有価証券報告書-第104期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当社は、2032年までを対象とする「長期経営方針」および2016~2020年度の5ヵ年を対象とする中期経営計画「ACE-2020」に掲げる事項を対処すべき課題と捉えております。
(1) 基本理念
当社は、グループの共通の価値観として、以下の経営理念、ビジョン、NAGASEウェイを掲げています。

(2) 長期経営方針
当社グループは、創業200年の節目を迎える2032年度に向かい、「現行比3倍の利益水準の常態化」を目指して、「成長に向けたチャレンジ」と「成長を支える経営基盤の強化」を骨子とした長期経営方針を2014年度に策定しております。
「成長に向けたチャレンジ」においては、注力領域への経営資源の投下と、従来からのビジネスモデルに依存する体質からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけではなし得ない飛躍的な成長を目指します。「成長を支える経営基盤の強化」は、「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために、事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤を構築してまいります。
(3) 中期経営計画「ACE-2020」について
長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしました。
「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。
「ACE-2020」では、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しています。
「ACE-2020」の定量目標は下表のとおりです。
※目標値は、早期に常態化することを目指しております。
(4) 中期経営計画の骨子
「ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を実行しております。
また、中期経営計画の4年目を迎えるにあたり、計画達成の実現性を高めるべく全社単位で「ACE-2020」ローリングを行いました。ローリングは外部および内部環境の分析を行い、中期経営計画策定時の想定との乖離を認識し、一部の事業体制および施策の修正を決定しました。なお、ローリングによる定量・定性目標の変更はありませ
ん。
新たに重要性が高まった課題は以下の3点になります。
A)グローバルでの環境規制強化による供給問題
B)海外事業機会の拡大に対応するグローバルガバナンス
C)製造事業におけるコンプライアンス体制のさらなる強化
① 収益構造の変革
重点施策①-1:「ポートフォリオの最適化」
「ACE-2020」では、経営資源の最大効率化を進めるために、成長性、収益性、事業規模を観点に、事業を「育成領域」、「注力領域」、「基盤領域」、「改善領域」の4つの領域に仕分けを行い、各領域にあった戦略実行により、事業拡大を図ります。
注力領域:ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクス
今期は、「注力領域」であるライフ&ヘルスケアにおいて、スイスのロンザ社との長期パートナーシップ契約を背景とした今後の需要拡大を見据え、生産能力向上を目的に、天然多糖類のプルランと各種酵素を生産する新工場の建設に着手しました。また、フード事業戦略室の新設を決定し、食品素材市場の戦略構築および事業拡大を図ります。
同じく「注力領域」であるエレクトロニクスにおいて、次世代通信規格対応高周波製品の展開および半導体事業拡大を目的に、3D Glass Solutions社へ出資を行いました。また、電子セグメントの電子資材事業部と電子化学品事業部を統合し、新たにエレクトロニクス事業部の新設を決定し、業界全体を俯瞰し、技術、用途、産業構造の変化に柔軟に対応した事業展開を図ってまいります。
「育成領域」では、LiDAR関連技術を持つ米国TriLumina社、加国LeddarTech社との協業を開始し、自動運転技術分野に参入しました。また、ドメインをすべてのモビリティ関連ビジネスに拡げ、「次世代モビリティ社会において環境に配慮し、安心・安全・快適を実現するソリューション提供」を掲げて、「自動車・エネルギー」セグメントの名称を、2019年4月より「モビリティ・エネルギー」セグメントへ変更することを決定しました。
また、人工知能や高速データ処理システムを活用した新規材料や代替材料を探索するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)のプラットフォームをIBM社と共同開発することを合意し、2020年度のサービス提供開始を目指しております。
