四半期報告書-第21期第3四半期(2023/10/01-2023/12/31)

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2024/02/13 10:04
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45項目
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度の第3四半期連結累計期間においては、コロナショックからの脱却に伴う世界的な経済活動の活発化により景気回復に期待が寄せられる一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化、中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりによる不透明感、中国の不動産市況悪化と需要低迷、先進国で鈍化はしつつあるものの根強いインフレと各国中銀の金融引き締め継続により、世界経済への下押し圧力が続いており、今後の景気後退懸念を注視していく必要があります。
米国では、インフレ抑制を目指し、FRBが2022年3月~2023年7月に利上げを実施し、政策金利は5.25~5.50%となっています。FRBは2023年9月以降、4会合連続で金利を据え置いています。2024年の米国経済は前年より減速するものの、インフレ鈍化と堅調な雇用や消費を受け、ソフトランディングがメインシナリオになりつつあります。
欧州では、ECBが2024年1月の理事会で3会合連続の政策金利の据え置きを決定しました。ECBは2022年7月~2023年9月に10会合連続で累計4.5%の利上げを行いましたが、インフレが鈍化する中、急ピッチで進めてきた利上げの効果を見極める段階に入っています。欧州の第4四半期GDPは前年同期比0.1%増となっており、停滞が続いています。
中国の2023年の実質GDP成長率は、政府目標の+5%前後に対し+5.2%と目標を達成したものの減速しています。2023年12月に翌年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が開催され、経済の重点目標として、科学技術革新、内需拡大、対外開放、重点分野(不動産、地方債務、中小金融機関)におけるリスク予防・解消などが挙げられています。
アジアでは、欧米に加え中国などの海外市場の低迷を受け、成長率は減速傾向にあります。内需が下支えする一方で、一部の国では食料価格などの高騰を受け、インフレが再燃し、利上げに踏み切る国もありました。2024年の見通しは、ウクライナ、中東情勢などの地政学的リスクの高まりを受け、輸入価格上昇などによる物価上昇が懸念されます。
日本では、日米金利差を背景とする円安が進行し、輸入価格の上昇などから物価上昇が継続しています。名目賃金を示す現金給与総額は上昇しているものの、実質賃金の低下が続き、国内消費は足踏み状態が続いています。マイナス金利政策解除などの金融政策変更を要因とする急激な為替変動がありうる点には今後も留意が必要です。
当第3四半期連結累計期間の当社グループの経営成績につきましては、次のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間の収益は、石炭の価格下落や取扱数量減少による金属・資源・リサイクルでの減収に加え、各種化学品の取扱数量減少による化学での減収などにより、1兆7,881億15百万円と前年同期比7.1%の減収となりました。
売上総利益は、石炭の価格下落や取扱数量減少による金属・資源・リサイクルでの減益に加え、各種化学品の取扱数量減少や一過性の損失による化学での減益などにより、前年同期比210億80百万円減益の2,423億35百万円となりました。
税引前四半期利益は、売上総利益の減益に加え、連結子会社の新規取得などによる販売費及び一般管理費の増加により、前年同期比457億59百万円減益の996億94百万円となりました。
四半期純利益は、税引前四半期利益996億94百万円から、法人所得税費用222億74百万円を控除した結果、四半期純利益は前年同期比354億1百万円減益の774億19百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は、前年同期比335億16百万円減益の752億15百万円となりました。
四半期包括利益は、四半期純利益にFVTOCIの金融資産や在外営業活動体の換算差額などを計上した結果、四半期包括利益は、前年同期比243億52百万円減益の1,331億13百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期包括利益は、前年同期比218億63百万円減益の1,285億42百万円となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当社グループは、2023年4月1日付にて一部の報告セグメントの区分方法の変更を行っており、要約四半期連結財務諸表の注記事項「4 セグメント情報」に記載しております。
(以下「四半期純利益」は「親会社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しております。)
(自動車)
収益は、海外中古車販売事業の取得などにより、3,021億39百万円と前年同期比33.4%の増収となりました。売上総利益の増益があったものの、海外中古車販売事業の取得による販売費及び一般管理費の増加に加え、外貨金利上昇による金融費用の増加などにより、四半期純利益は、前年同期比41億5百万円減益の27億81百万円となりました。
(航空産業・交通プロジェクト)
収益は、航空機関連取引における減収などにより、307億66百万円と前年同期比38.2%の減収となりました。ビジネスジェット運航整備会社の取得などにより売上総利益の増益があったものの、航空機関連取引における金融収益の減少などにより、四半期純利益は、前年同期比9億32百万円減益の37億87百万円となりました。
(インフラ・ヘルスケア)
収益は、産業機械事業会社における収益の増加などにより、1,229億32百万円と前年同期比14.2%の増収となりました。売上総利益の増益があったものの、米国ガス火力発電事業の売却に伴う持分法による投資損益の減少などにより、四半期純利益は、前年同期比42億68百万円減益の95億71百万円となりました。
(金属・資源・リサイクル)
収益は、石炭の価格下落や取扱数量減少などにより、3,683億87百万円と前年同期比29.0%の減収となりました。売上総利益の減益などにより、四半期純利益は、前年同期比193億29百万円減益の289億92百万円となりました。
(化学)
収益は、各種化学品の取扱数量減少などにより、4,218億18百万円と前年同期比14.2%の減収となりました。また、一過性の損失による売上総利益の減益などにより、四半期純利益は、前年同期比30億93百万円減益の121億60百万円となりました。
(生活産業・アグリビジネス)
収益は、木材の価格下落や取扱数量減少などにより、2,050億72百万円と前年同期比21.7%の減収となりました。海外肥料事業での取扱数量増加などにより売上総利益の増益があったものの、販売費及び一般管理費の増加などにより、四半期純利益は、前年同期比21億22百万円減益の52億10百万円となりました。
