有価証券報告書-第119期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)当社の経営方針・企業理念・行動方針
当社グループは、社会、環境との調和を求め、お客様から信頼していただける良きパートナーとして共に発展することを目指し、経営の基本方針として、次の企業理念・行動指針を掲げています。
・企業理念 : 「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。
・行動指針 : 私たちは、信頼をすべての基本とし、自ら考え、行動し続けます。
(商品) 「真のニーズを追究し、魅力ある商品・サービスの創造」
(自己) 「約束を守り、誠実で、迅速な対応」
(組織) 「世界の仲間とチームワークで達成」
(2)当社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、為替リスクや地政学的リスクの増大など、今後も予断を許さない状況が続くことが見込まれます。また、カーボンニュートラルへの潮流加速や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行など、社会環境の変化の中にあっても社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待など、一層の事業環境の変化が予想されます。
このような環境変化への対応は当社グループの社会的使命と責務であり、これらの変化への柔軟な適応は当社グループの持続可能な成長のためには必要不可欠であると認識しています。そのため当社グループでは、2030年に向けての中長期に目指す姿を“人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社”と定め、この中長期に目指す姿の実現に向けた取り組みを進めております。前中期経営計画(以下、「前中計」という)期間中(2019年3月期から2021年3月期まで)も、この中長期に目指す姿の実現に向け「攻め」の施策を展開し、アライアンス体制構築の完遂やピックアップトラックのフルモデルチェンジによる商品競争力強化等の成果を達成することができました。
今後は、中長期に目指す姿の実現に向け、社会とともに持続可能な成長を続けていくために、社会的価値の創造に一層取り組んでいくこととし、「中期経営計画 2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)を策定致しました。
この「中期経営計画2024」では、当社グループは「既存事業の拡大・収益向上」を図ると共に、「カーボンニュートラル戦略」および「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」の2つを「イノベーションの基軸」としてその実現・実装に向けて取り組んでまいります。そして、変革期を乗り越え、認められ、存続できる企業(=サステナブルな企業)となるべく「ESGを視点とした経営への進化」を強化して参ります。
2021年6月現在、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行継続・再流行(新規変異株の流行を含む)、ワクチンの効果、社会・経済状況の変化は、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により人々の生活様式が変化した社会において、社会インフラとしての物流の重要性はさらに高まっており、商用車メーカーとしての社会的責務である安定的な車両供給および稼働支援がこれまで以上に求められるようになってきています。
そのような中、当社グループは、事業拠点における感染予防策の実施、在宅勤務をはじめとするテレワーク等、COVID-19による影響を極小化するための各種措置を講じることにより、『運ぶ』を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たして参ります。
「中期経営計画 2024」で挙げている次の3つの軸は、自動車業界・商用車業界におけるお客様のご期待や技術的変革に対応するため中長期的な観点から抽出したものです。
①既存事業の拡大・収益向上
カーボンニュートラルの潮流の世界的な加速や社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待といった社会的要請への対応には、CASE(※)をはじめ多額の研究開発費・投資が必要となります。当社グループでは、財務健全性を維持しつつその原資を確保するため一層の収益力の強化を図り、「中期経営計画 2024」の最終年度である2024年3月期には、売上高2兆7,500億円、営業利益2,500億円を目標とします。そして、この中計施策の効果を中長期的に拡大し、5年後の2026年3月期に売上高3兆円・営業利益3,000億円につなげていくことを目指します。