「基盤領域」では、国内外の化学品や合成樹脂の販売活動に加え、国土交通省の「インフラメンテナンス大賞」優秀賞を受賞した防錆塗料の「Pat!naLock®」の拡販活動、排気・排水処理設備販売の開発活動、中国をはじめとする各国の環境規制対応等、環境関連事業を推進しました。
また、透明性と耐久性等に優れた合成樹脂「Tritan™」の日本代理店として、イタリアンレストラン「サイゼリヤ」の全店舗で採用されたほか、生活用品のデザインを通して素材の可能性を探ることを目的として、武蔵野美術大学や多摩美術大学との産学共同研究の成果発表会を開催しました。
「改善領域」では、一部の不採算事業の撤退を決定し、経営資源の再配分を行いました。
重点施策①-2:「収益基盤の拡大・強化」
「ACE-2020」では、商社業・製造業それぞれが独自のKPI設定と施策実行により、各機能を向上させるとともに、それぞれの機能を活用した新たな事業の創造を目指します。
商社業は、海外の売上規模の拡大によりグローバル展開のさらなる加速を目指し、製造業は、将来の注力事業の育成とコストダウンによる経営の安定化(損益分岐点の改善)を進めます。
今期は、新たな事業創造、迅速な投資判断、ガバナンス強化を目的として、海外における地域統括会社の設立を決定し、台湾・香港を含むグレーターチャイナ地域においては期中に、メキシコ・ブラジルを含む米州地域においては2019年度期首に、それぞれ地域統括会社を設立しました。また、米国現地法人では、産業用途3Dプリンター向け特殊材料の開発・製造を目的に、Infinite Material Solutions社を米国Interfacial Consultants社との合弁会社として設立しました。
製造業は、主に原料およびエネルギーコスト対応の施策を中心に損益分岐点の改善活動を継続しました。なお、当社100%子会社の福井山田化学工業株式会社が、省エネルギー管理優良事業者表彰の「福井県知事賞」を受賞しました。また、グループ製造業責任者会議を開催し、コンプライアンスや安全操業の徹底等の共通課題について、対応策の改善を図りました。
② 企業風土の変革
重点施策②-1:「マインドセットの徹底」
「ACE-2020」では、「主体性・責任感・危機意識の醸成」、「トップメッセージの共有化」、「モニタリングとPDCAの徹底」を進め、グループ一丸となって主体的に行動を起こすしくみづくりを行います。
今期は、「モニタリングとPDCAの徹底」として、「ACE-2020」ローリングを実施し、計画策定時の前提条件や市場環境の見直しと、計画達成に向けた施策の精査を行いました。また、国内外グループ会社37社のマネージャー以上を対象に、「ACE-2020」の意識調査アンケートを行いました。回答結果から、「ACE-2020」全般の理解や浸透が確認されました。その他、トップメッセージの動画配信やインナーブランディング活動を継続して行ってまいりました。
重点施策②-2:「経営基盤の強化」
「ACE-2020」では、「効率性の追求」を進め、連結の売上高販管費率の0.5%改善を目指します。また、「人財育成」を進め、競争力向上と持続的発展を可能にする人財を育成します。
今期は、「効率性の追求」として、コーポレート機能の強化とコア業務の生産性向上を目的に、間接部門業務の機能と組織の見直しを継続しました。シェアードサービス会社である長瀬ビジネスエキスパート株式会社は、国内販売会社を対象とした与信管理システムの運用を開始し、また、RPAの活用により業務範囲を拡大し、業務の標準化と効率化を進めました。
「人財育成」においては、キャリアプランの選択肢拡大と成果を発揮した人財の早期抜擢と処遇反映を目的とし、新人事制度の運用を開始しました。また、健康経営優良法人2019(ホワイト500)の認定取得や健康宣言を行う等、働きやすい職場環境の整備を進めました。
(5) 経営者による当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、中期経営計画「ACE-2020」にて「収益構造の変革」と「企業風土の変革」を行うことにより、中期経営計画が掲げる目標の達成を目指しております。また、目標の達成のために、重要業績評価指標(KPI)として、「注力ビジネス拡大」、「グローバル展開の加速」、「製造業の収益力向上」、「効率性の追求」、「投資」、「強固な財務体質」を設けております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、合成樹脂、情報印刷関連材料、カーエレクトロニクス関連部材等などの販売が好調であり、ディスプレイ関連部材およびフォトリソ材料等の販売が低調でした。通期業績は当初の見込みを若干下回ったものの、前期の業績は上回る結果となりました。
KPIの観点からは、「注力ビジネス拡大」においては前年を下回る結果となりました。注力領域の一つであるエレクトロニクスの不調を他の事業領域にて補完する形となり、ポートフォリオの安定性という面では一定の評価が出来るものの、注力領域の各施策の実績化のスピードに関しては課題を認識しました。
