有価証券報告書-第44期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 10:05
【資料】
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【項目】
113項目

対処すべき課題


医療機器業界を取り巻く国内環境は、少子高齢化社会の到来によって様々な変化が想定されます。国は、団塊世代が後期高齢者となる2025年を目途に、医療・福祉提供体制の再構築を進めております。医療機関の機能分化と、在宅を中心にした地域医療と介護の包括的なケア体制構築を中心に様々な施策が議論され実施されており、その変革のピークは2018年に来るだろうと考えられております。また、2018年は診療報酬と介護報酬の同時改定が行われる年でもあります。このような厳しい国家財政の下、償還価格についても大幅な引き下げが想定される為、企業努力による更なるコスト削減が必要になると考えております。
また、医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保する為、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、製造から販売、市販後の安全対策まで一貫した規制が強化される方向にある事から、これら規制強化への迅速な対応が求められております。
当社は、これら様々な課題に取り組む為、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて医療に貢献する」という経営理念のもと、平成28年3月期(第44期)から平成30年3月期(第46期)までの3ヵ年を実施期間とする中期経営計画「MODE2017~Step up to the next stage~」を策定しております。中期経営指針として「成長領域への積極投資を通じ新たなステージへ成長を加速させる。」を掲げ、下記「中期経営計画基本方針」の下、メーカーとしての成長を加速させ、日本国内のみならず、北米においても収益の伴った高成長を維持、成長と効率化を両立させ、顧客ニーズに対応した自社製品の開発導入、先端分野に関する情報収集強化、商品供給先の拡大による製品ラインアップの強化、自社製造能力拡大等による製造コストの更なる削減、品質管理強化、製造から販売、市販後まで一貫した安全管理体制の整備等を実施する事により、様々な課題に全社グループ一丸となり取組んで参ります。
「中期経営計画基本方針」
1.成長領域
① 開発、調達力の強化
成長領域における注力製品分野を定め、新製品の開発力向上に加え積極的に開発投資を行い、整形外科隣接分野では調達強化を図って参ります。
当社は、既存販売力の最大化を開発の基本方針とし、成長領域における注力製品分野を中心に日米を中心とした顧客ニーズを具現化すべく、ODEV社との共同開発を行って参ります。既存製品の適用症例の拡大、様々な市場ニーズに対応した製品の開発、自社製品ラインアップの拡充を図る事で、市場における優位性獲得に努めて参ります。また、自社開発による製品の拡充に加えて、他社との業務提携等による製品導入を引き続き積極的に推進して参ります。先端医療機器、及び隣接分野製品等の新規領域に関しては、日本、米国、欧州を中心に市場調査を継続的に実施し、市場性を見極めると共に業務提携先の選定、交渉を行い、製品導入および収益化を目指します。既存領域においては、自社で開発を行わない領域の製品について、業務提携による製品導入だけでなく、手術支援システムなど自社製品との相乗効果が発揮できる分野においても業務提携、製品導入の可能性を追求して参ります。
② 注力分野での国内市場シェアの拡大
成長領域における注力製品分野のシェアの拡大、安定基盤製品の拡販を図って参ります。
当該目標達成のため、国内営業体制については、営業所を4ブロック体制とし、きめ細かい顧客対応を図って参ります。またジョイント製品グループ及びスパイン製品グループを設置、東西に各チームを設置する事で専門性を重視した営業力強化を図って参ります。国内マーケティング体制については、トラウマ製品部、ジョイント製品部、スパイン製品部及び各部を総合的に統括するマーケティンググループを設置し、多種多様、高度化する市場ニーズへ迅速に対応して参ります。
当該国内体制のもと、当社の強みであるメーカーポジションを最大限に活用し、MDM/ODEVブランドの向上を目指して参ります。
③ 北米事業の拡大及び海外トレード事業の開発
北米での整形外科事業を中心に継続的に拡大して参ります。北米においても自社製造新製品の導入、及び、新規顧客の獲得等により、販売は順調に拡大しており、中核製品である人工膝関節に加え、人工股関節についても自社製造新製品が充実してきた事から、販売を一層拡大できると考えております。なお、米国での事業展開は先進医療への取り込みの目的も併せ持っており、更なるメーカー機能の強化にも繋がるものと考えております。
北米以外の海外展開につきましては、中国・オーストラリア市場を中心に北米子会社からの輸出ビジネスの可能性を継続的に追求して参ります。
2.効率化領域
① 更なるコスト効率化の実現
自社製造能力の拡大による製造コストの低減及びIT活用・業務プロセス見直しによる更なるコスト効率改善を図って参ります。
収益性改善に向けて、自社製品売上高比率を高めると同時に、ODEV社での自社製造拡大も進めて参ります。更に、製造原価の低減を実現する為に、既存調達先との交渉のみならず、国内・海外も含めた調達先多様化を促進し、国内における償還価格の引下げの影響や、円安による仕入原価増による収益性悪化を極小化すべく対処して参ります。
国内の物流拠点は地震災害への対策が必要との判断の下、平成27年度上半期中に耐震性能に優れた新物流センターへ移転し、災害発生を踏まえた物流体制を構築しました。一方で、医療工具の出荷効率やインプラント在庫の回転率を向上させる等、効率的な物流オペレーションを追求して参りますが、医療サービスとして必要な緊急出荷体制を整備する等、効率追求に過度に偏りすぎる事が無いよう顧客・医療ニーズに対応して参ります。なお、業務効率改善については、物流オペレーションの改善のみならず、その他様々な事務処理等についてもITを積極的に活用したプロセスの簡素化を継続的に進めて参ります。
文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。