有価証券報告書-第92期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/24 15:35
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事業等のリスク

当社グループは、その広範にわたる事業の性質上、市場リスク・信用リスク・投資リスクをはじめ様々なリスクにさらされております。これらのリスクは、予測不可能な不確実性を含んでおり、将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらのリスクに対処するため、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクの監視及び管理を行っておりますが、これらのすべてのリスクを完全に回避するものではありません。
将来事項に関する記述につきましては、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものであります。
(1)マクロ経済環境に関するリスク
当社グループは、国内における商品売買・輸出入・海外拠点間における貿易取引に加え、金属資源やエネルギーの開発等、多様な商取引形態を有し、各事業領域において原料調達から製造・販売に至るまで幅広く事業を推進しております。
主な事業領域ごとの特性として、プラント・自動車・建設機械等の機械関連取引、金属資源・エネルギー・化学品等のトレード並びに開発投資については世界経済の動向に大きく影響を受ける一方、繊維・食料等の生活消費関連分野は相対的に国内景気の影響を受けやすいと言えます。但し、経済のグローバル化の進展に伴い、生活消費関連分野についても世界経済の動向による影響が大きくなっております。
当社グループは、世界各地で取引及び事業展開をしているため、世界経済全般のみならず、海外の特定地域に固有の経済動向も、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2)市場リスク
当社グループは、為替相場、金利、商品市況及び株価の変動等による市場リスクにさらされております。そのため、当社グループは、バランス枠設定等による管理体制を構築するとともに、様々なヘッジ取引を利用すること等により、為替相場、金利及び商品市況の変動等によるリスクを最小限に抑える方針であります。
① 為替リスク
当社グループは、輸出入取引が主要事業の一つであり、外貨建の取引において為替変動リスクにさらされております。そのため、先物為替予約等のデリバティブを活用したヘッジ取引により、為替変動リスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。
また、当社の海外事業に対する投資については、為替の変動により、為替換算調整勘定を通じて株主資本が増減するリスク、期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 金利リスク
当社グループは、投資活動、融資活動及び営業取引に伴う資金の調達や運用において金利変動リスクにさらされております。そのため、投資有価証券や固定資産等の金利不感応資産のうち、変動金利にて調達している部分を金利変動リスクにさらされている金利ミスマッチ額として捉え、金利が変動することによる損益額の振れを適切にコントロールするために金利変動リスクの定量化に取組んでおります。
具体的には「EaR(Earnings at Risk)」という手法を用いて支払利息の損失限度額を設定し、主に金利スワップ契約によるヘッジ取引を行うことで金利変動リスク管理を行っております。
しかしながら、これらの管理手法を用いたとしても、金利変動リスクを完全に回避できるものではなく、金利動向によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 商品価格リスク
当社グループは、様々な商品の売繋ぎを基本とした実需取引を行っておりますが、相場動向を考慮し買越及び売越ポジションを持つことで価格変動リスクにさらされる場合があります。そのため、棚卸資産、売買契約等を把握し、主要な商品についてはディビジョンカンパニーごとにミドル・バックオフィスを設置し、個別商品ごとに商品バランス枠及び損失限度額の設定、モニタリング管理を行うとともに、定期的なレビューを実施しております。
また、当社グループは、金属資源・エネルギーの開発事業やその他の製造事業に参画しており、当該事業における生産物・製品に関しても上記と同様に価格変動リスクにさらされております。
これらの商品価格リスクに対しては商品先物・先渡契約等によるヘッジ取引を行うことでリスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではなく、商品価格の動向によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 株価リスク
当社グループは、主に顧客・サプライヤー等との関係強化、または投資先への各種提案等を行うこと等による事業収益追求や企業価値向上を図るため、市場性のある様々な株式を保有しており、株価変動のリスクにさらされております。そのため、「VaR(Value at Risk)」という手法を用いて株価変動に伴う連結株主資本への影響額を定期的に把握し、モニタリングしておりますが、株価の動向によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3)信用リスク
当社グループは、国内外の取引先に対し、営業債権、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っております。取引先の信用状況の悪化や経営破綻等により、これらの債権等が回収不能となる、あるいは、商取引が継続できないことにより、取引当事者としての義務を果たせず、契約履行責任を負担することとなる等の信用リスクを有しております。そのため、当社グループでは、信用供与の実施に際して、信用限度額の設定及び必要な担保・保証等の取得等を通じたリスク管理を行うことでリスクの軽減に努めるとともに、取引先の信用力、回収状況及び滞留債権の状況等に基づき貸倒引当金を設定しております。
しかしながら、こうした管理を行ったとしても、信用リスクの顕在化を完全に回避できるものではなく、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)カントリーリスク
当社グループは、海外の様々な国・地域において取引及び事業活動を行っており、これらの国・地域の政治・経済・社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等による国家収用・送金停止等のカントリーリスクを有しております。そのため、案件ごとに回避策を講じるとともに、エクスポージャーの集中を防止することを目的として、総枠・国別枠の設定、国別与信方針の策定等を行うことにより、リスクの
軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。
このようなリスクが顕在化した場合には、債権回収や事業遂行の遅延・不能等が起こる可能性があり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5)投資リスク
当社グループは、様々な事業に対する投資活動を行っておりますが、このような投資活動においては、経営環境の変化、投資先やパートナーの業績停滞等に伴い期待通りの収益が上げられないリスクや、投資先の業績の停滞等に伴い投資の回収可能性が低下する場合及び株価が一定水準を下回る状態が相当期間にわたり見込まれる場合には、投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあります。また、パートナーとの経営方針の相違、投資の流動性の低さ等により当社グループが望む時期や方法での事業撤退や事業再編が行えないリスク、あるいは、投資先から適切な情報を入手できず当社グループに不利益が発生する等の投資リスクがあります。そのため、新規投資の実行については投資基準を設けて意思決定するとともに、既存投資のモニタリングを定期的に行い、投資効率が低い等保有意義の乏しい投資に対しては、EXIT選定基準を適用することにより資産の入替えを促進する等、リスクの軽減に努めております。