「グローバル展開の加速」においては、海外グループ会社の売上高は前年を上回ったものの、中期経営計画策定時における想定を下回っております。(4)に記載の通り、海外事業機会の拡大に対応するグローバルガバナンスの重要性の高まりを認識しており、グレーターチャイナ地域においては2018年度末に、米州地域においては2019年度期首に地域統括会社をそれぞれ設立しました。各地域において、新たな事業創造、迅速な投資判断、ガバナンス強化を進めてまいります。
「製造業の収益力向上」においては、グループ製造会社の売上高は全体として改善傾向を維持しておりますが、一部の事業において採算の悪化が認められており、対応策の強化を図ってまいります。
「効率性の追求」においては、グループ全体の売上高の伸長ペースが中期経営計画の策定時の想定を下回っており、KPIとして設定した「連結売上高販管費比率」の改善が想定より遅れております。一方で、グループ製造会社の収益改善により、売上総利益率は向上しており、収益に対する費用効率性については改善しております。
また、(4)に記載のとおり、中期経営計画期間の4年目を迎えるにあたり、計画達成の実現性を高めるべく全社レベルで中期経営計画ローリングを行いました。外部および内部環境分析を行い、中期経営計画策定時の想定との乖離を認識し、新たな課題の抽出と一部の事業体制および施策の修正をしました。中期経営計画が掲げる目標の達成を目指し、外部環境に依存しない強固な利益体質を構築するべく、各施策をより一層推し進めてまいります。
投資を目的とした資金需要については、「注力領域」であるライフ&ヘルスケア領域およびエレクトロニクス領域、ならびに「注力エリア」である米州を中心としたものであり、成長に向けた投資として89億円の支出を行いました。
また、運転資本の増加による資金の減少が125億6千万円ありましたが、事業全般的に取扱高が増加したことに加え、一部の樹脂原料や化学品等について顧客への安定供給に必要な在庫を確保するための資金支出が増加したこと等によるものです。
株主還元としては、配当金の支払として51億3千万円、自己株式の取得として19億5千万円の支出を行いました。
これらの資金支出の財源は、営業活動によるキャッシュ・フロー173億7千万円のほか、有利子負債により調達しております。売掛債権および在庫の管理の徹底や資産の入れ替え等を通じて、資本効率性の改善を図ってまいります。
なお、上記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 基本理念
当社は、グループの共通の価値観として、以下の経営理念、ビジョン、NAGASEウェイを掲げています。

(2) 長期経営方針
当社グループは、創業200年の節目を迎える2032年度に向かい、「現行比3倍の利益水準の常態化」を目指して、「成長に向けたチャレンジ」と「成長を支える経営基盤の強化」を骨子とした長期経営方針を2014年度に策定しております。
「成長に向けたチャレンジ」においては、注力領域への経営資源の投下と、従来からのビジネスモデルに依存する体質からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけではなし得ない飛躍的な成長を目指します。「成長を支える経営基盤の強化」は、「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために、事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤を構築してまいります。
(3) 中期経営計画「ACE-2020」について
長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしました。
「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。
「ACE-2020」では、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しています。
「ACE-2020」の定量目標は下表のとおりです。
| 目標 | 第104期(2018年度) | 第103期(2017年度) | 第102期(2016年度) | |
| 連結売上高 | 1兆円以上 | 8,077億円 | 7,839億円 | 7,223億円 |
| 連結営業利益 | 300億円以上 | 252億円 | 241億円 | 150億円 |
| ROE | 6.0%以上 | 6.6% | 5.8% | 3.7% |
※目標値は、早期に常態化することを目指しております。
(4) 中期経営計画の骨子
「ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を実行しております。
また、中期経営計画の4年目を迎えるにあたり、計画達成の実現性を高めるべく全社単位で「ACE-2020」ローリングを行いました。ローリングは外部および内部環境の分析を行い、中期経営計画策定時の想定との乖離を認識し、一部の事業体制および施策の修正を決定しました。なお、ローリングによる定量・定性目標の変更はありませ
