有価証券報告書-第10期(平成26年3月1日-平成27年2月28日)

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2015/05/28 13:34
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における小売業を取り巻く経済環境は、政府の景気対策等の効果もあり緩やかな景気回復基調で推移いたしましたが、個人消費におきましては平成26年4月の消費税増税に伴う駆け込み需要とその反動に加え、天候不順等の影響により回復に遅れが見られました。
このような環境の中、当社グループは「変化への対応と基本の徹底」をスローガンとして、既存事業の更なる強化と「成長の第2ステージ」に向けた取り組みを推進いたしました。
既存事業におきましては、付加価値の高い商品の開発や地域特性に合わせた品揃えの強化、接客力の向上に取り組みました。また、グループのプライベートブランドである「セブンプレミアム」やグループ各社のオリジナル商品につきまして、新商品の開発を推進するとともに既存商品のリニューアルを実施し、品質の向上と新しい価値の提案を図りました。当連結会計年度における「セブンプレミアム」の売上高は8,150億円(前年同期比121.6%)となり、期初計画の8,000億円を上回りました。なお、グループ各社のオリジナル商品を含めた売上高は2兆6,500億円(前年同期比110.4%)となりました。
「成長の第2ステージ」に向けましては、グループ横断的な取り組みとしてオムニチャネル戦略を推進しております。当連結会計年度におきましては、当社および各事業会社におけるオムニチャネル推進部門の体制を強化するとともに、平成27年秋のオムニチャネルの本格稼動に向けた商品開発やECサイト等のシステムの構築、物流等の事業基盤の整備に注力いたしました。また、セブン-イレブン店舗におきまして「街の本屋」として書籍や雑誌の受け取りサービスを強化するとともに、株式会社ロフトや株式会社赤ちゃん本舗等の商品の受け取りサービスを推進いたしました。加えて、平成26年11月には、株式会社そごう・西武が運営するオンラインショッピングサイト「e.デパート」で取り扱っている靴の返品受付サービスを開始いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。
営業収益は、主にコンビニエンスストア事業の増収と通信販売事業の新規連結により6,038,948百万円(前年同期比107.2%)となりました。営業利益は、主にコンビニエンスストア事業と金融関連事業を中心に増益となり、343,331百万円(前年同期比101.1%)、経常利益は、341,484百万円(前年同期比100.7%)、当期純利益は、172,979百万円(前年同期比98.5%)となり、営業収益、営業利益、経常利益はそれぞれ過去最高の数値を更新いたしました。
株式会社セブン-イレブン・ジャパンと7-Eleven,Inc.における加盟店売上を含めた「グループ売上」は、10,235,664百万円(前年同期比106.6%)となりました。また、のれん償却前営業利益は362,226百万円(前年同期比101.1%)となりました。なお、当連結会計年度における海外子会社連結時の為替レートの影響により、営業収益が1,595億円、営業利益が35億円それぞれ押し上げられております。
なお、平成27年2月、新たな事業展開に向けた取り組みとして、当社の持分法適用関連会社であった株式会社バーニーズジャパンを完全子会社化いたしました。
当連結会計年度におけるセグメント別の営業概況は以下のとおりです。
① コンビニエンスストア事業
コンビニエンスストア事業における営業収益は2,727,780百万円(前年同期比107.8%)、営業利益は276,745百万円(前年同期比107.5%)となりました。
株式会社セブン-イレブン・ジャパンは平成26年3月に愛媛県へ出店地域を拡大するとともに、JR西日本グループおよびJR四国グループとの業務提携による出店を開始するなど、過去最高となる1,602店舗を出店した結果、当連結会計年度末時点の店舗数は43都道府県で17,491店舗(前期末比1,172店舗増)となりました。商品面では、ファスト・フード等のオリジナル商品の開発やリニューアルを積極的に推進するとともに、「セブンプレミアム」および「セブンゴールド」の品揃えを強化いたしました。また、同年3月に商品開発や店舗運営、店舗開発等が一体となった組織形態として「西日本プロジェクト」を設置し、地域のお客様の嗜好に合わせた商品開発を行うなど、これまで以上に地域に根ざした取り組みを推進いたしました。同プロジェクトの成果を受け、平成27年1月には西日本における取り組みを全地域に拡大する組織体制を構築いたしました。上質なセルフ式のドリップコーヒー「SEVEN CAFÉ(セブンカフェ)」につきましては、更なる品質の向上や2台目設置店舗の拡大により、当連結会計年度における累計販売数は期初販売目標を大幅に上回る7億杯となりました。加えて、平成26年10月には「セブンカフェ」との親和性の高い「SEVEN CAFÉ Donut(セブンカフェ ドーナツ)」の発売を関西地区の店舗より開始し、当連結会計年度末時点の導入店舗数は約3,200店舗となりました。これらの結果、既存店売上伸び率は平成24年8月以来31ヶ月連続で前年を上回って推移いたしました。また、直営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は4,008,261百万円(前年同期比106.0%)となりました。
