有価証券報告書-第153期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/18 14:48
【資料】
PDFをみる
【項目】
135項目
3 重要な会計方針
連結財務諸表の作成にあたり適用した重要な会計方針は次のとおりであります。
(1) 連結の基礎
① 企業結合
当社はIFRS第3号「企業結合」(以下、IFRS第3号)及びIFRS第10号「連結財務諸表」をすべての企業結合に適用しております。
当社は、注記5で開示している企業結合に対して取得法を適用しております。
支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、その投資先に対するパワーを通じてそれらのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。取得日とは支配が取得企業に移転した日をいいます。取得日及び支配がある当事者から他の当事者に移転したか否かを決定するためには判断が必要な場合があります。
当社はのれんを取得日時点で測定した被取得企業に対する非支配持分の認識額を含む譲渡対価の公正価値から、取得日時点における識別可能な取得資産及び引受負債の純認識額(通常、公正価値)を控除した額として測定しております。
譲渡対価には、当社から被取得企業の従前の所有者に対して移転した資産、発生した負債、及び当社が発行した持分の公正価値が含まれております。譲渡対価には、偶発対価の公正価値が含まれております。
被取得企業の偶発負債は、それが現在の債務であり、過去の事象から発生したもので、かつその公正価値を信頼性をもって測定できる場合に限り、企業結合において認識されております。
現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な持分を保有者に与えている非支配持分は、公正価値もしくは被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する非支配持分の比例的な取り分で当初測定しております。
この測定方法の選択は、取引ごとに行っております。その他の非支配持分は、公正価値もしくは他のIFRSが適用される場合は、他のIFRSに基づき、測定しております。
仲介手数料、弁護士費用、デューデリジェンス費用及びその他の専門家報酬、コンサルティング料等の、企業結合に関連して当社に発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理されているため、当該取引からのれんは認識されておりません。
IFRS第3号に基づく認識の要件を満たす被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、以下を除いて、取得日の公正価値で測定しております。
・繰延税金資産及び負債はIAS第12号「法人所得税」に、また、従業員給付契約に係る負債(または資産)はIAS第19号「従業員給付」に準拠して、それぞれ認識及び測定しております。
・売却目的として分類される非流動資産または事業は、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に準拠して測定しております。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した会計年度末までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で報告しております。取得日時点に存在していた事実と状況を取得日当初に把握していたとしたら、認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下、測定期間)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。この新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しております。
測定期間は最長で1年間であります。
② 子会社
子会社とは、当社により支配されている企業をいいます。子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、当社の連結財務諸表に含まれております。子会社の会計方針は、当社が適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
当社の連結財務諸表には、報告期間の末日を親会社の報告期間の末日に統一することが実務上不可能であり、親会社の報告期間の末日と異なる日を報告期間の末日とする子会社の財務諸表が含まれております。当該子会社の所在する現地法制度上、親会社と異なる決算日が要請されていることにより、決算日を統一することが実務上不可能であり、また、現地における会計システムを取り巻く環境や事業の特性などから、親会社の報告期間の末日を子会社の報告期間の末日として仮決算を行うことが実務上不可能であります。当該子会社の報告期間の末日と親会社の報告期間の末日の差異は3ヶ月を超えることはありません。
連結財務諸表の作成に用いる子会社の財務諸表を当社と異なる報告期間の末日で作成する場合、その子会社の報告期間の末日と当社の報告期間の末日の間に生じた重要な取引または事象の影響については調整を行っております。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本の部に直接認識されております。
③ 共通支配下の企業との企業結合
共通支配下における企業結合とは、企業結合当事企業もしくは事業のすべてが、企業結合の前後で同一の企業により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的でない場合の企業結合であります。当社は、すべての共通支配下における企業結合取引について、継続的に帳簿価額に基づき会計処理しております。
④ 関連会社及び共同支配の取決め
