有価証券報告書-第151期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び当該コーポレート・ガバナンス体制を採用する理由
イ コーポレートガバナンスの基本原則
当社は、「住友の事業精神」と当社の「経営理念」を企業倫理のバックボーンとして、「住友商事コーポレートガバナンス原則」を定めています。「住友商事コーポレートガバナンス原則」は、コーポレートガバナンスの要諦が「経営の効率性の向上」と「経営の健全性の維持」及びこれらを達成するための「経営の透明性の確保」にあるとの認識に立ち策定したもので、当社は、この原則に則り、当社に最もふさわしい経営体制の構築を目指し、株主を含めた全てのステークホルダーの利益にかなう経営を実現するために、コーポレートガバナンスの強化を図っています。
ロ コーポレートガバナンス体制と特徴
当社は、監査役体制の強化・充実によりコーポレートガバナンスの実効性を上げることが最も合理的であると考え、監査役会設置会社制度を採用しています。監査役5名のうち3名が社外監査役で、そのうち2名が検事総長、大阪高等裁判所長官の経歴を持つ法律家、1名が会計の専門家と、多角的な視点からの監査体制となっています。また、多様な視点から、取締役会の適切な意思決定を図るとともに、監督機能の一層の強化を図ることを目的に、経験や専門性が異なる社外取締役を4名選任しています。独立性のある社外取締役及び社外監査役による経営の監督・監視機能の強化を図ることにより、「経営の効率性の向上」、「経営の健全性の維持」及び「経営の透明性の確保」というコーポレートガバナンスの目的をより一層実現できると考えています。
[当社の企業統治の体制(企業統治に関して当社が任意に設置する委員会その他これに類するものを含む。)の概要]
ハ 「経営の効率性の向上」と「経営の健全性の維持」のための仕組み
(イ) 取締役及び取締役会
①取締役会での審議の充実、モニタリング機能の強化
取締役会では、経営方針・経営計画などの経営全般に係る重要事項についてより集中して議論を行えるよう要付議事項を厳選し、同時に、取締役会のモニタリング機能を強化するために、取締役会への報告事項を充実させ取締役会が業務執行の監督に一層注力できるようにしています。
②適正な取締役会規模
現在、取締役の人数は10名(うち社外取締役 4名)となっており、業務執行の監督と重要な経営事項の決定の機能を担う取締役会において、十分な議論を尽くし迅速かつ合理的な意思決定を行うことができる規模となっています。
③取締役の任期
事業年度ごとの経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応するため、取締役の任期を1年としています。
④取締役会長の在任期間の制限
相互牽制の観点から、原則として、取締役会長及び社長執行役員を置くこととし、これらの役位の兼務は行わないこととしています。
また、取締役会長の在任期間は原則として6年までと定めています。これにより、取締役会長が長期間交代しないことでガバナンス上の弊害が発生する可能性を排除しています。
⑤取締役会の諮問機関の設置
取締役会の諮問機関として、過半数が社外取締役で構成される「指名・報酬諮問委員会」(委員長:社外取締役)を設置しています。「指名・報酬諮問委員会」は、①社長執行役員の選任・解任の方針・手続、②取締役会長の選定・解職の方針・手続、③取締役及び監査役の指名基準、④社長執行役員の選任・解任(社長の後継者指名を含む)、⑤取締役及び監査役候補者の指名(代表取締役・役付取締役の決定を含む)、⑥経営会議構成員の選任、⑦取締役及び執行役員の報酬・賞与の体系・水準、並びに監査役の報酬枠、⑧顧問制度に関する検討を行い、その結果を取締役会に答申します。
⑥社外取締役の選任
多様な視点から、取締役会の適切な意思決定を図るとともに、監督機能の一層の強化を図ることを目的に、社外取締役4名を選任しています。また、いずれの社外取締役も東京証券取引所などが定める独立性に関する基準及び当社が定める独立性に関する基準を満たしています。
(ロ) 監査役及び監査役会
①監査役体制の強化・充実
外部の視点からの監視体制の強化のため、監査役5名のうち3名を社外監査役としており、そのうち2名が検事総長、大阪高等裁判所長官の経歴を持つ法律家、1名が会計の専門家と、多角的な視点からの監査体制となっています。また、いずれの社外監査役も東京証券取引所などが定める独立性に関する基準及び当社が定める独立性に関する基準を満たしています。
②監査役監査の実効性の確保
監査役は、監査上不可欠な情報を十分に入手するため、取締役会をはじめとする重要な社内会議に必ず出席するほか、取締役会長・社長執行役員と経営方針や監査上の重要課題について毎月意見を交換しています。さらに、監査役を補佐する監査役業務部を置き、監査業務が支障なく行われ、監査役の機能が最大限果たせるようにしています。
③内部監査部、会計監査人との連携
監査役は、効率的な監査を行うため、内部監査部と緊密な連携を保ち、内部監査の計画及び結果について適時に報告を受けています。
また、会計監査人との定期的な打合せを通じて、会計監査人の監査活動の把握と情報交換を図るとともに、会計監査人の監査講評会への出席、在庫棚卸監査への立会いなどを行い、監査役の監査活動の効率化と質的向上を図っています。
(ハ) 独立性基準
社外取締役及び社外監査役の当社からの独立性に関する基準については、社内規則「社外役員の選任及び独立性に関する基準」(「(2)役員の状況 ② 社外役員の状況」参照)により定めています。
(ニ) 経営会議
多様な意見や多面的な議論を踏まえた意思決定を行うために、2015年7月から経営会議を社長執行役員の諮問機関から業務執行レベルの最高意思決定機関とし、取締役会における委任の範囲内において、経営に関する特定の重要事項について審議・決定を行います。
(ホ) 執行役員制の導入及び社長執行役員の在任期間の制限
業務執行の責任と権限の明確化及び取締役会の監督機能強化を目的として、執行役員制を導入しています。
また、社長執行役員の在任期間は原則として6年までと定めています。これにより、経営トップが長期間交代しないことでガバナンス上の弊害が発生する可能性を排除しています。
(ヘ) 各種委員会
全社的観点から重要性の高い特定の事項につき、社長執行役員や経営会議に対する諮問機関として全社投融資委員会、中期経営計画推進サポート委員会、内部統制委員会、コンプライアンス委員会などの各種委員会を設けています。
(ト) 相談役・顧問等
2019年5月に、過半数が社外取締役で構成される、指名・報酬諮問委員会(委員長:社外取締役)の答申に基づき、取締役会の決議を経て、従来、社長執行役員・取締役会長経験者に対し委嘱していた相談役・名誉顧問制度を見直しました。今後は相談役・名誉顧問に替え、有期の特別顧問を委嘱することとします。
また、特別顧問は、社長の要請により、財界活動および住友グループに関する活動等対外活動のみに従事します。
ニ 「経営の透明性の確保」のための体制
(イ) 情報開示の基本方針
当社は、経営方針と営業活動を全てのステークホルダーに正しく理解してもらうため、法定の情報開示にとどまらず、任意の情報開示を積極的に行うとともに、開示内容の充実に努めており、「情報開示方針」を制定し、当社ウェブサイト(https://www.sumitomocorp.com/jp/-/media/Files/hq/about/governance/detail/disclosurepolicy160701.pdf?la=ja)に掲載しています。
(ロ) 株主・投資家とのコミュニケーション
①株主総会に関連した取組
当社は、定時株主総会の約3週間前に招集通知を発送するとともに英訳版も作成し、招集通知の発送に先立って当社のウェブサイトに掲載しています。2004年からはインターネットによる議決権行使、2005年には携帯電話端末からのインターネットによる行使も可能にしました。さらに、2007年からは株式会社ICJが運営する機関投資家向け議決権電子行使プラットフォームを利用し、機関投資家のために議案内容の十分な検討時間を確保しています。また、当社ウェブサイトにて、株主総会終了後一定期間、株主総会の模様を動画配信しています。
②各種情報の開示
当社のウェブサイト上では、決算情報・有価証券報告書・適時開示資料などのほか、会社説明会資料など、投資判断に資する資料をタイムリーに掲載しています。また、年次報告書である統合報告書を発行し、積極的な情報開示を行っています。
③IR・SR活動
株主・投資家の皆様とのダイレクト・コミュニケーションの場として、国内のアナリスト・機関投資家向けに経営トップの出席の下、年4回、定期的な決算説明会を行うとともに、海外投資家に対しては、米国・英国をはじめ、欧州・アジア方面を訪問し、継続的に個別ミーティングを実施しています。また、個人投資家向けには、全国主要都市で会社説明会を開催しています。さらに、当社株式を実質的に保有する国内及び欧州・北米の機関投資家の議決権行使担当者等と面談し、当社のコーポレートガバナンス等について建設的な対話(エンゲージメント)を行っています。
今後も、経営の「透明性」を高めつつ、株主・投資家の皆様との信頼関係の強化に努めていきます。
② コーポレート・ガバナンス体制
当社のコーポレート・ガバナンス体制は以下のとおりであります。
また、コーポレートガバナンスに対する取組については、当社ウェブサイト
(https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/about/governance/detail#13)に詳細な内容を掲載しています。
③ 住友商事コーポレートガバナンス原則
④ 当社グループの内部統制への取組み
当社では、当社グループの一組織が遂行する以上、どの業界に属し、どの地域にあっても、一定水準以上の「業務品質」を保持していることが必要と考えています。
