有価証券報告書-第86期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
当面の優先的に対処すべき課題の内容等
当社は、普遍的な企業目的「感動創造企業」の名の下に新たな価値を生み出すことで成長してきました。2030年に向けて、長期ビジョン『ART for Human Possibilities ~人はもっと幸せになれる~』を策定し、「Advancing Robotics」(ロボティクス/知的技術の活用)、「Rethinking Solution」(社会課題解決へのヤマハらしい取り組み)、「Transforming Mobility」(モビリティの変革)の3つの注力領域に取り組むことで、人々の可能性を拡げ、より良い社会と生活の実現を目指します。中期経営計画(2019年~2021年)は、①既存事業の稼ぐ力を維持・改善し、キャッシュ・フローを稼ぐこと、②成長戦略、基盤強化を株主還元とのバランスを取りながら進めること、を経営方針としています。2019年は成長戦略、基盤強化が進捗した一方、既存事業においては課題が残りました。2年目にあたる2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、ステークホルダーの安全・健康を第一にビジネスのかじ取りをしました。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を避けることはできず、中期経営計画の数値目標を取り下げました。2021年は、引き続き成長戦略、基盤強化の取り組みを進めながら、既存事業の収益体質の強化・回復を最重要課題として計画達成を目指します。また、コロナ禍で、人と社会の価値観が変化しています。パーソナルコミューターとして二輪車の再評価や、新たにアウトドアを趣味とする顧客が増えるなど新しい需要が起こりました。デジタル技術を活用しながら、これらの需要を取り込み、V字回復を目指します。
■既存事業の成長
[ランドモビリティ]
新興国二輪車ではヤマハらしい成長領域で収益基盤を構築し、アセアン市場では、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ需要が回復する中、コミュニケーションコントロールユニット搭載モデルを拡大し、広がるモビリティとしてのさらなる成長を進めます。また、プレミアムモデルの販売を増やすことで収益性の改善を目指します。インドでは、新しい排ガス規制対応モデルを中心にボリュームを増やしていきます。先進国二輪車と四輪バギー、ROVでは、構造改革や新モデル投入により収益性改善を目指します。また、パーソナルコミューターとして二輪車が再評価される中、増加する需要を取り逃すことなく拡大していきます。広がるモビリティとして新しい価値を提供すべく、新しく導入したLMW(リーニング・マルチ・ホイール)の第4弾となる「TRICITY300」の販売も拡大していきます。電動アシスト自転車では、新技術による新商品開発と戦略的パートナーシップにより総合的な価値提案を行い、グローバルに事業を拡大していきます。
[マリン]
アウトドア需要の高まりにより、船外機やウォータービークルの需要が増加し、さらなる成長の機会が生まれています。需要変動に対する生産・販売調整を迅速に実施します。また、豊かなマリンライフを提供すべく、新世代操船制御システム「HELM MASTER EX」を市場投入しました。初めての自社開発による完全電動式ステアリングを備えた制御システムで、マリンレジャーをもっと快適に楽しむことが可能になりました。引き続き、高収益体質の強化と持続的成長基盤の確立に取り組みながら、システムサプライヤー戦略をさらに進化させるべく、商品・技術戦略を遂行し、総合マリンビジネスを拡大していきます。
[ロボティクス]
ヤマハロボティクスホールディングス株式会社との事業シナジーを高めながら、経営の一体化を通じて成長速度を上げていきます。また、競争力を高めるため、他社との協業を通じ、パフォーマンスを高めていきます。将来の持続的な成長のためにロボティクスの研究開発及び生産体制の強化を進め、モノ創りの分野で省人化・自律化に貢献します。
■新規事業開発
『ART for Human Possibilities』の方向性に沿って、既存の技術・市場のシナジーを活かせる領域で新たな価値創造を進めます。2030年までに新規事業を存在感のあるものに育てることを見据え、今中期経営計画で、モビリティサービス、低速自動運転、農業省人化、医療省人化の4つの領域に絞り込みました。進捗状況としては、自動搬送ソリューション合弁会社の設立、低速モビリティサービスの実証実験、自動飛行が可能な「YMR-08AP」(産業用ドローン)の販売、農業用UGV(無人走行車両)によるブドウ収穫実験開始などに取り組んできました。今後は、引き続きこの4つの領域に経営資源を投入し事業化を目指していきます。
■財務戦略
既存事業の稼ぐ力を維持強化しながら、成長原資を確保し、新規事業に投入する方針です。また、キャッシュ・フローやバランスシートを重視し財務戦略を展開していきます。そのため、新たな指標としてCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とROIC(投下資本利益率)を重要KPIとして導入しました。今後はポートフォリオマネジメントを強化し、各事業の資本効率を高めていきます。株主の皆様への還元は、キャッシュ・フローの範囲内でバランスを取りながら、配当性向は30%を目安とし、安定的・持続的に行っていきます。
■重要な社会課題への取り組み
SDGsやThe Global Risks Reportから抽出した幅広い社会課題のうち、当社の経営資源の利用・調達に重大な影響を与える課題やその解決が当社の企業価値向上に大きく貢献する重要課題(マテリアリティ)を4つに集約しました。「イノベーション課題」、「人材活躍推進課題」を基盤となる課題として捉え、長期ビジョンの3つの注力領域への取り組みを通じて、「環境・資源課題」、「交通・教育・産業課題」に対応していきます。特に当社の基幹事業との関係性の強い「環境・資源課題」については、2050年CO2排出量ゼロを目指し、電動化のスピードアップを進めていきます。
