有価証券報告書-第9期(平成25年3月1日-平成26年2月28日)

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2014/05/27 12:11
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における小売業を取り巻く経済環境は、政府の景気対策等により回復の動きがみられたものの、個人消費におきましては食料品や生活用品等の日常的な消費に関して引き続き楽観視できない状況で推移いたしました。
このような環境の中、当社グループは「変化への対応と基本の徹底」をスローガンに、既存事業の更なる強化と新たな事業展開に向けた取り組みを推進いたしました。
既存事業の更なる強化につきましては、差別化商品の開発に加え、接客の強化にも取り組みました。さらに、グループシナジー効果の最大化に向け、グループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」のリニューアルを推進するとともに、専門店、繁盛店と同等以上の品質を追求した「セブンゴールド」の開発および販売にも注力いたしました。特に「セブンゴールド」の「金の食パン」は、年間で3,000万食を超える販売となるなど、お客様から高いご支持をいただきました。これらの結果、当連結会計年度における「セブンプレミアム」の売上高は6,700億円(前年同期比136.7%)にまで拡大し、期初計画の6,500億円を上回りました。なお、グループ各社のオリジナル商品を含めた売上高は2兆4,000億円(前年同期比117.8%)となりました。
また、当社は当連結会計年度下期より、グループにおけるリアル店舗とネットをシームレスに連携させながらお客様にアプローチしていくオムニチャネル戦略に向けた取り組みを開始いたしました。当社グループは国内で約18,000店の店舗ネットワークを持ち、コンビニエンスストア、総合スーパー、食品スーパーマーケット、百貨店、専門店、レストランなど様々な業態を擁しております。これらの店舗とネットを融合させることで、「いつでも」「どこでも」様々な商品やサービスを提供していくことにより今後の更なる成長を目指してまいります。当連結会計年度下期においては、オムニチャネルに必要なインフラやグループとして提供すべきサービス機能などの洗い出しを行いました。また、当社グループにおけるオムニチャネル戦略推進の中心的役割を担う会社を明確にするとともに当該戦略を強力に推進するべく、平成26年3月1日を効力発生日として株式会社セブン&アイ・ネットメディアを存続会社とし、株式会社セブンネットショッピングを消滅会社とする吸収合併を実施いたしました。
新たな事業展開に向けた取り組みにつきましては、グループの企業価値を一層高めるため、以下のとおり資本業務提携をいたしました。
平成25年7月、株式会社イトーヨーカ堂は北海道地区での食品小売分野の事業基盤強化を図るため、帯広市を中心として地域に密着した食品スーパーマーケットを展開している株式会社ダイイチとの業務・資本提携をいたしました。さらに、同年12月には株式会社イトーヨーカ堂が岡山県・広島県において総合スーパーおよび食品スーパーマーケットを展開している株式会社天満屋ストアとの資本提携に合意し、平成26年1月に株式を取得いたしました。これらの結果、両社は当社の持分法適用関連会社となりました。
平成25年12月、当社および株式会社セブン&アイ・ネットメディアが株式会社ニッセンホールディングスと資本業務提携に合意いたしました。株式会社セブン&アイ・ネットメディアは、平成26年1月、株式会社ニッセンホールディングスの普通株式に対する公開買付けを終了するとともに、株式会社ニッセンホールディングスによる第三者割当増資により新規発行株式を取得しました。これらの結果、株式会社ニッセンホールディングスは当社の連結子会社となりました。なお、当連結会計年度の連結決算においては、貸借対照表のみを連結しております。
また、平成25年12月、当社はファッション性の高い家具やインテリア雑貨を扱う「Francfranc」などを運営する株式会社バルスとの間で資本業務提携に合意し、平成26年1月に株式を取得いたしました。さらに、同年1月、当社は「BARNEYS NEW YORK」のオリジナルブランドと世界のデザイナーブランドで構成されるスペシャリティストアである株式会社バーニーズジャパンの株式を取得いたしました。これらにより、両社は当社の持分法適用関連会社となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。
営業収益は、コンビニエンスストア事業と金融関連事業が牽引し5,631,820百万円(前年同期比112.8%)となりました。営業利益は、主にコンビニエンスストア事業と金融関連事業の増益により339,659百万円(前年同期比114.9%)、経常利益は、339,083百万円(前年同期比114.6%)、当期純利益は、175,691百万円(前年同期比127.3%)となり、それぞれ過去最高の数値を更新いたしました。なお、営業利益は3期連続増益となり、国内小売業では初の3,000億円を突破いたしました。