このような観点から、当社は2005年以降、当社グループの内部統制の更なる強化を目指し、当社グループを構成するすべての組織が共通に保持すべき、リスク管理、会計・財務管理、コンプライアンスなど、組織運営全般にわたる管理のポイントを網羅したチェックリストを用いた点検を行い、それらを踏まえた改善活動を継続して実施してまいりました。
それに加え、2010年4月より、過去の内部統制不備事例等の分析を通じて抽出された特定の内部統制行為(コントロール)を、全社で徹底的に強化していくべき重要項目と位置付け、各組織に於いて継続的にこれらのコントロールの実施状況を確認しています。
2010年8月、当社グループ全体での内部統制全般の管理・評価および基本方針の立案・導入推進などを担う「内部統制委員会」を発足させ、2011年度以降社内外の法令・ルール等の変化に対応した前述チェックリストの見直しや、過去の内部統制不備事例の紹介、各種内部統制関連の教材の充実を行う等、全社的な内部統制の強化に向けた取り組みを推進しています。
また、それぞれの事業部門や国内外の地域組織では、前年に引き続きそれぞれのビジネス特性に応じた内部統制活動に独自に取り組んでいます。
なお、2008年4月以降金融商品取引法上の内部統制報告制度に対応しており、当該内部統制評価を通じ業務プロセスの改善も実施しています。
2018年度から2020年度の3年間を対象とする「中期経営計画2020」では、経営基盤の強化の一つとして、ガバナンスの高度化を掲げています。当社グループでは、内部統制システムを成長戦略推進のための基盤と位置付け、ガバナンス高度化の具体策として、内部統制を通じた業務品質および企業価値の向上を目指すプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、事業を運営する上で、コントロールすべき基礎的なリスクを特定し、リスクの重要性とその対応について、当社とグループ会社間で対話を行いながら、内部統制を改善していく循環(PDCA)を自律的に作り出していくというものです。当社グループはこのプロセスを標準化し、現場におけるPDCAを積極的に推進し、グループ全体の内部統制の向上につなげていきます。
⑤ リスク管理体制の整備の状況
イ リスクマネジメントの目的と基本方針
当社においては、「リスク」を「あらかじめ予測し若しくは予測していない事態の発生により損失を被る可能性」及び「事業活動から得られるリターンが予想から外れる可能性」と定義し、以下3点をリスクマネジメントの目的としています。
1.「業績安定」:計画と実績の乖離を少なくして安定収益を確保すること。
2.「体質強化」:リスクを体力(親会社の所有者に帰属する持分)の範囲内に収め、リスク顕在化の場合にも事業に支障を来さないようにすること。
3.「信用維持」:法令遵守等の社会的な責任を果たし、信用を維持すること。
当社はリスクを、商取引に関わるリスク、投資に関わるリスク、その他事業全般に関わるリスク(オペレーショナルリスク、リーガルリスク、災害リスク、環境リスク、ITリスク等)、の3つの視点から管理し、合理的に定量化が可能なものは定量化し、リスク量を体力の範囲内に収め、リスクに対するリターンの極大化を基本方針としています。
ロ リスクマネジメント体制
(イ) 事業部門におけるリスクマネジメント
当社の事業部門と各地域拠点は「自主管理・自己責任」の原則に基づき、担当事業分野に関わる専門的知見・経験を活かして個々の案件のリスクを分析・評価したうえで、全社共通の考え方・尺度・ルールといったフレームワークに基づき、案件推進の可否判断を実施しています。各事業部門を担当するリスク管理部署のスタッフは、リスクマネジメントの専門的見地からこれをサポートする機能と役割を果たしています。
(ロ) 事業ポートフォリオ戦略の議論と検証
各事業部門・地域拠点では、ビジネスライン毎に、足元の収益性と将来の成長性の視点から、方向性を検討して、事業ポートフォリオ戦略を策定します。各事業部門・地域拠点の事業ポートフォリオ戦略は、社長執行役員・コーポレート部門と事業部門の間で定期的に開催される戦略会議において議論され、大口のビジネスラインに関する方向性の検証や問題ビジネスラインの早期洗い出しと方向付けを行います。
また、個別の事業部門・地域拠点にとどまらない課題(全社リスクアセットのコントロール、事業部門間の経営資源の再配分等)については、社長執行役員・各事業部門長等がメンバーとなっている経営会議において議論・決定しています。
(ハ) 全社レベルのリスクマネジメントを担当するリスク管理部署の役割
全社レベルのリスクマネジメントを担当するリスク管理部署では、主として以下の役割を果たしています。
・ 全社レベルのリスクマネジメントに関する枠組み(ルール、組織、システム等)の構築
・ 全社統一的な意思決定支援ツール・手法の開発・改良、社内への普及
・ 全社レベルのリスクテイク状況のモニタリングとマネジメントへの報告
・ リスクマネジメント要員の全社適正配置
・ 重要な事業分野、国・地域のリスク分析と社内への情報提供
・ 取引先に対する社内信用格付の付与
リスク管理専門部署以外も、それぞれの専門性と担当業務に応じて、後述の事業全般に関わるリスクのリスクマネジメントを分担しています。
また、一定金額を上回る大型案件は、全社的に大きなインパクトを与える可能性があるため、コーポレート部門の主要メンバーで構成される投融資委員会において取り進めの是非・条件等について議論しています。
(ニ) 全社横断組織
リスクマネジメントに関する社内の体制・組織・規程等は、過去の経験を通じて蓄積されたノウハウ、人材を前提に、会社運営の基本方針に基づいて設計してありますが、社会・経済情勢の変化等によっては、現行の枠組みの中での単一の組織では適切に対応できないリスクが大きくなってくるケースがあります。このような場合には、機動的かつ適切な対応策を講じるために全社横断的なチーム・委員会を設置して対応することとしています。
ハ 具体的な管理の仕組み
(イ) 投資に関わるリスクの管理
・投資リスク管理
投資案件は、一旦実施すると撤退の判断が難しく、撤退した場合の損失のインパクトが大きくなりがちです。このため、投資の入り口から出口まで一貫した管理を実施しています。投資の入り口では、案件毎の事業リスクを反映した投資基準を上回る案件を厳選しています。特に、大型・重要案件については、多面的な議論を踏まえた意思決定とすべく、投資の検討段階と実行段階のそれぞれにおいて、各事業部門の投融資委員会及び全社投融資委員会を開催し案件取り進めの可否を十分に検討した上で、経営会議に諮ることとしています。投資実施後においても、特に重要案件については全社投融資委員会のもとでモニタリングを行い、投資後の100日プランや業績改善等、投資テーマ実現による事業価値最大化のために必要な施策を立案し、実行しています。さらに、2018年度にはポートフォリオの質の向上を目的とした新たなモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を導入しました。主に定量的な指標をもとに投資先を評価し、「健全先」「ポテンシャル先」「撤退候補先」の3つに分類の上、投資ポートフォリオにおける立ち位置を確認し、改めて事業の強弱をレビューします。レビュー結果に従って、事業価値の最大化につながる具体策を通じて成長戦略の一つである「既存事業のバリューアップ」を図る一方、成長余地の乏しい事業からの撤退も促します。
(ロ) 商取引に関わるリスクの管理
・信用リスク管理
当社は、取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。当社は、取引先の信用リスク管理に、当社独自の信用格付であるSumisho Credit Rating(以下、SCR)を用いています。このSCRでは、取引先の信用力に応じて合計9段階に格付けし、格付に応じて与信枠設定の決裁権限を定めております。また、取引先の与信枠を定期的に見直し、信用リスクのエクスポージャーを当該枠内で適切に管理しているほか、取引先の信用評価を継続的に実施し、必要な場合には担保取得などの保全措置も講じております。
・市場リスク管理
主な市況商品・金融商品の取引については、契約残高に限度枠を設定するとともに、半期損失限度枠を設定し、実現損及び評価損の合計が損失限度枠内に収まっているか常時モニターし、一部取引については潜在損失額(Value at Risk=潜在リスクの推定値)を用いてリスク量を管理しています。また、取引の確認や受渡し・決済、残高照合を行うバックオフィス業務や、損益やポジションを管理・モニターするミドルオフィス業務を財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署が担当し、取引を執行するフロントオフィスと完全分離することで、内部牽制を徹底しています。
(ハ) その他事業全般に関わるリスクの管理
当社では、訴訟等のリーガルリスク、事務処理ミスや不正行為などのオペレーショナルリスク、自然災害リスクに加えて、環境リスク・ITリスク等、従来以上に経営への影響が高まっているこれらの分野において、リスクの発生そのものを回避、もしくは発生する確率や発生時の影響を極小化することをリスクマネジメントの基本方針としています。具体的には、内部統制委員会を中心とした全社的な内部統制強化に向けた取り組みや、事業部門・国内外の地域組織によるそれぞれのビジネス特性に応じた独自の内部統制活動を通して、グローバル連結ベースでのリスクに関するモニタリングも定期的に実施しています。そして、その結果を踏まえた組織体制や業務フローの見直しを行うことを通じて、「業務品質」の継続的な向上を図っています。
(ニ) 集中リスク管理
