有価証券報告書-第124期(2022/04/01-2023/03/31)
(4) 【役員の報酬等】
<報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針等>当社は、会社法に従って、報酬委員会が取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めている。当社の役員報酬は、顧客、株主、事業を展開する地域社会、従業員といった当社のステークホルダーに最大限の価値をもたらすべく、その価値創造に向けて動機付けられるよう設計されることを基本方針とし、報酬委員会が以下の原則を総合的に勘案して、決定している。
[役員報酬制度の6つの原則]
当社報酬委員会においては、上記基本方針に則り個々の報酬プログラムを設計し、その設計に従って、適切な審議等を経て、以下のとおり、当事業年度に係る取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容を決定している。また、その内容は、当社報酬委員会が定める報酬等の決定方針に沿うものであると判断している。
全体像
・ 当社は、2020年度から2023年度までの主要な目標を定めた事業構造改革計画「Nissan NEXT」に取り組んでいる。
「Nissan NEXT」は、当期間での確実な実行により当社の事業回復基調を確かなものとし、さらに、将来の課題にも対応し持続的な成長に繋がるよう、設計されている。
・ その計画に沿って、持続的な中長期の企業と人材双方の成長を目指し、役員報酬についても、その実現に対して動機付けられることを重視して設計している。
・ 当社は「Nissan NEXT」の財務目標について、会社を成長軌道に戻すために必要とされる指標を選択し、取締役及び執行役の報酬算定のための目標設定を行った。また、目標達成のプロセスについて、従業員の長期的な成長に欠かせない要素である日産ウェイとの整合性を評価している。
・ 「Nissan NEXT」の目標達成が見込まれた時点においては、将来の持続的な成長を確保するための新たな目標を設定することとしている。
・ 2021年度より、長期インセンティブ報酬の一つである業績連動型インセンティブ(金銭報酬)において、サステナビリティに関する評価指標としてカーボンニュートラルと人権尊重を新たに追加した。これは、当社の「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける」というコーポレートパーパスのもと、長期的な企業価値及び社会価値を向上させ、サステナブルな企業とするための取り組みの成果を報酬に反映させるものである。
・ 当社は、コーポレートパーパスの実現に向け、「日産の人権尊重に関する基本方針」に基づき、全役員及び全従業員が日産の事業活動において、全てのステークホルダーの人権を尊重することを明確にし、また、人権に関する理解や人権尊重向上に向けた取り組みを推進している。当社の人権尊重に関する取り組みの実効性を客観的に評価する指標として「企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)」の評価結果を採用し、執行役及び執行役を兼務する取締役(CEO、COO等)の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)と連動させている。
(注)CHRB評価は隔年で実施されるため、評価対象外年度には同評価指標に基づいて、第三者機関がスコアリングを行った結果を採用する。
・ なお、具体的な指標については、「業績連動型インセンティブ(金銭報酬)」において詳述する。
報酬水準の考え方
報酬水準の検討にあたっては、報酬のベンチマーク結果を参考にしている。トップコーポレートエグゼクティブについては、当社と同様の事業規模と事業展開上の複雑性を有するグローバル企業群を参照している。その他執行役については、日本の株式市場に上場する大手企業群を参照している。
これら企業には、当社と競合する主要な自動車会社を含んでいる。
報酬の構成
i) 取締役
取締役の報酬は、(1)基本報酬に、(2)各人の役割に応じて委員会参加報酬や委員長報酬、筆頭社外取締役報酬等を加算した固定報酬のみとしている。執行役を兼務しない取締役には、変動報酬である年次賞与及び長期インセンティブ報酬は支給しない。また、執行役を兼務する取締役には、取締役としての報酬は支給しない。
ii) 執行役
執行役の報酬は、(1)固定報酬である基本報酬、(2)変動報酬である年次賞与及び長期インセンティブ報酬からなる。
中長期的な企業価値・株主価値の向上を重視した報酬制度及び報酬構成とするため、長期インセンティブ報酬(特に業績連動報酬)の割合を高め、代表執行役CEOの報酬の構成割合は、「基本報酬:年次賞与(基準額):長期インセンティブ報酬(基準額)」=「1(26.7%):1(26.7%):1.8(46.6%)」を目安としている。代表執行役COO及びその他の執行役の報酬構成割合は、代表執行役CEOの報酬構成割合に準じて、職責や報酬水準を考慮し決定しており、役位が上位の執行役ほど、総報酬に占める変動報酬(年次賞与及び長期インセンティブ報酬)の割合が高くなるように設定している。当事業年度の報酬構成割合は、以下(図表)のとおりである。なお、報酬ベンチマーク企業群の報酬水準動向を踏まえ、報酬水準及び報酬構成割合は適宜改定を行っている。
[執行役の報酬構成割合]

注) 上記割合は、2022年度の変動報酬の目標の総合達成率を100%とした場合の理論値で計算している。
基本報酬
執行役の基本報酬については、グローバル企業の報酬のベンチマーク結果や外部専門機関の調査結果に加え、個々のスキルや経験、社内の職責、前年度の貢献、及び当社の業績等に鑑みて設定している。
変動報酬
執行役の変動報酬は、毎年の業績に応じて支給する「年次賞与」と、株主価値を高め、会社の持続的成長と収益性を高める行動を動機付けることを目的とした2種類の「長期インセンティブ報酬」で構成されている。この「長期インセンティブ報酬」は、非業績連動報酬である「譲渡制限付株式ユニット(RSU)」と、目標が達成された場合にのみ支払う「業績連動型インセンティブ(金銭報酬)」で構成されている。そのため、当社の変動報酬プログラムは、経営陣が単年度と中長期の両方の業績目標達成及び株主価値の向上等に対し動機付けられるように設計されている。
年次賞与
2022年度年次賞与
業績連動報酬の年次賞与は、基本報酬に役位別比率を乗じた上で、持続的な成長の実現を目指して設定された評価指標の総合達成率を乗じて算出し、支給する。2022年度については、「Nissan NEXT」の3年目として重点的に取り組むべき事項に対応し、以下の表の5つの評価指標を選択した。
当事業年度も、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて、収益確保を確実に達成する観点に加え、長期的な事業の持続性の観点から、営業利益及び売上高営業利益率の目標水準を設定した。
自動車事業における健全なフリーキャッシュフローは、当社の持続的な成長の実現のために重要な指標の一つである。品質については、品質保証及び顧客満足度からなる内部管理目標である。
コーポレートカルチャーについては、毎年、匿名のグローバル従業員サーベイを実施している。当社は、従業員エンゲージメント/満足度に加え、エネーブルメント(社員の意欲をサポートする環境、能力を発揮するための働きやすさ)、企業倫理、リーダーシップ、企業文化、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった全社的に優先度の高い5つの重点領域を特定し、トップマネジメントの直接的なオーナーシップのもとで改善活動に取り組んでいる。毎年の着実なスコア改善に必要な目標値を設定している。
[執行役の2022年度年次賞与のウェイト]
