有価証券報告書-第123期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/28 15:47
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事業等のリスク

当社グループの事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあると考えており、会社運営にあたり注意を払っております。
1) 技術革新・新製品開発におけるリスク
当社グループは、真のグローバリゼーションの中での事業拡大を目指し、将来のニーズを予測し、多大な経営資源を技術革新・新製品開発に投入しておりますが、市場、お客様ニーズ及び業界の技術の急激な変化等により、お客様の必要とする新技術・新製品がタイムリーに開発できなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2) 海外事業展開に伴うリスク
当社グループの生産及び販売活動は、日本のみならず、北米、欧州、アジア等の地域に展開しており、現時点で連結ベースでの海外売上高比率は約7割を占めるまでになりました。これらの海外での事業展開には、以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合、製品の生産、販売に遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延・停止は当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 予期しえない法律・規則、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
② 事業に対して不利な政治的または経済的要因の発生
③ 人財の採用と確保の難しさ及び労務問題の発生
④ 技術インフラの未整備
⑤ テロ・戦争・ストライキ等の社会的混乱
⑥ 大規模な自然災害や伝染病の発生
3) 生産技術・設備に関するリスク
当社グループは、お客様のグローバルプラットフォーム化などのニーズに対応するためには、モノづくりを世界共通にすることが必要と考え、安全、品質、効率、コスト面での更なる向上を図るため、IoTを含む生産技術開発及び生産設備への投資に積極的に取り組んでおりますが、これらを効果的かつタイムリーに実施できなかった場合、あるいは、当社戦略と市場のニーズにズレが生じた場合、その投資を回収できず、ビジネスチャンスを失い、結果として、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
4) 情報管理及び情報システムに関するリスク
当社グループでは、情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティ・個人情報保護について、ハード面・ソフト面(規則遵守・啓蒙活動)から漏洩防止等の情報管理の徹底に努めておりますが、当社グループで保有している機密情報、個人情報が漏洩した場合、会社の信用失墜により当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの殆どの業務は情報システムのサポートを受けており、システムも年々複雑化高度化しているため、想定を超える災害の発生やサイバー攻撃その他の原因で、システムの誤動作や停止が発生した場合、その内容や規模により、正常な事業の継続が困難になることから当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
5) 製品の品質に関するリスク
当社グループでは、安全・安心を支える上で品質は最も重要であると考え、常に、より高度な品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。但し、当社グループの製品は直接安全に関わる製品であり、万が一、製品の欠陥等が発生し、お客様への流出が防止できなかった場合、多大な費用の発生と社会的信用の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
6) 人財育成及び確保に関するリスク
当社グループにとって人財は経営の基盤であり、競争力を維持・向上し続けるためには、高度な専門技術に精通した人財、経営のマネジメント能力に優れた人財を採用し、高齢化に対する技術を伝承する人財を計画的に育成することが重要であると考えております。特に近年、グローバルな事業活動を一層進めるなかで、それらの環境で活躍できる人財の育成・確保が急務であり、国内外での積極的な採用活動、研修・教育の充実、コア人財の流出の防止などの施策を講じています。これらの施策にも拘わらず、当社グループの人財育成・確保、適材適所の配置が計画通り進まなかった場合、長期的視点から当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
7) 市場・経済状況の変化によるリスク
当社グループにおける営業収入は当社グループが製品を生産・販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。すなわち、日本・北米・欧州・アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う予測を超えた需要の縮小は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループにおける営業収入のうち、OEM製品の依存度が大きく、そのため自動車メーカー及びTier1メーカー(自動車メーカーの1次取引先)の業績不振、予期せぬ契約の打ち切り、価格の値引き、調達方針の変更は当社グループの事業、業績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の競合他社との競争の激化等により、製品価格あるいは販売量が大幅に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
8) 環境・安全に関する規制におけるリスク
当社グループでは、地球環境保全の見地から環境問題への対応は企業としての重要な社会的責任であると考えており、地球環境委員会を設置し、環境に配慮した製品の開発、CO2排出量削減を始めとして様々な環境対策を進めております。また、当社グループが事業を展開する各国における環境に関する規制及び自動車の安全性への規制は強化される傾向にあり、これらの規制を遵守するための技術的課題に適応する投資が増大すると予想しております。環境・安全規制への適応が難しい場合、当社グループへの社会的信頼が損なわれる可能性も想定され、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが過去に原材料として使用していたアスベストの問題については、社内に特別委員会を設置し、従業員・近隣住民を含めての健康診断や相談窓口を設ける等積極的対応を実施しておりますが、アスベストを含む製品に関連して発生する訴訟や費用負担が当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
9) 災害等に関するリスク