当社は、普遍的な企業目的「感動創造企業」の名の下に新たな価値を生み出すことで成長してきました。2030年に向けて、長期ビジョン『ART for Human Possibilities ~人はもっと幸せになれる~』を策定し、「Advancing Robotics」(ロボティクス/知的技術の活用)、「Rethinking Solution」(社会課題解決へのヤマハらしい取り組み)、「Transforming Mobility」(モビリティの変革)の3つの注力領域に取り組むことで、人々の可能性を拡げ、より良い社会と生活の実現を目指します。中期経営計画(2019年~2021年)は、①既存事業の稼ぐ力を維持・改善し、キャッシュ・フローを稼ぐこと、②成長戦略、基盤強化を株主還元とのバランスを取りながら進めること、を経営方針としています。2019年は成長戦略、基盤強化が進捗した一方、既存事業においては課題が残りました。2年目にあたる2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、ステークホルダーの安全・健康を第一にビジネスのかじ取りをしました。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を避けることはできず、中期経営計画の数値目標を取り下げました。2021年は、引き続き成長戦略、基盤強化の取り組みを進めながら、既存事業の収益体質の強化・回復を最重要課題として計画達成を目指します。また、コロナ禍で、人と社会の価値観が変化しています。パーソナルコミューターとして二輪車の再評価や、新たにアウトドアを趣味とする顧客が増えるなど新しい需要が起こりました。デジタル技術を活用しながら、これらの需要を取り込み、V字回復を目指します。
■既存事業の成長
[ランドモビリティ]
新興国二輪車ではヤマハらしい成長領域で収益基盤を構築し、アセアン市場では、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ需要が回復する中、コミュニケーションコントロールユニット搭載モデルを拡大し、広がるモビリティとしてのさらなる成長を進めます。また、プレミアムモデルの販売を増やすことで収益性の改善を目指します。インドでは、新しい排ガス規制対応モデルを中心にボリュームを増やしていきます。先進国二輪車と四輪バギー、ROVでは、構造改革や新モデル投入により収益性改善を目指します。また、パーソナルコミューターとして二輪車が再評価される中、増加する需要を取り逃すことなく拡大していきます。広がるモビリティとして新しい価値を提供すべく、新しく導入したLMW(リーニング・マルチ・ホイール)の第4弾となる「TRICITY300」の販売も拡大していきます。電動アシスト自転車では、新技術による新商品開発と戦略的パートナーシップにより総合的な価値提案を行い、グローバルに事業を拡大していきます。
[マリン]
アウトドア需要の高まりにより、船外機やウォータービークルの需要が増加し、さらなる成長の機会が生まれています。需要変動に対する生産・販売調整を迅速に実施します。また、豊かなマリンライフを提供すべく、新世代操船制御システム「HELM MASTER EX」を市場投入しました。初めての自社開発による完全電動式ステアリングを備えた制御システムで、マリンレジャーをもっと快適に楽しむことが可能になりました。引き続き、高収益体質の強化と持続的成長基盤の確立に取り組みながら、システムサプライヤー戦略をさらに進化させるべく、商品・技術戦略を遂行し、総合マリンビジネスを拡大していきます。
[ロボティクス]
ヤマハロボティクスホールディングス株式会社との事業シナジーを高めながら、経営の一体化を通じて成長速度を上げていきます。また、競争力を高めるため、他社との協業を通じ、パフォーマンスを高めていきます。将来の持続的な成長のためにロボティクスの研究開発及び生産体制の強化を進め、モノ創りの分野で省人化・自律化に貢献します。
■新規事業開発
『ART for Human Possibilities』の方向性に沿って、既存の技術・市場のシナジーを活かせる領域で新たな価値創造を進めます。2030年までに新規事業を存在感のあるものに育てることを見据え、今中期経営計画で、モビリティサービス、低速自動運転、農業省人化、医療省人化の4つの領域に絞り込みました。進捗状況としては、自動搬送ソリューション合弁会社の設立、低速モビリティサービスの実証実験、自動飛行が可能な「YMR-08AP」(産業用ドローン)の販売、農業用UGV(無人走行車両)によるブドウ収穫実験開始などに取り組んできました。今後は、引き続きこの4つの領域に経営資源を投入し事業化を目指していきます。
■財務戦略
既存事業の稼ぐ力を維持強化しながら、成長原資を確保し、新規事業に投入する方針です。また、キャッシュ・フローやバランスシートを重視し財務戦略を展開していきます。そのため、新たな指標としてCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とROIC(投下資本利益率)を重要KPIとして導入しました。今後はポートフォリオマネジメントを強化し、各事業の資本効率を高めていきます。株主の皆様への還元は、キャッシュ・フローの範囲内でバランスを取りながら、配当性向は30%を目安とし、安定的・持続的に行っていきます。
■重要な社会課題への取り組み
SDGsやThe Global Risks Reportから抽出した幅広い社会課題のうち、当社の経営資源の利用・調達に重大な影響を与える課題やその解決が当社の企業価値向上に大きく貢献する重要課題(マテリアリティ)を4つに集約しました。「イノベーション課題」、「人材活躍推進課題」を基盤となる課題として捉え、長期ビジョンの3つの注力領域への取り組みを通じて、「環境・資源課題」、「交通・教育・産業課題」に対応していきます。特に当社の基幹事業との関係性の強い「環境・資源課題」については、2050年CO2排出量ゼロを目指し、電動化のスピードアップを進めていきます。