*中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
[年次賞与の支給率モデル]

目標の総合達成率は、達成率50%に相当する閾値(下限)と達成率125%に相当する閾値(上限)をもとに算出された評価指標ごとの目標達成率に、評価ウェイトを乗じた値の合計である。なお、達成率50%に相当する閾値(下限)に満たない指標については、当該値は0と扱い、また達成率125%に相当する閾値(上限)を上回る指標については、当該値は125%と扱う方針としている。

長期インセンティブ報酬
当社の長期インセンティブ報酬は、「譲渡制限付株式ユニット(RSU)」及び「業績連動型インセンティブ(金銭報酬)」の2種類で構成しており、譲渡制限付株式ユニット(RSU)は長期インセンティブ報酬全体の40%を、業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は60%を占めている。業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は、年次賞与で参照する単年度の業績指標ではなく、複数年にかかる業績指標により評価することで、長期的な取り組みを促進するように設計されている。また、業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は目標達成時の額が譲渡制限付株式ユニット(RSU)の1.5倍になるよう意図的に設計されており、「Nissan NEXT」の目標達成に重点を置いている。
[長期インセンティブ報酬の導入目的]
長期インセンティブ報酬は、次の4点に基づいて設計されている。
(1)中長期的な事業の継続や成長に向けた業績目標の達成を動機づけること
(2)役員の利益を株主の利益と一致させること
(3)株主価値の創造を役員に動機付けること
(4)当社の主要な人材の長期的な定着を促進すること
[長期インセンティブ報酬の概要]
■譲渡制限付株式ユニット(RSU)
譲渡制限付株式ユニット(RSU)は、当社が定める期間(以下、「対象期間」という。)中の勤務継続等を条件として対象者毎に予め定める数の当社普通株式(以下、「本交付株式」という。)に相当するRSUを付与するものである。対象期間は3年間とし、このRSUを付与後3事業年度にわたり3分の1ずつ権利確定させ、本交付株式を支給する。RSUは、非金銭報酬等かつ非業績連動報酬であり、当事業年度に執行役に付与したRSUについて、付与後3事業年度にわたり支給する本交付株式の総数は最大で約579千株である。
なお、対象者による重大な不正・違法行為等があった場合には、当社は本交付株式の割当てを受ける権利の剥奪や割当て済みの当社普通株式の返還請求を実施することができる。この方針(マルス・クローバック)は、コーポレートガバナンスを改善するための当社の取り組みの一環として導入された。本方針は事後交付型株式報酬規程に明記した上で、対象者へ付与する際に周知している。
■業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2021年度以降、当社が中長期的な企業価値及び社会価値を向上させ、サステナブルな企業となるための戦略のうち、特に事業への影響が大きく、ステークホルダーの関心も高い下記の2つの観点について、関連する評価指標を追加した。
・カーボンニュートラル:当社は、商品では電動化を戦略の中心とし、さらに革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを支え、サプライヤーを含むライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを目指す。
・人権尊重:当社は、コーポレートパーパス実現に向け、「日産の人権尊重に関する基本方針」に基づき、役員及び従業員が全ての事業活動において、全てのステークホルダーの人権を尊重することを明確にし、また人権に関する理解や人権尊重向上に向けた取り組みを推進する。
2020年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2020年度に付与された業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は、2020年以降の持続的な成長の実現のため特に重要な以下の評価指標を設定し、各評価指標の2020年度から2022年度までの3事業年度での目標の総合達成率及び役位別の比率を基本報酬に乗じて支給する。市場占有率については、当社が算出した世界需要車両数に対する当社の販売台数(小売り)に基づいている。
[執行役の2020年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)のウェイト]
*2020年度分については、中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
**「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために、2022年度より市場占有率から売上高に指標を変更した。なお、2020年度、2021年度については、売上高ではなく、市場占有率をもとに、目標の総合達成率を既に集計している。
2021年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2021年度に付与された業績連動型インセンティブ(金銭報酬)においては、将来の持続的な成長の実現のため特に重要な評価指標に加え、社会的価値評価指標を設定した。各評価指標の2021年度から2023年度までの3事業年度での目標の総合達成率及び役位別比率を基本報酬に乗じて算出し支給する。
[執行役の2021年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)のウェイト]
*2022年度分については、中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
**「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために、2022年度より販売台数(小売り)から売上高に指標を変更した。なお、2020年度、2021年度については、売上高ではなく、販売台数(小売り)をもとに、目標の総合達成率を既に集計している。
(注)1.世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2023年度までの目標値として設定した。
2.ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の当社の2020年度の結果(8.3点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定した。なお、2021年度はCHRB評価対象外年度となり、同評価指標に基づいて第三者機関がスコアリングを行った。また、CHRBの評価基準は2022年に改訂され、2022年度は改訂後の評価基準により評価された。
2022年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2022年度に付与された業績連動型インセンティブ(金銭報酬)においても、2021年度と同様、将来の持続的な成長の実現のため、財務的評価指標に加え、社会的価値評価指標を設定した。
また、「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために、当社の成長を測る指標の1つとして、売上高の指標を設定した。
各評価指標の2022年度から2024年度までの3事業年度での目標の総合達成率及び役位別比率を基本報酬に乗じて算出し支給する。
