有価証券報告書-第60期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/19 14:04
【資料】
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【項目】
143項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社(以下、当社グループ)が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、お客様のデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という)を実現する総合ITサービスを提供する企業グループとして、中堅中小企業を中心にこれまで多くのお客様のIT活用を支援してまいりました。これらの経験と実績をベースに、お客様の環境に合わせた最適なソリューション(課題解決策)の提案やサービスの提供を、グループ一体となって積極的に行っております。
また、今後企業として目指していく方向を明確にするため、社員による提案をもとに議論を進め、「創り出そう、躍動する社会を。挑戦しよう、技術とともに。」というビジョンを策定しております。グループ社員が一丸となってこのビジョンの実現を目指し、当社グループの持続的成長と企業価値の最大化を実現してまいります。
なお、世の中のIT活用の拡大に伴いお客様のさらなるビジネス成長への貢献に加え、当社は社会・環境課題を解決することで持続可能な社会を実現するSDGs(持続可能な開発目標)にも取り組んでまいります。当社が持つ最新技術を駆使しながら、お客様にとって最適なソリューションやサービスを提案・提供することで、お客様のSDGs目標達成を支援し、地域や社会の持続的成長にも貢献していきたいと考えております。
(2) 中長期的な経営戦略
企業のIT予算は増額基調で、DXのさらなる推進に加え、生成AIをはじめとするAI関連分野の製品やサービスへの投資が加速すると予想されております。このような環境の中、2024年4月より新たな中期経営計画「CHALLENGE 2026」をスタートしました。継続的な成長と高い収益性を実現するため、注力事業をクラウド、セキュリティ、超高速開発の3事業に洗練・集約し、それぞれの事業をさらに進化・深化することで事業構造の変革を加速させます。加えて、日々の業務で発生する様々なデータの活用や、AIの活用についても取り組みを進め、新たな価値の創出を目指します。
企業価値向上の実現に向け、変化への対応、継続的な成長、挑戦する文化の醸成に必要となる人財への投資として、人財戦略投資予算を過去3カ年累計実績の1.5倍にして進めてまいります。
また、事業戦略を実現するための人事制度改革として、技術部門におけるスキル特化型の高度技術専門職の導入や教育プログラムの包括的な提供により社員の育成やキャリア形成を支援する新たなフレームワークを策定いたしました。各施策を通じて、社員のモチベーションアップやイノベーション創出ができる企業風土の実現を目指します。
新たな技術へ挑戦し、お客様が“一番欲しいものを最速で”届けるべくビジネススピードをより一層高め、受託開発型から価値創造型企業へとシフトすることでさらなる成長を目指してまいります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、売上高及び営業利益の目標値を置くとともに、営業利益率についても常に注意を払って経営を行っております。また、資本効率を高め企業価値の向上を図っていくため、自己資本利益率(ROE)についても重要な指標として位置付けており、当連結会計年度におけるROEは15.5%と昨年度から1.4ポイント伸ばしております。なお、新中期経営計画初年度の2025年3月期は、ROEを16.2%とすることを目標としております。
<当社グループの当期実績、来期業績予想及び中期経営計画目標値>
2024年3月期実績2025年3月期業績予想2027年3月期業績目標
売上高65,194百万円66,500百万円72,000百万円以上
営業利益4,422百万円5,100百万円-
営業利益率6.8%7.7%10.0%以上
親会社株主に帰属する当期純利益3,187百万円3,590百万円-
自己資本利益率(ROE)15.5%16.2%17.0%以上

※この業績予想及び目標は、開示時に当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて策定したもの
であり、実際の業績等は今後さまざまな要因によって記載内容と異なる可能性があります。
(3) 対処すべき課題
IT業界を取り巻く経営環境の変化が一層厳しさを増している中、当社グループは持続的な企業価値向上と継続的な成長を目指すために、新中期経営計画「CHALLENGE 2026」を策定しました。IT市場は引き続き成長を見せておりますが、求められるソリューションやサービスも日々変化しております。このような状況に対応するために、当社は急速な技術の進化に適応し、お客様の企業価値向上、社会の発展、そしてIT業界の変革に貢献する価値創造に挑戦しております。
この目的を達成するためには、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するサービスのさらなる強化と、高度なスキルを持つ人財の育成、強化が対処すべき主要な課題となります。
① 注力事業の進化・深化
2024年4月より新たにスタートした中期経営計画「CHALLENGE 2026」において、さらなる事業構造の変革を推進するため、前中期経営計画「HARMONIZE 2023」の注力事業であった、クラウド、セキュリティ、超高速開発の3つの事業にデータ&AI活用を取り込むことで事業の進化・深化を図ってまいります。この取り組みを通じて、お客様のDXを力強く加速させる新たなサービス体系の展開を目指します。これらの高付加価値ビジネスを中心に、「価値創造型企業」に挑戦し続けるとともに、経営基盤を強化・高度化し、継続的な成長と高い収益性の実現を目指します。
② 人財の育成・強化
DXを実現するトータルITサービス「HARMONIZE」を推進することにより、お客様の企業規模が拡大し、要求も高度化・複雑化しております。これに応じて、専門性の強化とキャリア形成を支援する体系的な学びの場として「JBCCアカデミー」を新設しました。ここでは、社員が自ら考える中長期のキャリア・スキルアッププランに基づいて必要な最先端のスキルを選択し、習得できる環境を整えてまいります。
さらに高度なスキルを持つ社員を、従来の処遇体系とは別に「高度技術専門職」として認定する取り組みを開始しました。高度技術専門職者は、JBCCアカデミーの講師も担い、社員に最先端技術や業界・業種の専門知識について教育をし、スキル向上を図ります。この認定制度、教育体系により事業戦略を支える人財を創出し、お客様の経営課題を解決することで当社グループの企業価値向上を図ってまいります。
また、高度な専門的スキルを有したキャリア人財の採用を強化します。さらに、女性採用比率50%を目指すことにより、今後10年間で女性社員比率を30%以上、女性管理職比率を20%以上とすることを目標とします。ダイバーシティの推進を通じて当社グループの持続的な成長を目指してまいります。
③ 柔軟な働き方の推進
当社グループは「自ら考え、行動する人財の育成」という方針のもと、様々な人事制度改革に取り組んでまいりました。時間、場所、年齢にとらわれない多様な働き方の支援として、フルフレックスタイム、時間単位年休、短時間・短日数勤務等の導入、リモートワークを可能とするセキュリティ環境の導入、シニア社員の活躍支援として、匠プログラム(70歳までの雇用延長)や極プログラム(70歳以上の活躍の場)といった制度を導入しました。また、幅広く人脈を形成しスキルアップを図りたい社員への複業を推進し、誰もが働きがいを持ってその能力を有効に発揮することができる場を提供しております。
こうした人事制度「Style J」の定着を図ることで、自律的で自由度の高いフレキシブルな働き方を実現し、日々新たな挑戦ができる魅力ある企業を目指してまいります。
これら一連の対応が、当社グループの企業価値の持続的向上につながるものと考えております。