関連会社とは、当社がその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業をいいます。当社が他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社は当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
共同支配の取決めは、各投資者が有する契約上の権利及び義務に基づいて、共同支配事業または共同支配企業のいずれかに分類されます。
当社は、共同支配事業に対する持分に係る資産、負債、収益及び費用の会計処理を、特定の資産、負債、収益及び費用に適用される適切なIFRSに基づき行っております。
関連会社及び共同支配企業への投資は、持分法を用いて会計処理しており(以下、持分法適用会社)、取得時に取得原価で認識しております。当社の投資には、取得時に認識したのれん(減損損失累計額控除後)が含まれております。
連結財務諸表には、重要な影響または共同支配が開始した日から終了する日までの持分法適用会社の収益・費用及び持分の変動に対する当社持分が含まれております。持分法適用会社の会計方針は、当社が適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
また、連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を統一することが実務上不可能であるため、決算日の異なる持分法適用会社に対する投資もあります。当該持分法適用会社の報告期間の末日は主に12月末日であります。
決算日の差異より生じる期間の重要な取引または事象の影響については調整を行っております。
⑤ 連結上消去される取引
連結グループ内の債権債務残高及び取引、並びに連結グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、被投資企業に対する当社持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で控除しております。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社の各機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。貨幣性項目にかかる換算差額は、期首における機能通貨建の償却原価に当期中の実効金利及び支払金利を調整した金額と、期末日の為替レートで換算した外貨建償却原価との差額であります。公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しております。
再換算によって発生した換算差額は、当期利益又は損失で認識しております。ただし、FVTOCIの金融資産の再換算により発生した差額、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定された金融商品(以下③参照)、及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益に計上しております。外貨建取得原価により測定されている非貨幣性項目は、取引日の為替レートを使用して換算しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については平均為替レートを用いて日本円に換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。
当社のIFRS移行日以降、当該差額は「在外営業活動体の換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めております。在外営業活動体の持分全体の処分、及び支配、重要な影響力または共同支配の喪失を伴う持分の一部処分につき、当該換算差額は、処分損益の一部として当期利益又は損失に振替えられます。
③ 在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
当社は、在外営業活動体に対する純投資を直接保有しているか中間的な親会社を通じて保有しているかにかかわらず、在外営業活動体の機能通貨と親会社の機能通貨(円)との間に発生する換算差額についてヘッジ会計を適用しております。
在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定されている金融商品の再換算により発生した換算差額は、ヘッジが有効な範囲においてその他の包括利益で認識し、「在外営業活動体の換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めております。ヘッジが有効でない部分については、当期利益又は損失で認識しております。純投資のうちヘッジされている部分が処分された場合には、当該換算差額は処分損益の一部として当期利益又は損失に振替えられます。
(3) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
当社は、営業債権及びその他の債権を、これらの発生日に当初認識しております。その他のすべての金融資産は、当社が当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
非デリバティブ金融資産の分類及び測定モデルの概要は以下のとおりであります。
償却原価で測定される金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合に償却原価で事後測定しております。
・当社のビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有
している場合
・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高にかかる利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせ
る場合