[執行役の2022年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)のウェイト]
*2022年度分については、中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
**「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために指標を設定した。
(注)1.世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2024年度までの目標値として設定した。
2.ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の評価指標に基づく当社の2021年度の結果(11.5点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定した。なお、2021年度の結果はCHRB評価指標に基づいて、第三者機関がスコアリングを行った結果である。また、CHRBの評価基準は2022年に改訂され、2022年度は改訂後の評価基準により評価された。
[業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の支給率モデル]

目標の総合達成率は、達成率50%に相当する閾値(下限)と達成率125%に相当する閾値(上限)をもとに算出された評価指標ごとの目標達成率に、評価ウェイトを乗じた値の合計である。なお、達成率50%に相当する閾値(下限)に満たない指標については、当該値は0と扱い、また達成率125%に相当する閾値(上限)を上回る指標については、当該値は125%と扱う方針としている。

[長期インセンティブ報酬の支給スケジュール]

執行役退任時の報酬等の決定方針
当社は、執行役が当社を退任した後一定期間、競業避止義務及び守秘義務等の義務を遵守すること、並びに経営の適切な移行を促進することを目的とする、退任する執行役に対する退任時報酬等の決定方針を有している。当該方針は、当社の報酬委員会の裁量により運用されており、報酬委員会は、執行役退任時の事実関係及び状況を踏まえて、退任時の支給の有無及び金額を決めることができる。
<役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数>(単位:百万円)
(注)1.当社の取締役又は執行役が、当事業年度において、過去の事業年度に付与された株価連動型インセンティブ受領権を行使して当社から受けた金銭の額から、過去の事業年度に係る有価証券報告書に開示した当時の株価に基づく当該株価連動型インセンティブ受領権の公正価額を控除した額を記載している。当事業年度の実績は無い。
2.当事業年度に費用計上された額から、当事業年度末日後に確定した減額分を控除した金額を記載している。2020年度に執行役に付与したRSUは、2020年度に係る見込みの金額が、2020年度の有価証券報告書にて開示した見込みの金額に対して3百万円増となった。上記表には、当事業年度に費用計上された額に当該金額を加算した額を記載している。
3.報酬委員会が当社の内規その他の基準に基づき決定した執行役3名に対する税金及び税金調整手当(247百万円)、住宅手当その他のフリンジ・ベネフィット相当額等(132百万円)の金銭報酬の合計額を記載している。上記表に記載した報酬のほかに、当事業年度に当社からの報酬として確定した2021年度に係るフリンジ・ベネフィット相当額7百万円の金銭報酬がある(当該フリンジ・ベネフィットの付与対象者は元執行役1名である。)。
4.取締役を兼務する執行役には、執行役としての報酬等のみを支給しており、執行役の区分にて記載している。
5.役員に外貨建てで支払われる報酬等については、便宜上年間平均レートを用いて円換算した額を記載している。
<役員ごとの連結報酬等の総額等 但し、連結報酬等の総額1億円以上である者>(単位:百万円)
(注)1.当事業年度に費用計上された額である。
2.当事業年度に費用計上された額から、当事業年度末日後に確定した減額分を控除した金額を記載している。
3.報酬委員会が当社の内規その他の基準に基づき決定した、対象執行役に対する税金及び税金調整手当(247百万円)、住宅手当その他のフリンジ・ベネフィット相当額等(132百万円)の金銭報酬の合計額を記載している。上記表に記載した報酬のほかに、当事業年度に当社からの報酬として確定した2021年度に係るフリンジ・ベネフィット相当額7百万円の金銭報酬がある。当該フリンジ・ベネフィットの付与対象者は元執行役クリスチャン・ヴァンデンヘンデであり、当該金額を合算すると、2021年度に係る同人のその他報酬額は66百万円、総報酬額は122百万円となる。
4.役員に外貨建てで支払われる報酬等については、便宜上年間平均レートを用いて円換算した額を記載している。
2022年度年次賞与と長期インセンティブの業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の結果
<執行役に対する年次賞与の評価指標ごとの目標、実績及び支給率等>2022年度年次賞与
当社は前述のとおり、事業構造改革計画「Nissan NEXT」に取り組んでおり、当事業年度の年次賞与の業績目標の達成水準は、新型コロナウイルス、半導体供給不足、原材料価格の上昇、為替変動の影響等も加味した上で「Nissan NEXT」で定めた業績見通しをベースにしている。なお、各評価指標の内容及び選定理由等については年次賞与の箇所に記載したとおりである。
・ 「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて、収益確保を確実に達成する観点に加え、長期的な事業の持続性の観点から、営業利益及び売上高営業利益率の指標を設定した。その実績は営業利益3,771億円、売上高営業利益率は3.6%となり、それぞれの達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、2022年度通期で黒字化を達成するための目標値を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 品質については、品質保証及び顧客満足度からなる目標値を設定し、実績は目標値を上回り、達成率はその上限である125%となった。
・ コーポレートカルチャーについては、従業員エンゲージメント/満足度に加え、エネーブルメント(社員の意欲をサポートする環境、能力を発揮するための働きやすさ)、企業倫理、リーダーシップ、企業文化、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった全社的に優先度の高い5つの重点領域に関する前年度からの改善に必要な目標値を設定し、実績は目標値を上回り、達成率はその上限である125%となった。
上記を受け、業績目標の総合達成率は125%となった。この結果に基づき、年次賞与の額は、基本報酬に、当該達成度及び役位ごとに設定されている一定の倍率を乗じて算定した。なお、算出方法については年次賞与の箇所に記載したとおりである。
<執行役に対する業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の評価指標ごとの目標、実績及び支給率等>上述の年次賞与と同様、業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の業績目標の達成水準は、新型コロナウイルス、半導体供給不足、原材料価格の上昇、為替変動の影響等も加味した上で「Nissan NEXT」で定めた目標をベースとしており、2020年度付与分は2022年度までの3事業年度、2021年度付与分は2023年度までの3事業年度、2022年度付与分は2024年度までの3事業年度での目標の達成度に応じて支給する。なお、各評価指標の内容及び選定理由等については、長期インセンティブ報酬の概要の箇所に記載したとおりである。
