訂正有価証券報告書-第105期(2023/04/01-2024/03/31)
(3)【監査の状況】
①監査役会の状況
組織・人員:
・監査役会は、以下5名の監査役で構成されており、常勤/社外区分や取締役会・監査役会への出席状況は以下のとおりです。
*1 藤原弘達監査役及び林眞琴監査役は、当連結会計年度中、2023年6月21日開催の株主総会で、新たに監査役に選任されました。
*2 塩谷公朗監査役は、1984年に当社に入社して以降、会計業務に携わり、2012年にセグメント経理部長、2015年に執行役員経理部長に就任し、2019年に現職に就任しました。森公高監査役は、公認会計士として企業会計監査業務に長年携わり、また日本公認会計士協会会長等の要職を歴任しています。
・監査役の職務遂行を補助する組織として監査役室を設置し、財務会計、法務・ガバナンス等の知識、能力を有するスタッフ3名を含め、現在5名の専任スタッフが所属しています。監査役室からは、監査計画・方針案の策定及びその進捗確認、国内外往査受入会社・部署との調整、会計監査人及び内部監査部等社内各部署からの情報収集、新任監査役に対するトレーニングの実施、監査役監査活動の社内向け情報発信、関係会社常勤監査役向け情報提供といったサポートを実施しています。
監査重点項目:
・監査役会が策定した当連結会計年度の監査重点項目及び各重点項目に関する監査活動を通じた主な確認事項は以下のとおりです。監査役会としては、各重点項目につき評価すべき進捗があったと考えています。
監査役会の活動状況:
・監査役会は、原則として取締役会開催に先立ち定期的に開催されるほか必要に応じて随時開催されます。
・監査役会は、法令、定款及び監査役会規程の定めるところにより、監査に係る重要事項について報告を受け、協議を行い、または決議をします。
・当連結会計年度の監査役会における主な決議事項や協議事項は、以下のとおりです。
監査役の主な活動:
・監査役の主な活動内容は以下のとおりで、常勤、社外別に実施した主な活動に〇印を付しています。
・当連結会計年度においても、実地往査の機会で、経営陣からのヒアリング、事務所・工場設備等の状況確認、従業員との面談等を実施しました。現場往査にあたっては、効率的な情報収集のため、監査役会としての標準聴取項目を策定しました。
*1 常勤監査役は、社外役員会議のうち、会計監査の方針にかかる社外取締役、監査役及び会計監査人の間での意見交換及び情報交換を行った回に参加しました。
*2 社外監査役は、コーポレート部長からの情報収集に一部参加しました。
②内部監査の状況
・内部監査部の役割と責任は、当社のコーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方と方針を定めた「三井物産コーポレート・ガバナンス及び内部統制原則」において、「経営者の承認する年次他の計画に基づき、内部監査規程に定める対象組織について、その経営目標・事業目標やリスクに照らして内部統制の設計の適合性、及び運用の状況を独立性を持って検証する役割と責任を負う。」と明記されています。これに基づき、内部監査部は3線モデルにおける第3線として、連結経営におけるガバナンス、リスクマネジメント、コントロールの妥当性・有効性を独立・客観的に評価し、その改善に向けて付加価値のある提言・気づき・洞察を提供することで三井物産グループをより良く・より強くし、持続的な成長に貢献することを目指しています。
・加えて、金融商品取引法に基づき、独立部署として当社全体の財務報告に係る内部統制についての評価を取り纏め、確認した上でJ-SOX委員会に付議します。
・内部監査の独立性・客観性を担保するため、内部監査部は社長直轄の組織としています。当社では主任監査人を検査役と称し、国内外での幅広い業務経験に加え、事業部や関係会社等の大規模組織長(本店部長、関係会社社長等)を経験した人材で、組織が抱える課題を発見し、経営目線で具体的な改善策を提案できる知見と実績を有する者を選任しています。検査役とチームを組む監査次長は、事業本部・コーポレート部門の中規模組織のマネジメント長(本店室長等)を経験し、検査役と共により現場目線で内部監査実務を遂行することができる人材を選任しています。2024年3月末現在、所属人員77名は、部長1名(執行役員)、検査役32名、監査次長34名、スタッフ10名で構成され、それらを本店内部監査部(69名)及び海外拠点(8名)に配置しています。
