有価証券報告書-第165期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/15 10:00
【資料】
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【項目】
185項目
(2)戦略
① 基本的な考え方
当社グループは、経営理念「『愛』『敬』の精神に基づき、人を尊重し、社会の発展に貢献する」を掲げ、信頼を礎とする人間尊重の経営を続けてきました。こうした考え方は、「人、そして社会を大切にしたい」という当社グループの価値観の根幹を成すものであり、国際社会が目指す持続可能な社会の実現にも通じるものと考えています。
当社グループは、事業活動を通じた社会的価値の創出と中長期的な企業価値の向上を両立させるべく、環境・社会・ガバナンスに関する課題への対応を経営上の重要な取り組みとして位置付けています。特に、近年の事業環境や社会要請の変化、国際的なサステナビリティを巡る議論や潮流を踏まえ、体系的かつ戦略的な対応の必要性が高まっていると認識しています。
こうした認識のもと、2021年11月には、人間尊重の経営理念を基本としながら、環境・社会に関する課題や国際的な潮流を踏まえた「サステナビリティ基本方針」及び9つの項目から構成される「サステナビリティ行動指針」を策定しました。当社グループは、これらをサステナビリティに関する取り組みの基本的な考え方及び行動の指針として位置付け、グループ全体での一貫した取り組みを推進しています。
② マテリアリティ
当社グループは、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を両立させるため、事業活動を通じて優先的に取り組むべき重要課題としてマテリアリティを特定しています。マテリアリティの特定にあたっては、当社グループの経営理念及びサステナビリティ基本方針・行動指針を前提に、事業環境や社会課題の変化、国際的なサステナビリティを巡る動向、ならびにステークホルダーの期待等を踏まえ、長期的な視点から検討を行っています。具体的には、当社グループの事業活動が社会や環境に与える影響度と、当社グループの中長期的な成長や事業継続に与える重要性の両面から評価を行い、サステナビリティ委員会における審議を経て、経営として優先的に対応すべき課題を整理しています。
特定したマテリアリティについては、環境・社会・ガバナンスの各側面における重要なリスク及び機会として捉え、経営戦略と一体的に対応することが重要であると認識しています。その対応にあたっては、事業を通じた価値創出や事業基盤の強化につながる観点を重視しています。
この考え方のもと、当社グループは、マテリアリティへの対応を具体化する中期的な取り組みとして「サステナビリティ中期計画2026」を策定しました。本計画では、各マテリアリティに関連するリスク・機会、目指す姿及び取り組みの方向性を整理するとともに、進捗管理のためのKPI・目標を設定しています。
なお、マテリアリティの特定プロセス及びマテリアリティマップについては、当社ウェブサイトに掲載しています。
(当社ウェブサイト:https://www.inabata.co.jp/sustainability/about/materiality/)
■当社グループのマテリアリティ
持続的な価値創出脱炭素社会・循環型社会への貢献/自然資本の持続可能な利活用
安全・安心で豊かな生活への貢献
レジリエントな調達・供給機能を通じた価値提供
事業継続の基盤「愛」「敬」の精神に基づく人権尊重と地域社会との共生
価値創造を担う人的資本の育成・強化
ガバナンス・リスクマネジメントの強化