この業績連動型インセンティブ(金銭報酬)に基づく支払いは、3年間の評価期間が終了して結果が確定した後に予定されている。この業績評価期間は各年の実績を集計しており、当事業年度の目標と実績に関してはそれぞれ以下のとおりである。
2020年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2022年度実績
2020年度付与分の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の3事業年度目である2022年度の指標に係る実績及び達成率に関しては、以下のとおりである。
・ 売上高営業利益率については、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて長期的な事業の持続性の観点から中国合弁会社比例連結ベースで目標を設定し、実績は4.1%となり、達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、黒字化を達成するため必要な水準で目標を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 売上高については、当社の業績見通しを踏まえて目標値を設定し、その実績は10兆5,967億円となり、達成率はその上限である125%となった。
上記を受け、2022年度の業績目標の総合達成率は125%となった。
2021年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2022年度実績
2021年度付与分の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2事業年度目である2022年度の指標に係る実績及び達成率に関しては、以下のとおりである。
・ 売上高営業利益率については、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて長期的な事業の持続性の観点から中国合弁会社比例連結ベースで目標を設定し、実績は4.1%となり、達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、黒字化を達成するために必要な水準で目標値を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 売上高については、当社の業績見通しを踏まえて目標値を設定し、その実績は10兆5,967億円となり、達成率はその上限である125%となった。
・ カーボンニュートラル(環境)については、世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2023年度までの目標値として設定した。実績はA-となり、達成率は100%となった。
・ 人権尊重(社会)については、ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の当社の2020年度の結果(8.3点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定し、達成率は100%となった。
上記を受け、2022年度の業績目標の総合達成率は123%となった。
2022年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2022年度実績
2022年度付与分の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の1事業年度目である2022年度の指標に係る実績及び達成率に関しては、以下のとおりである。
・ 売上高営業利益率については、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて長期的な事業の持続性の観点から、目標を設定した。その実績は3.6%となり、達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、黒字化を達成するために必要な水準で目標値を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 売上高については、当社の業績見通しを踏まえて目標値を設定し、その実績は10兆5,967億円となり、達成率はその上限である125%となった。
・ カーボンニュートラル(環境)については、世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2024年度までの目標値として設定した。実績はA-となり、達成率は100%となった。
・ 人権尊重(社会)については、ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の評価指標に基づく当社の2021年度の結果(11.5点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定し、達成率は100%となった。
上記を受け、2022年度の業績目標の総合達成率は123%となった。
<報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針等>当社は、会社法に従って、報酬委員会が取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めている。当社の役員報酬は、顧客、株主、事業を展開する地域社会、従業員といった当社のステークホルダーに最大限の価値をもたらすべく、その価値創造に向けて動機付けられるよう設計されることを基本方針とし、報酬委員会が以下の原則を総合的に勘案して、決定している。
[役員報酬制度の6つの原則]
ガバナンスと監督責任 | 当社は、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、及び企業倫理のより一層の向上に努めている。報酬プログラムについても、このような動きを踏まえて、効果的に運用され、方針に沿っているかを適切に監督していく。 |
公平性と透明性 | 人種、性別、国籍、個人の属性にかかわらず、公平で一貫した報酬プログラムとする。業績評価や報酬の仕組みは、透明性のある開かれたものとし、公平な取扱いを前提とする。 |
価値創造とアカウンタビリティ | 顧客、株主、事業を展開する地域社会、従業員といった当社のステークホルダーに対して長期的な価値を創造できるような業績や行動に繋がる報酬のプログラムとする。 |
競争力のある報酬水準 | 人材確保において競合している自動車企業やグローバル大企業に比肩する、競争力のある報酬を提供する。 |
運用の実効性 | 報酬プログラムは、適切に運用され、役員にも理解しやすく、費用対効果が高く、グローバルに適用されうる、実効性があるものとする。 |
変革と適応 | 当社は、テクノロジーや人々の生活が大きく変化している環境下で、グローバルに事業を展開している。よって、グローバル基準の視点を持って、今後も人材市場とビジネス環境の多様性に報酬プログラムを適応させる。 |
当社報酬委員会においては、上記基本方針に則り個々の報酬プログラムを設計し、その設計に従って、適切な審議等を経て、以下のとおり、当事業年度に係る取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容を決定している。また、その内容は、当社報酬委員会が定める報酬等の決定方針に沿うものであると判断している。
全体像
・ 当社は、2020年度から2023年度までの主要な目標を定めた事業構造改革計画「Nissan NEXT」に取り組んでいる。
「Nissan NEXT」は、当期間での確実な実行により当社の事業回復基調を確かなものとし、さらに、将来の課題にも対応し持続的な成長に繋がるよう、設計されている。
