有価証券報告書-第12期(平成28年3月1日-平成29年2月28日)

【提出】
2017/05/26 13:49
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128項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における小売業を取り巻く経済環境は、政府の景気対策等の効果もあり緩やかな景気回復基調で推移したものの、個人消費におきましては依然として先行き不透明な状況が続き、お客様の選別の目はより厳しさを増しております。
このような環境の中、当社グループにおきましては、「変化への対応と基本の徹底」を経営スローガンに掲げ、様々な社会環境の変化やお客様の心理変化を捉え、付加価値の高い商品や地域の嗜好に合わせた商品の開発を推進するとともに、接客力の向上に取り組んでまいりました。
グループのプライベートブランド商品である「セブンプレミアム」やグループ各社のオリジナル商品につきましては、新商品の開発を推進するとともに、既存商品のリニューアルを積極的に実施することで、品質の更なる向上と新しい価値の提案を図りました。なお、当連結会計年度における「セブンプレミアム」の売上は1兆1,500億円(前年同期比114.9%)、セブンプレミアムを含めたグループのオリジナル商品売上は3兆2,000億円(同106.7%)となりました。
当社グループのオムニチャネル戦略につきましては、グループ統合ポータルサイト「omni7(オムニセブン)」における商品力の強化を図りました。また、Eコマースを中心に不特定多数のお客様にアプローチする戦略から、国内のグループ店舗に日々来店される2,200万人のお客様に焦点を当てた戦略に変更し、各社共通のポイントプログラムなどが利用可能なスマートフォン用アプリケーションの開発に着手いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。
営業収益は金融関連事業が増収となったものの、為替レート変動に伴う円高の影響により2,109億円減少したことに加え、スーパーストア事業、百貨店事業、通信販売事業の減収により5,835,689百万円(前年同期比96.5%)となりました。
営業利益は、為替レート変動に伴う影響により75億円減少したものの、コンビニエンスストア事業やスーパーストア事業および金融関連事業の増益により364,573百万円(前年同期比103.5%)、経常利益は364,405百万円(前年同期比104.1%)となり、それぞれ6期連続で過去最高の数値を達成いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益は、主にスーパーストア事業と百貨店事業の店舗に係る減損損失や、百貨店事業に係るのれんの減損損失等を含む特別損失を計上したことにより96,750百万円(前年同期比60.1%)となりました。
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと7-Eleven, Inc.における加盟店売上を含めた「グループ売上」は10,621,530百万円(前年同期比99.2%)となりました。
当連結会計年度における事業部門別の営業概況は以下のとおりです。
① コンビニエンスストア事業
コンビニエンスストア事業における営業収益は2,550,640百万円(前年同期比95.3%)、営業利益は313,195百万円(前年同期比103.0%)となりました。
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、当連結会計年度末時点で19,422店舗(前期末比850店舗増)を展開しております。店舗におきましては、質の向上を図るべく積極的な立地移転を実施するとともに、新規出店における基準をより厳しく見直しました。商品におきましては、サンドイッチやフライヤーなどの基本商品の積極的なリニューアルを実施し、更なる品質向上に取り組んだことにより販売は好調に推移いたしました。これらの結果、既存店売上伸び率は平成24年8月以来55ヶ月連続でプラスとなりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は4,515,605百万円(前年同期比105.2%)となりました。
北米の7-Eleven, Inc.は、平成28年12月末時点で8,707店舗(前年同月比207店舗増)を展開しております。店舗におきましては、都市部への出店を推進するとともに、収益性を重視して既存店舗や買収店舗の一部を閉店いたしました。また、平成28年7月には米国CST Brands社の店舗取得に加え、同年9月よりカナダImperial Oil社の店舗を段階的に取得いたしました。商品におきましては、ファスト・フード商品やプライベートブランド商品「セブンセレクト」の開発および販売に引き続き注力したことに加え、ソフトドリンクやアルコール飲料等の売上が伸長いたしました。これらの結果、当連結会計年度におけるドルベースの米国内既存店商品売上伸び率は前年度を上回って推移いたしましたが、為替レート変動に伴う影響により、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は2,735,199百万円(前年同期比92.7%)となりました。
中国におきましては、平成28年12月末時点で北京市に219店舗、天津市に82店舗、成都市に67店舗を運営しております。
② スーパーストア事業
スーパーストア事業における営業収益は2,025,534百万円(前年同期比98.3%)、営業利益は22,903百万円(前年同期比316.6%)となりました。
国内の総合スーパーである株式会社イトーヨーカ堂は、当連結会計年度末時点で171店舗(前期末比11店舗減)を運営しております。店舗におきましては、食品館の3店舗と「セブンパーク アリオ柏」の計4店舗を出店いたしました。また、テナントミックスによる売場構成の見直しや15店舗の閉鎖等の事業構造改革を実施いたしました。商品におきましては、個店・地域特性に合わせた品揃えや、「セブンプレミアム」などの差別化商品の販売を強化いたしました。当連結会計年度における既存店売上伸び率は前年度を下回りましたが、販促費の抑制や荒利率の改善、衣料品の在庫適正化等により収益性は大幅に改善いたしました。
