有価証券報告書-第73期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 15:29
【資料】
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【項目】
168項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
建築用木材の流通を事業のルーツとする当社グループは、再生可能な環境性能に優れた資源として世界的に注目が高まる木材を軸に、地球温暖化防止及び持続可能な循環型社会の形成に貢献するとともに、企業価値の向上を目指します。また、住宅産業全般にかかわる事業展開の優位性と商品開発力を生かしながら、地震に強い安定した構造の住宅、健康で快適な居住空間、木材利用拡大にむけた非住宅建築物の木造化・木質化等の普及を推進し、事業全般の収益性を高めてまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
①グループ戦略
・脱炭素社会の早期実現が求められる中、当社といたしましては、循環利用が可能で公益的機能の発揮にもつながる我が国の潤沢な資源である国産材を中心とする木材の更なる利用促進と、環境性とレジリエンス性の高い住まいと暮らし方の普及に向けた取り組みを推進いたします。
・生産性の向上と「働き方改革」をもたらすような業務の効率化を実現するべく、より一層のIT化を図ります。また、当社が保有するデータベースを整理・統合し、新サービスの開発や新たなビジネスモデルを構築するべく、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進を目指します。
・健全な経営基盤の構築と企業価値の向上を図ることで、ステークホルダーの皆様からのご期待に応え、長期的な信頼関係の構築に努めます。
②建築資材事業における重点戦略
・持続可能社会・健康増進社会の実現が目指される中、木材部門については、全国規模で構築した木材流通サプライチェーンを生かし、国産材をはじめとする木材の利用促進を通じた利益の確保を目指します。
・建築資材部門については、きめ細かなサプライチェーンネットワークや住宅事業で培った設計・施工技術等を生かし、「ゼロエミッション」の実現に向けて、省エネルギー建材・設備及びエネルギー関連商材の販売拡大を目指します。また、温室効果ガスの排出量削減が叫ばれる中、再生可能エネルギーによるクリーンエネルギーの創出、木材・建材・エネルギー関連商材の供給を通じたZEH住宅の普及に取り組みます。加えて、カーボンニュートラルかつ循環型社会への意識の高まりを踏まえ、新築住宅市場及びリフォーム市場での顧客創造による新たな収益拡大を目指します。
・木造建設部門については、成長領域である非住宅分野に対応するべく、グループの総合力を生かした設計・開発、木材調達、生産、加工、施工、アフターメンテナンス機能のソリューション対応力をより一層高めることで、建築物の木造化・木質化の一層の促進に努めます。
・物流センターへの設備投資によって、配送の効率化を図るとともに、収容量の増強と拡張したスペースを利用した付加価値・サービスの提供により、長期的な競争力の維持強化に努めます。
③住宅事業における重点戦略
・フロービジネスからストックビジネスへの転換など、事業ポートフォリオの最適化を進めることで、良質な住宅ストックの形成と持続的な成長につながる収益基盤の構築を図ります。OBオーナー様や賃貸オーナー様、更には、地域の皆様との接点強化による住宅ストックの蓄積とともに、ビル・公共施設の管理受注にも注力することで、手数料収入の拡大を目指します。
・当社が古くから基盤を持つ「横浜・川崎」エリアにおける更なる販路拡大を目指し、住宅ストックの活用及び既存住宅流通に係る事業等を通じてワンストップソリューションを提供していきます。また、同エリアにおいて一般放送事業を展開するYOUテレビ株式会社の情報配信及び通信環境サービスの充実を図ることで、更に顧客接点を拡大、深化していきます。
・マンション部門については、引き続き免震構造の標準仕様を原則とし、一戸建住宅部門については、建築資材事業とのシナジーを生かした木造住宅の開発を推進することにより、良質な住宅の供給に努めます。
(3)会社の対処すべき課題
世界規模での気候変動やそれに伴う自然災害の激甚化、加えて新型コロナウイルスの感染拡大に伴い環境意識の高まりや急速なDX化が進んだほか、年明けからのウクライナ情勢緊迫による資源価格高騰など、企業を取り巻く環境は想定を超えるスピードで変化しております。当社の事業領域である住宅関連業界においても、人口減少や少子高齢化の加速等、人口動態の変化をはじめ、住まい方に対する消費者の価値観の転換など、需要構造は大きく変化しており、その対応が急務となっております。更に、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けては、住宅・建築業界及び木材業界に求められる役割は非常に大きいものとなっております。
こうした中、当社は、2021年5月に2021年度から2023年度までの3カ年を計画期間とする中期経営計画を策定し、公表いたしました。引き続き事業環境の大きな変化に対応するべく、経済価値のみならず、SDGsやESG経営を通じて社会価値・環境価値を重視し、社会課題解決を通じた企業価値の持続的な向上を目指し、当該計画に掲げた以下の諸施策を確実に実行していくことで持続的な成長及び企業価値の向上を実現してまいります。
① 積極的な木材利用の促進及び良質な住宅の供給等を通じて持続的な成長を実現するとともに、地球温暖化防止等の環境問題への取り組みや持続可能な社会の形成に貢献するなど、経済価値・社会価値・環境価値を創出するSDGs及びESG経営への取り組みを強化し収益性を向上させることで、より企業価値を高めてまいります。
② 持続可能な社会の構築に向けた取り組みとして、我が国の潤沢な資源であり、地球温暖化対策として重要な役割を担う木材の取り扱いを強化するほか、木造及び木質化された建築物の普及に努めます。
③ 耐震・健康・省エネに配慮した良質な住宅をエリア特性に合わせて安定的に供給しつつ、少子高齢化の進行により住宅ストック数が世帯数を上回る時代に対応していくために、住宅ストックの活用及び既存住宅流通に係る事業の比重を高めてまいります。
④ 事業戦略の実現に向けて、IT活用による業務の効率化や生産性の向上を図るほか、DXによる新サービスの開発や新たなビジネスモデルの構築など、競争優位性の確立に向けた取り組みを推進いたします。
また、当社グループは、企業運営に内在するリスクについて、随時、リスクの把握とその顕現化の予防に努め、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクについては、昨今の事業環境の変化を踏まえて複眼的に検討し適切に対処してまいります。
(4)定量目標
2022年3月期
(実績)
2023年3月期
(2年目計画)
2024年3月期
(3年目計画)
売上高2,295億円2,180億円2,300億円
営業利益102億円46億円50億円
経常利益95億円40億円45億円
親会社株主に帰属する
当期純利益
44億円30億円35億円

ウクライナ情勢緊迫による資源価格高騰のほか、新型コロナウイルス感染症の収束が見えないなか、国内外の経済に与える影響が懸念されますが、建築資材事業においては、循環型社会への意識の高まりをふまえ、国産材をはじめとする木材の利用促進及び省エネルギー建材・設備等の販売拡大を目指します。また、住宅事業においては、耐震・健康・省エネに配慮した良質な住宅をエリア特性に合わせて安定的に供給していくとともに、ストックビジネスの強化を行い、より安定した収益基盤の構築を図ってまいります。
上記計画2年目となる2023年3月期の連結業績見通しは売上高2,180億円、営業利益46億円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益30億円、上記計画最終年度である2024年3月期は売上高2,300億円、営業利益50億円、経常利益45億円、親会社株主に帰属する当期純利益35億円を定量目標としております。
財務指標につきましては、上記計画最終年度には自己資本比率30%、D/Eレシオ※1倍以下、ROE8%を目標としております。
※D/Eレシオ:(社債+借入金) / (株主資本+その他包括利益累計額)