そのための施策が、次に挙げる「商品/販売/サービス力強化」および「ものづくり革新」となります。
※略語:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリング)、Electric(エレクトリック、電動化)の総称
a.商品/販売/サービス力強化
ニーズの多様化が進んだ商用車市場においてお客様に選ばれ続けるためには、多様化するニーズに対応した商品力、その魅力をお客様に届ける販売力、さらに、商品販売以降の機会においてもお客様に価値提供するサービス力が必要不可欠であると当社グループでは考えています。
当社グループでは、前中計期間中も、環境性や安全性・快適性といった機能について刷新を図ったピックアップトラック「D-MAX」やその派生車である「MU-X」の新モデル投入による販売増を実現してきました。また、日本国内においては通信基盤「PREISM」の全車標準搭載による稼働サポート事業の展開により収益基盤の強化を図りました。
「中期経営計画 2024」期間中も引き続き商品・販売・サービス力の強化を目指していきます。具体的には、2021年4月にボルボ・グループより事業取得したUDトラックス株式会社との連携を進め、商品の相互補完、両社の拠点インフラを活用した販売力・サービス体制の向上など国内外のCV事業を更に強化していきます。また、LCV事業においてはタイなどで投入済みの新型LCVを120か国以上へ展開すると同時に、価格競争力を高めたワークホース車型の充実により商用ユースのお客様にも販路を拡大します。海外CV事業は、販売先地域での需要状況、使われ方、商品要望に鑑み、より柔軟に商品仕様の設定、稼働保証プログラム等も組み合せ、お客様に選んでいただくための取り組みを進めます。
b.ものづくり革新
当社グループでは、価格競争力の維持・向上と、適正な利益の確保による投資原資の獲得の双方の観点から、ものづくり革新の実現による一層の効率化が必要であると考えております。当社グループでは、前中計期間中も市場(販売地)近接のものづくり・サービス体制の定着を図り、各国において効率化・シェア上昇を達成しておりますが、今後も一層の効率化を推進していきます。
具体的には、UDトラックス株式会社とのシナジー効果を最大限に発揮し、開発・物流・生産・購買の各局面で実現してまいります。また、LCV事業では、新型LCVをタイと南アフリカで生産キャパシティを相互に補完可能な体制に転換します。
加えて、CASE対応等で増加が見込まれる開発費・商品投資については前中計期間中に構築したアライアンスパートナーと新技術分野での協業、また既存領域では共同して取組み、お互いの得意領域を補完し合うことで、リソース負担の大幅な増加を回避します。
②イノベーションの基軸への取り組み
当社グループでは、カーボンニュートラルと物流インフラへの期待などの社会的要請を踏まえ、次に挙げる「カーボンニュートラル戦略」と「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」をイノベーション推進の基軸に据え、集中的にリソース投入をしてまいります。当面はほとんどが社会実装のための実証実験の段階とはなりますが、5年後、10年後のイノベーションが実現する様に取り組みを加速します。
a.カーボンニュートラル戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」をはじめ、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた世界的な潮流は一層加速しています。当社グループとしても、2050年の社会が豊かで持続可能な社会であるために気候変動対策を重点課題の一つと捉えています。
当社グループでは2020年3月に中長期的視野で地球環境問題に取り組むための方向性を示す「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づき、当社グループでは2050年までに製品のライフサイクル全体、および事業活動から直接排出される温室効果ガス(GHG)ゼロに向けた取組みを進めています。
このような商品生産から廃棄までのライフサイクル全体を通じたCO2削減活動に取り組む姿勢が評価され、当社グループは2020年度には国際環境非営利団体CDPより気候変動対策に関する企業調査において最高評価であるAリストに認定されました。
今後も、商用車においても電動化/脱CO2化への転換が強く求められることを踏まえ、アライアンスパートナーとの協業を図りつつ積極的に対応を進めていく予定です。具体的には、新車商用車において2025年まではまずバッテリーEVやFCVの技術の実証を図ります。次に2030年頃までには経済性の成立を含め、選択した技術での量産化の準備を進めます。2030年代は商品ラインナップを整備・改良していく量産販売拡大の期間になると想定しています。並行して内燃機関に頼らざるをえない用途や使用条件に対し、カーボンニュートラル燃料活用の検討をすすめてまいります。電動化に向けた具体的目標やスケジュールの見通しは日々変わっており、今後も進捗を随時公表してまいります。
