四半期報告書-第119期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間(注1)における当社グループの業績は、国内において自動車生産が低調なこともあり減収でしたが、海外市場においては北米で好調な需要を背景に自動車販売が拡大したことや為替換算の影響(64億円)などもあり、売上高は1,857億円と前年同期に比べ95億円(前年同期比5.4%増)の増収となりました。利益面においては、アジアでの堅調な収益拡大や生産合理化などの収益改善策の効果もありましたが、北米の想定を上回る市場の拡大による増産への対応および新規受注製品の立上げの時期が集中したことによる想定外のコスト発生の影響が大きく、営業利益は28億円と前年同期に比べ20億円(前年同期比41.6%減)の減益となりました。経常利益は28億円(前年同期比39.2%減)、四半期純利益は曙ブレーキ山陽製造㈱の完全子会社化(平成26年7月31日付)に伴う減損損失等(減損損失2.2億円、環境対策費0.3億円 計2.5億円)を計上したことや繰延税金資産の一部を取崩したこと等により5億円の損失(前年同期は四半期純利益15億円)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①日本
自動車業界全体としては、消費税増税前の駆け込み需要の反動減による新車販売不振の影響が大きく、自動車販売は低調でした。当社日本国内事業においては、産業機械(フォークリフト・建機など)向け製品が前年同期比増収となりましたが、完成車メーカーの海外生産移管による減収の影響が大きく、売上高は646億円(前年同期比3.6%減)となりました。利益面では、受注減少による影響や業績連動による賞与等人件費の増加はあったものの、生産や調達の合理化、経費削減効果の実現や海外事業からのロイヤリティ収入の増加などもあり、営業利益は20億円と前年同期並みになりました。
②北米
アメリカ経済の改善が継続していることに加え、自動車ローンの低金利などもあり自動車販売は対前年同期比で5.5%増加しました。当社北米事業においても、自動車販売台数の増加及び為替換算の円安による影響(65億円)などにより、売上高は1,015億円(前年同期比10.6%増:現地通貨ベースでは3.4%の増加)となりました。利益面では、第2四半期以降、特にケンタッキー州のエリザベスタウン工場(以下、ABE Plant)において、生産数量の大幅な増加及びモデルチェンジによる新規受注製品の立上げが重なり、ディスクブレーキの一部生産ラインの負荷が高くなった為、3直7日稼動で対応せざるを得なくなったことから、人員増強および残業・休日出勤による労務費が大幅に増加し、加えて生産ラインの一時的な停止による緊急輸送(空輸の併用)での出荷対応などの想定外のコストが発生しました。結果として、18億円の営業損失(前年同期は営業利益3億円)を計上するに至りました。第4四半期においては、日本からの支援等人的リソースの投入や、日本を含む他生産拠点への生産移管、設備の増強などにより、ABE Plantでの生産ラインの負荷は緩和されてきており、緊急輸送にかかるコストも大幅に削減できる見込みであります。
③欧州
一部の地域で小型車の需要が回復したこともあり自動車販売台数は対前年同期比で増加しました。当社欧州事業においては、グローバルプラットフォーム(全世界での車台共通化)に対応したブレーキ製品(当社アジア拠点からの輸入)の取引が本格的に始まり、売上高は65億円(前年同期比26.6%増)となりました。利益面では、不採算ビジネスの価格適正化や合理化効果もありましたが、ブレーキパッドを中心とする摩擦材ビジネス(車両組み付け用・補修用向け共)が減少したことによる影響があったため、営業損失は4億円(前年同期は営業損失5億円)にとどまりました。尚、ブレーキ製品の収益はまだ工場が本格稼働していないこともあり、利益面での貢献はもう少し先になります。
④中国
中国市場においては販売・生産ともに伸び率は鈍化傾向にあるものの、依然安定した成長基調を保持しております。当社中国事業においては、新規ビジネスを含む受注の拡大や日系完成車メーカーからの受注の増加、為替換算の円安による影響(6億円)もあり、売上高は98億円(前年同期比39.4%増)となりました。利益面では、人件費の上昇や生産拡大に伴う償却費負担の増加などがあったものの、受注拡大の影響が大きく、営業利益は12億円(前年同期比33.5%増)と大幅な増益となりました。
⑤タイ
自動車購入支援策終了後の反動減が長引いている上に、上期からの景気減速で新車販売も低迷(対前年同期比37.3%減)が続いております。当社タイ事業においても新車販売の落ち込みの影響により、売上高は40億円(前年同期比18.9%減)となりました。利益面では、新車販売落ち込みによる影響があったものの、基幹部品(ブレーキピストン)の内製化を含む生産合理化の効果もあり、営業利益は2億円(前年同期比54.0%減)を確保しました。
⑥インドネシア
低価格多目的車(LMPV)やローコストグリーンカー(LCGC)などの販売が好調なこともあり、自動車販売は対前年同期比で増加しました。当社インドネシア事業においては、為替換算による影響(△11億円)もありましたが、日系四輪自動車メーカーからの受注が好調だったことや二輪車の販売も増加したこともあり、売上高は122億円(前年同期比5.5%増)となりました。利益面では、人件費の上昇に加え、原材料市況の悪化、為替換算の影響(△1億円)が大きく、営業利益は14億円(前年同期比6.0%減)となりました。