・内部監査の実効性を担保するために、また、監査人の専門性の習得・向上の一環として、内部監査業務に資する資格取得を積極的に奨励しています。公認内部監査人(CIA)、公認不正検査士(CFE)、公認情報システム監査人(CISA)、米国公認会計士(USCPA)の資格保有者延べ人数は50名です。
・内部監査の手法は2つに大別されます。一つ目は、国内部店、海外現地法人、内外関係会社等を対象に準拠性監査のみならず経営目線での提言を行う定例内部監査で、リスクベースで抽出した約500組織の監査をリスク濃淡に応じたインターバルで実施し、全体を約3~6年で一巡しています。また、定例内部監査で発見された改善すべき事項は監査対象組織に改善状況の報告を求め、概ね半年から1年以内にフォローアップを完了しています。
・内部監査手法の二つ目は、全社的なリスクに直結する可能性のある事象を組織横断的に調査確認し提言するアドバイザリーに軸足を置いた経営テーマ監査であり、企業価値向上を目的に経営課題を解決するための気づきと洞察を与え、企業価値向上への意思決定の機会を提供するものです。2024年3月期においては、「国内関係会社の採用と報酬」「労働安全に関するグループ管理体制」等を実施しています。
・定例内部監査や経営テーマ監査の結果は都度書面で報告されると共に、内部監査部長は月次以上の頻度で社長及び常勤監査役等に直接報告を行っています。また、デュアルレポーティングの一環として定期的に取締役会及び監査役会にも直接報告をしています。
これらの内部監査活動は年次の内部評価に加え、国際基準に基づき5年に一度外部専門家による品質評価を受けることにより、継続的な監査品質の維持・向上に務めています。
③会計監査の状況
・監査法人の名称
有限責任監査法人トーマツ
当社は、連結決算の早期化及び信頼性確保のために、原則として監査業務の委託先をDeloitte Touche Tohmatsuに統一することとしています。なお、当社会計監査人は会社法監査、金融商品取引法監査、英文連結財務諸表監査を実施しています。
・継続監査期間
51年間
業務執行社員のローテーションに関しては適切に実施されており、原則として連続して7会計期間を超えて監査業務に関与していません。
なお、筆頭業務執行社員については連続して5会計期間を超えて監査業務に関与していません。
・業務を執行した公認会計士
森重 秀一
松下 陽一
黄木 太郎
・監査業務に係る補助者の構成
当社の会計監査業務に係る補助者の人数は138名であり、その構成は、公認会計士30名、公認会計士試験合格者22名、その他86名となっています。
・会計監査人の選定方針と理由
当社は会計監査人の再任、解任、不再任及び選任の決定の方針を次のとおりとしています。
(a)会計監査人の任期は1年とし、再任を妨げない。
(b)会計監査人の解任、不再任及び選任は、監査役会において、これを株主総会の付議議案とする旨決議する。再任及び選任のための会計監査人の選定については、会計監査人が独立の立場を保持し、かつ、適正な監査を持続的に実施できる体制を構築していることを評価・確認のうえ監査役会にて決議する。
(c)当社都合の場合の他、会計監査人が、会社法、公認会計士法等の法令に違反または抵触した場合、公序良俗に反する行為があった場合、及び、監査契約に違反した場合、会計監査人の解任または不再任を株主総会の付議議案とすることが妥当かどうかを監査役会にて検討する。
(d)監査役会は、会計監査人が会社法第340条第1項各号に定める項目に該当する場合は、監査役の全員の同意に基づき会計監査人を解任することができる。
監査役会は第105期事業年度の会計監査について下記の項目・プロセスについて評価を実施しその妥当性を確認し、第106期事業年度における会計監査人の再任決議を行いました。
・監査役会による会計監査人の評価
監査役会は会計監査人の評価を以下の項目で実施しています。
- 会計監査人としての相当性
- 監査チームの期初・期中・期末の監査対応
- 監査報酬決定プロセス
また監査役会は上記3項目の評価を以下のプロセスを通じて実施しています。
- 会計監査人による自己評価の確認及び会計監査人のマネジメント、監査責任者及び補助者等からのヒアリング
- 経理部、内部監査部等の会計監査人評価の確認及び各部の責任者、担当者等からのヒアリング
