有価証券報告書-第12期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、グループの考え方の原点である「私たちの考え方」に基づき、「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」を実現するために、今まで培ってきた暖簾、顧客、その他有効資産に加えてIT・店舗・人の力を活用し、マッチングプラットフォーマーとして、世界中のモノ・コトとお客さまのつなぎ手となることを目指しております。その実現に向けて、時代や環境にあわせて自ら“変化”をしてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、お客さまのご満足の最大化実現及び収益安定化に向けて、再投資原資となる営業利益をはじめとした複数の経営指標を持ち、その向上に取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言により当社グループ店舗は、お客さまや従業員の安心・安全を第一に考える中、4月より臨時休業(一部店舗は部分休業や時間短縮)を実施しておりました。百貨店事業およびその他事業の売上高が大幅に減少する等の影響が及び、先行きが見通せない状況にあります。収束の兆しや、その後の景気回復動向、第2波、第3波の可能性等を見極め、2021年3月期の通期連結業績予想、及び中期に目指す経営指標について、現在、再検討を進めております。
(3)経営環境および対処すべき課題
①企業構造
当社グループは、純粋持株会社である当社を中心に、主要事業である百貨店事業を中心とした各事業会社により構成されています。グループ共通方針や考え方の下、コーポレート機能を集約し、横串に統括機能を果たすことでグループガバナンスを効かせております。グループポリシーに沿ってセントラルで効率性を追求した上で、各社の自主独立性や採算性を基本とし、事業を行っております。また各社間の連携やシナジーについても重要視しています。
現在、事業構成の大半が百貨店事業であり、小売業を中心とした事業ポートフォリオとなっております。今後、事業ポートフォリオの組み換えや、その他事業の育成・拡大に向けた資源の再配分や企業構造の再構築を検討してまいります。
中期経営計画の早期・確実な達成に向けて、当社傘下の事業会社へ権限と責任を委譲し、経営の意思決定を迅速化するとともに機動的な業務執行体制の構築を目指してまいりました。このたび、コーポレート・ガバナンス体制の一層の強化のため、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ企業統治の形態を移行いたしました。経営における監督と執行の分離をより明確にし、取締役会による監督機能の強化と執行のスピードアップを図ってまいります。
②市場環境
人口減少・少子高齢化、グローバル化、デフレ、税と社会保障など、山積する日本の問題がある中で、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。また、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、厳しい経済状況が一定期間続くことは避けられません。百貨店業界は、渡航禁止による訪日外国人の大幅減少、ウイルスの感染拡大を防止するための消費行動の減少により、さらにマイナス基調にて推移しています。海外においても、グローバル規模での感染拡大により、老舗百貨店やその他小売業の倒産が相次ぎ、業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。
新型コロナ感染症拡大~収束の過程で、社会や経済の在り方が大きく変わっていくことが予想され、今回の経験が、生活におけるデジタル技術等の利用を加速させる契機となる可能性があります。世界でデジタルシフトが一気に進み、デジタルを活用した社会活動が飛躍的に増加する中で、百貨店事業は、古い事業構造が残ったままとなれば、これから進む経済社会構造の変化に対応できず、淘汰される可能性があります。このようなリスクを踏まえて、主体的・積極的にビジネスの在り方に対応し、今までの古い百貨店ビジネスモデルから、スピードをもって新たな小売モデルへの転換が必要です。
③競合他社との比較