ん。
新たに重要性が高まった課題は以下の3点になります。
A)グローバルでの環境規制強化による供給問題
B)海外事業機会の拡大に対応するグローバルガバナンス
C)製造事業におけるコンプライアンス体制のさらなる強化
① 収益構造の変革
重点施策①-1:「ポートフォリオの最適化」
「ACE-2020」では、経営資源の最大効率化を進めるために、成長性、収益性、事業規模を観点に、事業を「育成領域」、「注力領域」、「基盤領域」、「改善領域」の4つの領域に仕分けを行い、各領域にあった戦略実行により、事業拡大を図ります。
注力領域:ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクス
今期は、「注力領域」であるライフ&ヘルスケアにおいて、スイスのロンザ社との長期パートナーシップ契約を背景とした今後の需要拡大を見据え、生産能力向上を目的に、天然多糖類のプルランと各種酵素を生産する新工場の建設に着手しました。また、フード事業戦略室の新設を決定し、食品素材市場の戦略構築および事業拡大を図ります。
同じく「注力領域」であるエレクトロニクスにおいて、次世代通信規格対応高周波製品の展開および半導体事業拡大を目的に、3D Glass Solutions社へ出資を行いました。また、電子セグメントの電子資材事業部と電子化学品事業部を統合し、新たにエレクトロニクス事業部の新設を決定し、業界全体を俯瞰し、技術、用途、産業構造の変化に柔軟に対応した事業展開を図ってまいります。
「育成領域」では、LiDAR関連技術を持つ米国TriLumina社、加国LeddarTech社との協業を開始し、自動運転技術分野に参入しました。また、ドメインをすべてのモビリティ関連ビジネスに拡げ、「次世代モビリティ社会において環境に配慮し、安心・安全・快適を実現するソリューション提供」を掲げて、「自動車・エネルギー」セグメントの名称を、2019年4月より「モビリティ・エネルギー」セグメントへ変更することを決定しました。
また、人工知能や高速データ処理システムを活用した新規材料や代替材料を探索するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)のプラットフォームをIBM社と共同開発することを合意し、2020年度のサービス提供開始を目指しております。
「基盤領域」では、国内外の化学品や合成樹脂の販売活動に加え、国土交通省の「インフラメンテナンス大賞」優秀賞を受賞した防錆塗料の「Pat!naLock®」の拡販活動、排気・排水処理設備販売の開発活動、中国をはじめとする各国の環境規制対応等、環境関連事業を推進しました。
また、透明性と耐久性等に優れた合成樹脂「Tritan™」の日本代理店として、イタリアンレストラン「サイゼリヤ」の全店舗で採用されたほか、生活用品のデザインを通して素材の可能性を探ることを目的として、武蔵野美術大学や多摩美術大学との産学共同研究の成果発表会を開催しました。
「改善領域」では、一部の不採算事業の撤退を決定し、経営資源の再配分を行いました。
重点施策①-2:「収益基盤の拡大・強化」
「ACE-2020」では、商社業・製造業それぞれが独自のKPI設定と施策実行により、各機能を向上させるとともに、それぞれの機能を活用した新たな事業の創造を目指します。
商社業は、海外の売上規模の拡大によりグローバル展開のさらなる加速を目指し、製造業は、将来の注力事業の育成とコストダウンによる経営の安定化(損益分岐点の改善)を進めます。
今期は、新たな事業創造、迅速な投資判断、ガバナンス強化を目的として、海外における地域統括会社の設立を決定し、台湾・香港を含むグレーターチャイナ地域においては期中に、メキシコ・ブラジルを含む米州地域においては2019年度期首に、それぞれ地域統括会社を設立しました。また、米国現地法人では、産業用途3Dプリンター向け特殊材料の開発・製造を目的に、Infinite Material Solutions社を米国Interfacial Consultants社との合弁会社として設立しました。
製造業は、主に原料およびエネルギーコスト対応の施策を中心に損益分岐点の改善活動を継続しました。なお、当社100%子会社の福井山田化学工業株式会社が、省エネルギー管理優良事業者表彰の「福井県知事賞」を受賞しました。また、グループ製造業責任者会議を開催し、コンプライアンスや安全操業の徹底等の共通課題について、対応策の改善を図りました。
② 企業風土の変革
重点施策②-1:「マインドセットの徹底」
「ACE-2020」では、「主体性・責任感・危機意識の醸成」、「トップメッセージの共有化」、「モニタリングとPDCAの徹底」を進め、グループ一丸となって主体的に行動を起こすしくみづくりを行います。