再任決議にあたり、当社事業の多様化・複雑化による高度な会計論点、監査論点への対応力の必要性に鑑み監査責任者及び補助者の長期的なサクセッションプランの適時な意見交換の実施について会計監査人と摺り合わせを行っています。また更なる監査品質向上のために、会計監査人に対する課題を提示し、次年度の会計監査においてPDCAサイクルを実施するように求めています。また、上記評価は、経理部、内部監査部と会計監査人、それぞれが会計監査業務の過程で課題とした事項を双方で共有した上で実施することとし、両者の建設的な対話を促し、より高品質な監査の実効性確保に努めています。
④監査報酬の内容等
(a)監査公認会計士等に対する報酬
下表は、前連結会計年度及び当連結会計年度に関する当社及び連結子会社の有限責任監査法人トーマツに対する報酬額を示しています。
(注)監査証明業務に基づく報酬は、会社法に基づく監査、金融商品取引法に基づく監査、及び英文連結財務諸表監査の報酬額です。これには、監査証明業務の一環として実施される業務、監査証明業務と直接的関連性を有する業務、及び法規制により監査人が実施することを要請される業務であり、かつ監査人のみが合理的に提供可能である業務に対する報酬額を含めています。
当社及び連結子会社における非監査業務の内容は、税務関連業務等です。
(b)有限責任監査法人トーマツと同一のネットワーク(Deloitte Touche Tohmatsu)に属する組織に対する報酬下表は、前連結会計年度及び当連結会計年度に関する当社及び連結子会社のDeloitte Touche Tohmatsuのメンバーファーム(有限責任監査法人トーマツを除く)に対する報酬額を示しています。
当社及び連結子会社における非監査業務の内容は、税務関連業務等です。
(c)監査報酬の決定方針
監査報酬の決定にあたっては、監査計画の内容や従前の会計年度における職務執行状況等を踏まえ、監査品質の維持・向上と監査の効率的な実施の両立の観点から、監査手続の工程確認や会計監査人と執行業務部門との役割分担、個別案件の論点整理を実施し、監査時間の透明化を進め、報酬額を最適化する方針としています。
加えて、四半期毎に予実管理及び増減理由の分析、効率化の検討及びその進捗の確認を実施し、適時に会計監査人と協議しています。
上記方針に沿って監査報酬の妥当性を確認し、監査役会の同意を得て最終決定しています。
(d)監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査役会は、会計監査人の評価の中で監査報酬決定プロセスについても確認を行っています。その状況も踏まえ取締役、社内関係部署及び会計監査人からの必要な資料の入手や報告の聴取を通じて、会計監査人の監査計画の内容、従前の事業年度における職務執行状況や報酬見積りの算出根拠などを確認し、検討した結果、会計監査人の報酬等につき、会社法第399条第1項の同意を行っています。
⑤監査役監査、内部監査部監査及び会計監査人監査との連携並びに内部統制部門との関係
・監査役会は、内部監査部及び会計監査人との三様監査連絡会を開催し、各監査方針・監査計画・監査重点項目等について期初に意見交換を行うほか、監査状況等について適宜報告を行い、効率的かつ実効性の高い各監査のための情報交換を行っています。
・常勤監査役は、効率的な監査の遂行のため内部監査部と毎月1回の定例会議に加え都度情報交換を行うほか、同部が実施する内部監査における監査報告書作成に際し、毎回内部監査部から報告書案の提出を受け、必要に応じて内部監査部との意見交換を行っています。加えて、常勤監査役は、内部監査部の定例内部監査の講評会に原則としてすべて出席しています。内部監査部長は、内部監査の計画及び実績を定期的に監査役会に報告します。監査役は、必要に応じ、内部監査部及びその他内部統制を所管する部署に対して、内部統制システムの状況及びリスク評価等について報告を求め、また、監査への種々協力を求めます。必要に応じ、監査役と内部監査部が合同で往査を行うこともあります。
・監査役会は、期末において会計監査人より会計監査及び内部統制監査の手続及び結果の概要につき報告を受け、意見交換を行うほか、期中において会計監査人との月例連絡会議を開催し、会計監査人の監査計画・重点監査項目・監査状況・監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters)の検討状況等の報告を受け、情報交換を図るとともに、効果的かつ効率的な会計監査及び内部統制監査の遂行について協議します。
①監査役会の状況
組織・人員:
・監査役会は、以下5名の監査役で構成されており、常勤/社外区分や取締役会・監査役会への出席状況は以下のとおりです。
氏名 | 常勤/社外 区分 | 財務・会計に関する相当程度の知見 | 2024年3月期 取締役会 出席状況 | 2024年3月期 監査役会 出席状況 | 取締役会諮問委員会の兼務状況 |
塩谷 公朗 | 常勤 | 〇*2 | 13回/13回 | 19回/19回 | |
藤原 弘達*1 | 常勤 | 9回/9回 | 13回/13回 | ||
森 公高 | 社外 | 〇*2 | 13回/13回 | 18回/19回 | 報酬委員会 |
玉井 裕子 | 社外 | 13回/13回 | 19回/19回 | ガバナンス委員会 | |
林 眞琴*1 | 社外 | 8回/9回 | 12回/13回 | 指名委員会 |
*1 藤原弘達監査役及び林眞琴監査役は、当連結会計年度中、2023年6月21日開催の株主総会で、新たに監査役に選任されました。
*2 塩谷公朗監査役は、1984年に当社に入社して以降、会計業務に携わり、2012年にセグメント経理部長、2015年に執行役員経理部長に就任し、2019年に現職に就任しました。森公高監査役は、公認会計士として企業会計監査業務に長年携わり、また日本公認会計士協会会長等の要職を歴任しています。
・監査役の職務遂行を補助する組織として監査役室を設置し、財務会計、法務・ガバナンス等の知識、能力を有するスタッフ3名を含め、現在5名の専任スタッフが所属しています。監査役室からは、監査計画・方針案の策定及びその進捗確認、国内外往査受入会社・部署との調整、会計監査人及び内部監査部等社内各部署からの情報収集、新任監査役に対するトレーニングの実施、監査役監査活動の社内向け情報発信、関係会社常勤監査役向け情報提供といったサポートを実施しています。
監査重点項目:
・監査役会が策定した当連結会計年度の監査重点項目及び各重点項目に関する監査活動を通じた主な確認事項は以下のとおりです。監査役会としては、各重点項目につき評価すべき進捗があったと考えています。
監査重点項目 | 主な確認事項 |
(1) 中期経営計画2026の着実な推進 | |
ポートフォリオ経営 | ・事業本部を管掌する取締役も交え、より一層全社的な視点から議論がなされたポートフォリオ管理委員会開催など実効性の高いポートフォリオ管理運営 ・各種資産リサイクル案件進展 |
事業運営に伴うリスクへの対応 | ・ロシア・ウクライナ情勢の長期化、ガザ紛争勃発など地政学的リスク継続、各国中央銀行による金融引締め等のマクロ不安要因への対応 ・三井物産戦略研究所、地域本部、地域ブロックからの情報発信、地政学的リスク等の影響を強く受ける地域、案件での粘り強い対応 |
サステナビリティ経営 | ・サステナビリティを意識したポートフォリオ入替の着実な進捗 ・Scope3の新規開示等、対外開示対応の着実な進展 |
(2) グローバル連結経営 | |
With Integrity | ・国内外往査先におけるWith Integrity取組状況や課題 ・海外でのWith Integrity月間イベント実施 ・ウェルビーイング経営宣言 |
関係会社経営 | ・CSA(Control Self-Assessment)活動本格化。事業統括部、FM各部、現場によるCSA活動の確実な展開 ・グループとしてのIT/DX展開に関するグランドデザイン提示 |
人的資本 | ・関係会社における人材ひっ迫感・採用難化傾向 ・人的資本レポート開示 ・グローバルなタレントマネジメントシステム「Bloom」の展開地域拡大への準備進捗 ・三井物産における総合職一本化等の新人事制度 |
監査役会の活動状況:
・監査役会は、原則として取締役会開催に先立ち定期的に開催されるほか必要に応じて随時開催されます。
・監査役会は、法令、定款及び監査役会規程の定めるところにより、監査に係る重要事項について報告を受け、協議を行い、または決議をします。
・当連結会計年度の監査役会における主な決議事項や協議事項は、以下のとおりです。
決議事項 | 具体的な内容 |
監査方針(監査重点項目を含む)、監査計画及び業務分担 | 監査方針(監査重点項目を含む)の策定に関して、内部統制体制の構築・運用の土台となるグループ行動指針の浸透とそれに沿った企業活動の実施の確認に重点を置いています。さらに、企業活動を取り巻く外部環境の変化を捉え、サステナビリティ、新しい働き方等多角的な視点で監査方針の策定を行っています。年間の監査結果を踏まえ、監査役会として認識された課題につき、取締役会に対して、監査中間報告及び監査報告を行うとともに、取締役会に対する提言に関して意見交換を行い、これらの内容の社内周知を図っています。また、監査役会指定重要関係会社(当連結会計年度は69社)を選定し、監査役監査活動の濃淡管理の一助としています。 |