(注1)当第3四半期連結累計期間とは
(1)北米・中国・タイ・インドネシア 平成26年1月~平成26年9月
(2)日本・欧州 平成26年4月~平成26年12月 となります。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産は2,158億円と前連結会計年度末比166億円の増加となりました。
流動資産は773億円と前連結会計年度末比41億円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金が26億円減少した一方で、受取手形及び売掛金が40億円増加したことによるものです。固定資産は1,385億円と前連結会計年度末比125億円の増加となりました。主な要因は、日本・北米を中心とした設備投資により有形固定資産が88億円増加、株価の上昇により投資有価証券が51億円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債は1,536億円と前連結会計年度末比148億円の増加となりました。
流動負債は824億円と前連結会計年度末比132億円の増加となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が23億円増加したことや短期借入金が55億円、1年内返済予定の長期借入金が40億円増加したことによるものです。固定負債は712億円と前連結会計年度末比17億円の増加となりました。主な要因は、株価の上昇により繰延税金負債が14億円増加したことによるものです。なお、有利子負債残高1,007億円から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は893億円であります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は622億円と前連結会計年度末比17億円の増加となりました。主な要因は、株価の上昇によりその他有価証券評価差額金が33億円、為替換算調整勘定が6億円増加した一方で、四半期純損失を計上したことや配当金の支払いなどにより利益剰余金が22億円減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比22億円減少の114億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、53億円の収入(前年同期比29億円の収入減少)となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益23億円及び減価償却費76億円があった一方で、売上債権及び仕入債務のネット増減額による支出14億円及び法人税等の支払額21億円によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、125億円の支出(前年同期比5億円の支出減少)となりました。主な要因は、日本・北米を中心とする有形固定資産の取得による支出147億円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、47億円の収入(前年同期は59億円の支出)となりました。主な要因は、短期借入金の純増額48億円、長期借入れによる収入121億円があった一方で、長期借入金の返済による支出96億円、配当金の支払額13億円及び山陽製造での自己株式の取得による支出10億円があったことによるものです。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1,153百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は7,555百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は株式会社の支配に関する基本方針について定めており、その内容は次のとおりであります。
Ⅰ 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大量の株式買付行為に応じて当社株式の売買を行うかどうかは、最終的には当該株式を保有する株主の皆様のご判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかし、当社グループの企業価値を将来にわたって向上させるためには、中長期的な視点での企業経営が必要不可欠であり、そのためには、お客様、お取引先、従業員、地域社会などとの良好な関係の維持はもとより、1929年の創業以来、当社が築き上げてきた様々な専門的・技術的なノウハウの活用など、当社グループの深い理解による事業の運営が必須です。
また、突然の大量の株式買付行為がなされたときに、買付者の提示する当社株式の取得対価が妥当なものかどうかを株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠です。さらに、当社株式の継続保有をお考えの株主の皆様にとっても、かかる買付行為が当社に与える影響や、買付者が考える当社の経営に参画したときの経営方針、事業計画の内容、当該買付行為に対する当社取締役会の意見等の情報は、当社株式の継続保有を検討するうえで重要な判断材料になると考えます。
そこで、当社としましては、大量の買付行為を行う買付者において、株主の皆様の判断のために、当社が設定し事前に開示する一定の合理的なルールに従って、買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供し、一定の評価期間の経過を待つべきであると考えております。また、かかる合理的なルールに違反する買付行為に対して、当社取締役会が当該ルールに従って適切と考える方策をとることは、当社株主共同の利益を守るために必要であると考えております。
