有価証券報告書-第110期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/24 15:42
【資料】
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【項目】
157項目

研究開発活動

当社グループは、創業以来築き上げてきた「技術開発力」と「モノづくり力」により社会課題の解決に挑戦し続け、「環境」「安心」「豊かな生活」を世界中にお届けしてまいります。
「環境」分野では、地球をクルマによる大気汚染や騒音から守ることと、カーボンニュートラルの実現を目指した研究開発を進めております。そのために、製品開発段階から自動車メーカー及びサプライヤーとともにLCA(ライフサイクルアセスメント)を意識したモノづくりを推進しております。取り組み事例としては、自然への負荷を減らしながら、クルマを使う人が幅広い選択肢を持てるように、PHEV、HEV用の航続距離向上につながるバッテリー容量の拡大を容易にする小型消音デバイスの開発と、その組み合わせによって多彩なレイアウトに最適対応できるモジュラーマフラの開発を推進しております。BEV(電気自動車)用では、大型バッテリケースやバッテリー冷却プレートの開発、既存エンジン車においては、産学協力のもと、超希薄燃焼技術の開発を進め、ガソリンエンジンの水素着火による燃費向上、CO2排出量の削減を目指した技術開発を強化しております。 また、新規事業のひとつとして既存の物流トラック(エンジン車)に後付け可能なCO2回収装置を搭載することで、走行時のCO2排出量ゼロと回収したCO2を利用できる中小型トラック向け車載用の「オンボードCO2回収システム」の開発を推進しております。第1回目の実車両での公道実験走行を実施しました。 今回の実験結果をもとに、システムの改良と回収後のCO2の利用先・利用方法の検討を進め、CO2を削減するだけではなく、活用するビジネスモデルの構築を目指しております。
「安心」分野では、クルマでの移動時の「安全」のために、衝突安全性能の向上を目指し、乗員を危険から守るボデー骨格部品の研究開発をモノづくり全体で進めております。これまでの部品単品の作り易さに特化した形状提案から、モノづくりとCAE解析の活用により、中規模組立部品での物流の効率化も含めた早期の構造提案を実施し、2023年10月に発売されたTOYOTA「クラウン(スポーツ)」にリアフロアパンアッセンブリやエプロンサブアッセンブリ等が採用されました。 新たに、鉄の可能性を追求し、成形技術やレーザー溶接技術を活用したさらなる大型化・一体化へのチャレンジや車両全体を考えたボデー部品と排気系部品等の機能を融合させたゾーン開発を進めております。また、幅広い1470MPa級冷間超ハイテン材の成形工法の開発も継続して進めております。衝突性能確認のためのCAE解析のさらなる向上、モノづくりのための精度向上CAE解析など、引き続き構造提案力とモノづくり力を進化させ、安全・安心につながるボデー部品を提供してまいります。
「豊かな生活」分野においては、人が豊かだと感じる生活シーンを想像し、実現できるモノとサービスをお届けしてまいります。農業事業では、環境負荷物質の削減と生産性の向上を両立する持続可能な農業をサポートし、安全安心な農作物をお届けできるような製品やシステムの開発を進めております。農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」が目指すゼロエミッション施設園芸の実現に貢献する化石燃料使用量ゼロ、CO2排出量実質ゼロとなる「木質バイオマス燃焼式 光合成促進システム」を開発しました。新たに、サーキュラーエコノミーに貢献する「エネルギー循環型農業システム」の開発に取り組むとともに、将来性を見越した低リスク農業への転換に必要な有機農業に貢献する「レーザー除草ロボット」の開発も産学官で継続して進めております。
新規事業などの先行開発分野に大きくリソーセスをシフトして開発スピードを上げるとともに、更にその前段階となるリサーチ分野についても活動を推し進めております。
研究開発活動は主に国内にて行っており、当連結会計年度における自動車等車両部品の事業を中心とした研究開発費は5,087百万円であります。