有価証券報告書-第68期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

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2018/03/29 13:33
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125項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業の原点「お風呂は人を幸せにする」を大切にしつつ、グローバル化の加速など今後の展開を見据え、グループミッションを新たに策定しております。グループミッション「新しい幸せを、わかすこと。 人と地球の笑顔に向けて 暮しの感動をお届けする ノーリツグループ」には、すべてのステークホルダーに対し「暮し」の領域で感動していただける価値を提供し、多くの笑顔を生み出していくことを目指して企業活動を進めていくという思いを込めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2020年度を最終年度とした中期経営計画『Vプラン20』に基づき、「売上高2,400億円、営業利益240億円、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益150億円、ROE8.0%」の達成を目標として取り組んでおります。
(3)中長期的な会社の経営戦略(中期経営計画)
世界経済は不透明感が強い状況にあるものの、新興国の生活水準向上、先進国での環境・省エネニーズは今後も継続・加速していくものと想定しております。一方、国内経済は長期的には人口減少や高齢化などを背景に需要の絶対数は減少傾向にあるものの、東京五輪、政府が掲げるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの普及に向けた政策などが需要を下支えするものと見込んでおります。また、新設住宅着工戸数など市場の鈍化が顕著になってくる一方でIoT、AIなど急速な技術進歩により、生活スタイルの変化から生まれる新たなニーズが広がってくるものと想定しております。
そのような環境下において、当社グループは「世界で戦えるノーリツグループ」をグループビジョンに据え、中期経営計画『Vプラン20』の実現に向けた活動を展開してまいります。「環境」「安全・安心」「快適」「健康・美容」を軸に、その事業領域を創業の原点である「お風呂」から「暮し」の領域に広げ、「経済的価値」「社会的価値」「ブランド価値」という3つの企業価値を追求し、当社グループを取り巻く各ステークホルダーに「幸せ」をお届けする企業グループを目指してまいります。
中期経営計画『Vプラン20』の実現に向けた重点施策は以下のとおりです。
① 事業ポートフォリオの再構築
主力である温水事業に経営資源を集中し、競争力のある新製品の開発・販売を強化するとともに、国内事業における低収益事業の再建に取り組みます。
② 国内事業の収益力強化
需要減少を前提とし、製造工程の付加価値の取込みなどによる「ものづくり変革」や、お客さまとの関係強化に向けた「マーケティング変革」により収益力強化を図ります。
③ 海外事業の継続拡大
差別性のある新製品開発や新規商材のラインアップなどを充実させ継続した成長を図ります。
④ 企業風土の改革
新たに定めたグループビジョン、バリューのさらなる浸透を図り、その価値観を社員全員で共有し「失敗を恐れず、チャレンジする企業集団」を目指した風土改革や制度改革に取り組みます。
また、事業活動を通じて解決すべき社会課題に対して、『Q+ESG』をキーワードに「品質」「環境」「社会」「ガバナンス」の切り口からその解決を図ります。
品質面においては、お客さまに長く安心してご使用いただけるよう、当社グループだけでなくビジネスパートナーとともに高品質な製品・サービスを追求してまいります。また、市場における経年劣化事故防止のために長期使用製品の点検を啓蒙する活動を進めてまいります。
環境面においては、家庭内エネルギー消費の大半を占める給湯・厨房・空調機器を取り扱う企業として、環境・省エネ機器の普及とその技術力のさらなる向上により低炭素社会の実現に貢献してまいります。
社会面においては、超高齢社会に突入する中、高齢者の入浴事故低減を目指す商品の普及や、障がい者の就労機会創出による自立支援など、本業を通じた取組みを進めてまいります。
ガバナンス面においては、コーポレートガバナンスの実効性を高めるため、経営体制の検討およびグループ会社管理の強化を進めてまいります。
買収防衛策について
① 基本方針の内容
当社は創業以来、神戸市に本社を置き、また昭和37年には隣接する明石市に工場を完成させ、両市を中心とし地域に密着した企業としてその恩恵を受けるとともに地域の発展にも貢献してまいりました。この間、当社はグループとして米国・中国等の海外への進出も含め事業領域を広げつつ、事業規模を拡大してまいりましたが、当社グループが製造・販売する生活設備機器は、今やライフラインの一端を担い、国民の皆様の生活基盤として重要な役割を果たすまでになっており、当社グループの社会的使命は大きく、公共性が高いものと自負しております。
また、当社グループは、「世界で戦えるノーリツグループ」をグループビジョンに据え、中期経営計画『Vプラン20』の実現に向けた活動を展開してまいります。「環境」「安全・安心」「快適」「健康・美容」を軸に、その事業領域を創業の原点である「お風呂」から「暮し」の領域に広げ、「経済的価値」「社会的価値」「ブランド価値」という3つの価値を追求し、当社グループを取り巻く各ステークホルダーに「幸せ」をお届けする企業グループを目指してまいります。