北米の7-Eleven,Inc.は平成26年12月末時点で8,297店舗(前年同月末比5店舗増)を展開しております。店舗面では、都市部への出店を推進するとともに、店舗毎の収益性を重視し既存店や買収店の一部を閉店および売却いたしました。営業を継続する買収店におきましては7-Eleven店舗への改装を積極的に実施し、商品とサービスの拡充に注力いたしました。販売面では、ホットフードなどのファスト・フード商品やプライベートブランド商品「セブンセレクト」の開発および販売に注力したことなどにより、当連結会計年度におけるドルベースの米国内既存店商品売上伸び率は前年を上回って好調に推移いたしました。なお、直営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は、商品売上が伸長したことなどにより、2,834,464百万円(前年同期比107.3%)となりました。
中国におきましては、平成26年12月末時点で北京市に175店舗、天津市に60店舗、四川省成都市に66店舗を運営しております。
② スーパーストア事業
スーパーストア事業における営業収益は2,012,176百万円(前年同期比100.1%)、営業利益は19,340百万円(前年同期比65.2%)となりました。
株式会社イトーヨーカ堂は当連結会計年度末時点で181店舗(前期末比2店舗増)を運営しております。販売面におきましては「セブンプレミアム」等の差別化商品の販売を強化したことに加え、地域特性に合わせた品揃えに対応するため、北海道や東北地域、西日本地域においてグループ力を活用した品揃えや店舗運営に注力するとともに、平成27年1月には各地域における商品開発と仕入機能を強化することを目的とした組織変更を実施いたしました。また、同年2月には前期に資本・業務提携を実施した株式会社バルスと共同開発したインテリアショップである「BON BON HOME(ボンボンホーム)」の1号店をイトーヨーカドー店内に開店するなど新しい取り組みも推進いたしました。店舗面におきましては、平成26年11月にグループの総力を結集した「グランツリー武蔵小杉」を開店いたしました。セレクトショップ等の有力テナントを誘致するとともに、イトーヨーカドーの直営売場におきましては生鮮食品の対面販売コーナーやデリカテッセンを強化した食品売場に加え、衣料品のプライベートブランドをショップ化し専門店ゾーンで展開するなど、新しい試みに挑戦いたしました。しかしながら、当連結会計年度の既存店売上伸び率は、消費税増税前の駆け込み需要の反動減や天候不順の影響等により前年を下回りました。
国内の食品スーパーは、当連結会計年度末時点で株式会社ヨークベニマルが南東北および北関東地方を中心に200店舗(前期末比7店舗増)、株式会社ヨークマートが首都圏に76店舗(前期末比2店舗増)を運営しております。株式会社ヨークベニマルは「生活提案型食品スーパー」を目指し、生鮮食品や「セブンプレミアム」をはじめとする差別化商品の開発および販売を強化した結果、既存店売上伸び率は前年を上回りました。また、即食・簡便のニーズが高まる中、子会社の株式会社ライフフーズが平成25年3月より稼動している新工場により商品開発力を強化し、ヨークベニマル店舗の改装に合わせて売場の拡充を図るとともに、様々な生活シーンに応じた惣菜のメニュー提案を推進いたしました。
国内でベビー・マタニティ用品を販売する株式会社赤ちゃん本舗は、当連結会計年度末時点で99店舗(前期末比6店舗増)を運営しております。
中国におきましては、平成26年12月末時点で北京市に総合スーパー6店舗、四川省成都市に総合スーパー6店舗をそれぞれ展開しております。
③ 百貨店事業
百貨店事業における営業収益は875,027百万円(前年同期比100.4%)、営業利益は7,059百万円(前年同期比107.1%)となりました。なお、のれん償却前営業利益は12,342百万円(前年同期比103.9%)となりました。