会計監査人評価・再任及び 報酬同意 | 会計監査人評価にあたっては、会計監査人による自己評価、及び経理部、内部監査部等からの会計監査活動に関する意見聴取に加えて、会計監査人の事務所としての相当性・独立性を確認した上で、監査役会として再任決議を行っています。監査役会として個別課題の提示を行い、会計監査人との月例会議等を通じて、その進捗報告を受けています。また、監査報酬に関しては、計算書類・財務諸表報告書監査、内部統制報告書監査に関する実績及び計画の説明を受け、同意を行っています。 |
監査役会、監査役監査報告書 | 期首監査計画に対する進捗や監査重点項目に対する監査結果も踏まえた上で、監査役会、監査役の監査報告書を決議しました。 |
監査役報酬枠 | 監査役会において、株主総会にて過去決議された監査役報酬枠の、現在の状況下における適否について議論し、2024年6月株主総会において同報酬枠を増額させる旨の議案を提出すべく執行側へ監査役会意見を提出しました。 |
協議事項 | 具体的な内容 |
常勤監査役による監査活動状況 | 社外監査役に対して、常勤監査役主要活動状況(経営会議、ポートフォリオ管理委員会等の出席報告、事業本部長、コーポレート部長との情報交換会での特記事項、国内外往査報告等)の共有を行っています。 |
取締役会に付議される主要案件の内容及び審議過程 | 主に取締役会に先立ち開催される監査役会の場で、主要議題に対して意見交換を行っています。 |
当社連結内部統制上の課題等の当社執行状況 | 取締役会等への出席を通じて、当社連結内部統制体制の整備に関する決定が行われていることを確認しています。また、監査役会が取締役会に対して実施した内部統制体制の構築・運用に関する提言についても、取締役との意見交換等を通じて、その対応状況の確認を行っています。内部統制の中核を担うコーポレート部署と監査役会の意見交換会を実施しました。 |
監査重点領域、監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters)に関する 会計監査人とのコミュニケーション | 当連結会計年度は地政学的リスクに伴う商品価格の変動等を踏まえ、会計上の見積りを中心に、各種論点に関する議論を行いました。また、ロシア・ウクライナ情勢に伴う当社サハリンⅡ事業及びArctic LNG2事業への影響、気候変動リスクやそれに伴う将来油価前提等に関して活発な意見交換を行いました。 |
会計監査人、内部監査部との 意見交換(三様監査連絡会) | 当連結会計年度は2回実施し、1回目は期首監査計画・重点監査項目、2回目は期中監査進捗状況の共有をそれぞれ行いました。これに加えて、毎回自由討議の場を設定し、監査活動全般に関して意見交換を行っています。1回目は①非財務・サステナビリティ情報に関するガバナンスと内部統制及び②Chat GPT等の大規模言語モデル(Large Language Models)の監査における活用、2回目は当社グループでの不正リスクについてそれぞれ討議を行いました。 |
監査役会実効性評価 | 全監査役に対する個別ヒアリングをもとに、監査役会の構成及び体制、監査役会等の運営状況及び審議状況、国内外往査含む年間の監査活動、監査役へのサポート等につき、監査役会における意見交換を経て、自己評価を行っています。当連結会計年度の実効性に関しては、適切に確保されていると評価しました。 |
会計監査人が提供する非保証業務に対する監査役会としての 事前了解 | IESBA倫理規則の下で、会計監査人が実施する非保証業務に対する監査役会事前了解の枠組みにつき前連結会計年度に会計監査人との間で合意していますが、監査役会で検討を行った上で、会計監査人との間で当該枠組みの一定の見直しを実施しています。 |
監査役の主な活動:
・監査役の主な活動内容は以下のとおりで、常勤、社外別に実施した主な活動に〇印を付しています。
・当連結会計年度においても、実地往査の機会で、経営陣からのヒアリング、事務所・工場設備等の状況確認、従業員との面談等を実施しました。現場往査にあたっては、効率的な情報収集のため、監査役会としての標準聴取項目を策定しました。