さて、資本市場のグローバル化が進展する中、日本における企業買収も、今後ますます増加するものと思われます。そのような中、他の製造業と同様、新たな基礎的技術を研究・開発し、これを商品化するまでには長い年月を要する当社においては、中長期的なビジョンに基づいた経営が当社株主の皆様全体の利益、同時に当社商品・サービスの利用者である国民の皆様の利益にも繋がると考えております。
しかし、当社株式の大規模買付者が出現した場合、当社株主の皆様が、当社の企業価値及び具体的な買付提案の条件・方法等について十分に理解された上で、当該買付行為に応じるか否かの決定・判断を短期間のうちに適切に行うことは、極めて困難であると考えられます。
そこで、上述した事情を踏まえた上で、今後想定される「当社株式の大規模買付行為」について、大規模買付者に対してその目的や内容、買付対価の算定根拠等の十分な情報提供と十分な熟慮期間の確保を要請することにより、当社株主の皆様が適切な判断をしていただくための措置として、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下、「本対応方針」といいます。)を策定し維持することが必要であると考えます。
当社は、大規模買付行為の是非は当社株主の皆様の判断に従うという考え方を基本に、当社の企業理念に立脚した、開かれた経営を進めてまいります。以上のような取組みにより、当社は、今後もさらなる株主重視の経営を推進し、企業価値の最大化を図ってまいります。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社取締役会は、あらゆる大規模買付行為に対して否定的な見解を有するものではありません。しかし、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値及び株主共同の利益を明確に毀損するもの、大規模買付行為に応じることを株主の皆様に強要して不利益を与えるおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主に対し大規模買付行為の内容や大規模買付者についての十分な情報を提供せず、株主による買付条件等の検討や対象会社の取締役会による検討・代替案の提案に要する十分な時間を提供しないもの等、必ずしも対象会社の企業価値、ひいては、株主共同の利益を確保し、向上させることにはならないと思われるものも存すると考えられます。そのような大規模買付行為に対しては、当社としてこのような事態が生ずることのないように、予め何らかの対応方法を講ずる必要があると考えます。もっとも、そのような大規模買付行為以外の大規模買付行為については、それを受け入れるべきか否かの最終的な判断は、当社取締役会ではなく当社株主の皆様に委ねられるべきものと考えております。
このように、最終的な判断が当社株主の皆様に委ねられるべき場合において、大規模買付行為に対して当社株主の皆様が適切な判断を行うためには、当社株主の皆様に十分な情報提供がなされ、かつ十分な熟慮期間が与えられる必要があります。このような観点から、本対応方針は、大規模買付者に対して、以下に述べるような情報提供を行った上で、当社株主の皆様のための熟慮期間が経過するまでは大規模買付行為を開始しないよう求めることを基本としております。
なお、当社株主の皆様がこのような判断を行うための十分な情報提供という観点から、大規模買付者自身の提供する情報に加え、それに対する当社取締役会の評価・検討に基づく意見や、場合によっては当社取締役会による新たな提案も、当社株主の皆様にとっては重要な判断材料になると考えます。これは、当社グループ事業の沿革及び現状に鑑みれば、大規模買付者のみならず当社取締役会からも適切な情報提供がなされることが、当社株主の皆様が、当社の当面の事業運営ひいては長期的視点に立った経営に有形無形の影響を与え得る大規模買付行為の買付対価をはじめとした諸条件の妥当性等を判断する上で役立つものと考えられるからです。このような観点から、当社取締役会としては、当社株主の皆様により適切な判断をしていただけるよう、大規模買付者に対して大規模買付行為に関する情報提供を求め、かかる情報提供がなされた後、当社取締役会においてこれを評価・検討し、当社取締役会としての意見を取りまとめて公表いたします。そして、当社取締役会が必要と判断した場合は、大規模買付者との交渉や当社株主の皆様への代替案の提示を行うこととします。
当社取締役会は、上記の基本的な考え方に立ち、大規模買付行為が、これを具体化した一定の合理的なルールに従って進められることが当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資すると考え、当社株式の大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めます。そして、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当該違反のみをもって、一定の対抗措置を講じることができるものといたします。上記の基本的な考え方に照らし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないこと自体が、当社株主の皆様が適切な判断をするために必要な情報と時間の確保に対する脅威であり、当社株主共同の利益を損なうものと考えられるからです。
