有価証券報告書-第47期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 9:18
【資料】
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【項目】
164項目

対処すべき課題


国内における医療機器業界を取り巻く環境は、社会保障関連費の財源問題などにより今後も償還価格は下落し、引き続き厳しい市場環境が継続すると想定しております。また、国は少子高齢化社会の到来による急速な人口構造の変化に伴う社会保障関係費の増加が避けられない状況下、単なる負担増と給付削減による現行制度の維持を目指すのではなく、世界最高の健康水準を維持すると同時に、保健医療分野における技術やシステムの革新を通じて、経済成長に寄与していくとの方向性を打ち出しており、当社に求められる役割も変化していくものと考えております。
一方、海外市場においては、販売が好調な米国市場で継続的に成長が期待され、引き続きビジネスの拡大が可能と考えております。
当社は、患者様のQOL向上に資する経営を行うべく、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて医療に貢献する」という経営理念のもと、2019年3月期(第47期)から2021年3月期(第49期)の3か年を実施期間とする中期経営計画「MODE2020」を策定しました。「MODE2020」は、中期経営方針として「オーガニック成長領域における収益力の強化と、戦略成長領域における基盤を確立するとともに、戦略実行体制の強化を図り、中長期的に利益の伴った持続的成長を実現する」を掲げ、その実現に向けた重点施策である「製品開発力・製造力の強化」、「海外ビジネスの拡大」、「日本市場における注力販売製品分野のシェア拡大」、「更なる効率化とSCM強化」を実行しております。
一方、日本国内で実施された償還価格引下げの影響や、「MODE2020」の連結業績予想の前提としている対ドル為替レートが1ドル106円から110円レベル(2019年3月末時点)へと円安水準になったことによる収益性低下の影響を極小化するために、売上原価(製造原価)の更なる低減に向け、欧州を中心としたコスト競争力のあるベンダーからの調達拡大や、米国子会社の自社製造能力拡大などによる売上原価低減を進めております。
「中期重点施策」
① 製品開発力・製造力の強化
製品開発力の強化について、適用症例拡大を目的とした製品ラインアップの拡充に加え、他社製品との差別化を図るため、米国子会社Ortho Development Corporation(以下「ODEV社」)との日米共同開発による付加価値の高い製品の開発に注力しております。なお、新たな取組として日本特殊陶業㈱が保有・新規開発する様々な表面加工技術などを活かした高付加価値商品や、より市場ニーズを反映した商品の導入によりビジネス拡大を目指しております。また、ODEV社の製造施設・設備を拡大・強化することにより製造力の強化に注力しております。
② 海外ビジネスの拡大
米国市場においては、リージョナルセールスマネージャー増員などによる販売体制の強化に加え、人工関節分野における新製品の導入、大腿骨頸部転子部骨折治療分野への新規参入によりビジネスの拡大を目指しております。中国市場においては、人工膝関節分野に注力する方針であり、2018年度にODEV社の上海子会社を設立し、販売提携先からの市場情報の収集やODEV社製品の拡販に必要なマーケティング支援を開始しております。更に、オーストラリアへの市場参入についても検討を進め、本中期経営計画期間中での販売開始を目指しております。
③ 日本市場における注力販売製品分野のシェア拡大
MODE2017に引き続き、大腿骨頸部転子部骨折治療分野、脊椎固定器具分野、人工股関節分野を注力販売製品分野と定めました。特に大腿骨頸部転子部骨折治療分野は2017年4月より特販部を新設し、大腿骨頸部転子部骨折治療材料の拡販に注力する体制を構築しております。なお、注力販売製品分野における付加価値の高い新製品導入に加え、日本特殊陶業㈱との業務提携で開発される新商品を導入することなどにより、更なるシェア拡大を目指しております。また、自社製品の付加価値を高めるために、手術支援システムなど周辺機器の調達も強化していきます。
④ 更なる効率化とSCM強化
国内の物流拠点は2015年度上半期に耐震性能に優れた新物流センターへ移転し、災害発生を踏まえた物流体制を構築しましたが、国内事業規模の拡大に伴う倉庫スペースの拡充に加え、物流関連業務効率化や、労働環境改善のためのレイアウト変更などに努めてまいりました。また、物流関連業務の効率化を更に進めるために、2018年4月1日付で組織改編を行い、新たにSCM本部を設け需給管理機能を一本化すること等により、医療工具の出荷効率やインプラント在庫の回転率を向上させるなど、効率的な物流オペレーションを追求しております。また、業務改善については、組織横断的な業務改善活動にも継続的に取り組み、様々な業務の効率化を実現してまいります。
文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。