有価証券報告書-第64期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 14:23
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【項目】
133項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、社会・経済活動が大きく制限されるなか、企業収益や景況感の悪化、個人消費の減退やインバウンド需要の急減など極めて厳しい状況で推移しました。政府の一回目の緊急事態宣言の解除後も、経済活動の回復に向けた動きは鈍く、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループは、2019年5月20日に公表いたしました中期経営計画に基づき、当社グループの基盤三事業につき、市場変化に合わせ、より柔軟に事業領域や組織の見直しを行うとともに、新たな事業領域の確立や、相乗効果が見込まれる他社とのビジネス連携・資本提携・M&A等を推進していくことで収益の更なる拡大を目指してまいりました。
この結果、当連結会計年度におきましては、連結業績は売上高101億3千9百万円(前年同期比1.3%減)、利益面では営業利益2億1千6百万円(前年同期比296.1%増)、経常利益2億2千6百万円(前年同期比314.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億5千7百万円(前年同期比276.0%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
システムソリューション
システムソリューションにおきましては、総務省向けシステム更新の大型案件の減少により、売上高は40億8千8百万円(前年同期比10.8%減)、営業利益は1億1千4百万円(前年同期比148.1%増)となりました。
ネットワークソリューション
ネットワークソリューションにおきましては、伝送・配信システムが低調で、売上高は10億9千3百万円(前年同期比23.4%減)、営業損失は4千8百万円(前年同期営業利益2千4百万円)となりました。
電子部品及び機器
電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて防衛省向け案件が好調で、売上高は49億5千7百万円(前年同期比16.3%増)、営業利益は1億4千9百万円(前年同期営業損失1千6百万円)となりました。
なお、セグメント間取引については、相殺消去しております。
当期の財政状態の概況
(資産)
当連結会計年度末における資産は71億6千5百万円(前連結会計年度末75億円)となり、3億3千5百万円減少しました。これは主に、流動資産では、商品及び製品が2億5千9百万円増加しましたが、現金及び預金1億4千1百万円、受取手形及び売掛金4億9千8百万円、前渡金1億2千8百万円減少したことにより、2億8千3百万円減少し、固定資産は、主に、のれんの償却2千8百万円減少したことにより、5千1百万円の減少となりました。
(負債)
負債は28億7千4百万円(前連結会計年度末33億2千6百万円)となり、4億5千1百万円減少しました。これは主に、流動負債で短期借入金2億8千4百万円、前受金1億7千5百万円減少によるものです。
(純資産)
純資産は42億9千万円(前連結会計年度末41億7千4百万円)となり、1億1千6百万円の増加となりました。これは当期の親会社株主に帰属する当期純利益1億5千7百万円の増加と配当金の支払4千5百万円が減少したことによります。この結果、自己資本比率は59.9%(前連結会計年度末は55.7%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が2億2千5百万円(前年同期比233.1%増)、売上債権の減少等の増加がありましたものの、たな卸資産、未収消費税等の増加や、短期借入金の返済により、前連結会計年度末に比べ1億4千1百万円減少し、当連結会計年度末には30億1千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2億9千6百万円(前年同期比833.4%増)となりました。これは主に、たな卸資産の増加2億5千9百万円、消費税の未収額1億4千7百万円等の増加による支出がありましたものの、税金等調整前当期純利益2億2千5百万円、売上債権の減少4億9千8百万円等の増加による収入によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は9千2百万円(前年同期は2千万円の増加)となりました。これは主に、本社新事務所の差入保証金8千3百万円の支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は3億4千7百万円(前年同期は2億9千万円の増加)となりました。これは主に、子会社の運転資金のための借入金の減少2億8千4百万円、配当金の支払4千5百万円の支出によるものです。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
システムソリューション3,219,60656.61,283,97459.6
ネットワークソリューション1,226,30375.8623,326127.1
電子部品及び機器6,091,656157.56,164,156122.6
合計10,537,56694.38,071,458105.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値に基づき算出しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.販売状況
当連結会計年度の販売状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
システムソリューション4,088,72089.2
ネットワークソリューション1,093,42976.6
電子部品及び機器4,957,371116.3
合計10,139,52198.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値に基づき算出しております
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
防衛省2,561,04424.92,576,02725.4

