有価証券報告書-第68期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社は、1954年(昭和29年)の設立以来「技術革新」をコンセプトとし、事業活動を通して社会に貢献したいとする経営理念のもと、つねに患者様のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)や医療現場の課題などのユーザーニーズに応える製品開発を推進しております。
製品競争力・市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもと、グローバルに事業展開を行っております。
当社グループは、医療現場におけるニーズ、シーズを積極的に捉えながら、現場の要望に応える商品開発を行いつつ、製造工程の改善によって製品の生産能力を高め、品質の安定とコスト競争力のある製品を提供することによってグローバル市場でシェアを獲得し、販売を拡大することを基本戦略としてまいりました。また、医療、医薬、医薬用包装材料(ファーマパッケージング)の3事業にまたがる当社内の独自技術やその他の経営資源を有効に活用して、ユーザー目線に立ったより安全性の高い、価値ある製品の開発に取り組んでおります。
ますます先行きが見えないこの激動の時代においても、製品競争力、市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもとにグローバルで存在感のある企業グループへと発展してまいります。
医療関連事業におきましては、主力のダイアライザ(人工腎臓)を中心とする透析関連製品に加え、注射・輸液関連製品、経腸栄養関連製品、検査関連製品、バスキュラー関連製品、心臓外科(CVS)関連製品などの領域において品揃えの充実と新規販路開拓を強力に推し進め、シェア拡大を図ります。また、医療従事者の働き方改革や、オンライン診療、オンライン服薬指導に役立てるシステムの提案を通じて地域医療に貢献してまいります。後発医薬品については、医療用医薬品の製造・販売を行う企業としての責任と使命を今一度しっかり認識し、患者様目線を基本理念として、品質確保、安定供給へ真摯に取り組んでまいります。また、メディカル営業部門と連携して重点卸との関係を強化し、医療機関、調剤薬局などに貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
海外販売におきましては、各地域において質の高い商品と医療サービスの提供が今後の成長の要であり、以下の施策により実現を図ります。先ず、自社直販網の拡大、特に中国・アセアン地域の拡大を図り、販売強化・管理強化の両輪で迅速に販売拡大を行ってまいります。次に、中南米・アジアを中心に新興国にて引き続き自社透析センターの開設推進を加速してまいります。さらにトレーニングセンターの世界各国への設置を進めることで、今後も地域に根ざした最適な治療環境、医療技術のトレーニングの場を提供してまいります。販売拠点につきましてもアジア市場の販売拡大に注力し販売拠点増強・人員増強を実施してまいります。最後に、透析液メーカーや透析装置メンテナンスサービス会社等、当社主力商品である透析分野の企業買収を積極的に行うことで、透析商品の品揃えを拡げ、当社グループの強みであるパッケージ販売をより強化してまいります。また、透析商品のみならずホスピタル商品・バスキュラー商品の販売拡大にも注力してまいります。このように今後も顧客目線で顧客サービス充実を徹底し、ニプロのブランド力を高めてさらなる販売拡大に努めてまいります。
再生医療関連では、再生医療等製品「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞(販売名:ステミラック®注)」の販売を拡大するため、投与施設となる医療機関との連携を進めるとともに、製造体制の強化を図ってまいります。投与施設の順次拡大と生産能力の向上を図るため、引き続き安定供給と医療機関および医師との緊密な連絡等に取り組むとともに、製造プロセスの改善と新たな製造施設の建設・稼動に向けた体制整備等を推進してまいります。
医薬関連事業におきまして、高品質な医薬品を安定的に市場供給することが最も重要な社会的使命であり、国内トップクラスの医薬品受託製造企業グループとして引き続き事業の拡大に邁進してまいります。
そのための施策として、既存の生産拠点におけるバイアルやプレフィルドシリンジの設備投資に加えて、新たな注射剤新工場の建設による生産能力の拡充を実施し、経口剤については、複数ある生産拠点での集約と効率化による生産能力の拡大を図ります。また、事業継続性の一環として災害対策などのBCP対策の推進を実行してまいります。