b.進化する物流への商用車メーカーとしての貢献
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う生活様式の変化により物流の社会インフラとしての重要性が一層増大し、その安定性・安全性への期待の高まりを背景とした物流の効率化が益々大きな社会課題になってきています。
当社グループとしても進化する物流への商用車メーカーとして貢献を図るべく、コネクテッド技術や自動運転技術などの先端技術の開発・活用に取り組んでまいります。
まず、コネクテッド技術については、これまでも当社グループでは、業界に先駆けて車載端末「PREISM」の活用により運行管理・ドライバー支援・稼働サポートサービス「MIMAMORI」などのコネクテッドサービスを展開してきました。今後、サービスメニューの拡大とオープン化が必要と考え、当社グループのみならず他社製の商用車を併用しているお客様においても総合的に稼働サポート可能なサービスの提供を目指していきます。
具体的には、より高度な運行管理や稼働サポートサービスを提供するため、当社と富士通株式会社との合弁会社がもつ商用車に関する車両コンディション情報や位置情報などの遠隔取得データを新たな商用車情報基盤に統合いたします。また、2021年3月に商用事業における新たな協業に合意した日野自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社とも連携し、日本国内での商用コネクテッドの共通プラットフォーム作りを目指します。お客様は各社共通のサービスを活用し、またビッグデータの活用が新たなサービスの発展を誘発し、それらが物流の効率化や脱炭素の取り組みの一助となることを目指します。
次に自動運転技術については、これまで当社グループでは隊列走行の実証実験や藤沢工場内での市街地自動配送実験などを通じて基礎を固めてきました。今後は、実際の活用場面を想定した実証実験を行い、現実の使用環境での有用性や問題点の検証を踏まえ、普及策の検討を加速します。加えて、アライアンスパートナーとの共同開発による開発の早期化を図り、最適化された社会インフラの早期実現を目指します。
③ESGを視点とした経営への進化
今後の商用車市場は、異業種からの参入の加速により競合企業の一層のグローバル化・多様化が想定されます。当社のコンペティター、パートナー、ステークホルダーも多様化しグローバルに広がっており、この状況変化の中でも認められる企業であり続ける為に、今までの企業体質・風土・経営の在り方を変える必要を強く認識しています。ESGを視点とし、先行するグローバルリーディングメーカーをベンチマークしつつ、この変革に取り組みたいと考えます。次の3つの視点を持ち、世界標準、社会価値、透明性などさまざまな視点に応えられる経営づくりを目指してまいります。
a.株主価値重視
当社グループには多様なステークホルダーが存在しており、こうしたステークホルダーとの適切な協働を欠いては、持続的な成長を実現することは困難です。その中でも資本提供者である株主は要となる存在であり、コーポレートガバナンスの規律の起点となるものです。
そこで、当社グループでは一層の株主価値を重視した経営を推進し、資本効率の向上により2026年3月期にROE15%を目指します。また、株主還元も強化し、配当性向は「中期経営計画 2024」期間平均で40%を目標と致します。加えて、資金状況を踏まえつつ機動的な自社株取得も検討していきます。
b.ガバナンス強化と開示拡充
当社グループの持続的成長のためには、株主をはじめとするステークホルダーとの適切な協働を欠かすことはできません。当社グループでは、協働のための前提となる、コーポレートガバナンスの実効性向上および適切な情報開示を一層推進していきます。
当社グループでは、ガバナンスの一層の強化を図るため、2021年6月25日開催の第119回定時株主総会において必要な定款変更等への承認を経て監査等委員会設置会社へ移行いたしました。また、取締役会による経営の監督機能強化およびその多様性の向上のため、今後、取締役の1/3を社外取締役とする体制といたします。
適切な情報開示の拡充については、財務報告の国際企業間の比較を容易にし、資金調達および株主価値向上を図ることを目的に、将来的なIFRS適用に向けて準備を進めるとともに、その適用時期について検討を進めてまいります。また、統合報告書を新たに発行することにより非財務情報の開示の一層強化を目指していきます。
c.イノベーションを創出する集団
カーボンニュートラルの潮流の世界的な加速や社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待等の社会的要請に応え、当社グループが持続的な成長を実現するためには、絶えずイノベーションを創出しつづけることのできる集団へと当社グループが変革していく必要があります。