もっとも、当社は、大量の買付行為に応じて当社株式の売買を行うかどうかは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えておりますので、当該買付行為への対応策の導入・継続・廃止や当該対応策に基づく具体的な対抗措置の発動の是非については、基本的には当社株主総会における株主の皆様のご意向を直接確認することが望ましいと考えております(以上の当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する考え方について、以下「本基本方針」といいます。)。
Ⅱ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の本基本方針の実現に資する特別な取組み
1.本基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、企業理念を『私達は「摩擦と振動、その制御と解析」により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けて行きます』と定め、経営方針である「お客様第一」「技術の再構築」「グローバルネットワークの確立」に基づき、ブレーキ製品関連事業に経営資源を集中した事業展開により、業績の拡大を目指しております。
akebonoの基軸であり成長目標であるGlobal 30(OEMディスクブレーキパッド世界シェア30%の獲得)のゴールを平成32年度(2020年度)と定め、その達成に向け、平成27年度を最終年度とする新中期経営計画「akebono New Frontier 30 - 2013」を策定いたしました。
新中期経営計画は「将来に向けた技術の差別化」、「革命的な原価低減に向けた努力の継続と海外への展開」、「日米中心から日米欧アジアへのグローバル化の加速」を3本の柱としています。これは事業の拡大と企業価値の向上を目指し、OEMディスクブレーキパッド世界シェア30%の獲得に向けた競争力強化を図るものであり、平成22年に策定した基本戦略に変更はありません。概要は下記のとおりです。
<将来に向けた技術の差別化>これまで培ってきたノイズや振動に対する知見をさらに深めるとともに、それらをベースとした「コスト面での圧倒的な強さ(共通化/標準化・低コストブレーキ等)」「地球環境面で他社が追随できないような製品技術(軽量化・電動化・EV/HV車対応・環境負荷軽減製品の開発等)」「地球環境に優しくコスト競争力の高い次世代生産設備の開発等」「高性能車に装着される製品」「新興国で求められている小型・低価格車市場でも大きなシェアを取るための技術」等の競争力強化に取り組んでまいります。
<革命的な原価低減に向けた努力の継続と海外への展開>事業のあらゆる面を「共通化・標準化」していくことで効率を高め、個別のニーズには「特性」を組み合わせ、競争力を高めてまいります。また、現調化、グローバル最適生産による原価低減を更に推進してまいります。
<日米中心から日米欧アジアへのグローバル化の加速>グループの中心である日本を技術・ものづくりの情報発信基地としながら、グループ最大の事業規模となった北米事業の更なる拡大と強化、及び欧州における高性能ブレーキによるビジネス拡大、成長市場であるアジアを中心とした新興国ビジネスの強化を行ってまいります。同時に、グローバル供給網、グローバル開発体制の拡充による競争力強化により、グローバルプラットフォーム車への対応を図ってまいります。
2.本基本方針の実現に資する特別な取組みに関する当社取締役会の考え方
上記の中期経営計画に基づく取組みは、当社グループの市場価値を向上させ、その結果、当社株主共同の利益を著しく損なう買付者が現れる危険性を低減するものですから、本基本方針に沿うものであると考えます。また、かかる取組みは、当社グループの価値を向上させるものですから、当社株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかであると考えます。
Ⅲ 本基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(当社株券等の大量買付行為に関する対応策)
当社は、本基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社株券等の大量の買付行為への対応策として、以下に定める内容の合理的なルール(以下「大量買付ルール」といいます。)を設定いたします。
なお、Ⅲに記載する当社株券等の大量買付行為への対応策を以下「本プラン」といいます。
1.本プランの対象
本プランは、特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株券等(注3)の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。)を適用対象とします。但し、あらかじめ当社取締役会が同意した買付行為は、本プランの適用対象からは除外いたします。
なお、本プランの適用を受ける買付行為を以下「大量買付行為」といい、大量買付行為を行う者を以下「大量買付者」といいます。
注1:特定株主グループとは、