グローバルかつ多様な事業分野においてビジネスを推進している総合商社では、特定のリスクファクターに過度な集中が生じないように管理する必要があります。当社では、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、社長執行役員と事業部門長とで行われる戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分するリスクアセット額について十分なディスカッションを行っています。
(ホ) リスクマネジメントを定着させる仕組み
当社は、多様化したリスクに対して可能な限りのリスクマネジメント・フレームワークを整えてはいますが、ビジネスに伴う損失を完全に防ぐことは出来ません。万一、損失事態が発生してしまった場合には、できるだけ早期に発見可能な体制を整えること、発見後は直ちに関係情報を収集・分析し、迅速かつ適切に対応するとともに、当該情報をマネジメント層・関係部署が共有することにより、損失の累増や二次損失の発生を抑止することに努めています。また、様々な損失事態情報を損失発生データベースにて集中管理するとともに、損失発生の原因を体系的に分析したうえで、各種研修や様々な教材の作成・配布を通じてビジネスの現場にフィードバックすることで、一人ひとりのリスク管理能力のレベルアップを図り、同様の損失事態の再発を極力防止する仕組みを構築しています。
⑥ 業務の適正を確保するための体制の整備についての取締役会決議
当社では、実効性の高い内部統制を実現するため、取締役会において会社法第362条第4項第6号に規定する体制(内部統制システム)を定め運用するとともに、毎年運用状況の評価を実施し、継続的な見直しによって、その時々の要請に合致したシステムの構築を図ることとしています。
2018年における内部統制システムの運用状況については、2019年2月に開催された内部統制委員会において評価を実施し、内部統制システムが有効に機能していることを確認し、2019年3月に開催された取締役会においてその旨を報告しています。
2019年6月21日現在の当社の内部統制システムにかかる取締役会決議の内容は次のとおりです。
⑦ 取締役(業務執行取締役等(会社法第2条第15号イに規定する業務執行取締役等をいう。以下同じ。)であるものを除く。)及び監査役との間で締結している責任限定契約の内容の概要
当社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)及び監査役全員との間で、会社法第427条第1項に基づき、善意かつ重大な過失がないときの責任を法令の定める限度までとする旨の責任限定契約を締結しております。
⑧ 内部監査、監査役監査及び会計監査の相互連携
監査役、会計監査人および内部監査部門のそれぞれの間で定期的に情報交換を行い連携強化に努めています。
内部監査部は、活動計画及び内部監査の結果について適時に報告するなど、監査役及び会計監査人との適切な連携関係保持に努め、それぞれの監査の効率的な実施に資するよう努めています。
監査役は、会計監査人との定期的な打合せを通じて、会計監査人の監査活動の把握と情報交換を図るとともに、会計監査人の監査講評会への出席、在庫棚卸監査への立会等を行い、監査役の監査活動の効率化と質的向上を図っています。さらに、監査役は、内部統制委員会に出席し、また、その他内部統制を所管する部署に対して、内部統制システムの状況についての報告や監査への協力を求めています。
⑨ その他当社定款規定について
イ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。また、取締役の選任決議は累積投票によらない旨定款に定めております。
ロ 自己の株式の取得の決定機関
当社は、機動的な資本政策の遂行を可能とするため、取締役会の決議をもって自己の株式を市場取引等によって取得することができる旨定款に定めております。
ハ 中間配当の決定機関
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めております。
ニ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。
ホ 取締役及び監査役の責任免除の決定機関
当社は、取締役及び監査役が、職務を遂行するにあたり、期待される役割を十分に発揮できるよう、会社法
第426条第1項の規定により、取締役会の決議によって、法令の定める範囲内で、取締役及び監査役の責任を免
除できる旨を定款に定めております。
イ コーポレートガバナンスの基本原則
当社は、「住友の事業精神」と当社の「経営理念」を企業倫理のバックボーンとして、「住友商事コーポレートガバナンス原則」を定めています。「住友商事コーポレートガバナンス原則」は、コーポレートガバナンスの要諦が「経営の効率性の向上」と「経営の健全性の維持」及びこれらを達成するための「経営の透明性の確保」にあるとの認識に立ち策定したもので、当社は、この原則に則り、当社に最もふさわしい経営体制の構築を目指し、株主を含めた全てのステークホルダーの利益にかなう経営を実現するために、コーポレートガバナンスの強化を図っています。
ロ コーポレートガバナンス体制と特徴
当社は、監査役体制の強化・充実によりコーポレートガバナンスの実効性を上げることが最も合理的であると考え、監査役会設置会社制度を採用しています。監査役5名のうち3名が社外監査役で、そのうち2名が検事総長、大阪高等裁判所長官の経歴を持つ法律家、1名が会計の専門家と、多角的な視点からの監査体制となっています。また、多様な視点から、取締役会の適切な意思決定を図るとともに、監督機能の一層の強化を図ることを目的に、経験や専門性が異なる社外取締役を4名選任しています。独立性のある社外取締役及び社外監査役による経営の監督・監視機能の強化を図ることにより、「経営の効率性の向上」、「経営の健全性の維持」及び「経営の透明性の確保」というコーポレートガバナンスの目的をより一層実現できると考えています。
[当社の企業統治の体制(企業統治に関して当社が任意に設置する委員会その他これに類するものを含む。)の概要]
設置機関 | 目的・権限 | 構成員 | |
取締役会 | 取締役会は、重要な経営事項を決定するとともに、 取締役及び執行役員が行う業務執行を監督する。 | 中村 邦晴 | 取締役会長 |
兵頭 誠之 | 取締役 社長執行役員* | ||
高畑 恒一 | 取締役 副社長執行役員* | ||
南部 智一 | 取締役 専務執行役員* | ||
山埜 英樹 | 取締役 常務執行役員* | ||
清島 隆之 | 取締役 常務執行役員* | ||
江原 伸好 | 社外取締役 | ||
石田 浩二 | 社外取締役 | ||
岩田 喜美枝 | 社外取締役 | ||
山﨑 恒 | 社外取締役 | ||
*は代表取締役 | |||
指名・報酬 諮問委員会 | 取締役会の諮問機関として、指名・報酬諮問委員会は、 以下に関する事項を審議し、取締役会に答申する。 1. 社長執行役員の選任・解任の方針・手続 2. 取締役会長の選定・解職の方針・手続 3. 取締役及び監査役の指名基準 4. 社長執行役員の選任・解任(社長の後継者指名を含む) 5. 取締役及び監査役候補者の指名 (代表取締役・役付取締役の決定を含む) 6. 経営会議構成員の選任 7. 取締役及び執行役員の報酬・賞与の体系・水準、並びに監査役の報酬枠 8. 顧問制度 | ||
江原 伸好 | 社外取締役(委員長) | ||
中村 邦晴 | 取締役会長 | ||
兵頭 誠之 | 社長執行役員 | ||
石田 浩二 | 社外取締役 | ||
岩田 喜美枝 | 社外取締役 | ||
経営会議 | 経営会議は取締役会における委任の範囲内において、経営に関する特定の重要事項について審議・決定を行う。 | 兵頭 誠之 | 社長執行役員 |
高畑 恒一 | 財務・経理・リスクマネジメント担当役員 | ||
山埜 英樹 | 企画担当役員 | ||
清島 隆之 | 人材・総務・法務担当役員 | ||
古場 文博 | 金属事業部門長 | ||
岡 省一郎 | 輸送機・建機事業部門長 | ||
秋元 勉 | インフラ事業部門長 | ||
南部 智一 | メディア・デジタル事業部門長 | ||
安藤 伸樹 | 生活・不動産事業部門長 | ||
上野 真吾 | 資源・化学品事業部門長 | ||
監査役会 | 監査役会は、法令に定める権限を有する。 また、その決議をもって、監査の方針、会社の業務及び 財産の状況についての調査の方法、その他監査役の職務の 執行に関する事項を定める。 | 細野 充彦 | 常任監査役(常勤) |
村井 俊朗 | 監査役(常勤) | ||
笠間 治雄 | 社外監査役 | ||
永井 敏雄 | 社外監査役 | ||
加藤 義孝 | 社外監査役 |
ハ 「経営の効率性の向上」と「経営の健全性の維持」のための仕組み
(イ) 取締役及び取締役会
①取締役会での審議の充実、モニタリング機能の強化
取締役会では、経営方針・経営計画などの経営全般に係る重要事項についてより集中して議論を行えるよう要付議事項を厳選し、同時に、取締役会のモニタリング機能を強化するために、取締役会への報告事項を充実させ取締役会が業務執行の監督に一層注力できるようにしています。
②適正な取締役会規模
現在、取締役の人数は10名(うち社外取締役 4名)となっており、業務執行の監督と重要な経営事項の決定の機能を担う取締役会において、十分な議論を尽くし迅速かつ合理的な意思決定を行うことができる規模となっています。
③取締役の任期
事業年度ごとの経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応するため、取締役の任期を1年としています。
④取締役会長の在任期間の制限
相互牽制の観点から、原則として、取締役会長及び社長執行役員を置くこととし、これらの役位の兼務は行わないこととしています。
また、取締役会長の在任期間は原則として6年までと定めています。これにより、取締役会長が長期間交代しないことでガバナンス上の弊害が発生する可能性を排除しています。