償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。但し、重大な金融要素を含んでいない営業債権及びその他の債権については取引価格で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、必要な場合には減損損失を控除しております。
FVTOCIの負債性金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合にその他の包括利益を通じて公正価値で事後測定しております。
・当社のビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収と売却の両方を目的として保有している場合
・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高にかかる利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
FVTOCIの負債性金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。
当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動は「FVTOCIの金融資産」として、その他の資本の構成要素に含めております。FVTOCIの負債性金融資産の認識を中止した場合、その他の資本の構成要素の残高を当期利益又は損失に振替えております。
FVTPLの金融資産
資本性金融商品を除く金融資産で上記の償却原価で測定する区分及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する区分の要件を満たさないものは、公正価値で測定し、その変動を当期利益又は損失で認識しております。当該資産には、売買目的で保有する金融資産が含まれております。
資本性金融商品は公正価値で測定しその変動を当期利益又は損失で認識しております。ただし、当社が当初認識時に公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(撤回不能)を行う場合はこの限りではありません。
FVTPLの金融資産は、当初認識時に公正価値で認識し、取引費用は発生時に当期利益又は損失で認識しております。
FVTOCIの資本性金融資産
当社は当初認識時に、資本性金融商品への投資における公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(撤回不能)を行う場合があります。当該選択は、売買目的以外で保有する資本性金融商品に対してのみ認められております。
FVTOCIの資本性金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動は「FVTOCIの金融資産」として、その他の資本の構成要素に含めております。
FVTOCIの資本性金融資産の認識を中止した場合、または、取得原価に比し公正価値の著しい下落が一時的ではない場合、その他の資本の構成要素の残高は直接利益剰余金に振替え、当期利益又は損失で認識しておりません。
ただし、FVTOCIの資本性金融資産からの配当金については、金融収益の一部として当期利益又は損失で認識しております。
金融資産の認識の中止
当社は、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、または、当該金融資産の所有にかかるリスク及び便益を実質的にすべて移転する取引において、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合に、当該金融資産の認識を中止しております。移転した金融資産に関して当社が創出した、または当社が引き続き保有する持分については、別個の資産・負債として認識しております。
② 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物とは、現金及び容易に一定の金額に現金化が可能な流動性の高い投資をいい、預入時点から満期日までが3ヶ月以内の短期定期預金を含んでおります。
③ 非デリバティブ金融負債
当社は、当社が発行した負債証券を、その発行日に当初認識しております。その他の金融負債はすべて、当社が当該金融商品の契約の当事者になる取引日に認識しております。
当社は、金融負債が消滅した場合、つまり、契約上の義務が免責、取消または失効となった場合に、金融負債の認識を中止しております。
当社は、非デリバティブ金融負債として、社債及び借入金、営業債務及びその他の債務を有しており、公正価値(直接帰属する取引費用を控除後)で当初認識しております。
売買目的で保有する非デリバティブ金融負債は、当初認識後公正価値で測定し、その変動については当期利益又は損失で認識しております。売買目的以外で保有する非デリバティブ金融負債については、当初認識後、実効金利法を用いた償却原価により測定しております。
なお、金融負債が条件変更または交換されたものの、大幅な条件変更を伴わないことから当該金融負債の認識の中止が生じない場合にも、条件変更または交換時に利得または損失を認識しております。
④ 資本
普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
自己株式
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加として認識しております。
⑤ デリバティブ及びヘッジ会計
当社は、金利変動リスク、為替変動リスク、在庫及び成約の価格変動リスクをヘッジするためデリバティブを利用しております。これらに用いられるデリバティブは主に、為替予約、通貨スワップ、金利スワップ及び商品先物取引などであります。
当初のヘッジ指定時点において、当社は、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略、ヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジされるリスクの性質、及びヘッジ関係の有効性の評価方法、有効性及び非有効性の測定方法、及び非有効部分の発生原因の分析を文書化しております。
