有価証券報告書-第107期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/12 14:07
【資料】
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【項目】
184項目
③リスク管理
・当社は、上記のとおり各種国際規範を踏まえて、2020年3月期に外部専門家を起用し、当社及び海外現地法人の取扱商品、連結子会社の主要事業を対象にサプライチェーン上の人権に関するリスクについて評価を実施しました。その結果、当社グループのサプライチェーン上では、主に食料・衣服・建材といった商品の分野で、東南アジア、アフリカ、南米等の新興国を中心に原産地とする取引において、一般的に強制労働や児童労働等の人権問題が生じるおそれがあると評価し、これらを「高リスク分野」として特定の上、人権デューデリジェンス(人権DD)を開始しました。
・当社グループの人権DDでは、具体的には以下の図のとおり「周知」、「特定」、「調査」、「開示・改善」の4つのプロセスによる取組みを行い、サプライチェーンにおける人権課題の把握と解決を目指しています。
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(a)前連結会計年度までの取組み
・2023年3月期までに、前述の高リスク分野におけるすべての主要サプライヤーを対象にアンケート調査を実施し、その結果を評価しました。重大な人権問題は確認されませんでしたが、一部のサプライヤーで人権方針が未整備であることや法令等の理解が不十分であることが判明したため、当社の取組みや期待事項をあらためて説明し、サプライヤーと協働してのサプライチェーン全体での人権尊重の理解促進と実践に努め、人権に関するリスクの低減を図りました。
・2024年3月期は、上記に加えて、サプライチェーンも含む人権に関するリスクの低減・予防やリスク管理強化のための新たな施策を講じました。具体的には、事業本部が実施する関係会社向け自主監査や内部監査に人権に関するチェック項目を導入し、また商品の購入契約の標準約款に人権条項を追加しました。さらに、人権尊重の意識浸透策としてキャリア段階別研修(新人・ラインマネージャー向け研修)に「ビジネスと人権」の内容を組み込み、人権尊重の知識向上にも取り組みました。
・2025年3月期は、サプライチェーンと人権に関する取組みを一段と強化しました。まず、高リスク分野を見直し、人権DDの対象範囲を拡大しました。具体的には、「産業リスク」・「原産国リスク」・「当社にとっての重要度」の3つの観点に基づいて高リスク分野を改めて特定し、その結果、従来の食料・衣服および建材に加え、鉱業、石油・ガス、化学品、産業金属といった分野における東南アジア・アフリカ・南米等の新興国を原産地とする取引も高リスク分野として人権DDの対象に追加しました。また、人権DDの実効性を高めるための社内体制整備として、人権管理に関する規程を制定し、事業本部を主体とした人権DDの各プロセス(「周知」、「特定」、「調査」、「開示・改善」)の具体的手順を定めました。これにより、それぞれの事業現場でのリスク管理とコーポレートスタッフ部門(サステナビリティ経営推進部)による支援・モニタリングの体制を整備しました。
(b)当連結会計年度の取組み
・2026年3月期は、人権DDの継続的実施とモニタリング強化に重点を置きました。2025年3月期までに特定した高リスク分野のサプライヤーを対象にアンケート調査を実施し、2025年3月期との累計で630件の回答を回収・分析しました。その結果、2026年3月期においても深刻な人権課題は確認されませんでした。2027年3月期以降も、アンケートの最適化や対象範囲の定期的な見直しなどを通じ、各事業本部主体の人権DDプロセスの高度化を図り、サプライチェーン全体での人権に関するリスクの低減に努めていきます。
・また、2026年3月期はサプライチェーンにおける現地訪問調査の充実にも取り組みました。2025年3月期に実施したマレーシアのパーム油サプライチェーンへの現地訪問調査で、人権課題の可能性を示唆する情報が得られたことから、同一のパーム油精製工場および上流の農園・搾油工場に対し、移民労働者の労働環境やその家族の生活環境などについて追加調査を行いました。本調査では、国際認証団体(RSPO)やマレーシア政府の国家認証制度(MSPO)の運営主体、現地の社会的企業と連携し、現地視察と関係者へのヒアリングを行いました。その結果、強制労働や児童労働を含む人権侵害に該当する事実は確認されませんでした。一方で、地域・業界固有の課題が引き続き存在することも認識しており、当社はパーム油を取り扱う事業者として、現地ステークホルダーとの対話と協働を継続し、人権に関するリスクの低減と持続可能なサプライチェーンの構築に努めています。
・加えて、当社はグループ全体でのサステナビリティ関連のリスクマネジメントの推進にも注力しています。例えば水産事業では、当社が策定した環境・社会リスクヒートマップやサステナビリティ・デューデリジェンス・チェックリストを活用し、関係会社における生物多様性・水資源・労働環境を含む環境・社会リスク状況を確認しました。その結果、当該関係会社が国際認証ASC(Aquaculture Stewardship Council)やBAP(Best Aquaculture Practices)を継続取得・更新していることを確認するとともに、自然資本への依存度が高く、土地改変・水ストレス・廃棄物管理等が主なリスク項目であることを認識しました。当社は、グループ会社や取引先と連携したリスクの可視化と管理の徹底に努めています。今後もグループおよびサプライチェーン全体でリスクのモニタリングと管理レベルの向上に努めてまいります。
・現場レベルでのリスク管理を強化する観点から、役職員向けの人権研修や、外部講師を招いた取引先及びグループ役職員向けの人権セミナーを継続的に実施しており、2026年3月期は延べ約270名が参加しました。また、「ビジネスと人権」を含む、当社及び現地法人の役職員向けe-Learning(日本語・英語対応)を展開し、2026年3月期よりその一部の受講を義務化することで、受講の徹底を図りました。これら意識浸透の取組みにより、従業員の人権尊重に関する理解と意識を深め、当社事業における人権に関するリスクの予防・低減に寄与しています。
・人権に関する相談・苦情への対応体制(グリーバンスメカニズム)の拡充にも注力しました。当社及び取引先による人権侵害の懸念に関する苦情や通報を受け付ける窓口を自社ウェブサイト上に設置するとともに、2026年4月より、第三者機関(一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER))が提供するプラットフォームを通じた苦情受付にも対応しています。こうした社内外の窓口を通じて受け付ける苦情・通報は、通報者の匿名性や情報の秘匿性を確保した上で、サステナビリティ経営推進部が窓口となり、事案に応じて事業本部やコーポレートスタッフ部門等の関係部署と連携して責任をもって対応します。必要に応じて事実関係を調査し、関係先へ是正措置を要請するなど、問題の改善・救済に努めるプロセスを運用しています。当社はこれらの取組みにより、社内外からの人権に関するリスク情報の早期把握・対応を可能にし、人権侵害の発生抑制と適切な是正につなげています。また、社内外からの意見やフィードバックを踏まえ、グリーバンスメカニズムの実効性を定期的に検証し、必要に応じ運用の改善を図っています。
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