・ その計画に沿って、持続的な中長期の企業と人材双方の成長を目指し、役員報酬についても、その実現に対して動機付けられることを重視して設計している。
・ 当社は「Nissan NEXT」の財務目標について、会社を成長軌道に戻すために必要とされる指標を選択し、取締役及び執行役の報酬算定のための目標設定を行った。また、目標達成のプロセスについて、従業員の長期的な成長に欠かせない要素である日産ウェイとの整合性を評価している。
・ 「Nissan NEXT」の目標達成が見込まれた時点においては、将来の持続的な成長を確保するための新たな目標を設定することとしている。
・ 2021年度より、長期インセンティブ報酬の一つである業績連動型インセンティブ(金銭報酬)において、サステナビリティに関する評価指標としてカーボンニュートラルと人権尊重を新たに追加した。これは、当社の「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける」というコーポレートパーパスのもと、長期的な企業価値及び社会価値を向上させ、サステナブルな企業とするための取り組みの成果を報酬に反映させるものである。
・ 当社は、コーポレートパーパスの実現に向け、「日産の人権尊重に関する基本方針」に基づき、全役員及び全従業員が日産の事業活動において、全てのステークホルダーの人権を尊重することを明確にし、また、人権に関する理解や人権尊重向上に向けた取り組みを推進している。当社の人権尊重に関する取り組みの実効性を客観的に評価する指標として「企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)」の評価結果を採用し、執行役及び執行役を兼務する取締役(CEO、COO等)の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)と連動させている。
(注)CHRB評価は隔年で実施されるため、評価対象外年度には同評価指標に基づいて、第三者機関がスコアリングを行った結果を採用する。
・ なお、具体的な指標については、「業績連動型インセンティブ(金銭報酬)」において詳述する。
報酬水準の考え方
報酬水準の検討にあたっては、報酬のベンチマーク結果を参考にしている。トップコーポレートエグゼクティブについては、当社と同様の事業規模と事業展開上の複雑性を有するグローバル企業群を参照している。その他執行役については、日本の株式市場に上場する大手企業群を参照している。
これら企業には、当社と競合する主要な自動車会社を含んでいる。
報酬の構成
i) 取締役
取締役の報酬は、(1)基本報酬に、(2)各人の役割に応じて委員会参加報酬や委員長報酬、筆頭社外取締役報酬等を加算した固定報酬のみとしている。執行役を兼務しない取締役には、変動報酬である年次賞与及び長期インセンティブ報酬は支給しない。また、執行役を兼務する取締役には、取締役としての報酬は支給しない。
ii) 執行役
執行役の報酬は、(1)固定報酬である基本報酬、(2)変動報酬である年次賞与及び長期インセンティブ報酬からなる。
中長期的な企業価値・株主価値の向上を重視した報酬制度及び報酬構成とするため、長期インセンティブ報酬(特に業績連動報酬)の割合を高め、代表執行役CEOの報酬の構成割合は、「基本報酬:年次賞与(基準額):長期インセンティブ報酬(基準額)」=「1(26.7%):1(26.7%):1.8(46.6%)」を目安としている。代表執行役COO及びその他の執行役の報酬構成割合は、代表執行役CEOの報酬構成割合に準じて、職責や報酬水準を考慮し決定しており、役位が上位の執行役ほど、総報酬に占める変動報酬(年次賞与及び長期インセンティブ報酬)の割合が高くなるように設定している。当事業年度の報酬構成割合は、以下(図表)のとおりである。なお、報酬ベンチマーク企業群の報酬水準動向を踏まえ、報酬水準及び報酬構成割合は適宜改定を行っている。
[執行役の報酬構成割合]
役位 | 報酬構成割合 | 合計 | |||
固定報酬 | 変動報酬 | ||||
基本報酬 | 年次賞与 | 長期インセンティブ報酬 | |||
業績連動型 インセンティブ(金銭報酬) | 譲渡制限付株式ユニット(RSU) | ||||
代表執行役CEO | 26.7% | 26.7% | 28.0% | 18.6% | 100.0% |
代表執行役COO | 28.6% | 28.6% | 25.7% | 17.1% | |
その他 執行役 | 31.3%~33.3% | 26.7%~31.3% | 22.5%~24.0% | 15.0%~16.0% |

注) 上記割合は、2022年度の変動報酬の目標の総合達成率を100%とした場合の理論値で計算している。
基本報酬
執行役の基本報酬については、グローバル企業の報酬のベンチマーク結果や外部専門機関の調査結果に加え、個々のスキルや経験、社内の職責、前年度の貢献、及び当社の業績等に鑑みて設定している。
変動報酬
執行役の変動報酬は、毎年の業績に応じて支給する「年次賞与」と、株主価値を高め、会社の持続的成長と収益性を高める行動を動機付けることを目的とした2種類の「長期インセンティブ報酬」で構成されている。この「長期インセンティブ報酬」は、非業績連動報酬である「譲渡制限付株式ユニット(RSU)」と、目標が達成された場合にのみ支払う「業績連動型インセンティブ(金銭報酬)」で構成されている。そのため、当社の変動報酬プログラムは、経営陣が単年度と中長期の両方の業績目標達成及び株主価値の向上等に対し動機付けられるように設計されている。
年次賞与
2022年度年次賞与
業績連動報酬の年次賞与は、基本報酬に役位別比率を乗じた上で、持続的な成長の実現を目指して設定された評価指標の総合達成率を乗じて算出し、支給する。2022年度については、「Nissan NEXT」の3年目として重点的に取り組むべき事項に対応し、以下の表の5つの評価指標を選択した。
当事業年度も、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて、収益確保を確実に達成する観点に加え、長期的な事業の持続性の観点から、営業利益及び売上高営業利益率の目標水準を設定した。
自動車事業における健全なフリーキャッシュフローは、当社の持続的な成長の実現のために重要な指標の一つである。品質については、品質保証及び顧客満足度からなる内部管理目標である。
コーポレートカルチャーについては、毎年、匿名のグローバル従業員サーベイを実施している。当社は、従業員エンゲージメント/満足度に加え、エネーブルメント(社員の意欲をサポートする環境、能力を発揮するための働きやすさ)、企業倫理、リーダーシップ、企業文化、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった全社的に優先度の高い5つの重点領域を特定し、トップマネジメントの直接的なオーナーシップのもとで改善活動に取り組んでいる。毎年の着実なスコア改善に必要な目標値を設定している。
[執行役の2022年度年次賞与のウェイト]
評価指標(全社業績目標) | 割合 |
営業利益 | 20% |
売上高営業利益率 | 20% |
自動車事業のフリーキャッシュフロー* | 40% |
品質 | 10% |
コーポレートカルチャー | 10% |
*中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
[年次賞与の支給率モデル]

目標の総合達成率は、達成率50%に相当する閾値(下限)と達成率125%に相当する閾値(上限)をもとに算出された評価指標ごとの目標達成率に、評価ウェイトを乗じた値の合計である。なお、達成率50%に相当する閾値(下限)に満たない指標については、当該値は0と扱い、また達成率125%に相当する閾値(上限)を上回る指標については、当該値は125%と扱う方針としている。