当社は、ヘッジ関係の開始時及び継続期間中にわたって、ヘッジ手段の公正価値の変動又はキャッシュ・フローの変動が、ヘッジ対象の公正価値の変動又はキャッシュ・フローの変動と高い相殺関係があるかどうかを確認するために、ヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が一致しているか又は、密接に合致しているかどうかの定性的な評価、あるいはヘッジ対象とヘッジ手段の価値が同一のリスクにより価格変動が相殺しあう関係にあることの定量的評価を通じて、ヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的関係の存在を確認しております。
予定取引に対してキャッシュ・フロー・ヘッジを適用するためには、当該予定取引の発生可能性が非常に高い必要があります。
デリバティブは公正価値で当初認識し、関連する取引費用は発生時に当期利益又は損失として認識しております。当初認識後は、デリバティブは公正価値で測定し、その変動は以下のように会計処理しております。
公正価値ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は当期利益又は損失で認識しております。ヘッジ対象の帳簿価額は公正価値で測定し、ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象に係る利得または損失は、その変動を当期利益又は損失で認識しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
デリバティブを、認識済み資産・負債、または当期利益又は損失に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、「キャッシュ・フロー・ヘッジ」として、その他の資本の構成要素に含めております。キャッシュ・フロー・ヘッジの残高は、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが当期利益又は損失に影響を及ぼす期間と同一期間において、連結包括利益計算書においてその他の包括利益から控除し、ヘッジ対象と同一の項目で当期利益又は損失に振替えられております。デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ非有効部分は、即時に当期利益又は損失で認識しております。
ヘッジがヘッジ会計の要件を満たさない場合、ヘッジ手段が失効、売却、終了または行使された場合、あるいはヘッジ指定が取り消された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しております。
ヘッジ会計を中止した場合、当社は、すでにその他の包括利益で認識したキャッシュ・フロー・ヘッジの残高を、予定取引が当期利益又は損失に影響を与えるまで引き続き計上しております。予定取引の発生が予想されなくなった場合は、キャッシュ・フロー・ヘッジの残高は、即時に当期利益又は損失で認識されます。
⑥ トレーディング目的等のデリバティブ
当社には、ヘッジ目的で保有しているデリバティブのうちヘッジ会計の要件を満たしていないものがあります。また、当社は、デリバティブをヘッジ目的以外のトレーディング目的でも保有しております。これらのデリバティブの公正価値の変動はすべて即時に当期利益又は損失で認識しております。
⑦ 金融資産及び負債の表示
金融資産及び負債は、当社が残高を相殺する法的権利を有し、純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
(4) 棚卸資産
棚卸資産は主として、商品、原材料・仕掛品及び販売不動産から構成されております。
棚卸資産については、取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い額で測定しております。正味実現可能価額は、通常の営業過程における予想販売価額から完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額であります。
なお、短期的な価格変動により利益を獲得する目的で取得した棚卸資産については、売却費用控除後の公正価値で測定し、公正価値の変動を当期利益又は損失で認識しております。
短期的な価格変動により利益を獲得する目的以外で取得した棚卸資産については、個々の棚卸資産に代替性がない場合、個別法に基づき算定し、個々の棚卸資産に代替性がある場合、主に移動平均法に基づいて算定しております。
(5) 売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業
当社は、非流動資産又は処分グループの帳簿価額が継続的使用ではなく主に売却取引により回収される場合は、当該資産又は処分グループを売却目的保有に分類し、流動資産に振り替えております。これに該当するのは、資産又は処分グループが売却に関する通常又は慣例的な条件のみに従って直ちに売却することが可能であり、その売却の可能性が非常に高い場合です。経営者は当該資産又は処分グループの売却計画の実行を確約している必要があり、売却が完了したものと認識されるための要件を売却目的保有に分類した日から1年以内に満たす予定でなければなりません。
売却目的保有に分類された非流動資産又は処分グループは、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しております。
(6) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産については、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び土地の原状回復費用、及び資産計上すべき借入費用が含まれております。
有形固定資産の構成要素の耐用年数が構成要素ごとに異なる場合は、それぞれ別個の有形固定資産項目として計上しております。
② 減価償却