当社グループは、国内外に多くの事業拠点を有しております。地震、台風、洪水等の自然災害や強毒化した新型インフルエンザなど疫病の流行による操業停止をせざるを得ない様な事態の発生に備え、国内においては事業継続計画(BCP)の策定により危機管理マニュアルの整備から、従業員の安全確保、災害の未然防止、早期復旧、建物の耐震補強、設備の転倒防止、また、防災訓練・危機状態を想定した演習の実施など事業継続マネジメント(BCM)体制を構築中です。但し、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損、ライフライン・輸送ルート・情報インフラの寸断、人的資源への重大な影響などによる生産の中断といった事態が生じた場合、当社グループの事業活動の一部または全体に大きな支障をきたす可能性があります。また、損害を蒙った建物・設備等の修復のために多額の費用が発生したり、顧客への製品供給が遅れること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
10) コンプライアンスに関するリスク
当社グループでは、akebonoグローバル行動規範、akebonoグローバル行動基準やコンプライアンス規定等を整備し、定期的なコンプライアンス委員会の開催をはじめとしたコンプライアンス活動を行っております。コンプライアンス委員会において承認された年間活動計画に沿って、コンプライアンステストやヒアリング、下請法・インサイダー取引防止を含む各種研修など、社員のコンプライアンス意識向上のための各種施策を実施しております。また、コンプライアンスe-ラーニングをグローバルで導入しております。
社内・社外相談窓口に寄せられた相談については、適宜必要な調査を実施し、適切に対応しております。また、コンプライアンス活動状況と相談窓口への相談内容については、定期的に取締役会に報告しております。しかしながら、こうした対策は目的の達成を完全に保証したものではなく、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
11) 知的財産におけるリスク
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを保有しております。これらの技術とノウハウは今後の当社グループの発展に不可欠なものであり、これらの知的財産保護については最善の努力を傾注しておりますが、特定の地域では、知的財産権による保護が不完全であったり、限定的であったりします。このため、第三者が当社グループの知的財産を無断使用して類似した製品を製造することを防止できない可能性があり、このような場合、当社グループは損害を被ることになります。また、当社グループが知的財産権に関して、第三者より訴訟を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権行使のために訴訟を提起しなければならないことがあります。その場合において、多額の訴訟費用が費やされる可能性もあり、また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが特定の技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性もあります。このように、知的財産権について重大な係争問題が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
12) 原材料等の調達に関するリスク
当社グループは多数の外部取引先から原材料・鋼材・部品等を調達しておりますが、そのいくつかの原材料・鋼材・部品等については、市況変化による価格の高騰や品不足、特定の取引先への依存による取引先の生産能力不足による納入遅延、取引先が製造した製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、自然災害等によって、当社グループの製造コストの上昇、生産遅延・停止が起こり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
13) 為替・金利などの変動によるリスク
当社グループの事業は、各地域毎に原材料・部品の輸入、製品等の輸出の取引があります。また、当社グループの資産及び負債の一部は外貨建てであります。為替リスクを最小限に軽減すべく、当社グループは為替予約や資産と負債の額を通貨毎に同額とすることによるヘッジを実施しておりますが全てのリスクをヘッジすることは難しく、その変動は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の海外関係会社財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、当社グループの連結財務諸表作成時においてこれらの財務諸表は円換算されるため、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けることがあります。また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
14) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、米系完成車メーカーの乗用車生産からの撤退や、生産混乱に起因して次期モデル用ブレーキ製品の受注を逃したこと等の新たな北米事業の課題が発生し、当連結会計年度において、多額の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失183億円となり、連結貸借対照表の株主資本は△55億円となりました。その結果、財務制限条項に抵触し、一部の銀行借入の弁済を約定どおり進めることも困難となっていることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当該重要事象等を解消、改善するための対応策は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、当該重要事象等を解消すべく、当社らは、事業再生ADR手続を利用して関係当事者であるお取引金融機関の合意のもとで、今後の再成長に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指しております。
事業再生ADR手続のもとで、全てのお取引金融機関から一時停止の通知書(借入金元本の返済の一時停止等の要請)にかかる同意(追認)、及び、コミットメントライン契約に基づくプレDIPファイナンスにより借入れをすることを含めた主要取引金融機関による資金支援を頂いたことによって、当社グループの当面の資金繰りを確保しております。かかる事業再生ADR手続の中で、現在、事業再生計画案の協議を継続し、事業再生計画の成立を目指しておりますが、仮に事業再生計画が予定どおりに成立しない場合には、今後の資金繰りに重要な影響を及ぼし、当社の取引先に対する信用が悪化すること等により当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、「第5 経理の状況 注記事項 (継続企業の前提に関する事項)」に記載のとおり、現在策定中の事業再生計画案においては、財務体質の大幅な改善のため、スポンサーによる出資を受けることも検討しております。かかるスポンサー出資の具体的な金額や内容は本有価証券報告書提出日現在において未定ですが、これにより既存株主の皆様が保有する普通株式について希薄化が生じる可能性があります。
なお、上述した将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。