⑤取締役会の諮問機関の設置
取締役会の諮問機関として、過半数が社外取締役で構成される「指名・報酬諮問委員会」(委員長:社外取締役)を設置しています。「指名・報酬諮問委員会」は、①社長執行役員の選任・解任の方針・手続、②取締役会長の選定・解職の方針・手続、③取締役及び監査役の指名基準、④社長執行役員の選任・解任(社長の後継者指名を含む)、⑤取締役及び監査役候補者の指名(代表取締役・役付取締役の決定を含む)、⑥経営会議構成員の選任、⑦取締役及び執行役員の報酬・賞与の体系・水準、並びに監査役の報酬枠、⑧顧問制度に関する検討を行い、その結果を取締役会に答申します。
⑥社外取締役の選任
多様な視点から、取締役会の適切な意思決定を図るとともに、監督機能の一層の強化を図ることを目的に、社外取締役4名を選任しています。また、いずれの社外取締役も東京証券取引所などが定める独立性に関する基準及び当社が定める独立性に関する基準を満たしています。
取締役会の実効性の維持・向上のため、毎年、取締役及び監査役による自己評価等の方法により、取締役会の実効性についての分析、評価を行い、その結果の概要を開示しています。2018年度の取締役会の実効性評価及びその結果の概要は、以下のとおりです。 1. 評価の手法 (1) 対象者: 取締役全員(11名)および監査役全員(5名) (2) 実施方法: 2018年12月~2019年1月にアンケート(回答は匿名)及びインタビューを実施しました。 *実施に当たっては第三者(外部コンサルタント)を活用 (3) 評価項目: ① 取締役会の構成 ② 取締役会の運営 ③ 取締役会の審議の充実・モニタリング機能の強化 ④ 社外役員への情報提供その他支援の体制 ⑤ 各取締役・監査役自身の取組み ⑥ 改善施策の評価 等 (4) 評価プロセス: 第三者(外部コンサルタント)が集計したアンケート及びインタビューの回答内容をもとに、分析した結果を取締役会に報告しました。 2. 評価結果の概要 全体的には、取締役会は概ね実効的に機能していると評価されています。 一方、取締役会資料の改善策として実施した、付議案件の要点をまとめた書面(エグゼクティブサマリー)の追加や用語集の作成について、概ね肯定的に評価をされているものの、説明資料(本編)の内容に関して改善の余地があるとの意見がありました。また、全社的な業務執行状況の適時かつ的確なモニタリングの強化策として実施した、各事業部門からの部門戦略及び具体的な取組とその進捗状況に関する定例報告について、報告内容や審議時間について見直す必要があるとの意見がありました。このほかにも取締役会の実効性の向上に向けたさまざまな意見・提言がありました。今後、取締役会で議論し、取締役会の実効性の更なる向上のための改善に取り組んでまいります。 [2017年度取締役会評価における課題への2018年度の主な取組] 2017年度の取締役会評価において課題として指摘があった、取締役会における審議の一層の充実及び取締役に提供する情報の充実等について、2018年度に、①取締役会において、付議者から経営会議の議論の内容や決議に至る経緯等について説明すること、②全社的な業務執行状況の適時かつ的確なモニタリングのため、事業部門から、部門戦略及び具体的な取組とその進捗状況を報告すること、及び③取締役会資料(営業案件)については、審議のポイントを明確化するために、要点をまとめた書面(エグゼクティブサマリー)を追加することなど、取締役会の実効性を更に向上させるための改善施策に取り組みました。 |
(ロ) 監査役及び監査役会
①監査役体制の強化・充実
外部の視点からの監視体制の強化のため、監査役5名のうち3名を社外監査役としており、そのうち2名が検事総長、大阪高等裁判所長官の経歴を持つ法律家、1名が会計の専門家と、多角的な視点からの監査体制となっています。また、いずれの社外監査役も東京証券取引所などが定める独立性に関する基準及び当社が定める独立性に関する基準を満たしています。
②監査役監査の実効性の確保
監査役は、監査上不可欠な情報を十分に入手するため、取締役会をはじめとする重要な社内会議に必ず出席するほか、取締役会長・社長執行役員と経営方針や監査上の重要課題について毎月意見を交換しています。さらに、監査役を補佐する監査役業務部を置き、監査業務が支障なく行われ、監査役の機能が最大限果たせるようにしています。
③内部監査部、会計監査人との連携
監査役は、効率的な監査を行うため、内部監査部と緊密な連携を保ち、内部監査の計画及び結果について適時に報告を受けています。
また、会計監査人との定期的な打合せを通じて、会計監査人の監査活動の把握と情報交換を図るとともに、会計監査人の監査講評会への出席、在庫棚卸監査への立会いなどを行い、監査役の監査活動の効率化と質的向上を図っています。
(ハ) 独立性基準
社外取締役及び社外監査役の当社からの独立性に関する基準については、社内規則「社外役員の選任及び独立性に関する基準」(「(2)役員の状況 ② 社外役員の状況」参照)により定めています。
(ニ) 経営会議
多様な意見や多面的な議論を踏まえた意思決定を行うために、2015年7月から経営会議を社長執行役員の諮問機関から業務執行レベルの最高意思決定機関とし、取締役会における委任の範囲内において、経営に関する特定の重要事項について審議・決定を行います。
(ホ) 執行役員制の導入及び社長執行役員の在任期間の制限
業務執行の責任と権限の明確化及び取締役会の監督機能強化を目的として、執行役員制を導入しています。
また、社長執行役員の在任期間は原則として6年までと定めています。これにより、経営トップが長期間交代しないことでガバナンス上の弊害が発生する可能性を排除しています。
(ヘ) 各種委員会
全社的観点から重要性の高い特定の事項につき、社長執行役員や経営会議に対する諮問機関として全社投融資委員会、中期経営計画推進サポート委員会、内部統制委員会、コンプライアンス委員会などの各種委員会を設けています。
(ト) 相談役・顧問等
2019年5月に、過半数が社外取締役で構成される、指名・報酬諮問委員会(委員長:社外取締役)の答申に基づき、取締役会の決議を経て、従来、社長執行役員・取締役会長経験者に対し委嘱していた相談役・名誉顧問制度を見直しました。今後は相談役・名誉顧問に替え、有期の特別顧問を委嘱することとします。
また、特別顧問は、社長の要請により、財界活動および住友グループに関する活動等対外活動のみに従事します。
ニ 「経営の透明性の確保」のための体制
(イ) 情報開示の基本方針
当社は、経営方針と営業活動を全てのステークホルダーに正しく理解してもらうため、法定の情報開示にとどまらず、任意の情報開示を積極的に行うとともに、開示内容の充実に努めており、「情報開示方針」を制定し、当社ウェブサイト(https://www.sumitomocorp.com/jp/-/media/Files/hq/about/governance/detail/disclosurepolicy160701.pdf?la=ja)に掲載しています。
(ロ) 株主・投資家とのコミュニケーション
①株主総会に関連した取組
当社は、定時株主総会の約3週間前に招集通知を発送するとともに英訳版も作成し、招集通知の発送に先立って当社のウェブサイトに掲載しています。2004年からはインターネットによる議決権行使、2005年には携帯電話端末からのインターネットによる行使も可能にしました。さらに、2007年からは株式会社ICJが運営する機関投資家向け議決権電子行使プラットフォームを利用し、機関投資家のために議案内容の十分な検討時間を確保しています。また、当社ウェブサイトにて、株主総会終了後一定期間、株主総会の模様を動画配信しています。
②各種情報の開示
当社のウェブサイト上では、決算情報・有価証券報告書・適時開示資料などのほか、会社説明会資料など、投資判断に資する資料をタイムリーに掲載しています。また、年次報告書である統合報告書を発行し、積極的な情報開示を行っています。
③IR・SR活動
株主・投資家の皆様とのダイレクト・コミュニケーションの場として、国内のアナリスト・機関投資家向けに経営トップの出席の下、年4回、定期的な決算説明会を行うとともに、海外投資家に対しては、米国・英国をはじめ、欧州・アジア方面を訪問し、継続的に個別ミーティングを実施しています。また、個人投資家向けには、全国主要都市で会社説明会を開催しています。さらに、当社株式を実質的に保有する国内及び欧州・北米の機関投資家の議決権行使担当者等と面談し、当社のコーポレートガバナンス等について建設的な対話(エンゲージメント)を行っています。
今後も、経営の「透明性」を高めつつ、株主・投資家の皆様との信頼関係の強化に努めていきます。
② コーポレート・ガバナンス体制
当社のコーポレート・ガバナンス体制は以下のとおりであります。
また、コーポレートガバナンスに対する取組については、当社ウェブサイト
(https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/about/governance/detail#13)に詳細な内容を掲載しています。
③ 住友商事コーポレートガバナンス原則
1 目的 本コーポレートガバナンス原則(以下「本原則」という)は、住友商事株式会社(以下「当社」という)における コーポレートガバナンスに係る基本原則を定めることを目的とする。 | |
2 本原則制定の背景・経緯等 2.1 本原則制定の背景・経緯等は次のとおりである。 ① 住友の事業精神は、400年を超える長い住友の事業の中を流れつづけている事業経営の理念であり、この住友精神は、1891年(明治24年)に作られた「営業の要旨」に具現化されている。曰く、第1条 我住友の営業は信用を重んじ確実を旨とし以って其の鞏固隆盛を期すべし。 第2条 我住友の営業は時勢の変遷理財の得失を計り弛張興廃することあるべしと雖も苟も浮利にはしり軽進すべからず。 ② 当社は、この住友精神のもと、1998年、「経営理念」を次のとおり制定するとともに、行動指針も制定した。