国内の食品スーパーにおきましては、当連結会計年度末時点で株式会社ヨークベニマルが南東北地方を中心に213店舗(前期末比8店舗増)、株式会社ヨークマートが首都圏を中心に78店舗(同2店舗増)を運営しております。株式会社ヨークベニマルは、生鮮食品の販売を強化するとともに、子会社の株式会社ライフフーズによる即食・簡便のニーズに対応した惣菜の品揃えを強化し、安全・安心・味・品質にこだわった商品で差別化を図りました。これらの結果、当連結会計年度における既存店売上伸び率は前年度を上回りました。
ベビー・マタニティ用品を販売する株式会社赤ちゃん本舗は、当連結会計年度末時点で106店舗(前期末比3店舗増)を運営しております。
中国における総合スーパーは、平成28年12月末時点で成都市に6店舗、北京市に2店舗を展開しております。
③ 百貨店事業
百貨店事業における営業収益は852,174百万円(前年同期比96.3%)、営業利益は3,672百万円(前年同期比95.8%)となりました。
株式会社そごう・西武は、当連結会計年度末時点で19店舗(前期末比4店舗減)を運営しております。販売におきましては、百貨店ならではの質の高い接客とビューティーアドバイザー等の専門販売員によるトータルアドバイス機能の強化を図りました。しかしながら、当連結会計年度における既存店売上伸び率は、衣料品を中心に売上が伸び悩み前年度を下回りました。店舗におきましては、事業構造改革に基づき平成29年2月末までに「そごう柏店」、「西武旭川店」、「西武八尾店」、「西武筑波店」の4店舗を閉店するとともに、平成28年10月に要員の適正化を図るべく希望退職を実施いたしました。
生活雑貨専門店を展開する株式会社ロフトは、当連結会計年度末時点で109店舗(前期末比7店舗増)を運営しております。
④ フードサービス事業
フードサービス事業における営業収益は82,562百万円(前年同期比98.5%)、営業利益は515百万円(前年同期比56.2%)となりました。
株式会社セブン&アイ・フードシステムズは、当連結会計年度末時点で815店舗(前期末比36店舗減)、内レストラン事業部で386店舗(同3店舗減)を運営しております。当連結会計年度におけるレストラン事業は、客単価は回復傾向だったものの、客数の伸び悩みにより既存店売上伸び率は前年度を下回りました。
⑤ 金融関連事業
金融関連事業における営業収益は201,932百万円(前年同期比104.9%)、営業利益は50,130百万円(前年同期比100.9%)となりました。
株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点のATM設置台数は、主に株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの積極的な出店に伴い前年度末比965台増の23,353台まで拡大いたしました。また、当連結会計年度中のATM1日1台当たり平均利用件数は、一部提携銀行の顧客手数料有料化や日本銀行による「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入に伴う消費マインドの変化等により95.6件(前年同期比3.6件減)となりましたが、ATM設置台数の増加に伴い期間総利用件数は前年度を上回りました。
カード事業会社におきましては、株式会社セブンCSカードサービスがそごう・西武店舗の一部閉店等により取扱高が減少しましたが、株式会社セブン・カードサービスはクレジットカード事業、電子マネー事業ともに、取扱高が増加するなど順調に推移いたしました。
⑥ 通信販売事業
通信販売事業における営業収益は139,226百万円(前年同期比87.7%)、営業損失は15,097百万円となり、前連結会計年度と比べて6,645百万円の損失拡大となりました。
当社は、平成28年11月1日に完全子会社である株式会社セブン&アイ・ネットメディアの株式交換により、株式会社ニッセンホールディングスを完全子会社化し、構造改革を推進いたしました。なお、株式会社ニッセンホールディングスは、当連結会計年度より決算期末日を12月20日から2月末日に変更し、当期は14ヶ月決算となりました。
⑦ その他の事業
その他の事業における営業収益は57,424百万円(前年同期比93.2%)、営業利益は4,632百万円(前年同期比83.3%)となりました。
⑧ 消去および当社
当社グループで取り組んでいるオムニチャネル戦略におきましては、グループ全体に係る費用としてシステムに係る運用保守費やソフトウェアに係る減価償却費等を、消去および当社(調整額)にて計上しております。当セグメントにおける営業損失は15,379百万円となり前連結会計年度と比べて4,801百万円の損失拡大となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ62,411百万円増加したことにより、1,209,497百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、512,523百万円の収入(前年同期比104.8%)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が217,569百万円、減価償却費が207,483百万円、減損損失が59,719百万円、のれん償却額が55,458百万円となりましたが、法人税等の支払額が140,629百万円となったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、371,602百万円の支出(前年同期比110.6%)となりました。これは、店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出が321,089百万円となったことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、78,190百万円の支出(前年同期は2,312百万円の支出)となりました。これは、長期借入れによる収入が139,451百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が98,739百万円、社債の償還による支出が40,000百万円、配当金の支払額が80,834百万円となったことなどによるものであります。