(ⅰ)当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。以下同じとします。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。以下同じとします。)並びに当該保有者との間で又は当該保有者の共同保有者との間で保有者・共同保有者間の関係と類似した一定の関係にある者(以下「準共同保有者」といいます。)又は、
(ⅱ)当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、競売買の方法によるか否かを問わず取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
注2:議決権割合とは、
(ⅰ)特定株主グループが、注1の(ⅰ)記載の場合は、①当該保有者の株券等保有割合(同法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株券等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。以下同じとします。)も計算上考慮されるものとします。)と、②当該保有者の準共同保有者の株券等保有割合とを合わせた割合(但し、①と②の合算において、①と②との間で重複する保有株券等の数については、控除するものとします。)又は、
(ⅱ)特定株主グループが、注1の(ⅱ)記載の場合は、当該大量買付者及び当該特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計を意味します。
なお、各株券等保有割合及び各株券等所有割合の算出に当たっては、総議決権の数(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)及び発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、四半期報告書及び自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
注3:株券等とは、金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等を意味します。
2.大量買付ルールの内容
(1)大量買付ルールの概要
大量買付ルールは、大量買付行為が行われる場合に、(i)大量買付者に対し、事前に当該大量買付行為に関する必要かつ十分な情報の提供を求め、(ⅱ)当該大量買付行為についての情報収集・検討等を行う時間を確保した上で、(ⅲ)取締役会が株主の皆様に当社経営陣の計画、代替案等の提示や、大量買付者との交渉を行ない、(ⅳ)当該大量買付行為に対し対抗措置を発動するか否かについて株主の皆様の意思を確認するための株主総会を開催する手続きを定め、かかる株主の皆様の意思を確認する機会を確保するため、大量買付者には、上記(i)から(ⅳ)の手続きが完了するまで大量買付行為の開始をお待ちいただくことを要請するものです。
(2)情報の提供
大量買付者には、大量買付行為の実行に先立ち、当社代表取締役宛に、大量買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先及び提案する大量買付行為の概要を明示した、大量買付ルールに従う旨の「意向表明書」をご提出いただいたうえで、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断及び当社取締役会としての意見形成のために必要かつ十分な情報(以下「本必要情報」といいます。)を提供していただきます。
当社取締役会は、意向表明書受領後10営業日以内に、大量買付者から提供いただくべき本必要情報のリストを当該大量買付者に交付します。当社取締役会は、大量買付者から提供された情報を精査し、必要に応じて当社取締役会から独立した外部専門家等と協議の上、当該情報だけでは不十分と認められる場合には、大量買付者に対して本必要情報が揃うまで追加的に情報提供を求めます。
本必要情報の具体的内容は、大量買付者の属性、大量買付行為の目的及び内容によって異なりますが、一般的な項目の一部は以下のとおりです。
①大量買付者及びそのグループ(共同保有者、準共同保有者及び特別関係者を含みます。)の概要(大量買付者の事業内容、資本構成、当社及び当社グループの事業と同種の事業についての経験等に関する情報を含みます。)
②大量買付行為の目的及び内容(買付等の対価の価額・種類、買付等の時期、関連する取引の仕組み、買付等の方法の適法性、買付等及び関連する取引の実現可能性等を含みます。)
③当社株券等の取得対価の算定根拠及び取得資金の裏付け(資金の提供者(実質的提供者を含みます。)の具体的名称、調達方法、関連する取引の内容を含みます。)
④当社及び当社グループの経営に参画した後に想定している経営者候補(当社及び当社グループの事業と同種の事業についての経験等に関する情報を含みます。)、経営方針、事業計画、財務計画、資本政策、配当政策、資産活用策等(以下「買付後経営方針等」といいます。)
⑤当社及び当社グループの取引先、顧客、従業員等のステークホルダーと当社及び当社グループとの関係に関し、大量買付行為完了後に予定する変更の有無及びその内容
なお、大量買付行為の提案があった事実及び当社取締役会に提供された本必要情報は、当社株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、当社取締役会が適切と判断する時点で、その全部又は一部を開示します。
(3)取締役会による評価期間
