有価証券報告書-第43期(平成25年10月1日-平成26年9月30日)

【提出】
2014/12/19 12:46
【資料】
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【項目】
116項目

対処すべき課題

(1)会社の対処すべき課題
今後の経営環境につきましては、長期化する欧州の景気低迷や中国経済の成長鈍化など楽観できない要因があり、わが国経済においても、円安株高が進行し、実体経済の確実な回復までには至っておらず、全体としては、先行きの不透明感があります。
当社グループの主要販売先である半導体製造・電子部品実装・液晶製造の各装置業界においても、設備投資回復に向けた動きが見られるものの、本格的な回復までには時間がかかることが見込まれます。
このような環境の中、当社は、平成26年12月5日開催の取締役会において、株式会社MVジャパン(以下、「MVジャパン」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結すること、および株式会社MVジャパンによる当社株式に対する公開買い付けについて、賛同の意見表明をするとともに、ショット・アーゲー(SCHOTT AG、本店所在地:ドイツ連邦共和国マインツ市、以下「ショット」といいます。)との資本業務提携を解消することを決議いたしました。
ショットおよびそのグループ会社(以下「ショット・グループ」といいます。)は、ショットを中核として、世界各地に所在する子会社および関連会社から構成される技術を基盤とした国際的な企業集団であり、特殊材料、部品、システムの開発・製造を営んでいますが、この度、グループ全体の新たな事業戦略を推進する上で、ガラス製品製造業者としての強みをより活かす原点回帰の事業戦略により軸足を移すこととなり、長期的な経営戦略の観点から、グループ全体の事業ポートフォリオの再評価および再設計を進めた結果、ショットの完全子会社であり当社の親会社であるショット日本株式会社(以下「ショット日本」といいます。)が所有する当社普通株式の全て(9,976,711株、所有割合71.60%(小数点第二位を四捨五入しております。)につき、新たなパートナー候補者を選定の上、これを譲渡することになったとのことです。
他方、株式会社MVジャパンは、シティック・グループに属する運用会社が運用する投資ファンド等によりケイマン諸島法に基づき設立されたMVHC Limited の完全子会社である、香港法に基づき設立されたMV Limited がその発行済株式の100%を保有する株式会社であり、当社の株式を保有し、当社との間での業務提携を遂行することを目的として平成26年11月に設立された株式会社であります。また、シティック・キャピタル・ホールディングス(CITIC Capital Holdings Limited、中信資本、以下「シティック・キャピタル」といいます。)は、中国で最大級の金融・産業コングロマリットであるシティック・グループの一員として平成14年に設立された、代替投資を中心とした投資運用と投資顧問を行う会社であります。設立は、シティック・グループの金融ビジネスの主要企業の一翼に位置づけられるシティック・インターナショナル・ファイナンシャル・ホールディングス(CITIC International Financial Holdings Limited、中信国際金融控股有限公司)と香港証券取引所の上場企業であるシティック・リミテッド(CITIC Limited、中国中信股份有限公司)の2社による出資によって行われ、その後、これにそれぞれ中国及びカタールの政府系投資ファンドであるチャイナ・インベストメント・コーポレーション(China Investment Corporation、中国投資有限責任公司)及びカタール・ホールディング(QatarHolding LLC)が株主として加わっています。なお、現在では、シティック・インターナショナル・ファイナンシャル・ホールディングスは株主ではありません。
当社グループでは、利益体質の強化を図るべく事業構造改革、ERPシステムの活用やスリム化した組織体系での事業活動などを進めてまいりました。また、当社グループはショット・グループの傘下企業であったことから、ショット・グループとの業務シナジーを最大限引き出しながら、事業のグローバル展開を図ってまいりました。
しかしながら、今後は、シティック・グループ傘下のMVジャパンとの間において資本提携を構築することで、当社グループの主力事業であるマシンビジョン事業における戦略販売地域であるアジア、特に中国市場での優位性の早期確立の確度を高めること、また、中国およびアジア地域における調達・生産面においては、中国深センに主要な生産拠点を有する当社グループにとって、シティック・キャピタルが保有するアジア、特に中国市場でのローカルパートナーと当社グループとの間の提携戦略の模索、特に現地部材調達適正化等の原価低減に資するサプライチェーン網の見直し等、長期的な視点でより安定した事業展開を行う上での地盤構築を図ることにより、当社グループの収益強化・企業価値向上の確度を高めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループの目標に対する基本的な考え方は、コア事業への投資を重点的に行うことにより、企業活力の維持や企業価値向上を目指して一定の成長を持続させることを目標としております。
当社グループとしては、出来る限り速やかに利益体質を定着化させ、早期の復配を実現することを経営課題として認識するとともに、継続的な利益配当を実施するためにも利益水準の向上を目指し、営業利益率10%の確保を目標といたします。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「CHANGE」「INNOVATION」「NEW BEGINNINGS」をテーマに、半導体製造・電子部品実装・液晶製造の各装置業界などを中心として、生産ラインに欠かすことのできないマシンビジョン技術をコア技術として多彩な製・商品を市場に投入し、事業規模の拡大を図ってまいりました。当社グループでは、今後特に重要性の高い顧客、パートナー企業、製品に経営資源を重点投入するとともに、主に中国およびアジアを中心としたグローバル市場における新たな事業展開、市場開拓、ローカルパートナーとの提携戦略など、また、今後の成長戦略の実行に結びつく経営管理機能の強化施策などを進め、収益力を高めてまいる所存です。