③ サステナビリティ中期計画2026
当社グループは、マテリアリティへの対応を実行計画へと具体化し、取り組みの進捗を定期的に管理・改善していくための枠組みとして、「サステナビリティ中期計画2026」を策定しています。本計画は、当社グループが注力すべきサステナビリティ課題に対し、マテリアリティに関わる長期的な目指す姿(長期的ビジョン)を示した上で、当該ビジョンからバックキャストし、2024年度から2026年度までの3カ年を対象期間として、重点テーマごとのリスク・機会、主な取り組みの方向性ならびにKPI・目標を整理するものです。
当社グループは、サステナビリティ課題を、事業継続上のリスクであると同時に、新たな成長機会にもなり得るものと捉えており、本計画を通じて、重要なリスク・機会を経営管理の中に組み込み、事業戦略と整合した形で対応を進めています。本計画により、重要課題への対応状況をKPI・目標を通じて可視化し、その進捗を継続的に評価することで、当社グループの中長期的な価値創出に関する説明性の向上を図っています。
本計画は、「稲畑産業グループのサステナビリティ」「マテリアリティの整理と関連セグメント」「マテリアリティに関わるリスク・機会と主な取り組み」「長期的なビジョン、戦略及びKPI・目標」の4つの要素で構成されています。中期計画におけるKPI・目標の進捗については、サステナビリティ委員会において毎年モニタリングを行うとともに、取締役会への報告を通じて経営による監督を受け、必要に応じて施策の見直しや改善につなげています。
本計画の構成やKPI・目標の詳細及び進捗状況については、当社ウェブサイトや統合報告書に掲載していますのでご参照ください。2025年度の実績については、2026年夏頃を目途に開示を予定しています。
なお、本計画に掲げているKPI・目標については、(4)指標及び目標において記載しています。
④ 気候変動
当社グループは、気候変動が地球規模で経済・社会・環境に重大な影響を及ぼす最も重要な課題の一つであると認識しており、異常気象の頻発・激甚化等を通じて、企業活動や人々の暮らしに具体的な影響を及ぼしていると捉えています。各国・地域において脱炭素に向けた政策・規制の整備や市場構造の変化が進展する中、企業には、気候変動への対応を短期的な環境対応にとどめることなく、中長期的な経営課題として捉え、戦略的かつ体系的に取り組むことが求められています。
パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く抑え、更に1.5℃に抑える努力を追求することが掲げられており、当社グループは、この国際的な目標と整合した方向性のもとで、気候変動への対応を進めています。
当社グループは、気候変動が事業環境及び社会全体に与える影響と、その対応の重要性を認識し、「サステナビリティ基本方針・行動指針」及び「稲畑産業コンプライアンス宣言」において、事業を通じた地球環境の保全への貢献を表明しています。また、2022年に特定したマテリアリティにおいても、「脱炭素社会・循環型社会への貢献」を掲げ、気候変動を経営の重要課題の一つとして位置づけてきました。
こうした考え方を具体的な行動につなげるため、当社グループは2024年に「サステナビリティ中期計画2026」を策定し、気候変動への対応を含む重点テーマについて、目指す姿や具体的な目標を設定したうえで、計画的に施策を推進しています。
気候変動は、当社グループにとって、物理的リスクや移行リスクといった事業上のリスク要因である一方、脱炭素化の進展に伴う新たな事業機会を生み出す要因でもあります。当社グループは、自社の事業活動におけるGHG排出量の削減に取り組むとともに、脱炭素社会の実現に資する商材やソリューションの提供を通じて、社会課題の解決と事業成長の両立を目指しています。
当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が示した考え方を踏まえ、国内外におけるサステナビリティ開示を巡る動向も踏まえながら、気候変動が自社の事業及び財務に与える影響を、リスクと機会の両面から把握・分析しています。その概要は以下のとおりです。本サマリーは、TCFD提言に基づく検討結果の要点を示したものであり、当社グループの気候変動対応が経営判断や事業戦略にどのように反映されているかを理解いただくことを目的としています。
■TCFD提言が求める開示推奨項目と当社対応のサマリー
要求項目項目の詳細当社対応
ガバナンス気候関連のリスク及び機会に係る組織のガバナンス体制の開示当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ課題について、代表取締役社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会において審議・検討しています。全取締役がサステナビリティ委員会に参加する体制とすることで、同委員会を通じて取締役会としての監督機能を発揮しています。
取締役会では、取締役会規程に基づき、サステナビリティ課題への取り組み状況について、担当取締役から定期的に報告を受けるとともに、サステナビリティ委員会で審議・検討された内容についても、適切に報告を受け、監督しています。
戦略気候関連のリスク及び機会に係る事業(ビジネス・戦略・財務計画)への影響の開示当社グループでは、1.5℃及び4℃の複数シナリオを用いた分析に基づき、気候変動が事業及び財務に与える影響を、リスクと機会の両面から評価しています。
4℃シナリオでは、異常気象の激甚化による国内外拠点への影響が想定されるものの、現時点では事業継続を大きく揺るがす水準には至らないと認識しています。一方で、気候変動への適応に資する商材の需要増加が見込まれ、事業レジリエンスは維持されると評価しています。
1.5℃シナリオでは、カーボンプライシングや電力価格上昇に伴うコスト増加が想定される一方、低炭素化や環境配慮に資する技術・商材の拡大を通じた中長期的な収益機会を確認しました。これらを踏まえ、「環境関連ビジネスの拡大」及び「事業を通じた地球環境への貢献」を、脱炭素社会の進展における重要な成長戦略として位置づけています。
リスク管理気候関連のリスクに対する組織の識別・評価・管理プロセスの開示当社グループでは、気候変動に関するリスク及び機会について、サステナビリティ委員会を中心に識別・評価・管理しています。シナリオ分析等を踏まえ、定性・定量の両面から抽出したリスク及び機会について、サステナビリティ委員会において重要性評価を行い、必要に応じて取締役会に報告し、監督を受けています。
取締役会は、サステナビリティ委員会からの報告に加え、リスク管理室、財務経営管理室、コンプライアンス委員会等から報告されるその他のリスクを踏まえ、全社的な観点から重要性の高いリスクを統合的に監督しています。
指標と目標気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標と目標の開示当社グループは、パリ協定の1.5℃目標に整合する形で、連結グループのScope1及びScope2を対象とした2050年度カーボンニュートラル達成を長期目標として掲げています。
あわせて、「サステナビリティ中期計画2026」において、GHG排出量(Scope1・2、連結)を2022年度比で2026年度までに25%、2030年度までに42%削減する中間目標を設定し、進捗管理を行っています。
また、2022年3月期からは、サプライチェーン全体の排出量把握に向けてScope3排出量の算定を開始しており、今後は算定対象範囲を段階的に拡大していく方針です。

なお、気候変動に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の詳細、ならびにシナリオ分析の前提・定量的な影響等については、コーポレート・ガバナンス報告書(2026年6月17日開示予定)の「TCFD提言に基づく情報開示」をご参照ください。

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