そのため、人材の多様性を高めるとともに、多様な人材が「活躍を可能とする仕組み」を整え強い集団への成長を志向します。
(1)当社の経営方針・企業理念・行動方針
当社グループは、社会、環境との調和を求め、お客様から信頼していただける良きパートナーとして共に発展することを目指し、経営の基本方針として、次の企業理念・行動指針を掲げています。
・企業理念 : 「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。
・行動指針 : 私たちは、信頼をすべての基本とし、自ら考え、行動し続けます。
(商品) 「真のニーズを追究し、魅力ある商品・サービスの創造」
(自己) 「約束を守り、誠実で、迅速な対応」
(組織) 「世界の仲間とチームワークで達成」
(2)当社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、為替リスクや地政学的リスクの増大など、今後も予断を許さない状況が続くことが見込まれます。また、カーボンニュートラルへの潮流加速や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行など、社会環境の変化の中にあっても社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待など、一層の事業環境の変化が予想されます。
このような環境変化への対応は当社グループの社会的使命と責務であり、これらの変化への柔軟な適応は当社グループの持続可能な成長のためには必要不可欠であると認識しています。そのため当社グループでは、2030年に向けての中長期に目指す姿を“人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社”と定め、この中長期に目指す姿の実現に向けた取り組みを進めております。前中期経営計画(以下、「前中計」という)期間中(2019年3月期から2021年3月期まで)も、この中長期に目指す姿の実現に向け「攻め」の施策を展開し、アライアンス体制構築の完遂やピックアップトラックのフルモデルチェンジによる商品競争力強化等の成果を達成することができました。
今後は、中長期に目指す姿の実現に向け、社会とともに持続可能な成長を続けていくために、社会的価値の創造に一層取り組んでいくこととし、「中期経営計画 2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)を策定致しました。
この「中期経営計画2024」では、当社グループは「既存事業の拡大・収益向上」を図ると共に、「カーボンニュートラル戦略」および「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」の2つを「イノベーションの基軸」としてその実現・実装に向けて取り組んでまいります。そして、変革期を乗り越え、認められ、存続できる企業(=サステナブルな企業)となるべく「ESGを視点とした経営への進化」を強化して参ります。
2021年6月現在、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行継続・再流行(新規変異株の流行を含む)、ワクチンの効果、社会・経済状況の変化は、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により人々の生活様式が変化した社会において、社会インフラとしての物流の重要性はさらに高まっており、商用車メーカーとしての社会的責務である安定的な車両供給および稼働支援がこれまで以上に求められるようになってきています。
そのような中、当社グループは、事業拠点における感染予防策の実施、在宅勤務をはじめとするテレワーク等、COVID-19による影響を極小化するための各種措置を講じることにより、『運ぶ』を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たして参ります。
「中期経営計画 2024」で挙げている次の3つの軸は、自動車業界・商用車業界におけるお客様のご期待や技術的変革に対応するため中長期的な観点から抽出したものです。
①既存事業の拡大・収益向上
カーボンニュートラルの潮流の世界的な加速や社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待といった社会的要請への対応には、CASE(※)をはじめ多額の研究開発費・投資が必要となります。当社グループでは、財務健全性を維持しつつその原資を確保するため一層の収益力の強化を図り、「中期経営計画 2024」の最終年度である2024年3月期には、売上高2兆7,500億円、営業利益2,500億円を目標とします。そして、この中計施策の効果を中長期的に拡大し、5年後の2026年3月期に売上高3兆円・営業利益3,000億円につなげていくことを目指します。
そのための施策が、次に挙げる「商品/販売/サービス力強化」および「ものづくり革新」となります。