今期は、「モニタリングとPDCAの徹底」として、「ACE-2020」ローリングを実施し、計画策定時の前提条件や市場環境の見直しと、計画達成に向けた施策の精査を行いました。また、国内外グループ会社37社のマネージャー以上を対象に、「ACE-2020」の意識調査アンケートを行いました。回答結果から、「ACE-2020」全般の理解や浸透が確認されました。その他、トップメッセージの動画配信やインナーブランディング活動を継続して行ってまいりました。
重点施策②-2:「経営基盤の強化」
「ACE-2020」では、「効率性の追求」を進め、連結の売上高販管費率の0.5%改善を目指します。また、「人財育成」を進め、競争力向上と持続的発展を可能にする人財を育成します。
今期は、「効率性の追求」として、コーポレート機能の強化とコア業務の生産性向上を目的に、間接部門業務の機能と組織の見直しを継続しました。シェアードサービス会社である長瀬ビジネスエキスパート株式会社は、国内販売会社を対象とした与信管理システムの運用を開始し、また、RPAの活用により業務範囲を拡大し、業務の標準化と効率化を進めました。
「人財育成」においては、キャリアプランの選択肢拡大と成果を発揮した人財の早期抜擢と処遇反映を目的とし、新人事制度の運用を開始しました。また、健康経営優良法人2019(ホワイト500)の認定取得や健康宣言を行う等、働きやすい職場環境の整備を進めました。
(5) 経営者による当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、中期経営計画「ACE-2020」にて「収益構造の変革」と「企業風土の変革」を行うことにより、中期経営計画が掲げる目標の達成を目指しております。また、目標の達成のために、重要業績評価指標(KPI)として、「注力ビジネス拡大」、「グローバル展開の加速」、「製造業の収益力向上」、「効率性の追求」、「投資」、「強固な財務体質」を設けております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、合成樹脂、情報印刷関連材料、カーエレクトロニクス関連部材等などの販売が好調であり、ディスプレイ関連部材およびフォトリソ材料等の販売が低調でした。通期業績は当初の見込みを若干下回ったものの、前期の業績は上回る結果となりました。
KPIの観点からは、「注力ビジネス拡大」においては前年を下回る結果となりました。注力領域の一つであるエレクトロニクスの不調を他の事業領域にて補完する形となり、ポートフォリオの安定性という面では一定の評価が出来るものの、注力領域の各施策の実績化のスピードに関しては課題を認識しました。
「グローバル展開の加速」においては、海外グループ会社の売上高は前年を上回ったものの、中期経営計画策定時における想定を下回っております。(4)に記載の通り、海外事業機会の拡大に対応するグローバルガバナンスの重要性の高まりを認識しており、グレーターチャイナ地域においては2018年度末に、米州地域においては2019年度期首に地域統括会社をそれぞれ設立しました。各地域において、新たな事業創造、迅速な投資判断、ガバナンス強化を進めてまいります。
「製造業の収益力向上」においては、グループ製造会社の売上高は全体として改善傾向を維持しておりますが、一部の事業において採算の悪化が認められており、対応策の強化を図ってまいります。
「効率性の追求」においては、グループ全体の売上高の伸長ペースが中期経営計画の策定時の想定を下回っており、KPIとして設定した「連結売上高販管費比率」の改善が想定より遅れております。一方で、グループ製造会社の収益改善により、売上総利益率は向上しており、収益に対する費用効率性については改善しております。
また、(4)に記載のとおり、中期経営計画期間の4年目を迎えるにあたり、計画達成の実現性を高めるべく全社レベルで中期経営計画ローリングを行いました。外部および内部環境分析を行い、中期経営計画策定時の想定との乖離を認識し、新たな課題の抽出と一部の事業体制および施策の修正をしました。中期経営計画が掲げる目標の達成を目指し、外部環境に依存しない強固な利益体質を構築するべく、各施策をより一層推し進めてまいります。
投資を目的とした資金需要については、「注力領域」であるライフ&ヘルスケア領域およびエレクトロニクス領域、ならびに「注力エリア」である米州を中心としたものであり、成長に向けた投資として89億円の支出を行いました。
また、運転資本の増加による資金の減少が125億6千万円ありましたが、事業全般的に取扱高が増加したことに加え、一部の樹脂原料や化学品等について顧客への安定供給に必要な在庫を確保するための資金支出が増加したこと等によるものです。
株主還元としては、配当金の支払として51億3千万円、自己株式の取得として19億5千万円の支出を行いました。
これらの資金支出の財源は、営業活動によるキャッシュ・フロー173億7千万円のほか、有利子負債により調達しております。売掛債権および在庫の管理の徹底や資産の入れ替え等を通じて、資本効率性の改善を図ってまいります。
なお、上記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。