,027百万円の純利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3,645百万円(前年同期は6,612百万円の純利益)となりました。
主力の新造船事業は、売上の対象となる隻数・船型・船価は四半期毎に異なります。また、資機材価格や為替などの大きな変動要因があり、それに伴って採算も変動いたします。工事損失引当金額につきましても、受注残全船を対象にした四半期毎の洗い替えによる増減に加え、新規受注に伴う新たな計上もあり得ます。これらの事情もあって第3四半期業績と年度業績とは必ずしも連動いたしません。
なお、当第3四半期連結会計期間末の工事損失引当金につきましては、当第3四半期連結会計期間において新造船の新規受注に伴う積み増しがあったものの、為替の円高是正等の影響により既受注の引当対象船の採算見通しが改善し、第2四半期連結会計期間末の10,169百万円から5,272百万円に大幅減少しております。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① 新造船事業
当第3四半期連結累計期間におきましては、中型油送船3隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船9隻の合計18隻を完工し、当第3四半期連結累計期間の売上高は77,701百万円(前年同期比9.0%減)となり、2,899百万円の営業損失(前年同期は5,650百万円の営業利益)となりました。
非常に厳しい受注環境下で、超大型油送船(VLCC)1隻、大型撒積運搬船1隻、中型油送船3隻の合計5隻を受注しましたが、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は289,710百万円(前年同期比20.6%減)となりました。
今後も受注環境は厳しい状況が続くものと予想されますが、市場の変化に適時的確に対応し厳しい生存競争を勝ち残っていくためにも、撒積運搬船、油送船、LPG運搬船など複数の船型を受注・建造するプロダクトミックス体制を一層強化し、顧客ニーズに対応した性能・コストの両面で競争力ある新船型の開発により、原則として約3年分の手持工事量確保に努めてまいります。
当第3四半期連結累計期間における売上計上の米ドル額は703百万米ドルで、その平均レートは1米ドル当たり105円77銭であります。
② 修繕船事業
佐世保重工業株式会社および函館どつく株式会社が中核を担う修繕船事業におきましては、主力である艦艇工事および一般商船の修繕工事に積極的に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間においては、佐世保重工業株式会社において艦艇工事が順調に推移したものの、函館どつく株式会社においては艦艇の大型修繕工事が次年度にまたがるために減収減益となり、売上高は12,935百万円(前年同期比1.4%増)、損益面につきましては820百万円の営業利益(前年同期比32.7%減)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は5,151百万円(前年同期比1.4%増)であります。
③ 機械事業
佐世保重工業株式会社およびオリイメック株式会社が担う機械事業につきましては、船舶用機器および産業機械等の分野で受注および売上の拡大に努めております。当第3四半期連結累計期間の売上高は産業機械分野において新興国経済減速による海外販売の不振もあって、7,792百万円(前年同期比11.8%減)となりましたが、損益面につきましてはコスト削減の効果もあり、553百万円の営業利益(前年同期比11.5%増)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は4,862百万円(前年同期比17.6%減)であります。
④ 鉄構陸機事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は1,949百万円(前年同期比96.0%増)となり、損益面につきましては19百万円の営業利益(前年同期は56百万円の営業損失)となりました。鉄構陸機事業を取り巻く環境は引き続き厳しいものがありますが、公共橋梁工事における総合評価落札方式への対応力強化の成果は徐々に現れつつあり、今後も継続的に取り組んでいくことで確実に利益を確保できる体質の確立を目指してまいります。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は5,452百万円(前年同期比0.2%増)であります。
⑤ その他事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は3,464百万円(前年同期比14.3%減)となり、損益面につきましては485百万円の営業利益(前年同期比16.6%減)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は475百万円(前年同期比38.9%減)であります。
(2) 財政状態の分析
① 重要な会計方針及び見積り
当企業集団の四半期連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し、従来から保守的、かつ透明性の高い会計方針を堅持し作成しております。四半期連結財務諸表の作成にあたっては、四半期連結会計期間末における資産・負債において、合理的と考えられる方法及び過去の実績等も考慮して見積りを実施し引当金等の計上を行っているものでありますが、その見積りが実際の結果と異なる場合もあります。
② 財政状態の分析