また、当該ルールを予め設定し透明性を図ることは、当該ルールを設定していない場合に比して、大規模買付者の予見可能性を確保し、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に適うような大規模買付行為に対してまで萎縮的効果を及ぼし、これを制限してしまう事態を未然に防止できることにもなると考えております。
もっとも、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、当社取締役会の判断で当社の企業価値及び株主共同の利益を確保するために相当と認められる対抗措置を講じることがあります。なお、対抗措置を発動する手続きを開始した後に対抗措置を発動することが相当でないと考えられる状況に至ったときは、当社取締役会は、対抗措置の発動を中止することがあります。この場合、対抗措置が発動されることを前提として当社株式の売買を行った投資家の皆様は、株価の変動により相応の損害を被る可能性があります。
本対応方針の有効期間は、平成31年に開催される当社定時株主総会後、最初に開催される取締役会の終了時点までとします。但し、かかる有効期間の満了前であっても、①当社の株主総会又は当社の取締役会において本対応方針を廃止する旨の議案が承認された場合は、本対応方針はその時点で廃止されるものとし、②当社の株主総会において本対応方針を変更する旨の決議がなされた場合、本対応方針はその時点で変更されるものとします。
また、当社取締役の任期は1年とされているところ、本対応方針については、当社定時株主総会の終結後最初に開催される当社取締役会において、その継続、廃止又は変更の是非につき検討・討議を行います。
従って、本対応方針は、当社株主の皆様のご意向に従って随時これを廃止又は変更させることが可能です。
本対応方針の廃止、変更等が決議された場合には、当社は、当社取締役会又は特別委員会が適切と認める事項について、適用ある法令等及び金融商品取引所規則に従って、速やかに当社株主の皆様に対して開示いたします。
③ 不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(1.企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、2.事前開示・株主意思の原則、3.必要性・相当性確保の原則)を以下のとおり充足しており、また、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の趣旨も踏まえた内容となっているため、当社取締役会は本対応方針が高度な合理性を有していると判断しております。
イ) 当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本対応方針は、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間、あるいは当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保すること等を可能にするものであり、当社企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されるものです。
ロ) 株主の合理的意思に依拠したものであること
当社は、平成28年3月30日開催の当社定時株主総会において、本対応方針を議案としてお諮りして株主の皆様の意思を確認させていただいております。
また、株主意思の確認手続きを実施する場合には、対抗措置の発動に対する当社株主の皆様の直接の意思に依拠することになります。
ハ) 独立性の高い社外者の判断の重視
当社は、本対応方針の運用に関し、対抗措置発動等の運用に際して、当社取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う諮問機関として、特別委員会を設置しております。
また、特別委員会の委員は3名以上5名以内とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立し、当社及び当社の経営陣との間に特別の利害関係を有していない社外監査役、弁護士、公認会計士、税理士、若しくは学識経験者、社外の経営者、又は投資銀行業務若しくは当社の業務領域に精通している者等の中から当社取締役会が選任しております。
ニ) 合理的な客観的発動要件の設定
本対応方針は、予め定められた合理的かつ詳細な客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
ホ) 取締役の恣意的判断防止のための措置
本対応方針は、判断の公正さを担保された特別委員会の勧告を最大限尊重するように設定されており、また、株主意思の確認手続きを実施する場合には、株主総会を開催し対抗措置の発動に対して株主の皆様の意思を直接反映することにより、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
ヘ) デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本対応方針は、当社の株主総会又は株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止又は変更することができるものとされておりますので、いわゆるデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は取締役の任期を1年としているため、本対応方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。