消費者マインドが大きく変化し、安心・安全重視や新しいコミュニケーションの取り方、生活様式・働き方・消費行動の変化を見据え、顧客との新しい向き合い方に迅速に取り組む必要があります。店舗にご来店いただくビジネスモデルから、店舗(オフライン)とEC(オンライン)をシームレスに行き来することや、オンラインで完結できる環境の整備等、多様な購買方法への対応が不可欠です。当社は、中期経営計画にて掲げた目指す姿「オンラインとオフラインのマッチングプラットフォーマー」の実現に向けたビジネスモデル改革にいち早く着手しています。新型コロナウイルス感染症の影響で、店舗リモデル等は一部延期や絞り込みをするものの、オンラインとオフラインのシームレス化、カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)やマーケティングのための顧客基盤の強化は継続し、加えて、デジタルを活用した「安心・安全なお買物」の提供や、One to Oneサービスの拡充、EC事業の強化等を進めてまいります。
また、当社グループは、首都圏や地方大都市中心地に優良不動産を保有しております。本店所在地の新宿や日本橋エリアをはじめ、地方大都市エリアは利便性が高く、店舗を営むにあたり集客が見込めます。不動産事業を推進していくにあたり、保有不動産を最大限有効活用することで、周辺エリアのバリューアップやその他関連事業への拡大、波及に貢献できるものと考えます。
④顧客動向・顧客基盤
国内市場は、人口減少、少子高齢化、世帯数の減少等の加速が見込まれ、顧客数や消費量の減少は免れません。一方、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の増加や、グローバル化、世界規模での富裕層の増加等により、顧客層の拡大は見込まれます。また、顧客嗜好の多様化により、消費の二極化や一層のニーズ多様化が進むことが想定され、消費ニーズに対応できない店舗や企業は淘汰されることが予想されます。
当社は、多様化する顧客嗜好やニーズにお応えするため、グループにおけるマーケティングを強化してまいりました。点在していた顧客データベースを整理し、顧客情報を一元化できるよう再構築を行ってきました。お客さまの情報を共通IDにより一元管理し顧客情報をベースとすることで、顧客を徹底的に理解し、One to Oneを強化しグループCRMを進めてまいります。結果、顧客満足度向上により、購買額アップ・購買頻度アップに繋げてまいります。また、将来的に蓄積した情報が増えた段階で、それらに外部情報(匿名情報等)を加えてマーケティングを強化し、新規事業の創出にも繋げていきます。
⑤新型コロナウイルス感染症の影響および対応
世界規模で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症により、百貨店業界をはじめとした小売事業は2020年に入り大幅なマイナス基調にて推移しています。この未曽有の危機の中、当社は事業継続計画に基づく緊急対策本部において、グループ全体で必要となる様々な対応をスピードをもって進めてまいりました。緊急事態宣言下における外出自粛要請に応え、お客さま、従業員の安心・安全を第一に考え、4月に入り臨時休業(一部店舗は部分休業や時間短縮)を実施いたしました。あわせて、足元業績が悪化して推移する中、一定のリスクシナリオを想定して十分な手元流動性を確保すべく、資金調達を行っております。
また、第2波、第3波の可能性を踏まえ、「安心・安全志向」「働き方改革」「デジタルシフト」等、生活様式や消費行動の大きな変化が見込まれます。安心・安全の取組みを徹底するとともに、お客さまのニーズにお応えする価値提供や、新しいコミュニケーションの在り方を再設定してまいります。加えて今後も予測される外出や消費行動の自粛、訪日外国人の渡航自粛の長期化など、経営上の大きなマイナス影響を踏まえ、事業計画の見直しなど機動的な対応を行います。
(4)中長期的な会社の経営戦略
百貨店業界は、人口減少や少子高齢化による市場の縮小に加え、顧客志向の多様化や他業種による競合の増加もあり、近年、売上高が減少しています。また、昨今はグローバル化や訪日外国人によるインバウンド需要が百貨店業界の売上高に占めるシェアが高くなり、これらを意識したサービスや品揃えや店舗作りにも対応が必要となっております。加えて、このたびの新型コロナウイルスに代表される感染症や、台風や地震等の自然災害などによる影響を大きく受け、これらのリスクを想定し、内需主導成長を実現していく必要があります。
デジタルを活用した社会活動が飛躍的に増加する中で、古い事業構造が残ったままとなれば、これから進む経済社会構造の変化に対応できず、淘汰される可能性があります。当社はこのようなリスクを踏まえて、主体的・積極的にビジネスの在り方や生活様式の変更に対応し、今までの古い百貨店ビジネスモデルから、新たな小売モデルへの転換が必要です。