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前受金の減少に伴い現金及び預金が減少したこと等により、前連結会計年度末比7,656百万円減少し、152,374百万円となりました。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、主に保有する投資有価証券の株価が増加したこと等により、前連結会計年度末比1,215百万円増加し、55,290百万円となりました。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、主に工事損失引当金が増加したこと等により、前連結会計年度末比386百万円増加し、85,784百万円となりました。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、主に長期借入金が減少したことにより、前連結会計年度末比1,273百万円減少し、17,651百万円となりました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、主に利益剰余金が減少したことにより、前連結会計年度末比5,554百万円減少し、104,229百万円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当企業集団の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 会社の財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。
この観点から当社の企業価値・株主共同の利益に資さない当社株式等の大量取得を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量取得に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 会社財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
(企業価値の源泉)
当社は、1911年(明治44年)の創業以来今日まで、「存在感」を経営理念として、船舶の製造を基軸とした事業活動を営んでおり、顧客のニーズに応えた高品質の船舶を長年にわたり安定的に製造・供給することを基軸とする経営を続けることにより顧客の信頼を獲得し、全社一丸となって企業価値の向上に努めてまいりました。
当社の企業価値の源泉は、具体的には以下の点にあると考えております。
第一に、わが国の三大船社をはじめとする国内外の顧客との長期的視野に立った緊密な相互信頼関係にあります。
第二に、高品質の製品を安定的に供給するためには、わが国の大手製鉄会社をはじめとする舶用資機材供給者との信頼関係に基づく中・長期的かつ安定的な取引関係が重要です。
第三に、顧客ニーズを的確に捉えた高品質な製品を開発・受注・製造するための、開発力・技術力および生産管理ノウハウです。
第四に、地域社会との良好な相互関係が重要です。
以上のように、当社は、顧客、舶用資機材供給者などの取引先、従業員も含めたステークホルダーを対象として包含する「顧客信頼度」というキーワードを掲げて経営を続けております。
(企業価値向上のための取組み)
当企業集団は事業環境の変化に確実に対応し、持続的な成長・発展を実現すべく平成26年度から平成28年度までの3ヶ年間の新中期経営計画「勝負のとき」を策定し、コスト削減と研究開発力の強化を中心とした事業収益力の向上と成長戦略の両立を目指しております。当企業集団といたしましては、新造船事業の生産性向上とコスト削減による収益力の向上を図るとともに、新商品開発や顧客ニーズを反映した競争力ある商品の開発を加速させつつ常時3年分の手持工事量の確保に努め、熾烈さを増す国際的な生存競争での勝ち残りを図ってまいります。また、修繕船事業、機械事業、鉄構陸機事業、その他事業につきましても、急速かつ多様な環境変化への対応力を強化することで事業基盤を強化し、各事業における強みを活かし、かつ、弱みを克服し、安定した収益の確保に努めてまいります。成長戦略については、企業の成長の礎となる内部体質の強化を加速するとともに、他社との戦略的事業提携や次なる海外進出なども積極的に検討を進めてまいります。
(コーポレート・ガバナンスの強化)
当社は法令遵守が企業の基本的かつ最低限の社会的責務であるとの考え方に立っており、適法・適正かつ透明性の高い経営を保つことにより株主、取引先および社会の信頼を得ることが企業の発展と企業価値の向上に繋がるものと確信しております。
このような考えの下、当社では豊かな社会創りに貢献するとともに、コンプライアンスの推進・実行を図るため、すべての役員・従業員が遵守すべき企業行動の基本原則および行動指針として「株式会社名村造船所 行動憲章および行動指針」を定め、さらなる企業倫理の確立と社会責任の遂行に努めております。
また、コンプライアンスとそのリスク管理、財務報告の適正性等の促進に関しては、内部統制委員会と内部監査室を中心に、内部統制システムの評価およびその維持・改善を行っております。
当社の経営上の意思決定、業務執行および監督に係わる経営管理組織体制等の状況は次の通りであります。
取締役会は、原則として毎月1回、監査役出席の下、重要な業務執行について、適法性、妥当性、効率性、戦略性、社会性および適正性等について十分に審議を尽くした後に決するとともに、取締役の職務執行を監督しております。
また、執行役員制度を採用して、経営に関する意思決定と業務の執行およびこれらに対する監視の各機能の充実・強化を図り、審議の充実と業務執行の迅速化・効率化を通じて、企業価値の最大化を目指しております。