長期インセンティブ報酬
当社の長期インセンティブ報酬は、「譲渡制限付株式ユニット(RSU)」及び「業績連動型インセンティブ(金銭報酬)」の2種類で構成しており、譲渡制限付株式ユニット(RSU)は長期インセンティブ報酬全体の40%を、業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は60%を占めている。業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は、年次賞与で参照する単年度の業績指標ではなく、複数年にかかる業績指標により評価することで、長期的な取り組みを促進するように設計されている。また、業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は目標達成時の額が譲渡制限付株式ユニット(RSU)の1.5倍になるよう意図的に設計されており、「Nissan NEXT」の目標達成に重点を置いている。
[長期インセンティブ報酬の導入目的]
長期インセンティブ報酬は、次の4点に基づいて設計されている。
(1)中長期的な事業の継続や成長に向けた業績目標の達成を動機づけること
(2)役員の利益を株主の利益と一致させること
(3)株主価値の創造を役員に動機付けること
(4)当社の主要な人材の長期的な定着を促進すること
[長期インセンティブ報酬の概要]
■譲渡制限付株式ユニット(RSU)
譲渡制限付株式ユニット(RSU)は、当社が定める期間(以下、「対象期間」という。)中の勤務継続等を条件として対象者毎に予め定める数の当社普通株式(以下、「本交付株式」という。)に相当するRSUを付与するものである。対象期間は3年間とし、このRSUを付与後3事業年度にわたり3分の1ずつ権利確定させ、本交付株式を支給する。RSUは、非金銭報酬等かつ非業績連動報酬であり、当事業年度に執行役に付与したRSUについて、付与後3事業年度にわたり支給する本交付株式の総数は最大で約579千株である。
なお、対象者による重大な不正・違法行為等があった場合には、当社は本交付株式の割当てを受ける権利の剥奪や割当て済みの当社普通株式の返還請求を実施することができる。この方針(マルス・クローバック)は、コーポレートガバナンスを改善するための当社の取り組みの一環として導入された。本方針は事後交付型株式報酬規程に明記した上で、対象者へ付与する際に周知している。
■業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2021年度以降、当社が中長期的な企業価値及び社会価値を向上させ、サステナブルな企業となるための戦略のうち、特に事業への影響が大きく、ステークホルダーの関心も高い下記の2つの観点について、関連する評価指標を追加した。
・カーボンニュートラル:当社は、商品では電動化を戦略の中心とし、さらに革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを支え、サプライヤーを含むライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを目指す。
・人権尊重:当社は、コーポレートパーパス実現に向け、「日産の人権尊重に関する基本方針」に基づき、役員及び従業員が全ての事業活動において、全てのステークホルダーの人権を尊重することを明確にし、また人権に関する理解や人権尊重向上に向けた取り組みを推進する。
2020年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2020年度に付与された業績連動型インセンティブ(金銭報酬)は、2020年以降の持続的な成長の実現のため特に重要な以下の評価指標を設定し、各評価指標の2020年度から2022年度までの3事業年度での目標の総合達成率及び役位別の比率を基本報酬に乗じて支給する。市場占有率については、当社が算出した世界需要車両数に対する当社の販売台数(小売り)に基づいている。
[執行役の2020年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)のウェイト]
評価指標(全社業績目標) | 割合 |
売上高営業利益率* | 1/3 |
自動車事業のフリーキャッシュフロー* | 1/3 |
市場占有率/売上高** | 1/3 |
*2020年度分については、中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
**「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために、2022年度より市場占有率から売上高に指標を変更した。なお、2020年度、2021年度については、売上高ではなく、市場占有率をもとに、目標の総合達成率を既に集計している。
2021年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2021年度に付与された業績連動型インセンティブ(金銭報酬)においては、将来の持続的な成長の実現のため特に重要な評価指標に加え、社会的価値評価指標を設定した。各評価指標の2021年度から2023年度までの3事業年度での目標の総合達成率及び役位別比率を基本報酬に乗じて算出し支給する。
[執行役の2021年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)のウェイト]
評価指標(全社業績目標) | 割合 | |
財務的 価値指標 | 売上高営業利益率* | 30% |
自動車事業のフリーキャッシュフロー* | 30% | |
販売台数(小売り)/売上高** | 30% | |
社会的 価値指標 | カーボンニュートラル(環境)外部評価(注1) | 5% |
人権尊重(社会)外部評価(注2) | 5% |
*2022年度分については、中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
**「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために、2022年度より販売台数(小売り)から売上高に指標を変更した。なお、2020年度、2021年度については、売上高ではなく、販売台数(小売り)をもとに、目標の総合達成率を既に集計している。
(注)1.世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2023年度までの目標値として設定した。
2.ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の当社の2020年度の結果(8.3点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定した。なお、2021年度はCHRB評価対象外年度となり、同評価指標に基づいて第三者機関がスコアリングを行った。また、CHRBの評価基準は2022年に改訂され、2022年度は改訂後の評価基準により評価された。
2022年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)
2022年度に付与された業績連動型インセンティブ(金銭報酬)においても、2021年度と同様、将来の持続的な成長の実現のため、財務的評価指標に加え、社会的価値評価指標を設定した。
また、「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために、当社の成長を測る指標の1つとして、売上高の指標を設定した。
各評価指標の2022年度から2024年度までの3事業年度での目標の総合達成率及び役位別比率を基本報酬に乗じて算出し支給する。