※略語:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリング)、Electric(エレクトリック、電動化)の総称
a.商品/販売/サービス力強化
ニーズの多様化が進んだ商用車市場においてお客様に選ばれ続けるためには、多様化するニーズに対応した商品力、その魅力をお客様に届ける販売力、さらに、商品販売以降の機会においてもお客様に価値提供するサービス力が必要不可欠であると当社グループでは考えています。
当社グループでは、前中計期間中も、環境性や安全性・快適性といった機能について刷新を図ったピックアップトラック「D-MAX」やその派生車である「MU-X」の新モデル投入による販売増を実現してきました。また、日本国内においては通信基盤「PREISM」の全車標準搭載による稼働サポート事業の展開により収益基盤の強化を図りました。
「中期経営計画 2024」期間中も引き続き商品・販売・サービス力の強化を目指していきます。具体的には、2021年4月にボルボ・グループより事業取得したUDトラックス株式会社との連携を進め、商品の相互補完、両社の拠点インフラを活用した販売力・サービス体制の向上など国内外のCV事業を更に強化していきます。また、LCV事業においてはタイなどで投入済みの新型LCVを120か国以上へ展開すると同時に、価格競争力を高めたワークホース車型の充実により商用ユースのお客様にも販路を拡大します。海外CV事業は、販売先地域での需要状況、使われ方、商品要望に鑑み、より柔軟に商品仕様の設定、稼働保証プログラム等も組み合せ、お客様に選んでいただくための取り組みを進めます。
b.ものづくり革新
当社グループでは、価格競争力の維持・向上と、適正な利益の確保による投資原資の獲得の双方の観点から、ものづくり革新の実現による一層の効率化が必要であると考えております。当社グループでは、前中計期間中も市場(販売地)近接のものづくり・サービス体制の定着を図り、各国において効率化・シェア上昇を達成しておりますが、今後も一層の効率化を推進していきます。
具体的には、UDトラックス株式会社とのシナジー効果を最大限に発揮し、開発・物流・生産・購買の各局面で実現してまいります。また、LCV事業では、新型LCVをタイと南アフリカで生産キャパシティを相互に補完可能な体制に転換します。
加えて、CASE対応等で増加が見込まれる開発費・商品投資については前中計期間中に構築したアライアンスパートナーと新技術分野での協業、また既存領域では共同して取組み、お互いの得意領域を補完し合うことで、リソース負担の大幅な増加を回避します。
②イノベーションの基軸への取り組み
当社グループでは、カーボンニュートラルと物流インフラへの期待などの社会的要請を踏まえ、次に挙げる「カーボンニュートラル戦略」と「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」をイノベーション推進の基軸に据え、集中的にリソース投入をしてまいります。当面はほとんどが社会実装のための実証実験の段階とはなりますが、5年後、10年後のイノベーションが実現する様に取り組みを加速します。
a.カーボンニュートラル戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」をはじめ、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた世界的な潮流は一層加速しています。当社グループとしても、2050年の社会が豊かで持続可能な社会であるために気候変動対策を重点課題の一つと捉えています。
当社グループでは2020年3月に中長期的視野で地球環境問題に取り組むための方向性を示す「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づき、当社グループでは2050年までに製品のライフサイクル全体、および事業活動から直接排出される温室効果ガス(GHG)ゼロに向けた取組みを進めています。
このような商品生産から廃棄までのライフサイクル全体を通じたCO2削減活動に取り組む姿勢が評価され、当社グループは2020年度には国際環境非営利団体CDPより気候変動対策に関する企業調査において最高評価であるAリストに認定されました。
今後も、商用車においても電動化/脱CO2化への転換が強く求められることを踏まえ、アライアンスパートナーとの協業を図りつつ積極的に対応を進めていく予定です。具体的には、新車商用車において2025年まではまずバッテリーEVやFCVの技術の実証を図ります。次に2030年頃までには経済性の成立を含め、選択した技術での量産化の準備を進めます。2030年代は商品ラインナップを整備・改良していく量産販売拡大の期間になると想定しています。並行して内燃機関に頼らざるをえない用途や使用条件に対し、カーボンニュートラル燃料活用の検討をすすめてまいります。電動化に向けた具体的目標やスケジュールの見通しは日々変わっており、今後も進捗を随時公表してまいります。