さらに執行役員会を原則として月1回執り行い、経営に関する重要業務の執行に関する審議を尽くしております。
企業グループの経営状況の監督については、担当の取締役または執行役員が往査するほか、各社の経営状況を3ヶ月に1回執行役員会の場で担当の取締役または執行役員より、また、6ヶ月に1回開催される部長・関係会社報告会の場でグループ各社の代表者より報告せしめ、実態の把握と的確な経営管理および業務執行を監督・指導しております。
監査役の業務監査および会計監査については、常勤監査役が執行役員会、部長会等の重要な会議に出席して必要に応じて意見を述べ、稟議書などの決裁手続についても審議段階から意見を述べることができることとし、監査機能の強化を図っております。なお、会計監査人から監査結果の報告を受けるほか、定期的・臨時的な情報・意思の交換を行うなど、監査役・会計監査人間で緊密な連携をとっております。また、監査役2名が非常勤の社外監査役であり、社外監査役と当社の間に取引関係その他利害関係はありません。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定を支配されることを防止するための取組みとして、当社株式等の大量取得が行われる場合に、株主の皆様が適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買収者との交渉の機会を確保すること等を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益に反する買収を抑止し、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とし、当社株式等の20%以上を取得しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求める等、上記の目的を実現するために必要な手続きを定めております。
なお、対応方針の詳細については、平成26年5月9日付「当社株式等の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」をご参照ください。
(当社ホームページ:http://www.namura.co.jp/)
④ 上記取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
(基本方針の実現に資する特別な取組みについて)
企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。
従って、これらの各施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みについて)
・当該取組みが基本方針に沿うものであること
当該取組みは、当社株式等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。
・当該取組みが当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
当社は、以下の理由により、当該取り組みは、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(a)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
(b)株主意思を重視するものであること
(c)独立委員会による判断の重視と情報開示
(d)合理的な客観的要件の設定
(e)第三者専門家の意見の取得
(f)デッドハンド型・スローハンド型の買収防衛策ではないこと
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発活動は、顧客ニーズに対応すべく新船型や新機種の開発、既存製品の品質向上、生産性向上などを中心に取り組み、研究開発費の総額は542百万円となりました。
研究開発活動をセグメント別に示すと、主なものは次のとおりであります。
① 新造船事業
環境に配慮した省燃費船型の研究や既存製品の品質向上、船型開発を中心とした開発等を外部研究機関とも連携し取り組み成果をあげつつあります。研究開発費の総額は281百万円であります。
② 機械事業
プレス用自動化装置、精密ばね成形機等において顧客ニーズに対応した新商品を開発、市場に投入し成果をあげつつあります。研究開発費の総額は218百万円であります。
③ 修繕船事業および鉄構陸機事業ならびにその他事業
修繕技術の向上や取扱商品の拡大をねらい新たな製品等の研究開発、既存製品の品質向上を目的とした開発等を行い成果をあげつつあります。研究開発費の総額は43百万円であります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、中国を始めとするアジア新興国や資源国の景気減速に加えて、英国のEU離脱決定、米国大統領交代による影響等の不安要素が多く、先行き不透明感が増しております。
日本造船工業会によりますと、平成28年1月から9月までの世界新造船竣工量は5,308万総トン(前年同期比2.8%減)、新造船受注量は1,512万総トン(前年同期比74.8%減)となりました。日本船舶輸出組合が発表した2016年(暦年)のわが国輸出船契約(受注)実績は372万総トン(前年比83%減)と、過去20年間で最低水準に落ち込んでおります。新造船市場はあらゆる船型で記録的な低迷が続いており、日本の一部大手総合重工では船舶・海洋事業の抜本的な見直しを検討中と報道されておりますが、韓国においても、中手造船所で手持工事量が枯渇し、大手造船所も大規模な人員整理や事業売却などに着手しており、中国の造船所でも手持工事量の激減による業界再編・淘汰の波が一段と強まっていると報じられています。