このような変化に対応するため、当社グループは、3ヶ年計画において掲げている目指す姿「オンラインとオフライン(店舗)のマッチングプラットフォーマー」の実現に向けたデジタル化をはじめとした各施策を継続して推進していきます。あわせて、抜本的コスト構造改革、基盤整備を継続しつつ、ビジネスモデル改革に向けた取組みや、アフターコロナを見据えた変化に向けて、重点戦略を確実に加速させてまいります。
重点取組① 「収支構造改革の推進」
重点戦略の一つとして、徹底したコスト構造改革を継続してまいります。今まで当たり前としてきた常識、ノウハウ、仕組み、業務、全ての項目において聖域なく見直し、ビジネスモデル改革と連動した抜本的なコスト構造改革を進めることにより、宣伝費、地代家賃、人件費の抜本的な販売管理費の削減を進めております。あわせて、今回の新型コロナウイルス感染症による甚大な影響を鑑み、お客さまや従業員の安心・安全に向けた取組みを確保しつつ、追加のコスト削減策の実行や、投資をゼロベースで見直しする等、危機感をもって取り組んでまいります。
重点取組② 「小売(百貨店)事業のビジネスモデル改革」
環境の変化・お客さまのニーズの変化に対応していくため、当社は新しい小売事業のビジネスモデルの確立を目指しています。そのために「店舗モデル改革」「オンラインとオフラインのシームレス化・EC事業の拡大」「カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)の推進・マーケティング強化」を推進していきます。
多様化するニーズや消費者のデジタルシフトに対応するため、店舗のみでなく、お客さまがオンラインとオフラインを自由に行き来し、どこでも「最新で最高の顧客体験」を提供できるよう「オンラインとオフラインのシームレス化」を推進してまいります。2020年6月に新しいシームレスサイト・アプリを立ち上げ、新アプリを活用することで、オンラインでも伊勢丹新宿本店の主力ブランド中心に購入できることを目指していきます。先ずは伊勢丹新宿本店の商品を中心にスタートし、店舗に置けない品揃えも含め幅広い商品へ拡充し、充実させていきます。また、店舗へご来店いただけないお客さまへお応えするため、オンラインで完結できるEC事業へも注力し、強化してまいります。
あわせて、デジタル会員化を進め、お客さまとの関係性強化、One to oneを実現することで、欲しい情報を欲しい時に提供できる環境を整備し、顧客満足度向上を目指します。将来的に蓄積した購買をはじめとした様々な情報によりマーケティングを一層強化し、新規事業の創出にもつなげていきます。
店舗モデル改革に向けては、お客さまのニーズを的確に把握し、商品展開やMDバランスを適正化し、リアル店舗ならではの「価値」「体験」を提供することで顧客支持の高い商業施設を目指します。そのための業務フローの見直しや、店舗リモデルを進めてまいります。
重点取組③ 「不動産事業・金融事業への取り組み強化」
国内におけるグループ保有不動産の有効活用による中長期的な収益拡大に向けた事業の検討を進め、不動産事業の強化を図ってまいります。不動産価値最大化に向けて、地域の再開発へ参画することで街づくりに関わりつつ、商業を核とした当社ならではのコンセプトでの複合用途化によりバリューアップを実現し、新たな事業展開を検討してまいります。
金融事業につきましては、当社のカード会社「株式会社エムアイカード」を中心に、決済手段の多様化への対応やお客さまのウォレットシェア拡大に向けて、新たな金融サービスメニュー拡充の方向性を検討しております。既存の百貨店カードの再構築を図りつつ、新たなチャネル開拓を進め外部顧客の取扱高を拡大させることで、決済手段にとどまらず、情報やマーケティング基盤として確立していきます。
あわせてコンプライアンス、リスクマネジメント、情報管理体制などの内部統制システムの強化に取り組み、企業価値の向上と持続的成長をめざしてまいります。また、社会に対する企業としての責任として、変化する社会のさまざまな課題に向きあい、企業活動を通じてその解決に貢献することで、かかわりのあるすべての人々の豊かな未来と、持続可能な社会の実現に向け役割を果たすことを目指しています。CSRにおいても、ESG、SDGsの視点も踏まえ、変化する社会からの課題、要請に応えていくため、社内にサステナビリティ推進会議を創設して取り組んでおります。