活動内容 | 常勤 | 社外 |
取締役会への出席 | 〇 | 〇 |
取締役会諮問委員会への出席 (ガバナンス委員会、指名委員会、報酬委員会) | 〇 | |
社外役員会議への出席 | △*1 | 〇 |
重要会議への出席 (経営会議、ポートフォリオ管理委員会、サステナビリティ委員会、開示委員会、コンプライアンス委員会、情報戦略委員会、事業本部長会議等) | 〇 | |
社内取締役との個別面談 | 〇 | 〇 |
社外取締役との意見交換 | 〇 | 〇 |
執行役員との個別対話、事業本部長、事業部長、コーポレート部長からの情報収集 | 〇 | △*2 |
関係会社常勤監査役からの報告・意見交換 (関係会社常勤監査役の監査活動報告、関係会社常勤監査役との全体・個別会議、国内関係会社往訪時の常勤監査役個別面談、関係会社常勤監査役に向けた「監査役による不祥事対応」セミナー実施) | 〇 | 〇 |
内部統制体制システムの整備・運用状況の調査 (内部監査講評会、J-SOX委員会、重要な決裁書類等の閲覧) | 〇 | |
国内外支店、事務所、海外現地法人、監査役会指定重要関係会社等への往訪 (海外往訪先は、チリ、米国、ペルー、ドイツ、オランダ、ベルギー、英国、台湾、タイ、南アフリカ、モザンビーク、アラブ首長国連邦) | 〇 | 〇 |
会計監査人による監査・レビュー状況に関するコミュニケーション (会計監査人との月例会) | 〇 | 〇 |
*1 常勤監査役は、社外役員会議のうち、会計監査の方針にかかる社外取締役、監査役及び会計監査人の間での意見交換及び情報交換を行った回に参加しました。
*2 社外監査役は、コーポレート部長からの情報収集に一部参加しました。
②内部監査の状況
・内部監査部の役割と責任は、当社のコーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方と方針を定めた「三井物産コーポレート・ガバナンス及び内部統制原則」において、「経営者の承認する年次他の計画に基づき、内部監査規程に定める対象組織について、その経営目標・事業目標やリスクに照らして内部統制の設計の適合性、及び運用の状況を独立性を持って検証する役割と責任を負う。」と明記されています。これに基づき、内部監査部は3線モデルにおける第3線として、連結経営におけるガバナンス、リスクマネジメント、コントロールの妥当性・有効性を独立・客観的に評価し、その改善に向けて付加価値のある提言・気づき・洞察を提供することで三井物産グループをより良く・より強くし、持続的な成長に貢献することを目指しています。
・加えて、金融商品取引法に基づき、独立部署として当社全体の財務報告に係る内部統制についての評価を取り纏め、確認した上でJ-SOX委員会に付議します。
・内部監査の独立性・客観性を担保するため、内部監査部は社長直轄の組織としています。当社では主任監査人を検査役と称し、国内外での幅広い業務経験に加え、事業部や関係会社等の大規模組織長(本店部長、関係会社社長等)を経験した人材で、組織が抱える課題を発見し、経営目線で具体的な改善策を提案できる知見と実績を有する者を選任しています。検査役とチームを組む監査次長は、事業本部・コーポレート部門の中規模組織のマネジメント長(本店室長等)を経験し、検査役と共により現場目線で内部監査実務を遂行することができる人材を選任しています。2024年3月末現在、所属人員77名は、部長1名(執行役員)、検査役32名、監査次長34名、スタッフ10名で構成され、それらを本店内部監査部(69名)及び海外拠点(8名)に配置しています。
・内部監査の実効性を担保するために、また、監査人の専門性の習得・向上の一環として、内部監査業務に資する資格取得を積極的に奨励しています。公認内部監査人(CIA)、公認不正検査士(CFE)、公認情報システム監査人(CISA)、米国公認会計士(USCPA)の資格保有者延べ人数は50名です。
・内部監査の手法は2つに大別されます。一つ目は、国内部店、海外現地法人、内外関係会社等を対象に準拠性監査のみならず経営目線での提言を行う定例内部監査で、リスクベースで抽出した約500組織の監査をリスク濃淡に応じたインターバルで実施し、全体を約3~6年で一巡しています。また、定例内部監査で発見された改善すべき事項は監査対象組織に改善状況の報告を求め、概ね半年から1年以内にフォローアップを完了しています。