③ この「住友精神」と「経営理念」が、当社の企業倫理のバックボーンであり、コーポレートガバナンスを支える不変の真理と認識しつつ、当社に最も相応しい経営体制、即ち、株主の負託に応え、同時に全てのステークホルダーの利益に適う経営を実現するガバナンスのあり方について検討を重ねてきた。 ④ 以上の背景のもと当社は、コーポレートガバナンスの要諦は「経営の効率性の向上」と「経営の健全性の維持」及びこれらを達成するための「経営の透明性の確保」にあるとの認識に立ち、当社のコーポレートガバナンス原則として本原則を定めた。 2.2 当社は、本原則に則り、より良いガバナンス体制の構築・維持と事業活動の遂行に努めることが、企業の持続的成長・発展と中長期的な企業価値の向上、並びに社会における企業としての使命を果たすことに資するものであり、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等、全てのステークホルダーの利益にも適うと認識し、今後もガバナンスのより一層の向上を目指し不断の努力を重ねる。 | |
3 取締役会 3.1 役割 取締役会は、重要な経営事項を決定するとともに、取締役及び執行役員が行う業務執行を監督する。 3.2 構成 ① 取締役会は、取締役及び監査役全員で構成する。取締役の人数は、取締役会において十分な議論を尽くし、迅速かつ合理的な意思決定を行うことができる範囲とする。現時点では、15名程度以内が適切な人数であると考える。 ② 取締役会は、経験、知識、専門性、性別等において多様性を持つ構成とする。 ③ 社外取締役複数名を選任し、取締役会の適切な意思決定を図るとともに、監督機能の一層の強化を図る。 3.3 運営 ① 取締役会は原則として毎月1回開催する。 ② 取締役及び監査役の取締役会への出席を確保するため、定例の取締役会については、毎年10月下旬頃までに、翌年(1月-12月)分の招集を通知する。 ③ 取締役会での決議事項及び報告事項の具体的な付議基準並びに取締役会の運営要領は、社内規則「取締役会運営に関する件」に定める。 ④ 取締役会の機能を十分発揮するためには、すべての取締役及び監査役が議案に関する正確かつ完全な情報をもつ必要があるとの認識に基づき、議案の検討に必要な資料を、緊急の場合を除き、前もって取締役及び監査役全員に配布する。 |
3.4 諮問機関 取締役会の諮問機関として、過半数が社外取締役で構成される指名・報酬諮問委員会を設置する。 3.5 評価 取締役会は、毎年、取締役会全体の実効性につき、分析・評価を行う。 |
4 取締役 4.1 資格 ① 社内取締役 社内取締役は、誠実な人格、高い識見と能力を有し、業務上の専門的知識とマネジメント経験を含む広範囲にわたる経験を兼ね備えた者を候補者とし、その性別、国籍等は問わない。 ② 社外取締役 社外取締役は、誠実な人格、高い識見と能力を有し、多様な視点を取り入れる観点から、広範な知識と経験及び出身分野における実績を有する者を候補者とし、その性別、国籍等は問わない。 4.2 代表取締役 取締役会長及び社外取締役を除き、取締役は、原則として全員代表取締役とする。 4.3 取締役会長 ① 相互牽制の観点から、原則として、取締役会長及び社長執行役員を置くこととし、これら役位の業務は行わない。 ② 役割・責務 ・取締役会長は、取締役会を招集し、その議長となるほか、財界活動および住友グループに関する活動等対外活動に従事する。 ・取締役会長は、経営の監督を行い、代表権・業務執行権限を有しない。 ③ 選定の方針・手続 新取締役会長の選任については、指名・報酬諮問委員会において、下記4.4②に定める取締役会長の在任期間を念頭に置き、取締役会長を選定すべき適切な時期に、上記4.3②に定める役割・責務を果たすために最適と考えられる者を審議のうえ、取締役会に答申し、取締役会の決議により決定する。 ④ 解職の方針・手続 取締役会長が、その役割・責務を適切に果たしていないと認められる場合には、委員長が招集する指名・報酬諮問委員会(取締役会長は出席しない。)において解職の要否につき審議のうえ、その内容を取締役会に答申し、取締役会の決議により決定する。 ⑤ 解職後の後任取締役会長の選定の方針・手続 ・指名・報酬諮問委員会において、後任の取締役会長として最適と考えられる者を審議のうえ、取締役会に答申し、取締役会の決議により決定する。 ・ただし、ただちに取締役会長を決定できない場合は、取締役会の招集者及び取締役会の議長については、別に取締役会において決定する代理権行使の順序により、他の取締役がこれに代わることとし、可及的速やかに取締役会長の選定手続を進めることとする。 4.4 任期・在任期間 ① 取締役の任期は1年とし、再選を妨げない。 ② 上記に拘わらず、取締役会長の在任期間は、原則として6年を超えない。また、社外取締役の在任期間は、原則として6年を超えない。 4.5 報酬 取締役に対する報酬は、株主総会で承認された金額の枠内で、指名・報酬諮問委員会の答申を受けて取締役会において決定する。 4.6 義務 ① 取締役は、法令・定款を遵守し、すべてのステークホルダーの利益を調整しつつ、善良なる管理者の注意をもって誠実にその職務を遂行する。 ② 取締役は、会社の利益に相反する行為を行わないものとする。なお、会社の取締役個人に対する金銭の貸付けは禁止する。 ③ 取締役は、株式等の取引にあたり、法令及び社内規則「内部者取引防止規程」を遵守し、インサイダー取引の疑義を惹起することがないよう十分注意する。 ④ 社内取締役は、当社の承諾なく自己の事業を営み、又は他の職務を兼任しない。 |
5 指名・報酬諮問委員会 5.1 指名・報酬諮問委員会は、以下に関する事項を審議し、取締役会に答申する。 1. 社長執行役員の選任・解任の方針・手続 2. 取締役会長の選定・解職の方針・手続 3. 取締役及び監査役の指名基準 4. 社長執行役員の選任・解任(社長の後継者指名を含む) 5. 取締役及び監査役候補者の指名(代表取締役・役付取締役の決定を含む) 6. 経営会議構成員の選任 7. 取締役及び執行役員の報酬・賞与の体系・水準、並びに監査役の報酬枠 8. 顧問制度 5.2 指名・報酬諮問委員会の構成 ① 指名・報酬諮問委員会は、社内委員と社外委員から構成する。 また、委員の人数は、過半数を社外委員とし、かつ、委員会において十分な議論を尽くし、迅速かつ合理的な意思決定を行うことができる範囲にて設定する。具体的には、社内委員は取締役会長・社長、社外委員は社外取締役3名の合計5名とする。 ② 委員長は社外委員とする。 ③ 事務局は人材・総務・法務担当役員(人事部)とする。 5.3 社外委員の選任基準 社外委員は、社外取締役のうち、特に、審議事項に関する社内外の広範な知識・経験と高い識見を有する者とし、知識・経験・専門性等において多様性を持つ構成とする。 5.4 社外委員の選任方法 社外委員は、取締役会決議によって選任する。 5.5 委員長の選任方法 委員長は、委員による互選を踏まえて、取締役会決議によって選任する。 5.6 委員長に事故その他の事由があるときの扱い 委員長に事故その他の事由があるときには、取締役会決議により定める代理権行使の順序により、他の社外委員がこれに代わる。 5.7 社外委員及び委員長の任期 社外委員及び委員長の任期は、取締役任期と同様とする。 5.8 決議方法 指名・報酬諮問委員会の議事は、委員の過半数が出席し、その出席委員の過半数で決する。 5.9 招集者 指名・報酬諮問委員会は、委員長が招集する。 |
6 執行役員 6.1 資格 執行役員は、誠実な人格、高い識見と能力を有し、業務上の専門知識とマネジメント経験を含む広範囲にわたる経験を兼ね備えた者とし、その性別、国籍等は問わない。 6.2 執行役員制 ① 取締役会の承認を得て、次の執行役員を置き、業務執行を委嘱する。 社長執行役員 副社長執行役員 専務執行役員 常務執行役員 執行役員 ② 取締役会長及び社外取締役を除き、取締役は全員執行役員を兼務する。 |
6.3 社長執行役員 ① 社長執行役員は、経営の最高責任を負う。 ② 選任基準(資質・能力・経験等) 住友の事業精神を自ら体現するとともに、社長執行役員として必要な以下の資質・能力を備え、グローバルかつ多様な事業運営・会社経営の経験と実績を有する者とする。 ・公平無私・自律 ・統率力・発信力 ・先見性・戦略構築力 ・実行力・変革力 ・胆力・精神力 なお、上記選定基準の改定については、指名・報酬諮問委員会において審議のうえ、取締役会に答申し、取締役会の決議により決定する。 ③ 選任の方針・手続 新社長執行役員の選任については、指名・報酬諮問委員会において、下記6.5②に定める社長執行役員の在任期間を念頭に置き、新社長執行役員を選任すべき適切な時期に向け、上記6.3②の選任基準に基づき、新社長執行役員候補者を選抜し、選抜した候補者の中から新社長執行役員として企業価値向上を実現するために最適と考えられる者を審議のうえ、取締役会に答申し、取締役会の決議により決定する。 ④ 解任の方針・手続 当社の業績等の適切な評価を踏まえ、社長執行役員がその機能を十分に発揮していないと認められる場合には、委員長が招集する指名・報酬諮問委員会(社長執行役員は出席しない。)において解任の要否につき審議のうえ、その内容を取締役会に答申し、取締役会の決議により決定する。 ⑤ 解任後の後任社長執行役員の選任の方針・手続 ・指名・報酬諮問委員会において、後任の社長執行役員として最適と考えられる者を審議のうえ、取締役会に答申し、取締役会の決議により決定する。 ・ただちに後任社長執行役員を選任できない場合は、社内規則「社長に事故ある時の代理に関する規程」に基づく代理権行使者が社長執行役員の業務執行権限を代行し、可及的速やかに新社長執行役員の選任手続を進めることとする。 6.4 選任及び解任 執行役員は、取締役会の決議により選任・解任される。 6.5 任期 ① 執行役員の任期は1年とし、再選を妨げない。 ② 上記に拘わらず、社長執行役員の在任期間は、原則として6年を超えない。 6.6 報酬 ① 執行役員に対する報酬は、役位毎に基準額を設定し、当社業績並びに執行役員評価を反映させるものとする。なお、これらの基準について、指名・報酬諮問委員会の答申を受けて取締役会の承認を得る。 ② 執行役員の個別報酬額は、取締役会の授権に基づき、上記基準に従い社長執行役員が決定する。 ③ 取締役を兼務する執行役員の報酬は、取締役としての報酬に包含されるものとする。 6.7 義務 執行役員は、取締役の義務(上記4.6記載)と同様の義務を負う。 |