減価償却費は償却可能価額をもとに算定しております。償却可能価額は、資産の取得価額または取得価額に準じる額から残存価額を差し引いて算出しております。
減価償却については、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、主に定額法に基づいております。定額法を採用している理由は、これが資産によって生み出される将来の経済的便益の消費の想定パターンに最も近似していると考えられるためであります。
なお、鉱業権の減価償却については、見積埋蔵量に基づき、生産高比例法に基づいて費用計上しております。土地は償却しておりません。
前期及び当期における見積耐用年数は以下のとおりであります。
・建物及び附属設備 3-50年
・機械設備 2-20年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末日に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(7) 無形資産
① のれん
当初認識
子会社の取得により生じたのれんは無形資産に計上しております。当初認識時におけるのれんの測定については、(1)①に記載しております。
当初認識後の測定
のれんは取得価額から減損損失累計額を控除して測定しております。持分法適用会社については、のれんの帳簿価額を投資の帳簿価額に含めております。また、当該投資にかかる減損損失は、持分法適用会社の帳簿価額の一部を構成するいかなる資産(のれんを含む)にも配分しておりません。
② ソフトウェアに係る支出の資産化
当社は、販売目的もしくは内部利用目的のソフトウェアを購入または開発するための特定のコストを支出しております。
新しい科学的または技術的知識の獲得のために行われる研究活動に対する支出は、発生時に費用計上しております。開発活動による支出については、信頼性をもって測定可能であり、製品または工程が技術的及び商業的に実現可能であり、将来経済的便益を得られる可能性が高く、当社が開発を完成させ、当該資産を使用または販売する意図及びそのための十分な資源を有している場合にのみ自己創設無形資産として資産計上しております。
資産計上したソフトウェアに係る支出は、取得価額から償却累計額及び減損損失累計額を差し引いて測定しております。
③ 企業結合により取得した無形資産
企業結合により取得し、のれんとは区分して認識した販売権、商標権、顧客との関係等の無形資産は取得日の公正価値で計上しております。
その後は、取得価額から償却累計額及び減損損失累計額を差し引いて測定しております。
④ その他の無形資産
当社が取得したその他の無形資産で有限の耐用年数が付されたものについては、取得価額から償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。
商標権の一部については、事業を継続する限り基本的に存続するため、耐用年数を確定できないと判断し、償却しておりません。
⑤ 償却
償却費は、資産の取得価額から残存価額を差し引いた額をもとに算定しております。のれん以外の無形資産の償却は、当該資産が使用可能な状態になった日から見積耐用年数にわたり、定額法に基づいております。定額法を採用している理由は、これが無形資産によって生み出される将来の経済的便益の消費の想定パターンに最も近似していると考えられるためであります。前期及び当期における主な見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア 3-5年
・販売権・商標権・顧客との関係 3-30年
・その他 3-20年
償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末日に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
(8) 投資不動産
投資不動産とは、賃料収入またはキャピタル・ゲイン、もしくはその両方を得ることを目的として保有する不動産であります。通常の営業過程で販売する不動産や、商品またはサービスの製造・販売、またはその他の管理目的で使用する不動産は含まれておりません。投資不動産は、取得原価から減価償却累計額((6)②参照)及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
(9) リース
契約時に、当該契約がリース又はリースを含んだものであるのかどうかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。
契約がリースであるか又はリースを含んでいる場合、開始日において使用権資産及びリース負債を連結財政状態計算書に計上しております。リース期間が12ヶ月以内に終了する短期リースに係るリース料は、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
使用権資産の測定は原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価は、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整しております。使用権資産は、リース期間にわたり規則的に減価償却を行っております。
リース負債は、支払われていないリース料の現在価値で測定しております。リース料は、リース負債残高に対して毎期一定の率の金利を生じさせるよう、金融費用とリース負債残高の返済部分とに配分しております。金融費用は、連結包括利益計算書上、減価償却費と区分して表示しております。
(10) 減損
① 非デリバティブ金融資産
当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。
期末日時点で金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合、期末日後12ヶ月以内の生じうる債務不履行から生じる予想信用損失に基づき測定しております。
一方、期末日時点で信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品の予想存続期間にわたって生じうる全ての債務不履行から生じる予想信用損失をもとに測定しております。