b.進化する物流への商用車メーカーとしての貢献
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う生活様式の変化により物流の社会インフラとしての重要性が一層増大し、その安定性・安全性への期待の高まりを背景とした物流の効率化が益々大きな社会課題になってきています。
当社グループとしても進化する物流への商用車メーカーとして貢献を図るべく、コネクテッド技術や自動運転技術などの先端技術の開発・活用に取り組んでまいります。
まず、コネクテッド技術については、これまでも当社グループでは、業界に先駆けて車載端末「PREISM」の活用により運行管理・ドライバー支援・稼働サポートサービス「MIMAMORI」などのコネクテッドサービスを展開してきました。今後、サービスメニューの拡大とオープン化が必要と考え、当社グループのみならず他社製の商用車を併用しているお客様においても総合的に稼働サポート可能なサービスの提供を目指していきます。
具体的には、より高度な運行管理や稼働サポートサービスを提供するため、当社と富士通株式会社との合弁会社がもつ商用車に関する車両コンディション情報や位置情報などの遠隔取得データを新たな商用車情報基盤に統合いたします。また、2021年3月に商用事業における新たな協業に合意した日野自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社とも連携し、日本国内での商用コネクテッドの共通プラットフォーム作りを目指します。お客様は各社共通のサービスを活用し、またビッグデータの活用が新たなサービスの発展を誘発し、それらが物流の効率化や脱炭素の取り組みの一助となることを目指します。
次に自動運転技術については、これまで当社グループでは隊列走行の実証実験や藤沢工場内での市街地自動配送実験などを通じて基礎を固めてきました。今後は、実際の活用場面を想定した実証実験を行い、現実の使用環境での有用性や問題点の検証を踏まえ、普及策の検討を加速します。加えて、アライアンスパートナーとの共同開発による開発の早期化を図り、最適化された社会インフラの早期実現を目指します。
③ESGを視点とした経営への進化
今後の商用車市場は、異業種からの参入の加速により競合企業の一層のグローバル化・多様化が想定されます。当社のコンペティター、パートナー、ステークホルダーも多様化しグローバルに広がっており、この状況変化の中でも認められる企業であり続ける為に、今までの企業体質・風土・経営の在り方を変える必要を強く認識しています。ESGを視点とし、先行するグローバルリーディングメーカーをベンチマークしつつ、この変革に取り組みたいと考えます。次の3つの視点を持ち、世界標準、社会価値、透明性などさまざまな視点に応えられる経営づくりを目指してまいります。
a.株主価値重視
当社グループには多様なステークホルダーが存在しており、こうしたステークホルダーとの適切な協働を欠いては、持続的な成長を実現することは困難です。その中でも資本提供者である株主は要となる存在であり、コーポレートガバナンスの規律の起点となるものです。
そこで、当社グループでは一層の株主価値を重視した経営を推進し、資本効率の向上により2026年3月期にROE15%を目指します。また、株主還元も強化し、配当性向は「中期経営計画 2024」期間平均で40%を目標と致します。加えて、資金状況を踏まえつつ機動的な自社株取得も検討していきます。
b.ガバナンス強化と開示拡充
当社グループの持続的成長のためには、株主をはじめとするステークホルダーとの適切な協働を欠かすことはできません。当社グループでは、協働のための前提となる、コーポレートガバナンスの実効性向上および適切な情報開示を一層推進していきます。
当社グループでは、ガバナンスの一層の強化を図るため、2021年6月25日開催の第119回定時株主総会において必要な定款変更等への承認を経て監査等委員会設置会社へ移行いたしました。また、取締役会による経営の監督機能強化およびその多様性の向上のため、今後、取締役の1/3を社外取締役とする体制といたします。
適切な情報開示の拡充については、財務報告の国際企業間の比較を容易にし、資金調達および株主価値向上を図ることを目的に、将来的なIFRS適用に向けて準備を進めるとともに、その適用時期について検討を進めてまいります。また、統合報告書を新たに発行することにより非財務情報の開示の一層強化を目指していきます。
c.イノベーションを創出する集団
カーボンニュートラルの潮流の世界的な加速や社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待等の社会的要請に応え、当社グループが持続的な成長を実現するためには、絶えずイノベーションを創出しつづけることのできる集団へと当社グループが変革していく必要があります。
そのため、人材の多様性を高めるとともに、多様な人材が「活躍を可能とする仕組み」を整え強い集団への成長を志向します。