当第3四半期連結累計期間の業績は、為替相場の急激な変動や船主要望による納期調整等契約条件の変更もあって、売上高は103,841百万円(前年同期比7.3%減)となりました。損益面では、中核である新造船事業において、低船価船の売上が中心であったことや納期調整による売上高の減少に加えて、厳しい受注環境の中で中長期的な戦略をもとに積極的に受注した新規開発船などを対象に工事損失引当金を前連結会計年度末から更に2,014百万円を積み増したこともあって、営業損失は2,489百万円(前年同期は6,502百万円の営業利益)、経常損失は2,401百万円(前年同期は6,918百万円の経常利益)となりました。当第3四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純損失は1,162百万円(前年同期は10,027百万円の純利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3,645百万円(前年同期は6,612百万円の純利益)となりました。
主力の新造船事業は、売上の対象となる隻数・船型・船価は四半期毎に異なります。また、資機材価格や為替などの大きな変動要因があり、それに伴って採算も変動いたします。工事損失引当金額につきましても、受注残全船を対象にした四半期毎の洗い替えによる増減に加え、新規受注に伴う新たな計上もあり得ます。これらの事情もあって第3四半期業績と年度業績とは必ずしも連動いたしません。
なお、当第3四半期連結会計期間末の工事損失引当金につきましては、当第3四半期連結会計期間において新造船の新規受注に伴う積み増しがあったものの、為替の円高是正等の影響により既受注の引当対象船の採算見通しが改善し、第2四半期連結会計期間末の10,169百万円から5,272百万円に大幅減少しております。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① 新造船事業
当第3四半期連結累計期間におきましては、中型油送船3隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船9隻の合計18隻を完工し、当第3四半期連結累計期間の売上高は77,701百万円(前年同期比9.0%減)となり、2,899百万円の営業損失(前年同期は5,650百万円の営業利益)となりました。
非常に厳しい受注環境下で、超大型油送船(VLCC)1隻、大型撒積運搬船1隻、中型油送船3隻の合計5隻を受注しましたが、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は289,710百万円(前年同期比20.6%減)となりました。
今後も受注環境は厳しい状況が続くものと予想されますが、市場の変化に適時的確に対応し厳しい生存競争を勝ち残っていくためにも、撒積運搬船、油送船、LPG運搬船など複数の船型を受注・建造するプロダクトミックス体制を一層強化し、顧客ニーズに対応した性能・コストの両面で競争力ある新船型の開発により、原則として約3年分の手持工事量確保に努めてまいります。
当第3四半期連結累計期間における売上計上の米ドル額は703百万米ドルで、その平均レートは1米ドル当たり105円77銭であります。
② 修繕船事業
佐世保重工業株式会社および函館どつく株式会社が中核を担う修繕船事業におきましては、主力である艦艇工事および一般商船の修繕工事に積極的に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間においては、佐世保重工業株式会社において艦艇工事が順調に推移したものの、函館どつく株式会社においては艦艇の大型修繕工事が次年度にまたがるために減収減益となり、売上高は12,935百万円(前年同期比1.4%増)、損益面につきましては820百万円の営業利益(前年同期比32.7%減)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は5,151百万円(前年同期比1.4%増)であります。
③ 機械事業
佐世保重工業株式会社およびオリイメック株式会社が担う機械事業につきましては、船舶用機器および産業機械等の分野で受注および売上の拡大に努めております。当第3四半期連結累計期間の売上高は産業機械分野において新興国経済減速による海外販売の不振もあって、7,792百万円(前年同期比11.8%減)となりましたが、損益面につきましてはコスト削減の効果もあり、553百万円の営業利益(前年同期比11.5%増)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は4,862百万円(前年同期比17.6%減)であります。
④ 鉄構陸機事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は1,949百万円(前年同期比96.0%増)となり、損益面につきましては19百万円の営業利益(前年同期は56百万円の営業損失)となりました。鉄構陸機事業を取り巻く環境は引き続き厳しいものがありますが、公共橋梁工事における総合評価落札方式への対応力強化の成果は徐々に現れつつあり、今後も継続的に取り組んでいくことで確実に利益を確保できる体質の確立を目指してまいります。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は5,452百万円(前年同期比0.2%増)であります。
