有価証券報告書-第78期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/23 16:46
【資料】
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【項目】
122項目

研究開発活動

当社グループは、研究開発を企業の競争力維持のための最重要経営課題であると認識し、これに取り組んでおります。「よい品を より安く より速く」顧客に提供するために、常に「世界的な視野に立ったハイエスト・クオリティー、ローエスト・コスト」を理念として、独創技術の開発に努め、新技術及び新製品を提案できる開発型の企業として、先端技術、現行技術の革新・改良と、それらを量産に結びつけるための研究開発を行っております。
当連結会計年度における研究開発活動に係る費用の総額は1,626百万円であります。なお、当該金額には既存製品の改良、応用等に関する費用が含まれており、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会)に規定する「研究開発費」は260百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
自動車部品関連事業
(1) 機構製品
主力製品であるシートアジャスタについては、「安全」「環境」「高付加価値」をキーワードとした製品開発を最重要テーマとして研究開発に取り組んでおります。
「安全」については、衝突時の乗員保護を目的とした高強度製品や衝撃を吸収する製品の開発に取り組んでおります。
「環境」については、低燃費を実現させるため、部品の削減、新素材、新加工による小型軽量化製品の開発に取り組んでおります。
「高付加価値」については、高齢化社会に向け利便性の優れた福祉車両用の回転リフトアップシートの開発に取り組んでおります。
また、CAE解析技術を活用した製品開発期間の短縮と、スライド、リクライニング、ハイトなどの基本機能向上、低コスト化を目指した研究開発活動を行っております。音・振動といった感覚的性能に優れたパワーシートアジャスタの開発及びパワー作動時の挟み込み防止技術などシートの動作を制御する電子ユニットとの融合開発を行い、自動車メーカー、シートメーカーへの提案と新製品の共同開発活動を行っております。
ウインドレギュレータについては、更なる小型・軽量化を実現した新構造の提案活動を行っております。
(2) 電装製品
電子ユニットについては、各種装置の複合制御を可能とした統合ユニットの製品化をはじめ、メモリーシートECUやシートベルトプリテンション制御ECUを製品化し、更に各種シートアレンジ制御など機構と電子を融合したメカトロニクス製品の研究開発を行っております。予防安全関連製品として運転者の視線を殆ど変えることなく速度表示を確認できるヘッドアップディスプレイの角度を制御するメカトロ技術を応用したECU内蔵アクチュエータを開発しております。
また、燃費向上に貢献する電圧変換制御ECUを製品化し、更に次世代環境対応車(EV、HEV)の電子機器製品及び車載カメラの映像信号から人の目では見落としがちな前方車両との距離、歩行者等を人の目の代わりとなって交通事故の減少に繋がる技術についても、積極的に研究開発を行っております。
ランプについては、市場ニーズに対応した機能性、意匠性、低価格化を重視した研究開発活動を実施し、LED素子を採用したリアコンビネーションランプ、方向指示器、ルームランプなどの多種の新規ランプを開発しております。
(3) その他の製品
大型二輪車用の電動スクリーン(風防の電動調整装置)、更に自動車向け製品以外としましては、機構・電装技術を応用した高齢化社会に貢献する製品の開発を行っております。
また、今仙グループの次世代の核となる製品、既存事業にとらわれない製品等を専門に研究・開発を行う部門を立ち上げ、積極的に取り組んでおります。
福祉機器関連事業
福祉機器の電動車いすについては、暮らしを支えるかけがえのないパートナーとして、安全性・快適性を徹底的に追求し、使われる方の快適さはもとより、介助する方や環境にも優しく、またデザインにまで心を配って開発しております。
重度障がい者を対象とした製品として、主力機種であります標準形に加え、背部と足部の角度を連動で無段階調整できる電動リクライニング式、座席と背部が一定の角度を維持しながら無段階で座位角度を変えられる電動ティルト式、電動リクライニングと電動ティルトの両方の機能を持つダブルリクライニング式、座面の高さを地上高12㎝から80㎝まで昇降調整できる電動リフト式など多様な高機能電動車いすの生産販売を行っております。
また、既存の手動車いすを電動化する簡易形電動車いすのモデルチェンジを行うとともに、軽量で高機能な部品を活用して、狭角度回転を可能とする簡易形電動6輪車を手動車いすメーカーと共同開発しております。そして障がい者の方にとって唯一の自力移動手段であることを踏まえ、使いやすさと安全性を重点に、一層の軽量化、小型化、高機能化を目指しております。
義足については、「使う人の要求を、作る人の立場で考える」というコンセプトのもと、様々な生活環境、体型、年齢などに合わせた最適な義足を提供するため、パーツ選択や交換、調整を容易に行えるモジュール化した義足部品の研究開発を行っております。膝継手では、歩行の際に求められる伸展屈曲の油圧制御機構や膝折れ防止機構など、安全性、快適性を追求した機能とともに、「見せる義足」として世界に先駆けてデザイン性を重視した製品は、グッドデザイン賞及び文部科学大臣表彰を受賞し、市場からも高い評価をいただいております。また、一般成人向け義足以外にも、軽量化を追求した高齢者向け義足や小児用義足など、ユーザにとって最適な義足を提供するためのシステム開発を行っております。更に、スポーツ用義足は、陸上競技用の疾走用膝継手やカーボン製足部、クロスカントリースキー用のステップ膝継手はパラリンピック競技選手などトップアスリートの方々にも使用して頂いております。2020年の東京パラリンピックに向け、更なる開発改良を行います。また、現在米国、アジア、EU諸国、ロシアなど18拠点の海外代理店があり、様々なニーズに対応できる製品開発をしていきます。
平成26年9月に販売を開始した「ACSIVE」は、名古屋工業大学の受動歩行ロボット研究から共同開発した、モーターも電源もいらない『無動力の歩行支援機』です。カーボンを使用したシンプル薄型軽量(500g台)設計で、簡単・スタイリッシュに脚に装着でき、装着すると楽に歩くことができます。歩行中、腰ユニットのバネが、体重を支える時にエネルギーを蓄え、膝を振り出す時にスムーズに力を放出し一歩一歩をアシストします。販売開始から半年になりますが、多くの方にご購入いただき、愛用され、好評を頂いております。この度、皆さまからのご要望が多かった両脚用ACSIVEを販売開始し、更に幅広い方にご使用していただけるようになりました。今後は、海外での販売拠点を構築し、海外展開を計画しております。
また、高齢化社会が進む中、高齢者の自立支援や介護実施者の負担軽減を目的とした様々な介護ロボットの開発に取り組んでいます。その中から移乗介助機器として、ベットから車いす、車いすからトイレなどへの移乗を補助する「i―PAL」を開発しました。施設等での実証試験を行い、今年秋の発売を予定しております。