ただし、重大な金利要素を含んでいない営業債権等については、いずれの場合においても常に全期間の予想信用損失に基づき測定しております。
当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けであるSumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。
信用減損の証拠については、債務者の重大な財政的困難や期日経過を含む契約違反等の事象を用いて判断しております。
また、報告日時点で信用減損の証拠がある金融資産については、担保や保証等を含め債務者の個別の状況を総合的に評価した上で個別に予想信用損失を測定しております。なお、金融資産の全部又は一部が回収できないと合理的に判断される場合は、当該金融資産の帳簿価格を直接減額しております。
② 非金融資産
棚卸資産、生物資産及び繰延税金資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎年同じ時期に見積っております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。
のれんの資金生成単位については、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定し、集約前の事業セグメントの範囲内となっております。
全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。
減損損失については、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には当期利益又は損失で認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分されております。
のれんに関連する減損損失は戻し入れておりません。過去に認識したその他の資産の減損損失については、各期末日において、損失の減少または消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻し入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻し入れております。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費または償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として戻し入れております。
持分法適用会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは別個に認識されておらず、個別に減損テストを実施しておりませんが、持分法適用会社に対する投資の総額を単一の資産として、持分法適用会社に対する投資が減損しているかもしれないという客観的な証拠が存在する場合に、減損テストの対象としております。
(11) 従業員給付
① 確定給付型年金制度
確定給付型年金制度は、確定拠出型年金制度(以下②参照)以外の退職後給付制度であります。確定給付型年金制度に関連する当社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引き、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。
割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りであります。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。
年金制度が改定された場合、従業員による過去の勤務に関連する給付金の増減部分は、即時に当期利益又は損失で認識しております。
当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識し、即時にその他の資本の構成要素から利益剰余金に振替えております。
② 確定拠出型年金制度
一部の子会社では、確定拠出型年金制度を採用しております。確定拠出型年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的または推定的債務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出型年金制度の拠出は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識しております。また、一部の子会社では退職一時金制度または退職年金制度に加え複数事業主による年金制度に加入しており、期中の拠出額を年金費用として当期利益又は損失で認識し、未払拠出金を債務として認識しております。
なお上記のほか、親会社及び一部の子会社では、自ら希望した従業員が、当期の勤務に係る賞与の一部を掛金として拠出させることができる選択型確定拠出年金制度を設けております。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。
賞与については、当社が、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的または推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
④ 株式報酬取引
当社は、取締役及び執行役員に対して、一定の譲渡制限期間を設けた上で普通株式を交付する「譲渡制限付株式報酬」及び、予め定めた業績条件の達成度に応じて交付株式数を変動させる「業績連動型株式報酬」を採用しております。両株式報酬の公正価値は付与日時点で見積り、付与日から役務提供期間終了までの期間にわたり人件費として認識し、同額を資本の増加として認識しております。「譲渡制限付株式報酬」の公正価値は、当社株式の公正価値を参照して測定しております。「業績連動型株式報酬」の公正価値は、当社株式の公正価値等を基礎として、モンテカルロ・シミュレーションを用いて測定しております。