しかしながら、こうした管理を行ったとしても、投資リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6)固定資産に関する減損リスク
当社グループが保有する不動産、航空機・船舶及び資源開発関連資産等の固定資産は、減損リスクにさらされております。
現時点において必要な減損等の処理は実施しておりますが、今後各種市況の悪化、需要の減退及び開発計画の変更等に伴い保有固定資産の経済価値が低下した場合には、更に必要な減損処理を実施することになります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7)資金調達に関するリスク
当社グループは、国内外の金融機関等からの借入金及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行により、事業に必要な資金を調達し十分な流動性を確保するためのALM(Asset Liability Management)に努めております。しかしながら、当社に対する格付の大幅な引下げ等により金融市場での信用力が低下した場合、あるいは、主要金融市場における金融システムの混乱が発生した場合等には、金融機関・投資家から当社グループが必要な時期に希望する条件で資金調達ができなくなる可能性や資金調達コストが増大する可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8)退職給付費用及び退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上の前提に基づき算出されております。しかしながら、数理計算上の前提条件を変更する必要性が生じた場合、あるいは、証券市場の低迷により年金資産が毀損した場合等には、退職給付費用・退職給付債務の増加や年金資産の追加的支出が必要となる可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(9)繰延税金資産に関するリスク
当社グループの連結財政状態計算書において、資産側に計上される繰延税金資産は金額上重要性があり、繰延税金資産の評価に関する会計上の判断は、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼします。そのため、当社グループは、将来の課税所得と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、実現可能な繰延税金資産を計上しております。
しかしながら、タックス・プランニングにおける課税所得の見積りの変動及びタックス・プランニングの変更、あるいは税率変動等を含む税制の変更等があった場合には、繰延税金資産が増減する可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10)競合リスク
当社グループは、多種多様な商品及びサービスを取扱っているため、他の総合商社をはじめ内外の様々な企業と競合する可能性があります。当社グループよりも優れた経験、技術、資金調達力を有し、顧客のニーズに合った商品やサービスを提供できる企業が存在することも否定はできません。また、経済のグローバル化に伴い、欧米等先進国の企業だけでなく新興成長国の企業との競争も激化しつつあります。更に将来、規制緩和や異業種参入等のビジネス環境の変化や技術革新等によっても当社グループの競争力を維持できなくなる可能性もあります。このようなリスクが顕在化した場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11)重要な訴訟等に関するリスク
当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼすおそれのある訴訟、仲裁その他の法的手続は現在ありません。しかしながら、当社グループの国内及び海外における事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12)法令・規制に関するリスク
当社グループは、国内外で様々な商品及びサービスを取扱う関係上、関連する法令・規制は多岐にわたります。具体的には、会社法、金融商品取引法、税法、各種業界法、外為法を含む貿易関連諸法、独禁法、知的財産法、環境に関する法令、贈賄防止に関する法令、海外事業に係る当該国の各種法令・規制等があり、当社グループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識のうえ、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っております。
しかしながら、こうした対策を行ったとしても、役員及び従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを回避できない可能性があります。
また、国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定・改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅な変更の可能性も否定できません。
このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13)環境に関するリスク
当社グループは、地球環境問題を経営方針の最重要事項の一つとして位置付け、環境方針を定めるとともに、商品取扱・サービス提供及び事業投資案件において、法令抵触リスクを含む環境リスクを未然に防止する環境マネジメントシステムを構築する等、環境問題に積極的に取組んでおります。
しかしながら、当社グループの事業活動により環境汚染等が生じた場合には、事業の遅滞や停止、汚染除去費用や損害賠償費用等の発生、社会的評価の低下等につながる可能性があり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14)自然災害・気候変動等に関するリスク
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震等の自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。当社は、大規模災害時及び新型インフルエンザ発生時における業務継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、防災訓練等の対策を講じており、グループ会社においても個々に各種対策を講じております。
しかしながら、当社グループの事業活動は広範な地域にわたって行われており、自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症の被害発生時には、その被害を完全に回避できるものではなく、将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動の影響等により異常気象が発生した場合には、当社グループの事業活動に悪影響を与える可能性があり、将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、すべての役員及び従業員に対し、情報の取扱に関する行動規範を定め、高い情報セキュリティレベルを確保することを重要事項と認識しております。当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用するとともに、情報システム運営上の安全性確保のため、サイバーセキュリテ
ィリスクも考慮し、セキュリティガイドラインの設定、危機管理対応の徹底に取組んでおります。
しかしながら、こうした対策を行ったとしても、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備の損壊・通信回線のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。