(リテール・コンシューマーサービス)
収益は、商業施設の売却などにより、2,975億73百万円と前年同期比26.7%の増収となりました。売上総利益の増益に加え、冷凍マグロ加工販売会社の取得に伴う負ののれん発生益によるその他の収益・費用の増加などにより、四半期純利益は、前年同期比42億31百万円増益の113億78百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは861億92百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは255億13百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは1,433億23百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は2,232億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の営業活動による資金は、営業収入及び配当収入などにより861億92百万円の収入となりました。前年同期比では418億2百万円の収入減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の投資活動による資金は、ベトナム業務用食品卸会社、冷凍マグロ加工販売会社への出資があったものの、航空機関連取引や米国ガス火力発電事業の売却による回収などにより255億13百万円の収入となりました。前年同期比では717億79百万円の収入増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の財務活動による資金は、借入金の返済や自己株式の取得及び配当金の支払いなどにより1,433億23百万円の支出となりました。前年同期比では109億45百万円の支出増加となりました。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
通期連結業績の見通し
2024年3月期の連結業績見通しにつきまして、以下のとおり修正しました。
期初見通し
(A)
修正見通し
(B)
増減額
(B-A)
増減率
(%)
売上総利益3,200億円3,300億円100億円3.1%
税引前利益1,250億円1,300億円50億円4.0%
当期純利益1,000億円1,050億円50億円5.0%
当期純利益(当社株主帰属)950億円1,000億円50億円5.3%

石炭価格が引き続き高値で推移していることから、当期純利益(当社株主帰属)の通期見通しを50億円増益の1,000億円へ修正しました。
なお、上記見通しの前提条件として、第4四半期会計期間の為替レート(\/US$)は140円としております。
剰余金の配当
当社は、株主の皆さまに対して安定的且つ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させることを基本方針とし、経営の最重要課題と位置付けております。「中期経営計画2023」では、本基本方針に基づき連結配当性向を30%程度としております。また、各年度末時点でPBRが1倍未満の場合は、時価ベースのDOE(※1)4%を下限配当とし、PBRが1倍以上の場合は、簿価ベースのDOE(※2)4%を下限配当として設定しております。
(※1)時価ベースのDOE=1株当たり年間配当÷株価(各年度の終値年間平均)
(※2)簿価ベースのDOE=1株当たり年間配当÷1株当たり親会社所有者帰属持分(各年度末)
2024年3月期第3四半期連結業績及び2024年3月期の連結業績予想を踏まえ、期末配当(予想)につきましては、前回予想の65円から70円に修正(5円増配)致します。本修正に伴い、2024年3月期の1株当たり中間配当金(当期実績)65円を加えた2024年3月期の1株当たり年間配当予想額は135円となり、当期純利益(当社株主帰属)に対する連結配当性向は30.2%となります。
また、第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
特記事項はありません。
(5) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況についての分析
① 財政状態
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、円安の影響に加え、連結子会社の新規取得などにより、前期末比1,317億62百万円増加の2兆7,926億5百万円となりました。
負債合計は、円安の影響に加え、営業債務及びその他の債務が当第3四半期連結会計期間末の休日影響により増加したことなどにより、前期末比804億96百万円増加の1兆8,647億62百万円となりました。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、自己株式の取得や、配当金の支払いがあったものの、四半期純利益の積み上がりや、為替の変動によるその他の資本の構成要素の増加などにより、前期末比595億99百万円増加の8,973億12百万円となりました。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は32.1%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比472億92百万円増加の6,767億18百万円となり、ネット有利子負債倍率は0.8倍となりました。
※ 自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、親会社の所有者に帰属する持分を使用しております。
また、有利子負債総額にはリース負債を含めておりません。
② 資金の流動性と資金調達について
当社グループは、「中期経営計画2023」におきまして、従来と同様に資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針とし、一定水準の長期調達比率の維持や、経済・金融環境の変化に備えた十分な手元流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めており、当第3四半期連結会計期間末の流動比率は158.2%、長期調達比率は83.0%となっております。
長期資金調達手段の一つである普通社債につきましては、当第3四半期連結累計期間は発行しておりませんが、引き続き金利や市場動向を注視し、適切なタイミング、コストでの起債を検討してまいります。
また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円(未使用)及び25.75億米ドル(9.8億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を有しております。
(6) 主要な設備
特記事項はありません。
※将来情報に関するご注意
本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済環境、為替相場の変動など様々な要因により、大きく変動する可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。