(12) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社が、現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額が合理的に見積り可能である場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
資産除去債務
当社が公表している環境方針及び当社がその適用を受ける法規制等に従い、当社は、主として石油、石炭及び鉱石の採掘等に関する設備の撤去に係る費用等を認識しております。
(13) 収益
当社は、通常の商取引において提供される商品の販売、サービス及びその他の販売に係る収益(リース取引及び金融商品取引を除く)を以下の5ステップアプローチに基づき、認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に収益を認識する。
収益の主要な区分におけるそれぞれの収益認識基準、本人代理人の判定に関する基準は以下のとおりであります。
① 商品販売に係る収益
商品販売による収益には、卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売、不動産の開発販売などが含まれております。当社は、これらの収益を個々の契約内容に応じ、引渡、出荷、または検収時点など、約束した商品を顧客に移転することによって履行義務を充足した時に認識しております。顧客による検収条件は、契約内容や顧客との取り決めにより定められるものであり、事前に取り決めた仕様を満たさない場合には、最終的な検収終了まで収益は繰延べられることとなります。当社は原則として、販売した商品に欠陥等がない限り返品を受け付けないこととしております。
当社が技術提供、資材調達、建設工事を請負う電力発電所の建設事業や、顧客仕様のソフトウェアの開発請負事業などの長期請負工事契約については、一定の条件を満たす場合、収益と原価を一定期間にわたり履行義務が充足されることによって認識しております。履行義務が充足される進捗度は、工事契約等に必要な見積総原価に対する、現在までにかかった工事原価の割合に基づいて算定しております。当初の収益の見積り、完成までの進捗状況に変更が生じる可能性がある場合、見積りの見直しを行っております。
② サービス及びその他の販売に係る収益
サービス及びその他の販売に係る収益には、ソフトウェアに関連するサービス、賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リースなどが含まれております。
ソフトウェアに関連するサービスのうち、保守管理に係る収益は、保守管理契約期間にわたって認識する場合と、実際のサービスの提供に応じて認識する場合とがあります。
船舶などの貸付金に係る収益は、実効金利法に基づき認識しております。
ファイナンス・リースに係る収益は、リースの計算利子率に基づき認識しております。
オペレーティング・リースに係る収益は、連結包括利益計算書にリース期間にわたり、定額法で認識しております。
③ 収益の本人代理人の判定
当社は、通常の商取引において、仲介業者または代理人としての機能を果たす場合があります。このような取引における収益を報告するにあたり、収益を顧客から受け取る対価の総額(グロス)で認識するか、または顧客から受け取る対価の総額から第三者に対する手数料その他の支払額を差し引いた純額(ネット)で認識するかを判断しております。ただし、グロスまたはネット、いずれの方法で認識した場合でも、売上総利益及び当期利益又は損失に影響はありません。
収益の本人代理人の判定に際しては、その取引における履行義務の性質が、特定された財又はサービスを顧客に移転される前に支配し、自ら提供する履行義務(すなわち、「本人」)に該当するか、それらの財又はサービスが当該他の当事者によって提供されるように手配する履行義務(すなわち、「代理人」)に該当するかを基準としております。当社が「本人」に該当する取引である場合には、履行義務を充足する時点で、又は充足するにつれて収益をグロスで認識しております。当社が「代理人」に該当する取引である場合には、履行義務を充足する時点で、又は充足するにつれて、特定された財又はサービスが当該他の当事者によって提供されるように手配することと交換に権利を得ると見込んでいる報酬又は手数料の金額にて収益をネットで認識しております。
ある取引において当社が本人に該当し、その結果、当該取引に係る収益をグロスで認識するための判断要素として、次の指標を考慮しております。
・当社が、特定された財又はサービスを提供する約束の履行に対する主たる責任を有している。
・特定された財又はサービスが顧客に移転される前、又は顧客への支配の移転の後に、当社が在庫リスクを有して いる。
・特定された財又はサービスの価格の設定において当社に裁量権がある。
(14) 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金、有価証券売却益、FVTPLの金融資産の公正価値の変動及び当期利益又は損失で認識されたヘッジ手段に係る利益等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社の受領権が確定した日に認識しております。金融資産(除くFVTPLの金融資産)からの利息収益は、実効金利法により計上しております。
金融費用は、支払利息、有価証券売却損、FVTPLの金融資産の公正価値の変動、金融資産の減損損失及び当期利益又は損失で認識されたヘッジ手段に係る損失等から構成されております。適格資産の取得、建設または製造に直接起因しない借入費用は、実効金利法により当期利益又は損失で認識しております。
(15) 借入費用
当社は、意図した使用または販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産、つまり適格資産の取得、建設または製造に直接起因する借入費用は、その資産が実質的に意図した使用または販売を可能にする時まで、それらの資産の取得原価に加算しております。