ファーマパッケージング事業におきましては、折からの発展途上国における急速な市場成長に加え、COVID-19ワクチンや治療薬に係る需要のほか、ポストコロナ後の予防医療の進展等により、医薬用容器の市場は一層、拡大すると見込んでおります。
これらの機会を確実に事業拡大に繋げるため、販売面では自社ブランドの医薬用容器の提案営業を推進し、デバイスやゴム部材等を含めたコンビネーション営業を強化することで、市場カバー率の拡大を図ります。併せて、既存商品の高付加価値化および新規商品の迅速な上市を通じ、顧客やユーザーの満足度を向上させ、ブランドの浸透を加速してまいります。また製造面では、将来を見据えた生産能力の増強を適宜、実施するとともに各生産拠点および拠点間におけるサプライチェーンを整備いたします。これらを通じ、各国の市場需要やトレンドに応じた最適な供給体制を構築してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社は、2030年度に売上高1兆円の企業グループとなることを目標に掲げておりますが、そのためにユーザーニーズに即した製品開発により競合他社との差別化をはかり、売上高成長率7%以上を維持することと製品力による営業利益率の向上を目指します。そのうえで一定水準の成長投資を維持しながらキャッシュ・フローの改善により債務償還年数の圧縮と自己資本比率の向上を実現してまいります。なお、中期経営計画における主要KPIは次のとおりであります。
また、2030年度連結売上高1兆円を達成するために、当社グループが実施すべきと考えることは、次のとおりであります。
当社グループは引き続きユーザー目線にたっての新商品、新技術の開発を進め、技術革新により社会貢献を志向する事業展開を継続し、医療関連、医薬関連およびファーマパッケージングの各事業において着実に成長を図り、目標達成を目指してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
医療関連事業におきましては、メディカル営業部門では、輸液関連製品、糖尿病関連製品、透析関連製品、バスキュラー関連製品、SD関連製品の各々におきまして、医療の安全、安心に配慮した設計と、環境への負荷を低減する製品開発に努め、医療従事者の方々や患者様、そして地球環境にも優しい製品開発に取り組み、多様化する市場ニーズ・シーズに応えられる製品を積極的に市場展開、販売強化を行い業績の拡大に取り組んでまいります。また、医薬営業部門では、毎年の薬価改定でジェネリック医薬品業界はもちろん、製薬業界全体が非常に厳しい経営環境となることが予想される中、総合メディカル企業として医療用デバイスや診断薬などとジェネリック医薬品を組み合わせた活動で、在宅医療、地域医療連携をはじめ医療現場のニーズに応えながら医薬品卸と一層の連携強化を図り、さらなるニプロブランドの向上に努めてまいります。
グローバル市場においては、近年は生活習慣病などの都市型疾患への変遷に対応すべく特に新興国を中心に医療インフラの整備と医療体制の普及を視野に入れた事業を進めておりましたが、全世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、感染症に対する脆弱性が全世界で露呈する格好となりました。感染症予防と治療に必要な防護用品やホスピタル関連製品に関しても製品ラインナップの拡充と生産能力の強化をしっかりと継続して行います。このように弊社グループは医療現場のニーズに応え、メーカーとしての製品供給責任を十分に果たすために全世界で製品生産能力の増強を継続的かつ積極的に行ってまいります。特にダイアライザを代表とする透析関連製品に関しましては、新型コロナウイルス感染拡大による移動制限の解除の見通しが立たない状況ではありますが、計画している生産能力の増強を確実に進めて、製品の供給責任を果たしてまいります。
再生医療関連では、再生医療等製品「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞(販売名:ステミラック®注)」の量産体制の構築が課題となっております。無菌製造の確実性を高めるとともに生産効率を向上させるべく新規製造システムを早期に立ち上げ、治療ニーズに応える供給体制の整備とともに、コストダウンを図ってまいります。また、ステミラック®注は条件及び期限付承認であることから、製造販売後承認条件評価としての使用成績比較調査を確実に実施してまいります。
医薬関連事業におきましては、受託製造の生産能力の拡充と柔軟性、グローバル市場への製品供給能力に対する顧客ニーズがますます高まっています。そのため、米国や欧州の医薬品品質基準を充足するような開発・品質保証体制の整備を進め、海外コンサルタントを活用しながら、FDA等の海外当局査察の対応を進めてまいります。また、今後も積極的な設備投資により需要に応じた生産体制の増強を行い、安定供給の確保に取り組んでまいります。ニプロファーマ鏡石工場の福島県沖地震による被災については、生産再開後の早期のバックオーダーの解消とBCP対策の推進に努めてまいります。