加えて、労働人口の減少が避けられない中、従業員がパフォーマンスを高めて生産性を上げられるよう、働きやすい環境を整備し従業員満足度(ES)向上にも取組み、結果的に顧客満足度向上につながるよう努めてまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、グループの考え方の原点である「私たちの考え方」に基づき、「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」を実現するために、今まで培ってきた暖簾、顧客、その他有効資産に加えてIT・店舗・人の力を活用し、マッチングプラットフォーマーとして、世界中のモノ・コトとお客さまのつなぎ手となることを目指しております。その実現に向けて、時代や環境にあわせて自ら“変化”をしてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、お客さまのご満足の最大化実現及び収益安定化に向けて、再投資原資となる営業利益をはじめとした複数の経営指標を持ち、その向上に取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言により当社グループ店舗は、お客さまや従業員の安心・安全を第一に考える中、4月より臨時休業(一部店舗は部分休業や時間短縮)を実施しておりました。百貨店事業およびその他事業の売上高が大幅に減少する等の影響が及び、先行きが見通せない状況にあります。収束の兆しや、その後の景気回復動向、第2波、第3波の可能性等を見極め、2021年3月期の通期連結業績予想、及び中期に目指す経営指標について、現在、再検討を進めております。
(3)経営環境および対処すべき課題
①企業構造
当社グループは、純粋持株会社である当社を中心に、主要事業である百貨店事業を中心とした各事業会社により構成されています。グループ共通方針や考え方の下、コーポレート機能を集約し、横串に統括機能を果たすことでグループガバナンスを効かせております。グループポリシーに沿ってセントラルで効率性を追求した上で、各社の自主独立性や採算性を基本とし、事業を行っております。また各社間の連携やシナジーについても重要視しています。
現在、事業構成の大半が百貨店事業であり、小売業を中心とした事業ポートフォリオとなっております。今後、事業ポートフォリオの組み換えや、その他事業の育成・拡大に向けた資源の再配分や企業構造の再構築を検討してまいります。
中期経営計画の早期・確実な達成に向けて、当社傘下の事業会社へ権限と責任を委譲し、経営の意思決定を迅速化するとともに機動的な業務執行体制の構築を目指してまいりました。このたび、コーポレート・ガバナンス体制の一層の強化のため、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ企業統治の形態を移行いたしました。経営における監督と執行の分離をより明確にし、取締役会による監督機能の強化と執行のスピードアップを図ってまいります。
②市場環境
人口減少・少子高齢化、グローバル化、デフレ、税と社会保障など、山積する日本の問題がある中で、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。また、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、厳しい経済状況が一定期間続くことは避けられません。百貨店業界は、渡航禁止による訪日外国人の大幅減少、ウイルスの感染拡大を防止するための消費行動の減少により、さらにマイナス基調にて推移しています。海外においても、グローバル規模での感染拡大により、老舗百貨店やその他小売業の倒産が相次ぎ、業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。
新型コロナ感染症拡大~収束の過程で、社会や経済の在り方が大きく変わっていくことが予想され、今回の経験が、生活におけるデジタル技術等の利用を加速させる契機となる可能性があります。世界でデジタルシフトが一気に進み、デジタルを活用した社会活動が飛躍的に増加する中で、百貨店事業は、古い事業構造が残ったままとなれば、これから進む経済社会構造の変化に対応できず、淘汰される可能性があります。このようなリスクを踏まえて、主体的・積極的にビジネスの在り方に対応し、今までの古い百貨店ビジネスモデルから、スピードをもって新たな小売モデルへの転換が必要です。
③競合他社との比較
