有価証券報告書-第12期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/25 10:31
【資料】
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【項目】
126項目

研究開発活動

(1)研究開発活動の方針
当社グループでは、研究開発活動の基本方針として「市場ニーズを先取りした、常にユーザーに信頼いただける製品を実現するための新技術の創出」に重点を置いております。そのために、
・ゴルフ・テニスのプレーそのものに関する研究
・プレーにおいて用具に求められる役割・性能に関する研究
・用具が性能を発揮するメカニズムに関する研究
・プレーヤーの技量・体力やスポーツに求める目的の違いに合わせた機能開発に関する研究
等、多面的な角度から研究開発活動を行っております。
なお、当社グループの研究開発活動は、スポーツ用品事業においてのみ行っており、サービス・ゴルフ場運営事業及びウェルネス事業では行っておりません。
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,477百万円であります。
(2)研究開発活動の体制
当社グループの研究開発体制は、当社並びにクリーブランド社に研究開発部門を設置しており、最新のコンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新製品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。
(3)研究開発活動の特徴及び成果
当社独自のデジタルシミュレーション技術(※1)である「デジタルインパクトテクノロジー」は、ゴルフスイングにおけるインパクトの瞬間を1億分の1秒ごとに細分して分析することを可能にした高精度のシミュレーション技術である「デジタルインパクト」から、さらに対象をインパクトの前後にまで拡大し、人間の感性・フィーリングといった領域まで踏み込んだ「デジタルインパクトⅡ」へと発展させております。これらは、スイング、シャフト、空力、弾道シミュレーションといったテクニカルなプラットフォームに加え、人体の負荷・疲労、打球感、サウンドシミュレーションといったヒューマンプラットフォームへとその解析領域を拡げることを可能としており、ゴルフボールやゴルフクラブ等の製品開発に大きな成果をあげております。
また、材料面に関しても、高度な材料開発技術の使用や積極的な新素材の採用などにより、新製品の一層の機能性向上に寄与させております。これらの製品開発活動により具現化された新製品の主な品目別の特徴及び成果は以下のとおりであります。
ゴルフクラブでは、「ゼクシオ」ブランドにおいて、「NEW ゼクシオ プライム」を開発し製品化しました。「NEW ゼクシオ プライム」は、ゴルフクラブ全体の軽量化を実現し、軽く速く振れるゴルフクラブとなっております。シャフトに新素材の「ストレッチフィル」を採用し、シャフト先端の強度を向上させることでシャフトの軽量化を実現しました。「ストレッチフィル」は、カーボン繊維を覆っている樹脂層に、硬い分子と伸縮性に優れた分子を組み込むことで強度を向上させております。また、この「ストレッチフィル」が伸縮することでショット時の衝撃を吸収し、気持ち良い打球感を実現しております。
「NEW ゼクシオ プライム」ドライバーは、フェース周辺部の薄肉化により反発性能を向上させた新カップフェースを採用し、ボールスピードをアップさせました。また、スイートエリアを従来モデル比で約8%拡大することに成功し、平均飛距離のアップを実現しております。
「NEW ゼクシオ プライム」アイアンは、フェースの薄肉エリアをフェース下部へ従来モデル比で約20%拡大したことにより、フェース下部での反発性能が向上し、「大きな飛び」が得られるようになりました。また、ソールには高比重のタングステンニッケルウェイトを配置し、高いヘッド慣性モーメント(※2)を維持しながら低重心化を達成しております。
「スリクソン」ブランドにおいては、「スリクソン NEW Z シリーズ」を開発し製品化しました。「スリクソン NEW Z シリーズ」は、世界で活躍する当社契約選手から高い評価を受け、上級者や競技志向のゴルファーから大きな信頼を得ています。
「スリクソン NEW Z」ドライバーは、プロが唸る弾道を追い求め、新肉厚設計「ブースターカップフェース」によりスイートエリアが従来モデル比で35%大きくなり、特にオフセンターでの反発性能が向上しました。さらに、「デュアルスピードテクノロジー」で「ヘッドスピード」と「ボールスピード」の2つのスピードアップを達成し、プロが認める飛距離性能を実現しました。
「スリクソン NEW Z」アイアンは、抜けがよく操作性に富んだ新ソール設計「ツアーV.T.ソール」により、さまざまなライで思い通りのコントロールショットを可能にし、プロが求める安定した飛距離性能を実現しています。
「クリーブランド」ブランドにおいては、「588 RTX 2.0 ウエッジ」シリーズを開発し製品化しました。「588 RTX 2.0 ウエッジ」シリーズは、溝、フェースミーリングともに進化して、スピン性能がアップしております。溝の幅を広げることで異物排除効果を高める「ツアージップグルーブ」を新たに搭載すると共に、従来モデルよりもエッジの角度を小さくしてシャープさを高めることでスピン性能を向上させております。さらに、カーブ状のフェースパターンとコンピューター制御によるレーザーミーリングによりフェース表面の摩擦力を向上させ、小さなショットでも安定したスピン性能を発揮します。
ゴルフボールでは、「スリクソン」ブランドにおいて、「NEW スリクソン Z-STAR シリーズ」を開発し製品化しました。「NEW スリクソン Z-STAR シリーズ」は風に負けない強弾道とソフトなフィーリングをさらに進化させております。ディンプルの占有率を維持しながらひとつひとつのディンプルサイズの均一度を向上させた新開発の「強弾道324スピードディンプル」が空気抵抗を軽減し、さらに強い弾道を実現します。また、新開発コーティング「Spin Skin」と極薄スーパーソフトネオウレタンカバーにより、フェース溝への食い込みが従来モデル比で約25%アップし、ソフトなフィーリングと安定したスピン性能を発揮します。
テニスラケットでは「スリクソン」ブランドにおいて、「スリクソン REVO CX」シリーズを開発し製品化しました。「スリクソン REVO CX」シリーズは、「ソニックコア・テクノロジー」を新たに採用し、高反発ウレタンを素材とする「ソニックコア」をフレーム内部に装着しております。ボールインパクトの衝撃で「ソニックコア」が収縮することによりパワーを蓄積し、ボールの変化と同調しながら「ソニックコア」が復元することによりフレームの反発力を効果的に増幅します。操作性と柔らかな打球感を維持したままボールスピードの向上を実現しております。
※1 デジタルシミュレーション技術:スーパーコンピューターを駆使し、ボールとゴルフクラブやテニスラケット等との衝突の瞬間の構造的な変化を解析し、設計に応用する技術。解析レベルの高精度化に加え、開発期間の短縮化を実現している。
※2 慣性モーメント:運動する物体がそのままの状態であり続けようとする力の量を示すもの。