ファーマパッケージング事業におきましては、世界各国がヘルスケア政策を強力に進める中、先進国、途上国を問わず医療費の抑制トレンドが鮮明であることから、価格競争力の向上が喫緊の課題です。引き続き検査・包装工程を中心に自動化・省人化を計画的に進めるほか、品質基準や製造要件の統一化、各製造拠点における製品ポートフォリオの最適化を図ってまいります。また市場シェアの拡大、新規市場の開拓においては、マーケティング機能の強化および販売体制の整備が不可欠であるほか、開発面では市場ニーズや顧客シーズを迅速に把握し、機能面、価格面で優れた商品を創出するためのプロセス整備および管理を徹底いたします。
また、各事業において継続的な設備投資を遅滞なく実現するためにも、財務体質の改善はひとつの大きな課題と認識しております。今後もより多様な資金調達手法や資本政策、あるいは地域統括会社の活用による効率的な資金管理により健全な財務体質への改善を図ってまいります。
現時点における国内および世界経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が継続し、先行き不透明な状況となっております。しかしながら弊社グループは総合医療メーカーとして、こうした状況の少しでも早い収束のための一翼を担うべく、邁進してまいります。今後はワクチン接種が全世界で進行することで次第に感染症の影響は収束に向かい、経済活動は徐々に活発化していくものと予想されます。弊社グループにおきましても政府あるいは市場の需要に速やかに応えるべく生産能力の整備増強と製品開発およびプロモーションを精力的にすすめてまいります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社は、1954年(昭和29年)の設立以来「技術革新」をコンセプトとし、事業活動を通して社会に貢献したいとする経営理念のもと、つねに患者様のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)や医療現場の課題などのユーザーニーズに応える製品開発を推進しております。
製品競争力・市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもと、グローバルに事業展開を行っております。
当社グループは、医療現場におけるニーズ、シーズを積極的に捉えながら、現場の要望に応える商品開発を行いつつ、製造工程の改善によって製品の生産能力を高め、品質の安定とコスト競争力のある製品を提供することによってグローバル市場でシェアを獲得し、販売を拡大することを基本戦略としてまいりました。また、医療、医薬、医薬用包装材料(ファーマパッケージング)の3事業にまたがる当社内の独自技術やその他の経営資源を有効に活用して、ユーザー目線に立ったより安全性の高い、価値ある製品の開発に取り組んでおります。
ますます先行きが見えないこの激動の時代においても、製品競争力、市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもとにグローバルで存在感のある企業グループへと発展してまいります。
医療関連事業におきましては、主力のダイアライザ(人工腎臓)を中心とする透析関連製品に加え、注射・輸液関連製品、経腸栄養関連製品、検査関連製品、バスキュラー関連製品、心臓外科(CVS)関連製品などの領域において品揃えの充実と新規販路開拓を強力に推し進め、シェア拡大を図ります。また、医療従事者の働き方改革や、オンライン診療、オンライン服薬指導に役立てるシステムの提案を通じて地域医療に貢献してまいります。後発医薬品については、医療用医薬品の製造・販売を行う企業としての責任と使命を今一度しっかり認識し、患者様目線を基本理念として、品質確保、安定供給へ真摯に取り組んでまいります。また、メディカル営業部門と連携して重点卸との関係を強化し、医療機関、調剤薬局などに貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
海外販売におきましては、各地域において質の高い商品と医療サービスの提供が今後の成長の要であり、以下の施策により実現を図ります。先ず、自社直販網の拡大、特に中国・アセアン地域の拡大を図り、販売強化・管理強化の両輪で迅速に販売拡大を行ってまいります。次に、中南米・アジアを中心に新興国にて引き続き自社透析センターの開設推進を加速してまいります。さらにトレーニングセンターの世界各国への設置を進めることで、今後も地域に根ざした最適な治療環境、医療技術のトレーニングの場を提供してまいります。販売拠点につきましてもアジア市場の販売拡大に注力し販売拠点増強・人員増強を実施してまいります。最後に、透析液メーカーや透析装置メンテナンスサービス会社等、当社主力商品である透析分野の企業買収を積極的に行うことで、透析商品の品揃えを拡げ、当社グループの強みであるパッケージ販売をより強化してまいります。また、透析商品のみならずホスピタル商品・バスキュラー商品の販売拡大にも注力してまいります。このように今後も顧客目線で顧客サービス充実を徹底し、ニプロのブランド力を高めてさらなる販売拡大に努めてまいります。