⑤ その他事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は3,464百万円(前年同期比14.3%減)となり、損益面につきましては485百万円の営業利益(前年同期比16.6%減)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は475百万円(前年同期比38.9%減)であります。
(2) 財政状態の分析
① 重要な会計方針及び見積り
当企業集団の四半期連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し、従来から保守的、かつ透明性の高い会計方針を堅持し作成しております。四半期連結財務諸表の作成にあたっては、四半期連結会計期間末における資産・負債において、合理的と考えられる方法及び過去の実績等も考慮して見積りを実施し引当金等の計上を行っているものでありますが、その見積りが実際の結果と異なる場合もあります。
② 財政状態の分析
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前受金の減少に伴い現金及び預金が減少したこと等により、前連結会計年度末比7,656百万円減少し、152,374百万円となりました。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、主に保有する投資有価証券の株価が増加したこと等により、前連結会計年度末比1,215百万円増加し、55,290百万円となりました。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、主に工事損失引当金が増加したこと等により、前連結会計年度末比386百万円増加し、85,784百万円となりました。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、主に長期借入金が減少したことにより、前連結会計年度末比1,273百万円減少し、17,651百万円となりました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、主に利益剰余金が減少したことにより、前連結会計年度末比5,554百万円減少し、104,229百万円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当企業集団の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 会社の財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。
この観点から当社の企業価値・株主共同の利益に資さない当社株式等の大量取得を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量取得に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 会社財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
(企業価値の源泉)
当社は、1911年(明治44年)の創業以来今日まで、「存在感」を経営理念として、船舶の製造を基軸とした事業活動を営んでおり、顧客のニーズに応えた高品質の船舶を長年にわたり安定的に製造・供給することを基軸とする経営を続けることにより顧客の信頼を獲得し、全社一丸となって企業価値の向上に努めてまいりました。
当社の企業価値の源泉は、具体的には以下の点にあると考えております。
第一に、わが国の三大船社をはじめとする国内外の顧客との長期的視野に立った緊密な相互信頼関係にあります。
第二に、高品質の製品を安定的に供給するためには、わが国の大手製鉄会社をはじめとする舶用資機材供給者との信頼関係に基づく中・長期的かつ安定的な取引関係が重要です。
第三に、顧客ニーズを的確に捉えた高品質な製品を開発・受注・製造するための、開発力・技術力および生産管理ノウハウです。
第四に、地域社会との良好な相互関係が重要です。
以上のように、当社は、顧客、舶用資機材供給者などの取引先、従業員も含めたステークホルダーを対象として包含する「顧客信頼度」というキーワードを掲げて経営を続けております。
(企業価値向上のための取組み)
当企業集団は事業環境の変化に確実に対応し、持続的な成長・発展を実現すべく平成26年度から平成28年度までの3ヶ年間の新中期経営計画「勝負のとき」を策定し、コスト削減と研究開発力の強化を中心とした事業収益力の向上と成長戦略の両立を目指しております。当企業集団といたしましては、新造船事業の生産性向上とコスト削減による収益力の向上を図るとともに、新商品開発や顧客ニーズを反映した競争力ある商品の開発を加速させつつ常時3年分の手持工事量の確保に努め、熾烈さを増す国際的な生存競争での勝ち残りを図ってまいります。また、修繕船事業、機械事業、鉄構陸機事業、その他事業につきましても、急速かつ多様な環境変化への対応力を強化することで事業基盤を強化し、各事業における強みを活かし、かつ、弱みを克服し、安定した収益の確保に努めてまいります。成長戦略については、企業の成長の礎となる内部体質の強化を加速するとともに、他社との戦略的事業提携や次なる海外進出なども積極的に検討を進めてまいります。
(コーポレート・ガバナンスの強化)
当社は法令遵守が企業の基本的かつ最低限の社会的責務であるとの考え方に立っており、適法・適正かつ透明性の高い経営を保つことにより株主、取引先および社会の信頼を得ることが企業の発展と企業価値の向上に繋がるものと確信しております。