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は前年同期比1.3%減の101億3千9百万円となりましたが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言等の影響で旅費交通費、交際費等の経費が削減されたため、利益面では営業利益2億1千6百万円(前年同期比296.1%増)、経常利益2億2千6百万円(前年同期比314.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億5千7百万円(前年同期比276.0%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、システムソリューションにおいては中央省庁向け大型システムの案件が挙げられます。同システムの定期的な更新案件により売上高が大きく増加することがあるものの、大型案件は利益率が低いこと、また事業年度ごとに売上高の増減が激しくなり、収益基盤が安定していないことが課題です。モノを「買う」時代から「借りる」時代へと社会が大きく変化しているなかで、物販からサービス提供型のビジネスモデルへと変革を推し進め、収益の安定化を目指しております。
また、電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおける防衛省向け案件が挙げられます。防衛省向け案件は入札方式であるとともに、近年多年度に亘る契約案件が増えており、落札したとしても同年度中に売上に至らない場合があります。そのため同事業においても事業年度ごとの収益安定のため、民間向けの案件を増やしていくことが課題と捉えています。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
システムソリューション
システムソリューションにおきましては、総務省向けシステム更新の大型案件の減少により売上高は前期に比べ減少しましたが、利益率が高まったこと及び経費の減少により、営業利益は増加しました。
東日本でのビジネスにおいては、新たな注力事業分野として捉えるAI、IoT、VR/AR等のビジネスを拡大することを企図しておりますが、特にVR/ARビジネスが着実に成長しています。
西日本でのビジネスにおいては、従来の文教ビジネスに加えて、引き続き民間向けビジネスモデルの創出に注力しております。
また、「働き方改革」を推進し、テレワーク基盤の整備を目指して業務提携を行ったアセンテック株式会社との販売協力を通じて、システムソリューション事業のさらなる拡大及び新規ビジネス創出を目指しております。
ネットワークソリューション
ネットワークソリューションにおきましては、伝送・配信システムのビジネスにおいて主として衛星通信関連が低調で、売上高、営業利益ともに減少しました。
伝送・配信システムのビジネスにおいては、従来の衛星通信に加えて、インターネット経由でのビデオ配信への対応を早急に行うこと、また、企業内利用など新たな市場へ拡販していくことが課題である一方、動画コンテンツ事業者の増大に伴い、ビジネスチャンスは拡大しております。
FWA(固定無線アクセス)システムのビジネスにおいては、自治体向けに統合型防災情報配信システムの提案やサービスの拡販を推し進めるとともに、無人化施工システムの提案を民間大手ゼネコン等に展開します。また、5G通信関連や画像認識のビジネスにも注力するとともに、当社独自のソリューションで、高収益化の実現を目指すことが重要だと考えます。
電子部品及び機器
電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて防衛省向け案件が好調で、売上高、営業利益ともに増加しました。
防衛省向けビジネスは、前述のように入札方式であること、また、近年多年度に亘る契約案件が増えていることから、事業年度ごとの収益安定のため、民間向けの案件を増やしていくことが課題と捉えています。
なお、当社でも長年にわたり防衛装備機材の提供を行っておりますが、同ビジネスにつき2021年4月に株式会社エアロパートナーズへの編入を実施しております。
電子部品および材料のビジネスにおいては、新型コロナウイルスの感染症対策の背景も相まって、導電性接着剤が非接触カードの需要で大きく収益に貢献しました。
中国・香港でのビジネスにおいては、新型コロナウイルス感染拡大による顧客の生産・需要減の影響や政治要因もあり想定以上に不振となりました。今後の市場動向を見極め、適切な収益体制で臨むことが課題です。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
a.契約債務
2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(千円)
契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超
短期借入金287,000287,000---
リース債務17,14311,0686,075--

b.財政政策
当社グループの資金需要は、主に運転資金需要です。
運転資金需要のうち主なものは、当社グループにおいて商品の仕入の他、販売費及び一般管理費の営業費用に係るものです。商品の仕入については、当社グループは主に顧客からの受注後、個々の商品を発注する受注販売を原則としておりますので、顧客よりの債権の回収と仕入先への支払の時期の差や、個々の受注取引の額の大きさ、取引の集中度により資金需要の時期、量に変動が生じております。また、連結子会社である株式会社エアロパートナーズの主要仕入先は海外仕入先であり、支払が先行する場合が多く、資金需要を増加させる要因となっています。
当社グループは、堅固なバランスシートの維持、事業活動のための適切な流動性資産の維持と資金調達の安定性を財務方針とし、主たる資金需要である運転資金については、内部資金を活用しておりますとともに、増加運転資金の安定かつ効率的な調達を行うため、提出会社におきまして金融機関との間に当座貸越契約及び貸出コミットメント契約10億円を締結しております。(借入未実行残高10億円)また、グループ会社の資金需要については提出会社からの資金の貸出とグループ会社が独自に銀行借入を併用しております。そのために運転資金需要が減少した際には手持ち流動性が増加する場合がありますが、流動性資産の維持・安全性を優先しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。