消費者マインドが大きく変化し、安心・安全重視や新しいコミュニケーションの取り方、生活様式・働き方・消費行動の変化を見据え、顧客との新しい向き合い方に迅速に取り組む必要があります。店舗にご来店いただくビジネスモデルから、店舗(オフライン)とEC(オンライン)をシームレスに行き来することや、オンラインで完結できる環境の整備等、多様な購買方法への対応が不可欠です。当社は、中期経営計画にて掲げた目指す姿「オンラインとオフラインのマッチングプラットフォーマー」の実現に向けたビジネスモデル改革にいち早く着手しています。新型コロナウイルス感染症の影響で、店舗リモデル等は一部延期や絞り込みをするものの、オンラインとオフラインのシームレス化、カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)やマーケティングのための顧客基盤の強化は継続し、加えて、デジタルを活用した「安心・安全なお買物」の提供や、One to Oneサービスの拡充、EC事業の強化等を進めてまいります。
また、当社グループは、首都圏や地方大都市中心地に優良不動産を保有しております。本店所在地の新宿や日本橋エリアをはじめ、地方大都市エリアは利便性が高く、店舗を営むにあたり集客が見込めます。不動産事業を推進していくにあたり、保有不動産を最大限有効活用することで、周辺エリアのバリューアップやその他関連事業への拡大、波及に貢献できるものと考えます。
④顧客動向・顧客基盤
国内市場は、人口減少、少子高齢化、世帯数の減少等の加速が見込まれ、顧客数や消費量の減少は免れません。一方、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の増加や、グローバル化、世界規模での富裕層の増加等により、顧客層の拡大は見込まれます。また、顧客嗜好の多様化により、消費の二極化や一層のニーズ多様化が進むことが想定され、消費ニーズに対応できない店舗や企業は淘汰されることが予想されます。
当社は、多様化する顧客嗜好やニーズにお応えするため、グループにおけるマーケティングを強化してまいりました。点在していた顧客データベースを整理し、顧客情報を一元化できるよう再構築を行ってきました。お客さまの情報を共通IDにより一元管理し顧客情報をベースとすることで、顧客を徹底的に理解し、One to Oneを強化しグループCRMを進めてまいります。結果、顧客満足度向上により、購買額アップ・購買頻度アップに繋げてまいります。また、将来的に蓄積した情報が増えた段階で、それらに外部情報(匿名情報等)を加えてマーケティングを強化し、新規事業の創出にも繋げていきます。
⑤新型コロナウイルス感染症の影響および対応
世界規模で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症により、百貨店業界をはじめとした小売事業は2020年に入り大幅なマイナス基調にて推移しています。この未曽有の危機の中、当社は事業継続計画に基づく緊急対策本部において、グループ全体で必要となる様々な対応をスピードをもって進めてまいりました。緊急事態宣言下における外出自粛要請に応え、お客さま、従業員の安心・安全を第一に考え、4月に入り臨時休業(一部店舗は部分休業や時間短縮)を実施いたしました。あわせて、足元業績が悪化して推移する中、一定のリスクシナリオを想定して十分な手元流動性を確保すべく、資金調達を行っております。
また、第2波、第3波の可能性を踏まえ、「安心・安全志向」「働き方改革」「デジタルシフト」等、生活様式や消費行動の大きな変化が見込まれます。安心・安全の取組みを徹底するとともに、お客さまのニーズにお応えする価値提供や、新しいコミュニケーションの在り方を再設定してまいります。加えて今後も予測される外出や消費行動の自粛、訪日外国人の渡航自粛の長期化など、経営上の大きなマイナス影響を踏まえ、事業計画の見直しなど機動的な対応を行います。
(4)中長期的な会社の経営戦略
百貨店業界は、人口減少や少子高齢化による市場の縮小に加え、顧客志向の多様化や他業種による競合の増加もあり、近年、売上高が減少しています。また、昨今はグローバル化や訪日外国人によるインバウンド需要が百貨店業界の売上高に占めるシェアが高くなり、これらを意識したサービスや品揃えや店舗作りにも対応が必要となっております。加えて、このたびの新型コロナウイルスに代表される感染症や、台風や地震等の自然災害などによる影響を大きく受け、これらのリスクを想定し、内需主導成長を実現していく必要があります。
デジタルを活用した社会活動が飛躍的に増加する中で、古い事業構造が残ったままとなれば、これから進む経済社会構造の変化に対応できず、淘汰される可能性があります。当社はこのようなリスクを踏まえて、主体的・積極的にビジネスの在り方や生活様式の変更に対応し、今までの古い百貨店ビジネスモデルから、新たな小売モデルへの転換が必要です。