[執行役の2022年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)のウェイト]
評価指標(全社業績目標) | 割合 | |
財務的 価値指標 | 売上高営業利益率 | 30% |
自動車事業のフリーキャッシュフロー* | 30% | |
売上高** | 30% | |
社会的 価値指標 | カーボンニュートラル(環境)外部評価(注1) | 5% |
人権尊重(社会)外部評価(注2) | 5% |
*2022年度分については、中国合弁会社比例連結ベースの数値により目標を設定
**「Nissan NEXT」の着実な推進を目指し、主要モデルの販売の質を向上させ、販売費用の縮小と台当たりの売上高の向上に継続的に取り組むために指標を設定した。
(注)1.世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2024年度までの目標値として設定した。
2.ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の評価指標に基づく当社の2021年度の結果(11.5点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定した。なお、2021年度の結果はCHRB評価指標に基づいて、第三者機関がスコアリングを行った結果である。また、CHRBの評価基準は2022年に改訂され、2022年度は改訂後の評価基準により評価された。
[業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の支給率モデル]

目標の総合達成率は、達成率50%に相当する閾値(下限)と達成率125%に相当する閾値(上限)をもとに算出された評価指標ごとの目標達成率に、評価ウェイトを乗じた値の合計である。なお、達成率50%に相当する閾値(下限)に満たない指標については、当該値は0と扱い、また達成率125%に相当する閾値(上限)を上回る指標については、当該値は125%と扱う方針としている。

[長期インセンティブ報酬の支給スケジュール]

執行役退任時の報酬等の決定方針
当社は、執行役が当社を退任した後一定期間、競業避止義務及び守秘義務等の義務を遵守すること、並びに経営の適切な移行を促進することを目的とする、退任する執行役に対する退任時報酬等の決定方針を有している。当該方針は、当社の報酬委員会の裁量により運用されており、報酬委員会は、執行役退任時の事実関係及び状況を踏まえて、退任時の支給の有無及び金額を決めることができる。
<役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数>(単位:百万円)
区分 | 総報酬 | 総報酬の内訳 | 対象となる 人数 | |||||
基本報酬 | 業績連動報酬 | 譲渡制限付 株式ユニット(RSU) (非金銭報酬) (注2) | その他報酬 | |||||
年次賞与 | 業績連動型 インセンティブ(金銭報酬) | 株価連動型 インセンティブ 受領権 (注1) | ||||||
取締役 (独立社外取締役を除く) | 18 | 18 | ― | ― | ― | ― | ― | 1 |
取締役 (独立社外取締役) | 171 | 171 | ― | ― | ― | ― | ― | 7 |
執行役 (注4) | 2,537 | 556 | 656 | 693 | ― | 253 | 379 (注3) | 6 |
(注)1.当社の取締役又は執行役が、当事業年度において、過去の事業年度に付与された株価連動型インセンティブ受領権を行使して当社から受けた金銭の額から、過去の事業年度に係る有価証券報告書に開示した当時の株価に基づく当該株価連動型インセンティブ受領権の公正価額を控除した額を記載している。当事業年度の実績は無い。
2.当事業年度に費用計上された額から、当事業年度末日後に確定した減額分を控除した金額を記載している。2020年度に執行役に付与したRSUは、2020年度に係る見込みの金額が、2020年度の有価証券報告書にて開示した見込みの金額に対して3百万円増となった。上記表には、当事業年度に費用計上された額に当該金額を加算した額を記載している。
3.報酬委員会が当社の内規その他の基準に基づき決定した執行役3名に対する税金及び税金調整手当(247百万円)、住宅手当その他のフリンジ・ベネフィット相当額等(132百万円)の金銭報酬の合計額を記載している。上記表に記載した報酬のほかに、当事業年度に当社からの報酬として確定した2021年度に係るフリンジ・ベネフィット相当額7百万円の金銭報酬がある(当該フリンジ・ベネフィットの付与対象者は元執行役1名である。)。
4.取締役を兼務する執行役には、執行役としての報酬等のみを支給しており、執行役の区分にて記載している。
5.役員に外貨建てで支払われる報酬等については、便宜上年間平均レートを用いて円換算した額を記載している。
<役員ごとの連結報酬等の総額等 但し、連結報酬等の総額1億円以上である者>(単位:百万円)
氏名 | 役員区分 | 会社区分 | 総報酬 | 総報酬の内訳 | |||||
基本報酬 | 業績連動報酬 | 譲渡制限付株式ユニット(RSU) (非金銭報酬) (注1) | その他報酬 | ||||||
年次賞与 | 業績連動型 インセンティブ(金銭報酬) | 株価連動型インセンティブ受領権 | |||||||
内田 誠 | 執行役 | 当社 | 673 | 150 | 188 | 224 | ― | 95 | 16 (注3) |
アシュワニ グプタ (注4) | 執行役 | 当社 | 726 | 145 | 181 | 187 | ― | 45 (注2) | 168 (注3) |
スティーブン マー (注4) | 執行役 | 当社 | 576 | 103 | 129 | 109 | ― | 40 | 195 (注3) |
該当なし | 北米日産 会社 | 18 | ― | ― | ― | ― | ― | 18 | |
坂本 秀行 | 執行役 | 当社 | 205 | 58 | 58 | 63 | ― | 26 | ― |
中畔 邦雄 | 執行役 | 当社 | 177 | 50 | 50 | 55 | ― | 22 | ― |
星野 朝子 | 執行役 | 当社 | 177 | 50 | 50 | 55 | ― | 22 | ― |
(注)1.当事業年度に費用計上された額である。
2.当事業年度に費用計上された額から、当事業年度末日後に確定した減額分を控除した金額を記載している。
3.報酬委員会が当社の内規その他の基準に基づき決定した、対象執行役に対する税金及び税金調整手当(247百万円)、住宅手当その他のフリンジ・ベネフィット相当額等(132百万円)の金銭報酬の合計額を記載している。上記表に記載した報酬のほかに、当事業年度に当社からの報酬として確定した2021年度に係るフリンジ・ベネフィット相当額7百万円の金銭報酬がある。当該フリンジ・ベネフィットの付与対象者は元執行役クリスチャン・ヴァンデンヘンデであり、当該金額を合算すると、2021年度に係る同人のその他報酬額は66百万円、総報酬額は122百万円となる。
4.役員に外貨建てで支払われる報酬等については、便宜上年間平均レートを用いて円換算した額を記載している。
2022年度年次賞与と長期インセンティブの業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の結果
<執行役に対する年次賞与の評価指標ごとの目標、実績及び支給率等>2022年度年次賞与
当社は前述のとおり、事業構造改革計画「Nissan NEXT」に取り組んでおり、当事業年度の年次賞与の業績目標の達成水準は、新型コロナウイルス、半導体供給不足、原材料価格の上昇、為替変動の影響等も加味した上で「Nissan NEXT」で定めた業績見通しをベースにしている。なお、各評価指標の内容及び選定理由等については年次賞与の箇所に記載したとおりである。