次に、当社取締役会は、本必要情報の提供が完了した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付の場合)又は90日間(その他の大量買付行為の場合)を取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)として設定します。当社取締役会は、本必要情報の提供が完了した場合には、速やかにその旨及び取締役会評価期間が満了する日を公表いたします。
取締役会評価期間中、当社取締役会は、必要に応じて当社取締役会から独立した外部専門家等の助言を受けながら、提供された本必要情報を十分に評価・検討し、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大量買付者との間で大量買付行為に関する条件改善について交渉したり、当社取締役会として当社株主の皆様に対し代替案を提示することもあります。
(4)当社株主総会における株主意思の確認
当社取締役会は、大量買付者において大量買付ルールが遵守されている場合、原則として、取締役会評価期間満了後に以下に定める要領に従って、すみやかに当社株主総会(以下「株主意思確認総会」といいます。)を開催し、株主の皆様のご判断に基づいて、大量買付行為に対し、対抗措置を発動すべきか否かを決するものとします。
但し、当社取締役会は、株主の皆様に大量買付行為に応じるか否かの判断を委ねるのが相当と判断する場合には、株主意思確認総会を開催しないことができるものとします(この場合、当社取締役会は、当該大量買付行為に対し対抗措置をとりません。)。
①当社取締役会は、株主意思確認総会において議決権を行使しうる株主を確定するために基準日(以下「本基準日」といいます。)を設定するため、本基準日の2週間前までに当社定款に定める方法により公告します。
②株主意思確認総会において議決権を行使できる株主は、本基準日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主とします。
③当社取締役会は、株主意思確認総会において株主の皆様に発動の是非をご判断いただくべき対抗措置の具体的な内容を、事前に決定のうえ、公表します。
④株主意思確認総会の決議は、法令及び当社定款第43条に基づき、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する当社株主が出席し、その議決権の過半数をもって行うものとします。
⑤大量買付者は、株主意思確認総会終結時まで、当社株券等の買付けを開始してはならないものとします。
(なお、大量買付者が株主意思確認総会終結時までに当社株券等の買付けを開始したときは、当社取締役会は、株主意思確認総会の開催を中止し、当社取締役会の決議のみにより対抗措置を発動することができるものとします。)
⑥当社取締役会は、株主意思確認総会にて株主の皆様が判断するための情報等に関し、重要な変更等が発生した場合には、本基準日を設定した後であっても、本基準日の変更、又は株主意思確認総会の開催の延期若しくは中止をすることができるものとします。
3.大量買付者が大量買付ルールを遵守した場合
大量買付者により大量買付ルールが遵守された場合は、上述のとおり、当社取締役会は、株主意思確認総会において対抗措置の発動を承認する決議がなされない限り、大量買付行為に対する対抗措置をとりません。
4.大量買付者が大量買付ルールを遵守しない場合
大量買付者により大量買付ルールが遵守されなかった場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社株主共同の利益を守ることを目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとり、大量買付行為に対抗する場合があります。大量買付者が大量買付ルールを遵守したか否か及び対抗措置の発動の適否は、当社取締役会から独立した外部専門家等の意見も参考にし、当社取締役会が決定します。
具体的にいかなる手段を講じるかについては、その時点で最も適切と当社取締役会が判断したものを選択することとします。具体的対抗措置として新株予約権の無償割当てを行う場合の概要は(注)新株予約権概要に記載のとおりです。
なお、大量買付者により、大量買付ルールが遵守されなかった場合であっても、当社取締役会は、株主の皆様のご意思を尊重する趣旨から、上記2(4)に定める要領に従って株主意思確認総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくこともできるものとします。
5.株主・投資家に与える影響等
(1)本プランの導入・継続が株主・投資家に与える影響等
本プランは、当社株主の皆様が大量買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、現に当社の経営を担っている当社取締役会の意見を当社株主の皆様に提供し、さらには、当社株主の皆様が代替案の提示を受ける機会を確保し、最終的には大量買付行為の提案を受けた時点における株主の皆様により対抗措置の発動の是非を直接的に判断していただくことを目的としています。これにより、当社株主の皆様は、十分な情報のもとで、大量買付行為に応じるか否かについて適切な判断をすることが可能となり、そのことが当社の企業価値ひいては株主価値の確保・向上につながるものと考えます。従いまして、本プランの導入及び継続は、当社株主及び投資家の皆様が適切な投資判断を行う上での前提となるものであり、当社株主及び投資家の皆様の利益に資するものであると考えております。