・内部監査手法の二つ目は、全社的なリスクに直結する可能性のある事象を組織横断的に調査確認し提言するアドバイザリーに軸足を置いた経営テーマ監査であり、企業価値向上を目的に経営課題を解決するための気づきと洞察を与え、企業価値向上への意思決定の機会を提供するものです。2024年3月期においては、「国内関係会社の採用と報酬」「労働安全に関するグループ管理体制」等を実施しています。
・定例内部監査や経営テーマ監査の結果は都度書面で報告されると共に、内部監査部長は月次以上の頻度で社長及び常勤監査役等に直接報告を行っています。また、デュアルレポーティングの一環として定期的に取締役会及び監査役会にも直接報告をしています。
これらの内部監査活動は年次の内部評価に加え、国際基準に基づき5年に一度外部専門家による品質評価を受けることにより、継続的な監査品質の維持・向上に務めています。
③会計監査の状況
・監査法人の名称
有限責任監査法人トーマツ
当社は、連結決算の早期化及び信頼性確保のために、原則として監査業務の委託先をDeloitte Touche Tohmatsuに統一することとしています。なお、当社会計監査人は会社法監査、金融商品取引法監査、英文連結財務諸表監査を実施しています。
・継続監査期間
51年間
業務執行社員のローテーションに関しては適切に実施されており、原則として連続して7会計期間を超えて監査業務に関与していません。
なお、筆頭業務執行社員については連続して5会計期間を超えて監査業務に関与していません。
・業務を執行した公認会計士
森重 秀一
松下 陽一
黄木 太郎
・監査業務に係る補助者の構成
当社の会計監査業務に係る補助者の人数は138名であり、その構成は、公認会計士30名、公認会計士試験合格者22名、その他86名となっています。
・会計監査人の選定方針と理由
当社は会計監査人の再任、解任、不再任及び選任の決定の方針を次のとおりとしています。
(a)会計監査人の任期は1年とし、再任を妨げない。
(b)会計監査人の解任、不再任及び選任は、監査役会において、これを株主総会の付議議案とする旨決議する。再任及び選任のための会計監査人の選定については、会計監査人が独立の立場を保持し、かつ、適正な監査を持続的に実施できる体制を構築していることを評価・確認のうえ監査役会にて決議する。
(c)当社都合の場合の他、会計監査人が、会社法、公認会計士法等の法令に違反または抵触した場合、公序良俗に反する行為があった場合、及び、監査契約に違反した場合、会計監査人の解任または不再任を株主総会の付議議案とすることが妥当かどうかを監査役会にて検討する。
(d)監査役会は、会計監査人が会社法第340条第1項各号に定める項目に該当する場合は、監査役の全員の同意に基づき会計監査人を解任することができる。
監査役会は第105期事業年度の会計監査について下記の項目・プロセスについて評価を実施しその妥当性を確認し、第106期事業年度における会計監査人の再任決議を行いました。
・監査役会による会計監査人の評価
監査役会は会計監査人の評価を以下の項目で実施しています。
- 会計監査人としての相当性
- 監査チームの期初・期中・期末の監査対応
- 監査報酬決定プロセス
また監査役会は上記3項目の評価を以下のプロセスを通じて実施しています。
- 会計監査人による自己評価の確認及び会計監査人のマネジメント、監査責任者及び補助者等からのヒアリング
- 経理部、内部監査部等の会計監査人評価の確認及び各部の責任者、担当者等からのヒアリング
再任決議にあたり、当社事業の多様化・複雑化による高度な会計論点、監査論点への対応力の必要性に鑑み監査責任者及び補助者の長期的なサクセッションプランの適時な意見交換の実施について会計監査人と摺り合わせを行っています。また更なる監査品質向上のために、会計監査人に対する課題を提示し、次年度の会計監査においてPDCAサイクルを実施するように求めています。また、上記評価は、経理部、内部監査部と会計監査人、それぞれが会計監査業務の過程で課題とした事項を双方で共有した上で実施することとし、両者の建設的な対話を促し、より高品質な監査の実効性確保に努めています。
④監査報酬の内容等
(a)監査公認会計士等に対する報酬
下表は、前連結会計年度及び当連結会計年度に関する当社及び連結子会社の有限責任監査法人トーマツに対する報酬額を示しています。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