株式会社そごう・西武におきましては、「リミテッドエディション」を中心とした自主企画商品および自主編集売場の拡大を進めるとともに、百貨店ならではの質の高い接客と、ファッションアドバイザーなどの専門販売員によるトータルアドバイス機能の拡充を図りました。また、平成26年11月には「グランツリー武蔵小杉」に衣料・雑貨・靴・アクセサリーを展開する「西武・そごう武蔵小杉ショップ」を出店し、ライブ中継機能を活用して近隣店舗の商品を提案する「ライブショッピングサービス」等の新しいサービスに挑戦いたしました。当連結会計年度における既存店売上伸び率は、消費税増税前の駆け込み需要に伴いラグジュアリーブランドや美術・宝飾品の販売が伸長したことに加え、同年4月よりカード会員向けに食品のポイント付与サービスを開始したことなどにより食品の売上が好調に推移した結果、前年を上回りました。
生活雑貨専門店を展開する株式会社ロフトは、当連結会計年度末時点で94店舗(前期末比5店舗増)を運営しております。
④ フードサービス事業
フードサービス事業における営業収益は80,980百万円(前年同期比103.1%)、人件費等の経費の増加により営業利益は44百万円(前年同期比7.3%)となりました。
株式会社セブン&アイ・フードシステムズにおきましては、レストラン事業部門が当連結会計年度末時点で474店舗(前期末比4店舗増)を運営しております。当連結会計年度におけるレストラン事業部門の既存店売上伸び率は、質を高めたメニューが好調に推移したことや接客力の向上などにより前年を上回りました。
⑤ 金融関連事業
金融関連事業におきましては、営業収益は178,221百万円(前年同期比112.2%)、営業利益は47,182百万円(前年同期比105.1%)となりました。
株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点のATM設置台数は、主に株式会社セブン-イレブン・ジャパンの積極的な出店に加え、空港や駅構内、商業施設等へのATM設置の拡大により前年度末比1,545台増の20,939台となりました。当連結会計年度中のATM1日1台当たり平均利用件数は、一部提携銀行の顧客手数料有料化の影響等により101.2件(前年同期比7.2件減)となりましたが、ATM設置台数の増加に加え、預貯金金融機関の取引件数が伸長したことにより、総利用件数は増加いたしました。
カード事業会社2社におきましては、クレジットカード事業、電子マネー事業とも好調に推移いたしました。クレジットカード事業におきましては、株式会社セブン・カードサービスが発行する「セブンカード/セブンカード・プラス」と、株式会社セブンCSカードサービスが発行する「クラブ・オン/ミレニアムカード セゾン」の取扱高はショッピングを中心に前年を上回って推移いたしました。電子マネー事業におきましては、株式会社セブン・カードサービスが「nanaco」のグループ内外への拡大を積極的に推進した結果、当連結会計年度末時点の発行総件数は3,717万件(前期末比878万件増)となり、利用可能店舗数は約167,700店舗(前期末比約24,800店舗増)となりました。
⑥ 通信販売事業
通信販売事業における営業収益は185,802百万円、主に売上の苦戦と販売管理費の増加により7,521百万円の営業損失となりました。
株式会社ニッセンホールディングスは、収益性の改善に努めるとともにグループシナジー効果の実現に向けた取り組みを進めました。当連結会計年度におきましては、グループ各社の店頭におけるニッセンカタログの配布に加え、イトーヨーカドー店内にインテリアショールームを導入いたしました。
⑦ その他の事業
その他の事業におきましては、営業収益は53,897百万円(前年同期比106.7%)、営業利益は株式会社セブン&アイ・ネットメディアにおいて前年度に発生したネット事業の強化に伴う先行費用が減少したことなどにより3,669百万円(前年同期比169.4%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ79,329百万円増加したことにより、1,000,762百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、416,690百万円の収入(前年同期比91.7%)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が310,195百万円、減価償却費が172,237百万円となりましたが、法人税等の支払額が146,400百万円となったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、270,235百万円の支出(前年同期比94.3%)となりました。これは、店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出が276,351百万円となったことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、79,482百万円の支出(前年同期比143.9%)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が97,538百万円となったことや、配当金の支払額が63,150百万円となったことなどによるものであります。