なお、前記3.及び4.において述べたとおり、大量買付者が大量買付ルールを遵守するか否かにより大量買付行為に対する当社の対応方針が異なりますので、当社株主及び投資家の皆様におかれましては、大量買付者の動向にご注意ください。
(2)対抗措置発動時に株主・投資家に与える影響等
大量買付者が大量買付ルールを遵守しない場合等一定の場合には、当社取締役会は、当社株主共同の利益を守ることを目的として、会社法その他の法律及び当社定款により認められている対抗措置をとることがありますが、当該対抗措置の仕組上、当社株主の皆様(大量買付ルールを遵守しない大量買付者、及び株主の皆様が株主意思確認総会において対抗措置を発動することが相当と判断した大量買付者を除きます。)が法的権利又は経済的側面において格別の損失を被るような事態が生じることは想定しておりません。例えば、具体的対抗措置として無償割当てによる新株予約権の発行を決議した場合に、当該新株予約権の無償割当てに係る権利落ち日以後に当該決議を撤回することは想定しておりません。当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令及び証券取引所規則に従って適時適切な開示を行います。
(3)対抗措置の発動に伴って株主の皆様に必要となる手続き
イ.株主名簿への記載・記録の手続き
対抗措置として、当社取締役会又は株主意思確認総会において、新株予約権無償割当てを実施することを決議した場合には、当社は、新株予約権無償割当てに係る割当期日を公告いたします。割当期日における当社の最終の株主名簿に記載又は記録された株主に新株予約権が無償にて割り当てられますので、株主の皆様が新株予約権の割当てを受けるためには、割当期日における最終の株主名簿に株主として記載又は記録される必要があります。
ロ.新株予約権の行使の手続き
対抗措置として、当社取締役会又は株主意思確認総会において、新株予約権無償割当てを実施することを決議した場合には、当社は、割当期日における当社の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様に対し、原則として、新株予約権の行使請求書(行使に係る新株予約権の内容・数等の必要事項及び株主ご自身が特定株主グループに属する者でないこと等について確認する旨の文言を記載した当社所定の書式によるものとします。)その他新株予約権の権利行使に必要な書類を送付いたします。新株予約権の無償割当て後、株主の皆様においては、行使期間内に、これらの必要書類を提出した上、原則として、新株予約権1個当たり1円以上で当社取締役会が新株予約権無償割当て決議において定める価額を払込取扱場所に払い込むことにより、新株予約権1個につき、当社取締役会が別途定める数の当社株式が発行されることになります。
ハ.当社による新株予約権の取得の手続き
当社は、当社取締役会が新株予約権を取得する旨の決定をした場合、法定の手続きに従い、当社取締役会が別途定める日の到来日をもって新株予約権を取得します。また、新株予約権の取得と引換えに当社株式を株主の皆様に交付するときは、速やかにこれを交付いたします。なお、この場合、かかる株主の皆様には、別途、ご自身が特定株主グループに属する者でないこと等について確認する旨の文言を記載した当社所定の書式による書面をご提出いただくことがあります。また、新株予約権の取得と引換えに当社株式を株主の皆様に交付するために振替株式を記録するための口座の情報の提供をお願いすることがあります。
なお、割当て方法、行使の方法及び当社による取得の方法の詳細等につきましては、対抗措置に関する当社取締役会の決議が行われた後、株主の皆様に対して情報開示又は通知いたしますので、当該内容をご確認ください。
6.本プランの有効期限
平成26年6月18日開催の当社第113回定時株主総会において本プラン継続の承認議案が可決されたため、本プランの有効期限は、平成27年6月30日までに開催される第114回定時株主総会の終結の時までとします。但し、当社第114回定時株主総会において本プランを継続することが承認された場合は、かかる有効期限は更に1年間延長されるものとし、その後も同様とします。当社取締役会は、本プランを継続することが承認された場合、その旨を速やかにお知らせします。
但し、本プランは、有効期限の満了前であっても、当社株主総会又は当社取締役会の決議に基づいて、廃止することができるものとします。また、当社株主共同の利益の保護の観点から、関係法令の整備や、東京証券取引所が定める上場制度の整備等を踏まえ随時見直しを行い、当社株主総会の承認を得て本プランの変更を行うことがあります。但し、関係法令及び取引所規則等の改廃に伴う、実質的な内容の変更を含まない本プランの技術的修正については、当社取締役会決議により行うことができるものとします。これらの変更又は修正を行う場合には、その内容を速やかにお知らせします。
なお、本プランの有効期限は当社第114回定時株主総会の終結の時までの約1年間ですので、取締役会が本プランの継続の承認を求める議案を同定時株主総会に提出しなければ本プランは延長されず失効しますし、また、有効期限の満了前に当社株主総会又は取締役会の決議に基づき本プランを廃止することもできます。さらに、本プランにおいては、取締役会があらかじめ同意をすれば、特定の当社株券等の買付行為に対する本プランの適用を排除することもできます。以上から、本プランはデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策。)ないしスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策。)のいずれにもあたりません。