このような考えの下、当社では豊かな社会創りに貢献するとともに、コンプライアンスの推進・実行を図るため、すべての役員・従業員が遵守すべき企業行動の基本原則および行動指針として「株式会社名村造船所 行動憲章および行動指針」を定め、さらなる企業倫理の確立と社会責任の遂行に努めております。
また、コンプライアンスとそのリスク管理、財務報告の適正性等の促進に関しては、内部統制委員会と内部監査室を中心に、内部統制システムの評価およびその維持・改善を行っております。
当社の経営上の意思決定、業務執行および監督に係わる経営管理組織体制等の状況は次の通りであります。
取締役会は、原則として毎月1回、監査役出席の下、重要な業務執行について、適法性、妥当性、効率性、戦略性、社会性および適正性等について十分に審議を尽くした後に決するとともに、取締役の職務執行を監督しております。
また、執行役員制度を採用して、経営に関する意思決定と業務の執行およびこれらに対する監視の各機能の充実・強化を図り、審議の充実と業務執行の迅速化・効率化を通じて、企業価値の最大化を目指しております。
さらに執行役員会を原則として月1回執り行い、経営に関する重要業務の執行に関する審議を尽くしております。
企業グループの経営状況の監督については、担当の取締役または執行役員が往査するほか、各社の経営状況を3ヶ月に1回執行役員会の場で担当の取締役または執行役員より、また、6ヶ月に1回開催される部長・関係会社報告会の場でグループ各社の代表者より報告せしめ、実態の把握と的確な経営管理および業務執行を監督・指導しております。
監査役の業務監査および会計監査については、常勤監査役が執行役員会、部長会等の重要な会議に出席して必要に応じて意見を述べ、稟議書などの決裁手続についても審議段階から意見を述べることができることとし、監査機能の強化を図っております。なお、会計監査人から監査結果の報告を受けるほか、定期的・臨時的な情報・意思の交換を行うなど、監査役・会計監査人間で緊密な連携をとっております。また、監査役2名が非常勤の社外監査役であり、社外監査役と当社の間に取引関係その他利害関係はありません。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定を支配されることを防止するための取組みとして、当社株式等の大量取得が行われる場合に、株主の皆様が適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買収者との交渉の機会を確保すること等を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益に反する買収を抑止し、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とし、当社株式等の20%以上を取得しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求める等、上記の目的を実現するために必要な手続きを定めております。
なお、対応方針の詳細については、平成26年5月9日付「当社株式等の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」をご参照ください。
(当社ホームページ:http://www.namura.co.jp/)
④ 上記取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
(基本方針の実現に資する特別な取組みについて)
企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。
従って、これらの各施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みについて)
・当該取組みが基本方針に沿うものであること
当該取組みは、当社株式等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。
・当該取組みが当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
当社は、以下の理由により、当該取り組みは、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(a)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
(b)株主意思を重視するものであること
(c)独立委員会による判断の重視と情報開示
(d)合理的な客観的要件の設定
(e)第三者専門家の意見の取得
(f)デッドハンド型・スローハンド型の買収防衛策ではないこと
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発活動は、顧客ニーズに対応すべく新船型や新機種の開発、既存製品の品質向上、生産性向上などを中心に取り組み、研究開発費の総額は542百万円となりました。
研究開発活動をセグメント別に示すと、主なものは次のとおりであります。
① 新造船事業
環境に配慮した省燃費船型の研究や既存製品の品質向上、船型開発を中心とした開発等を外部研究機関とも連携し取り組み成果をあげつつあります。研究開発費の総額は281百万円であります。
② 機械事業
プレス用自動化装置、精密ばね成形機等において顧客ニーズに対応した新商品を開発、市場に投入し成果をあげつつあります。研究開発費の総額は218百万円であります。
③ 修繕船事業および鉄構陸機事業ならびにその他事業
修繕技術の向上や取扱商品の拡大をねらい新たな製品等の研究開発、既存製品の品質向上を目的とした開発等を行い成果をあげつつあります。研究開発費の総額は43百万円であります。