また、当連結会計年度における円安による押し上げ影響は、営業収益におきまして約3,718億円、営業利益におきまして約74億円となりました。加えて、株式会社セブン-イレブン・ジャパンと7-Eleven,Inc.におけるチェーン全店売上を含めた「グループ売上」は、9,597,882百万円(前年同期比112.8%)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の営業概況は以下のとおりです。
① コンビニエンスストア事業
コンビニエンスストア事業における営業収益は2,529,694百万円(前年同期比133.2%)、営業利益は257,515百万円(前年同期比116.1%)となりました。
国内事業におきましては、株式会社セブン-イレブン・ジャパンが、平成25年3月に徳島県と香川県へ出店地域を拡大するなど過去最高となる1,579店舗を出店した結果、当連結会計年度末時点の店舗数は42都道府県で16,319店舗(前期末比1,247店舗増)となりました。また、商品面では「近くて便利」なお店の進化に向けて、お客様の求める品質とおいしさにこだわったファスト・フード商品の開発に注力するとともに、「セブンプレミアム」および「セブンゴールド」の品揃えを強化いたしました。さらに、上質なセルフ式のドリップコーヒー「SEVEN CAFÉ(セブンカフェ)」を同年9月までに全店舗に導入し、同年1月から平成26年2月末時点の累計販売数は4億5千万杯を突破いたしました。「SEVEN CAFÉ(セブンカフェ)」は「コンビニエンスストアでコーヒーを買う」という新たな消費行動が根付いたことが高く評価され、日本経済新聞社の「2013年日経優秀製品・サービス賞」の最優秀賞を受賞いたしました。
これらの結果、既存店売上伸び率は前年を上回って好調に推移し、平成24年8月以来19ヶ月連続でプラスとなりました。自営店と加盟店の売上を合計した国内チェーン全店売上は3,781,267百万円(前年同期比107.8%)となりました。
北米事業におきましては、7-Eleven,Inc.が平成25年12月末時点でフランチャイズ店の6,219店舗(前年同月末比349店舗増)を含む8,292店舗(前年同月末比174店舗増)を展開しております。販売面では、ファスト・フード商品やプライベートブランド商品「7-Select」の開発および販売に引き続き注力したことに加え、ノンアルコール飲料やアルコール飲料等の売上が伸長したことなどにより、当連結会計年度におけるドルベースの米国内既存店商品売上伸び率はプラスとなりました。なお、チェーン全店売上は、ガソリン売上の伸長もあり2,641,180百万円(前年同期比142.6%)となりました。
中国事業におきましては、平成25年12月末時点で北京市に150店舗、天津市に56店舗、四川省成都市に79店舗を運営しております。
② スーパーストア事業
スーパーストア事業における営業収益は2,009,409百万円(前年同期比100.7%)、営業利益は29,664百万円(前年同期比116.4%)となりました。
国内の総合スーパーストア事業におきましては、株式会社イトーヨーカ堂が当連結会計年度末時点で179店舗(前期末比5店舗増)を運営しております。大型ショッピングセンター「Ario(アリオ)」の3店舗に加え、小型スーパーマーケット「食品館」を3店舗、ディスカウントストアの「ザ・プライス」を3店舗の合計9店舗を開店した一方、4店舗を閉店いたしました。販売面においては衣料品分野で、婦人ファッション「GALLORIA(ギャローリア)」等のプライベートブランド商品の開発を推進するとともに、メディアを活用したプロモーションや接客の強化に努めました。また、食品分野では、安全・安心な商品を提供するとともに、「セブンプレミアム」や上質な商品の品揃えを強化いたしました。当連結会計年度の既存店売上伸び率は天候影響や販促方法の見直しなどにより前年割れとなりましたが、値下げロスの低減やプライベートブランド商品の売上伸長に伴う荒利率の改善などにより収益性は改善いたしました。
国内の食品スーパーストア事業は、当連結会計年度末時点で株式会社ヨークベニマルが南東北および北関東地方を中心に193店舗(前期末比9店舗増)、株式会社ヨークマートが首都圏に74店舗(前期末比3店舗増)を運営しております。株式会社ヨークベニマルは「生活提案型食品スーパー」を目指し、生鮮食品とデリカテッセンの強化に加え、「セブンプレミアム」をはじめとする差別化商品の開発を推進した結果、既存店売上伸び率は前年を上回りました。また、子会社の株式会社ライフフーズにおいて新工場が平成25年3月より稼動し、即食・簡便のニーズが高まる中、様々な生活シーンに応じた惣菜のメニュー提案を強化いたしました。
国内でベビー・マタニティ用品を販売する株式会社赤ちゃん本舗は、当連結会計年度末時点で93店舗(前期末比1店舗増)を運営しております。
中国事業におきましては、平成25年12月末時点で北京市に総合スーパー9店舗、四川省成都市に総合スーパー5店舗をそれぞれ展開しております。