7.本プランが本基本方針に沿うものであること、当社株主共同の利益を損なうものではないこと、及び当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと及びその理由
(1)本プランが本基本方針に沿うものであること
本プランは、大量買付ルールの内容、大量買付行為が為された場合の対応方針、株主及び投資家の皆様に与える影響等を規定するものです。
本プランは、大量買付者が大量買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供すること、及び当社取締役会のための一定の評価期間が経過し、株主の皆様に当社取締役会が対抗措置をとることの是非を株主意思確認総会において直接的に意思を確認した後にのみ当該大量買付行為を開始することを求め、これを遵守しない大量買付者に対して当社取締役会が対抗措置を講じることがある旨を定めております。
また、大量買付ルールが遵守されている場合は、原則として株主意思確認総会における株主の皆様のご判断に基づいて、大量買付行為に対して対抗措置を発動すべきか否かを決するものとしており、対抗措置の発動を承認する決議がなされない限り、大量買付行為に対する対抗措置をとらない旨を定めております。
このように本プランは、本基本方針の考え方に沿って設計されたものであるといえます。
(2)本プランが当社株主共同の利益を損なうものではないこと
Ⅰで述べたとおり、本基本方針は、当社株主共同の利益を尊重することを前提としています。本プランは、本基本方針の考え方に沿って設計され、当社株主の皆様が大量買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の意見の提供、代替案の提示を受ける機会の提供を保障し、最終的には大量買付行為の提案を受けた時点における株主の皆様により対抗措置の発動の是非を判断していただくことを目的としております。本プランによって、当社株主及び投資家の皆様は適切な投資判断を行うことができますので、本プランが当社株主共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであると考えます。
さらに、本プランの発効・延長が当社株主の皆様の承認を条件としており、当社株主が望めば本プランの廃止も可能であることは、本プランが当社株主共同の利益を損なわないことを担保していると考えられます。
(3)本プランが当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
本プランは、大量買付行為を受け入れるか否かが最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきことを大原則としつつ、当社株主共同の利益を守るために必要な範囲で大量買付ルールの遵守の要請や対抗措置の発動を行うものです。本プランは当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動は本プランの規定に従って行われ、原則として株主の皆様に株主意思確認総会において直接的に発動の是非を判断していただきます。また、当社取締役会は単独で本プランの発効・延長を行うことはできず、当社株主の皆様の承認を要します。
以上から、本プランが当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかであると考えております。
(注)新株予約権概要
1.新株予約権付与の対象となる株主及びその発行条件
当社取締役会で定める割当期日における最終の株主名簿に記載又は記録された株主に対し、その所有する当社普通株式(但し、当社の所有する当社普通株式を除く。)1株につき1個の割合で新たに払込みをさせないで新株予約権を割当てる。
2.新株予約権の目的となる株式の種類及び数
新株予約権の目的となる株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権の目的となる株式の総数は、当社取締役会で定める割当期日における当社発行可能株式総数から当社普通株式の発行済株式(当社の所有する当社普通株式を除く。)の総数を減じた株式数を上限とする。新株予約権1個当たりの目的となる株式の数は当社取締役会が別途定める数とする。但し、当社が株式分割又は株式併合を行う場合は、所要の調整を行うものとする。
3.発行する新株予約権の総数
新株予約権の割当総数は、当社取締役会が別途定める数とする。当社取締役会は、複数回にわたり新株予約権の割当を行うことがある。
4.各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額(払込みをなすべき額)
各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額(払込みをなすべき額)は1円以上で当社取締役会が定める額とする。
5.新株予約権の譲渡制限
新株予約権の譲渡による当該新株予約権の取得については、当社取締役会の承認を要する。
6.新株予約権の行使条件
議決権割合が20%以上の特定株主グループに属する者に行使を認めないこと等を行使の条件として定める。詳細については、当社取締役会において別途定めるものとする。
7.新株予約権の行使期間等
新株予約権の行使期間、取得事由及び取得条件その他必要な事項については、当社取締役会が別途定めるものとする。