・ 「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて、収益確保を確実に達成する観点に加え、長期的な事業の持続性の観点から、営業利益及び売上高営業利益率の指標を設定した。その実績は営業利益3,771億円、売上高営業利益率は3.6%となり、それぞれの達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、2022年度通期で黒字化を達成するための目標値を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 品質については、品質保証及び顧客満足度からなる目標値を設定し、実績は目標値を上回り、達成率はその上限である125%となった。
・ コーポレートカルチャーについては、従業員エンゲージメント/満足度に加え、エネーブルメント(社員の意欲をサポートする環境、能力を発揮するための働きやすさ)、企業倫理、リーダーシップ、企業文化、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった全社的に優先度の高い5つの重点領域に関する前年度からの改善に必要な目標値を設定し、実績は目標値を上回り、達成率はその上限である125%となった。
上記を受け、業績目標の総合達成率は125%となった。この結果に基づき、年次賞与の額は、基本報酬に、当該達成度及び役位ごとに設定されている一定の倍率を乗じて算定した。なお、算出方法については年次賞与の箇所に記載したとおりである。
<執行役に対する業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の評価指標ごとの目標、実績及び支給率等>上述の年次賞与と同様、業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の業績目標の達成水準は、新型コロナウイルス、半導体供給不足、原材料価格の上昇、為替変動の影響等も加味した上で「Nissan NEXT」で定めた目標をベースとしており、2020年度付与分は2022年度までの3事業年度、2021年度付与分は2023年度までの3事業年度、2022年度付与分は2024年度までの3事業年度での目標の達成度に応じて支給する。なお、各評価指標の内容及び選定理由等については、長期インセンティブ報酬の概要の箇所に記載したとおりである。
この業績連動型インセンティブ(金銭報酬)に基づく支払いは、3年間の評価期間が終了して結果が確定した後に予定されている。この業績評価期間は各年の実績を集計しており、当事業年度の目標と実績に関してはそれぞれ以下のとおりである。
2020年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2022年度実績
2020年度付与分の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の3事業年度目である2022年度の指標に係る実績及び達成率に関しては、以下のとおりである。
・ 売上高営業利益率については、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて長期的な事業の持続性の観点から中国合弁会社比例連結ベースで目標を設定し、実績は4.1%となり、達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、黒字化を達成するため必要な水準で目標を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 売上高については、当社の業績見通しを踏まえて目標値を設定し、その実績は10兆5,967億円となり、達成率はその上限である125%となった。
上記を受け、2022年度の業績目標の総合達成率は125%となった。
2021年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2022年度実績
2021年度付与分の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2事業年度目である2022年度の指標に係る実績及び達成率に関しては、以下のとおりである。
・ 売上高営業利益率については、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて長期的な事業の持続性の観点から中国合弁会社比例連結ベースで目標を設定し、実績は4.1%となり、達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、黒字化を達成するために必要な水準で目標値を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 売上高については、当社の業績見通しを踏まえて目標値を設定し、その実績は10兆5,967億円となり、達成率はその上限である125%となった。
・ カーボンニュートラル(環境)については、世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2023年度までの目標値として設定した。実績はA-となり、達成率は100%となった。
・ 人権尊重(社会)については、ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の当社の2020年度の結果(8.3点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定し、達成率は100%となった。
上記を受け、2022年度の業績目標の総合達成率は123%となった。
2022年度業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の2022年度実績
2022年度付与分の業績連動型インセンティブ(金銭報酬)の1事業年度目である2022年度の指標に係る実績及び達成率に関しては、以下のとおりである。
・ 売上高営業利益率については、「Nissan NEXT」の着実な進展に向けて長期的な事業の持続性の観点から、目標を設定した。その実績は3.6%となり、達成率はその上限である125%となった。
・ 自動車事業のフリーキャッシュフローについては、黒字化を達成するために必要な水準で目標値を設定し、中国合弁会社比例連結ベースで、達成率はその上限である125%となった。
・ 売上高については、当社の業績見通しを踏まえて目標値を設定し、その実績は10兆5,967億円となり、達成率はその上限である125%となった。
・ カーボンニュートラル(環境)については、世界の機関投資家等の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動、水資源や森林保全の取り組み推進と、その情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPの気候変動のランキングで設定されている最上位のリーダーシップレベル(A又はA-)を維持することを2024年度までの目標値として設定した。実績はA-となり、達成率は100%となった。
・ 人権尊重(社会)については、ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブで、世界主要企業の人権への取り組みについて格付けを行う企業人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)の評価指標に基づく当社の2021年度の結果(11.5点)を踏まえ、日系の同業他社との比較で優れた値を目標値として設定し、達成率は100%となった。
上記を受け、2022年度の業績目標の総合達成率は123%となった。