③ 百貨店事業
百貨店事業における営業収益は871,132百万円(前年同期比98.5%)、営業利益は6,590百万円(前年同期比82.1%)となりました。
株式会社そごう・西武は、「リミテッドエディション」を中心とした自主企画商品および自主編集売場の取り組みを強化するとともに、サービス面においても、商品に関する高い専門知識を持った販売員の増員やお客様のニーズに合った質の高い接客と専門資格者によるトータルアドバイス機能の拡充を図りました。既存店売上伸び率は、ラグジュアリーブランドや美術・宝飾品が好調に推移したことにより前年を上回り、営業利益は増益を確保いたしました。
生活雑貨専門店を展開する株式会社ロフトは、当連結会計年度末時点で89店舗(前期末比7店舗増)を運営しております。
④ フードサービス事業
フードサービス事業における営業収益は78,566百万円(前年同期比100.3%)、営業利益は604百万円(前年同期比83.7%)となりました。
株式会社セブン&アイ・フードシステムズにおきましては、レストラン事業部門が当連結会計年度末時点で470店舗(前期末比6店舗減)を運営しております。レストラン事業部門の既存店売上伸び率は、付加価値の高いメニューの強化や接客力の向上などが奏功したことにより前年を上回って好調に推移いたしましたが、一時的な費用が発生したことにより営業利益は前年を下回りました。
⑤ 金融関連事業
金融関連事業におきましては、営業収益は158,826百万円(前年同期比110.0%)、営業利益は44,902百万円(前年同期比120.0%)となりました。
株式会社セブン銀行は、当連結会計年度末時点のATM設置台数が19,394台(前期末比1,472台増)まで拡大いたしました。当連結会計年度中の1日1台当たり平均利用件数は、108.4件(前年同期比2.8件減)となりましたが、ATM設置台数の増加に加え、預貯金金融機関の取引件数が伸長したことにより、総利用件数は着実に増加いたしました。
クレジットカード事業におきましては、株式会社セブン・カードサービスが発行する「セブンカード」の当連結会計年度末の会員数が350万人(前期末比13万人増)、株式会社セブンCSカードサービスが発行する「クラブ・オン/ミレニアムカード セゾン」の当連結会計年度末の会員数が328万人(前期末比7万人増)となりました。
電子マネー事業におきましては、株式会社セブン・カードサービスが「nanaco」のグループ内外への拡大を積極的に推進した結果、当連結会計年度末時点の発行総件数は2,839万件(前期末比694万件増)となり、利用可能店舗数は約142,900店舗(前期末比約21,900店舗増)となりました。
⑥ 通信販売事業
平成26年1月より、当社の連結子会社となった株式会社ニッセンホールディングスは、通信販売事業を中核とし、中期経営計画「Nissen Vision 50」に基づき、顧客支持ナンバーワン戦略・次世代One-to-One戦略・バリューリーダーMD戦略・オープンユーザビリティ戦略・M&A+アライアンス戦略の5つの成長戦略に沿った取り組みを展開し、個々のお客様にとってのベストセレクションを最適な環境で提供できるように鋭意取り組みを進めました。
⑦ その他の事業
その他の事業におきましては、営業収益は50,492百万円(前年同期比100.6%)、営業利益は2,166百万円(前年同期比55.7%)となりました。
IT/サービス事業では、株式会社セブン&アイ・ネットメディアが株式会社セブンネットショッピングと平成26年3月1日に合併し、オムニチャネル戦略を強力に推進する体制を整備いたしました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ121,344百万円増加したことにより、921,432百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、454,335百万円の収入(前年同期比116.1%)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が311,230百万円、減価償却費が147,379百万円となったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、286,686百万円の支出(前年同期比84.1%)となりました。これは、店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出が274,531百万円、投資有価証券の取得による支出が110,584百万円となったことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、55,227百万円の支出(前年同期は10,032百万円の収入)となりました。これは、当社における社債の発行による収入が99,700百万円ありましたが、配当金の支払額が58,270百万円となったことや、長期借入金の返済による支出が124,436百万円となったことなどによるものであります。