再生医療関連では、再生医療等製品「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞(販売名:ステミラック®注)」の販売を拡大するため、投与施設となる医療機関との連携を進めるとともに、製造体制の強化を図ってまいります。投与施設の順次拡大と生産能力の向上を図るため、引き続き安定供給と医療機関および医師との緊密な連絡等に取り組むとともに、製造プロセスの改善と新たな製造施設の建設・稼動に向けた体制整備等を推進してまいります。
医薬関連事業におきまして、高品質な医薬品を安定的に市場供給することが最も重要な社会的使命であり、国内トップクラスの医薬品受託製造企業グループとして引き続き事業の拡大に邁進してまいります。
そのための施策として、既存の生産拠点におけるバイアルやプレフィルドシリンジの設備投資に加えて、新たな注射剤新工場の建設による生産能力の拡充を実施し、経口剤については、複数ある生産拠点での集約と効率化による生産能力の拡大を図ります。また、事業継続性の一環として災害対策などのBCP対策の推進を実行してまいります。
ファーマパッケージング事業におきましては、折からの発展途上国における急速な市場成長に加え、COVID-19ワクチンや治療薬に係る需要のほか、ポストコロナ後の予防医療の進展等により、医薬用容器の市場は一層、拡大すると見込んでおります。
これらの機会を確実に事業拡大に繋げるため、販売面では自社ブランドの医薬用容器の提案営業を推進し、デバイスやゴム部材等を含めたコンビネーション営業を強化することで、市場カバー率の拡大を図ります。併せて、既存商品の高付加価値化および新規商品の迅速な上市を通じ、顧客やユーザーの満足度を向上させ、ブランドの浸透を加速してまいります。また製造面では、将来を見据えた生産能力の増強を適宜、実施するとともに各生産拠点および拠点間におけるサプライチェーンを整備いたします。これらを通じ、各国の市場需要やトレンドに応じた最適な供給体制を構築してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社は、2030年度に売上高1兆円の企業グループとなることを目標に掲げておりますが、そのためにユーザーニーズに即した製品開発により競合他社との差別化をはかり、売上高成長率7%以上を維持することと製品力による営業利益率の向上を目指します。そのうえで一定水準の成長投資を維持しながらキャッシュ・フローの改善により債務償還年数の圧縮と自己資本比率の向上を実現してまいります。なお、中期経営計画における主要KPIは次のとおりであります。
| 成長性 | 売上高成長率 年平均7.0%以上 |
| 収益性 | 営業利益率 9.0%以上 |
| 財務健全性 | 純有利子負債/EBITDA 4倍台 |
| 資産効率 | ROE 14.0% |
また、2030年度連結売上高1兆円を達成するために、当社グループが実施すべきと考えることは、次のとおりであります。
| 経営方針 | 激動の時代にめげず、ユーザーニーズに応え、製品競争力・市場シェアともに世界トップを目指し、グローバルで地産地消の考えを推し進める |
| 重点課題 | ①意欲のある人にチャンスを与える社風を守る ②最終ユーザー目線で判断することを最優先とする ③三方(ユーザー、社会、自社)良しの考え方を堅持する ④全従業員がPDCAの各ステップに関する情報を共有し、意欲を持ってPDCAサイクルを回すことができるようにする ⑤組織の長が理論と現実のギャップを理解し、それを部下が理解できるように指導を行える会社とする |
| 強化項目 | ①日本市場において地域医療貢献度No.1メーカーへの挑戦 ②ダイアライザで世界各国シェアトップ ③バスキュラー製品における世界市場展開と国内市場の新分野進出 ④医薬品受託事業における海外市場への展開 ⑤ファーマパッケージング事業における高付加価値製品の開発と製造原価の削減 ⑥細胞医薬品事業の強化 ⑦新規事業シーズ育成 |
当社グループは引き続きユーザー目線にたっての新商品、新技術の開発を進め、技術革新により社会貢献を志向する事業展開を継続し、医療関連、医薬関連およびファーマパッケージングの各事業において着実に成長を図り、目標達成を目指してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