このような変化に対応するため、当社グループは、3ヶ年計画において掲げている目指す姿「オンラインとオフライン(店舗)のマッチングプラットフォーマー」の実現に向けたデジタル化をはじめとした各施策を継続して推進していきます。あわせて、抜本的コスト構造改革、基盤整備を継続しつつ、ビジネスモデル改革に向けた取組みや、アフターコロナを見据えた変化に向けて、重点戦略を確実に加速させてまいります。
重点取組① 「収支構造改革の推進」
重点戦略の一つとして、徹底したコスト構造改革を継続してまいります。今まで当たり前としてきた常識、ノウハウ、仕組み、業務、全ての項目において聖域なく見直し、ビジネスモデル改革と連動した抜本的なコスト構造改革を進めることにより、宣伝費、地代家賃、人件費の抜本的な販売管理費の削減を進めております。あわせて、今回の新型コロナウイルス感染症による甚大な影響を鑑み、お客さまや従業員の安心・安全に向けた取組みを確保しつつ、追加のコスト削減策の実行や、投資をゼロベースで見直しする等、危機感をもって取り組んでまいります。
重点取組② 「小売(百貨店)事業のビジネスモデル改革」
環境の変化・お客さまのニーズの変化に対応していくため、当社は新しい小売事業のビジネスモデルの確立を目指しています。そのために「店舗モデル改革」「オンラインとオフラインのシームレス化・EC事業の拡大」「カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)の推進・マーケティング強化」を推進していきます。
多様化するニーズや消費者のデジタルシフトに対応するため、店舗のみでなく、お客さまがオンラインとオフラインを自由に行き来し、どこでも「最新で最高の顧客体験」を提供できるよう「オンラインとオフラインのシームレス化」を推進してまいります。2020年6月に新しいシームレスサイト・アプリを立ち上げ、新アプリを活用することで、オンラインでも伊勢丹新宿本店の主力ブランド中心に購入できることを目指していきます。先ずは伊勢丹新宿本店の商品を中心にスタートし、店舗に置けない品揃えも含め幅広い商品へ拡充し、充実させていきます。また、店舗へご来店いただけないお客さまへお応えするため、オンラインで完結できるEC事業へも注力し、強化してまいります。
あわせて、デジタル会員化を進め、お客さまとの関係性強化、One to oneを実現することで、欲しい情報を欲しい時に提供できる環境を整備し、顧客満足度向上を目指します。将来的に蓄積した購買をはじめとした様々な情報によりマーケティングを一層強化し、新規事業の創出にもつなげていきます。
店舗モデル改革に向けては、お客さまのニーズを的確に把握し、商品展開やMDバランスを適正化し、リアル店舗ならではの「価値」「体験」を提供することで顧客支持の高い商業施設を目指します。そのための業務フローの見直しや、店舗リモデルを進めてまいります。
重点取組③ 「不動産事業・金融事業への取り組み強化」
国内におけるグループ保有不動産の有効活用による中長期的な収益拡大に向けた事業の検討を進め、不動産事業の強化を図ってまいります。不動産価値最大化に向けて、地域の再開発へ参画することで街づくりに関わりつつ、商業を核とした当社ならではのコンセプトでの複合用途化によりバリューアップを実現し、新たな事業展開を検討してまいります。
金融事業につきましては、当社のカード会社「株式会社エムアイカード」を中心に、決済手段の多様化への対応やお客さまのウォレットシェア拡大に向けて、新たな金融サービスメニュー拡充の方向性を検討しております。既存の百貨店カードの再構築を図りつつ、新たなチャネル開拓を進め外部顧客の取扱高を拡大させることで、決済手段にとどまらず、情報やマーケティング基盤として確立していきます。
あわせてコンプライアンス、リスクマネジメント、情報管理体制などの内部統制システムの強化に取り組み、企業価値の向上と持続的成長をめざしてまいります。また、社会に対する企業としての責任として、変化する社会のさまざまな課題に向きあい、企業活動を通じてその解決に貢献することで、かかわりのあるすべての人々の豊かな未来と、持続可能な社会の実現に向け役割を果たすことを目指しています。CSRにおいても、ESG、SDGsの視点も踏まえ、変化する社会からの課題、要請に応えていくため、社内にサステナビリティ推進会議を創設して取り組んでおります。加えて、労働人口の減少が避けられない中、従業員がパフォーマンスを高めて生産性を上げられるよう、働きやすい環境を整備し従業員満足度(ES)向上にも取組み、結果的に顧客満足度向上につながるよう努めてまいります。