監査証明業務に基づく報酬(百万円) | 非監査業務に基づく報酬(百万円) | 監査証明業務に基づく報酬(百万円) | 非監査業務に基づく報酬(百万円) | |
当社 | 805 | 14 | 835 | 23 |
連結子会社 | 750 | 7 | 849 | 13 |
計 | 1,555 | 21 | 1,684 | 36 |
(注)監査証明業務に基づく報酬は、会社法に基づく監査、金融商品取引法に基づく監査、及び英文連結財務諸表監査の報酬額です。これには、監査証明業務の一環として実施される業務、監査証明業務と直接的関連性を有する業務、及び法規制により監査人が実施することを要請される業務であり、かつ監査人のみが合理的に提供可能である業務に対する報酬額を含めています。
当社及び連結子会社における非監査業務の内容は、税務関連業務等です。
(b)有限責任監査法人トーマツと同一のネットワーク(Deloitte Touche Tohmatsu)に属する組織に対する報酬下表は、前連結会計年度及び当連結会計年度に関する当社及び連結子会社のDeloitte Touche Tohmatsuのメンバーファーム(有限責任監査法人トーマツを除く)に対する報酬額を示しています。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
監査証明業務に基づく報酬(百万円) | 非監査業務に基づく報酬(百万円) | 監査証明業務に基づく報酬(百万円) | 非監査業務に基づく報酬(百万円) | |
当社 | 9 | 156 | 15 | 36 |
連結子会社 | 2,698 | 431 | 2,986 | 590 |
計 | 2,707 | 587 | 3,001 | 626 |
当社及び連結子会社における非監査業務の内容は、税務関連業務等です。
(c)監査報酬の決定方針
監査報酬の決定にあたっては、監査計画の内容や従前の会計年度における職務執行状況等を踏まえ、監査品質の維持・向上と監査の効率的な実施の両立の観点から、監査手続の工程確認や会計監査人と執行業務部門との役割分担、個別案件の論点整理を実施し、監査時間の透明化を進め、報酬額を最適化する方針としています。
加えて、四半期毎に予実管理及び増減理由の分析、効率化の検討及びその進捗の確認を実施し、適時に会計監査人と協議しています。
上記方針に沿って監査報酬の妥当性を確認し、監査役会の同意を得て最終決定しています。
(d)監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査役会は、会計監査人の評価の中で監査報酬決定プロセスについても確認を行っています。その状況も踏まえ取締役、社内関係部署及び会計監査人からの必要な資料の入手や報告の聴取を通じて、会計監査人の監査計画の内容、従前の事業年度における職務執行状況や報酬見積りの算出根拠などを確認し、検討した結果、会計監査人の報酬等につき、会社法第399条第1項の同意を行っています。
⑤監査役監査、内部監査部監査及び会計監査人監査との連携並びに内部統制部門との関係
・監査役会は、内部監査部及び会計監査人との三様監査連絡会を開催し、各監査方針・監査計画・監査重点項目等について期初に意見交換を行うほか、監査状況等について適宜報告を行い、効率的かつ実効性の高い各監査のための情報交換を行っています。
・常勤監査役は、効率的な監査の遂行のため内部監査部と毎月1回の定例会議に加え都度情報交換を行うほか、同部が実施する内部監査における監査報告書作成に際し、毎回内部監査部から報告書案の提出を受け、必要に応じて内部監査部との意見交換を行っています。加えて、常勤監査役は、内部監査部の定例内部監査の講評会に原則としてすべて出席しています。内部監査部長は、内部監査の計画及び実績を定期的に監査役会に報告します。監査役は、必要に応じ、内部監査部及びその他内部統制を所管する部署に対して、内部統制システムの状況及びリスク評価等について報告を求め、また、監査への種々協力を求めます。必要に応じ、監査役と内部監査部が合同で往査を行うこともあります。
・監査役会は、期末において会計監査人より会計監査及び内部統制監査の手続及び結果の概要につき報告を受け、意見交換を行うほか、期中において会計監査人との月例連絡会議を開催し、会計監査人の監査計画・重点監査項目・監査状況・監査上の主要な検討事項(Key Audit Matters)の検討状況等の報告を受け、情報交換を図るとともに、効果的かつ効率的な会計監査及び内部統制監査の遂行について協議します。