上記以外のすべての借入費用は、それが発生した会計期間に当期利益又は損失で認識しております。
(16) 法人所得税費用
法人所得税費用は、当期税金と繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部またはその他の包括利益で認識される項目を除き、当期利益又は損失で認識しております。
当期税金は、期末日時点において施行または実質的に施行される税率を乗じて算定する当期の課税所得または損失に係る納税見込額あるいは還付見込額の見積りに、前年までの納税見込額あるいは還付見込額の調整額を加えたものであります。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異に対して認識しております。企業結合以外の取引で、かつ会計上または税務上のいずれの損益にも影響を及ぼさない取引における資産または負債の当初認識に係る差異については、繰延税金資産及び負債を認識しておりません。さらに、のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異についても、繰延税金負債を認識しておりません。
子会社、関連会社及び共同支配の取決めに対する投資に係る将来加算一時差異について繰延税金負債を認識しております。ただし、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内での一時差異の解消が期待できない可能性が高い場合には認識しておりません。子会社、関連会社及び共同支配の取決めに係る将来減算一時差異から発生する繰延税金資産は、一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な将来に解消されることが予期される可能性が高い範囲でのみ認識しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日に施行または実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しております。繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合または異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産及び負債を純額ベースで決済することを意図している場合、もしくはこれら税金資産及び負債が同時に実現する予定である場合に相殺しております。
繰延税金資産は、未使用の税務上の欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分について減額しております。
(17) 1株当たり当期利益(損失)
当社は、普通株式に係る基本的及び希薄化後1株当たり当期利益(損失)(以下、EPS)を開示しております。基本的EPSは、当期利益(損失)(親会社の所有者に帰属)から譲渡制限付株式に帰属する当期利益(損失)を差し引いた調整後の当期利益(損失)を、その期間の自己株式と譲渡制限付株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。希薄化後EPSは、すべての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、当期利益(損失)(親会社の所有者に帰属)及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。当社の潜在的普通株式はストック・オプション制度、譲渡制限付株式報酬及び業績連動型株式報酬に係るものであります。
(18) 事業セグメント
事業セグメントとは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を稼得し費用を発生させる事業活動の構成単位であります。すべての事業セグメントの事業の成果は、個別にその財務情報が入手可能なものであり、かつ各セグメントへの経営資源の配分及び業績の評価を行うために、マネジメントが定期的にレビューしております。
(19) 未適用の新たな基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設または改訂は次のとおりであり、2021年3月31日現在において当社はこれらを適用しておりません。適用による当社への影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
基準書基準名強制適用時期
(以降開始年度)
当社適用年度新設・改訂の概要
IFRS第4号保険契約2021年1月1日2022年3月期金利指標改革
IFRS第7号金融商品:開示2021年1月1日2022年3月期金利指標改革
IFRS第9号金融商品2021年1月1日2022年3月期金利指標改革
IFRS第10号連結財務諸表未定未定投資者とその関連会社または共同支配企業との間の資産の売却または拠出の会計処理
IFRS第16号リース2021年1月1日2022年3月期金利指標改革
IFRS第17号保険契約2023年1月1日2024年3月期保険契約の会計処理の改訂
IAS第1号財務諸表の表示2023年1月1日2024年3月期負債の流動負債又は非流動負債への分類の改訂及び会計方針の開示
IAS第8号会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬2023年1月1日2024年3月期会計上の見積りの定義の明確化
IAS第12号法人所得税2023年1月1日2024年3月期単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金
IAS第16号有形固定資産2022年1月1日2023年3月期意図した使用の前の収入
IAS第28号関連会社及び共同支配企業に対する投資未定未定投資者とその関連会社または共同支配企業との間の資産の売却または拠出の会計処理
IAS第37号引当金、偶発負債及び偶発資産2022年1月1日2023年3月期不利な契約-契約履行のコスト