7 経営会議 7.1 役割 経営会議は取締役会における委任の範囲内において、経営に関する特定の重要事項について審議・決定を行う。 7.2 構成 ① 経営会議は、社長執行役員及び特定の執行役員で構成する。 ② 経営会議の議長は社長執行役員が務める。 7.3 運営 ① 経営会議は原則として毎週1回開催する。 ② 経営会議の決議事項・報告事項の具体的な付議基準及び運営の詳細については社内規則「経営会議運営に関する件」に定める。 |
8 委員会 全社的観点から重要性の高い特定の事項につき、社長執行役員、経営会議に対する諮問機関として以下の委員会及びその他の委員会を設置する。 8.1 全社投融資委員会 重要又は異例な投融資案件の審議を行う。 8.2 中期経営計画推進サポート委員会 中期経営計画、並びにその遂行に係わる各種施策等を立案する。 8.3 内部統制委員会 「経営の効率性の向上」及び「経営の健全性の維持」を確保するため、当社のみならず子会社・関連会社を含めた当社グループ全体の有効な内部統制の構築・運用・評価・改善を図る。 8.4 コンプライアンス委員会 「経営の健全性の維持」の観点から、当社のみならず子会社・関連会社を含めた当社グループ全体のコンプライアンスの徹底を図る。 |
9 監査役会 9.1 役割 監査役会は、法令に定める権限を有する。また、その決議をもって、監査の方針、会社の業務及び財産の状況についての調査の方法、その他監査役の職務の執行に関する事項を定める。 9.2 構成 監査役は5名とし、そのうち3名を社外監査役とする。 9.3 運営 監査役会は原則として毎月1回開催する。 |
10 監査役 10.1 役割 ① 監査役は、取締役の取締役会構成員及び執行役員(代表取締役)としての職務執行を監査する。 ② 監査役は、経営会議を含む全ての会議に出席することができる。また、取締役、執行役員又は使用人に対し事業の報告を求め、会社の業務及び財産の状況を調査することができる。さらに、子会社に対し事業の報告を求め、子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。 10.2 資格 ① 社内監査役 社内監査役は、誠実な人格、高い識見と能力を有し、業務上の専門的知識と広範囲にわたる経験を兼ね備えた者を候補者とし、その性別、国籍等は問わない。 ② 社外監査役 社外監査役は、誠実な人格、高い識見と能力を有し、特に法律、会計、企業経営等の分野における高度な専門知識と豊富な経験を有する者を候補者とし、その性別、国籍等は問わない。 10.3 在任期間 社外監査役の在任期間は、原則として8年を超えない。 10.4 報酬 監査役に対する報酬は、株主総会で承認された金額の枠内で、監査役の協議により決定する。 10.5 義務 ① 監査役は、取締役会に出席し、必要に応じ意見を述べる。 ② 監査役は、法令・定款を遵守し、善良なる管理者の注意をもって誠実にその職務を遂行する。 ③ 監査役は、株式等の取引にあたり、法令及び社内規則「内部者取引防止規程」を遵守し、インサイダー取引の疑義を惹起することがないよう十分注意する。 |
11 独立性基準 社外取締役及び社外監査役の独立性基準については、社内規則「社外役員の選任及び独立性に関する基準」により定める。 |
12 社外役員会 12.1 目的 社外取締役及び社外監査役は、取締役会における議論に積極的に貢献することを目的として、社外役員会を原則として毎月1回開催する。 12.2 構成 社外役員会は社外取締役及び社外監査役で構成する。 社外役員会は、必要に応じ取締役会長、社長執行役員及び社内監査役の出席を求めることが出来る。 |
13 情報開示 13.1 情報開示の基本方針 当社は、当社の経営方針と営業活動をすべてのステークホルダーに正しく理解してもらうため、法定の情報開示にとどまらず、任意の情報開示を積極的に行うとともに、開示内容の充実に努める。 13.2 株主との対話の基本方針 ① 株主・投資家とのコミュニケーションの機会として、株主総会をはじめ、四半期ごとの決算説明会、個別ミーティングなどを開催し、当社の企業経営や事業活動についての説明に努める。 ② 株主・投資家との対話に関する責任者として指定された特定の執行役員が株主・投資家との対話を統括し、社内関係部署が連携して情報発信及び株主・投資家の意見の収集に取り組む。 ③ 株主・投資家との対話に際しては、社内規則「内部者取引防止規程」に則りインサイダー情報を適切に管理する。 |
④ 当社グループの内部統制への取組み
当社では、当社グループの一組織が遂行する以上、どの業界に属し、どの地域にあっても、一定水準以上の「業務品質」を保持していることが必要と考えています。
このような観点から、当社は2005年以降、当社グループの内部統制の更なる強化を目指し、当社グループを構成するすべての組織が共通に保持すべき、リスク管理、会計・財務管理、コンプライアンスなど、組織運営全般にわたる管理のポイントを網羅したチェックリストを用いた点検を行い、それらを踏まえた改善活動を継続して実施してまいりました。
それに加え、2010年4月より、過去の内部統制不備事例等の分析を通じて抽出された特定の内部統制行為(コントロール)を、全社で徹底的に強化していくべき重要項目と位置付け、各組織に於いて継続的にこれらのコントロールの実施状況を確認しています。
2010年8月、当社グループ全体での内部統制全般の管理・評価および基本方針の立案・導入推進などを担う「内部統制委員会」を発足させ、2011年度以降社内外の法令・ルール等の変化に対応した前述チェックリストの見直しや、過去の内部統制不備事例の紹介、各種内部統制関連の教材の充実を行う等、全社的な内部統制の強化に向けた取り組みを推進しています。
また、それぞれの事業部門や国内外の地域組織では、前年に引き続きそれぞれのビジネス特性に応じた内部統制活動に独自に取り組んでいます。
なお、2008年4月以降金融商品取引法上の内部統制報告制度に対応しており、当該内部統制評価を通じ業務プロセスの改善も実施しています。
2018年度から2020年度の3年間を対象とする「中期経営計画2020」では、経営基盤の強化の一つとして、ガバナンスの高度化を掲げています。当社グループでは、内部統制システムを成長戦略推進のための基盤と位置付け、ガバナンス高度化の具体策として、内部統制を通じた業務品質および企業価値の向上を目指すプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、事業を運営する上で、コントロールすべき基礎的なリスクを特定し、リスクの重要性とその対応について、当社とグループ会社間で対話を行いながら、内部統制を改善していく循環(PDCA)を自律的に作り出していくというものです。当社グループはこのプロセスを標準化し、現場におけるPDCAを積極的に推進し、グループ全体の内部統制の向上につなげていきます。
⑤ リスク管理体制の整備の状況
イ リスクマネジメントの目的と基本方針
当社においては、「リスク」を「あらかじめ予測し若しくは予測していない事態の発生により損失を被る可能性」及び「事業活動から得られるリターンが予想から外れる可能性」と定義し、以下3点をリスクマネジメントの目的としています。
1.「業績安定」:計画と実績の乖離を少なくして安定収益を確保すること。
2.「体質強化」:リスクを体力(親会社の所有者に帰属する持分)の範囲内に収め、リスク顕在化の場合にも事業に支障を来さないようにすること。
3.「信用維持」:法令遵守等の社会的な責任を果たし、信用を維持すること。
当社はリスクを、商取引に関わるリスク、投資に関わるリスク、その他事業全般に関わるリスク(オペレーショナルリスク、リーガルリスク、災害リスク、環境リスク、ITリスク等)、の3つの視点から管理し、合理的に定量化が可能なものは定量化し、リスク量を体力の範囲内に収め、リスクに対するリターンの極大化を基本方針としています。
ロ リスクマネジメント体制
(イ) 事業部門におけるリスクマネジメント
当社の事業部門と各地域拠点は「自主管理・自己責任」の原則に基づき、担当事業分野に関わる専門的知見・経験を活かして個々の案件のリスクを分析・評価したうえで、全社共通の考え方・尺度・ルールといったフレームワークに基づき、案件推進の可否判断を実施しています。各事業部門を担当するリスク管理部署のスタッフは、リスクマネジメントの専門的見地からこれをサポートする機能と役割を果たしています。
(ロ) 事業ポートフォリオ戦略の議論と検証
各事業部門・地域拠点では、ビジネスライン毎に、足元の収益性と将来の成長性の視点から、方向性を検討して、事業ポートフォリオ戦略を策定します。各事業部門・地域拠点の事業ポートフォリオ戦略は、社長執行役員・コーポレート部門と事業部門の間で定期的に開催される戦略会議において議論され、大口のビジネスラインに関する方向性の検証や問題ビジネスラインの早期洗い出しと方向付けを行います。
また、個別の事業部門・地域拠点にとどまらない課題(全社リスクアセットのコントロール、事業部門間の経営資源の再配分等)については、社長執行役員・各事業部門長等がメンバーとなっている経営会議において議論・決定しています。
(ハ) 全社レベルのリスクマネジメントを担当するリスク管理部署の役割
全社レベルのリスクマネジメントを担当するリスク管理部署では、主として以下の役割を果たしています。