医療関連事業におきましては、メディカル営業部門では、輸液関連製品、糖尿病関連製品、透析関連製品、バスキュラー関連製品、SD関連製品の各々におきまして、医療の安全、安心に配慮した設計と、環境への負荷を低減する製品開発に努め、医療従事者の方々や患者様、そして地球環境にも優しい製品開発に取り組み、多様化する市場ニーズ・シーズに応えられる製品を積極的に市場展開、販売強化を行い業績の拡大に取り組んでまいります。また、医薬営業部門では、毎年の薬価改定でジェネリック医薬品業界はもちろん、製薬業界全体が非常に厳しい経営環境となることが予想される中、総合メディカル企業として医療用デバイスや診断薬などとジェネリック医薬品を組み合わせた活動で、在宅医療、地域医療連携をはじめ医療現場のニーズに応えながら医薬品卸と一層の連携強化を図り、さらなるニプロブランドの向上に努めてまいります。
グローバル市場においては、近年は生活習慣病などの都市型疾患への変遷に対応すべく特に新興国を中心に医療インフラの整備と医療体制の普及を視野に入れた事業を進めておりましたが、全世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、感染症に対する脆弱性が全世界で露呈する格好となりました。感染症予防と治療に必要な防護用品やホスピタル関連製品に関しても製品ラインナップの拡充と生産能力の強化をしっかりと継続して行います。このように弊社グループは医療現場のニーズに応え、メーカーとしての製品供給責任を十分に果たすために全世界で製品生産能力の増強を継続的かつ積極的に行ってまいります。特にダイアライザを代表とする透析関連製品に関しましては、新型コロナウイルス感染拡大による移動制限の解除の見通しが立たない状況ではありますが、計画している生産能力の増強を確実に進めて、製品の供給責任を果たしてまいります。
再生医療関連では、再生医療等製品「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞(販売名:ステミラック®注)」の量産体制の構築が課題となっております。無菌製造の確実性を高めるとともに生産効率を向上させるべく新規製造システムを早期に立ち上げ、治療ニーズに応える供給体制の整備とともに、コストダウンを図ってまいります。また、ステミラック®注は条件及び期限付承認であることから、製造販売後承認条件評価としての使用成績比較調査を確実に実施してまいります。
医薬関連事業におきましては、受託製造の生産能力の拡充と柔軟性、グローバル市場への製品供給能力に対する顧客ニーズがますます高まっています。そのため、米国や欧州の医薬品品質基準を充足するような開発・品質保証体制の整備を進め、海外コンサルタントを活用しながら、FDA等の海外当局査察の対応を進めてまいります。また、今後も積極的な設備投資により需要に応じた生産体制の増強を行い、安定供給の確保に取り組んでまいります。ニプロファーマ鏡石工場の福島県沖地震による被災については、生産再開後の早期のバックオーダーの解消とBCP対策の推進に努めてまいります。
ファーマパッケージング事業におきましては、世界各国がヘルスケア政策を強力に進める中、先進国、途上国を問わず医療費の抑制トレンドが鮮明であることから、価格競争力の向上が喫緊の課題です。引き続き検査・包装工程を中心に自動化・省人化を計画的に進めるほか、品質基準や製造要件の統一化、各製造拠点における製品ポートフォリオの最適化を図ってまいります。また市場シェアの拡大、新規市場の開拓においては、マーケティング機能の強化および販売体制の整備が不可欠であるほか、開発面では市場ニーズや顧客シーズを迅速に把握し、機能面、価格面で優れた商品を創出するためのプロセス整備および管理を徹底いたします。
また、各事業において継続的な設備投資を遅滞なく実現するためにも、財務体質の改善はひとつの大きな課題と認識しております。今後もより多様な資金調達手法や資本政策、あるいは地域統括会社の活用による効率的な資金管理により健全な財務体質への改善を図ってまいります。
現時点における国内および世界経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が継続し、先行き不透明な状況となっております。しかしながら弊社グループは総合医療メーカーとして、こうした状況の少しでも早い収束のための一翼を担うべく、邁進してまいります。今後はワクチン接種が全世界で進行することで次第に感染症の影響は収束に向かい、経済活動は徐々に活発化していくものと予想されます。弊社グループにおきましても政府あるいは市場の需要に速やかに応えるべく生産能力の整備増強と製品開発およびプロモーションを精力的にすすめてまいります。