・ 全社レベルのリスクマネジメントに関する枠組み(ルール、組織、システム等)の構築
・ 全社統一的な意思決定支援ツール・手法の開発・改良、社内への普及
・ 全社レベルのリスクテイク状況のモニタリングとマネジメントへの報告
・ リスクマネジメント要員の全社適正配置
・ 重要な事業分野、国・地域のリスク分析と社内への情報提供
・ 取引先に対する社内信用格付の付与
リスク管理専門部署以外も、それぞれの専門性と担当業務に応じて、後述の事業全般に関わるリスクのリスクマネジメントを分担しています。
また、一定金額を上回る大型案件は、全社的に大きなインパクトを与える可能性があるため、コーポレート部門の主要メンバーで構成される投融資委員会において取り進めの是非・条件等について議論しています。
(ニ) 全社横断組織
リスクマネジメントに関する社内の体制・組織・規程等は、過去の経験を通じて蓄積されたノウハウ、人材を前提に、会社運営の基本方針に基づいて設計してありますが、社会・経済情勢の変化等によっては、現行の枠組みの中での単一の組織では適切に対応できないリスクが大きくなってくるケースがあります。このような場合には、機動的かつ適切な対応策を講じるために全社横断的なチーム・委員会を設置して対応することとしています。
ハ 具体的な管理の仕組み
(イ) 投資に関わるリスクの管理
・投資リスク管理
投資案件は、一旦実施すると撤退の判断が難しく、撤退した場合の損失のインパクトが大きくなりがちです。このため、投資の入り口から出口まで一貫した管理を実施しています。投資の入り口では、案件毎の事業リスクを反映した投資基準を上回る案件を厳選しています。特に、大型・重要案件については、多面的な議論を踏まえた意思決定とすべく、投資の検討段階と実行段階のそれぞれにおいて、各事業部門の投融資委員会及び全社投融資委員会を開催し案件取り進めの可否を十分に検討した上で、経営会議に諮ることとしています。投資実施後においても、特に重要案件については全社投融資委員会のもとでモニタリングを行い、投資後の100日プランや業績改善等、投資テーマ実現による事業価値最大化のために必要な施策を立案し、実行しています。さらに、2018年度にはポートフォリオの質の向上を目的とした新たなモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を導入しました。主に定量的な指標をもとに投資先を評価し、「健全先」「ポテンシャル先」「撤退候補先」の3つに分類の上、投資ポートフォリオにおける立ち位置を確認し、改めて事業の強弱をレビューします。レビュー結果に従って、事業価値の最大化につながる具体策を通じて成長戦略の一つである「既存事業のバリューアップ」を図る一方、成長余地の乏しい事業からの撤退も促します。
(ロ) 商取引に関わるリスクの管理
・信用リスク管理
当社は、取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。当社は、取引先の信用リスク管理に、当社独自の信用格付であるSumisho Credit Rating(以下、SCR)を用いています。このSCRでは、取引先の信用力に応じて合計9段階に格付けし、格付に応じて与信枠設定の決裁権限を定めております。また、取引先の与信枠を定期的に見直し、信用リスクのエクスポージャーを当該枠内で適切に管理しているほか、取引先の信用評価を継続的に実施し、必要な場合には担保取得などの保全措置も講じております。
・市場リスク管理
主な市況商品・金融商品の取引については、契約残高に限度枠を設定するとともに、半期損失限度枠を設定し、実現損及び評価損の合計が損失限度枠内に収まっているか常時モニターし、一部取引については潜在損失額(Value at Risk=潜在リスクの推定値)を用いてリスク量を管理しています。また、取引の確認や受渡し・決済、残高照合を行うバックオフィス業務や、損益やポジションを管理・モニターするミドルオフィス業務を財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署が担当し、取引を執行するフロントオフィスと完全分離することで、内部牽制を徹底しています。
(ハ) その他事業全般に関わるリスクの管理
当社では、訴訟等のリーガルリスク、事務処理ミスや不正行為などのオペレーショナルリスク、自然災害リスクに加えて、環境リスク・ITリスク等、従来以上に経営への影響が高まっているこれらの分野において、リスクの発生そのものを回避、もしくは発生する確率や発生時の影響を極小化することをリスクマネジメントの基本方針としています。具体的には、内部統制委員会を中心とした全社的な内部統制強化に向けた取り組みや、事業部門・国内外の地域組織によるそれぞれのビジネス特性に応じた独自の内部統制活動を通して、グローバル連結ベースでのリスクに関するモニタリングも定期的に実施しています。そして、その結果を踏まえた組織体制や業務フローの見直しを行うことを通じて、「業務品質」の継続的な向上を図っています。
(ニ) 集中リスク管理
グローバルかつ多様な事業分野においてビジネスを推進している総合商社では、特定のリスクファクターに過度な集中が生じないように管理する必要があります。当社では、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、社長執行役員と事業部門長とで行われる戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分するリスクアセット額について十分なディスカッションを行っています。
(ホ) リスクマネジメントを定着させる仕組み
当社は、多様化したリスクに対して可能な限りのリスクマネジメント・フレームワークを整えてはいますが、ビジネスに伴う損失を完全に防ぐことは出来ません。万一、損失事態が発生してしまった場合には、できるだけ早期に発見可能な体制を整えること、発見後は直ちに関係情報を収集・分析し、迅速かつ適切に対応するとともに、当該情報をマネジメント層・関係部署が共有することにより、損失の累増や二次損失の発生を抑止することに努めています。また、様々な損失事態情報を損失発生データベースにて集中管理するとともに、損失発生の原因を体系的に分析したうえで、各種研修や様々な教材の作成・配布を通じてビジネスの現場にフィードバックすることで、一人ひとりのリスク管理能力のレベルアップを図り、同様の損失事態の再発を極力防止する仕組みを構築しています。
⑥ 業務の適正を確保するための体制の整備についての取締役会決議
当社では、実効性の高い内部統制を実現するため、取締役会において会社法第362条第4項第6号に規定する体制(内部統制システム)を定め運用するとともに、毎年運用状況の評価を実施し、継続的な見直しによって、その時々の要請に合致したシステムの構築を図ることとしています。
2018年における内部統制システムの運用状況については、2019年2月に開催された内部統制委員会において評価を実施し、内部統制システムが有効に機能していることを確認し、2019年3月に開催された取締役会においてその旨を報告しています。
2019年6月21日現在の当社の内部統制システムにかかる取締役会決議の内容は次のとおりです。
当社は、当社の取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他当社の業務並びに当社及び子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制(以下、内部統制システムと総称する。)を以下のとおり構築し、実施する。 |
なお、本決議に基づく内部統制システムは、当社において既に構築され、実施されているが、今後も、継続的な見直しによって、その時々の要請に合致した優れたシステムの構築を図るものとする。 |
1. 取締役・使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制 ・ 「住友商事グループの経営理念・行動指針」において法と規則の遵守を掲げるとともに、コンプライアンスの観点から特に遵守すべき重要事項を「住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー」として定め、また「コンプライアンス・マニュアル」を作成し全役職員に配布する。 ・ 法と規則の遵守を徹底する趣旨から、各役職員から「コンプライアンス確認書」を取得する。 ・ 社内ルールに基づき、「CCO」(※)、「コンプライアンス委員会」、「コンプライアンス・リーダー」、「スピーク・アップ制度」を設ける。 (※)CCO:チーフ・コンプライアンス・オフィサー(Chief Compliance Officer) ・ 「CCO」は、コンプライアンス違反又はその可能性のある事態の処理を指揮し、コンプライアンスに関する施策を実施するほか、「スピーク・アップ制度」で判明した事態を処理する。 ・ 「コンプライアンス委員会」は、コンプライアンスに関する施策を企画及び立案するとともに、コンプライアンスに関する施策の実施につき「CCO」への助言を行う。 ・ 「コンプライアンス・リーダー」は、各事業部門や国内・海外拠点において、現場により近い立場で、コンプライアンスを徹底させるとともに、コンプライアンス啓発に関する活動を行う。 ・ 「スピーク・アップ制度」により、コンプライアンス推進部、監査役、外部専門業者及び社外弁護士を窓口として、役職員が直接「CCO」にコンプライアンス上の情報を連絡できるルートを確保する。 2. 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 ・ 取締役会議事録を含む各種会議に関する重要文書や、職務執行・意思決定に係る情報については、それぞれ関連する社内ルールにより適切に保存し管理する。 ・ 社内ルールにより、情報の社外への漏洩等の防止のために必要な措置を講じる。 ・ 監査役の要求がある場合は、職務の執行に関する重要な文書を適時閲覧に供する。 3. 損失の危険の管理に関する規程その他の体制 ・ ビジネスに伴う多様なリスクを、大きく二つのタイプのリスクに分類して管理する。第一のタイプは、市場リスク、投資リスク、信用リスクなどの「計測可能リスク」であり、「リスクアセットマネジメント」の考え方を採用して、リスクの総量管理とリスクに見合うリターンの追求に努める。また、第二のタイプは、自然災害、事務処理ミス、不正行為などの「計測不能リスク」であり、全社横断的な対応策によるリスクの抑制を図る。 ・ コーポレート部門各部署は、それぞれの所管業務に係る社内ルールの制定、リスク管理の方針・手法・ガイドラインの策定などを通じ、全社レベルのリスク管理に関する枠組みの構築とモニタリング及び必要な改善を行う。また、適宜マニュアルの作成・配布や研修を通じて、リスク管理レベルの向上を図る。営業部門等のビジネス執行部署は、この全社レベルの枠組みの下で、個別案件の執行に必要なリスク管理を行う。 ・ 「内部統制委員会」を設置し、連結ベースでの内部統制全般の統括的管理及び適時評価、並びに内部統制上の重要課題の特定と改善基本方針の立案・推進等を行う。また、同委員会において内部統制システムの整備及び金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への対応を行う。 ・ 意思決定機関である「経営会議」の諮問機関として、「全社投融資委員会」を設置し、リスク管理に関する重要なルール・制度等及び重要な投融資案件の審議を行う。 ・ 業務復旧プランを定め、災害時の危機に備える。 ・ 全社業務モニタリングのための独立した組織として、社長執行役員直属の「内部監査部」を置き、当社及び国内・海外法人の各組織を監査の対象とする。内部監査の結果については、毎月社長執行役員に直接報告するとともに、取締役会にも定期的に報告する。 |
4. 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 ・ 取締役の人数は、取締役会において十分な議論を尽くし、迅速かつ合理的な意思決定を行うことができる範囲とする。 ・ 社外取締役複数名を選任し、多様な視点から、取締役会の適切な意思決定を図るとともに、監督機能の一層の強化を図る。 ・ 業務執行の責任と権限を明確にするとともに、取締役会の監督機能の強化を図るため、執行役員制度を導入する。 ・ 取締役会長及び社外取締役を除き、取締役は、原則として全員代表取締役とし、また全員執行役員を兼務する。 ・ 事業年度毎の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応するため、取締役の任期を1年とする。 ・ 取締役会長及び社長執行役員の在任期間は原則としてそれぞれ6年を超えないこととする。 ・ 取締役会の諮問機関として、過半数が社外取締役で構成される「指名・報酬諮問委員会」を設置する。「指名・報酬諮問委員会」は、以下に関する事項を審議し、取締役会に答申する。 (1) 社長執行役員 CEOの選任・解任の方針・手続 (2) 取締役会長の選定・解職の方針・手続 (3) 取締役及び監査役の指名基準 (4) 社長執行役員 CEOの選任・解任(社長の後継者指名を含む) (5) 取締役及び監査役候補者の指名(代表取締役・役付取締役の決定を含む) (6) 経営会議構成員の選任 (7) 取締役及び執行役員の報酬・賞与の体系・水準、並びに監査役の報酬枠 (8) 相談役・名誉顧問制度(業務内容・報酬・任期等) ・ 意思決定機関としての「経営会議」のほか、諮問機関としての各種委員会を設置する。また、情報交換のための「情報連絡会」等各種会議体を設置する。 ・ 目標設定として、中期経営計画の策定や予算編成を行う。また、事業部門長の業務執行の状況を把握し、将来の戦略策定に活かすため、業績管理制度を導入する。 ・ 社内ルールにより、取締役会への要付議事項を明文化し、役職員の職責を明確にするとともに重要事項に関する決裁権限を明文化する。 5. 当社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制 ・ 「住友商事グループの経営理念・行動指針」において法と規則の遵守を掲げており、当社グループとして尊重すべき価値観の共有を図る。 ・ 社内ルールにより、子会社その他連結対象会社における「経営上の重要事項」について当社宛打合せ・報告事項を定める。また、取締役・監査役、業務を執行する社員等の派遣を通じて子会社その他連結対象会社を管理する。 ・ 子会社その他連結対象会社における内部統制の構築・運用・評価・改善が適確に実施されるよう、支援を行う。 ・ 社内ルールにより、当社が経営主体となる子会社その他連結対象会社を内部監査の対象とする。 ・ リスク管理の方針・手法・ガイドライン・規程等、子会社その他連結対象会社におけるリスク管理に関する枠組みの構築と必要な改善を支援する。 ・ 子会社においても、「住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー」の周知・徹底を図り、当社グループ全体の「スピーク・アップ制度」を拡充するほか、自身の「コンプライアンス委員会」の設置や「コンプライアンス・マニュアル」の作成・配布など、当社と同様に法と規則を遵守するための体制を整えるよう指導する。 ・ 月次ベースで子会社を含む連結業績を迅速・正確に把握し、きめ細かい業績管理を行う。 6. 監査役の職務を補助する使用人に関する事項 ・ 監査役の業務を補佐する組織として「監査役業務部」を設置し、専任スタッフ若干名を置く。 ・ 社内ルールにより、「監査役業務部」に対する指示者及び「監査役業務部」の職責を明文化し、「監査役業務部」が監査役の業務を補佐する組織であることを明確にする。 ・ 「監査役業務部」所属員の人事評価については監査役会又は監査役会が指名する監査役が行う。また人事異動については監査役会又は監査役会が指名する監査役と事前協議を行い、同意を得る。 7. 監査役への報告に関する体制 ・ 監査役は、「経営会議」を含む全ての会議に出席できる。また、取締役会長・社長執行役員及び監査役は、定期的に会合を行う。 ・ 当社、子会社その他連結対象会社に係る業務執行に関する重要な書類を監査役に回付するほか、必要に応じ、役職員が監査役への報告・説明を行う。 ・ 上記の報告をした者や「スピーク・アップ制度」による連絡をした者は、当該報告・連絡をしたことを理由として不利な取扱いを受けないものとする。 |
8. その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制 ・ 社外監査役は法律や会計等の専門家とし、多角的な視点からの監査を実施する。 ・ 「内部監査部」は、内部監査の計画及び結果について適時に監査役に報告するなど、効率的な監査役監査に資するよう、監査役と緊密な連携を保つものとする。 ・ 監査役は、会計監査人との定期的な打合せを通じて、会計監査人の監査活動の把握と情報交換を図るとともに、会計監査人の監査講評会への出席、在庫棚卸監査への立会等を行い、監査役の監査活動の効率化と質的向上を図る。 ・ 監査役はその職務を適切に遂行するために、子会社の監査役等との情報連絡会を行うなど、子会社の監査役等との意思疎通及び情報の交換を図る。 ・ 社内ルールにより、監査役の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理方法について明確にする。 以上 |
⑦ 取締役(業務執行取締役等(会社法第2条第15号イに規定する業務執行取締役等をいう。以下同じ。)であるものを除く。)及び監査役との間で締結している責任限定契約の内容の概要
当社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)及び監査役全員との間で、会社法第427条第1項に基づき、善意かつ重大な過失がないときの責任を法令の定める限度までとする旨の責任限定契約を締結しております。
⑧ 内部監査、監査役監査及び会計監査の相互連携
監査役、会計監査人および内部監査部門のそれぞれの間で定期的に情報交換を行い連携強化に努めています。
内部監査部は、活動計画及び内部監査の結果について適時に報告するなど、監査役及び会計監査人との適切な連携関係保持に努め、それぞれの監査の効率的な実施に資するよう努めています。
監査役は、会計監査人との定期的な打合せを通じて、会計監査人の監査活動の把握と情報交換を図るとともに、会計監査人の監査講評会への出席、在庫棚卸監査への立会等を行い、監査役の監査活動の効率化と質的向上を図っています。さらに、監査役は、内部統制委員会に出席し、また、その他内部統制を所管する部署に対して、内部統制システムの状況についての報告や監査への協力を求めています。
⑨ その他当社定款規定について
イ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。また、取締役の選任決議は累積投票によらない旨定款に定めております。
ロ 自己の株式の取得の決定機関
当社は、機動的な資本政策の遂行を可能とするため、取締役会の決議をもって自己の株式を市場取引等によって取得することができる旨定款に定めております。
ハ 中間配当の決定機関
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めております。
ニ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。
ホ 取締役及び監査役の責任免除の決定機関
当社は、取締役及び監査役が、職務を遂行するにあたり、期待される役割を十分に発揮できるよう、会社法
第426条第1項の規定により、取締役会の決議によって、法令の定める範囲内で、取締役及び監査役の責任を免
除できる旨を定款に定めております。